特許第6132685号(P6132685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6132685ポリエステルエマルションに対する再生可能な油の化学結合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132685
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ポリエステルエマルションに対する再生可能な油の化学結合
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/08 20060101AFI20170515BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20170515BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20170515BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20170515BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   C08L67/08
   G03G9/08 321
   G03G9/08 331
   G03G9/08 365
   G03G9/08 381
   C08G81/00
   C08G63/91
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-144719(P2013-144719)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-25063(P2014-25063A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】13/559,928
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム・ファルジア
【審査官】 柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−066763(JP,A)
【文献】 特開2005−139082(JP,A)
【文献】 特開2005−139239(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0062358(US,A1)
【文献】 特開2009−093178(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0092918(US,A1)
【文献】 特開2011−095470(JP,A)
【文献】 特表2005−513127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00− 101/16
C08K 3/00− 13/08
C08G 63/00− 64/42
C07B 31/00− 61/00
C07B 63/00− 63/04
C07C 1/00− 409/44
C04B 40/00
C04B 40/04
C04B 40/16
C04B 50/00
C04B 50/04
C04B 50/08− 60/02
C04B 60/06− 60/08
C04B 60/14− 99/00
G03G 9/00− 9/10
G03G 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル−ワックス樹脂エマルションを作製する方法であって、
ポリエステル樹脂の不飽和単位をエポキシ化することと、
生物由来油から、アミノ官能基化された生物由来油を合成することと、
前記ポリエステル樹脂のエポキシ化された単位に対し、前記アミノ官能基化された生物由来油を化学結合させることと、を含み、
前記アミノ官能基化された生物由来油が、
前記生物由来油をハロゲン原子で官能基化することと、
ハロゲン官能基化された前記生物由来油からアジドを作製することと、
前記アジドに水素添加することとを含む方法によって合成されるアミノ化合物である、方法。
【請求項2】
前記方法が、第2のワックスエマルションまたは別個のワックスエマルションを与える工程を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物由来油が、植物から抽出され、部分的に水素化された油、植物から抽出され、水素化されていない植物性油、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生物由来油が、植物から抽出され、部分的に水素化された油である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アミノ官能基化された生物由来油が、
前記生物由来油をハロゲン原子で官能基化することと、
ハロゲン官能基化された前記生物由来油からジアジドを作製することと、
前記ジアジドに水素添加することとを含む方法によって合成されるジアミノ化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ペルオキシド基を含むエポキシ化剤が、前記ポリエステル樹脂の不飽和単位のエポキシ化に用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エポキシ化剤が、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)、ペルオキシ硫酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸、O、O(オゾン)、H(過酸化水素)、tert−ブチル ヒドロペルオキシド、およびマグネシウムモノペルオキシフタレート六水和物(MMPP)からなる群から選択される材料である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エポキシ化剤が、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエステル樹脂が、不飽和モノマーから作られ、この不飽和モノマーのうち、少なくとも1つがフマル酸である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリエステル樹脂が、ポリ(1、2−プロピレン−ジエチレン)テレフタラート、ポリエチレン−テレフタラート、ポリプロピレン−テレフタラート、ポリブチレン−テレフタラート、ポリペンチレン−テレフタラート、ポリヘキサレン−テレフタラート、ポリヘプタデン−テレフタラート、ポリオクタレン−テレフタラート、ポリエチレン−セバケート、ポリプロピレン−セバケート、ポリブチレン−セバケート、ポリエチレン−アジペート、ポリプロピレン−アジペート、ポリブチレン−アジペート、ポリペンチレン−アジペート、ポリヘキサレン−アジペート、ポリヘプタデン−アジペート、ポリオクタレン−アジペート、ポリエチレン−グルタラート、ポリプロピレン−グルタラート、ポリブチレン−グルタラート、ポリペンチレン−グルタラート、ポリヘキサレン−グルタラート、ポリヘプタデン−グルタラート、ポリオクタレン−グルタラート、ポリエチレン−ピメラート、ポリプロピレン−ピメラート、ポリブチレン−ピメラート、ポリペンチレン−ピメラート、ポリヘキサレン−ピメラート、ポリヘプタデン−ピメラート、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(1、2−プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