特許第6132765号(P6132765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132765
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】取り外し可能なフラッシュチャンバー
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A61M25/06 580
   A61M25/06 500
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-519798(P2013-519798)
(86)(22)【出願日】2011年7月13日
(65)【公表番号】特表2013-535249(P2013-535249A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】US2011043892
(87)【国際公開番号】WO2012009459
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年4月28日
【審判番号】不服2016-3328(P2016-3328/J1)
【審判請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】13/181,265
(32)【優先日】2011年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/364,535
(32)【優先日】2010年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ミン クアン ホアン
【合議体】
【審判長】 長屋 陽二郎
【審判官】 橘 均憲
【審判官】 関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−29732(JP,A)
【文献】 特表2009−526602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導針であって、これを通じて延在するルーメンを有する誘導針と、
前記誘導針はボタンの押圧により安全バレル内に引き込まれる前記誘導針であって、
前記誘導針の近位端と連結される針ハブと、
前記針ハブに取り外し可能に連結されたフラッシュチャンバーであって、前記針ハブと連結されたときに前記フラッシュチャンバーの内部が前記誘導針の前記ルーメンと流体連通状態になり、前記針ハブと連結されたときに前記誘導針と同軸に配置され、前記針ハブから、前記安全バレルの近位開口部を通って、単独で取り外される、フラッシュチャンバーと、
を備えるカテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記フラッシュチャンバーの少なくとも一部は圧縮可能である、請求項1のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記フラッシュチャンバーは、
内部空洞を画成するチャンバー本体と、
前記チャンバー本体と連結され、前記内部空洞と流体連通状態になる、空気透過性の膜と、
を備える請求項1のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記フラッシュチャンバーの前記チャンバー本体の前記内部空洞は、約0.1mlから約10mlの間の内部容積を有する、請求項3のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記フラッシュチャンバーは前記針ハブまたは前記誘導針の中に圧入される、請求項1のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記フラッシュチャンバーは前記針ハブにねじ込まれる、請求項1のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記フラッシュチャンバーは鍵接続によって前記針ハブまたは前記誘導針に選択的に連結される、請求項1のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記フラッシュチャンバーは破壊可能な接続によって前記針ハブまたは前記誘導針に選択的に連結される、請求項1のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記フラッシュチャンバーは破壊可能なアンプルである、請求項1のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
誘導針であって、これを通じて延在するルーメンを有する誘導針と、
前記誘導針はボタンの押圧により安全バレル内に引き込まれる前記誘導針であって、
前記誘導針の近位端に連結される針ハブと、
前記針ハブまたは前記誘導針に選択的に連結されたフラッシュチャンバーであって、前記針ハブと連結されたときに前記フラッシュチャンバーの内部が前記誘導針の前記ルーメンと流体連通状態になり、前記針ハブと連結されたときに前記誘導針と同軸に配置され、空気透過性の膜および遠位コネクタ部を有し、前記針ハブから、前記安全バレルの近位開口部を通って、単独で取り外される、フラッシュチャンバーと、
内部空洞を画成し、圧縮されたときに前記内部空洞の内部容積を減少させる圧縮可能な部分を少なくとも有するチャンバー本体と、
を備えるカテーテルアセンブリであって、
前記空気透過性の膜は前記チャンバー本体と連結され、前記内部空洞と流体連通状態になり、
前記チャンバー本体の前記遠位コネクタ部は前記針ハブと選択的に連結するためのものである、
カテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記フラッシュチャンバーの少なくとも一部は圧縮可能である、請求項10のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記フラッシュチャンバーは約0.1mlから約10mlの間の内部容積を有する、請求項10のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記フラッシュチャンバーは前記針ハブまたは前記誘導針の中に圧入される、請求項10のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記フラッシュチャンバーは前記針ハブにねじ込まれる、請求項10のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記フラッシュチャンバーは破壊可能な接続部によって前記針ハブまたは前記誘導針に選択的に連結され、
前記破壊可能な接続部は分割ラインおよび圧力ライザーの少なくとも一方を含む、
請求項10のカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記フラッシュチャンバーは破壊可能なアンプルである、請求項10のカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
カテーテルアセンブリの取り外し可能なフラッシュチャンバーを提供するための方法であって、
針ハブに連結される誘導針を有する針ハブを備えるカテーテルアセンブリを提供する工程と、
前記針ハブと連結された誘導針であって、前記誘導針を通じて延在するルーメンを有する前記誘導針を提供する工程と、
前記針ハブに取り外し可能に連結され、フラッシュチャンバーが前記針ハブと連結されたときにフラッシュチャンバーの内部が前記誘導針の前記ルーメンと流体連通状態になり、前記誘導針はボタンが押圧されると安全バレル内に引き込まれ、
前記針ハブと連結されたときに前記誘導針と同軸に配置され、前記針ハブから、前記安全バレルの近位開口部を通って、単独で取り外される、フラッシュチャンバーを提供する工程と、を含む方法。
【請求項18】
前記フラッシュチャンバー内の血液をそこから選択的に放出するために前記フラッシュチャンバーの圧縮可能な部分を少なくとも一つ設ける工程を、さらに含む請求項17の方法。
【請求項19】
約0.1mlから約10mlの間の内部容積を有する前記フラッシュチャンバーの本体内に内部空洞を提供する工程を、含む請求項18の方法。
【請求項20】
前記フラッシュチャンバーは遠位コネクタ部を有し、
前記遠位コネクタ部は、圧入コネクタ、ねじ山、鍵接続部、および破壊可能な接続部の少なくとも1つを有する、請求項19の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は血管アクセス装置を用いる空気の放出および採血に関する。
【背景技術】
【0002】
採血は、患者からの少なくとも1滴の血液の引き抜きを含む一般的な健康管理手段である。血液サンプルは、指先穿刺、かかと穿刺、または静脈穿刺のいずれかによって、入院している患者、在宅患者、および救急外来患者から、通常取られる。一旦集められると、血液サンプルは1つ以上の血液検査レベルを用いて分析される。
【0003】
血液検査は、例えば病気、ミネラル含有量、薬物の有効性、および臓器機能など、患者の生理的な状態および生化学的な状態を究明する。血液検査は、患者の位置から離れた研究所において、又は患者の位置に近い診断地点において、行われてもよい。血液検査の診断地点の1つの例は、患者の血糖値の定期検査である。これは、指先穿刺および血液の機械的収集によって、診断カートリッジの中への血液の採取を伴う。その後、診断カートリッジは血液サンプルを分析し、臨床医に患者の血糖値を読み取らせる。他の装置は、血液ガス電解質レベル、リチウムレベル、イオン化カルシウムレベルを分析することに利用できる。さらに、いくつかの診断地点の装置は、急性冠症候群(ACS)および深部静脈血栓症/肺塞栓(DVT/PE)の標識を特定する。
【0004】
血液検査は、手術または他の医療措置の前に頻繁に必要である。例えば、糖尿病が手術部位感染(SSI)のリスクの増加に関与するという指摘がある。それに応じて、いくつかのガイドラインは、糖尿病はSSIの発生に影響を与えうる1つの特性であることを示している。そのため、術前の血糖管理は、起こりうるSSIリスクの軽減手段とみなされる。クレアチニン値を基に推算される糸球体濾過量(GFR)の検査は、いくつかの治療処置の前にも利用できる。2002年2月に、全米腎臓財団は、GFRが腎機能のもっともよい全体指標であるということを発表した。正常な腎臓の機能の実証は、腎臓に重要な影響を及ぼしうる造影CTスキャンを患者が受ける前に重要となりうる。これらの必要性にもかかわらず、血液診断は、即時に結果を提示しない遠隔の研究室にて一般的に行われている。
【0005】
さらに、診断地点における検査および診断の急速な発展にもかかわらず、採血技術は相対的に変化しないままであった。血液サンプルは、皮下注射針、または針の近位端もしくはカテーテルアセンブリに連結される真空管を用いて頻繁に引き出される。場合によっては、臨床医は、針および注射器を用いるカテーテルアセンブリから血液を集める。針および注射器は、カテーテルに挿入され、挿入されたカテーテルを通じて患者から血液を引き出す。これらの手段は中間装置として針および真空管を利用する。中間装置から集められた血液サンプルは一般的に検査前に引き抜かれる。このように、これらの手順は集約的であり、血液サンプルを得る工程、準備する工程、検査する工程において、多数の装置を利用する。その上、各々の装置は検査する工程に時間およびコストを加えることを必要とした。したがって、より効果的な採血装置、検査装置、採血方法、および検査方法の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現在利用できる採血装置および方法によって未だ完全に解決されていない先行技術における問題および必要性に対応して開発された。