(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1をまず参照すると、本発明の実施形態による薬物送達デバイス100の一部分のワイヤフレームの図が示されている。
図1に示すデバイス100は、インスリンなどの薬剤を設定および送達するための細長い円筒形の形状を有するペン型の注射デバイスである。デバイス100は、第1のハウジング部材104および第2のハウジング部材106を有するハウジング102を備え、第2のハウジング部材106は、
図1の最も左側に一部分のみを見ることができる。第1のハウジング部材104の第1の(または近位)端部には、回転可能なダイヤル108が位置する。回転可能なダイヤル108は、第1のハウジング部材104と実質上同じ外径を有する。第2のハウジング部材106は、第1のハウジング部材104の第2の端部に取外し可能に連結することができる。第2のハウジング部材106は、第2のハウジング部材106に取り付けられた針(図示せず)または類似の薬物送達装置を有するように構成される。これを実現するために、第2のハウジング部材106の第2の(または遠位)端部は、ねじ山付きの部分を有することができる。ねじ山付きの部分は、第2のハウジング部材106の残り部分より小さい直径を有することができる。
【0030】
第1のハウジング部材104上に、センサ112が支持される。センサ112は、第1のハウジング部材104内の凹部または窓の中に受け取ることができる。センサ112は、図示のように、拡張モジュールを構成することができる。いくつかの他の実施形態では、センサ112は、ハウジング102と一体化することもできる。いくつかの実施形態では、センサ112は光センサである。Avago Technologiesによって製造されているタイプの光センサが、本発明で使用するのに適している。第1のハウジング部材104はまた、ディスプレイ(
図1には図示しないが、
図2に210として示す)を支持することができる。ディスプレイ210は、LCDディスプレイ、セグメント・ディスプレイ、または任意の他の適したタイプのディスプレイとすることができる。ディスプレイ210は、センサ112の上に配置することができる。凹部または窓の中には、
図2を参照してより詳細に説明する複数の電子構成要素を支持することができる。
【0031】
第1のハウジング部材104の内側に、符号化部材406が回転可能に取り付けられる。符号化部材406は、好ましくは中空の円筒であり、外面上に螺旋状トラック110を備える。この螺旋状トラック110は、センサ112によって検出可能な符号化情報を含む。符号化部材は、回転可能なダイヤル108にカップリングすることができ、回転可能なダイヤル108とともに回転するように構成することができる。
【0032】
第1のハウジング部材104は、薬物用量設定および送達機構(図示せず)を含む。第2のハウジング部材106は、薬物カートリッジ(図示せず)を含む。薬物カートリッジ内に含まれる薬物は、任意の種類の薬剤とすることができ、好ましくは液状とすることができる。第1のハウジング部材104の薬物送達機構は、第2のハウジング部材106の薬物カートリッジに係合して薬物の排出を容易にするように構成することができる。第2のハウジング部材106は、薬物カートリッジを挿入し、または使用済のカートリッジを除去するために、第1のハウジング部材104から取り外すことができる。第1のハウジング部材104および第2のハウジング部材106は、任意の適した方法で、たとえばねじまたはバヨネット・タイプの連結を用いて、ともに連結することができる。第1のハウジング部材104および第2のハウジング部材106は、薬物カートリッジが薬物送達デバイス100によって恒久的に含まれる場合などのように、取り外せないようにともに連結することもできる。さらに、第1のハウジング部材104および第2のハウジング部材106は、単一のハウジング部材の一部を形成することもできる。
【0033】
回転可能なダイヤル108は、送達すべき薬物用量を設定するために薬物送達デバイス100の使用者によって手動で回転されるように構成される。このプロセスは、用量の「ダイヤル選択」として知られている。ダイヤル108は、ダイヤル108が第1の方向に回転するにつれてダイヤル108をハウジング102から軸方向に変位させる内部のねじ切りシステムに連結することができる。ダイヤル108は、両方向に回転可能であっても、第1の方向のみに回転可能であってもよい。デバイス100は、回転可能なダイヤル108の回転によって薬物用量が設定された後、使用者がデバイスの近位端部に軸方向の力を及ぼすと、設定された薬物用量を送達するように構成される。回転可能なダイヤル108は、ボタン(図示せず)を支持することができ、設定された薬物用量を送達するには、このボタンを押し下げなければならない。ディスプレイ210は、設定および/または送達された薬物用量に関する情報を表示するように構成することができる。ディスプレイ210は、実際の時間、最後の使用/注射時間、残りの電池容量、1つまたはそれ以上の警戒標識などの追加の情報をさらに示すことができる。
【0034】
図2を次に参照すると、薬物送達デバイス100の一部を形成する電気回路200の概略図が示されている。回路200は、マイクロプロセッサ202と、ROM204などの不揮発性メモリと、RAM206などの揮発性メモリと、ディスプレイ210と、センサ112と、1つまたはそれ以上のLED212と、スイッチ216と、これらの構成要素のそれぞれを連結するバス208とを備える。回路200はまた、構成要素のそれぞれに電力を提供する電池214または何らかの他の適した電源を備える。たとえば白熱電球など、LED212に取って代わる他の光源も適していることが、当業者には明らかであろう。
【0035】
