(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
1.表面実装機1の全体構造
本発明の実施形態1を
図1ないし
図19によって説明する。
図1は表面実装機の平面図、
図2はヘッド支持体を切り欠いた表面実装機の平面図、
図3はヘッドユニットの支持構造を示す図である。本表面実装機1はプリント基板Pに対して電子部品Dを実装する装置であり、
図1にて示すように、上面が平らな基台10上に各種装置(プリント基板Pを搬送する搬送コンベア20、プリント基板Pを支持する基板支持装置30、プリント基板P上に電子部品Dを実装する実装作業装置100を配置してなる。尚、搬送コンベア20が本発明の「搬送部」に相当し、実装作業装置100が本発明の「実装部」に相当する。
【0014】
また、以下の説明において、基台10の長手方向(
図1の左右方向で、プリント基板Pの搬送方向)をX方向と呼ぶものとし、Y方向、Z方向をそれぞれ
図1、
図3の向きに定めるものとする。また、
図1において右手側を上流側(作業対象となるプリント基板Pの搬入側)、左手側を下流側(作業済みのプリント基板Pの搬出側)として説明を行う。
【0015】
基台10はX方向に長い長方形状をなしており、中央に搬送コンベア20を配置し、また、上流側にあたる基台10の右端に搬入コンベア12を、下流側にあたる基台10の左端に搬出コンベア13を配置している。これら3つのコンベア12、13、20は互いに段差なく連続しており、作業対象となるプリント基板PをX方向(
図1の右側から左側)に順々に送ることが出来る構成となっている。そして、搬送コンベア20の入口部分には、基板センサ25が設けられていて、基台10上にプリント基板Pが搬入されると、プリント基板Pを検出して検出信号を出力する構成となっている。
【0016】
基台10上には実装作業位置が2か所設けられている。2つの実装作業位置「A」、「B」は、
図1に示すように、基台中央においてX方向に並んでいる。各実装作業位置「A」、「B」には、それぞれ基板支持装置30A、30Bが設けられている。そして、基台10上に搬入されたプリント基板Pは、搬送コンベア20により2つの実装作業位置「A」か「B」のどちらかまで送られて停止した後、対応する基板支持装置30A、30Bにより下から支える構造となっている。尚、基板支持装置30(30A、30Bの総称)の構造については、
図4等を参照して、後に詳しく説明する。
【0017】
また、基台10上であって、上記実装作業位置「A」、「B」の周囲4箇所には部品供給部80が設けられ、そこには部品供給装置としてのフィーダ83がX方向に整列状に設置されている。各フィーダ83は、部品供給テープが巻回されたリール(不図示)、リールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)などから構成されている。
【0018】
部品供給テープには電子部品Dが一定間隔にて保持されており、送出装置を駆動させると、部品供給テープの引き出しに伴い、電子部品Dが一つずつ供給される。そして、供給された電子部品Dは、次に説明する実装作業装置100により、実装作業位置上にてバックアップされたプリント基板P上に実装される構成となっている。
【0019】
また、基台10上であってY方向一方側(
図1の手前側)には、部品認識カメラ87が設置されている。部品認識カメラ87は、吸着ヘッド185により吸着保持された電子部品Dを撮影するためのものである。また、Y方向他方側(
図1の奥側)には、プリント基板Pを支持するためのバックアップピン50が保管されるピン保管部85が設けられている。
【0020】
実装作業装置100は電子部品Dを吸着保持する吸着ヘッド185と、移動装置130とを備える。本移動装置130はXYZの直交する3つの駆動軸を備えた直交座標ロボットであり、これら3つの駆動軸を複合的に駆動させることで、吸着ヘッド185を基台10上の任意位置に移動操作する。
【0021】
具体的に説明してゆくと、
図1に示すように基台10上には一対の支持脚141が設置されている。両支持脚141は実装作業位置の両側(X方向両側)に位置しており、共にY方向(
図1では上下方向)にまっすぐに延びている。
【0022】
両支持脚141にはY方向に延びるガイドレール(Y方向案内軸)142が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール142に長手方向の両端部を嵌合わさせつつヘッド支持体151が取り付けられている。
【0023】
また、
図1において右側の支持脚141にはY方向に延びるY軸ボールねじ軸(Y方向駆動軸)145が装着され、更にY軸ボールねじ軸145にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ軸145の軸端部にはY軸モータ147が設けられている。
【0024】
同Y軸モータ147を通電操作すると、Y軸ボールねじ軸145に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体151、ひいては次述するヘッドユニット160がガイドレール142に沿ってY方向に水平移動する(Y軸サーボ機構)。
【0025】
図2に示すように、ヘッド支持体151にはX方向に延びるガイド部材(X方向案内軸)153が設置され、更に、ガイド部材153に対してヘッドユニット160が、移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体151には、X方向に延びるX軸ボールねじ軸(X方向駆動軸)155が装着されており、更にX軸ボールねじ軸155にはボールナットが螺合されている。
【0026】
