(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態に係る赤外線検出素子について説明する。同一要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、赤外線検出素子の断面構造を示す図である。
【0016】
この赤外線検出素子は、複数の化合物半導体層を備えており、半絶縁性の半導体基板1上に、バッファ層2と、バッファ層3(第1のInAsSb層)と、バッファ層4(InAs層)と、光吸収層5(第2のInAsSb層)と、バリア層6と、及びキャップ層7とを順次積層してなる半導体構造を備えている。これらの各化合物半導体層は、分子線エピタキシー(MBE)法によって、半導体基板1上に成長したものである。
【0017】
当該半導体構造の一部の領域は、表面側からエッチングされることにより、除去されている。すなわち、キャップ層7、バリア層6、光吸収層5及びバッファ層4の一部の領域は、これらの各表面から厚み方向に沿ってエッチングされており、このエッチングにより、バッファ層4の表面が露出し、メサ構造が形成されている。また、ノンドープで形成された半絶縁性のバッファ層2の表面も、その一部が露出するまで、素子間にエッチングが施されており、製造時において隣接する赤外線検出素子同士が分離されている。すなわち、バッファ層4の表面を露出させた後、更に、赤外線検出素子を囲むようにバッファ層4及びバッファ層3のエッチングを行い、素子間分離を行う。上述のエッチングには、ドライエッチング及びウエットエッチングのいずれも採用することが可能である。
【0018】
バッファ層2の表面、バッファ層4の表面、半導体構造の側面、キャップ層7の一部の表面を被覆するように、保護膜8が形成されている。保護膜8は、シリコン酸化物(SiO
2)又はシリコン窒化物(SiNx)などの無機絶縁体からなり、各赤外線検出素子が保護されると共に、塵や埃などを原因とする隣接する赤外線検出素子間の短絡を防止し、これらの素子間の絶縁が維持される。複数の赤外線検出素子は、製造後に個別に分離して用いることも可能であるが、各素子間の絶縁が維持されているため、赤外線フォトダイオードアレイとして用いることも可能である。
【0019】
保護膜8の一部の領域は除去されており、除去によって形成されたコンタクトホール内に電極が形成されている。すなわち、キャップ層7上の保護膜8のコンタクトホール内において、第1の電極9がキャップ層7に接触して形成されており、バッファ層4上の保護膜8のコンタクトホール内において、第2の電極10がバッファ層4に接触して形成されている。電極材料は、基板側から赤外線IRが入射する場合には、対象の化合物半導体層とオーミック接触するものであれば、特に限定されないので、金(Au)やアルミニウム(Al)などの金属を用いることができる。
【0020】
基板とは反対側から赤外線が入射する場合、電極材料は、対象の化合物半導体層とオーミック接触するものであれば、赤外線が透過する材料からなるか、又は、薄い金属膜、その他、網目や開口を有する形状であれば、特に限定されるものではない。この場合も、電極材料としては、上述の金やアルミニウムなどの金属を用いることができる。
【0021】
上述の半導体構造は、赤外線フォトダイオードを構成している。すなわち、半導体基板1の裏面側から、半導体基板1、バッファ層2,3,4を順次介して光吸収層5に入射した光は、光吸収層5内において光電変換され、光吸収層5内において正孔電子対が発生する。バリア層6、光吸収層5、バッファ層4、それぞれの層のエネルギーバンドギャップE6、E5、E4の大小関係は、E6>E5、E4>E5を満たしている。バリア層6の格子定数a6、光吸収層5の格子定数a5、バッファ層4の格子定数a4は、例えば、a6<a5、a4<a5とすることができる。
【0022】