ROM204は、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを記憶するように構成することができる。このソフトウェア/ファームウェアは、マイクロプロセッサ202の動作を制御することができる。マイクロプロセッサ202は、RAM206を利用して、ROM内に記憶されているソフトウェア/ファームウェアを実行し、ディスプレイ210の動作を制御する。したがって、マイクロプロセッサ202はまた、ディスプレイ・ドライバを備えることができる。
【0036】
マイクロプロセッサ202は、センサ112から信号を受け取るように構成され、これらの信号を解釈するように構成される。ソフトウェア/ファームウェアおよびマイクロプロセッサ202の動作によって、適した時間にディスプレイ210上に情報が提供される。この情報は、マイクロプロセッサ202によってセンサ112から受信した信号から判定された測定値を含むことができる。たとえば、センサ112は、画素に分解された符号化情報のグレースケール画像を取り込むように構成された光センサとすることができる。次いで、取り込まれた画像データは、マイクロプロセッサ202へ送られる。
【0037】
1つまたはそれ以上のLED212は、螺旋状トラック110の符号化情報を照明するために、符号化部材406の方を向いている。これにより、センサ112は、符号化情報を検出することが可能になる。たとえば、センサ112は、螺旋状トラック110に反射した光の強度パターンを検出することができる。LED212およびセンサ112は、様々な光の波長で動作するように構成することができる。LED212およびセンサ112は、たとえば、赤外範囲内で動作する。LED212およびセンサ112は、一体型のユニットとすることができ、または別個のユニットとすることができる。
【0038】
第2のハウジング部材106内に支持される用量設定および送達機構の動作について、
図3〜6を参照して次により詳細に説明する。
図3は、薬物送達デバイスの用量設定機構400の横断面図である。
図4は、用量設定機構400の一部分の詳細図である。
図5は、
図3に「A」で示した領域の拡大図を示す。
【0039】
用量設定機構400は、外側ハウジング404、内側ハウジング408、および符号化部材406を備える。これらの構成要素は、好ましくは、同心円状に配置された中空の円筒である。符号化部材406は、外側ハウジングと内側ハウジングとの間に配置される。内側ハウジング408は、内側ハウジング408の外面434に沿って提供された溝432を備える。この溝432には、符号化部材406の内面438上に提供された溝ガイド436が回転可能に係合する。符号化部材406は、
図7を参照して以下でより詳細に説明するように、外面440上に符号化された情報を有する。
【0040】
外側ハウジング404の近位端部に、用量ダイヤル・グリップ402が位置する。用量ダイヤル・グリップ402は、符号化部材406の近位端部の外面の周りに配置される。好ましくは、用量ダイヤル・グリップ402の外径は、外側ハウジング404の外径に対応する。用量ダイヤル・グリップ402は符号化部材406に固定され、これらの2つの構成要素間の相対的な動きを防止する。用量ダイヤル・グリップ402は、
図1の外観図で、回転可能なダイヤル108によって表されている。用量ダイヤル・グリップ402は用量ボタン416を支持し、用量ボタン416は、近位方向にばねバイアスを有し、デバイス100の使用者によって用量ダイヤル・グリップ402内へ押し下げられるように構成される。
【0041】
機構400内の中心に、スピンドル414が配置される。スピンドル414は、少なくとも1つの螺旋状の溝を備える。図示の実施形態では、スピンドル414は、好ましくはスピンドルの長さの少なくとも大部分にわたって延びる2つの反対側の重複する溝形状を有する。各溝形状は、複数の巻回にわたって事実上連続している。1つの好ましい配置では、スピンドル414の各溝は、本体部分上またはドライバ上の連続していない螺旋状の溝形状に係合する。好ましくは、本体およびドライバ上の連続していないねじ山形状の一方または両方は、ねじ山の1つの完全な巻回より小さい部分からなる。スピンドル414の第1のねじ山は、内側ハウジング408の一部分に連結するように構成される。
【0042】
用量設定機構400はまた、ばね401、クラッチ405、およびドライバ409を備え、ドライバ409は、第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412を有する。これらのドライバ部分407、412は、スピンドル414の周りに延びる。第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412は、略円筒形である。クラッチ405は、ドライバ409の周りに配置される。1つの配置では、第1のドライバ部分407は、第1の構成要素部材410および第2の構成要素部材411を備える。別法として、第1のドライバ部分407は、一体化された構成要素部材である。
【0043】
用量設定機構400では、使用者が用量ダイヤル・グリップ402を用いて用量をダイヤル選択するとき、金属ばね401は、両方のクラッチ・カップリング、すなわちクラッチ405と符号化部材406との間のクラッチ・カップリングおよび第1のドライバ部分407と第2のドライバ部分412との間のクラッチ・カップリングの係合を維持するのに十分な強さになるように選択される。符号化部材406は用量ダイヤル・グリップ402にカップリングされ、その結果、使用者が用量ダイヤル・グリップ402を回転させると、符号化部材406も回転する。符号化部材406は、第1の回転方向に回転すると、内側ハウジング408にねじ山で連結されているため、軸方向に近位方向へ動く。
【0044】
