特許第6132703号(P6132703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6132703ハチの営巣防除用エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132703
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ハチの営巣防除用エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/06 20060101AFI20170515BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20170515BHJP
   A01N 53/08 20060101ALI20170515BHJP
   A01N 53/04 20060101ALI20170515BHJP
   A01N 53/06 20060101ALI20170515BHJP
   A01N 31/14 20060101ALI20170515BHJP
   A01N 37/02 20060101ALI20170515BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20170515BHJP
   A01P 15/00 20060101ALI20170515BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20170515BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A01N25/06
   A01N25/00 102
   A01N53/00 508C
   A01N53/00 508A
   A01N53/00 504B
   A01N53/00 504E
   A01N53/00 508Z
   A01N53/00 506A
   A01N31/14
   A01N37/02
   A01P7/04
   A01P15/00
   A01M1/20 A
   A01M7/00 S
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-167321(P2013-167321)
(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公開番号】特開2014-62086(P2014-62086A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2016年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-187426(P2012-187426)
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 修
(72)【発明者】
【氏名】三好 一史
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰史
(72)【発明者】
【氏名】三石 帆波
(72)【発明者】
【氏名】神崎 務
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−159226(JP,A)
【文献】 特開平10−045513(JP,A)
【文献】 特開平05−105608(JP,A)
【文献】 特開2002−226311(JP,A)
【文献】 特開平04−009306(JP,A)
【文献】 特開2010−018561(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0190094(US,A1)
【文献】 特開2003−221302(JP,A)
【文献】 米国特許第05109022(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0124300(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
A01M 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、
(b)ハチの営巣防除用成分として沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物、及び
(c)炭素数12〜18の飽和脂肪族炭化水素系溶剤を含有するエアゾール原液と、
(d)噴射剤とからなるエアゾール剤であって
前記(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分と、前記(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物との配合比率(a)/(b)が、1/5〜1/50質量比であり、
かつ、
前記(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分が、シフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、レスメトリン、フタルスリン、トラロメトリン、ビフェントリン、及びエトフェンプロックスから選ばれる1種又は2種以上であり、
前記(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物が、炭素数14〜18の脂肪酸と炭素数3〜18の分岐鎖構造を有するアルコールとから構成されることを特徴とするハチの営巣防除用エアゾール剤。
【請求項2】