なお、表面側から赤外線を入射させると、キャップ層7で赤外線の一部が大きく吸収されてしまうため、赤外線IRは裏面側から入射させることが好ましい。赤外線IRは、光吸収層5よりもエネルギーバンドギャップの大きな半導体基板1、バッファ層2、4を透過して、光吸収層5に入射することができる。なお、赤外線IRは、バッファ層2の通過後、光吸収層よりも厚みの薄いバッファ層3も透過するが、ここでは若干の吸収が生じるため、バッファ層3は可能な限り薄い方が良い。尤も、バッファ層3が薄すぎる場合には、その上のバッファ層4の結晶性が劣化するため、バッファ層3の厚みは0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
【0023】
光吸収層5への赤外線IRの入射に伴って、光吸収層5内で発生した電子は、これらのエネルギーバンドギャップによって形成されたエネルギー準位の傾斜により、バリア層6方向へは拡散しにくくなっている。また、キャップ層7およびバリア層6はP型であり、光吸収層5はノンドープであり、バッファ層4はN型であるため、これらによって、PINフォトダイオードが構成されている。無バイアス状態においては、PINフォトダイオード内部において、拡散電位が発生し、キャリアとしての電子が抜けたN型のバッファ層4のポテンシャルは正に帯電し、キャリアとしての正孔が抜けたP型のキャップ層7およびバリア層6のポテンシャルは負に帯電する。したがって、光吸収層5内において発生した電子は、拡散電位とエネルギー準位の傾斜にしたがって、バッファ層4方向へと移動し、正孔はバリア層6方向へと移動する。これらのキャリアは、それぞれキャップ層7及び半導体基板1に接触した第1の電極9及び第2の電極10によって、外部に取り出すことができる。
【0024】
図2は、各層の材料、導電型、不純物濃度、厚みを示す図表である。InAsSb及びAlInAsSbにおけるP型の不純物はZn、Be、C又はMg等を用いることができ、N型の不純物はSi、Te、Sn、S又はSe等を用いることができる。具体的な一例としては、InAsSb及びAlInAsSbにおけるP型の不純物はZnであり、InAsにおけるN型の不純物はSiである。
【0025】
同図に示すように、各層の材料/導電型/不純物濃度/厚みは、以下の通りである。
・キャップ層7:InAsSb/P型/2×10
18〜1×10
19cm
-3/0.5μm
・バリア層6:AlInAsSb/P型/2×10
18〜1×10
19cm
-3/0.02μm
・光吸収層5:InAsSb/N
-型(ノンドープ)/2×10
17cm
-3以下/2.0μm
・バッファ層4:InAs/N型/2×10
18〜5×10
18cm
-3/0.5μm
・バッファ層3:InAsSb/N
-型(ノンドープ)/2×10
17cm
-3以下/0.5μm
・バッファ層2:GaAs/半絶縁型(ノンドープ)/1×10
15cm
-3以下/0.2μm
・半導体基板1:GaAs/半絶縁型/1×10
15cm
-3以下/250μm
【0026】
なお、各層の上述の各不純物濃度をCとすると、0.1×C以上10×C以下の範囲内において不純物変動が生じても、作用効果に大きな変化は生じないため、優れた特性の赤外線検出素子として機能すると考えられる。望ましくは上記不純物濃度(キャリア濃度)の範囲である。
【0027】
ここで、InAsSbからなるバッファ層3が、InAs
X1Sb
1−X1からなる場合におけるAsの組成比X1と、光吸収層5がInAs
X2Sb
1−X2からなる場合におけるAsの組成比X2とは等しいものとする(X1=X2)。なお、X2がX1に対して±30%の誤差を有していても、結晶成長上は大きな相違はない。
【0028】
InAs層からなるバッファ層(InAs層)4の臨界膜厚hcとバッファ層4の厚みtは、hc<tの関係を満たしている。
【0029】
ここで、臨界膜厚hcを求める方法について説明する。
【0030】
図7は、臨界膜厚hcの計算式を説明するための図表である。
【0031】