薬物送達デバイスが投薬しているとき、使用者は、機構400の近位端部に位置する用量ボタン416に軸方向の負荷をかける。用量ボタン416は、クラッチ405に軸方向にカップリングされており、これによって相対的な軸方向の動きを防止する。したがって、クラッチ405は、カートリッジ端部または用量設定機構400の遠位端部の方へ軸方向に動く。この動きにより、クラッチ405が符号化部材406から切り離され、それによって相対的な回転が可能になり、間隙「a」が閉じる。クラッチ405は、クリッカ420に対して、したがって内側ハウジング408に対して回転しないようになっている。しかし、このシナリオでは、第1のドライバ部分407と第2のドライバ部分412との間のカップリングもまた、切り離されないようになっている。したがって、用量ボタン416に軸方向の負荷がかかっていないときのみ、スピンドル414に軸方向の負荷をかけることで、第1のドライバ部分407と第2のドライバ部分412が切り離される。したがって、これは投薬中には生じない。
【0045】
第1のドライバ部分407上に用量制限器418(
図4に見ることができる)が提供され、図示の配置ではナットを備える。用量制限器418は、第1のドライバ部分407の螺旋状の溝に整合する内部の螺旋状の溝を有する。1つの好ましい配置では、用量制限器418の外面と内側ハウジング408の内面は、スプラインによってともに固定される。これにより、用量制限器418とハウジング408との間の相対的な回転を防止しながら、これら2つの構成要素間の相対的な長手方向の動きを可能にする。
【0046】
図6は、
図3〜5に示す第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412の第1の配置を詳細に示す。
図10に示すように、第2のドライバ部分412は、略管状の形状であり、第2のドライバ部分412の遠位端部に位置する少なくとも1つの駆動ドッグ450を備える。第1のドライバ部分407もまた、略管状の形状を有し、第2のドライバ部分412上の駆動ドッグ450に係合するように寸法設定された複数の凹部452を備える。駆動ドッグおよび凹部の構造により、第1および第2のドライバ部分がともに軸方向に押されたときに、駆動ドッグ450を切り離すことが可能になる。この構造はまた、これらの構成要素がはね返って離れたときに回転カップリングを生じさせる。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1のドライバ部分407は、第1の部分(第1の構成要素部材)410と、第1の部分410に恒久的に留められた第2の部分(第2の構成要素部材)411とを含む。この配置では、第2の構成要素部材411は複数の凹部452を備え、第1の構成要素部材410は、用量制限器418のナットに対する外側の溝と、内側の溝454とを備える。この内側の溝454を使用してスピンドル414に連結し、用量投与中にスピンドル414を駆動する。図示の実施形態では、内側の溝454は、完全な螺旋状の溝ではなく部分的な螺旋状の溝を構成する。この配置の1つの利点は、通常は製造するのがより容易であることである。
【0048】
この用量設定機構400が内側ハウジング408を利用する1つの利点は、内側ハウジング408をエンジニアリング・プラスチックから作ることができ、それによって符号化部材406の溝ガイド436および溝432に対する摩擦が最小になることである。たとえば、1つのそのようなエンジニアリング・プラスチックは、アセタールを含むことができる。しかし、低い摩擦係数を有する他の同等のエンジニアリング・プラスチックを使用することもできることが、当業者には理解されよう。外側ハウジング404は通常動作中にいかなる可動構成要素にも係合しないため、そのようなエンジニアリング・プラスチックを使用することで、摩擦に関連する要件なしに、審美上または触感上の理由のために、外側ハウジング404に対する材料を選択することが可能になる。
【0049】
部材406の内面438上の溝ガイド436は、単一の巻回または部分的な巻回にわたって延びることができる。別法として、この溝ガイド436は、いくつかの巻回を含むことができる。部材406は、プラスチック材料から作ることができる。内側ハウジング408を含むことで、符号化部材406は、外面440ではなく内面438上に、螺旋状のねじ山または溝ガイド436を有することが可能になる。この結果、複数の利点が得られ
る。たとえば、この結果、符号化部材406の外面440に沿ってより大きい表面積が螺旋状トラック110に提供されるという利点が得られる。別の利点は、この内側の溝436がここでは塵の侵入から保護されることである。言い換えれば、符号化部材406の外面440に沿って溝が提供される場合より、この内側の溝の境界面に塵が詰まることはより困難である。この特徴は、再利用できないデバイスと比較するとはるかに長い期間にわたって機能する必要のある再利用可能な薬物送達デバイスにとって、特に重要である。
【0050】
符号化部材406と内側ハウジング408との間の溝状の境界面の有効駆動径(「D」で表す)は、特定の知られている薬物送達デバイスと比較すると、本体の外径が同じ場合、低減される。これにより効率が改善され、薬物送達デバイスは、この溝および溝ガイドの連結に対して、より小さいピッチ(「P」で表す)で機能することが可能になる。言い換えれば、ねじ山のねじれ角により、符号化部材が軸方向に押されたときに回転するか、それとも内側の本体にロックされるかが決まり、このねじれ角は、比P/Dに比例する。
【0051】
図3に、薬物送達デバイス100の外側ハウジング404内の窓442を見ることができる。この窓442は、前述のマイクロプロセッサ202、ROM204、RAM206、ディスプレイ電子機器、センサ112、LED212、スイッチ216、および電池214を備えるインサート(図示せず)を受け取るように構成することができる。センサおよびLED212は、符号化部材406への直接アクセスを有するように、インサートの最も低い表面上に支持することができる。ディスプレイ210(図示せず)は、インサートの上に配置することができ、またはインサートと一体化することができる。ディスプレイ210は、窓442より大きくすることができ、したがって外側ハウジング404から突出することができる。別法として、ディスプレイ210は、ディスプレイ210が外側ハウジング404の外面と同じ高さになるように、窓442によって受け取られるように構成することができる。