そして、X軸ボールねじ軸155の軸端部にはX軸モータ157が設けられており、同X軸モータ157を通電操作すると、X軸ボールねじ軸155に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット160がガイド部材153に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0027】
従って、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御することで、基台10上においてヘッドユニット160を水平方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0028】
係るヘッドユニット160は一列状に吸着ヘッド185が設けられている。各吸着ヘッド185は、Z軸モータ187を動力源とするZ軸サーボ機構(図略)により、Z方向に移動操作可能とされる。そして、各吸着ヘッド185の先端には吸着ノズル186が設けられており、ヘッド先端に吸引力を生じさせるようになっている。以上のことから、ヘッドユニット160を部品供給部80と基台中央の実装作業位置との間を往復移動させつつ、吸着ヘッド185を適宜昇降操作することにより、部品供給部80から電子部品Dを取り出すことが出来、かつ取り出した電子部品Dを実装作業位置A、Bにてバックアップされたプリント基板P上に実装できる。
【0029】
2.基板支持装置の構造
基板支持装置30は実装作業位置「A」、「B」に停止したプリント基板Pを下から支える機能を果たすものであり、
図4〜
図6に示すように、ベース31と、ベース31を支える支持テーブル35と、位置決めプレート40と、バックアップピン50と、昇降装置(本発明の「昇降部」に相当)70とから構成されている。
【0030】
バックアップピン50は、
図4に示すように上下方向に長い形状をした、段付きピンであり、下側に小径部53を形成し、上側(先端側)に支持部55を形成している。支持部55は、小径部53よりも更に細径であり、上方に真っ直ぐに延びている。支持部55は、プリント基板Pを支持する機能を果たすものであり、上端面は水平な支持面となっている。
【0031】
図5に示すように、位置決めプレート40はベース31の大きさと概ね等しい形状の金属板であり、ベース31の上面側に位置決めされた状態で固定される構成となっている。そして、位置決めプレート40の板面には、位置決め孔43が貫通形成されている。位置決め孔43はバックアップピン50の後端に形成された小径部53の相手となるものであり、小径部53を隙間なく嵌合させる大きさとなっている。そのため、位置決めプレート40の位置決め孔43に小径部53を嵌合させることで、バックアップピン50を位置決めしつつ、ベース31上に、着脱可能に装着出来る構成となっている。
【0032】
尚、位置決めプレート40には縦方向の各列と横方向の各列にそれぞれ番地が割り振られており、番地を参考にして配置作業を行うことで、ベース31上の所望の位置に、バックアップピン50をセットできる構成となっている。
【0033】
昇降装置70は、
図5、
図6に示すように、複数本のガイドシャフト72と、ガイドシャフト72を支えるハウジング73と、ボールスクリュー75と、軸受け部76と、バックアップ用モータ77とを備えている。ガイドシャフト72は、支持テーブル35を上下移動可能に支えており、支持テーブル35を水平に昇降させる機能を果たす。
【0034】
ボールスクリュー75は軸受け部76によって上下方向に進退可能に支持されており、上端部は支持テーブル35の下面中央部に連結されている。このボールスクリュー75には、軸受け部76に設けられたボールナット(図略)が螺合しており、軸周りの回転運動を軸に沿った直線運動に変換するボール螺子機構を構成している。
【0035】
バックアップ用モータ77は軸受け部76の側部(
図6の右側部)において、モータ軸を上に向けて設置されている。軸受け部76とバックアップ用モータ77にはそれぞれプーリが設けられており、両プーリ間が無端ベルト79によって渡されている。
【0036】
以上のことから、バックアップ用モータ77を駆動させると、その回転力が無端ベルト79を介して軸受け部76のボールナットへと伝達され、ボールスクリュー75を上下動させる。その結果、支持テーブル35がボールスクリュー75と一体的に昇降して、ベース31を下降位置(図略)と上昇位置(図略)との間で変位させる構成となっている。
【0037】
ベース31を下降位置に位置させた状態では、搬送コンベア20上を搬送されるプリント基板Pの下方において、各バックアップピン50が、プリント基板Pから所定距離隔てた離間状態となる。その一方、ベース31を上昇位置に移動させると、バックアップピン50が下から当接して、実装作業位置に停止したプリント基板Pをバックアップする構成となっている。
【0038】
尚、本例では、30A側の基板支持装置と30B側の基板支持装置の双方とも昇降装置70を備えており、両装置30A、30Bのベース31が独立して昇降することが出来るが、例えば、2つの基板支持装置間でベース31や昇降装置70を共通化する構成とすることも可能である。
【0039】
3.着脱ヘッドの構造
着脱ヘッド90は、バックアップピン50の回収作業や段取り作業を行うものである。具体的に説明すると、着脱ヘッド90は、
図3に示すように、チャック91とチャック駆動部95とを備える。チャック91は一対のアーム93と、アーム93を開閉操作するアーム駆動部94からなる。チャック駆動部95は、例えば、ボール螺子機構やサーボモータから構成され、チャック91をZ方向に昇降させる機能を果たす。そして、着脱ヘッド90は、実装作業装置100のヘッドユニット160に搭載されており、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御することで、基台10上において、水平方向(XY方向)に移動出来る構成となっている。
【0040】
