(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において上記新設管路(B)と地盤(G)の間隙に裏込め材(g)を充填する、又は請求項2において上記さや管路(D)と地盤(G)の間隙に裏込め材(g)を充填する既設管更新工法。
上記(2)の工程において、上記更新する既設管路(A)の両端部周りに止水装置(M)を設け、上記掘進機(10)を前記両止水装置(M)を通り抜け可能とし、前記止水装置(M)を介して上記掘進機(10)による掘削孔(T)に前記泥水(w)を流入排出可能としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の既設管更新工法。
上記掘進機(10)は、円環状ケーシング(11)と、そのケーシング(11)前面の回転板(12)と、その回転板(12)前面に設けた掘削バイト(13)と、ケーシング(11)内に設けた前記回転板回転用駆動機(14)とからなり、上記泥水(w)を送り込む推進力伝達部材(15、16)又は送水管(17)が及び泥水(w)を発進立坑(H1)に送り戻す推進力伝達部(15、16)又は排水管(18)を前記ケーシング(11)前面に開口(19、19’)したことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の既設管更新工法。
上記(4)又は(4)’の工程において、上記新設管(b)又はさや管(d)による上記既設管路(A)の既設管(a)の送り出し時、掘削孔(T)内の推進力伝達部材(15)、送排水管(17、18)及び掘進機(10)も同時に送り出すようにし、上記(5)の工程を省略したことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の既設管更新工法。
【背景技術】
【0002】
上下水道、農業用水、工業用水等の流体輸送配管網の地中(地盤内)に埋設された既設管路の更新は、一般的には、地面を開削し、既設管を掘り起こして除去し、その後に、新設管路を埋め直す開削工法が採用される。
しかし、幹線道路に既設管路が埋設されていたり、近年の交通事情や都心部等での複雑な管路の構築がなされていたりすることにより、開削工法による既設管路の更新が困難となってきている。このため、既設管路をガイドとして掘削機をその既設管の長さ方向に移動させ、その既設管路の外周面周りの地盤を掘削し、その掘削孔を介して、既設管路を引抜く(押し出す)とともに、新設管を挿通埋設して新設管路に更新する技術が開発されている。
【0003】
その技術の一例は、まず、既設管路の更新する長さ隔てて発進立坑と到達立坑を構築し、その両立抗内の前記既設管路を切断除去し、発進立坑において、掘削機を前記更新する既設管路の一端部の外周に嵌め、その掘削機を、回転させながら押込管を介し既設管路をガイドとしてその長さ方向に移動させて、その既設管路の外周面周りの地盤を掘削し、掘削機が到達立坑に至ると、その押込管の後端及び前記既設管路の一端に新設管路の一端を連結し、その新設管路を継ぎ合わせつつ掘削孔内に順次圧入推進することによって、前記既設管路及び押込管を到達立坑に送り出すとともに掘削孔全長に亘って新設管路を敷設する。
【0004】
つぎに、発進立坑内において、上記更新された新設管路の一端を既に更新された新設管路又は更新不要の既設管路に接続するとともに、到達立坑内において、上記更新された新設管路の他端を既に更新された新設管路又は更新不要の既設管路に接続し、その後、前記発進立坑と到達立坑を埋め戻して既設管路を更新する(特許文献1特許請求の範囲、第1〜3図)。
【0005】
また、上記掘削機を、円環管状拡掘治具の前後面に水噴射ノズルを設けた構成とし、その拡掘治具の前面のノズルからの水噴射によって既設管路外周面周りの地盤を掘削するとともに、その掘削した土砂を同後面のノズルからの水噴射によって発進立坑に向かって送り出すようにした技術もある(特許文献2、請求項1、段落0008〜同0012、
図1〜