【0052】
図3〜6に示す用量設定機構400は、取り付けられた薬物カートリッジ内の薬剤が排出された後、最初の位置に再設定されるように構成される。これにより、新しいカートリッジを挿入して、薬物送達デバイス100を再利用することが可能になる。この再設定は、スピンドル414の遠位端部、すなわち通常は薬物カートリッジに係合する端部を軸方向に押すことによって実現することができ、カートリッジ・ホルダの除去に関連するいかなる機構も必要としない。
図3および
図4に示すように、第1のドライバ部分407が第2のドライバ部分412の方へ軸方向に押されたとき(すなわち、近位方向に押される)、ドライバ409は、用量設定機構400の残り部分からデカップリングされる。
【0053】
スピンドル414に軸方向の力がかかると、内側ハウジング408にねじ山で連結されているため、スピンドル414が回転する。こうしてスピンドル414が回転して軸方向に動くことで、第1のドライバ部分407が第2のドライバ部分412の方へ軸方向に動く。最終的に、これによって第1のドライバ部分407と第2のドライバ部分412がデカップリングされる。
【0054】
こうして第1のドライバ部分407が第2のドライバ部分412の方へ軸方向に動く結果、特定の利点が得られる。たとえば、1つの利点は、金属ばね401が圧縮され、したがって
図3〜5に示す間隙「a」を閉じることである。これにより、クラッチ405がクリッカ420または符号化部材406から切り離されるのを防止する。第2のドライバ部分412は、クラッチ405に対するスプラインを有するため、回転しないようになっている。クリッカ420は、内側ハウジング408に対するスプラインを有する。したがって、間隙「a」が低減され、または閉じられると、第2のドライバ部分412は、内側ハウジング408または符号化部材406に対して回転することができない。その結果、符号化部材406は、内側ハウジング
408に対して回転することができない。符号化部材406が回転しないようになっている場合、スピンドル414が用量設定機構400内へ後退し、それによって再設定されると、スピンドル414に力がかかる結果として符号化部材406が用量設定機構400の近位側から押し出されるリスクがなくなる。
【0055】
用量設定機構400が内側ハウジング408を備える別の利点は、わずかな修正によって、ここでは再設定可能な薬物送達デバイスと再設定できない薬物送達デバイスの両方を支持することが可能な薬物送達デバイスのプラットホームとして、用量設定機構400を設計できることである。一例のみとして、
図3〜6に示す再設定可能な用量設定機構400の変形形態を再設定できない薬物送達デバイスに修正するために、第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412の第1の構成要素部材410および第2の構成要素部材411は、1つの単体部材として成型することができる。これにより、薬物送達デバイスの構成要素の総数が2つ低減される。他の点では、
図3〜6に示す薬物送達デバイスは、元のままとすることができる。そのような使い捨てのデバイスでは、第2のハウジング部材106は、第1のハウジング部材104に固定されるはずであり、または別法として、単体の本体およびカートリッジ・ホルダとして作られるはずである。
【0056】
上記の用量設定機構は、符号化部材406の支持および本発明の実施に適した機構の単なる一例である。他の機構も適していることがあることが、当業者には明らかであろう。たとえば、内側ハウジング408を含まないが、それでもなおセンサ112には符号化部材406が見えるようになっている機構も、等しく適しているはずである。
【0057】
符号化部材406の外面440は、
図1のみに見ることができる螺旋状トラック110を備える。このトラック110は一連の符号化画像を含み、一連の符号化画像は、等しく離間し、等しく寸法設定することができる。これらの画像はそれぞれ、格子またはバー・コード内の点のマトリックスとすることができる。コードは、螺旋状トラック110上へ印刷、マーキング、押込み、エッチング、または類似の方法で設けることができる。センサ112は、これらの画像を取り込み、マイクロプロセッサ202へ信号を中継するように構成される。マイクロプロセッサ202は、ROM204内に記憶されたソフトウェアを用いて、各画像の内容、たとえばマトリックスのうち、ドットを有する位置を判定し、センサ112に対する符号化部材406の対応する回転位置を識別するように構成される。マイクロプロセッサ202は、ROM204内に記憶された表を参照することによってこれを実現することができ、この表は、各画像の内容を、符号化部材406の回転位置に関連付け、したがってダイヤル選択または送達された薬物用量に関連付ける。この結果は、デバイス100のROM204に記憶することができ、かつ/またはディスプレイ210上に表示することができる。
【0058】
螺旋状トラック100のピッチは、内側ハウジングの溝432に係合する符号化部材406の溝ガイド436のピッチと同じである。したがって、符号化部材406が回転してハウジング102内で軸方向に動くとき、螺旋状トラック100は常にセンサ112の下に位置する。
【0059】
本発明での使用に適した光センサ112に対する典型的な視野は、1mm
2である。ト
ラック110の符号化画像とそのような視野との位置合わせは、困難な可能性がある。いくつかの実施形態では、許容できない感度の劣化をもたらすことなく、センサ112内へレンズ(図示せず)を組み込んで、視野を増大させることができる。これにより、符号化部材406の個別の回転位置に関連する各符号化画像を、確実に視認可能にすることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、符号化画像はそれぞれ、繰返しコード・パターンを含む。
