特許第6132795号(P6132795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132795
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】郵便受け箱
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/126 20060101AFI20170515BHJP
   A47G 29/124 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A47G29/126
   A47G29/124
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-56137(P2014-56137)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-177857(P2015-177857A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】508204113
【氏名又は名称】株式会社オシザワ
(73)【特許権者】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087918
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】忍澤 善夫
(72)【発明者】
【氏名】忍澤 岳男
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−79656(JP,A)
【文献】 特開2001−29214(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008012766(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0127153(US,A1)
【文献】 中国実用新案第201001604(CN,Y)
【文献】 欧州特許出願公開第0295091(EP,A2)
【文献】 英国特許出願公開第2198184(GB,A)
【文献】 特開2006−218004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12−29/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便受け箱本体と、
該郵便受け箱本体の前面部に形成された投入口と、該投入口の上縁部に基端部が内開き回動自在に枢設された投入口フラップと、
取出口とを設けた郵便受け箱であって、
前記投入口下縁部に固着された支持部材と、該支持部材により、上下可動自在に支持され、かつ任意の高さ位置に固定保持が可能であり、断面が逆L字型のスライドプレート部材とからなる前記投入口フラップの自由端部の開閉制御が可能な投入口フラップ開閉制御手段を備えてなり、
前記逆L字型スライドプレート部材が、横方向の庇部と縦方向のプレート部とからなり、該庇部と該プレート部との間の内角度が、前記投入口フラップの開閉の際に、その自由端部が接触しないように設定された角度であり、
前記庇部が、前記投入口下縁部から、郵便受け箱の後方側へ延伸してなり、
前記プレート部の上下動により前記投入口フラップの自由端部を固定または開放可能としたことを特徴とする郵便受け箱。
【請求項2】
前記逆L字型スライドプレート部材が、庇部とプレート部との一体化成形体である請求項1に記載の郵便受け箱。
【請求項3】
前記支持部材による前記スライドプレート部材の支持機構が、前記支持部材と、前記支持部材の棒状体部が挿入される逆T字型スライド溝またはL字型スライド溝が穿設された前記スライドプレート部材とからなり、前記支持部材の棒状体部が前記スライド溝内を摺動可能であり、かつ任意の高さ位置に固定保持を可能とした摺動構造からなるものである請求項1に記載の郵便受け箱。
【請求項4】
前記逆L字型スライドプレート部材の庇部とプレート部との間の内角度が90度以上であり、かつ、前記投入口フラップが開放する際に、その自由端部が該庇部と接触しないように調整された角度である請求項1に記載の郵便受け箱。
【請求項5】
前記支持部材が、前記投入口下縁部に固着されたボルトおよび該ボルトと螺合可能なナットである請求項1に記載の郵便受け箱。
【請求項6】
前記投入口フラップの開度調整手段が、その自由端部の背面側に固着された長さ寸法調整可能な脚部材である請求項1に記載の郵便受け箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便受け箱に関するものであり、さらに詳しくは、郵便物の盗難防止機能を有すると共に投入口フラップ開閉制御手段を備えた郵便受け箱に関するものであり、特に、入居前及び長期間にわたる不在時においてチラシ広告等の投入を拒否する必要がある場合に、郵便受け箱の投入口を必要期間閉鎖することが可能であり、また、投入口の開放時には、投入された郵便物、その他の配達物の盗難防止等が可能な投入口フラップ開閉制御手段を備えた多機能付き郵便受け箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、郵便物、その他の配達物を受け取るためには、マンション及びアパート等の集合住宅及び戸建住宅、オフィスビル等にかぎらず、一般家屋においても、通常、郵便受け箱が広く利用されている。