図6参照)。
【0006】
一方、既設管路をさや管とし、その既設管路に新設管路を挿入する、パイプインパイプ工法によって管路を更新する技術もある(特許文献3〜7参照)。この技術においても、既設管路の更新する長さ隔てて発進立坑と到達立坑を構築し、その発進立坑から新設管を既設管路に挿入して到達立坑に至らせている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記パイプインパイプ工法による更新技術は、既設管路内に新設管を挿入するため、既設管と同径の新設管を挿入する(敷設する)更新をすることはできない。
一方、上記掘削機による更新技術は、既設管路の外周面周りの地盤を掘削するため、その掘削孔は既設管と同径又はそれより大径であって、既設管路と同径以上の新設管路を埋設し得る利点がある。
【0009】
しかし、特許文献1記載の技術は、その掘削機が掘削した土砂を発進立坑に送り出す(排土)機能を有しないため、その掘削機を押し込む導管(同文献1の符号:B参照)はその外周の土砂を圧密しながら押し込まれることとなり、自ずとその推進距離が制限される。この制限されることは、発進立坑から到達立坑までの間隔を長くし得ないことであり、発進立坑及び到達立坑を多く構築する必要が生じ、更新管路を数多く分割して更新することとなる。このため、工事時間が長くなってその費用も高くなり、長距離の管路更新になればなるほど、分割数も多くなって費用も莫大となる。
【0010】
また、特許文献2記載の技術は、泥水によって掘削土砂を発進立坑に向かって送り出すため、上記土砂の圧密の恐れはない。しかし、地盤の掘削を水噴射によっているため、その掘削効率が極めて悪いものとなっている。その掘削効率を向上させるには、水噴射圧を高くする必要があるが、大型及び高能力のポンプを使用することとなり、高コスト及び広い設置面積を必要とする等の問題が生じる。
【0011】
この発明は、上記の実状に鑑み、工事時間の短縮と工事コストの低減を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、この発明は、既設管路外周面の地盤切削は、掘削工具(ビット)によって行なうこととしたのである。
掘削工具による掘削は、水噴射による掘削に比べれば遙かに効率の高いものである。
つぎに、この発明は、その切削工具を有する掘進機を既設管路をガイドとして押込み、その押込みを推進力伝達部材で行なうこととしたのである。既設管路をガイドとすれば、掘進機が既設管路外周を確実に掘削するとともに、推進力伝達部材による推力(押圧力)も円滑に掘進機に伝達される。
さらに、この発明は、発進立坑から一の推進力伝達部材又は送水管を通してその掘削部位に水を送り込むようにしたのである。
掘削部に泥水が送り込まれれば、その泥水の侵入によって地盤が軟らかくなって掘削効率が向上するとともに、泥水の発進立坑への帰送によって掘削土砂が排出される。
【0013】
この発明の構成としては、下記工程(1)〜(7)によって地盤に埋設した既設管路を撤去して新設管路に入れ替える既設管更新工法の構成を採用することができる。
記
(1) 既設管路の更新長さ隔てて発進立坑と到達立坑を構築し、その両立坑内の前記既設管路の既設管を切断除去する工程
(2) 上記発進立坑において、前面に掘削部を有する中空の掘進機を上記更新する既設管路の既設管の一端外周に嵌める工程
(3) 上記発進立坑において、複数の管状推進力伝達部材を順次継ぎ合わせつつその推進力伝達部材によって上記掘進機を上記既設管路をガイドとして上記到達立坑に向かって推進するとともに、掘進機により既設管路外周面周りの地盤を掘削推進しながら、前記発進立坑から前記一の推進力伝達部材又は送水管を通してその掘削部位に水を送り込んで掘削された土と混合して泥水とし、その泥水を他の推進力伝達部材又は排水管を通して発進立坑に送り戻す工程