したがって、これらの装置および方法は、フラッシュチャンバーから血液サンプルを効果的に集めるために開発される。フラッシュチャンバーは誘導針の近位端に取り外し可能に連結される。血液はこのチャンバー内にすでに集められているので、この血液の利用は、別の採血手段および装置の必要性を回避でき、血液診断のコストおよび時間を減少させることができる。一旦取り外されると、迅速な検査結果のため、血液はフラッシュチャンバーから診断地点の診断装置へ分配されうる。迅速な検査結果は、例えば糖尿病のリスクまたは腎機能低下のリスクなど時間的制約のある健康情報が、より速くより容易に取得されることを可能にできる。また、フラッシュチャンバーは求められる血液サンプルに対応する大きさにされうる。そのため、フラッシュチャンバーは拡大されることができ、フラッシュバック可視化時間を増やす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの側面において、カテーテルアセンブリは、誘導針であってこれを通じて延在するルーメンを有する誘導針と、前記誘導針の近位端と連結される針ハブと、前記針ハブに取り外し可能に連結されたフラッシュチャンバーであって前記針ハブと連結されたときに前記フラッシュチャンバーの内部が前記誘導針の前記ルーメンと流体連通状態になる、フラッシュチャンバーと、を備える。
【0008】
実施は以下の特徴の1つ以上を含むことができる。フラッシュチャンバーの一部は圧縮されうる。フラッシュチャンバーは、内部空洞を画成するチャンバー本体と、チャンバー本体と連結され前記内部空洞と流体連通状態になる空気透過性の膜と、を備えることができる。フラッシュチャンバーのチャンバー本体の内部空洞は、約0.1mlから約10mlの間の内部容積を有することができる。フラッシュチャンバーは針ハブまたは誘導針の中へ圧入されうる。フラッシュチャンバーは針ハブにねじ込まれうる。フラッシュチャンバーは、鍵接続によって、針ハブまたは誘導針に選択的に連結されうる。フラッシュチャンバーは、破壊可能な接続によって、針ハブまたは誘導針に選択的に連結されうる。フラッシュチャンバーは破壊可能なアンプルでもありうる。
【0009】
本発明の他の側面において、カテーテルアセンブリは、誘導針であってこれを通じて延在するルーメンを有する誘導針と、前記誘導針の近位端に連結される針ハブと、前記針ハブまたは前記誘導針に選択的に連結されたフラッシュチャンバーであって、前記針ハブと連結されたときに前記フラッシュチャンバーの内部が前記誘導針の前記ルーメンと流体連通状態になり、空気透過性の膜および遠位コネクタ部を有する、フラッシュチャンバーと、内部空洞を画成し、圧縮されたときに前記内部空洞の内部容積を減少させる圧縮可能な部分を少なくとも有するチャンバー本体と、を備える。前記空気透過性の膜は前記チャンバー本体と連結され、前記内部空洞と流体連通状態になり、前記チャンバー本体の前記遠位コネクタ部は前記針ハブと選択的に連結するためのものである。
【0010】
実施は以下の特徴の1つ以上を含むことができる。フラッシュチャンバーの少なくとも一部は圧縮されうる。フラッシュチャンバーは、約0.1mlから約10mlの間の内部容積を有することができる。フラッシュチャンバーは針ハブまたは誘導針の中へ圧入されうる。フラッシュチャンバーは針ハブにねじ込まれうる。フラッシュチャンバーは、破壊可能な接続部によって、針ハブまたは誘導針に選択的に連結されうる。破壊可能な接続部は分割ラインおよび圧力ライザーの少なくとも一方を含む。フラッシュチャンバーは破壊可能なアンプルである。
【0011】
本発明の他の側面において、カテーテルアセンブリの取り外し可能なフラッシュチャンバーを提供するための方法は、針ハブに連結される誘導針を有する針ハブを備えるカテーテルアセンブリを提供する工程と、前記針ハブと連結された誘導針であって、前記誘導針を通じて延在するルーメンを有する前記誘導針を提供する工程と、前記針ハブに取り外し可能に連結され、フラッシュチャンバーが前記針ハブと連結されたときにフラッシュチャンバーの内部が前記誘導針の前記ルーメンと流体連通状態になる、フラッシュチャンバーを提供する工程と、を含む。
【0012】
実施は以下の特徴の1つ以上を含むことができる。この方法は、フラッシュチャンバー内の血液をそこから選択的に放出するために、フラッシュチャンバーの圧縮可能な部分を少なくとも1つ設ける工程をさらに含んでもよい。この方法は、約0.1mlから約10mlの内部容積を有するフラッシュチャンバーの本体内に内部空洞を提供する工程をさらに含んでもよい。フラッシュチャンバーは遠位コネクタ部を有することができる。遠位コネクタ部は、圧入コネクタ、ねじ山、鍵接続部、および破壊可能な接続部の少なくとも1つを有する。
【0013】
本発明のこれらの特徴、他の特徴、および利点は、本発明の特定の実施形態のなかに具体化されており、以下の説明および添付された特許請求の範囲からより完全に明らかになるだろうし、以下に説明するように本発明の実施によって理解されるだろう。ここに記載されている全ての有利な特徴および全ての利点が本発明の全実施形態の中に含まれることを、本発明は必要としない。
【0014】
順序を追って、本発明の上記に列挙された特徴、他の特徴、および利点が得られるこの方法は、容易に理解されるだろう。上記に簡単に記載されている本発明のより詳細な説明は、添付図面に図示されている特定の実施形態への言及によって表される。これらの図面は本発明の代表的な実施形態だけを描写し、ひいては本発明の範囲を制限するものであるとは考えられてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】いくつかの実施形態に従った、取り外し可能なフラッシュチャンバーを備えるカテーテルアセンブリを示す斜視図である。
図2】いくつかの実施形態に従った、図1の線2−2に沿って切り取ったカテーテルアセンブリを示す断面図である。