以上のことから、バックアップピン50を配置する場合には、基台10のピン保管部85からバックアップピン50を着脱ヘッド90を用いて取り出す。その後、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御して、バックアップピン50を位置決めプレート40上の目標位置まで移動させた後、着脱ヘッド90と共にバックアップピン50を下降させる。その後、アーム93を開いてバックアップピン50の保持を解くことで、位置決めプレート40上にバックアップピン50を段取り(配置)することが出来る。
【0041】
一方、バックアップピン50を回収する場合は、回収するバックアップピン50の上方に着脱ヘッド90を移動させる。その後、着脱ヘッド90を下降させ、更にアーム93用いてバックアップピン50を保持する。あとは、着脱ヘッド90と共にバックアップピン50を上昇させることで、位置決めプレート40からバックアップピン50を回収できる。そして、回収後、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御して、保持したバックアップピン50を、ピン保管部85まで移動させた後、アーム93の保持を解くことで、回収したバックアップピン50をピン保管部85に戻すことが出来る。尚、着脱ヘッド90と、移動装置130を構成するX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構が本発明の「作業部」の一例である。
【0042】
4.表面実装機の電気的構成
表面実装機1はコントローラ(本発明の「制御部」に相当)200により装置全体が制御統括されている。コントローラ200は、
図7に示すように、CPU等により構成される演算処理部211を備える他、実装プログラム記憶手段213、アクチュエータ制御部215、入出力部217、外部入出力部219を設けている。
【0043】
生産プログラム記憶手段213には、電子部品Dの搭載位置や搭載順を示す生産プログラム(実装プログラム)が格納されている。生産プログラムは、生産するプリント基板Pの品種ごとに設けられており、この実施形態では、実装ラインの全体を制御統括する管理装置400からロードできるようになっている。
【0044】
アクチュエータ制御部215は演算処理部211の指令に基づいて実装作業装置100、基板支持装置30、着脱ヘッド90及びチャック駆動部95を制御するものであり、これら各装置等が電気的に接続されている。
【0045】
入出力部217には基板センサ25が電気的に接続されおり、基板センサ25から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、表面実装機1は、外部入出力部219を介して、隣接する他の表面実装機310、330や管理装置400と通信可能に接続されており、隣接する他の表面実装機310、330や管理装置400との間で、基板要求信号等の各種信号や情報を通信できるようになっている。
【0046】
5.待機時間の発生
表面実装機1は、上流側の表面実装機310や下流側の表面実装機330と共に実装ラインを構成していて、生産対象のプリント基板Pを、搬送コンベア12、20、13を用いて各機に順々に送りながら部品の実装作業を分担して行う。各表面実装機310、1、330の実装作業終了時間が概ね等しければ、実装作業の終了後、作業済みのプリント基板Pを下流機330に排出する処理と、未作業のプリント基板Pを上流機310より搬入する処理を、時間を空けずに行うことが出来る。そのため、生産中に待機時間が発生することは、基本的にはない。尚、生産中とは、ある品種について、一枚目のプリント基板Pを生産し始めてから、最後のプリント基板Pを生産し終わるまでを意図する。
【0047】
しかし、突発的なエラーや、作業負荷のアンバランスにより、下流側の表面実装機330の実装作業終了時間が遅れると、表面実装機1は、実装作業を終えてるにも拘わらず、プリント基板Pを搬出できない状態となり、待機時間が発生する(下流待ち)。また、上流側の表面実装機310の実装作業終了時間が遅れると、表面実装機1は、実装作業を開始できる状態であるにも拘わらず、プリント基板Pの搬入を待つ状態となり、待機時間が発生する(上流待ち)。また、他機の作業遅れ以外にも、表面実装機1にて部品切れ等のエラーが発生した場合は、部品の補充を待つ状態となることから、生産中に待機時間が発生する(エラー解消待ち)。
【0048】
6.待機時間を利用したバックアップピンの段取り作業
バックアップピン50によるプリント基板Pの支持位置は、プリント基板Pの品種により異なるので、品種の切り換えを行う際には、基板支持装置30から使用済みのバックアップピン50を回収する作業や、次品種生産用のバックアップピン50を段取りする作業を行う必要がある。プリント基板Pの生産効率を高めるには、こうした回収作業や段取り作業を効率的に行って、生産の止まる時間を短くすることが好ましい。
【0049】
そこで、表面実装機1では、プリント基板Pの品種ごとに実装作業位置を交互に入れ替えることとし(本発明の「生産するプリント基板の品種に応じて実装作業位置を切り換え」に相当)、プリント基板Pの生産中に待機時間が発生した場合、その待機時間を利用して、生産中のプリント基板Pに重ならない範囲(平面方向で重ならない範囲)、すなわち生産に使用していない側の実装作業位置に対応する基板支持装置30を対象に、バックアップピン50の回収作業と段取り作業を行う。尚、「平面方向で重ならない」とは、
図1、
図2、
図8の平面図で重ならないことを意図する。
【0050】
尚、上記により、本発明の「前記プリント基板の生産中に待機時間が発生した場合は、生産に使用していない実装作業位置に対応する範囲(この例では、対応する基板支持装置30)を対象として、前記作業部に前記バックアップピンの回収作業又は段取り作業を実行させる」が実現されている。
【0051】
以下、
図8と