前記高級脂肪酸エステル化合物が、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、及びイソステアリン酸イソプロピルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項に記載のハチの営巣防除用エアゾール剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエアゾール剤を、ハチの巣内、もしくはハチが営巣すると想定される場所にあらかじめ噴射処理することを特徴とするハチの営巣防除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハチの営巣防除用エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハチは日本では約3000種類が知られ、そのうち、刺咬性の強いハチは約20種類と言われている。近年、都市周辺の丘陵地帯等の宅地化が進み、刺咬性の強いハチによる人的被害が増大しており、それに伴って、エアゾール剤等のハチ防除用製品が多く市販されている。
従来から、ハチの駆除に際しては、速効性を有する薬剤が求められ、例えば、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル クリサンテマートを有効成分とするハチ駆除剤が提案されている(特許文献1)。また、特許文献2では、一層速効性に優れたハチ防除用組成物として、メトフルトリンとテトラメトリンを有効成分とした組成物が開示されているが、いずれも、そのハチに対する防除効果は満足のいくものではない。
ところで、ハチの巣の撤去作業においては、多数のハチの駆除が必要な場合や、スズメバチのような攻撃性の強いハチと対峙せざるを得ないといった、危険性を伴う作業場面も想定されうる。従って、それらの危険性を回避するためにも、ハチの巣内、もしくはハチの営巣が想定される場所にあらかじめ処理可能な、ハチの営巣防除用製剤の開発が切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−299202号公報
【特許文献2】特開2009−173608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ハチの営巣が想定される場所にあらかじめ噴射処理することによって、ハチの営巣行動を防止し、更に、既に造られている巣に対しては直接噴射処理して巣内のハチを駆除せしめるとともに、駆除を逃れたハチについても巣に回帰するのを防止可能なエアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの鋭意検討の結果、本発明は、以下の構成が上記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、
(b)ハチの営巣防除用成分として沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物、及び
(c)炭素数12〜18の飽和脂肪族炭化水素系溶剤を含有するエアゾール原液と、
(d)噴射剤とからなるエアゾール剤であって
前記(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分と、前記(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物との配合比率(a)/(b)が、1/5〜1/50質量比であり、
かつ、
前記(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分が、シフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、レスメトリン、フタルスリン、トラロメトリン、ビフェントリン、及びエトフェンプロックスから選ばれる1種又は2種以上であり、
前記(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物が、炭素数14〜18の脂肪酸と炭素数3〜18の分岐鎖構造を有するアルコールとから構成されるハチの営巣防除用エアゾール剤。
(2)前記高級脂肪酸エステル化合物が、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、及びイソステアリン酸イソプロピルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする(1)に記載のハチの営巣防除用エアゾール剤。
(3)(1)または(2)に記載のエアゾール剤を、ハチの巣内、もしくはハチが営巣すると想定される場所にあらかじめ噴射処理するハチの営巣防除方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法は、ハチの営巣が想定される場所にあらかじめ噴射処理することによって、生活環境周りでのハチの営巣行動を防止し、更に、既に造られている巣に対しては直接噴射処理して巣内のハチを駆除せしめるとともに、駆除を逃れたハチについても巣に回帰するのを防止できるので、その実用性は極めて高い。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤においては、殺虫成分として(a)難揮散性ピレスロイド系化合物を使用する。
ここで、難揮散性とは25℃における蒸気圧が1×10-5mmHg未満である化合物を言い、かかるピレスロイド系化合物としては、シフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、レスメトリン、フタルスリン、トラロメトリン、ビフェントリン、イミプロトリン、シペルメトリン、及びエトフェンプロックス等を例示できるが、長期間にわたる防除効果の必要性を考慮すると、特にシフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、レスメトリン、フタルスリン、トラロメトリン、ビフェントリン、及びエトフェンプロックスが好ましい。
これら難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の配合量としては、例えば、エアゾール原液中0.01〜3.0w/v%、好ましくは0.1〜1.0w/v%が適当である。0.01w/v%未満では十分な防除効果が得られないし、一方、3.0w/v%を超えても格別メリットは得られない。尚、ピレスロイド系化合物の酸成分やアルコール部分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、これらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることは勿論である。