(1、2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(1、2−プロピレンイタコネート)、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生物由来油が、ホホバ油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、菜種油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、ピーナツ油、マカダミア油、モンゴンゴ油、松の実油、ピスタチオ油、クルミ油、ヒョウタン油、バッファローカボチャ油、カボチャ種子油、スイカ種子油、アサイー油、クロフサスグリ種子油、ルリヂサ種子油、マツヨイグサ油、イナゴマメ鞘油、アマランサス油、アプリコット油、リンゴ種子油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、ベン油、ボルネオ脂、ケープチェストナッツ油、ココアバター、アルガロバ油、オナモミ油、ケシ油、コフネヤシ油、ディカ油、アマナズナ油、アマニ油、大豆油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、大麻油、カポック種子油、ラレマンティア油、マルラ油、メドウフォーム種子油、カラシ油、ナツメグバター、ナツメグ油、オクラ種子油、パパイヤ種子油、エゴマ種子油、ペキ油、松の実油、ケシ油、プルーン核油、キノア油、ラムチル油、米ヌカ油、ロイル油、サチャインチ油、ツバキ油、シッスル油、トマト種子油、小麦胚種油、キリ油、亜麻仁油、ベニバナ油、ゴマ油、これらの組み合わせからなる群から選択される材料である、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記生物由来油が、ホホバ油である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記生物由来油が、エイコセン酸およびアルコールを前記生物由来油の1重量%〜30重量%の量で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエステル−ワックス樹脂エマルションが、30重量%の固形分で構成されており、150ナノメートルの体積平均径を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
トナー粒子を作製する方法であって、
前記請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法で作製されたポリエステル−ワックス樹脂エマルションを含むプレトナー混合物を作製することと、
前記プレトナー混合物から、粒子を凝集させることと、
粒子の凝集を止めることと、
粒子を融着させてトナー粒子を作製することとを含、方法。
【請求項16】
前記生物由来油が、前記トナー粒子の0.1重量%〜25重量%の量で存在する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、ポリエステルエマルションを作成する方法、トナー粒子を作成する方法、この方法から作成されたトナー粒子が開示されている。
【背景技術】
【0002】
乳化凝集(EA)は、トナーを調製する方法である。EA技術は、例えば、米国特許第5,853,943号(開示内容が、本明細書にその全体が参考として組み込まれる)に開示されるように、バッチ式または半連続式の乳化重合を用いて樹脂を加熱することによって、樹脂粒子のエマルションラテックスを作成することを含む。トナーを調製するための乳化/凝集/融着方法の他の例は、米国特許第5,902,710号、第5,910,387号、第5,916,725号、第5,919,595号、第5,925,488号、第5,977,210号、第5,994,020号、米国特許公開第2008/0107989号に示されており、それぞれの開示内容は、本明細書にその全体が参考として組み込まれる。
【0003】
EAトナーは、印刷および/またはゼログラフィー画像に使用されることがある。例えば、米国特許公開第2008/0153027号(開示内容が、本明細書にその全体が参考として組み込まれる)に示されるように、アモルファスポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を利用するポリエステルEA超低融点(ULM)トナーが調製された。これらのポリエステルをトナーに組み込むには、一般的に、まず、溶媒を含むバッチ式の方法(例えば、溶媒留去乳化および/または溶媒系転相乳化(PIE))によって調製されたラテックスエマルションにポリエステルを配合することが必要である。
【0004】
定着中にトナーを剥離させやすくするために、また、定着した画像を含む書類が定着ロール周辺で曲がってしまうのを防ぐために、油またはワックスを使用することがある。しかし、定着システムに油を使用すると、定着した印刷物の表面に油が残るため、異なる光沢が生じてしまうことがある。油を少量しか使用しない定着器システムまたはまったく使用しない定着器システムなら、トナーと定着器油の相互作用、油の混入などによって引き起こされるような問題を減らすことができる。
【0005】
ワックスが、油を少量しか使用しない定着器が機能するのに必要である可能性がある。ワックスは、長期間経過したとき、または高温で、定着した画像が、ある書類から別の書類へと(トナー同士、トナーと紙で)移動するときに生じ得る書類の裏移りを予防するのに役立つ。それに加え、定着した画像について、渡し爪の跡、例えば、引っ掻き跡および画像光沢度の変化を減らすために、トナー配合物にワックスを加えてもよい。
【0006】
ワックスは、典型的には、EAトナー方法の顔料およびポリエステルラテックスとともに、別個の水系エマルションとしてあらかじめ加えられる。トナー粒子を作成する工程中に、ワックスエマルションを混合し、凝集させる。トナー粒子の凝集および融着中にワックスを別個の部分として加える場合、ワックスは、エマルションとうまく混ざらないことがあり、または、他のトナー成分と相溶性ではない場合がある。それに加え、別個の部分としてワックスを加えると、トナー粒子全体にワックス領域が不均一に分布し、粒子表面のワックス含有量が高くなってしまうことがある。
【0007】
ワックスをポリエステル樹脂の一部として加えることによって、生物由来油を別個に乳化する工程が不要になることがあり、そのため、EAトナーの費用が下がるだろう。
【0008】
米国特許公開第2011/0129774号(現在では放棄されている)は、転相乳化(PIE)段階に油成分をポリエステルに直接組み込むことを開示している。しかし、この出願の油成分は、樹脂に化学結合してはおらず、共有結合は生成しなかった。その代わり、油成分は、ラテックス凝集物のコア内側に物理的に捕捉されていた。したがって、油は、コアから流れ出し、ワックス領域を制御すること、またはトナー全体へのワックス分散をどのように制御するかが困難になる場合がある。したがって、ポリエステルの主鎖にワックスを化学的に組み込む方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
いくつかの実施形態では、ポリエステル樹脂の不飽和単位をエポキシ化することと、生物由来油から、アミノ官能基化された生物由来油を合成することと、ポリエステル樹脂のエポキシ化された単位に対し、アミノ官能基化された生物由来油を化学結合させることと、ポリエステル−ワックス樹脂エマルションを含むプレトナー混合物を作成することと、プレトナー混合物から、粒子を凝集させ、融着させてトナー粒子を作成することとを含む、ポリエステル−ワックス樹脂エマルションを作成する方法が記載されている。