図9を参照してプリント基板Pの実装作業手順とバックアップピン50の段取り作業手順を説明する。例えば、品種1、品種2、品種3の順でプリント基板Pを生産する場合、最初に生産する品種1のプリント基板Pは、
図8に示すように、実装作業位置Aに停止させて実装作業を行う(
図9のS2)。次に生産する品種2のプリント基板Pは、実装作業位置Bに停止させて実装作業を行い(
図9のS8)、更に、品種3のプリント基板Pは、実装作業位置Aに停止させて実装作業を行う(
図9のS5)。
【0052】
そして、品種1のプリント基板Pを生産している時に待機時間が発生した場合には、コントローラ200の指令のもと、着脱ヘッド90を用いて、生産に使用していない30B側の基板支持装置について、次生産する品種2のバックアップピン50の段取り作業を行う(
図9に示すS7)。
【0053】
また、品種2のプリント基板Pを生産している時に待機時間が発生した場合には、コントローラ200の指令のもと、着脱ヘッド90を用いて、バックアップピン50の回収作業と段取り作業を行う。すなわち、生産に使用していない30A側の基板支持装置について、品種1の生産時に使用されたバックアップピン50を回収する作業と、次に生産する品種3に合わせてバックアップピン50を段取りする作業を行う(
図9のS3、S4)。
【0054】
また、品種3のプリント基板Pを生産している時に待機時間が発生した場合には、コントローラ200の指令のもと、着脱ヘッド90を用いて、生産に使用していない30B側の基板支持装置について、品種2の生産時に使用されたバックアップピン50を回収する作業を行う(
図9のS9)。
【0055】
このように生産中の待機時間を利用してバックアップピン50の回収作業や、段取り作業を行うようにすれば、品種の切り換え時には、待機時間内で実行できなかった残りの作業だけを行えばよいので、生産の止まる時間を短くすることが可能となり、プリント基板Pの生産効率を向上させることが出来る。
【0056】
7.実行シーケンス
次に、
図10〜
図19を参照して、待機時間を利用した段取り作業の実行シーケンスを説明する。
実行シーケンスは、プリント基板Pの生産に伴って、表面実装機1にて実行される処理であり、S10〜S70の7つの処理から構成されている。ここでは、品種1、品種2、品種3のプリント基板Pを、記載の順に生産する場合を例にとって説明を行う。尚、各品種とも生産枚数は100枚程度とする。
【0057】
まず、S10では、生産対象となる品種の生産プログラムを読み込む処理がコントローラ200により行われる。この例では、品種1〜品種3を生産するため、これら3品種の生産プログラムが、管理装置400から読み込まれる。読み込まれた各品種の生産プログラムは、生産プログラム記憶手段213に記憶される。そして、コントローラ200は、3品種の生産プログラムを読み込むと、各品種1〜3の実装作業位置が交互になるように各品種1〜3について実装作業位置「A」、「B」を割り振る処理を行うと共に、
図11に示す段取りテーブルに対して、実装作業位置と生産プログラムを対応付けて登録する処理を行う。
【0058】
段取りテーブルは、各生産プログラムについて段取りの状況を記憶できるようになっており、3品種の生産プログラムを読み込んだ直後は、
図11の(1)に示すように、各品種1〜3の生産プログラムとも段取り状況は「未段取り」となる。段取りテーブルの段取り状況は、作業の進行に伴って変化があると、コントローラ200により更新されるようになっている。
【0059】
その後、S20では、生産に使用する実装作業位置を決定する実装作業位置決定処理が、コントローラ200により実行される。実装作業位置決定処理は、
図12に示すS201〜S209の処理から構成されている。
【0060】
実装作業位置決定処理に移行すると、コントローラ200は、生産終了した品種の段取り状況を更新するため、まず、ピン段取りテーブルから状況が「生産中」を検索し、「生産中」があった場合、状況を「未回収」に書き換える処理を行う(S201〜S203)。この段階では、生産終了した品種はなく、
図11の(1)に示すように、段取りテーブルには、段取り状況が「生産中」の生産プログラムは存在しない。そのため、S202でNO判定されることになる。
【0061】
その後、コントローラ200は、今から生産するプログラムを検索する処理を行う(S204)。そして、今から生産するプログラムがある場合(S205:YES)には、実装作業位置を、ピン段取りテーブルに登録された位置に決定する処理が実行される(S209)。この例では、最初に生産する品種1の生産プログラムは、
図11の(1)に示すように、ピン段取りテーブルに登録されており、実装作業位置は「A」に割り振られていることから、品種1の実装作業位置は、実装作業位置「A」に決定されることになる。
【0062】
一方、今から生産する生産プログラムがない場合(S205:NO)には、他の生産プログラムが登録されていない位置に、生産プログラム名を登録する処理と、状況として未段取りを書き込み処理が実行され(S206〜S208)、実装作業位置は、新しく登録した位置に決定されることになる。
【0063】
そして、実装作業位置決定処理が終了すると、次はS30に移行し生産前ピン段取り処理がコントローラ200により実行される。生産前ピン段取り処理は、S301、S307、S308、S309の4つの処理から構成されている。
【0064】
生産前ピン段取り処理に移行すると、コントローラ200は、ピン段取りテーブルに参照して、今から生産するプログラムを検索する(S301)。そして、今から生産するプログラムについて段取り状況が「段取り済み」かどうかを判断する処理を行う(S307)。この例では、品種1の生産プログラムの段取り状況が、「段取り済み」かどうかを判断することになる。
【0065】