【0003】
従来の郵便受け箱は、各種の形態のものが使用されているが、基本的な形態としては、箱体構造の郵便受け箱本体と、該郵便受け箱本体の前面部板に形成させた郵便物等の投入用の投入口と、前記投入口から投入された郵便物等を収容する収容室および郵便物等を取り出すための取出口とから構成されたものである。かかる郵便受け箱には、通常、取出口が、郵便受け箱の前面部の投入口の下部に設けられた前入れ前出しタイプ、または背面部に開閉扉が備えられた前入れ後出しタイプのものがある。
【0004】
ところで、近年長期間留守の住宅やマンション等の未入居住宅の郵便受け箱には郵便物、新聞のほか、大量の投げ込みチラシ広告が投入される状態にある。特に、集合住宅はその対象とされ易く、その結果、チラシ広告等が郵便受け箱から溢れでて、周囲に散乱し、美観を著しく損なうばかりでなく、火災及び放火等の原因となるおそれもある。また、郵便受け箱からチラシ広告等が溢れ出た状態から、入居者の不在が明確となり、犯罪の温床となるおそれもある。
【0005】
一方、近年の郵便受け箱は、郵便物等の配達物の大量化、大型化に対応するため、投入口のサイズは大型化が図られている。従って、かかる郵便受け箱においては、開閉扉にはダイアル錠等の施錠装置が備えられていても、投入口より手を差し入れて、郵便受け箱の内部に投入された配達物を容易に盗み出すことができる状態にあり、事実、盗難事故の発生も指摘されている。
【0006】
そこで長期間の不在時には、投入口フラップをロックし、投入口を閉鎖することができ、投入口の開放時には、配達物の盗難の防止可能な機能を備えた多機能付きの郵便受け箱の開発が切望されるに至っている。
【0007】
かかる状況下において、チラシ広告等の無断投入の防止策を策定することは、従来からも検討されてきているが、前記の如き事情のほかに集合住宅の管理上においても重要かつ喫緊の問題であり、未入居住宅、長期不在住宅等の郵便受け箱へのチラシ広告等の投入を防止するための各種の投入拒否具が提案されている。
【0008】
例えば、投入拒否具として、特開2000−232933号公報(以下、「特許文献1」という。)には、既設の郵便受け箱への投入を拒否する器具として、横長矩形の投入口を有すると共に、該投入口の下端が所定深さの直角折曲加工になる投入口断面構造を有する郵便受けに装着するものであり、前記投入口を覆う大きさをもった横長の投入口被覆正面板の裏面側下縁部に位置して投入口下縁掛止構造を構成したものが記載されている。
【0009】
しかし、前記の特許文献1に記載されている投入拒否具は、投入口の下縁が前記の通り所定深さの直角折曲になる投入口断面構造を有する郵便受けでないと取り付けることができない構造になっているので、近年多様化する各種の郵便受け箱には対応できないという難点がある。
【0010】
かかる投入拒否具は、着脱自在に装着できることが記載されているが、投入口の下縁に掛止するための投入口に下縁掛止構造を必要とし、また、二種類の折爪構造を必要とするなど構造が複雑である。
【0011】
また、特開2003−93215号公報(以下、「特許文献2」という。)には、投入口を投入不能な状態に閉塞することのできる大きさの平板状の正面被覆部材と、投入口を通過可能で、投入口の下縁の背面部分に当接可能な係合部を有する平板状の背面支持部材と、正面被覆部材と背面支持部材とを対向間隔および対向角度を変更可能に連絡するボルトとナットを備え、背面支持部材の係合部と対向する位置に正面被覆部材と背面支持部材との密着を阻止する間隔保持手段を設けた投入拒否具が記載されている。
【0012】
しかし、特許文献2に記載の投入拒否具も、構造が複雑であり、また、取付作業に長時間を要するものであり、簡便に取り付けることが困難であるという問題がある。
【0013】
さらに、実用新案登録第3093560号公報(以下、「特許文献3」という。)には、ポリプロピレン樹脂等を素材とするシートからなり、所定の形態に折り曲げることにより組み立てられた投入防止器具が記載されており、折り曲げシートの挿入部を投入口から挿入することにより装着することが記載されている。
【0014】
しかし、特許文献3に記載されている投入拒否具は、合成樹脂製の材料を用いたものであり、強度の点で問題があり、破壊されるおそれがあり、実用上改良すべき点が残されている。
【0015】
一方、盗難防止機能付きの郵便受け箱として、例えば、特開2001−29214号公報(以下、「特許文献4」という。)には、郵便受け箱本体の前面上部に開口された大型配達物の投入口の内側に、投入口からの手の差し入れを阻止する盗難防止板を設け、投入口の下方に前面上部の投入口とは独立して葉書や封書の薄手の配達物が投入されるスリットを開口した郵便受け箱が記載されている。
【0016】
また、特開2006−218004号公報(以下、「特許文献5という。)には、郵便受け箱前面部の投入口を形成する上枠の内側に回動自在に枢設された投入蓋の内側下部にビスを螺挿し、ビスの出寸法の長短を調整することにより、投入蓋を開いた場合、ビスが郵便受け箱の天板に当接した際の投入蓋の開度を規制することができ、投入口から人の手が容易に差し入れられない郵便受け箱が記載されている。
【0017】
しかし、前記特許文献1〜3に記載されている投入拒否具は、前記のようにいずれも既設の郵便受け箱に適用するものであり、構造が複雑なものとなり、また、取付け作業が煩雑であり、簡素な操作により装着することはできないという問題があった。