(4) 上記工程(3)を連続して行なって上記掘進機が到達立坑に至ると、新設管の先端を上記既設管路の後端に連結し、その新設管を継ぎ合わせつつ順次圧入推進することによって新設管路を構築すると共に、前記既設管路の既設管を到達立坑に送り出し、上記更新長さの既設管路を新設管路に更新する工程
(5) 掘削孔内の推進力伝達部材、送排水管及び掘進機を発進立坑に引抜いて撤去する工程
(6) 発進立坑内において、上記更新された新設管路の一端を既に更新された新設管路又は既設管路に接続するとともに、到達立坑内において、上記更新された新設管路の他端を既に更新された新設管路又は既設管路に接続する工程
(7) その後、前記発進立坑と到達立坑を埋め戻す工程
【0014】
上記既設管路の更新工法は、新設管路を地盤に直接に接するように埋設するものであるが、将来の更新のし易さや耐圧の面及び耐震管路構造等にする面から、さや管路内に新設管路を構築する場合がある。この場合は、下記(1)〜(4)’、(5)、(5)’〜(7)からなる工程によって地盤に埋設した既設管路を撤去して新設管路に入れ替える既設管更新工法を採用することができる。
記
(1) 上記既設管路の更新長さ隔てて発進立坑と到達立坑を構築し、その両立抗内の前記既設管路の既設管を切断除去する工程
(2) 上記発進立坑において、前面に掘削部を有する中空の掘進機を、上記更新する既設管路の既設管の一端外周に嵌める工程
(3) 上記発進立坑において、複数の管状推進力伝達部材を順次継ぎ合わせつつその推進力伝達部材によって上記掘進機を上記既設管路をガイドとして上記到達立坑に向かって推進するとともに、掘進機により既設管路外周面周りの地盤を掘削推進しながら、前記発進立坑から前記一の推進力伝達部材又は送水管を通してその掘削部位に水を送り込んで掘削された土と混合して泥水とし、その泥水を他の推進力伝達部材又は排水管を通して発進立坑に送り戻す工程
(4)’上記工程(3)を連続して行なって上記掘進機が到達立坑に至ると、さや管の先端を上記既設管路の後端に連結し、そのさや管を継ぎ合わせつつ順次圧入推進することによってさや管路を構築するとともに、前記既設管路の既設管を到達立坑に送り出し、上記更新長さの既設管路をさや管路に更新する工程
(5) 掘削孔内の推進力伝達部材、送排水管及び掘進機を発進立坑に引抜いて撤去する工程
(5)’ 上記推進力伝達部材、送排水管及び掘進機を撤去すれば、上記さや管路内に新設管を継ぎ合わせつつ順次挿入推進して到達立坑に至らせて新設管路を構築する工程
(6) 発進立坑内において、上記更新された新設管路の一端を既に更新された新設管路又は既設管路に接続するとともに、到達立坑内において、上記更新された新設管路の他端を既に更新された新設管路又は既設管路に接続する工程
(7) その後、前記発進立坑と到達立坑を埋め戻す工程
【0015】
上記の各構成において、上記「更新する長さ」は、この工法に係る掘進機による発進立坑から掘削推進し得る長さとする。このため、更新既設管路が長い場合は、その掘進機によって掘削推進し得る長さに分割して更新する。
また、掘進機及び推進力伝達部材(送水管、排水管)と既設管路の送り出し(掘削孔からの撤去)は、一緒でも別々でも良いが一緒の方が効率的である。
さらに、新設管路と地盤(土山)の間隙に裏込め材を充填したり、さや管路と地盤の間隙に裏込め材を充填したりすることができる。
【0016】
また、上記各(2)の工程において、上記更新する既設管路の発進立坑又は到達立坑及び両者の両端部周りに、泥水が流入・流出可能な止水装置を設け、上記掘進機、推進力伝達部材、送水管又は排水管をその両止水装置を通り抜け可能とすることができる。
このようにすれば、止水装置によって泥水が掘削孔から漏れ出にくくなるため、泥水の有効利用が図られるとともに、掘削孔内に泥水が充満されるため、掘削効率が向上し、かつ掘削土砂の排出も円滑となる。
【0017】
上記掘進機は、前面に掘削部を有する中空(リング状)のものであれば、種々の態様が考えられるが、例えば、円環管状(リング状)ケーシングと、そのケーシング前面の回転板と、その回転板前面に設けた掘削バイト(ビット)と、ケーシング内に設けた前記回転板回転用駆動機とからなる構成を採用することができる。
