(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態に係る入力デバイス1aについて説明する。本実施形態に係る入力デバイス1aは、タッチセンサーを備える情報処理装置100に取り付けられる操作入力用アタッチメントであることとする。情報処理装置100は、携帯型ゲーム機やスマートフォン、家庭用ゲーム機用のコントローラなど、タッチセンサーを備える各種のデバイスであってよい。以下では具体例として、情報処理装置100は、その筐体表面にタッチセンサーが配置された携帯型ゲーム機であることとする。
【0011】
図1A、
図1B、及び
図1Cは、情報処理装置100の外観の一例を示す図であって、
図1Aが正面側から情報処理装置100を見た斜視図、
図1Bが背面側から情報処理装置100を見た斜視図、
図1Cが情報処理装置100の底面図である。これらの図に示されるように、情報処理装置100の正面にはタッチパネル101が、背面にはタッチセンサー102が、それぞれ配置されている。また、情報処理装置100の底面には、USB規格に対応した雌型のコネクタ103が設けられている。
【0012】
タッチセンサー102は静電容量式のタッチセンサーであって、物体が検出面に接触するか、又は検出面上の所定の検出範囲まで接近した場合に、その物体の検出面上における位置を検出する。なお、本実施形態におけるタッチセンサー102は、同時期に検出面上の複数箇所で物体の検出が可能な多点検知型(マルチタッチ)のタッチセンサーであるものとする。
【0013】
入力デバイス1aは、ユーザーからの操作入力を受け付けて、その操作内容を情報処理装置100の背面に配置されたタッチセンサー102に対して入力する。入力デバイス1aは、タッチセンサー102の検出面を覆うように情報処理装置100に取り付けられる。
【0014】
図2A〜
図2Eは、入力デバイス1aの外観の一例を示す図であって、
図2Aは入力デバイス1aの正面図、
図2Bは右側面図、
図2Cは平面図、
図2Dは底面図、
図2Eは背面図である。これらの図に示されるように、入力デバイス1a正面(前面)の略全体にわたって凹部11が形成されており、その凹部11に情報処理装置100が収容される。
図3は、入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付けた様子を示す正面図である。入力デバイス1aの正面上方には情報処理装置100を固定するための爪部12が設けられており、入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付ける際には、この爪部12が情報処理装置100に係合する。また、入力デバイス1aの左右には、ユーザーが手で把持するための把持部13R及び13Lが設けられている。
【0015】
凹部11の底面には、4個の導電部材14a〜14dが配置されている。各導電部材14は、矩形の薄い金属板であって、入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付けた際にタッチセンサー102の検出面と対向するように配置されている。なお、導電部材14a〜14dは、いずれもその位置が入力デバイス1aの表面上において固定されている。そして、入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付けた状態では、入力デバイス1aと情報処理装置100との間の位置関係は変化しない。そのため、導電部材14a〜14dは、入力デバイス1aの使用中、そのタッチセンサー102に対する相対位置が変化せず、導電部材14a〜14dとタッチセンサー102との間の距離も変化しない。
【0016】
入力デバイス1aの正面下方の凹部11側面には、情報処理装置100のコネクタ103に対応した形状の雄型のコネクタ15が突出して設けられている。コネクタ15は、入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付ける際にコネクタ103に挿入される。コネクタ15内にはグラウンド端子15aが配置されており、このグラウンド端子15aは、入力デバイス1aが情報処理装置100に取り付けられる際にコネクタ103のグラウンド端子と電気的に接続される。
【0017】
入力デバイス1aの筐体表面には、4個の押しボタン16a〜16dが配置されている。これらの押しボタン16に対応して、入力デバイス1a内部に4個のスイッチ17a〜17dが設けられている。押しボタン16が押下されていない状態では対応するスイッチ17はオフになっており、いずれかの押しボタン16が押下されると、対応するスイッチ17はオンになる。
【0018】
図4及び