【0010】
本明細書に記載する方法にしたがって製造されたポリエステル−ワックス樹脂を含むトナー粒子を、ゼログラフィー式デバイスに悪影響を与えることなく、油を使用しない定着固定具に使用してもよい。ワックスを樹脂に化学的に組み込むことで、別個のワックス乳化の必要性がなくなり、凝集/融着方法中にワックスがうまく混ざらないことがなくなり、ワックス領域をよりよく制御し、トナー全体にワックスをどのように分散させるかをよりよく制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
トナー粒子を製造する方法が本明細書に記載されているが、ここで、トナー粒子は、ポリエステル−ワックス樹脂を含んでいてもよく、生物由来油は、ポリエステル樹脂の主鎖に化学的に組み込まれた生物由来油であってもよい。トナー粒子は、着色剤および他の従来からあるトナー添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態は、液体の生物由来油、例えば、ホホバ油をポリエステル鎖に化学的に接続する固有の方法を提供する。得られたポリエステル−ワックス樹脂は、ポリエステル樹脂の主鎖に化学的に組み込まれた生物由来油、例えば、側鎖分子を含む。本明細書に開示する方法は、ポリエステル樹脂のビニル官能基をエポキシ化することと、生物由来油のアミノ誘導体を合成することと、生物由来油のアミノ誘導体にポリエステル樹脂を共有結合によって接続することとを含む。
【0013】
ポリエステルの主鎖に組み込まれた生物由来油によって、トナーを、油を少量しか使用しない定着システムまたはまったく使用しない定着システムに使用することを可能にしつつ、外部のワックスエマルションまたは第2のワックスエマルションを使用せずに、トナーを製造することができるだろう。第2のワックスエマルションまたは別個のワックスエマルションを用いないことによって、トナー粒子を作成するのに必要な費用および時間が減る。さらに、生物由来油をポリエステル樹脂に物理的に組み込むことと比較した場合、ポリエステルの主鎖に生物由来油が化学的に組み込まれることで、トナー粒子内でもっと無傷になり、トナー粒子の表面への流動しやすさが減るだろう。
【0014】
上に記載したように、この樹脂の設計によって、第2のワックスエマルションまたは別個のワックスエマルションを含まないトナー方法を可能にし、また、油をまったく使用しない定着システム油を少量しか使用しない定着システムの使用も提供する。環境的な観点から、外部のワックスエマルションまたは第2のワックスエマルションをなんら用いないことで、本明細書に開示するポリエステル−ワックス樹脂を用いない従来法と比較した場合、使用する界面活性剤または有機溶媒の量が抑えられるだろう。
【0015】
ポリエステル−ワックス樹脂は、酸価が、重合度、および二酸に対するジオールモノマーの全体的な化学量論比に依存して、約5〜約40、または約10〜約35、または約15〜約30であってもよい。ポリエステル−ワックス樹脂が、過剰な二酸モノマー比を有する場合、樹脂は、高い酸価を有するだろう。しかし、ジオールモノマーを過剰に用いる場合、酸価は、低いだろう(例えば約5)。ワックス(酸性基を含むか、またはヒドロキシル基を含むかにかかわらず)の官能基は、樹脂を製造するときに用いられる全モノマーのほんの一部であろう。
【0016】
ポリエステル−ワックス樹脂は、ジオール、二酸、1個または2個の官能基の片方または両方がカルボン酸基またはヒドロキシル基であるような官能基を含む生物由来油の縮合によって得られてもよい。生物由来油は、ポリマーの末端単位を含むポリマーの主鎖にあるポリエステル樹脂にエステル化によって化学的に結合する。本明細書に記載するポリエステル−ワックス樹脂を誘導するときに用いるのに適した任意のワックスは、1個または2個の官能基を有する限り、ワックスは、1個のヒドロキシル官能性末端基、1個の酸官能性末端基、2個のヒドロキシル官能性末端基、2個の酸官能性末端基、または1個のヒドロキシル官能性末端基と1個の酸官能性末端基を有していてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、生物由来油をポリエステル樹脂に加え、ポリエステル−ワックス樹脂を作成する。ポリエステル樹脂のコア、例えば、ラテックス樹脂に生物由来油を組み込むために、転相方法を使用してもよい。
【0018】
生物由来油は、植物から抽出された水素化植物性油または水素化されていない植物性油、例えば、ホホバ油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、菜種油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、ピーナツ油、マカダミア油、モンゴンゴ油、松の実油、ピスタチオ油、クルミ油、ヒョウタン油、バッファローカボチャ油、カボチャ種子油、スイカ種子油、アサイー油、クロフサスグリ種子油、ルリヂサ種子油、マツヨイグサ油、イナゴマメ鞘油、アマランサス油、アプリコット油、リンゴ種子油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、ベン油、ボルネオ脂、ケープチェストナッツ油、ココアバター、アルガロバ油、オナモミ油、ケシ油、コフネヤシ油、ディカ油、アマナズナ油、アマニ油、大豆油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、大麻油、カポック種子油、ラレマンティア油、マルラ油、メドウフォーム種子油、カラシ油、ナツメグバター、ナツメグ油、オクラ種子油、パパイヤ種子油、エゴマ種子油、ペキ油、松の実油、ケシ油、プルーン核油、キノア油、ラムチル油、米ヌカ油、ロイル油、サチャインチ油、ツバキ油、シッスル油、トマト種子油、小麦胚種油、キリ油、亜麻仁油、ベニバナ油、ゴマ油、これらの組み合わせなどを含んでいてもよい。
【0019】
生物由来油は、エイコセン酸およびアルコール(例えば、エイコセノールおよびドコセノール)を含んでいてもよい。エイコセン酸およびアルコールは、生物由来油中に、生物由来油の約1〜30重量%、例えば、2〜15重量%、または約3〜10重量%の量で存在していてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、天然系の環境にやさしいホホバ油(Simmondsia chinensisから得られ、Sigma Aldrichから市販されている)を生物由来油として利用してもよい。ホホバ油は、部分的に水素化されていてもよく、および/または異性体されていてもよく、主に炭素原子を40〜42個含み、高親油性鎖の中にカルボキシエステル基が含まれる長鎖エステルを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、合成によって製造されたホホバ油を使用してもよく、炭素原子を16〜26個含む長鎖一飽和酸およびアルコールのエステルの混合物(例えば、オレイン酸およびエルカ酸とオレイルアルコールまたはエルシルアルコールとのエステル)を含む。ホホバ油は、その化学構造に起因して酸素および高温に対して安定であり、他のオレフィンと比較したとき、反応性が低い。さらに、アリル位置での酸化は非常に遅いか、または存在せず、そのため、トナー配合物の剥離助剤として良好な候補物質である。
【0022】