この掘進機においては、上記水(泥水)を送り込む推進力伝達部材又は送水管及び泥水を発進立坑に送り戻す推進力伝達部材又は排水管を前記ケーシング前面に開口するものとする。このようにすれば、ケーシング前面に泥水が給排され、掘削部に泥水が供給されて円滑な掘削が行なわれるとともに、掘削土砂が円滑に発進立坑に送り出される。
なお、上記(4)又は(4)’の工程において、上記新設管又はさや管による上記既設管の送り出し時、推進力伝達部材等も同時に送り出すようにし、上記(5)の工程を省略したものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、以上のように構成し、掘削工具(掘削部)によって掘削するとともに、その掘削部に泥水を給排するようにしたので、一度に行える管路の更新範囲(距離)を十分に長くすることができるとともに、その掘削時間の短縮を図ることができる。このため、コスト削減のみならず、工事期間の短縮を図ることができ、道路下の工事においても、最小限の交通規制で済む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
『実施形態1』
この発明に係る既設管更新工法の一実施形態を
図1A〜
図1I及び
図2に示し、この実施形態1は、
図1Aに示すように、幹線道路下に上水道の既設本管(既設路)Aが埋設され、その一部(長さL)を新設管路Bに更新するものに係る。その更新する長さLは、この工法に係る掘進機10によって掘削推進し得る長さとする。
図1Bに示すように、その更新する長さLの両端に発進立坑H1と到達立坑H2を構築する(上記工程(1))。この立坑H1、H2の構築時、その立坑内の既設管路Aの既設管aをその長さ方向両端の一部を残して切断除去する。
なお、更新する既設管路Aが長い場合は、その掘進機10によって掘削推進し得る長さに分割し、その分割した長さL毎に発進立坑H1及び到達立坑H2を構築する。このとき、隣接する更新部分の発進立坑H1と到達立坑H2は共用する(同一立坑とする)。
【0021】
掘進機10は、
図2に示すように、円環管状ケーシング11と、そのケーシング11前部の回転板(回転体)12と、その回転板前面に設けた掘削バイト(ビット)13と、ケーシング11内に設けた前記回転板12の回転用駆動機(電動機)14と、そのケーシング11の後部に接続された推力伝達管(推進力伝達部材)15及び保護管16とからなる。
ケ−シング11は、左右に鋼管製推力伝達管15、上下に同鋼管製保護管16が一体に接続されて円弧状膨出部11’が形成され、その一方の保護管16に泥水流入管(送水管)17、他方の保護管16に泥水流出管(排水管)18が挿入されてケーシング(膨出部)の前面に開口して吐出口19及び吸入口19’となっている。膨出部(保護管16、推力伝達管15)11’の数は任意であり、その周方向の間隔も任意であるが、等間隔が好ましい。
【0022】
ケーシング11の前部内側は断面L字状の上記回転体12となっており、その内面全周に円環状ラックギア21が設けられている。また、回転体12の前面にその放射方向の上記掘削バイト13が設けられている。この掘削バイト13の数は任意であり、その周方向の間隔も任意であるが、等間隔が好ましい。なお、ケーシング11に対する回転体12の回転支持機構は軸受等による従来周知の構成を採用する。
【0023】
ケーシング11の上記左右の膨出部11’(推力伝達管15)の一方には、同図(c)に示すように、電動機(モータ)14が設けられて、この電動機14によって回転するピニオンギア23が上記ラックギア21に噛み合っており、電動機14の駆動によって回転体12が回転する。電動機14には推力伝達管15に通した配線24を介して電力を供給する。電動機14の数及び位置は任意であり、この実施形態では、上下に2台設置している。
