特許第6132763号(P6132763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6132763-液圧ハンマー用装置および液圧ハンマー 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132763
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】液圧ハンマー用装置および液圧ハンマー
(51)【国際特許分類】
   E21B 1/26 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   E21B1/26
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-506694(P2013-506694)
(86)(22)【出願日】2011年4月26日
(65)【公表番号】特表2013-525643(P2013-525643A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】FI2011050373
(87)【国際公開番号】WO2011135178
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年3月11日
(31)【優先権主張番号】20105455
(32)【優先日】2010年4月26日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】512276706
【氏名又は名称】フィンスオヤ オイ
【氏名又は名称原語表記】Finnsuoja Oy
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ラハティネン,カリ
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02136315(US,A)
【文献】 特開2007−275734(JP,A)
【文献】 特開平06−063873(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第01603874(GB,A)
【文献】 特開2001−090467(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3067369(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
B25B 1/00−17/02
E04G 23/00−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛散する破片により生じる損傷を防止するための、液圧衝撃システムおよび作業用の作業点(2)を有する液圧ハンマー用装置(1)において、
前記液圧ハンマー用装置は、前記作業点(2)の高さまで降下させることができるシールドで形成されているとともに、実質的に閉ざされるとともに実質的な閉鎖空間を形成するジャケット(6)およびカバー(14)を備え、前記カバー(14)は、液圧ハンマー本体(3)の周囲と適合するよう形成された開口部(15)を有し、
前記シールドは、複数の油圧シリンダー(7、8)を使用することにより上昇および下降することができることを特徴とする液圧ハンマー用装置。
【請求項2】
前記シールドは、実質的に円形か、単一か、または複数の部品に分かれている輪により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液圧ハンマー用装置。
【請求項3】
前記シールドは、再利用の対象となる一つまたは複数の車両タイヤ、ベルトコンベヤーのベルト、または類似物から主に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液圧ハンマー用装置。
【請求項4】
所望の経路上を、前記シールドが上昇・下降するように誘導するためのガイドをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液圧ハンマー用装置。
【請求項5】
前記ガイドは、前記液圧ハンマー用装置のカバー(14)内の開口部(15)により形成されており、形状及びサイズが前記液圧ハンマー本体(3)の断面に実質的に対応することを特徴とする請求項4に記載の液圧ハンマー用装置。
【請求項6】
前記油圧シリンダー(7、8)は、上端部が、ラグ(11、12)により液圧ハンマーの本体に取り付けられ、下端部が、ラグ(9、10)により前記シールドに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液圧ハンマー用装置。
【請求項7】