いくつかの実施形態では、生物由来油は、トナー粒子合計の約0.1重量%〜約25重量%、例えば、約1重量%〜約15重量%、例えば、約2重量%〜約10重量%の量で存在する。それに加え、生物由来油は、ポリエステル−ワックス樹脂中に、樹脂合計の約1重量%〜約20重量%、例えば、約3重量%〜約18重量%、または約5重量%〜約15重量%の量で存在していてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、生物由来油は、油滴の形態であってもよい。なんら混合、振とうなどを用いずに、油滴は、直径が約0.5μm〜約500μm、例えば、約1μm〜約250μm、または約10μm〜約60μmの大きさであってもよい。
【0024】
ポリエステル−ワックス樹脂のポリエステル樹脂は、高い酸値(例えば、高いカルボン酸数)、例えば、40mg/eq.KOHを有するように合成されてもよい。例えば、本明細書に記載する方法にしたがって作成されたポリエステル−ワックス樹脂を使用し、乳化凝集方法によってトナー粒子を作成する場合、ポリエステル樹脂および得られるポリエステル−ワックス樹脂は、高い酸値、例えば、約5mg/eq.KOH〜約40mg/eq.KOH、例えば、約10mg/eq.KOH〜約30mg/eq.KOH、または約13mg/eq.KOH〜約22mg/eq.KOHを有していてもよい。
【0025】
ポリエステル樹脂は、ジオールモノマーに対して過剰量の二酸モノマーを用いることによって、またはヒドロキシル末端を酸末端に変換するために酸無水物を用いることによって、例えば、ポリエステル樹脂と既知の有機酸無水物、例えば、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ドデシルコハク酸、無水マレイン酸、1,2,4,5−ベンゼン二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロール)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロール)−4−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン二無水物、ビフェニル二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクタ−7−エンテトラカルボン酸二無水物、cis,cis,cis,cis,1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス−(無水トリメリット酸)、プロピレングリコールビス−(無水トリメリット酸)、ジエチレングリコールビス−(無水トリメリット酸)、ジプロピレングリコールビス−(無水トリメリット酸)、トリエチレングリコールビス−(無水トリメリット酸)、トリプロピレングリコールビス−(無水トリメリット酸)、テトラエチレングリコールビス−(無水トリメリット酸)、グリセロールビス−(無水トリメリット酸)、およびこれらの混合物の反応によって、高い酸値を有するように製造されたポリエステル樹脂であってもよい。
【0026】
末端がヒドロキシルのポリエステルと、多価ポリ酸、例えば、1,2,4−ベンゼン−トリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレン−カルボキシルプロパン、テトラ(メチレン−カルボキシル)メタン、および1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、多価ポリ酸の酸無水物、および多価ポリ酸の低級アルキルエステル、多価ポリオール、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、スクロース、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチル−プロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、これらの混合物などを反応させることによって、末端がヒドロキシルのポリエステル樹脂を酸値が高いポリエステルに変換してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、ポリエステル樹脂は、例えば、ポリ(1,2−プロピレン−ジエチレン)テレフタラート、ポリエチレン−テレフタラート、ポリプロピレン−テレフタラート、ポリブチレン−テレフタラート、ポリペンチレン−テレフタラート、ポリヘキサレン−テレフタラート、ポリヘプタデン−テレフタラート、ポリオクタレン−テレフタラート、ポリエチレン−セバケート、ポリプロピレン−セバケート、ポリブチレン−セバケート、ポリエチレン−アジペート、ポリプロピレン−アジペート、ポリブチレン−アジペート、ポリペンチレン−アジペート、ポリヘキサレン−アジペートポリヘプタデン−アジペート、ポリオクタレン−アジペート、ポリエチレン−グルタラート、ポリプロピレン−グルタラート、ポリブチレン−グルタラート、ポリペンチレン−グルタラート、ポリヘキサレン−グルタラート、ポリヘプタデン−グルタラート、ポリオクタレン−グルタラート、ポリエチレン−ピメラート、ポリプロピレン−ピメラート、ポリブチレン−ピメラート、ポリペンチレン−ピメラート、ポリヘキサレン−ピメラート、ポリヘプタデン−ピメラート、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコネート)、またはこれらの混合物であってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、ポリエステル−ワックス樹脂をUV硬化性トナーに使用する場合、ポリエステル−ワックス樹脂のポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステルであってもよい。ポリエステル樹脂は、官能基化ポリエステル、例えば、カルボキシル化されたもの、スルホネート化されたものなどであってもよい。ソジオスルホネート化ポリエステルを使用してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態は、結晶性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。アルカリスルホネート化ポリエステル樹脂を使用してもよい。
【0030】
結晶性樹脂は、融点が例えば約30℃〜約120℃、例えば、約50℃〜約90℃、または約60℃〜約80℃であってもよい。結晶性樹脂は、例えば、数平均分子量(Mn)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合、例えば、約1,000〜約50,000、例えば、約2,000〜約25,000、または約3,000〜約20,000であってもよい。結晶性樹脂は、重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン標準を用いたGPCによって決定される場合、例えば、約2,000〜約100,000、例えば、約3,000〜約80,000、または約4,000〜約70,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2〜約6、例えば、約2〜約4である。
【0031】
結晶性樹脂は、重縮合触媒存在下、有機ジオールと有機二酸の反応による重縮合によって調製されてもよい。しかし、結晶性ポリエステル樹脂をこのような方法で製造する必要はない。化学量論的に等モルの有機ジオールと有機二酸を使用してもよく、有機ジオールの沸点が約180℃〜約230℃である場合、過剰量のジオールを利用し、重縮合方法の間に除去してもよい。触媒の量はさまざまであってもよく、例えば、樹脂の約0.01〜約1モル%になるような量で選択されてもよい。さらに、有機二酸の代わりに、有機ジエステルを選択することもできる。適切な有機ジオールと有機ジエステルの例を以下に記載する。