そして、段取り状況が「段取り済み」でない場合(S307:NO)は、ピン段取り処理が実行される(S308)。ピン段取り処理は、コントローラ200の指示のもと、着脱ヘッド90を用いて、生産対象となる品種に応じてバックアップピン50を、対応する基板支持装置30上に配置する処理である。ピン段取り処理が完了すると、その後、コントローラ200により、ピン段取りテーブルの段取り状況を「段取り済み」から「生産中」に書き換える処理が実行される(S309)。この例では、今から生産する品種は「品種1」であることから、品種1の生産に使用される30A側の基板支持装置についてバックアップピン50の段取り作業が行われた後、
図11の(2)に示すように、品種1の生産プログラムについて段取り状況が「生産中」に書き換えられる。
【0066】
尚、段取り作業を行うには、バックアップピン50をベース31上のどの場所に何本、配置するか決定する必要があるが、これは、管理装置から得られる品種1の基板サイズに関する情報や、品種1の生産プログラムに登録された部品の搭載位置に関する情報から決定することが出来る。
【0067】
一方、状況が「段取り済み」の場合(S307:YES)は、ピン段取り処理をスキップして、コントローラ200により、段取り状況を「段取り済み」から「生産中」に書き換える処理が実行される(S309)。
【0068】
その後、S40では生産中ピン段取り処理がコントローラ200により実行され、S50ではプリント基板Pを1枚生産する処理がコントローラ200により実行される。
【0069】
そして、S60では、プリント基板Pの生産数が目標数に達したか、どうかの判定が行われる。従って、この例では、品種1のプリント基板P1について、生産数が目標数に達したか、どうかの判定が行われる。
【0070】
目標数が100枚である場合には、プリント基板Pが100枚生産されるまで、S60ではNO判定されることになり、S40の生産中ピン段取り処理とS50のプリント基板Pを1枚生産する処理が、繰り返し実行されることになる。
【0071】
S40の生産中ピン段取り処理は、プリント基板Pの生産中に発生する待機時間を利用して、バックアップピン50の段取り作業を行う処理である。先に説明したように、待機時間には、下流待ち待機時間と、上流待ち待機時間と、エラー解消待ち待機時間の3パターンがある。そのため、
図14に示すように、生産中ピン段取り処理は、下流待ち待機時間を利用した生産中ピン段取り処理(S41)と、上流待ち待機時間を利用した生産中ピン段取り処理(S43)と、エラー解消待ち待機時間を利用した生産中ピン段取り処理(S45)の3パターンが設けられており、これらが順に実行されるようになっている。
【0072】
ここでは、下流待ち待機時間を利用した生産中ピン段取り処理(S41)について説明を行う。
図15に示すように、下流待ち待機時間を利用した生産中ピン段取り処理(S41)は、S411〜S414の4つの処理から構成されている。S411では、基板支持装置30が、実装済みプリント基板Pを保持中か、どうかを判定する処理がコントローラ200により実行される。したがって、この例では、生産に使用されている30A側の基板支持装置が、実装済みプリント基板Pを保持しているかどうかが判定されることになる。基板支持装置30Aが実装済みプリント基板Pを保持していない場合、S411ではNO判定され、処理は終了する。
【0073】
一方、生産に使用されている30A側の基板支持装置が実装済みプリント基板Pを保持している場合は、S411ではYES判定され、S412の処理が実行される。S412では、下流機330からの基板要求信号の有無に基づいて、待機時間が発生したかどうかを判定する処理が、コントローラ200により実行される。すなわち、表面実装機1が下流側の表面実装機330から基板要求信号を受信している場合は、実装済みプリント基板Pを下流側へ搬出可能な状態であることから、待機時間は発生していないと判断される。一方、基板要求信号を受信していない場合は、実装済みプリント基板Pを下流機に搬出出来ないことから、待機時間が発生していると判断される。
【0074】
そして、待機時間が発生していない場合は、下流側の表面実装機330へプリント基板Pを搬送する処理が行われると共に、S412ではYES判定され、その後、処理は終了となる。一方、待機時間が発生している場合は、S412でNO判定され、S413の処理が実行される。S413では、次品種の生産に使用する基板支持装置は段取りが終了しているか、どうかを判定する処理がコントローラ200により実行されることになる。そのため、この例では、品種2の生産プログラムについて、段取りが終了しているか判定されることになる。尚、段取りが終了しているかは、段取りテーブルの段取り状況を参照することで、判断可能である。
【0075】
そして、次品種の生産に使用する基板支持装置30Bについて、段取りが終了している場合は、S413でYES判定され、その後、処理は終了する。一方、基板支持装置30Bについて、段取りが終了していない場合は、S413でNO判定され、S414の処理が実行される。S414では、次品種の生産に使用する基板支持装置(この例では30B)について、バックアップピン50の段取り作業が実行される。
【0076】
バックアップピン50の段取り処理(S414)は、
図18に示すように、S471〜S482の12ステップから構成されている。処理の流れを説明すると、まずS471では、ピン段取りテーブルのうち、段取り状況が「生産中」でない実装作業位置を対象として、「未回収」又は「回収中」の段取り状況を検索する処理が実行される。従って、この例では、生産に使用していない実装作業位置Bを対象に、「未回収」又は「回収中」の段取り状況を検索する処理が実行されることになる。
【0077】
その後、S472では、検索の結果、生産に使用していない実装作業位置Bについて、「未回収」又は「回収中」の段取り状況が、存在したか判定する処理が実行される。この段階では実装作業位置A側で最初の品種1を生産しており、実装作業位置Bでは何の基板も生産していない。プリント基板の生産後でないと、段取り状況が「未回収」や「回収中」になることはないので、S472ではNO判定されることになり、処理はS477に移行する。