図7に、単一の回転位置を表す例示的な符号化画像300を示す。符号化画像300は、複数の同一のコード・パターン302を有する。この例では、4つの点マトリックス・コード・パターン302が、より大きな格子内に配置される。正方形304は、センサ112の視野を表す。繰返しコード・パターン302は、単一のコード・パターン302が使用されるときほどセンサ位置が正確である必要がないことを意味する。これにより、許容範囲が構築されるため、センサ112の位置の変動性を可能にする。許容範囲は、方向ごとに構築される可能性がより高い。たとえば、センサ112とトラック110との垂直方向の位置合わせは正確なままであるが、円周方向の位置合わせに変動性が見られることが分かることがある。この場合、トラック110の長さに沿って互いに隣接して配置された2つの繰返しコード・パターン302のみを使用することができる。
【0061】
マイクロプロセッサ202は、それぞれのコード・パターン302の縁部を認識し、2つ以上の同一のコード・パターン302の部分的な図に基づいて、完全なコードを判定す
るようにプログラムされる。たとえば、符号化画像300が、
図7に示す点マトリックス・コードであり、センサ112が光センサである場合、センサ112によって出力されるデータは、光強度値のアレイを含むことができる。マイクロプロセッサ202は、これらの光強度値を使用して、マトリックスの行および列を識別することができる。マイクロプロセッサ202はまた、マトリックス内の各点が黒色であるか、それとも白色であるかを判定する。次いで、マイクロプロセッサ202は、マトリックス・パターンに関連する記憶されている表を有するデータと、部材406の回転位置とを比較することができる。符号化画像300が複数の同一のコード・パターン302からなる場合、マイクロプロセッサ202は、任意の知られている方法で、各コード・パターン302の縁部を識別することができる。次いで、マイクロプロセッサ202はまた、コード・パターン302の任意の部分的な図の行および列を識別することができ、この識別を使用して、1つの完全なコード・パターンを実質
上構築することができる。
【0062】
デバイス100がインスリン・ペンである場合、デバイス100の使用者は一般に、1〜80の国際単位のインスリンを投与する必要があることがある。したがって、螺旋状トラック110は、好ましくは、それぞれ固有の符号化画像300によって表される少なくとも81個(ゼロの位置を含む)の個別の回転位置を有する。符号化画像が点マトリックスである場合、81個の符号化画像はそれぞれ、実質上異なることができ、すなわち、2つのマトリックス間にいくつかの差を有することができる。これにより、マイクロプロセッサ202がマトリックスの配置を識別する際に間違いが生じることを見越して、それでもなお、マイクロプロセッサ202は、マトリックスがどの回転位置を符号化しているかを識別することが可能である。
【0063】
本発明での使用に適した符号化画像のさらなる実施形態について、
図8〜12を参照して次に説明する。
図8は、より大きい格子内に配置された4つの同一の画素マップ402からなる符号化画像を作成するテンプレート400を示す。各画素マップ402は、22×22個の画素アレイから構成することができる。各画素マップ402は、7つの情報ビット(1〜7の番号を付ける)と、1つのパリティ・ビットとを含む。符号化画像300が作成されるとき、これらのビットはそれぞれ、黒色で充填することができ、または白色のままとすることができる。
【0064】
正方形304は、センサ112の視野を表す。センサ112は、符号化画像のうち、その視野内に見える部分の画像を取り込む。センサ112の視野は、繰返し画素マップ402より大きく、したがって、それぞれの画素マップ402の異なる部分を取り込む。次いで、センサ112によって取り込まれた画像はマイクロプロセッサ202によって分析され、それぞれの画素マップ402のうち、画像内に位置する部分から、単一の画素マップ402
を構築することができる。センサ112の視野に対する画素マップ402の位置は、データ特徴の検出によって判定される。データ特徴は、画素マップ402のいかなる特徴とも異なる幾何学的な特徴または形状である。視野内のパターンの位置が判定された後、取り込まれた画像からの画素データを操作することによって、本当の符号化パターンを実質上生成することができる。
【0065】
図8〜12に示す実施形態では、幾何学的特徴(またはデータ特徴)は、水平帯域406および垂直帯域408からなる黒色の十字404であり、白色の縁によって取り囲まれている。本明細書では、「十字」という用語は、好ましくは直角に交差する2つのまっすぐなアームを含む形状を指すことができる。好ましくは、交差は、2つのアームのそれぞれの中間点で生じる。帯域406、408の長さおよび幅は、画素マップ402内の白および黒のビットの可能な組合せによって作られたいかなるパターンともはっきりと異なる。
【0066】
センサ112は、画素に分解された画像をグレースケールで取り込み、高強度の画素はパターンの白色の領域を表し、低強度の画素は黒色の領域を表す。マイクロプロセッサ202は、アルゴリズムを実施して画像内で十字の特徴を検出するように構成される。アルゴリズムは、取り込まれた画像内で、所定の幅の最も強い水平および垂直の線を検出する。線は、高強度の画素によって取り囲まれた低強度の画素からなる帯域(水平または垂直)であると想定する。この検出を正確に実行するには、十字のアームとセンサ112の画素は、実質上同じ向きを有するべきである。言い換えれば、十字の公称で「水平」のアームは、好ましくは、画素の行と同じ向きを有するべきであるが、検出を成功させるために位置合わせを正確に行う必要はない。
【0067】
水平帯域406に対する十字検出アルゴリズムについて、次のように数学的に説明することができる。ここで「n」は画素の行番号を指す。
・各行内の画素に対する強度値の和を計算する:
ΣRow
n=Pixel
n,1+Pixel
n,2+Pixel
n,3+Pixel
n,4...