【0032】
トナー粒子のいくつかの実施形態は、アモルファスポリエステルを含んでいてもよい。本明細書で使用するのに適したアモルファスポリエステルの例としては、アモルファスポリエステル樹脂、分岐したアモルファスポリエステル樹脂、直鎖アモルファスポリエステル樹脂が挙げられる。
【0033】
アモルファスポリエステル樹脂は、一般的に、ジオール、二酸またはジエステルの重縮合によって調製されてもよい。
【0034】
アモルファス樹脂の実施形態は、例えば、数平均分子量(Mn)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合、例えば、約10,000〜約500,000、例えば、約5,000〜約250,000、または約7,000〜約200,000であってもよい。アモルファス樹脂は、例えば、重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン標準を用いたGPCによって決定される場合、例えば、約20,000〜約600,000、例えば、約7,000〜約300,000、または約8,000〜約200,000であってもよい。アモルファス樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約1.5〜約6、例えば、約2〜約5、または約2〜約4であってもよい。
【0035】
上に説明したように、実施形態は、液体の生物由来油をポリエステル鎖に化学的に接続する固有の方法を与える。得られたポリエステル−ワックス樹脂は、ポリエステル樹脂の主鎖に化学的に組み込まれた生物由来油(例えば、側鎖分子)を含む。本明細書に開示する方法は、ポリエステル樹脂のビニル官能基をエポキシ化することと、生物由来油のアミノ誘導体を合成することと、生物由来油のアミノ誘導体にポリエステル樹脂を共有結合によって接続することとを含む。
【0036】
ポリエステル−ワックス樹脂のポリエステル樹脂は、エポキシ化のためのビニル官能性部分を与えるために、不飽和モノマーから作成されてもよい。適切な不飽和モノマーとしては、例えば、C〜C20不飽和モノマー、例えば、C〜C18不飽和モノマー、またはC〜C15不飽和モノマーを挙げることができる。不飽和モノマーは、不飽和ジオールと二酸を含んでいてもよい。適切なモノエチレン性不飽和二酸は、例えば、マレイン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、シトラコン酸またはこれらの無水物である。適切なモノエチレン性不飽和ジオールは、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、1,4−ブテンジオール、1−プロペン−1,2−ジオール、2−ヘプテン−1,7−ジオール、3−ヘプテン−1,7−ジオール、2−ヘキセン−1、6−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、1−ペンテン−1,5−ジオールまたは2−ペンテン−1,5−ジオールである。適切な不飽和酸一無水物は、無水マレイン酸であってもよい。
【0037】
エポキシ化反応は、適切な溶媒中で行われてもよい。エポキシ化反応は、約−20℃〜約80℃の温度で行われてもよい。反応温度は、例えば、ほぼ室温(約20℃〜約25℃)であってもよい。反応時間は、例えば、約5分〜約72時間、例えば、約10時間〜約14時間、または約12時間であってもよい。
【0038】
ポリエステル骨格の不飽和単位をエポキシ化するために、種々のエポキシ化試薬を使用してもよい。適切なエポキシ化剤としては、限定されないが、ペルオキシド基を含むエポキシ化剤、例えば、過酸、ヒドロペルオキシドおよび他のペルオキシドを挙げることができる。過酸としては、限定されないが、例えば、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)、ペルオキシ硫酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸を挙げることができる。ヒドロペルオキシドとしては、限定されないが、例えば、過酸化水素、tert−ブチル ヒドロペルオキシドを挙げることができる。他のペルオキシドとしては、限定されないが、例えば、O、O、マグネシウムモノペルオキシフタレート六水和物(MMPP)を挙げることができる。
【0039】
この反応から、約80%から、90%を超えるポリマーが得られるだろう。このポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)および多分散指数(PDI)は、エポキシ化後にほんのわずか変化してもよく、または、まったく変化しないままであってもよい。例えば、この方法を用いると、ポリマー鎖はほとんど分解しないか、まったく分解しないと思われる。ポリマーは、H NMRによって特性決定されてもよく、この場合、5.7から3.1ppmへのビニル性プロトンのシフトが容易にわかる。
【0040】
以下は、エポキシ化反応の一例である。
【化1】
【0041】
ポリエステル樹脂への生物由来油の結合は、異なる様式で達成されてもよい。第1の方法は、ホホバのアリル系ブロモ誘導体(J−xBr)をアミノ化PE(PE−SONH)に結合することを含む。第2の方法は、ホホバのアリル系アミノ誘導体(J−xNH)をクロロスルホネート化PE(PE−SOCl)に結合することを含む。
【0042】
例えば、アリル系ブロモ誘導体(J−xBr)経路によって、生物由来油のアリル系アミノ誘導体を合成してもよい。任意のハロゲン原子を用いて生物由来油のアリル系アミノ誘導体を合成してもよい。この方法は、生物由来油の二重結合に対するハロゲン(例えば、臭素)の置換反応から始まり、次いで、ハロゲン原子をアジドイオンと交換してもよい。別の反応は、生物由来油としてホホバ油を使い、以下の例示的なスキームにみられるように、生物由来油のアジドをジアミンにする水素添加であってもよい。
【化2】
【0043】
いくつかの実施形態では、生物由来油へのポリエステル樹脂の共有接続または共有結合は、ポリマー鎖中の不飽和モノマーのエポキシド官能基と、生物由来油のアミン官能基との反応によって生じるだろう。いくつかの実施形態では、アモルファスポリエステル樹脂(例えば、Reichold Chemicalsから得られるポリ(プロポキシル化ビスフェノール−A コ−フマレート)と、結晶性ポリエステルは、両方とも、エポキシ化反応に必要な不飽和モノマーを含んでいてもよい。
【0044】
エポキシ化反応は、以下に記載するように、乳化が行われる前に、または乳化が行われる前に転相(PI)溶媒中で行われてもよい。PI乳化によって溶媒を除去した後に、生物由来油をポリエステルに化学的に結合させてもよい。いくつかの実施形態では、別個のワックスエマルションを加えることなく、EAトナー方法にラテックスエマルションを使用してもよい。
【0045】
以下は、ポリエステル樹脂に対して生物由来油を化学的に結合するための例示的なスキームである。
【化3】
NH基の1つが、隣接するポリマーの他の官能基と反応する場合、架橋が起こってもよい。
【0046】
ポリエステル−ワックス樹脂および得られるトナーのガラス転移開始温度(Tg)は、約50℃〜約70℃、例えば、約53℃〜約67℃、または約56℃〜約60℃であってもよい。ポリエステル−ワックス樹脂および得られるトナーの軟化温度(Ts)(すなわち、ポリエステル−ワックス樹脂および得られるトナーが軟化する温度)は、約90℃〜約135℃、例えば、約95℃〜約130℃、または約105℃〜約125℃であってもよい。
【0047】