図3】いくつかの実施形態に従った、カテーテルから誘導針が引き込まれた後の取り外し可能なフラッシュチャンバーを備えるカテーテルアセンブリを示す断面図である。
図4】いくつかの実施形態に従った、カテーテルアセンブリとともにカテーテルアセンブリから取り外されている取り外し可能なフラッシュチャンバーを示す透視図である。
図5】いくつかの実施形態に従った、血液検査ストリップ上に血液のサンプルを分配する取り外し可能なフラッシュチャンバーを示す斜視図である。
図6】いくつかの実施形態に従った、取り外し可能なフラッシュチャンバーを備えるカテーテルアセンブリの近位部を示す断面図である。
図7】いくつかの実施形態に従った、取り外し可能なフラッシュチャンバーを備える図6に示すものとは別のカテーテルアセンブリの近位部を示す断面図である。
図8】いくつかの実施形態に従った、フラッシュチャンバーと針ハブまたは安全バレルとの間の鍵接続を示す斜視図である。
図9】いくつかの実施形態に従った、取り外し可能なフラッシュチャンバーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は、その中において番号が同一または機能的に類似した要素を示すような図面の参照によって理解されることができる。本発明の構成要素が、この中の図面に大まかに説明され図解されているように、多種多様な異なる配置に配置され及び設計されうることが、容易に理解されるだろう。従って、以下のより詳細な説明は、図に表されるように、特許請求の範囲の記載のように本発明の範囲を制限することを意図されておらず、本発明の現在の好ましい実施形態の単なる代表となるものである。
【0017】
以下において図1が参照される。図1はカテーテルアセンブリ20を示す。カテーテルアセンブリ20は患者の血管系にアクセスするのに使用されうる。患者の血管系にアクセスするものとしては、例えば(示されるような)ベクトン・ディッキンソン社由来のBD INSYTE(登録商標)、AUTOGUARD(登録商標)、ベクトン・ディッキンソン社由来のBD PROTECT IV(登録商標)、メディキット社由来のMEDIKIT(登録商標)Z5などがある。カテーテルアセンブリ20はさまざまな他の構成を含むことができる。カテーテルアセンブリ20はカテーテルアダプター24および針アセンブリ22を一般に含む。カテーテルアダプター24は患者に挿入され、患者の血管系との流体連通状態を確立し、それを通じて流体を注入するのに用いられてもよい。針アセンブリ22は誘導針30を含む。誘導針30は、カテーテルアセンブリ24を、患者の血管系の中に的確に配置するのを助けるために使用される。カテーテルアセンブリ24が的確に配置された後、針アセンブリ22は移動させられ、カテーテルアセンブリ24から外される。
【0018】
針アセンブリ22は概して硬質な誘導針30を含む。誘導針30は、カテーテルアセンブリ24の軟性または半軟性のカテーテル28を支えるための構造を提供する。示されるように、使用前の位置において、誘導針30はカテーテル28の中を通って挿入される。注入の間または他のそのような医療手当の間、誘導針30およびカテーテル28は患者の皮膚を通して挿入され、患者の血管系の中へ前進させられる。一旦カテーテル28が的確に配置されると、誘導針30はカテーテル28から取り外される。
【0019】
図1に示されるように、カテーテルアダプター24はカテーテルハブ26を含む。カテーテルハブ26は、カテーテルハブ26の遠位端から遠位に延在するカテーテル28と連結される。カテーテルハブ26は内ルーメンを含む。内ルーメンはカテーテルハブ26を通じて延在し、カテーテル28の内ルーメンに流体連通状態を提供する。いくつかの構成において、カテーテルハブ26は近位コネクタ32も含む。近位コネクタ32は例えばねじルアーコネクタなどであり、針アセンブリ22または他の血管アクセス装置に接続することができる。
【0020】
針アセンブリ22は、挿入前の状態においてカテーテルアセンブリ20を通じて延在する誘導針30を含む。誘導針30は、その近位端において針ハブ36と連結される。示されるように、いくつかの実施形態において、針ハブ36は安全バレル40内に配置される。安全バレル40は、誘導針30が患者から引き抜かれ、カテーテルアダプター24から離れた後、誘導針30を遮蔽する。図示された実施形態において、誘導針30は、ユーザーが針アセンブリ22のボタン30を押す際に、スプリング力を用いて、カテーテルアダプター24から引き抜かれる。ボタン38は、誘導針30を定位置に保持する留め具を解除し、誘導針30がカテーテル28およびカテーテルハブ26を近位に経由して安全バレル40内へ引き込まれることを、許容する。
【0021】
図1を引き続き参照して、いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー(「フラッシュバックチャンバー」としても知られる)34は針ハブ36に連結され、または誘導針30の近位端に直接連結される。フラッシュチャンバー34は誘導針20からその中へ血液を受け入れることができる。いくつかの構成において、フラッシュチャンバー34は、ユーザーが誘導針30からフラッシュチャンバー34の中へ流れる血液を見ることができるように、透明または半透明である。
【0022】
いくつかのカテーテル配置の手順において、患者の血液系の中から来る血液がカテーテルアセンブリ20のカテーテル28および/または誘導針30内に入るときに、フラッシュバックは生じる。場合によっては、カテーテル28は、誘導針30が患者の血管系に入った後、臨床医がカテーテル28を通って流れる血液を認識できるように、透明または半透明である。長期化されたフラッシュバック時間を提供することは、カテーテル28が入って的確に取り付けられたままであることを、臨床医が確認することを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、カテーテルハブ26および/または針アセンブリ22は、フラッシュチャンバー34を含むことができる。針アセンブリ22のフラッシュチャンバー34は、誘導針30を通って流れる血液がフラッシュシャンバー34に入ることができるように、誘導針30と流体連通状態になることができる。フラッシュチャンバーの大きさは、チャンバーを満たすために必要とされる時間の長さがカテーテル28を適切に配置するために十分な時間を臨床医に提供することができるように、変更されうる。上記のように、一旦カテーテル28が適切に配置されると、誘導針30はカテーテル28から引き抜かれることができる。