・行範囲にわたって行強度の和を計算する。この範囲の寸法は、十字404の水平帯域406の画素幅に整合するはずである。この例では、3画素の帯域が使用される:
Band_Sum_Row
n=ΣRow
n-1+ΣRow
n+ΣRow
n+1
・帯域強度の複合強度勾配を計算する。
Compound_Gradient_Row
n=(Band_Sum_Row
n−Band_Sum_Row
n-1)+(Band_Sum_Row
n−Band_Sum_Row
n+1)
【0068】
正の複合勾配を有する行は、その周囲と比較して明るい帯域であることを示す。負の複合勾配を有する行は、その周囲と比較して暗い帯域であることを示す。複合勾配の大きさが大きければ大きいほど、帯域とその周囲との間の強度の変化も大きくなる。したがって、画像内で最も強い水平の黒色帯域は、負の複合勾配の大きさが最も大きいことによって識別される。最も強い帯域が十分な強度になり、かつ次に強い帯域とは異なる解になるような閾値を含むことができる。
【0069】
次いで、同じアルゴリズムを画像の列に適用して、最も強い垂直の黒色帯域を検出する。各画素の計算を個々に続けて考えて実行する場合と比較したとき、各画素の強度を最初に組み合わせて各行および列に対する強度の和を得ることによって、アルゴリズムを解くのに必要な計算の数が著しく低減する。この結果、マイクロプロセッサ202の電力消費が低減し、ならびに符号化部材406の回転位置を判定できる速度が増大する。
【0070】
画像内の十字404の位置を判定した後、取り込まれた画像を操作して十字の特徴を隅へ移動させ、それによって操作された画像の4分の1の範囲内に完全な符号化パターンを再び作成する。
図9aは、十字404に対するセンサ112の典型的な視野を示す。各画素マップ402のうち、センサによって取り込まれる部分を、区分1〜4として示す。
図9bは、十字404を画像の1つの隅に配置して4分の1の範囲内に完全な画素マップ402
を構築するための
図9aの画像の仮想の再配置を示す。
【0071】
現実には、使用される実際の画像センサ112、視野の寸法、および符号化パターンの寸法に応じて、それぞれの区分はある程度重複する。符号化画像300の寸法およびセンサ112の視野が十分に制御されるため、マイクロプロセッサ202は、画像を再配置する際に画像区分を切り取ることができる。
【0072】
操作された画像が得られた後、画素データに問い合わせて、符号化データを判定することができる。画素マップ402を使用することで、操作された画像内の各画素が、十字404に対する相対的な位置に応じて、特定のデータ・ビットに割り当てられる。画素マップ402はまた、各画素に加重値を割り当てることもできる。加重値は、データ・ビットの境界に位置する画素ではなく、特定のデータ・ビットの本体内に含まれる画素に、より大きな重要度を適用するために使用される。取り込まれた画像は画素に分解されるため、別のデータ・ビットに隣接する画素より、同じデータ・ビット内で他の画素によって取り囲まれている画素の色(黒色または白色)の信頼度は大きい。
【0073】
図10は、画素マップ402内の各画素およびデータ・ビットの位置を示す。データ・ビットを含むそれぞれの画素の位置は、その画素の加重値でもある数字によって表される。したがって、各データ・ビットの加重平均強度をマイクロプロセッサ202によって判定することができる。これらの加重平均を閾値と比較して、各データ・ビットが黒色であるか、それとも白色であるかを判定することができる。閾値は、固定することができ、または取り込まれた画像の強度値に基づいて画像強度の変動を自動的に補償することができる。この実施形態では、誤りチェックを提供するために、単一のパリティ・ビットが含まれる。別法として、より多くのデータ・ビットを誤りチェックに割り当てて、復号データの頑強性を増大させることもできる。
【0074】
前述のように、デバイス100は、最高80の用量を送達することができ、その結果、ハウジング102に対して符号化部材406には、ゼロの位置を含めて81個の位置がある。この位置の数は、7ビットのデータ範囲内で符号化することができる。7つのビットを使用して最高128個の位置を符号化することができるため、低減されたコーディング設定を利用することができ、それによって白色のデータ・ビットの数が最大になる。
【0075】
図11および
図12に示すコーディング・パターンは、7つのデータ・ビットおよびパリティ・ビットにおいて、最大で4つの黒色のデータ・ビットを有する。したがって、これらのデータ・ビットの少なくとも50%は常に白色であり、それによって十字404と符号化データとの間の画像コントラストが最大になる。これにより、取り込まれた画像内の十字404の位置の検出で誤りが生じる確率が低減する。
図11は、「最大白色」コードのための81個の符号化位置のそれぞれに対する各ビットの意味(高または低)を示す表である。
図12は、符号化部材406のトラック110上へ印刷されるはずの81個の「最大白色」符号化画像をすべて示す格子である。
【0076】
図13〜18を次に参照すると、本発明での使用に適した符号化画像のさらなる実施形態が示されている。
図13は、符号化画像に対するテンプレート500を示す。テンプレート500は、幾何学的データ特徴として円形の黒色帯域502を有する。符号化データは、この円502内に含まれており、1〜7の番号を付けた7つの2値データ・ビットからなる。したがって、円502の内部領域は7つのセグメントに分割され、各セグメントを黒色で充填すると「高」データ・ビットを表し、または白色で充填すると「低」データ・ビットを表す。
【0077】
センサ112の視野は、符号化画像の全体を含み、円502を含めて符号化画像全体を含む画像を取り込むように配置される。取り込まれた画像内の円502の位置は、アルゴリズムによって判定され、したがって、それぞれのデータ・ビットの場所を判定することができる。
【0078】
図14は、異なる形状の外側の境界(データ特徴)および/または異なる形状のデータ・セグメントを有するいくつかの可能な代替の符号化画像テンプレート503、504、505、506を示す。外側の境界およびデータ・セグメントには、任意の適した幾何学的な形状または特徴を使用することができる。