【0018】
また、特許文献4に記載の郵便受け箱は、大型の配達物と小型の配達物を区別して投入することが必要であり、そのため作業が煩雑であり、前記の如きチラシ等の投入拒否には対応できない。特許文献5に記載の郵便受け箱は、投入蓋に螺挿するビスが一つの場合、わずかの力を加えただけで投入蓋が変形する恐れがあり、ビスが複数の場合、郵便受け箱の後面からドライバー等によりビスの出寸法を調整するには複数個のビスの出寸法を同一にすることは容易でなく、簡単な操作で盗難防止を図ることはできない。また、前記のチラシ等の投入拒否に対しては対応できない。
【0019】
前記の通り、特許文献1〜5に記載の郵便受け箱には、前記の通り、それぞれが問題点を有する上に、いずれの郵便受け箱もチラシ等の不在時投入防止機能と盗難防止機能の両者を備えたものではない。
【0020】
従って、簡素な構造であり、投入口閉鎖の場合においては投入口フラップを閉止位置に固定し、投入口の開放時においては盗難防止機能の発揮可能な投入口フラップ開閉制御手段を備えた郵便受け箱の開発が切望されてきた。
【特許文献1】特開2000−232933号公報
【特許文献2】特開2003−93215号公報
【特許文献3】実用新案登録第3093560号公報
【特許文献4】特開2001−29214号公報
【特許文献5】特開2006−218004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、本発明の課題は、長期間の留守宅、未入居の住宅等の郵便受け箱へのチラシ等の投入を一定期間拒否するため、投入口を閉鎖することが可能であり、また、在宅時、投入口が開放された場合において、投入された郵便物、その他の配達物の盗難防止が可能であるなど、多機能付きの郵便受け箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そこで、本発明者らは、本発明の前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、投入口フラップの自由端部を閉止位置に固定することができ、かつ、投入口の開放時においては、収容された郵便物の盗難防止可能な断面が逆L字型のスライドプレート部材からなる投入口フラップ開閉制御手段を備えた郵便受け箱を提供することにより前記課題を解決できることに着目し、かかる知見に基づいて本発明に想到するに至った。
【0023】
すなわち、本発明によれば、投入口下縁部に固着した支持部材と、スライドプレート部材とからなる投入口フラップ開閉制御手段であって、上下方向に摺動可能であり、かつ、投入口フラップを開閉するために任意の位置に保持可能なスライド溝を穿設したスライドプレート部材であり、該スライドプレート部材の縦断面が逆L字型であり、さらに、逆L字型の内角度が特定された投入口フラップ開閉制御手段を備えた郵便受け箱を提供するものである。
【0024】
なお、本明細書において「閉止位置」とは、投入口フラップの自由端部が投入口縁部に接触する位置である。
【0025】
かくして、本発明によれば、
1.郵便受け箱本体と、
該郵便受け箱本体の前面部に形成された投入口と、
該投入口の上縁部に、基端部が内開き回動自在に枢設された投入口フラップと、
取出口とを設けた郵便受け箱であって、
前記投入口下縁部に固着された支持部材と、該支持部材により、上下可動自在に支持され、かつ任意の高さ位置に固定保持が可能であり、断面が逆L字型のスライドプレート部材とからなる前記投入口フラップの自由端部の開閉制御可能な投入口フラップ開閉手段を備えてなることを特徴とする郵便受け箱が提供される。
【0026】
さらに、本発明の好ましい実施形態として、次の2〜6に掲げるものを包含する。
【0027】
2.前記逆L字型スライドプレート部材が、横方向の庇部と縦方向のプレート部とからなり、該庇部と該プレート部との間の内角度が、前記投入口フラップの自由端部が開閉の際に接触しないように設定された角度である前記1に記載の郵便受け箱が提供される。
【0028】
3.前記逆L字型スライドプレート部材が、庇部とプレート部との一体化成形体である前記1に記載の郵便受け箱が提供される。
【0029】
4.前記支持部材による前記スライドプレート部材の支持機構が、前記支持部材と、前記支持部材の棒状体部が挿入される逆T字型スライド溝またはL字型スライド溝が穿設された逆L字型スライドプレート部材からなり、前記支持部材の棒状体部が前記スライド溝内を摺動可能であり、かつ任意の高さ位置に固定保持が可能である摺動構造からなるものである前記1に記載の郵便受け箱が提供される。
【0030】
5.前記逆L字型スライドプレート部材の庇部とプレート部との内角度が90度以上である前記1に記載の郵便受け箱が提供される。
【0031】
6.前記支持部材が、前記投入口下縁部に固着されたボルトおよびナットである前記1に記載の郵便受け箱が提供される。
【0032】
7.前記投入口フラップの開度調整手段が、その自由端部の背面側に固着された長さ寸法調整可能な脚部材である請求項1に記載の郵便受け箱が提供される。
【0033】
本発明に係る郵便受け箱は、投入口に開閉自在に枢設されたフラップを必要な場合に、投入口の閉鎖のため閉止位置に固定し、また、投入口の開放時において、郵便受け箱内に郵便物の盗難防止手段を備えた構造のものであり、かかる多機能を有するものであれば、他の構成要素については、特に限定されるものではない。