【0023】
針アセンブリ22がカテーテルアダプター24から外された後、フラッシュチャンバー34内の血液のサンプルは診断に使用されうる。いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34内にある血液がアクセスされテストされうるように、フラッシュチャンバー34は針アセンブリ22から選択的に取り外されることができる。したがって、いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34から血液を引き出すための方法がある。この方法は、フラッシュチャンバー34の少なくとも一部を圧縮することを含むことができ、そこから血液を分配する。この方法は、フラッシュチャンバー34を壊すこと、フラッシュチャンバー34から血液を吸引すること若しくは毛細管現象により吸い出すこと、又は別な方法でそこから血液を移動させること、も含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、針がカテーテルアダプター24から引き抜かれた後、フラッシュチャンバー34は安全バレル40における近位開口部60を貫いて延在する。従って、フラッシュチャンバー34は、安全バレル40が近位開口部60なしでできた場合よりも、増加した内部容積とともに大きくなることができる。いくつかの構成において、フラッシュチャンバー34は約0.1mlから約10mlの間の内部容積を有する。他の構成において、フラッシュチャンバー34は約0.5mlから約7mlの間の内部容積を有する。他の構成において、フラッシュチャンバー34は約1mlから約3mlの内部容積を有する。他の構成において、フラッシュチャンバー34は記載された容積よりも大きいか又はそれ未満の内部容積を有する。フラッシュチャンバー34のより大きい内部容積は、より長いフラッシュバック表示時間を提供できる。そのため、臨床医はカテーテル28を配置するためのより長い時間を持つことができ、カテーテル28の適切な配置を確実にすることができる。
【0025】
以下において図2が参照される。図2図1の線2−2に沿って切り取ったカテーテルアセンブリ20の断面を描写する。この図は、カテーテルアダプター24および針アセンブリ22の内部の構成要素の少なくともいくつかを描写する。簡単にするために、カテーテルハブ26はその中にわずかな特徴または構成要素を有するものとして描写される。しかしながら、カテーテルハブ26が、例えば、弁、血液制御弁、内部突起部、または他の既知の要素など、さまざまな既知の構成要素および特徴を含むことができることは、理解されるだろう。
【0026】
図2に示されるように、いくつかの実施形態において、針アセンブリ22は、誘導針30に連結される針ハブ36、ばね58、および取り外し可能なフラッシュチャンバー34を含む。これらの構成要素は安全バレル40内に少なくとも部分的に配置されうる。安全バレル40は、誘導針30が安全バレル40内に引き込まれた後、血液および針の露出を防止する。ボタン38およびそれに関係のある構成要素の断面は、ボタン38が押圧された際に、どのようにボタン38が針ハブ36を解放するかを示している。針ハブ36は、その後ばね58の力で近位62へ移動する。ばね58は、ボタン38が押圧された際に、それがその力学的エネルギーを解放し、復元し、近位62に針ハブ36を押し進めることができるように、安全バレル40と針ハブ36との間に置かれる。場合によっては、ばね58は圧縮された際にエネルギーを蓄える圧縮ばねである。いくつかの構成においては、フラッシュチャンバー34は針ハブ36の近位端上に配置される。フラッシュチャンバー34は、フラッシュチャンバー34が安全バレル40の近位に移動するとき、安全バレル40における近位開口部60から外へ少なくとも部分的に延在する。誘導針30の先端は、針ハブ36が近位63に押し進められたとき、安全バレル40内に引き込まれうる。この動作は、誘導針30およびその先端を、安全バレル40の覆い内および閉じ込め内における遮蔽位置の中へ、引き込む。安全バレル40は誘導針30と臨床医との間のシールドとしての機能を果たすことができ、針刺し損傷および血液汚染を防止する。
【0027】
場合によっては、図3に示されるように遮蔽位置において、フラッシュチャンバー34が安全バレル40の近位開口部60の外へ少なくとも部分的に延在する間、誘導針30は安全バレル40内に安全に収容される。いくつかの実施形態において、近位開口部60は、フラッシュチャンバー34の外側の形状と完全にぴったり合うように成形およびサイズ合わせされ、これにより、安全バレル40内の血液の血流のための場所を提供するかもしれないそれらの間のどんな間隔も最小にする。遮蔽位置において、フラッシュチャンバー34の近位部は、臨床医によってアクセスされることができ、針ハブ36から選択的に外されることができる。フラッシュチャンバー34と針ハブ36または誘導針30との間の連結の種類に応じて、臨床医は、引くおよび/またはねじる、または別の方法で、フラッシュチャンバー34を操作し、針ハブ36からフラッシュチャンバー34を外すだろう。図2に示されるように、いくつかの構成において、フラッシュチャンバー34は針ハブ36および誘導針30と直接的に連結される。いくつかの構成において、フラッシュチャンバー34は、針ハブ36と間接的に連結され、針ハブ36と直接的に連結される誘導針30と直接的に連結される。図6に示されるように、他の構成において、フラッシュチャンバー34は針30と間接的に連結され、誘導針30と直接的に連結される針ハブ36と直接的に連結される。