前記シールドの垂直寸法は、前記作業点(2)の全長よりも長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液圧ハンマー用装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液圧ハンマー用装置を含む液圧ハンマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液圧ハンマー用の装置、特に同装置を用いることにより、損傷から周辺環境を保護することを可能とする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧操作式の衝撃装置、油圧ハンマー、ホエラム(hoe ram)、岩石破砕機、油圧式衝撃ハンマー(hydraulic impact hammer)など、これらすべては50年の間知られてきた工具の名前である。今日、ハンマーには多数の分類が存在することが知られており、その利用は広く普及している。油圧ハンマーは通常、掘削機のブームの先端に取り付けられており、適切なホースを用いて、掘削機の油圧が油圧ハンマーに通じる。
【0003】
油圧ハンマーは、例えば、掘削作業において凍土の粉砕に用いられる。のみ状のヘッドがよく用いられ、そこに装置の衝撃が集中する。また、コンクリート構造物を対象とすることが多い解体作業において多く用いられる。これらを取り壊したり、粉砕したりするのに油圧ハンマーが特に適している。
【0004】
さらに、岩石または岩盤の粉砕にも適用される。油圧ハンマーが大規模な建設現場での爆破の代わりに用いられるものではないということは明らかであるが、岩石の露頭がしばしば出現し、その規模や位置のために爆破を望まないことがあるためである。
【0005】
特にコンクリートや石に対して用いられる高圧は、資材を粉砕させて、周辺環境へ飛散させる。物や、さらには何らかの理由で付近に存在する人々が危険にさらされることになる。人に対する危険は特に深刻なものになり得る。
【0006】
従来技術によれば、作業環境を清潔に保つために、粉塵の吸引および収集を図るものとして、シールドが知られている。同様に、衝撃ハンマーによる振動を軽減するための構成も知られている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、破片が飛散するという問題を解決することを目的としている。特に、飛散する石またはその他の資材が跳ねて作業現場の外に飛び出し、危険を生じさせることを効果的に防ぐことができる強い構造(strong structure)を作り出すことを目的としている。さらなる目的は、環境にも配慮した装置を作り出すことである。
【0008】
本発明に係る、前述およびその他の長所および利点は、添付の特許請求の範囲に特徴として記載された手法で達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下、本発明について、添付の概略図を参照にしながらより詳細に説明する。添付の概略図は、本発明の、好ましい一実施形態の概略図を示す。
図1】本発明に係る装置に備えられたアセンブリーを示す、部分透視断面図である。
図2図1と同一の構造において、一部を取り除いたものを斜めに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
このように、前記図は、本発明に係る装置が備えられた油圧ハンマーを示している。前記図は透視図で示してある。油圧ハンマー1は通常、数種類のユニットからなり、図示しないホースが内部へ通されている。ユニット内部がすべての要素となり、それらが用いられることにより、作業点2において衝撃の効果が達成される。前記図では、ハンマー本体は部材番号3で示され、衝撃を生成するために必要とされる要素は部材番号4で示されている。このようなユニットは、適切な手段を用いて掘削機のブームに取り付けられる。取り付け手段もまた、従来の方法を用いることができるため図示されていない。また、部材番号5は接続面を示しており、ここには適切な器具、特に着脱が容易な固定器具(quick-release locking attachment means)が接続される。
【0011】
このような油圧ハンマーが岩石のような硬材を破砕するとき、その強大な力により、大きさの異なる破片が作業点から周辺環境に飛散するのは明らかである。先に述べたように、これらの飛散物は物的損傷および特に付近の人々への身体的損傷を生じさせ得る。
【0012】
本発明によれば、図に示すシールドを前記油圧ハンマーに取り付けることにより、このような事態を回避することができる。シールドは、オペレータが作業点の位置が見える位置まで上昇させることができ、また、図に示されているような低位置、つまり周辺環境を保護する位置まで下降させることができる。シールドを上昇、下降させるには、油圧シリンダー7、8が用いられる。油圧シリンダー7、8は、それぞれその下端においてラグ9、10により前記シールドに取り付けられているとともに、それぞれその上端において、ラグ11、12によりハンマーの本体部に取り付けられる。周知のように、油圧シリンダーを操作する油圧システムはすでに図示した装置に存在している。前記油圧シリンダー7、8は主に双対作動(dual-operating)のシリンダーである。
【0013】