【0008】
なお、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、上記した難揮散性ピレスロイド系殺虫成分に加えて、他の殺虫成分を配合することが出来る。例えば、エムペントリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、テラレスリン、アレスリン、プラレトリン、ピレトリン等の幾分揮散性のピレスロイド系殺虫成分、ジノテフラン等のネオニコチノイド系殺虫成分、フェニトロチオン等の有機リン系殺虫成分、シラフルオフェン等のケイ素系殺虫成分、プロポクスル等のカーバメート系殺虫成分を例示できるが、これに限定されない。また、ハチやハチの巣に対する直接噴射処理に際しては、速効性の殺虫成分の併用が効果的であり、かかる殺虫成分としては、フタルスリン、プラレトリンやイミプロトリン等が代表的である。
【0009】
本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤は、(b)ハチの営巣防除用成分として沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物を含有することに特徴を有する。
本発明者らは、ハチの習性を徹底的に観察しつつ、ハチの営巣防除用エアゾール剤を開発する目的で鋭意検討を行った。その結果、(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物は、ハチの営巣が想定される場所にあらかじめ噴射処理した場合、(a)難揮散性ピレスロイド系化合物と協働して、生活環境周りでのハチの営巣行動を効果的に防止し、更に、既に造られている巣に対しては直接噴射処理して巣内のハチを駆除せしめるとともに、駆除を逃れたハチについても巣に回帰するのを防止できうることを見出し、本発明に至ったものである。
【0010】
(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物としては、炭素数14〜18の脂肪酸と炭素数3〜18の分岐鎖構造を有するアルコールとから構成されるものが防除効果の点で好ましい。なかんずく、具体例として、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、及びイソステアリン酸イソプロピル等があげられるが、これらに限定されない。
【0011】
本発明の更なる特徴は、(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分と、前記(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物との配合比率(a)/(b)を、質量比で1/5〜1/50としたことである。
(b)が(a)の5倍量より少ないと、(a)との協働性が失われ、特にハチの営巣防除効果の持続期間に支障を来たしてしまうし、逆に(b)が(a)の50倍量より多くなると、ハチに対してエアゾール剤を直接噴射した際に速効性が劣る結果が認められた。
【0012】
本発明では上記成分に加えて、(c)炭素数12〜18の飽和脂肪族炭化水素系溶剤を含有し、エアゾール原液を構成する。(c)炭素数12〜18の飽和脂肪族炭化水素系溶剤は、(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分や、(b)沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物と組合わせた場合、それらの噴射処理面における安定化やそれらが有する効果の持続性アップに寄与するものである。
(c)としては、(b)高級脂肪酸エステル化合物との相溶性を考慮すると、n−パラフィンとイソパラフィンのどちらでも使用できる。
なお、本発明の作用効果に支障を来たさない限りにおいて、沸点が180℃以上の他の有機溶剤、例えば、芳香族炭化水素系、ナフレン系、グリコールエーテル系、グリコールエーテルエステル系等の溶剤を適宜配合してもよい。
【0013】
本発明で用いるエアゾール原液は、更に水を配合して水性エアゾール剤としてもよく、この場合、必要に応じて適宜、界面活性剤もしくは可溶化剤が添加される。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどの非イオン系界面活性剤や、例えば、ポリオキシエチレン(POE)スチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼン硫酸塩などのアニオン系界面活性剤があげられる。
【0014】
エアゾール原液には、更に、殺ダニ剤、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、あるいは、安定剤、消臭剤、帯電防止剤、消泡剤、香料(害虫忌避香料を含む)、賦形剤等を適宜配合してももちろん構わない。殺ダニ剤としては、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等があり、一方、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルト−フェニルフェノール等を例示できる。
【0015】
本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤は、上記エアゾール原液に(d)噴射剤を加えて構成され、エアゾール原液/噴射剤比率は40〜80/20〜60(容量比)が適当である。(d)噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、圧縮ガス(窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等)、あるいはこれらの混合ガスが用いられる。
本エアゾール剤が充填される容器は、その使用場面、使用目的等に応じて、適宜バルブ、噴口、ノズル等の形状を選択すればよい。また、本エアゾール剤は屋根裏や軒下など手の届きにくい所にも使用されるため、噴射量や噴射圧を高めに設定した仕様が便利である。