【0028】
再び図2を参照すると、いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は取り外し可能に又は選択的に針ハブ36に連結される。この取り外し可能な連結は、例えば、圧入連結、ねじ式連結、鍵接続、破壊可能な接続、および他のさまざまな種類の取り外し可能な連結など、さまざまな形態を有することができる。示されるように、フラッシュチャンバー34は針ハブ36の内部穴62内に圧入される。また示されるように、誘導針30はフラッシュチャンバー34内に圧入される。いくつかの実施形態において、両方というよりもむしろ、これらの圧入連結のうち1だけが使用されている。圧入連結において、内部穴62の内部形状は、フラッシュチャンバー34のチャンバー本体44の外部形状と近似し、それに略等しく、又はそれよりも若干小さくてもよい。加えて、又は代わりに、内部穴62の内面は1つ以上の内部突起54を含むことができる。内部突起54はチャンバー本体44の外面を圧迫し、これらの構成要素の間に圧力を供給する。他の実施形態において、フラッシュチャンバー34のチャンバー本体の外面は1つ以上の外部突起を含む。外部突起は内部穴62の内面を圧迫し、これらの構成要素の間に圧力を供給する。
【0029】
いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は、針ハブ36と選択的に連結するために、チャンバー本体44の遠位コネクタ部48を含む。図2に示されるように、この遠位コネクタ部48はチャンバー本体44の遠位部を含む。チャンバー本体44の遠位部は外部形状を有する。外部形状は、針ハブ36の中へ、及び誘導針30の近位端を覆って、圧入される。他の実施形態において、遠位コネクタ部48はねじ式部材を含む。ねじ式部材は、針ハブ36内にフラッシュチャンバー34をねじ留めするのに使用される。図8に示すように、いくつかの実施形態において、遠位コネクタ部48は、針ハブ36の鍵部と結合する鍵接続部を含む。いくつかの実施形態において、遠位コネクタ部48は破壊可能な接続部を含む。破壊可能な接続部は例えば分割ラインおよび/または圧力ライザー(stress riser)などを有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は膜46を含む。膜46は空気透過性があり、誘導針30内からの空気はこれを通過する。いくつかの実施形態において、血液が膜46を通過することを許容しないように、膜46は疎水性である。そのような実施形態において、血液50が誘導針30に入り誘導針30およびフラッシュチャンバー34を膜46まで満たすように、誘導針30に入る血液50は膜46の外へ空気を押し出す。膜46まで達するこの地点において、血液50は誘導針30内に流れることを停止する。
【0031】
いくつかの実施形態において、膜46は空気透過性があり、疎水性でもあり、血液50ではなく空気の通過を許容する。他の実施形態において、膜46は親水性である。膜46は、これらの特性を提供する様々な材料および構成要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、膜46は、ガラス、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、マイクロファイバー材料、および/または例えばデュポン社由来のTYVEK(登録商標)などの高密度のポリエチレン繊維で作られている他の合成物質材料、を含む。いくつかの構成によれば、他のそのような材料および構成要素は、膜46の層として又は膜46全体としても使用されることができ、膜46が疎水性、親水性、および/または空気透過性があるものであることを可能にする。
【0032】
いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は、フラッシュチャンバー34が針ハブ36から引き抜かれたときに血液50を保持し、血液流出および血液汚染を防止するように、構成される。従って、いくつかの構成において、フラッシュチャンバー34の遠位開口部56は、血液50を保持するために成形され、寸法づけられる。内部空洞66内の血液保持は、遠位開口部56の内周によって、血液50の表面張力によって、および遠位開口部56の外へ流れる血液50上の力によって、少なくとも部分的に管理される。したがって、遠位開口部56の外へ流れる血液50の力が一定の範囲内であるときに血液50が内部空洞66内に保持されることができるように、ただし、血液50上の圧力がこの範囲を超えるときに少なくともいくらかの血液が流れでることを許容するように、遠位開口部56の内周は設計されうる。
【0033】
例えば、いくつかの実施形態において、遠位開口部56が円形である場合、約2.0mm以下の内周、および約0.6mm以下の直径は、ほぼ重力に逆らって内部空洞66内の血液50の保持を許容する。血液50上の力が重力よりも強いとき、いくらかの血液50は遠位開口部56から流れでることができる。同様に、約0.3mmの直径を有する円形の遠位開口部56は、例えば、充填されたフラッシュチャンバー34の衝突、振動および移動などの、重力よりも強い力に逆らって、血液50をその中に保持してもよい。遠位開口部56がとても小さい内周を有する場合、血液50を放出するために必要とされる力はとても強いだろう。
【0034】
いくつかの実施形態において、遠位開口部56は、遠位開口部56が円形開口部である場合に約0.1mmの直径に対応する約0・3mm以上の内周を有する。したがって、いくつかの構成において、遠位開口部56は約0.3mmから約2.0mmの間の内周を有する。いくつかの構成において、遠位開口部56は略円形であり、約0.1mmから約0.6mmの間の直径を有する。他の実施形態において、遠位管腔開口部58は非円形である。