【0078】
S477では、ピン段取りテーブルから、実装作業位置Bを対象として「未段取り」又は「段取り中」の段取り状況を、検索する処理が実行され、S478では検索の結果、「未段取り」又は「段取り中」の段取り状況が存在したかを判定する処理が実行される。
【0079】
生産に使用していない基板支持装置30Bが未段取りであれば、ここでYES判定されることになる。その後、処理はS479に移行して、段取り状況が「未段取り」であった場合は、「段取り中」に更新する処理が実行される。従って、この例では、
図11の(3)に示すように、実装作業位置「B」に登録されている品種2の生産プログラムの段取り状況が「段取り中」に更新されることになる。そして、処理はS480に移行して、生産に使用されていない側の基板支持装置、すなわち次品種2の生産に使用する基板支持装置30Bに対して、バックアップピン50を着脱ヘッド90を用いて1本段取りする作業が、コントローラ200により実行される。
【0080】
S414のバックアップピン50の段取り処理は、バックアップピン1本単位で行われるようになっており、S480にてバックアップピン50を1本段取りすると、その後、S481にて、段取りが最後の1本か判定する処理を実行した後、最後の1本でなければ、処理終了となる。
【0081】
その後、処理の流れとしては、
図15に示すS412に戻って、待機時間が発生しているかどうかが再判定する。そして、待機時間が発生している場合(すなわち、待機時間が終了していない場合)は、再び、バックアップピン50の段取り処理(S414)が実行される。そのため、待機時間が継続している間は、次品種の生産に使用する基板支持装置30Bに対するバックアップピン50の段取り作業が進められることになる(S480)。そして、待機時間が継続している間に、バックアップピン50の段取り作業が全て完了すると、S481の判定処理でYES判定され、処理はS482に移行する。S482では、
図11の(4)に示すように、品種2の生産プログラムについて段取り状況を「段取り中」から「段取り済み」に更新する処理が実行される。
【0082】
その後、下流機330でプリント基板Pを搬入する準備が整うと、下流側の表面実装機330から表面実装機1に対して基板要求信号が送信される。基板要求信号を受けた表面実装機1は、保持していた実装済みのプリント基板Pを下流機330に搬出できる状態となり、待機時間は終了する。
【0083】
尚、段取り作業が終了する前に、下流機330から基板要求信号を受けると、その時点で、待機時間は終了するため、バックアップピン50の段取り処理も、待機時間が終了した時点で終了する。すなわち、基板要求信号の受信後、S412の判定処理を実行した時にNO判定され、処理の流れとしてはS50に移行する。そのため、未段取りのバックアップピン50が残っていても、そのピンについて段取りは実行せず、待機時間の終了後は、プリント基板Pの生産が優先されることになる。
【0084】
その後は、プリント基板Pの生産が進められ、生産数が目標数に達すると、S70に移行する。したがって、この例では、品種1のプリント基板Pの生産数が100枚に達すると、S70に移行することになる。
【0085】
S70では、生産後ピン回収処理が実行される。生産後ピン回収処理は、次に生産する品種がない場合に、生産に使用したバックアップピン50を回収する処理であり、
図19のS71〜S73の処理から構成されている。この場合、次に生産する品種が存在するため、S72にてYES判定されることとなり、S70では何の処理も実行されないまま処理は終了する。
【0086】
かくして、品種1についての生産が完了する。そして、品種1の生産終了時、30A側の基板支持装置には、品種1の生産に使用したバックアップピン50が残された状態となる。一方、品種1の生産中に待機時間が発生しなかった場合、30B側の基板支持装置は、品種2の生産に使用するバックアップピン50が未段取りの状態となる。しかし、品種1の生産中に待機時間が発生した場合、30B側の基板支持装置は、品種2の生産に使用するバックアップピン50の一部、又は全てが段取り済みの状態となる。
【0087】
その後、品種2の生産を行う場合には、
図10に示す実行シーケンスが、S10から順番に実行されることになり、まずS10では、品種2の生産プログラムを読み込む処理が実行される。各品種の生産プログラムは生産プログラム記憶手段213に記憶されているため、S10では、生産プログラム記憶手段213から品種2の生産プログラムが読み出されることになる。
【0088】
そして、続くS20では、
図11の段取りテーブルを参照して、品種2の生産に使用される実装作業位置を決定する処理が実行される。品種2の生産プログラムは、実装作業位置「B」に割り当てられているため、品種2の生産に使用される実装作業位置は「B」に決定されることになる。また、S20の処理には、段取りテーブルから「生産中」の生産プログラムを検索して、段取りの状況を「未回収」に書き換える処理(
図12に示すS201〜S203)が含まれているから、
図11の(5)に示すように、品種1の生産プログラム側の段取り状況が「生産中」から「未回収」に更新される。
【0089】
その後、S30では、生産前ピン段取り処理が実行される。すなわち、品種1の生産中に待機時間が発生しなかった場合や、待機時間が短く処理できなかった未段取りのバックアップピン50が存在する場合は、コントローラ200の制御のもと、30B側の基板支持装置に対して、バックアップピン50を段取りする作業が着脱ヘッド90を用いて実行される。
【0090】
バックアップピン50の段取り作業が完了すると、次は品種2のプリント基板Pを生産する処理が行われる。そして、プリント基板Pの生産中に、待機時間が発生すると、その時間を利用して、30A側の基板支持装置について、バックアップピン50の回収作業と段取り作業が実行される(S40)。