【0079】
センサ112は、画素に分解された画像をグレースケールで取り込み、高強度の画素が白色を表す領域と、低強度の画素が黒色を表す領域とのパターンが得られる。
図15は、この画像取込みの結果を示す。取り込まれた画像507は、画素に分解された円形の特徴508を含む。画像センサ112は、22×22個の画素からなる画素アレイを有することができる。
【0080】
次いで、マイクロプロセッサ202は、アルゴリズムを実施して、画像507内で画素に分解された円形の特徴508の位置を検出する。パターン生成および画像視野は十分に制御されているため、取り込まれた画像507に対する円502の寸法は知られている。したがって、アルゴリズムは、取り込まれた画像507を検索して、知られている形状および寸法の特徴を探す。円検出アルゴリズムの出力は、画素に分解された円508の中心に位置する単一の画素である。
【0081】
円検出の前に、取り込まれた画像に3×3の縁部検出空間フィルタおよび閾値フィルタを適用して、白色画素が縁部を表す2値画像を生成する。円検出アルゴリズムは、検出された縁部の各画素が、画素に分解された円508の円周の一部に位置し、したがって円の中心は、その縁部の画素から任意の方向に、(印刷された)円502の半径に等しい距離だけずれると想定する。
【0082】
したがって、円502と同じ半径の仮想円が、各縁部の画素の周りに作成される。仮想円は、検出アレイ内の特有の1組の画素を通過する。仮想円が検出アレイ内で画素を通過するたびに、その画素に関連する値が1増分される。これらの仮想円は、閾値フィルタにかけられた画像内の各縁部の画素に対して生成される。このルーチンは、数字のアレイを含む円検出アレイを生成する。最も大きい数字を有するアレイ位置では、最も多くの仮想円がその位置を交差しており、したがってこのアレイ位置は、取り込まれた画像画素のうち、画素に分解された円508の中心に対して、最も可能性が高い解である画素に対応する。
【0083】
取り込まれた画像の縁部または隅に位置する縁部の画素は、取り込まれた画像を越えて最大1半径分延びる仮想円を生成するはずであるため、円検出アレイは、取り込まれた画像の視野を越えて延びる。したがって、画素に分解された円508の位置を検出することが可能であり、円508の中心は、取り込まれた画像の視野の外側に位置する。
【0084】
図16a〜fに、4つの縁部の画素のみを有する簡略化された画像を使用して、円検出アルゴリズムの基本的な例が示されている。
図16aは、円検出アレイ上に4つの検出された縁部の画素を示す。
図16bで、これらの縁部の画素のうちの第1の画素の周りに、第1の仮想円が作成される。円検出アレイのうち、この仮想円が通過する各画素に関連する値は増分される(0から1へ)。このプロセスは、
図16cで第2の縁部の画素に対して繰り返され、
図16dで第3の縁部の画素に対して繰り返され、
図16eで第4の縁部の画素に対して繰り返される。検出された縁部の画素のすべてに対してこのプロセスが完了した後、マイクロプロセッサ202は、アレイを検索して、画素に関連する最も大きい値を探す。この例では、
図16fに示すように、1つの画素が4の値を有し、最も可能性が高い円の中心であると判定される。
【0085】
符号化パターンおよび円502が画素に分解されるため、円の中心が、単一の画素内ではなく画素の角頂にくる可能がある。これに対処するために、円検出アレイに2×2の空間フィルタを適用して、4つの画素におけるアレイ値を平均する。平均した円検出アレイ内の最も高い値が、画素に分解された円508の中心に対して、最も可能性が高い画素頂点の解を画成する。
【0086】
アルゴリズム内で閾値および誤りチェックを適用して、これらの結果を検証することができる。例示的な検証チェックは、以下を含む:
・単一の画素の解が、平均した画素の解の範囲内に位置する。
・最も可能性が高い解は他の可能な解とは異なり、すなわちアレイ内の最も高い値/アレイ内の2番目に高い値>確信度である。
・最も可能性が高い解に対して、十分な数の有効な縁部の画素が存在し、すなわちアレイ内の最も高い値>閾値である。
・中心の画素が取り込まれた画像内にあり、その結果、すべての符号化データの画素が取り込まれた画像内にある。
【0087】
円検出アルゴリズムが、画素に分解された円508の中心を表す画素を識別および検証した後、取り込まれた画像データに問い合わせて、各データ・ビットの状態を判定することができる。
図17を参照すると、画素マップ600が、中心の画素に対する相対的な位置に応じて、取り込まれた画像内の各画素を特定のデータ・ビットに割り当てる。画素マップはまた、各画素に加重値を割り当てることができる。加重値は、データ・ビットの境界に位置する画素に比べて、特定のデータ・ビットの本体内に含まれる画素に、より大きな重要度を適用するために使用される。
図17は、その画素に与えられた加重値も示す数字によって各画素が表される画素マップ600を示す。
【0088】
したがって、各データ・ビットの加重平均強度をマイクロプロセッサ202によって判定することができる。これらの加重平均を閾値と比較して、各データ・ビットが黒色であるか、それとも白色であるかを判定することができる。閾値は、固定することができ、または取り込まれた画像の強度値に基づいて画像強度の変動を自動的に補償することができる。
【0089】
前述の実施形態の場合と同様に、7ビットのデータ内で、81個の可能な用量位置を符号化することができる。7ビットで最高128個の位置を符号化することができるため、低減されたコーディング設定を利用することができる。これらの低減されたコーディング設定は、円内の符号化データに対する画素に分解された円508の相違を維持するのに役立つことができる。
【0090】