【0034】
本発明に係る郵便受け箱は、前記の通り、不在時のチラシ等投入拒否機能及び投入口の開放時において郵便物等の盗難防止機能を含む多機能型郵便受け箱を包含するものであり、従来、開示されていない新規なものである。
【0035】
かかる本発明に係る郵便受け箱の特徴は、少なくとも次の二点にある。
【0036】
すなわち、その第一点は、郵便受け箱の従来の常識を打ち破る任意に投入口を閉鎖することが可能な投入口フラップ開閉制御手段を内設した点にある。
【0037】
郵便受け箱は、本来郵便物等の配達物を受け取るための用具であり、投入口は、常に開放状態に維持できるものでなければ、その機能を発揮させることができないと考えられてきた。従って、かかる観点から、投入口に閉鎖手段を備えるような発想は、従来は存在せず、また、かかる投入口の閉鎖手段を備えた郵便受け箱は存在していない。かかる状況下において、本発明者らが、初めて提案するものであり、発想の転換による新規な郵便受け箱を提供するものである。
【0038】
第二点は、投入口フラップの開放時において投入口より収容されている郵便物の盗難防止機能を発揮可能な点にある。
【0039】
従来、チラシ等の投入拒否のための手段としては、投入口フラップを取りはずすなどして、投入口にはめ込む遮蔽板等が提案されていた。かかる提案によれば投入口は、完全な開放状態であるか、または、完全な閉鎖状態の二者択一的な機能を有するにすぎなかったが、本発明によれば、配達物の盗難防止機能を有する投入口フラップ開閉手段を採用したことにより、配達物の投入は可能であるが、投入口から配達物の持ち出しなど盗難を防止できるように構成したものである。かかる投入口フラップ開閉手段については、そもそも投入口の閉鎖機能の存在が新規であることと相俟って、当然に新規であり、かつ、構成も簡素であり、顕著な効果を奏する。
【0040】
郵便受け箱本体
本発明に係る郵便受け箱の郵便受け箱本体は、箱体構造のものであり、箱体の前面部の上部に投入口が設けられ、投入口から投入された郵便物等の配達物を収容するための収容室および収容室に収容された配達物を取り出す取出口を前面部下部または背面部あるいは側面部等に設けたものである。
【0041】
郵便受け箱としては、取出口として投入口の下部に位置する前面部に開閉扉を設けた前入れ前出し”タイプと、背面部に開閉扉を設けた“前入れ後出し”タイプのものが基本構造である。
【0042】
前入れ前出しタイプの郵便受け箱は、背面部は閉鎖されてあり、投入口の下部に位置する前面部に開閉扉が設けられてある。
【0043】
一方、前入れ後出しタイプの郵便受け箱は、投入口下部に位置する前面部は閉鎖されてあり、背面部に開閉扉が設けられたものである。
【0044】
郵便受け箱の内部構造には限定がないが、配達物の取出しが容易なように取出し口に向って傾斜を設けたものが好ましい。
【0045】
また、投入口フラップ開閉手段を操作する際に、前入れ前出しタイプの郵便受け箱の場合には、前面部の開閉扉を開いて指で支持部材の固定手段を回転させて、スライドプレート部材の位置を調整すればよい。また、前入れ後出しタイプの郵便受け箱については、後面部の開閉扉を開いて、背面部から手を入れて投入口フラップ開閉手段のスライドプレート部材の位置調整すればよい。
【0046】
郵便受け箱本体の材質には、限定がないがステンレスが好ましく、また、開閉扉についてもステンレスまたはアルミダイカスト等が好ましい。
【0047】
本発明によれば、底の浅い、所謂、高さが低く、投入口が比較的大きい箱体であって、通常の場合、手の差し入れが容易で指が底面にとどく程度の大きさの箱体からなる郵便受け箱において、手の差し入れを阻止できる点により顕著な盗難防止効果を奏する。特に、箱体の高さが150mm以下の底の浅い郵便受け箱において後述のように顕著な効果を発揮することができる。
【0048】
投入口フラップ
本発明に係る郵便受け箱の構成要素としての投入口フラップは、郵便物等の投入口を閉鎖または所定の間隙を形成させるために設けた開閉蓋板であり、通常、その上縁が投入口の上縁部に取り付けられた枢支軸に枢設され回動自在に固定された基端部であり、基端部に対し、その下部の先端部が自由端部である。フラップは、通常、その自重により、自由端部が閉止位置の投入口下縁に接触し、投入口はフラップを押せば、郵便物等を投入可能な状態にある。
【0049】
従って、郵便物等を郵便受け箱に投入する場合は、フラップを押し開いて郵便物等が郵便受け箱内部へ投入された後、フラップは自重により、元の閉止位置に復帰する。
【0050】
また、投入口フラップは、前記の水平の枢支軸に枢設された形態のほかに、投入口のいずれか一方の側部に位置する内壁面投入口に設けた垂直軸に回動自在に枢設した横開きの形態のものであっても、その自由端部が本発明に係る投入口フラップ開閉手段の一つの要素として組み込まれてあれば、閉止位置に固定可能である。
【0051】
さらに、本発明に係る郵便受け箱の投入口フラップについて、本発明者らが、先に特願2013−186676号により提案したように、開度の制御手段を備えたものを提供することができる。投入口フラップの開度の制御手段としては、前記提案のほかに投入口フラップの自由端部の内側先端部に取りはずし自在に固着させた長さ寸法の調整可能な脚部材を用いることができる。脚部材としては、具体的には長さ寸法の調整可能な突起形状物、投入口フラップ自由端部に形成させた螺孔に螺入した螺子等を任意に選択することができる。該脚部材の寸法を長くすると、投入口フラップの自由端部の郵便受け箱本体の上部内壁への接触を抑制し、投入口フラップの開度を小さくすることができる。投入口フラップの開度を任意に小さくすることにより、後述するように、本発明に係る逆L字型スライドプレート部材の庇部の傾斜効果との相乗効果を奏することができる。