【0091】
すなわち、30B側の基板支持装置を用いて品種2のプリント基板を生産している段階では、30A側の基板支持装置に対して、品種1の生産に使用したバックアップピンが未回収の状態で置かれている。そのため、待機時間が発生した場合、まず、品種1の生産に使用したバックアップピン50を回収する作業が行われ(
図18のS472〜S476)、その作業が完了すると、次生産する品種3の生産に使用するバックアップピン50の段取り作業が行われることになる(S477〜S482)。
【0092】
また、上記では下流待ち待機時間を利用してバックアップピン50の段取り作業を行った例を説明したが、上流待ち待機時間が発生した場合やエラー解消待ちによる待機時間が発生した場合も、その時間を利用してバックアップピン50の段取り作業を実行する。
【0093】
尚、上流待ちによる待機時間が発生しているかどうかを判断するには、実装作業位置に対してプリント基板Pを搬入可能な状態(すなわち、実装済みの基板が作業位置にない状態)で、基板要求信号を上流側の表面実装機310に対して送信した場合に、上流側からプリント基板Pの搬入があるかどうかにより判断することが出来る(
図16、S431〜S433)。すなわち、基板要求信号を出した後、基板センサ25から検出信号が検出された場合には、上流側からプリント基板Pの搬入が有るため、待機時間は発生していないと判断できる(S433:NO)。一方、基板要求信号を出しても、基板センサ25から検出信号が検出されない場合には、上流側からプリント基板Pの搬入がないため、待機時間が発生していると判断できる(S433:YES)。
【0094】
そして、待機時間が発生していると判断される場合、まず、上流側の表面実装機310に対する基板要求信号を停止する処理を実行し(S435)、次にバックアップピン50の段取り処理を実行する(S436)。バックアップピン50の段取り処理は、
図15に示すS414と同じ処理であり、バックアップピン1本単位で行われる。そして、バックアップピン50の段取り処理が終了すると、基板要求信号の停止を解除した後(S437)、S433に戻って待機時間が発生しているかどうかを判定し、待機時間が継続して発生していることを条件に、バックアップピン50の段取り作業を進められる構成となっている。尚、S435で基板要求信号を一時停止する理由は、上流側からプリント基板Pが搬送されてくると、段取り作業を実行中の着脱ヘッド90が干渉する恐れがあるためである。
【0095】
また、エラー解消待ちによる待機時間が発生した場合のバックアップピンの段取り処理は、
図17に示す、S451〜S456の6つのステップから構成されており、エラーが発生した場合において着脱ヘッド90が動作可能であることを条件(S451:YES、S452:YES)に、バックアップピン50の段取り処理が実行される構成となっている。
【0096】
7.効果説明
以上説明したように、表面実装機1では、生産中の待機時間を利用して、バックアップピン50の回収作業や段取り作業を行う。そのため、バックアップピン50の回収作業や段取り作業を効率的に行うことができる。従って、品種の切り換え時に、生産を停止する時間が短くなることから、プリント基板Pの生産効率を向上させることが可能となる。
【0097】
また、バックアップピンの回収作業や段取り作業はバックアップピン1本単位で行い、待機時間が終了した場合、その時点で作業を終了し、プリント基板Pの生産を優先させる。従って、プリント基板Pの生産効率を下げる心配もない。
【0098】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図20によって説明する。実施形態2は、実施形態1の表面実装機1に対して生産前ピン段取り処理(S30)の処理の内容を一部変更したものである。具体的に説明すると、実施形態2では、実施形態1の生産前ピン段取り処理(
図13の処理)に対して、
図20にて一点枠で示すS302〜S306の5つの処理が追加されている。
【0099】
S302〜S306の処理は、前回生産に使用した未回収のバックアップピン50が、次生産の生産幅(プリント基板の幅)で干渉を起こすかどうかを確認し、干渉する場合には、干渉範囲について、バックアップピン50を回収するようにしている。このような処理を追加することで、プリント基板Pの品種切り換えに伴って、搬送コンベアの幅(
図1に示すY方向の幅)を短く調整した場合に、前品種の生産に使用した未回収のバックアップピン50が、搬送コンベア20に対して干渉することを未然に解消することが可能となる。特に、2つの基板支持装置30A、30Bを共通駆動(昇降装置70を共通)にした場合、未回収のバックアップピンがコンベアに干渉する可能性があるので、このような装置に、実施形態2の生産前ピン段取り処理を適用するとよい。
【0100】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図21によって説明する。実施形態3は、基板サイズの異なる品種について生産する場合を対象に、生産中の待機時間を利用してバックアップピン50の回収作業と段取り作業を実行することにより、作業の効率化を図るものである。
【0101】
具体的に説明すると、実施形態3では、品種4〜品種6のプリント基板Pを順に生産する。
図21に示すように、品種4のプリント基板は、基板搬送方向(X方向)に長い長基板であり、2つの基板支持装置30A、30Bを使用してバックアップした状態で電子部品Dの実装作業を行う。
【0102】
品種5のプリント基板Pは、品種4に比べて基板搬送方向(X方向)の長さが短い通常基板であり、基板支持装置30Aを使用してバックアップした状態で電子部品Dの実装作業を行う。尚、基板支持装置30Aにて品種2のプリント基板Pをバックアップした状態では、未使用側の基板支持装置30Bは平面方向でプリント基板Pと重ならない位置関係となる。