図5は、本実施形態に係る入力デバイス1aの動作原理を説明するための図であって、
図4は入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付けた状態の等価回路図である。また、
図5はその状態における各構成要素の接続関係を模式的に示す図である。なお、ここでは代表して導電部材14aとスイッチ17aの組み合わせを用いて入力デバイス1aの動作原理を説明するが、他の導電部材14b〜14dとスイッチ17b〜17dの組み合わせについても、同様の接続関係により同様に機能するものとする。
【0019】
これらの図に示されるように、入力デバイス1a内において、導電部材14aとグラウンド端子15aとは導線18及び19からなる電流経路によって接続されており、その電流経路の途中にスイッチ17aが配置されている。より具体的に、導電部材14aとスイッチ17aの一端とは導線18によって電気的に接続されており、スイッチ17aの他端とグラウンド端子15aとは導線19によって電気的に接続されている。また、本実施形態では、スイッチ17aに対して抵抗器20が並列に接続されている。以下では、抵抗器20の抵抗値をRsと表記する。
【0020】
前述したように、入力デバイス1aが情報処理装置100に取り付けられる際には、グラウンド端子15aがコネクタ103のグラウンド端子と接続される。そのため、グラウンド端子15aは情報処理装置100全体のグラウンドと電気的に接続されて同電位になる。これにより、グラウンド端子15aはタッチセンサー102のグラウンドとも電気的に接続されることになる。
【0021】
入力デバイス1aが情報処理装置100に取り付けられた状態において、導電部材14aは、タッチセンサー102内の導電膜102bと保護層102aを挟んで対向している。これにより、導電部材14aと導電膜102bとの間には静電容量Cstが形成される。この静電容量Cstは、
図4に示すように、タッチセンサー102内に形成されている検出用の静電容量Csenと並列接続される。
【0022】
前述したように、押しボタン16aが押下されていない状態ではスイッチ17aはオフになっている。この状態では、静電容量Cstには抵抗器20経由でしか電流が流れない。ここで、抵抗値Rsが十分大きければ静電容量Cstには大きな電流が流れないため、静電容量Cstに電荷が蓄積されるまでには比較的長い所要時間がかかる。以下に詳細に説明するように、この所要時間に対してタッチセンサー102の検出サイクルが十分短ければ、タッチセンサー102は導電部材14aの影響をほとんど受けず、その検出結果は導電部材14aが存在しない場合とほぼ変わらなくなる。そのため、スイッチ17aがオフのときには、あたかも導電部材14aが存在しないかのような検出結果が得られることになる。
【0023】
図6Aは、スイッチ17aがオフの状態におけるタッチセンサー102の検出結果を説明するための図であって、タッチセンサー102に蓄積される電荷の時間変化を示している。ここで、時刻t0はタッチセンサー102の1回の検出が開始されるタイミングを示しており、この時刻t0からタッチセンサー102への電圧Eの印加が開始される。また、時刻t1はタッチセンサー102による検出が行われるタイミングを示している。以下では時刻t0から時刻t1までの経過時間を検出時間Tと表記する。図中の実線のグラフは、入力デバイス1が情報処理装置100に取り付けられ、かつスイッチ17aがオフの状態のときの電荷の時間変化を示しており、図中の破線のグラフは、入力デバイス1が情報処理装置100に取り付けられておらず、タッチセンサー102の検出面上に物体が存在しない場合の電荷の時間変化を示している。
【0024】
図中の破線に示されるように、タッチセンサー102の検出面上に何の物体も存在しなければ、タッチセンサー102には静電容量Csenによって時刻t1までに以下の式に示される基準電荷q0が蓄積される。
q0=Csen・E
タッチセンサー102は、時刻t1までに蓄積された電荷の基準電荷q0に対する差分値Δを、検出値として取得する。そして、この差分値Δが所定の判定閾値以上であれば、その検出位置に物体が存在すると判定し、判定閾値未満であれば、物体は存在しないと判定する。
【0025】
導電部材14aがタッチセンサー102の検出面上に配置されて静電容量Cstが形成される場合、十分長い時間が経過するまで待つことができれば、静電容量Cstと静電容量Csenとの合成容量(Cst+Csen)によって、最終的にタッチセンサー102には以下の式に示される電荷q2が蓄積されるはずである。
q2=(Cst+Csen)・E
しかしながら本実施形態では、抵抗値Rsが大きいので、この電荷q2が蓄積されるまでに検出時間Tと比較して長い時間がかかる。そのため、タッチセンサー102の検出が行われる時刻t1までに蓄積される電荷q1は、