【0052】
投入口フラップ開閉制御手段
本発明に係る郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御手段は、収容された配達物の盗難防止機能を有するものである。
【0053】
本発明に係る郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御手段は、長期不在時等においてチラシ等の投入を拒否する必要のある場合、投入口を閉鎖し、その期間経過後は郵便物等の配達を受け入れるのに投入口の閉鎖を解除すると共に、投入口からの内部の郵便物の盗難等を防止することが可能であり、さらにその他の目的の達成に有効な多機能を有するものである。
【0054】
本発明に係る郵便受け箱の構成要素としての投入口フラップ開閉制御手段は、基端部が内開き回動自在に枢設された投入口フラップの自由端部を投入口縁部と当接する閉止位置に固定すると共に、投入口フラップの開放時においては、郵便物盗難防止機能を有するものであり、投入口フラップの開閉機能と盗難防止機能の二種を併有したものである。
【0055】
かかる投入口フラップ開閉制御手段は、投入口下縁部に固着された支持部材と、該支持部材により上下可動自在に支持され、かつ任意の高さ位置に固定保持が可能であり、断面が逆L字型のスライドプレート部材とから構成されたものである。
【0056】
かかる支持部材は、一方が投入口下縁部の内側に固着された棒状体部であり、他端が断面逆L字型のスライドプレート部材のプレート部に穿設されたスライド溝に挿入され、逆L字型スライドプレート部材の上下位置を固定保持する。
【0057】
支持部材としては、具体的には、ナットと螺合可能なボルト、先端部に螺旋溝を形成した棒状体または螺子等を挙げることができる。投入口の下縁部内側への固着は、投入口下縁部に螺孔を形成し、前記ボルト等を螺合させることにより固着すればよいが、該螺孔に螺子を螺入させる構造でもよい。固着構造については、逆L字型スライドプレート部材の上下可動自在可能な構造を有する支持部材であれば、特に限定されるものではないが、特に投入口下縁部に穿設した螺孔にボルト基端部を螺合し、そのボルトを逆L字型スライドプレート部材の逆T字型スライド溝またはL字型スライド溝に挿入した後、ボルトの先端部をナットと螺合することにより逆L字型スライド部材と連絡することができる。固着構造としては、前記の通りの各種のものがあるが、ボルトまたは先端部が螺旋構造の棒状体をナットで螺合する構造または図面で示すように螺子を要素とする固着構造が好ましい。本発明に係る郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御手段の構成要素の第二は、断面が逆L字型スライドプレート部材(以下、単に「逆L字型スライドプレート部材」ということがある。)である。
【0058】
逆L字型スライドプレート部材は、後述の図面でも示すように横方向の庇部と縦方向のプレート部から構成される。
【0059】
かかる庇部とプレート部とは、互いに同一の材質または異なる材質からなるものでよく、各々独立の部材の長手方向の面を連結させて構成した構造体または同一材質からなる庇部とプレート部の一体化形成体を挙げることができるが、同一材質からなる庇部とプレート部の一体化形成体が逆L字型スライドプレート部材として、製作上および使用上において簡便であり、これを採用することが特に好ましい。
【0060】
かかる逆L字型スライドプレート部材において、庇部とプレート部材との接続面における内角度(α)(本発明に係る明細書等においては、図6で示すαを「内角度」という。)は90度以上であり、かつ、郵便物等の投入のために投入口フラップを開く際に、自由端部に接触しないように最大限に大きい角度に設定したものが盗難防止の観点から好適である。 一方、郵便物の差し入れを支障なく行うことが必要である点から、特に限定するものではないが、具体的には、箱体の高さが150mm以下であり、投入口の広さ(上下幅)が30mm以上であり、投入口の下縁部の高さ位置が100mm以下において、逆L字型スライドプレート部材の内角度(α)は、90〜120度の範囲で選択することができる。
【0061】
逆L字型スライドプレート部材の内角度(α)が90度以下であれば、郵便受け箱の内部に手を入れることが容易となり、一方、120度以上となれば、郵便物の投入が困難となるという問題が生ずるおそれがある。
【0062】
また、逆L字型スライドプレート部材の庇部の長さ(逆L字型スライドプレート部材の横方向)は、郵便受け箱の箱体の大きさと高さ(すなわち、深さ)、投入口の広さ(上下幅)および高さ位置等により決定される。特に底の浅い郵便受け箱に対しては、庇部の長さを大きくする必要がある。通常30mm以上のものが好ましい。
【0063】
庇部が短い場合、手を容易に差し込むことができ、一方、庇部が長い場合、例えば、60mmを超えると郵便物の投入が困難となるという難点が生ずる。
【0064】