図18に詳細に示すコーディング・パターンは、7つのデータ・ビットにおいて、最大で4つの黒色のデータ・ビットを有する。したがって、これらのデータ・ビットの少なくとも60%は常に白色であり、それによって円形の特徴508と符号化データとの間の画像コントラストが最大になる。別法として、符号化画像内で黒色のデータ・ビットの数を最大にするコーディング・パターンを使用することもできる。別法として、白色または黒色を最大にするグレイ・コードというコーディング・パターンを使用することもできる(1つのビットだけで、連続する符号化画像間の意味が変化する)。
【0091】
各データ・ビットの状態を判定し、閾値に対して認証した後、コーディング出力をルックアップ表と比較することによって、符号化部材406の回転位置を判定することができる。
【0092】
部材406の回転位置を判定するのと同様に、マイクロプロセッサ202はまた、デバイス100がダイヤル選択モード、すなわち薬物用量設定モードであるか、それとも薬物送達モードであるかを判定することができる。スイッチ216は、任意の適したマイクロスイッチとすることができ、マイクロプロセッサ202と回転可能なダイヤル108によって支持された用量ボタン416の両方にカップリングすることができる。用量ボタン416が押し下げられると、スイッチ216の状態を変化させることができ、マイクロプロセッサ202は、この変化を検出することができる。デバイス100のモード(ダイヤル選択または送達)の指示は、ディスプレイ210上に表示することができる。
【0093】
選択された用量を投薬するとき、何らかの理由で使用者が全用量を投薬しなかった場合、ディスプレイ210は、残りの投薬すべき用量を示すように構成することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、センサ112は、部材406の動きを連続して測定し、相対的並進運動データをマイクロプロセッサ202へ出力するようにさらに構成することができる。マイクロプロセッサ202は、受信した相対的並進運動データから、ダイヤル選択および/または送達された個別の単位数を判定するように構成される。これにより、部材406の位置を増分して符号化することが可能になる。センサが相対的な動きを区別するのを支援するために、符号化部材406には、ショットブラストまたはエッチングなどの特定の表面仕上げ、ならびに印刷されたドットなどの複数のマーキングを提供することができる。前述の符号化画像に加えて、この相対的並進運動の検出を提供することができ、これは2次的な位置チェックとして機能することができる。いくつかの代替実施形態では、簡単なアルゴリズムを介してセンサ112からの連続する画像を比較して、画像間のずれ、したがって符号化部材の回転運動を判定することができる。
【0095】
前述の実施形態は純粋に例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解される。他の変形形態および修正形態は、本願を読めば当業者には明らかになるであろう。たとえば、螺旋状トラック110について、回転可能な用量ダイヤル108と一体化された部材に適用されると説明したが、代わりに螺旋状トラック110は、センサ112に対して回転方向、軸方向、または両方向に動き、センサ112に見える、または見えるようにすることができる、薬物用量設定機構400の任意の既存の構成要素に適用することもできる。さらに、本願の開示は、本明細書に明示的もしくは暗示的に開示されるあらゆる新規な特徴もしくはあらゆる新規な特徴の組合せ、またはそれらのあらゆる一般論を含むと理解されるべきであり、本願または本願から導出される応用例の実行中、あらゆるそのような特徴および/またはそのような特徴の組合せを包含するように、新しい特許請求の範囲を策定することができる。
【0096】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0097】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0098】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0099】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0100】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−
39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0101】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0102】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0103】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0104】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0105】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0106】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0107】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0108】
哺乳類では、λおよびкで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖кまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0109】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0110】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0111】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0112】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。