推力伝達管15及び保護管16は、ケーシング11に一体のもの(最先のもの)を除き、相互に連結自在となって、推力伝達継手22を介して所要数が連結可能である。また、泥水流入管17、泥水流出管18及び配線24も保護管16毎に分割されて、その分割泥水流出管等は相互に連結自在となっている。その連結には、周知の継手やコンセントを使用する。
【0024】
発進立坑H1と到達立坑H2の既設管路Aの突出端には止水装置Mを取付ける。この止水装置Mは、特許文献4〜6に示す止水機構に類似するものであって、例えば、立坑H1、H2の側壁に水密に圧接されたり、同側壁の既設管a周りに水密に嵌め込まれたりする円筒体と、その円筒体と側壁との水密を維持する弾性体等からなる止水部材と、円筒体の内面の同止水材とからなる。この止水装置Mには、掘進機10、推力伝達管15,保護管16及び新設管bが水密に挿通されるが、その水密は、全く、水漏れしない程度を言うのではなく、泥水wの注入に支障がない程度の水密を言う(以下同様)。その新設管b等の挿通時、円筒体内面の止水材を取り外してその挿入を容易にすることができる。挿入し終われば、止水材は嵌め直す。
【0025】
この掘進機10によって既設管路Aの外周面周りの地盤Gを掘削するには、
図1Cに示すように、発進立坑H1内において、その掘進機10を、更新する既設管路Aの既設管aの一端外周に嵌め(上記工程(2))、その掘進機10を圧入しつつ駆動(回転体12を回転)させて既設管路A外周面周りの地盤Gを掘削バイト13でもって掘削する。掘進機10の既設管a一端外周への嵌め込みは、既設管aの端が立坑H1、H2側壁から出ていない場合には、その側壁に嵌め込みできるスペースを掘削して行なう。なお、この掘削作用から、この掘進機10は既設管路Aの外周土砂を掘削するため、「管周囲土掘進機」と言える。
このとき、掘進機10(推力伝達管15、保護管16)の押込みには、従来と同様に、ジャッキ等でもって押圧板等を介して行ない、掘進機10は既設管路Aをガイドとして掘り進む。
【0026】
この掘削作用と同時に、地上の掘削土砂分離装置Nから滑剤を混入させた泥水wを止水装置Mを介して泥水流入管17に送り込むと、ケーシング11の吐出口19から泥水wが掘削部に供給される。このため、その泥水wによって地盤Gが柔らかくなるとともに掘削土砂と泥水wが混合し、掘削した地盤G界面の安定と推力低減が図られる。また、その泥水wの供給力によって、吸入口19’からは掘削土砂eを含んだ泥水wが吸引され(泥水wが押し出され)、この泥水wの循環によって掘削土砂の地上への排出とその土砂の除去された泥水wの送り込みがなされる(
図1F参照)。この掘削土砂の送り出しによって、掘進機10の掘削バイト13はその掘削土砂の残留による密圧なく、地盤Gを円滑に掘削して到達立坑H2に向かって移動し(上記工程(3)、(4))、既設管路Aがその周りの土砂eとともに掘進機10内に取り込まれていく。
【0027】
この推進掘削において、掘進機10の最先の推力伝達管15及び保護管16の他端が地盤G内(既設管路Aの端)に至る前に、その管15、16の他端につぎの推力伝達管15及び保護管1(泥水流入管17、泥水流出管18及び配線24を含む、以下同じ)を接続し(連結し)、以後、その先行き推力伝達管15及び保護管16に後続の推力伝達管15及び保護管16を順々に接続し(継いで)、それらの推力伝達管15及び保護管16の推力によって掘進機10が発進立坑H1から到達立坑H2に亘って至るようにする(
図1Eの状態)。
このとき、保護管16は、掘進機10の上下位置を規制して鉛直上下方向の方向修正機能を発揮し、また、推力伝達機能及び後述の引抜き時におけるその引抜き力の伝達機能も発揮する。
【0028】
掘進機10が到達立坑H2に至ると、その掘削は既設管路Aの外周囲の土砂をドーナツ状に削っているため、その外周面部分は泥水wと土砂eが混在するものとなって、既設管路Aは土砂混入の泥水w(掘削孔T)内に内蔵されて地盤Gとは切り離された(縁切りされた)状態となる。このため、既設管路Aは泥水wから浮力を受けて掘削孔Tに対して円滑に移動可能となる(特許文献6、7参照)。