本明細書に記載するようなポリエステル−ワックス樹脂を含むトナー粒子は、任意の適切な方法によって製造されてもよい。トナー粒子製造に関連する実施形態を、乳化凝集プロセスの観点で以下に記載しているが、懸濁および封入プロセスのような化学プロセスを含む任意の適切なトナー粒子調製方法を使用してもよい。
【0048】
トナー粒子は、いくつかの実施形態では、従来の吐出型トナー粒子のような方法を用いて調製されてもよい。従来の吐出型トナーは、上述の参考文献に記載されている材料を含んでいてもよい。これらの参考文献には、EAプロセス以外のプロセスによって製造された従来の吐出型トナーや、これを製造する方法が完全に記載されているため、これらの点に関するさらなる記載は本明細書では省いている。
【0049】
上に記載したように、本明細書に記載するようなポリエステル−ワックス樹脂を含むトナー粒子を乳化凝集方法によって製造してもよい。
【0050】
ポリエステル−ワックス樹脂を含むトナー粒子を製造するための樹脂エマルションを作成する方法の一例は、米国特許第7,029,817号に開示されている。乳化凝集トナー分散物は、限定されないが、米国特許出願第11/094,413号に開示される溶融混合方法および転相方法のような他の方法によって作成されてもよい。
【0051】
ポリエステルトナー粒子を乳化凝集(EA)方法によって作成してもよい。ポリエステル−ワックス樹脂のポリエステル樹脂は、上の参考文献に記載される任意のポリエステル材料を含んでいてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、トナー組成物を、任意の既知の乳化凝集方法によって調製してもよい。以下に記載するように、方法は、添加剤と、本明細書に開示するようなポリエステル−ワックス樹脂を含むエマルションとの混合物を凝集させ、次いで、凝集した混合物を融着させることを含んでいてもよい。
【0053】
ポリエステル−ワックス樹脂エマルションを、適切な溶媒に樹脂を溶解させることによって調製してもよい。いくつかの実施形態では、樹脂エマルションを、溶媒にポリエステル−ワックス樹脂を溶解させることによって調製してもよい。結晶性ポリエステルエマルションを同様に調製してもよい。
【0054】
樹脂を溶媒に溶解させ、乳化媒体(例えば、水、例えば、場合により安定化剤および界面活性剤を含む脱イオン水)中で混合してもよい。組成物中で安定化剤を使用する場合、安定化剤は、典型的には、樹脂の重量の約0.1%〜約5%、例えば、約0.5%〜約3%の量で存在する。このような塩を組成物に安定化剤として加える場合、いくつかの実施形態では、組成物中に、相溶しない金属塩は存在しない。例えば、これらの塩を使用する場合、組成物は、亜鉛イオンおよび水不溶性の塩を形成する他の相溶しないイオン(例えば、Ca、Fe、Baなど)をまったく含まないか、または本質的に含まない方がよい。「本質的に含まない」との用語は、例えば、ワックスおよび樹脂の約0.01%未満、例えば、約0.005%未満または約0.001%未満の量で存在する相溶しない金属イオンを指す。安定化剤を周囲温度で混合物に加えてもよく、または、加える前に混合物の温度まで安定化剤を加熱してもよい。
【0055】
場合により、さらなる安定化剤(例えば、界面活性剤)を水系乳化媒体に加え、樹脂をさらに安定化してもよい。適切な界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系の界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、アニオン系および非イオン系の界面活性剤を使用すると、それ以外の方法では凝固が不安定になり得る凝固剤存在下での凝集方法を安定化するのに役立つだろう。
【0056】
1種類以上の安定化剤を加える場合、得られる混合物を任意の時間混合してもよく、または均質化してもよい。
【0057】
次いで、混合物を加熱して溶媒を留去し、次いで、室温(約20℃〜約25℃)まで冷却する。例えば、溶媒の留去は、溶媒が留去されるであろう溶媒の沸点よりも高い任意の適切な温度(例えば、約60℃〜約100℃、例えば、約70℃〜約90℃、または約80℃の温度)で行われてもよいが、この温度を、例えば、使用する特定のワックス、樹脂および溶媒に基づいて調整してもよい。
【0058】
溶媒留去工程の後、ポリエステル−ワックス樹脂エマルションは、Honeywell MICROTRAC(登録商標)UPA150粒径分析機を用いて測定した場合、平均粒径が約100〜約500ナノメートル、例えば、約130〜約300ナノメートルであってもよい。
【0059】
代替的な実施形態では、ポリエステル−ワックス樹脂エマルションを、溶媒留去または転相乳化などの適切な方法によって調製してもよい。
【0060】
着色剤と、場合により他の材料(例えば、界面活性剤)と、ポリエステル−ワックス樹脂エマルションとを合わせることによって、プレトナー混合物を調製する。いくつかの実施形態では、プレトナー混合物のpHを約2.5〜約4に調節する。プレトナー混合物のpHを酸(例えば、酢酸、硝酸など)によって調節してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、プレトナー混合物を場合により均質化してもよい。プレトナー混合物を均質化する場合、均質化は、毎分約600回転〜約4,000回転で混合することによって達成されてもよい。均質化は、任意の適切な手段(例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザ)によって達成されてもよい。
【0061】
任意の適切な凝集剤を利用し、上のプレトナー混合物を用いてトナー粒子を作成してもよい。いくつかの実施形態では、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度で混合物に凝集剤を加えてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、トナーを作成するために利用される混合物に凝集剤を例えば、混合物中の樹脂の約0.01重量%〜約8重量%、いくつかの実施形態では、約0.1重量%〜約1重量%、他の実施形態では、約0.15重量%〜約0.8重量%の量で加えてもよい。これによって、十分な量の凝集剤が与えられるだろう。
【0063】
粒子の凝集を制御し、その後の粒子の融着を制御するために、いくつかの実施形態では、凝集剤を長時間かけて混合物に秤量して加えてもよい。例えば、凝集剤を約5〜約240分、いくつかの実施形態では約30〜約200分かけて混合物に秤量して加えてもよいが、これより長い時間または短い時間を使用してもよい。凝集剤の添加は、混合物を攪拌状態に維持しつつ、いくつかの実施形態では、約50rpm〜約1,000rpm、他の実施形態では、約100rpm〜約500rpmに維持しつつ行ってもよい。凝集剤の添加は、混合物を上述の樹脂のガラス転移温度より低い温度、いくつかの実施形態では、約30℃〜約90℃、いくつかの実施形態では、約35℃〜約70℃に維持しつつ行ってもよい。
【0064】
所定の粒径が得られるまで粒子を凝集させてもよい。所定の粒径とは、作成前に決定されているとおりに得られるべき粒径を指し、粒径は、このような粒径に達するまで成長プロセスの間監視される。成長プロセス中にサンプルを採取し、例えば、平均粒径についてCoulter Counterを用い、分析してもよい。したがって、高温に維持することによって、または例えば、約30℃から約99℃までゆっくりと温度を上げ、攪拌を維持しつつ、混合物をこの温度に約0.5時間〜約10時間、いくつかの実施形態では、約1〜約5時間維持することによって凝集を進め、凝集粒子を得てもよい。所定の粒径に達したら、成長プロセスを止める。いくつかの実施形態では、所定の粒径は、最終的なトナー粒子の粒径であってもよい。