また、縦方向のプレート部の長さは、上下可動により投入口フラップの開閉制御が可能な範囲内に決定される。
【0065】
かかる逆L字型スライドプレート部材のプレート部には、前記の上下可動が可能な幅の範囲内に支持部材との連接のための逆T字型スライド溝、またはL字型スライド溝を穿設してある。
【0066】
かくして、逆L字型スライドプレート部材の支持機構は、具体的には、逆L字型スライドプレート部材に穿設された逆T字型スライド溝に、投入口下縁部に固着された支持部材の棒状体部が挿入されることにより逆L字型スライドプレート部材が支持されると共に摺動による上下可動が可能となり、かつ、逆L字型スライドプレート部材の屈曲部が、任意の高さ位置、すなわち、投入口フラップの閉止位置高さに固定可能となる。さらに、具体的には支持部材の棒状体部が逆L字型スライドプレート部材の逆T字型スライド溝に挿入され、棒状体部が逆T字型スライド溝に沿って摺動することにより、逆L字型スライドプレート部材が上下方向に可動可能となり、かつ、支持部材の棒状体部が逆T字型スライド溝の横方向の溝に移動し、固定することにより、逆L字型スライドプレート部材は上方向へ移動し、投入口フラップの自由端部と接触することにより、投入口フラップが閉止状態になる。
【0067】
本発明に係る郵便受け箱において示されている逆L字型スライドプレート部材の可動形態は、逆T字型スライド溝を利用した上下方向と横方向の二形態であるが、スライド溝の形態を逆T字型以外の形態に変更しても投入口フラップの開閉制御が可能であれば、特に限定することなく採用することができる。例えば、スライド溝がL字形状であっても逆L字型スライドプレート部材の上下方向への可動と横方向での固定保持が可能である。
【0068】
また、逆T字型スライド溝またはL字型スライド溝において、さらに複数の横方向のスライド溝を付加して穿設してもよい。
【0069】
本発明に係る郵便受け箱を構成する投入口フラップ開閉制御手段の具体的な実施形態は、図3に投入口フラップが閉止状態となる場合の投入口フラップ開閉制御手段の斜視図を示し、図4にその分解斜視図を、図7に投入口フラップが開放状態である場合の投入口フラップ開閉制御手段の各要素の位置関係を示す。また、図8には投入口フラップが逆L字型スライドプレート部材の上方向への移動により、投入口フラップは閉止状態にある。
【0070】
本発明に係る郵便受け箱は、前記の通り、投入口下縁部に固着された支持部材と、該支持部材により、上下可動自在に支持され、かつ任意の高さ位置に固定保持が可能であり、断面が逆L字型のスライドプレート部材とからなる前記投入口フラップの自由端部の開閉制御が可能な投入口フラップ開閉制御手段を備えてなる郵便受け箱であって、郵便受け箱の使用に際しては、投入口を開閉する場合においては、次の手順を踏めばよく、ワンタッチで操作することができる。
【0071】
1.郵便受け箱のタイプにより異なるが、前扉あるいは背面側または側面部のいずれかの開閉扉を開ける。
2.前扉背面部に設置されている投入口フラップ開閉制御手段の逆L字型スライドプレート部材を上下方向へ摺動させ、該逆L字型スライドプレート部材のスライド溝に挿入されている支持部材の位置が、該スライド溝の所定の位置になるように固定する。所定の位置は、投入口フラップの開閉位置としてあらかじめ特定されたものである。本発明の実施形態においては、投入口フラップの閉止の場合、支持部材の位置は、逆T字型スライド溝の基端部432であり、一方、投入口フラップの開放の場合、先端部431である。
3.開閉扉を閉じる。
【発明の効果】
【0072】
本発明は、前記の通りの構成からなるものであり、多機能郵便受け箱を提供することができる。投入口フラップ開閉制御手段は、簡素な構造であり、長期にわたっても不具合を生じることもなく、耐用期間も長い。また、投入口フラップの自由端部の閉止位置への固定および開放位置への固定が逆L字型スライドプレート部材の上下移動操作および支持部材の固定操作のみによる簡易な操作により行うことができる。長期不在時にチラシ等の投入を防止すると共に、投入口の開放時には、内角度(α)が90度以上の庇部を有する逆L字型スライドプレート部材により、人の指の差し入れを防止し、郵便物等の盗難を防止することができるなど多機能性を発揮することができる。さらに、投入口フラップの開度制御との併用により、盗難防止効果を相乗的に一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
以下、図面に基づいて、本発明に係る郵便受け箱について、さらに具体的に説明する。もっとも、本発明はこれらの説明により限定されるものではない。
【0074】
図1は、本発明に係る前入れ前出しタイプの郵便受け箱の前面部を示す正面図である。郵便受け箱Aの前面部には、郵便物等の配達物の投入口1が設けられてあり、投入口フラップ2が投入口1の上縁部に設置した回動軸(図示なし。)に内開き回動自在に枢設されてある。投入口フラップ2は、開放時には、その自重により、自由端部が投入口下縁部に接触している状態であり、フラップを押せば郵便物等の投入が可能な状態である。前扉にはダイヤル錠aが備えられてある。
【0075】
図2は、本発明の係る投入口フラップ開閉制御装置Cを前扉背面側に設けた状態を示す前入れ前出しタイプの郵便受け箱Aの平面図である。前扉が開いた状態にある。
【0076】
図3および図4は、本発明に係る投入口フラップ開閉制御装置Cを備えた郵便受け箱の前扉背面側の斜視図および投入口フラップ開閉制御装置Cの分解斜視図をそれぞれ示す。