この状態において、
図1Fに示すように、既設管路A(既設管a)の一端に新設管bの一端を連結し(押し当て)、その新設管bを継ぎ合わせつつ順次圧入推進して新設管路Bを構築する。このとき、掘削孔T内の泥水wが押し出されて減少し、既設管a、新設管bの押込み(押出し)が困難となる場合、その減少を補う泥水wの新たな供給を行なう。その泥水wの供給は到達立坑H2側から行なうことができる。また、新設管路Bの先端部から送水管(泥水流入管17とは別の)を介して泥水wを注入することもできる。さらに、新設管bが呼び径800以上の大口径であれば、新設管路B内に作業者が入って作業をすることができるため、推進途中の任意の新設管bの管体に泥水注入口を設けて掘削孔T内に泥水wを送りこむようにすることもできる。
【0029】
この推進時、先行きの新設管bの他端(後端)が地盤G内に至る前に、その新設管bの他端に後続の新設管bを接続し、以後、先行きの新設管bに後続の新設管bを順々に接続(継いで)圧入して新設管路Bを構築すると共に、既設管aを到達立坑H2に送り出し(押出し)、上記更新する長さLの既設管路Aを新設管路Bに更新する(上記工程(4))。
到達立坑H2に送り出された各既設管aは、
図1Fに示すように、その既設管a毎に切り離して(解体して)撤去する。このとき、撤去する既設管aの外周面には土砂eが付着している。既設管aは、継手解体、管体の切断、破砕等によって破砕することができる。
【0030】
既設管路Aの新設管路Bへの更新が完了すれば、
図1Gに示すように、発進立坑H1内において、推力伝達管15及び保護管16を引き抜き、掘進機10も掘削孔Tから取り出す(上記工程(5))。このとき、掘削孔T内には泥水wが存在するため、その引抜きは円滑である。掘進機10は止水装置M内に収納した状態で撤去しても良い。
【0031】
この保護管16、推力伝達管15及び掘進機10の撤去が完了すれば、又はその撤去の前に、
図1Hに示すように、更新された新設管路Bの一端を更新の必要のない(長さL以外の)既設管路Aに接続するとともに、到達立坑H2内において、上記更新された新設管路Bの他端を同様に更新の必要のない(長さLの外の)既設管路Aに接続する。このとき、適宜に、短管等の接続管cを使用する。また、上記更新長さLが更新する必要のある既設管路Aの分割部分の場合は、更新された新設管路Bの一端との接続は、既に更新された新設管路Bとなる(上記工程(6))。この後、止水装置Mを除去する。この除去は更新された新設管路Bの既設管路A等への接続前でも良い。
その後、
図1Iに示すように、発進立坑H1と到達立坑H2を埋め戻して更新作業を終了する(上記工程(7))。
【0032】
『実施形態2』
この発明に係る既設管更新工法の他の実施形態を
図3F〜
図3Iに示し、この実施形態2は、将来の更新のし易さや耐圧又は耐震管路とする等の面から、更新時、ヒューム管又は鋼管等からなるさや管路Dに新設管bを挿入して新設管路とする場合がある。この場合は、実施形態1における工程(1)〜(4)までは同じ作用によって掘進機10を到達立坑H2に至らせる。
【0033】
この後、
図1Fにおいて、
図3Fに示すように、新設管bに代えてさや管dを、止水装置Mに水密に通してその一端を既設管路Aの一端にアタッチメント(押し板)30を介して連結し(押し当て)、以後、同様に、そのさや管dを継ぎ合わせつつ順次圧入推進してさや管路Dを構築する。アタッチメント30は、さや管路D内及び既設管路A内への泥水wの侵入を防止し、その管路外周の掘削孔T内の泥水wの減少を防いで両管a、dへの浮力を維持し、推進及び押し抜き時の摩擦力の低減効果を担保する。
【0034】
このとき、最初のさや管dの他端(後端)が地盤G(止水装置M)内に至る前に、先行きのさや管dの他端に後続のさや管dを接続し、以後、その先行きさや管dに後続のさや管dを順々に接続(継いで)圧入し、既設管aを到達立坑H2に送り出し、上記更新する長さLの既設管路Aをさや管路Dに更新する(上記工程(4)’、