【0065】
凝集剤を添加した後の粒子の成長および成型は、任意の適切な条件下で達成されてもよい。例えば、成長および成型は、凝集が融着とは別個に起こる条件で行われてもよい。別個の凝集および融着段階では、凝集プロセスは、剪断条件下、例えば、約40℃〜約90℃、いくつかの実施形態では、約45℃〜約80℃の高温で行われてもよく、この温度は、上述のような樹脂のガラス転移温度より低くてもよい。
【0066】
トナー粒子の最終粒径に達したら、塩基を用い、混合物のpHを約3〜約10、いくつかの実施形態では、約5〜約9に調節してもよい。pHの調節を利用し、トナーの成長を凍結させ(すなわち、止め)てもよい。
【0067】
本明細書に記載するポリエステル−ワックス樹脂から誘導されるトナー粒子は、コア−シェル構造を有していてもよい。トナーコアは、高分子量アモルファス樹脂、低分子量アモルファス樹脂、結晶性ポリエステル樹脂を含んでいてもよく、その骨格に生物由来油、例えば、ホホバ油が化学的に結合していてもよい。シェルは、高分子量アモルファス樹脂と、これより分子量が低いアモルファス樹脂とを含んでいてもよい。シェルは、アモルファス樹脂のみを含んでいてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、凝集後ではあるが融着の前に、樹脂コーティングを凝集粒子に塗布し、粒子を覆うようにシェルを作成してもよい。トナー粒子を作成するのに適しているとして上に記載した任意の樹脂をシェルとして利用してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、シェルを作成するために利用可能な樹脂としては、限定されないが、上述の結晶性ポリエステル、および/またはコアとしての使用について上に記載したアモルファス樹脂が挙げられる。
【0070】
当業者の技術常識の範囲内にある任意の方法によってシェル樹脂を凝集粒子に塗布してもよい。いくつかの実施形態では、シェルを作成するために利用される樹脂は、上述の任意の界面活性剤を含むエマルションであってもよい。凝集粒子を覆うようにシェルが生成するように、樹脂を保有するエマルションを上述の凝集粒子と合わせてもよい。いくつかの実施形態では、シェルは、生成した凝集物を覆うように、厚みが約5ミクロンまで、いくつかの実施形態では、約0.1〜約2ミクロン、他の実施形態では約0.3〜約0.8ミクロンであってもよい。
【0071】
凝集粒子を覆うようなシェルの生成は、約30℃〜約80℃、いくつかの実施形態では、約35℃〜約70℃の温度に加熱しつつ行われてもよい。シェルの作成は、約5分〜約10時間、いくつかの実施形態では、約10分〜約5時間行われてもよい。
【0072】
ある粒径になるように凝集させ、任意要素のシェルを塗布した後、粒子を融着させて最終形状にしてもよく、融着は、例えば、混合物を、トナー粒子を作成するために利用される樹脂のガラス転移温度またはガラス転移温度より高い温度であってもよい温度である約45℃〜約100℃、いくつかの実施形態では、約55℃〜約99℃の温度まで加熱し、および/または攪拌を例えば約100rpm〜約1,000rpm、いくつかの実施形態では、約200rpm〜約800rpmまで下げることによって達成される。定着した粒子について、ある形状が達成されるまで、例えば、Sysmex FPIA 2100分析機を用いて形状因子または真円度を測定してもよい。
【0073】
これより高い温度または低い温度を使用してもよく、温度は、バインダーに使用される樹脂の関数であることを理解されたい。融着は、約0.01時間〜約9時間、いくつかの実施形態では、約0.1時間〜約4時間かけて達成されてもよい。
【0074】
凝集および/または融着の後、混合物を室温(例えば、約20℃〜約25℃)まで冷却してもよい。冷却は迅速であってもよく、ゆっくりであってもよい。適切な冷却方法としては、反応器の周囲にあるジャケットに冷水を導入することが挙げられる。冷却した後、場合により、トナー粒子を水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、この方法は、界面活性剤、乳化剤および他の添加剤(例えば、上に記載したもの)の使用を含んでいてもよい。同様に、上の方法の種々の改変は明らかであり、本明細書に含まれることになる。
【0076】
本明細書に記載するトナー粒子は、他の成分、例えば、着色剤および種々の外部添加剤をさらに含んでいてもよい。着色剤としては、顔料、染料、染料混合物、顔料混合物、染料と顔料の混合物などが挙げられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、トナー粒子は、UV線をあてると硬化可能であってもよく、この場合、例えば、ポリエステル−ワックス樹脂のポリエステル樹脂は、上述のような不飽和部分を含む。このような実施形態では、トナーは、適切な光開始剤、例えば、UV光開始剤をさらに含んでいてもよい。
【0078】
トナー組成物は、光開始剤を約0.5〜約15重量%、例えば、約1〜約15重量%、または約3〜約12重量%含有していてもよい。光開始剤は、UV光開始剤であってもよい。
【0079】
トナーは、任意の適切な表面添加剤も含んでいてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、AゾーンおよびCゾーンでのトナー粒子の電荷分布は、変位量が約−2mm〜約−25mm、例えば、約−4mm〜約−20mmであってもよい。
【0081】
トナーの電荷性能または電荷分布は、q/d(mm)として定められることが多い。トナーの電荷(q/d)は、トナー電荷分布の中間点として測定される。電荷は、100ボルト/cmの横電場を印加した電荷スペクトログラフにおいて、ゼロ線からの変位量をミリメートル単位で報告する。q/dの測定値(単位mm)を、mm単位での値に0.092を掛けることによってfC/μmでの値に変換してもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、Cゾーンでの電荷分布に対するAゾーンでの電荷分布の比率は、可能な限り1に近くてもよい。この比率(Cゾーン/Aゾーン)は、当業者には相対湿度(RH)感度と呼ばれることが多い。いくつかの実施形態では、RH感度は、約10未満、例えば、約0.03〜約8の範囲であってもよい。
【0083】
あらゆる実施形態のトナー粒子が現像剤組成物中に含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、現像剤組成物は、単一成分のトナー現像剤のみを含み、トナー粒子の2成分現像剤を担体粒子と混合する。ある実施形態では、現像剤組成物中のトナー濃度は、現像剤組成物の合計重量の約1重量%〜約25重量%、例えば、約2重量%〜約15重量%の範囲であってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、画像現像デバイス(例えば、磁気ブラシによる現像、単一成分のジャンピング現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD)など)において任意の既知の種類の画像現像システムを使用してもよい。固定部材(例えば、定着ロール部材)を利用する画像現像デバイスにおいて画像を現像するときに、トナーを使用してもよい。本明細書に記載するポリエステル−ワックス樹脂を含むトナーとともに使用するのに適した固定部材は、油をまったく使用しない固定部材または少量しか使用しない固定部材であってもよい。
【0085】