式(1)はダブルへテロ構造の中間層の臨界膜厚に関するMatthewsの式(J. W. Matthews and A. E.Blackeslee, J.Cryst. Growth, 27, 118 (1974)等に記載)を示しており、2つの層のヘテロ界面での転位に働く力を元に導出されている。式(1)において、hcはInAsの臨界膜厚、fは格子不整合度、νはポアソン比、bはバーガースベクトルを示している。閃亜鉛鉱構造の場合、b=a/√2、cosα=1/2、cosλ=1/2より、式(1)に代入し整理すると式(2)が得られる。
【0032】
実施形態の結晶成長順序を考慮すると、InAs/InAsSb構造(=シングルへテロ構造)に着目する。すなわち、成長途中のシングルヘテロ構造においては、ダブルヘテロ構造と比較して、ヘテロ界面が1つ減ることで、ヘテロ界面からInAs層が受ける張力が1/2になり、臨界膜厚は2倍になる。この場合、式(2)は、式(3)のように変形される。
【0033】
式(3)におけるAs組成の変数は、格子不整合度fである。InAsおよびInSbともにν=0.35であることから、それらの混晶であるInAsSbにおいては、As組成によらずν=0.35と設定することができる。
【0034】
また、InAsSbのAs組成X、InAsの格子定数a
InAs、InSbの格子定数a
InSbを用いると、格子定数aには、式(4)のa=a
InAsが代入され、また、式(5)により格子不整合度fが求められる。なお、InAsSbの格子定数はa
InAsSbである。また、混晶であるInAsSbの格子定数a
InAsSbはベガード則より、式(6)のように求められる。式(3)に式(4)〜式(6)の値を代入するとAs組成も考慮した臨界膜厚hcが得られる。
【0035】
ここで、InAsの臨界膜厚hc<厚みtの場合、赤外線検出素子は、ノイズの少ない(比検出能力の高い)、優れた検出特性を有することが可能となる。なぜならば、InAsSb/InAs/InAsSb構造の赤外線検出素子においては、InAs層と下地のInAsSb層との界面から延びる結晶欠陥の成長を止めることができからである。したがって、中間層であるバッファ層4(InAs層)の厚みを、臨界膜厚hcよりも大きく設定することで、これらの化合物半導体層の結晶性を改善し、検出特性を向上するからである。また、バッファ層4の厚みtは、デバイスプロセスを容易にするため、0.5μm≦tであることが好ましく、t≦2.0μmであることが好ましい。すなわち、厚みtが2.0μmを超える場合には、製造プロセス時間が著しく長くなり、量産には不向きとなる。
【0036】
次に、InAs層の臨界膜厚hcについて、更に説明する。
【0037】
図6は、InAsSbにおけるAsの組成比Xと上述の式により求められたInAs層の臨界膜厚hc(nm)との関係を示すグラフである。
【0038】
Asの組成比Xが増加すると、特に、X=0.4以上の場合には、hcは急激に増加する。X=0.8の場合には、hc=30nmであり、X=0.9の場合にはhc=70%となる。バッファ層3及び光吸収層5のAsの組成比Xが共に0.85の場合には、後述のように、バッファ層4及び光吸収層5の結晶性が確実に改善する旨が確認された。
【0039】
また、上述の各層(InAsSb,AlInAsSb,InAsSb)におけるAsの組成比をX、Sbの組成比を1−Xとすると、キャップ層7、バリア層6、光吸収層5及びバッファ層3において、X=0.85に設定することが好ましい。Xの値は、結晶性の改善効果の観点から、0.58以上1.0以下である場合が好ましく、0.7以上0.9以下である場合が更に好ましい。この場合、少なくとも光吸収層5(InAsSb層)の結晶性を改善することが可能である。
【0040】
図8は、X線回折測定を行うために用いた積層構造を示す図である。(A)ではGaAs基板上にInAs
XSb
1−Xを形成した構造が示されており、(B)ではGaAs基板上に、InAs
XSb