【0077】
図5は本発明に係る投入口フラップ開閉制御装置Cを構成する断面が逆L字型のスライドプレート4の背面図であり、図6図5の逆L字型スライドプレート4のA−A´線断面図を示す。
【0078】
図7は、投入口フラップ2の開放時における逆L字型スライドプレート4の螺子3による固定状態を示す。図7(a)は、逆L字型スライドプレート4が、投入口フラップの自由端部と接触しない開放状態の低位置に位置づけられていることを示す側面図である。図7(b)は、逆L字型スライドプレート4の背面図であり、逆L字型スライドプレート4の位置が逆T字型スライド溝の先端部431にあり、最下位に位置し、投入口フラップが開放状態である。
【0079】
図8は、逆L字型スライドプレート4を上方にスライドさせ固定保持することにより、投入口フラップ2が閉止状態にあることを示す。図8(a)は側面図であり、図8(b)は背面図である。図8(a)によれば、逆L字型スライドプレート4が上昇し、投入口フラップを閉止状態としていることを示す。図8(b)によれば、逆L字型スライドプレート4を上方へ移動させ逆T字型スライド溝の横部分の基端部432に位置を固定することが示されている。
【0080】
図9は、投入口フラップ開閉制御装置Cを備えた前入れ前出しタイプの郵便受け箱Aの拡大側面図である。図中、逆L字型スライドプレート4は、下方へ移動し、投入口フラップ2と非接触状態となり、投入口フラップ2は閉止されないので、投入口1は開放状態となる。
【0081】
図10は、投入口1の開放時において、逆L字型スライドプレート4の庇部41の存在により、投入口から手を差し入れることができない状態を示す側面図である。
【0082】
図面について、以下、さらに具体的に補足して説明する。 図1および図2は、各種郵便受け箱のうち、前入れ前出しタイプの郵便受け箱Aを示したものである。図2中、4は投入口フラップ開閉制御装置Cを構成する逆L字型スライドプレートであり、その配置を示す。投入口フラップ2を開放または閉止する際、前扉を開いた状態で、逆L字型スライドプレート4の固定保持位置をセットすることができるので、操作は極めて容易であり、かつ、確実に行うことができる。
【0083】
図3は、本発明に係る投入口フラップ開閉制御装置Cの斜視図である。図中、1は投入口であり、投入口上縁部11、投入口下縁部12を示す。投入口フラップの基端部21を枢着している回動軸は、記載を省略している。支持部材として螺子3が、逆L字型スライドプレート部材として逆L字型スライドプレート4を示す。逆L字型スライドプレート4は庇部41とプレート部42の一体化成形体である。プレート42には穿設された逆T字型スライド溝43が示されている。図3において、逆L字型スライドプレート4は、投入口下縁部12に近接して固着した固定具31に穿孔された螺孔32に、該逆L字型スライドプレート4のプレート部41に設けられたスライド溝43に挿入し貫通した螺子3を螺入することにより固定保持される。また、図3は、一部透視図であり、螺子3を螺入する螺孔32、螺孔32を形成させるための固定具31が投入口1の下縁部に固着されていることが透視図で示されている。
【0084】
図4は、本発明に係る投入口フラップ開閉制御装置Cの分解斜視図である。同図によれば、投入口フラップ開閉制御装置Cは、投入口1の上縁部の回動軸に基端部21が枢設される投入口フラップ2と、逆L字型スライドプレート4と、逆L字型スライドプレート4の位置を固定保持する螺子3とから構成される。図4(a)は、郵便受け箱本体Bの前面部の投入口1を設けた前扉の背面側の斜視図である。投入口1の下縁部には、固定具31を固着してある。固定具31には、逆L字型スライドプレート4を支持するためのボルトまたは螺子3を螺入する螺孔32が螺接されてある。図4(b)は、投入口フラップ2の斜視図であり、投入口上縁部に取り付けられた枢支軸に枢設され、回動自在に固定される基端部21およびその他端の先端部である自由端部22が設けられる。図4(c)は、逆L字型スライドプレート4の斜視図であり、逆L字型スライドプレート4は、庇部41、プレート部42、スライド溝43から構成される。螺子3を、逆L字型スライドプレート4のプレート部42のスライド溝43に挿入し、固定具31の螺孔32に螺入することにより、逆L字型スライドプレート4が固定される。
【0085】
図5に示す逆L字型スライドプレート4は、横方向の庇部41と縦方向のプレート部42との一体成型であり、プレート部42には穿孔された逆T字型スライド溝43が設けてある。
【0086】
図6によれば、逆L字型スライドプレート4の庇部41とプレート部42との間の内角度(α)が示され、本発明の一実施形態として、郵便受け箱の箱体の高さ150mm以下を前提に、投入口の大きさ、投入口の下縁部の高さ位置100mm以下等の条件を勘案して108度に設定してある。
【0087】
前記庇部41の長さは手の挿入を防御できる程度の長さに調整してあり、内角度(α)と庇部41の長さとを特定することにより盗難防止において著しく顕著な効果を奏することができ
る。
【0088】
逆L字型スライドプレート4のプレート部42に穿設されたスライド溝43は、本発明の実施形態として逆T字型のも
のを採用しているが、逆T字型以外の逆L字型その他スライドプレート4の上下動を可能にする形態のものであり、投入口フラップ2の閉止可能な高さ位置に固定可能であれば、任意に選択することができる。