図3F参照)。また、同様に、
図3Fに示すように、到達立坑H2において、各既設管a毎に切り離して(解体して)撤去する。
さらに、同様に、掘削孔T内の泥水wが押し出されて減少し、既設管a、さや管dの押込み(押出し)が困難となる場合、その減少を補う泥水wの新たな供給を行なう。このとき、到達立坑H2側からその泥水wの供給を行なうことができる。また、さや管路Dを構築するさや管dの先端部から送水管を介して泥水wを注入することもできる。さらに、さや管dが呼び径800以上の大口径であれば、さや管路D内に作業者が入って作業をすることができるため、推進途中の任意のさや管dの管体に泥水注入口を設けて掘削孔T内に泥水wを送りこむようにすることもできる。
【0035】
このさや管路Dが発進立坑H1から到達立坑H2に至れば、
図3Gに示すように、推力伝達管15、保護管16及び掘進機10を発進立坑H1内に引き抜いて撤去する(上記工程(5))。この撤去は、つぎの工程(5)’の後でも良い。
その後、
図3H−1に示すように、そのさや管D内に新設管bを継ぎ合わせつつ順次推進して発進立坑H1から到達立坑H2に至らせて新設管路Bを構築する(上記工程(5)’)。
このとき、新設管bがPII形管のようなパイプインパイプ工法の管であればその工法によってさや管路D内に新設管bを挿入する(特許文献3〜7、9、10参照)。また、新設管bが一般埋設用のダクタイル鉄管の場合は、サドルバンド、キャスタ等を取付けて挿入し(特許文献11参照)、そのとき、S形管等のように継手伸縮代を有する耐震管の場合は、そのサドルバンド31、キャスタ32に加えて、樹脂発泡体のような推進力伝達部材33を継手毎に取付け、継手伸縮代を確保したまま挿入して耐震管路とすることができる(特許文献9〜11参照)。
【0036】
新設管bのさや管路D内への挿入(配設)が完了して新設管路Bが構築されれば、同様に、
図3H−2に示すように、発進立坑H1内において、更新された新設管路Bの一端を更新の必要のない(長さL以外の)既設管路Aに接続するとともに、到達立坑H2内において、上記更新された新設管路Bの他端を同様に更新の必要のない(長さLの外の)既設管路Aに接続する。このとき、上記更新長さLが更新する必要のある既設管路Aの分割部分の場合は、更新された新設管路Bの一端は、既に更新された新設管路Bとの接続となる(上記工程(6))。止水装置Mも除去する。この除去は更新された新設管路Bの既設管路A等への接続前でも良い。
その後、
図3Iに示すように、発進立坑H1と到達立坑H2を埋め戻して更新作業を終了する(上記工程(7))。
【0037】
『実施形態3』
この発明に係る既設管更新工法の他の実施形態を
図4F〜
図4I及び
図5に示し、この実施形態3は、掘進機10の構造を変更し、上記実施形態2において、
図4F、同Gに示すように、さや管dによる既設管bの押出し時、推力伝達管15及び保護管16も同時に到達立坑H2側に押し出すようにしたものである。このため、既設管dの端面のみならず、周囲の推力伝達管15、保護管16の各端面に至るアタッチメント(押え板)30を介してさや管dを既設管a、推力伝達管15及び保護管16の端面に押し当て、以後、同様に、そのさや管dを継ぎ合わせつつ順次圧入推進する。このとき、発進立坑H1側の止水装置Mは、着脱自在の止水板35を外すことによってアタッチメント30の通過を許容する。
【0038】
掘進機10は、
図5に示すように、膨出部11’を全周に亘って形成した断面四角円環管状ケーシング11とし、そのケーシング11内に推力伝達管15及び保護管16を組込み、その前面に押え板41をビス止めしている。押え板31には、保護管16(泥水流入管17、泥水流出管18の開口に対応する吐出口19及び吸入口19’が形成されている。なお、掘削バイト13は押え板41の前面にあってその回転に支障がないようになっている(
図5(c)参照)。
【0039】
この実施形態においては、ケーシング11に押え板31がビス止めされた状態で(