1−X、InAs、InAs
XSb
1−Xを順次積層した構造を示している。各層の製造条件は、後述の実施例と同一である。
【0041】
図9は、X線回折測定におけるInAsSb層のAsの組成比Xと、InAsSb層からのX線回折のロッキングガーブ半値幅FWHM(arcsec)との関係を示すグラフである。四角印は
図8の(A)の構造のグラフであり、ダイヤ印は
図8の構造(B)のグラフである。なお、同グラフでは、X=0.58、0.85、1.00に変化させた。
【0042】
Xが少なくとも0.58以上1.0以下である場合にはFWHMは小さくなり、InAsSb層の結晶性が改善することが分かる。0.7以上0.9以下である場合、FWHMは小さくなり、InAsSb層の結晶性が改善することが分かる。
【0043】
また、光吸収と結晶性に影響を与えるバッファ層3及びバッファ層4の厚みを除いて、光吸収層5が適切な厚み(117nmよりも大きい)であれば、各層の上述の各厚みをdとすると、0.2×d以上5×d以下の範囲内において厚み変動が生じても、作用効果に大きな変化が生じる理由が少ないため、優れた特性の赤外線検出素子として機能する。
【0044】
次に、バッファ層3(InAsSb層)上に成長したバッファ層4(InAs層)4及び光吸収層5(InAsSb層)の結晶性改善効果について説明する。
(実施例)
【0045】
GaAsからは半導体基板1上に、MBE法を用いて、
図2に示した通りの化合物半導体層を積層した。MBE法では、原料供給用の坩堝の配置された真空容器内に基板を配置し、各層を構成する各元素をそれぞれ独立の坩堝内に入れておき、これらを加熱することで、各元素を各層に同時に供給し、各層を下地層上に成長させる。不純物を添加する場合は、ドーパントとなる不純物(Zn又はSi等)を、成長中の各層に供給する。ノンドープの半導体層を成長させる場合には、不純物は供給しない。なお、不純物を供給しない場合には、半導体層の結晶性が向上する。
図2の構造において、GaAsの成長温度は690℃、InAsSbの成長温度は610℃、InAsの成長温度は620℃、AlInAsSbの成長温度は630℃に設定した。また、X=0.85であり、AlInAsSb層におけるAlの組成比は0.3とした。各層の成長後に、上述のエッチング及びSiO
2からなる保護膜8の形成を行い、更に、Alの電極9,10をキャップ層7及びバッファ層4上に形成した。
【0046】
なお、各半導体層は、MOVPE(金属有機気相エピタキシー)法を用いても形成することができる。
(比較例)
【0047】
比較例の前段階の実験として、半絶縁性のGaAs基板上に、直接、MBE法でInAsSb層を形成した場合、断面TEM像(透過型電子顕微鏡像)を観察すると、実施例と比較して非常に多くのミスフィット転位などの転位欠陥が観察された。この欠陥は、基板とInAsSb層との界面から斜め方向に延びていた。この構造は、バッファ層を全く用いていないため、予想される結果である。そこで、臨界膜厚hc以下が、好ましいとされる上述の従来技術の文献と同様の構造を、比較例として、製造した。
【0048】
すなわち、実施例における中間層としてのInAsのバッファ層4の代わりに、臨界膜厚以下のInAs層とInAsSb層を複数用いた構造を形成した。換言すれば、比較例では、バッファ層4の代わりに、厚さ200nm(=0.2μm)の超格子バッファ層(InAsSb/InAs対を5つ積層した構造:合計10層で各層の厚みは20nm)を採用した。AlInAsSb、GaAs、InAsSb及びInAsの形成方法、不純物濃度、成長温度は実施例と同一であるが、厚みは以下の通りに設定した。各層の材料/導電型/厚みは、以下の通りである。
・キャップ層7:InAsSb/P型/0.5μm
・バリア層6:AlInAsSb/P型/0.02μm
・光吸収層5:InAsSb/N
-型(ノンドープ)/2.0μm
・バッファ層:InAsSb/N型/1.0μm
・バッファ層4:上記の通りの超格子バッファ層