シールドが所望どおりに移動するように、必要であれば、前記ハンマー1の本体3に適切なガイド(guide)を取り付けることができる。このようなガイドはスライダーレールの原理(slider-rail principles)で操作できるが、おそらく、さらに操作する上で、信頼性が高い選択肢は、短いアームを使うことである。このアームは、一端がハンマー本体に、他端がシールドに取り付けられている。そして、アームがハンマー本体に近づくときにシールドを下方へと導くとともに、シールドを上昇させるときは、シールドもまた、アームの長さによって生じるカーブを描きながら、本体近くの上部位置まで移動する。
【0014】
最も好ましい実施形態によれば、前記シールドは、少なくとも主に再利用された資材から製造されている。したがって、実質的に筒型のスカート部の材料は、多くの業種で随時交換されているような、使用済みのベルトコンベヤーのベルトから利用されてもよい。材料は、飛散する石を受け止め、周辺環境に飛散することを避けるために十分な強度を持っていなければならない。
【0015】
本発明を構成するために有利に用いられ得るもう一つの再利用資材は、使用済みタイヤである。トラックのタイヤが好ましい。そのようなタイヤの一方の側面が除去される。これは部材番号13で示されている。ジャケット6は、前記タイヤ13のトレッド部に、例えば、ねじ止めを用いるといった、適切な手法で取り付けられる。
【0016】
図2から明らかなように、本発明に係る前記シールドは、実質的に閉じられたカップのような形の構造を形成し、カバー14が設けられている。カバー14は主に、上記構造の残りの部分に貼り付けられており、油圧ハンマー本体と同様の形をした開口部15を備えている。最も好ましい形態では、カバー14は、前記油圧ハンマーの本体3の周囲を実質的にぴったりと閉鎖する構成(arrangement)となっている。多くの場合において、本体は実質的に正方形であり、また、本体3のためにカバー14に前記本体の周囲とを比較的緊密にする開口部がある場合、ガイドが自然に形成され、油圧シリンダーを使用することで、前記開口部により全てのポジションにおいて所定の位置から外れることなく、前記シールドが上昇または下降する。別の態様では、前記シールドが底面に対し閉ざされた空間を形成する一方、前記本体周囲にカバー14がしっかりと嵌合していることで、粉塵および特に騒音公害が軽減される。
【0017】
油圧ハンマーは、作業点が作業点周辺の区域よりも低くなるようにプレスする押すことが多いので、シールドにより、油圧ハンマーの作業点が周辺区域から浮いたままの状態が生じることがある。これを回避するために、作業現場においてどのように前記作業点2を押し下げるかということに応じてシールドを上昇させるために、油圧シリンダー7、8は用いられる。必要であればこの機能は自動化することができる。
【0018】
本発明の第2の実施形態によれば、油圧シリンダーは使われず、代わりに、特に円環状のシールドは、前記油圧ハンマーの本体3の上部に取り付けられた鎖に吊り下げられて、自在に上下動する状態になっている。これにより、上述した浮いた状態(carrying)は発生しない。前記シールドは、鎖の代わりに前記シールドの垂直移動を可能にするスライダーレールもしくは類似物で本体3に取り付けられることができる。これにより前記シールドは、作業場所において、油圧ハンマーが地面または作業面に対して押し下げられると、スライダーレールに沿って自動的に上昇する。
【0019】
以上のように、シールドは全方向に生じ得る損傷を予防するための効果的な防護物である。必要に応じて、シールドは2つ以上の部品で製造することができる。構造と製造の点から、単一の部品で輪を形成する構造が最良の選択肢である。
【0020】
上述したように、車両のタイヤが前記構造の一部として使用される。しかし、必要に応じて、ジャケット部6も、使用済みの特に大型タイヤ、または2つのタイヤをそれぞれ上に重ねて製造することができる。車両用タイヤのトレッド部は衝撃抵抗の点から非常に耐久性がある。このような解決策は安価であり、かつ大変実用性がある。またタイヤの再利用に関連する問題の解決策にもなる。トレッド部の摩耗は、シールドの操作または信頼性には何の影響も及ぼさない。
【0021】
しかし、本発明の基本的な考え方によれば、シールドは必ずしも環状である必要がないため、シールドを建造するために、いかなる資材又は形状を用いてもよいことは明らかである。
【0022】
本発明に係る装置は、既存の岩石破砕機の構造を比較的容易に改良することができる。そのため、既存の構造の大部分に対し安全な作業領域を生み出すことができる。
【0023】
本発明は、石または類似物の飛散を防止できるという事実に加え、作業時に発生する粉塵の削減に有効であり、本発明に準じて使用される強力な資材もまた、この種の作業では常に発生する騒音の削減に効果的である。
【0024】
上記では、本発明の実用的な選択肢をいくつか提示した。本発明の基礎概念および添付の請求項が保護する範囲から逸脱することなく、多くの変化を加えることは可能である。
図1
図2