【0103】
また、品種6のプリント基板Pは、基板搬送方向(X方向)に長い長基板であり、2つの基板支持装置30A、30Bを使用してプリント基板Pをバックアップした状態で電子部品Dの実装作業を行う。
【0104】
そして、品種5のプリント基板Pの生産中に待機時間が発生した場合、生産に使用していない側の基板支持装置30Bを対象として、品種4の生産に使用したバックアップピン50を回収する作業と、品種6の生産に使用するバックアップピン50の段取り作業を行う。
【0105】
このように、品種5の生産中に発生する待機時間を利用して、バックアップピン50の回収作業と段取り作業を行うようにしておけば、品種5から品種6への切り換えの際、少なくとも、基板支持装置30B側についてはバックアップピン50の回収作業と段取り作業を行う必要がない。そのため、待機時間を活用しない場合に比べて、品種の切り換え時に行う、バックアップピンの回収作業や段取り作業の作業時間を短くすることが可能となる。
【0106】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を
図22によって説明する。実施形態4は、基板サイズが異なる品種について生産する場合を対象に、生産中の待機時間を利用してバックアップピン50の段取り作業を実行することにより、作業の効率化を図るものである。
【0107】
具体的に説明すると、実施形態4では、搬送コンベア20を構成する一対のコンベア21、22のうち、一方側のコンベア(この例では、コンベア21)が可動式により構成されたのコンベア(例えば、ボール螺子機構を利用した可動式のコンベア)となっており、プリント基板PのY方向のサイズに合わせて搬送コンベア20のコンベア幅を調整できるようになっている。一方、基板支持装置30A、30Bは、搬送コンベア20の最大幅に対応して、その大きさが設計されている。
【0108】
そのため、最大幅のプリント基板Pを生産する場合は、基板支持装置30の全体にプリント基板Pが重なる状態になるが、幅の狭い小サイズのプリント基板Pを生産する場合は、基板支持装置30の一部が、平面方向から見て、プリント基板Pと重ならない状態となる。
【0109】
例えば、
図22に示すように、最大幅のプリント基板を生産する場合(品種7や品種9のプリント基板Pを生産する場合)には、2つの基板支持装置30A、30Bの全幅に亘ってプリント基板Pが重なる状態となる。
【0110】
一方、幅の狭い小サイズのプリント基板Pを生産する場合(品種8のプリント基板Pを生産する場合)は、2つの基板支持装置30A、30Bの一部がプリント基板Pと重ならない状態となる。すなわち、コンベア21の外側(
図22では上側)は、プリント基板Pと重ならない状態となる。
【0111】
そして、品種8のプリント基板Pの生産中に待機時間が発生した場合、基板支持装置30A、30Bのうち、プリント基板Pと重ならないコンベア21の外側の範囲を対象として、品種7の生産に使用したバックアップピン50を回収する作業と、品種9の生産に使用するバックアップピン50の段取り作業を行う。
【0112】
このように、品種8の生産中に発生する待機時間を利用してバックアップピン50の回収作業や段取り作業を行うようにしておけば、品種8から品種9への切り換えの際、少なくとも、基板支持装置30A、30Bのうち、プリント基板Pと重ならない範囲については、バックアップピン50の回収作業や段取り作業を行う必要がない。そのため、待機時間を活用しない場合に比べて、品種の切り換え時に行う、バックアップピンの回収作業や段取り作業の作業時間を短くすることが可能となる。
【0113】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0114】
(1)実施形態1〜実施形態4では、着脱ヘッド90を、実装作業用のロボット(具体的には、実装作業装置100)を用いて動作させる例を示した。着脱ヘッド90を動作させる機構は、実施形態で開示したように、実装作業用のロボットを使用する例に限らず、専用のロボットにより動作させることも可能である。
【0115】
尚、着脱ヘッド90を専用のロボットを使用して動作させる場合、基板生産のため実装作業装置100が動作している時でも、バックアップピン50の回収や段取りを行うことが出来る。しかし、実装作業装置100の動作中に、専用ロボットを用いて着脱ヘッド90を作動させると、動作中の実装作業装置100に着脱ヘッド90が干渉してマシントラブルを起こす可能性がある。そのため、着脱ヘッド90を専用のロボットを使用して動作させる場合も、バックアップピン50の回収作業や段取り作業については、実施形態で説明した例と同様に、生産中の待機時間に行う必要がある。
【0116】
(2)基板支持装置30は、実施形態1〜4で開示した構造の他、
図23に示すように、ターンテーブル等の反転機構を利用して、2つ1組の基板支持装置30C、30Dを、実装作業位置と待機位置との間で反転できる構造にしてもよい。そして、プリント基板Pの生産中に待機時間が発生した場合、待機位置側の基板支持装置30Dを対象にバックアップピン50の段取り作業を実行する。その後、品種の切り換えを行う場合は、ターンテーブル等の反転機構を利用して、基板支持装置30Cを実装作業位置から待機位置へ移動させ、基板支持装置30Dを待機位置から実装作業位置へ移動させれば、移動後には、次品種の生産を直に行うことが可能となる。
【0117】
(3)実施形態1〜実施形態4では、バックアップピン50の回収作業又は段取り作業を、ピン1本単位で行う例を示したが、決められた本数単位で行う構成であればよく、例えば、2本単位や、3本単位で行ってもよい。
【0118】
(4)実施形態1〜実施形態4では、基板支持装置30の一例に位置決めプレート40を備えたものを例示したが、位置決めプレート40を廃止してバックアップピンをベース31上に直接配置する構成としてもよい。