【0016】
こうして得られた本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤は、ハチが出入りする周辺、例えば、屋根裏、軒下、屋根瓦の下、木の枝、樹木の空隙などに処理すればよく、目安として50〜250mL/m2程度が適当である。そして、本発明によれば、ハチの営巣が想定される場所にあらかじめ噴射処理することによって、1〜3ケ月にわたり、生活環境周りでのハチの営巣行動を防止し、更に、既に造られている巣に対しては直接噴射処理して巣内のハチを駆除せしめるとともに、駆除を逃れたハチについても巣に回帰するのを防止できるので極めて実用的である。
【0017】
本発明の対象となるハチ類としては、フタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、チャイロスズメバチなどがあげられるが、これらに限定されない。また、本剤は、(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の配合に基づき、各種の蚊類、ユスリカ類、イエバエ、チョウバエ、ショウジョウバエ等のコバエ類などの飛翔害虫、ゴキブリ類、アリ類などの匍匐害虫にも優れた殺虫効果を示し、広範囲な適用が可能である。
【0018】
次に具体的な実施例に基づき、本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分としてのシフルトリンを0.15w/v%、(b)ハチの営巣防除用成分である沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物としてのミリスチン酸イソプロピルを1.5w/v%、及び(c)炭素数12〜18の飽和脂肪族炭化水素系溶剤としてのイソパラフィン(製品名:IPソルベント2028)を残部とするエアゾール原液を調製した。このエアゾール原液270mLをエアゾール容器に入れ、(d)噴射剤としての液化石油ガス180mL(エアゾール原液/噴射剤比率:6/4)を加圧充填して本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤を得た。
一戸建て家屋の軒下に造られていたコガタスズメバチの巣及びその周囲、ならびにその付近の樹々の間隙を目がけてこのエアゾール剤を約200mL噴射した。巣内のコガタスズメバチは速やかに致死し、駆除を逃れたハチもこの巣に回帰することがなく、更に2ケ月以上にわたり付近でコガタスズメバチの営巣行動が観察されることもなかった。
【実施例2】
【0020】
実施例1に準じて表1に示す各種ハチの営巣防除用エアゾール剤を調製し、下記に示す試験を行った。試験結果を表2に示す。
(1)速効性試験
セグロアシナガバチに対し2mの距離から各種供試エアゾール剤を2秒間直接噴射し、ノックダウンするまでの時間を計測した。
(2)営巣防止効果試験
セグロアシナガバチが営巣行動を始めた初期段階の巣に各種供試エアゾール剤を処理し、所定期間経過後に営巣の進行状況を観察した。結果は、営巣が殆ど進んでいないもの:○、僅かに進んだもの:△、大きく進んだもの:×、で示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
試験の結果、(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、(b)ハチの営巣防除用成分として沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物、及び(c)炭素数12〜18の飽和脂肪族炭化水素系溶剤を含有し、かつ、(a)/(b)の配合比率が1/5〜1/50である本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤は、ハチ類に対する優れた速効性と長期間にわたる営巣防止効果を示した。なお、飽和脂肪族炭化水素系溶剤としては、n−パラフィンとイソパラフィンのいずれにも効果が認められた。
これに対し、比較例1に示すように、殺虫成分として幾分揮散性のピレスロイド系化合物を含有するエアゾール剤は営巣防止効果が殆ど認められず、また、沸点が180℃未満の高級脂肪酸エステル化合物を含む比較例2や炭素数が12未満の飽和脂肪族炭化水素系溶剤を含む比較例3については、営巣防止効果が劣り、しかも持続性に問題があった。更に、(a)に対する(b)の配合比率が所定範囲より小さいエアゾール剤(比較例4)の場合、(b)が(a)と効果的に協働しない結果、営巣防止効果が向上せず、一方、(b)を所定範囲を超えて配合しても営巣防止効果に相応のメリットが得られないばかりか、速効性に悪影響を及ぼすことが認められ本発明の目的に合致しなかった。
これらのことから、(a)難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、(b)ハチの営巣防除用成分として沸点が180℃以上の高級脂肪酸エステル化合物、及び(c)炭素数12〜18の飽和脂肪族炭化水素系溶剤を組合わせ、かつ、(a)/(b)の配合比率を1/5〜1/50となすことによって、極めて実用的なハチの営巣防除用エアゾール剤を提供しうることが明らかである。
【実施例3】
【0024】
近隣に田畑があり、ハチ類が多く生息する地域の民家において、4月下旬から6月下旬にかけて試験を行った。この民家東側には、幅4m×奥行き50cmの同サイズの軒が2つあり、いずれの軒下も、過去4年間、この時期にセグロアシナガバチの営巣が多数確認された場所である。冬眠から覚め女王バチが営巣を開始する4月下旬に、一方の軒下に供試薬剤として実施例7を用い、100mL/mの割合で噴霧塗布して処理区とし、もう一方には何も処理せず無処理区とした。その結果、塗布後2ヵ月の間に無処理区においてはセグロアシナガバチの巣が3個造られたのに対し、処理区ではハチの営巣は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のハチの営巣防除用エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法は、屋内、屋外を問わず広範な害虫駆除を目的として利用することが可能である。