【0035】
以下において図3が参照される。図3は、遮蔽位置において、圧縮されていない状態に解放されたばね58を備える針アセンブリ22を描写する。圧縮されていない状態に解放されたばね58は、安全バレル40の近位端まで針ハブ36を押し進め、安全バレル40の近位開口部60から少なくとも部分的にフラッシュチャンバー34を外へ出させる。フラッシュチャンバー34の内部空洞66は少なくとも部分的に血液50で満たされる。この遮蔽位置において、チャンバー本体44の近位部は、握られうるし、針ハブ36から選択的に取り外されうる。このように、フラッシュチャンバー34内の血液50サンプルは診断のために使用されうる。
【0036】
図4に示されるように、フラッシュチャンバー34は針アセンブリ22から取り外される。このフラッシュチャンバー34は、それが試験施設に運ばれるときに、血液50の保管バイアルとして、ここで使用される。さらに、フラッシュチャンバー34内の血液50サンプルは診断地点での血液診断検査のためにすぐに使用されうる。
【0037】
以下において図5が参照される。図5は血液検査ストリップ70上に血液50を分配するフラッシュチャンバー34を描写する。検査ストリップ70は、グルコース検査、クレアチン検査、シスタチンC検査、又は患者の位置である診断地点での他のそのような検査、のために使用されうる。そのような診断は、注射器、真空管または他の従来の装置を用いて血液50サンプルを取り出す必要性なしに、診断地点において迅速な診断結果を提供できる。場合によっては、血液50は、血液についての診断検査を実行する診断検査装置の中へ分配されうる。他の例では、血液50は、フラッシュチャンバー34から無菌バイアルまたはチューブの中へ分配されうる。チューブとしては、例えば、検査のために医療研究所に受け入れられる体外テストチューブなどがある。
【0038】
フラッシュチャンバー34のチャンバー本体44は、フラッシュチャンバー34からの血液50の分配を促進できる様々な実施形態を有することができる。いくつかの実施形態において、チャンバー本体44の少なくとも一部は、少なくとも小さい程度で圧縮可能である。例えば内側方向72などにおいて、圧縮されたとき、フラッシュチャンバー34の内部空洞66の内部容積は減少し、内部空洞66の内圧を増加させ、血液50のサンプルを遠位開口部56から分配させる。いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は硬質または半硬質である。いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34の一部分だけが圧縮可能である。圧縮可能な部分は、針ハブ36からのフラッシュチャンバー34の通常の移動の間にそれが圧縮されないように位置され、設計されうる。他の実施形態において、フラッシュチャンバー34のチャンバー本体44は破壊可能なアンプルである。破壊可能なアンプルは、壊されたときに、そこから血液50を分配する。いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34の遠位開口部56は、臨床医が検査ストリップ70または他の装置を用いてそこから血液50を運ぶことができるように成形され寸法づけられる。
【0039】
以下において図6が参照される。図6は針ハブ36とフラッシュチャンバー34との間の接続の他の実施形態を描写する。示されるように、いくつかの実施形態において、針ハブ36は弁80を含む。弁80は、フラッシュチャンバー34がそこから取り外されたとき、針ハブ36の内部穴62の近位開口部60の外へ血液50がこぼれることを防止する。いくつかの構成において、弁80は柔軟性があり、フラッシュチャンバー34の挿入上のその場所で選択的に開く。いくつかの実施形態において、弁80は、例えばシリコンゴムまたは同種のものなどのエラストマー材料で作られている。弁80は、フラッシュチャンバー34がそこから取り外されたとき、選択的に閉まることができ、封止できる。弁80は、フラッシュチャンバー34がそこへ挿入されたとき、フラッシュチャンバー34と弁80との間の流体緊密接続を提供できる。示されるように、いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は圧入接続で弁80の中に直接連結されうる。さらに示されるように、いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は誘導針30と連結されておらず、接触してもいない。
【0040】
示されるように、いくつかの実施形態において、弁80は、針ハブ36の内面およびバリア部82と連結する接続部90を含む。バリア部82は、内部穴62の断面に広がり、フラッシュチャンバー34の移動で内部穴62を封止する。バリア部82は選択的に開閉する穴またはスリットを含むことができる。スリットは直線型スリット、Y字型スリット、または十字型スリットでありうる。バリア部82は、内向きのダックビル形状も含むことができる。内向きのダックビル形状は、弁80上の近位配向内圧への反応でスリットが開くことを、少なくとも部分的に防止することができる。弁80は、閾値の力がフラッシュチャンバー上の近位63に加えられるまで、針ハブ36内にフラッシュチャンバー34を保持することができる。いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は、破壊可能な接続部92を用いて針ハブ36にて保持される。破壊可能な接続部92は、フラッシュチャンバー34上の近位63に閾値の力が加えられるときに壊れる。破壊可能な接続部92は壊れやすい材料で作られうる。破壊可能な接続部92は、その位置で壊れることを促進する分割ライン94および/または圧力ライザーも有することができる。
【0041】