本明細書に記載するポリエステル−ワックス樹脂を含むトナーは、本明細書に記載するような調製時の欠点をなんら伴わずにワックスがトナー中に存在するため、油をまったく使用しない固定部材または少量しか使用しない固定部材とともに使用するのに特に適している。定着ロール部材を、当該技術分野で既知の定着デバイスと接触させ、この状態で、画像を受け入れる媒体にトナーを定着させるために、ロールからの熱および圧力を用いる。典型的には、定着器部材を、トナーの定着温度よりほんの少し高い温度まで、すなわち、約80℃〜約150℃またはそれ以上の温度まで加熱してもよい。
【実施例】
【0086】
1リットルのParr反応器に、加熱マントル、メカニカルスターラー、底部のドレイン弁、蒸留装置を取り付け、これにドデカン二酸(約443.6グラム)、フマル酸(約18.6グラム)、ヒドロキノン(約0.2グラム)、n−ブチルスズ酸(FASCAT 4100)触媒(約0.7グラム)、エチレングリコール(約248グラム)を入れた。この材料を攪拌し、COを流しつつ、約1時間かけて約150℃までゆっくりと加熱した。次いで30分ごとに温度を約15℃ずつ上げ、その後、約10℃間隔で約180℃まで上げた。
【0087】
この時間中に、水を副生成物として蒸留した。次いで、温度を約1時間かけて約5℃間隔で約195℃まで上げた。次いで、圧力を約2時間かけて約0.03mbarまで下げ、蒸留受け器に過剰なグリコールを集めた。COを流しつつ、樹脂を大気圧に戻し、次いで、無水トリメリット酸(約12.3グラム)を加えた。圧力を約10分かけて約0.03mbarまでゆっくりと下げ、この状態でさらに約40分間維持した。結晶性樹脂であるコポリ(エチレン−ドデカノエート)−コポリ−(エチレン−フマレート)を大気圧に戻し、次いで、底部のドレイン弁から排出し、Dupont Differential Scanning熱量計によって測定すると、粘度が約87Pas(約85℃で測定)、溶融開始が約69℃、溶融温度の温度ピークが約78℃、冷却中の再結晶化ピークが約56℃である樹脂を得た。この樹脂の酸価は、約12meq/KOHであることがわかった。
【0088】
約150グラムのコポリ(エチレン−ドデカノエート)−コポリ−(エチレン−フマレート)を、約2.5リットルのジクロロメタンに溶解し、これに約205グラムの冷たいメタ−クロロ過安息香酸(mCPBA、77%グレード品、Sigma−Aldrichから得た)を加えた。反応混合物を一晩(約12時間〜約24時間)室温(約20℃〜約25℃)で攪拌し、次いで、濾過して不溶性物質を除去した。濾液を約50torrの減圧下で濃縮し、次いで、毎分約300回転でゆっくりと攪拌したメタノールに加え、沈殿を誘発させた。得られた白色の繊維状物質を濾過によって集め、乾燥させた。H NMR分光法から、アルケンプロトンに対応する5.3ppmのシグナルが存在せず、エポキシド環プロトンに対応する2.4ppmが存在することが示された。
【0089】
ホホバ油236g(0.4mol)のCCl 1リットル溶液に、Br 128g(0.8mol)のCCl 200ml溶液を6時間かけて滴下した。この時間中、反応混合物を冷水浴によって17〜20℃に維持した。反応混合物は、添加中はほとんど無色であった。操作中に未反応の臭素をNaSO溶液で洗い流した。
【0090】
活性化したNaN(ナトリウムアジド)72g(1.12mol)を含む臭素化ホホバ油233.2g(0.256mol)のDMF 1リットル溶液を油浴中、90〜94時間で6時間攪拌した。この未精製生成物の収量は、標準的な操作の後に174.8gであった。精製後、最終的な淡黄色油状物の収量は140.0gであった。
【0091】
10%Pd/C(炭素担持型パラジウム、保持量10重量%、Aldrich製のマトリックス活性炭支持体)15.75gを含むジアジド化ホホバ油138.6g(0.167mol)のエタノール2.4リットルの混合物を、室温(約20℃〜約25℃)、Hを用いて24時間水素化した(63psiの加圧下)。この形態のPd/Cを、主にここに記載する水素化の触媒に使用する。金属(Pd)は、触媒の反応性を高めるように、精密に分割した炭素に分布させ、表面積を大きくする。この触媒を濾別し、減圧下で溶媒を蒸発させ、未精製のホホバジアミン二臭化水素酸塩130.5gを得た。純粋な生成物の収量は114.8g(88%)であった。ホホバジアミン(塩基)は、標準的な操作によって臭化水素酸塩から得た。生成物を白色ワックスとして得て、融点は40〜45℃であった。最終的な収量は91.8g(80%)であった。
【0092】
アミン官能基化ホホバ(ジアミノホホバ)のエポキシ化ポリエステル樹脂へのカップリングを、メチルエチルケトン(MEK)とイソプロピルアルコール(IPA)の溶媒混合物中、不活性雰囲気(窒素気体)下で直接行ってもよい。エポキシ化結晶性ポリエステル樹脂約150グラム、メチルエチルケトン(MEK)52.5グラム、イソプロピルアルコール(IPA)43.5グラム、ジアミノ化ホホバ油90グラムを1リットルのガラス反応容器に入れた。混合物を約80rpmで攪拌し、約76℃まで加熱し、樹脂を溶媒混合物に実質的に溶解させ、窒素で覆いつつ24時間反応させた。24時間後、この反応容器に10重量%水酸化アンモニウム4.53グラムを加え、rpmを約100rpmまで上げる。この容器に、熱いDI水(96℃−コイル状の管によって加熱)300グラムを約4.4g/分の速度で加えた。次いで、さらに150グラムのDI水を約10g/分の速度で加える。終了したら、混合物を室温(約20℃〜約25℃)まで冷却し、20ミクロンのふるいでふるった。得られた樹脂エマルションは、約30重量%の固形分で構成されており、体積平均径は、NANOTRAC(登録商標)粒径分析機で測定したとき、約150ナノメートルであった。
【0093】
2L反応器中、シアンポリエステルEAトナーを調製した(理論上の乾燥トナー134.36グラム)。アモルファスエマルション(固形分23.3重量%の低分子量樹脂)137.1グラム、アモルファスエマルション(高分子量樹脂、固形分16.0重量%)200.6グラム(高分子量樹脂と低分子量樹脂の比率50:50)、ホホバが結合した結晶性エマルション(結晶性ポリエステル、固形分26重量%)35.14グラム、Dowfax 2A1界面活性剤1.01グラム、Pigment Cyan 15:3 Dispersion 58.2グラムを一緒に混合した。混合物を3000〜4000rpmで均質化している間に、硫酸アルミニウム2.96グラムとDI水36.6グラムを含む硫酸アルミニウム溶液を20分かけて加えた。次いで、このスラリーを2LのBuchiに移し、加熱によって温度を上げ、バッチ温度43℃で凝集を開始した。
【0094】
凝集中、粒径測定を行い、Multisizer Coulterカウンタで実施する。目標粒径になったら、コアと同じアモルファスエマルションで構成されるシェルを反応器に加え、反応器をさらに加熱し、最終的な目標粒径を得る。次いで、スラリーを水酸化ナトリウム(NaOH)およびVersene−100を用いてpHを調節し、約7.8のpHで凝集工程を凍結させた。反応器の温度(Tr)が80℃になるまでpH≧7.5に維持しつつ、Trを85℃まで上げながら、この方法を進める。85℃になったら、pH5.7のバッファーを用い、トナーのpHを7に調節する。このとき、トナースラリーが目標真円度≧0.970に達するまで(約40分間)、トナースラリーを保持し、粒子を融着させる。融着したら、トナースラリーを急冷した。最終的なトナー粒子のD50/GSDv/GSDnおよび真円度は、それぞれ約5.85/1.21/1.22および0.978であった。粒子中のCPEが結合したホホバ油の量は6.8重量%であると計算され、そのうち4.1%が、結合したホホバ油である。