・バッファ層3:InAsSb/N
-型(ノンドープ)/0.3μm
・バッファ層2:GaAs/半絶縁型(ノンドープ)/0.2μm
・半導体基板1:GaAs/半絶縁型250μm
【0049】
なお、その他の条件は、実施例と同一とした。
【0051】
図3は、実施例に係るInAsSb/InAs/InAsSb構造の断面TEM像を示す図であり、
図4は、比較例に係るInAsSb/(InAsSb/InAs超格子構造)/InAsSb構造の断面TEM像を示す図である。
【0052】
実施例においては、InAsSb層(バッファ層3)上に形成されたInAs層(バッファ層4)及びInAsSb層(光吸収層5)の結晶性は、比較例よりも、改善している。すなわち、各層が臨界膜厚以下のInAs/InAsSb超格子を用いた場合よりも、超格子を用いず、厚みが臨界膜厚よりも大きな実施例の場合の方が、バッファ層4及び光吸収層5の結晶性が向上している。
【0053】
比較例の断面TEM像を観察すると、超格子を構成する各層の厚みが薄いため、結晶欠陥の成長が止まらず、超格子層の全体を貫通していることが分かる。従来、臨界膜厚を超える場合には、結晶性が劣化するという当業者の常識のもと、各層の厚みを薄く形成することが行われたが、本願発明者らは、従来法に準じた比較例の方法によれば、各InAs層の結晶性の劣化は、個々には抑制されるものの、全体としては、結晶欠陥の成長を止めることができない旨を発見した。そこで、臨界膜厚を超えるInAs層を用いることにより、結晶欠陥の成長を止めることを見出した。
【0054】
図3の断面TEM像を観察すると、各層の成長過程における状態が概ね把握できる。すなわち、下側のバッファ層3(InAsSb層)とバッファ層4(InAs層)との界面から、概ね42nm以下では、結晶性が劣化しているが、これを超えると、結晶性が著しく改善している。すなわち、InAs層の厚みが、少なくとも、概ね42nmよりも大きければ、結晶性が改善することが分かる。この概ね42nmという値は、計算上求められる臨界膜厚hc=44.2nmにほぼ一致する。すなわち、少なくとも、InAs層の厚みが臨界膜厚hcよりも大きければ、InAs層及びその上のInAsSb層の結晶性の改善効果が得られることが分かる。
【0055】
また、
図3の断面TEM像を更に観察すると、InAs層/InAsSb層の界面から、それぞれ、60nmの位置、95nmの位置、258nmの位置まで延びた転位欠陥が観察される。したがって、InAs層の厚みは、60nm(=hc×1.357)よりも大きく、95nm(=hc×2.149)よりも大きく、又は、258nm(=hc×5.837)よりも大きい方が、更に、好まししい。すなわち、厚みが増加するに従って、InAs層の成長面における欠陥密度が減少するからである。
【0056】
また、光吸収層5となる上部のInAsSb層は、InAs層との界面から117nmの位置までの結晶性が劣化しているため、光吸収層5の厚みは117nmよりも大きい方が好ましい。
【0057】
図5は、入射光(赤外線)の波長(μm)と、赤外線検出素子の比検出能力(cm・Hz
1/2/W)との関係を示すグラフである。比検出能力は、赤外線検出素子の単位面積当たりの感度を示している。
【0058】
同グラフから明らかなように、赤外線の波長2.0μm〜5.8μmの範囲において、実施例の比検出能力は、比較例の比検出能力よりも高い値を示している。また、実施例の比検出能力は、波長3.0〜4.0μmの間において、ほぼ一定の値となり、最大値は、2.0×10
9(cm・Hz
1/2/W)以上である。
【0059】
以上のように、電気特性の観点からも、実施例の赤外線検出素子は、比較例の赤外線検出素子よりも優れていることが判明した。なお、上述の赤外線素子において、特性に大きな影響を与えない程度の不純物や化合物半導体を用いてもよい。更に、上述の赤外線検出素子は、室温動作可能なセンサとして各種用途に用いることもできる。