続けて図6を参照すると、いくつかの実施形態において、針ハブ36は針ハブ36から遠位に延在するラッチ部材86を含む。ラッチ部材86は、ラッチ部材86が近位に引き込まれ内側リッジ84に渡されるまで、針ハブ36が安全バレル40内の近位62および遠位に引き込まれるようになることを許容する。内側リッジ84はラッチ部材86の遠位移動を制限する急勾配近位面92を有することができる。このように、ラッチ部材86および内側リッジ84は、針ハブ36が安全バレル40の外へ誘導針30を前進させることを防ぐことができる。ラッチ部材86および内側リッジの形状と配置とは、調整され、予測され、および/または変更されうる。さらに、針ハブ36の遠位移動を制限するための他のそのような手段は針アセンブリ22内に組み込まれうる。
【0042】
図9は、図6の弁80および針ハブ36とともに使用されうるフラッシュチャンバー34の他の実施形態を描写する。このフラッシュチャンバー34は遠位コネクタ部48を含む。遠位コネクタ部48は狭鼻延在部130を含む。狭鼻延在部130は弁80を貫通でき、フラッシュチャンバー34の移動後の弁80の選択的な再封鎖を許容する。
【0043】
以下において図7が参照される。図7は、針ハブ36とフラッシュチャンバー34との間の接続のさらに別の実施形態を描写する。示されるように、フラッシュチャンバー34は針ハブ36と取り外し可能に連結される。フラッシュチャンバー34の遠位コネクタ部48は、フラッシュチャンバー34から外側に延在する環状フランジ102を含む。この遠位コネクタ部48は針ハブ36の内部穴62の近位部内に配置される。弁80は内部穴62のこの近位部内に置かれる。弁80は、遠位コネクタ部48を受け止める内部空洞108を含む。遠位コネクタ部48の環状フランジ102は弁80の内溝100内にかみ合わせられる(interlocked)。弁80は内部空洞108の遠位領域110内に配置される。弁80および/またはフラッシュチャンバー34はこの遠位領域110内に長手方向におくことできる。この遠位領域は、針ハブ36の内フランジ104を有する遠位端において終端される。この内フランジ104は、閾値の力がフラッシュチャンバー34に加えられるまで、フラッシュチャンバー34の環状フランジ102が針ハブ36から引き抜かれることを防止する。閾値の力がフラッシュチャンバー34を引くとき、環状フランジ102の近位移動は、弁80および内フランジ104を、針ハブ36と安全バレル40との間の空間106内に外側に曲げさせる。針ハブ36および弁80の特性、形状、寸法、および性質は、一定の閾値の力を必要とするように設計されうる。この一定の閾値の力は、ユーザーがフラッシュチャンバー34を容易に取り外すことを許容する一方で、フラッシュチャンバー34がわずかに揺らされ、ぶつけられ、又は接触されたときにフラッシュチャンバー34が離脱するのを防止する。
【0044】
他の実施形態において、フラッシュチャンバー34は針ハブ36にねじ込まれる。示されるように、環状フランジ102は1つ以上のオスねじ式コネクタを形成するために傾斜されることができ、弁80の内溝100および/または針ハブ36の内フランジ104はメスねじ式コネクタを形成できる。このように構成されて、フラッシュチャンバー34は針ハブ36の中にねじ込まれることができる。フラッシュチャンバー34を取り外すために、フラッシュチャンバー34は針ハブ36からねじって外されうる。
【0045】
図8に示されるように、いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバー34は鍵接続によって針ハブ36と接続される。遠位コネクタ部48は1つ以上の鍵コネクタ部品120を含むことができる。鍵コネクタ部品120は、安全バレル40の近位開口部60および/または針ハブ36において、鍵コネクタ部品122と結合する。例えば、場合によっては、鍵遠位コネクタ部48は、遠位方向124において、鍵安全バレル40および/または針ハブ36の中へ挿入される。完全に挿入されたとき、フラッシュチャンバー34は、例えば時計回りの方向126へ回され、それを定位置に固定することができる。フラッシュチャンバー34を取り外すために、臨床医は反時計回りの方向へフラッシュチャンバー34を回転させ、近位方向63へフラッシュチャンバー34を引き抜く。ここに記載されているフラッシュチャンバー34と針ハブ36との間の接続に加えて、フラッシュチャンバー34を針ハブ36に接続するための他のそのような接続手段はカテーテルアセンブリ22に組み込まれることができる。
【0046】
前述から、本発明の装置および方法が、誘導針の近位端に取り外し可能に連結されたフラッシュチャンバーから血液サンプルを効率的に集めることが理解されうる。血液はこのチャンバーの中にすでに集められているので、この血液の使用は別の採血手段の必要性を回避できる。一旦取り外されると、迅速な試験結果、即座の試験結果のために、フラッシュチャンバーから診断地点の診断装置へ血液は分配されうる。これは、例えば糖尿病のリスクまたは腎機能低下のリスクなどの時間的制約のある健康情報が、より速くより容易に取得されるようにできる。さらに、フラッシュチャンバーは必要とされる血液サンプルを収容するための大きさにされることができる。そのため、フラッシュチャンバーは拡大されることができ、これはフラッシュバック可視化時間を増やす。
【0047】
本発明は、概してここに記述され及び特許請求の範囲に記載されるように、その構造、方法、または他の本質的な特徴から離れることなく、他の特定の形態において具体化されることができる。記述された実施形態は、実例となり、制限的とならないようにだけ、あらゆる点で考慮されるようになっている。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってよりはむしろ添付された特許請求の範囲によって、示される。本目的および特許請求の範囲と同等の範囲内の全ての変更は、それらの範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9