【0089】
スライドプレート4の上下動は、図7(b)に示すように、逆L字型スライドプレート4を下方に移動させ、逆T字型スライド溝43の先端部431で螺子3を固定すると、図7(b)で示すようにスライドプレート4の庇部41が投入口下縁部に下降し、スライドプレート4の高さ位置が決まり、投入口フラップ2の自由端部22と非接触状態となり、投入口は開放状態となる。
【0090】
従って、投入口1は、図9にも示すように開放状態となり、郵便物等の投入は可能となるがスライドプレート4の庇部41は、内角度(a)が90度以上であり内側への上昇傾斜状態にあるので、手を差し入れることが困難であり、盗難防止機能が発揮されている。
【0091】
一方、図8(b)に示すように、逆L字型スライドプレート4を上方へスライドさせ、逆T字型スライド溝43の基端部432に螺子3を固定すると、図8(a)で示すようにスライドプレート4が上昇し、投入口フラップ2の自由端部22と接触し、投入口1は閉鎖状態となり、不在時のチラシ投入拒否が可能となる。
【0092】
図10は、逆L字型スライドプレート4の庇部41が仕切板の効果を有し、併せて、投入口フラップ2も上壁に固定されるので、投入口から郵便受け箱Aの内部に手の差し入れを阻止できる状態を示す。
【0093】
本発明に係る郵便受け箱の使用方法
本発明に係る郵便受け箱は、投入口下縁部に固着された支持部材と、該支持部材により、上下可動自在に支持され、かつ任意の高さ位置に固定保持が可能であり、断面が逆L字型のスライドプレート部材とからなる前記投入口フラップの自由端部の開閉制御が可能な投入口フラップ開閉制御手段を備えてなるものであり、投入口1を閉鎖する場合には、前入れ前出しタイプの郵便受け箱Aについては、前扉を開き、逆L字型スライドプレート4のプレート部42に穿設してあるスライド溝43に挿入してある螺子3の位置を逆T字型スライド溝43の横方向のスライド溝基端部432に固定すると、逆L字型スライドプレート4は上昇し、プレート部42により投入口フラップ2の自動端部22を閉止することにより投入口1を閉鎖状態とすることができる。
【0094】
一方、投入口1を開放状態とする場合には、逆L字型スライドプレート4のプレート部42に穿設してあるスライド溝43に挿入してある螺子3の位置を、逆T字型スライド溝43の先端部431に固定すると、逆L字型スライドプレート4は下降し、プレート部42は投入口フラップ2の自由端部22から離れ、非接触状態となるので、投入口フラップ2の閉止状態は解かれ、投入口1は開放状態となる。投入口1が開放状態においては、逆L字型スライドプレート4の特定の長さおよび傾斜度の庇部41および郵便受け箱の上壁に支持された投入口フラップ2により、投入口1は内部に向かって狭くなり、手の差し入れが困難となるので、盗難防止効果を奏するものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、本発明によれば、郵便物等の郵便受け箱からの盗難の防止処置を施した投入口フラップ開閉制御手段を備えた郵便受け箱を提供するものであり、かかる郵便受け箱は、特定の国・地域に拘らずグローバルに使用することができる。実用的価値が高く、また、製造に関連する産業上の利用性も著しく高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】本発明の一実施形態による投入口フラップ開閉制御装置を内蔵した前入れ前出しタイプの郵便受け箱の正面図である。
図2】本発明の一実施形態による前入れ前出しタイプの郵便受け箱の開閉扉を開いた状態の平面図である。
図3】本発明の一実施形態による郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御装置の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御装置の分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御装置の逆L字型スライドプレートの背面図である。
図6図5の逆L字型スライドプレートのA−A’線断面図である。
図7】本発明の一実施形態による郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御装置の使用状況を示す側面図(a)および背面図(b)である。
図8】本発明の一実施形態による郵便受け箱の投入口フラップ開閉制御装置の使用状況を示す側面図(a)および背面図(b)である。
図9】本発明の一実施形態による郵便受け箱の盗難防止機構を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態による郵便受け箱の盗難防止状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0097】
A 郵便受け箱
B 郵便受け箱本体
C 投入口フラップ開閉制御装置
a ダイヤル錠
1 投入口
2 投入口フラップ
21 投入口フラップ基端部
22 投入口フラップ自由端部
3 螺子
31 固定具
311 螺旋状溝
32 螺孔
4 逆L字型スライドプレート
41 庇部
42 プレート部
43 スライド溝
431 スライド溝先端部
432 スライド溝基端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10