図5(a)、(c)、(d)参照)、上記と同様にして掘進機10による掘削が行なわれる。このとき、推力伝達管15及び保護管16からの推力は押え板41を介して掘進機10に伝達される。この掘削によって、掘削孔Tが形成された後、
図4Gに示すように、さや管dの推進が行なわれる。
なお、この実施形態3では、
図1D〜同
図1Eに示す、推力伝達管15及び保護管16の接続態様が、
図4F、同G、
図5(A)、(d)、(e)に示すように、それらの管15、16と同径の推力伝達継手42によって行なわれている。このため、下記のように、この継手42も推力伝達管15及び保護管16と同様にケーシング11から押し出される。
【0040】
掘進機10が到達立坑H2(止水装置M)に至れば、
図5(e)に示すように、押え板31はケーシング11から取外される。
このため、上記のように、さや管dが推進されると、アタッチメント30を介し、既設管aとともに、
図5(e)に示すように、推力伝達管15及び保護管16もケーシング11から押し出され、
図4Gに示すように、既設管a、推力伝達管15及び保護管16が到達立坑H2に順々に送り出されて、上記更新する長さLの既設管路Aをさや管路Dに更新する(上記工程(4)’、
図4G参照)。また、同様に、
図4Gに示すように、到達立坑H2において、各既設管a、各推力伝達管15及び各保護管16に切り離して(解体して)撤去する。この実施形態では、上記工程(5)が省略される。
【0041】
既設管路Aとさや管路Dの取替えが完了すれば、上記実施形態2と同様に、
図4H−1に示すように、上記と同様な作用によって、そのさや管路D内に新設管bを継ぎ合わせつつ順次推進して発進立坑H1から到達立坑H2に至る新設管路Bを構築する(上記工程(5)’)。
【0042】
新設管路Bのさや管路D内の構築(新設管bの配設)が完了すれば、同様に、
図4H−2に示すように、発進立坑H1内において、更新された新設管路Bの一端を更新の必要のない(長さLの外の)既設管路Aに接続するとともに、到達立坑H2内において、上記更新された新設管路Bの他端を同様に更新の必要のない(長さLの外の)既設管路Aに接続する。このとき、上記更新長さLが更新する必要のある既設管路Aの分割部分の場合は、更新された新設管路Bの一端は、既に更新された新設管路Bとの接続となる(上記工程(6))。止水装置Mも除去する。この除去は更新された新設管路Bの既設管路Aへの接続前でも良い。
その後、
図4Iに示すように、発進立坑H1と到達立坑H2を埋め戻して更新作業を終了する(上記工程(7))。
【0043】
上記各実施形態1〜3において、新設管路Bと地盤Gとの間隙、さや管路Dと地盤Gとの間隙、新設管路Bとさや管路Dとの間隙にエアモルタル等の裏込め材(グラウト材)gを充填することもできる。この裏込め材gの充填は、
図1H、
図3H−2、
図4H−2に示すように、新設管路B又はさや管路Dの両端に止水装置Mが設置されている状態で行なうことが好ましい。
また、この裏込め材は、発進立坑H1又は到達立坑H2において、管路B、Dの端からそれらの間隙に打ち込む(注入する)ことが一般的である。しかし、新設管bが呼び径800以上の大口径であれば、新設管路B内に作業者が入って作業をすることができるため、新設管路B又はさや管路Dの任意の位置に注入口を形成し(形成しておき)、その注入口から裏込め材を注入することもできる。
さらに、泥水流出管17、泥水流入管18は推力伝達管15、保護管16で兼用することもできる。
【0044】
実施形態1、2においても、実施形態3と同様に、
図1F、
図4Fにおける新設管b又はさや管dの押込み時、アタッチメント30を介して既設管aのみならず、推進伝達管15、保護管16、掘進機10を押込み、到達立坑H2に押し出すようにすることもできる。
上記実施形態は、上水道の管路更新の場合であったが、この発明は、他の管路、例えば、下水道管路、農業用水管路、工業用水管路などの種々の管路の更新に採用できることは勿論である。