図6Aに示されるように基準電荷q0とほとんど変わらない値となる。この場合、差分値Δは判定閾値未満となるので、タッチセンサー102は導電部材14aの存在を検出しない。
【0026】
一方、押しボタン16aが押下されてスイッチ17aがオンになると、スイッチ17a経由で導線18及び19に大電流が流れ、スイッチ17aがオフの場合と比較して短時間で静電容量Cstに電荷が蓄積される。そのため、タッチセンサー102は導電部材14aの位置に物体の存在を検出することになる。
【0027】
図6Bは、この場合のタッチセンサー102の検出結果を説明するための図であって、
図6Aと同様にタッチセンサー102に蓄積される電荷の時間変化を示している。
図6Bにおける時刻t0及びt1は、
図6Aと同様に、それぞれ電圧印加の開始タイミングとタッチセンサー102の検出タイミングを示している。また、図中の破線のグラフは検出対象の物体が存在しない場合の電荷の時間変化を示しており、実線のグラフは入力デバイス1が情報処理装置100に取り付けられ、かつスイッチ17aがオンの状態のときの電荷の時間変化を示している。同図に示されるように、スイッチ17aがオンになっている場合には検出時間Tより短い時間でタッチセンサー102に電荷q2が蓄積される。この場合、差分値Δ=Cst・Eとなり、その大きさが判定閾値を超えるので、タッチセンサー102は導電部材14aの位置に物体が存在することを検出する。このように、スイッチ17aがオフからオンになったときにタッチセンサー102の検出結果が変化することで、情報処理装置100はスイッチ17aの切り替えをタッチセンサー102によって検出することができる。
【0028】
ここで、スイッチ17aの切り替えを検出する際の精度を向上させるためには、電荷q2と基準電荷q0との差を大きくすることが望ましく、そのためには静電容量Cstを静電容量Csenと比較して大きくする必要がある。そこで、可能な限り導電部材14aの面積を大きくするとともに、導電部材14aとタッチセンサー102との間に隙間をつくらないようにして導電部材14aから導電膜102bまでの距離を短くすることが望ましい。特に本実施形態では、入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付けた際には、常に導電部材14aがタッチセンサー102の表面に接触する状態が保たれるよう構成されている。
【0029】
なお、本実施形態では、抵抗器20経由で導電部材14aがグランド端子15aと接続されている。これにより、スイッチ17aがオフのときに、導電部材14aが電気的にタッチセンサー102から独立した状態(いわゆるフローティング)になることを防ぎ、導電部材14aの電位を安定させることができる。ただし、抵抗器20がない場合には、スイッチ17aがオフの状態において静電容量Cstに全く電流が流れず、スイッチ17aがオンに切り替われば静電容量Cstに大電流が流れることになる。そのため、スイッチ17aがオフの状態において導電部材14aの電位が不安定になることを許容できるような検出条件の場合、原理的に抵抗器20の存在は必須ではない。
【0030】
以上説明したように、スイッチ17aの切り替えに応じてタッチセンサー102の検出結果が変化するので、これを利用して、入力デバイス1aはユーザーの押しボタン16aに対する操作入力をタッチセンサー102に検出させることができる。より具体的に、ユーザーが押しボタン16aを押下すると、対応するスイッチ17aがオフからオンに切り替えられ、当該スイッチ17aと接続されている導電部材14aの位置に物体が存在することをタッチセンサー102が検出する。同様に、情報処理装置100は、導電部材14b,14c,及び14dそれぞれの位置におけるタッチセンサー102の検出結果を取得することで、押しボタン16b,16c,及び16dのそれぞれがユーザーによって押下されたことも検出することができる。
【0031】
本実施形態に係る入力デバイス1aは、押しボタン16の物理的な動きを電気的な信号に変換してタッチセンサー102に検出させるので、ユーザーによる操作入力の対象となる押しボタン16をタッチセンサー102上に配置する必要がない。具体的に、押しボタン16は、これと連動するスイッチ17が電気的に導電部材14及びグラウンド端子15aと接続されてさえいれば、タッチセンサー102から離れた任意の位置に配置することができる。また、タッチセンサー102上に配置する導電部材14は、タッチセンサー102に対して相対移動させる必要がなく、タッチセンサー102と対向する固定した位置に配置すればよい。このため本実施形態に係る入力デバイス1aの形状を設計する際には物理的な制約が少なく、デバイス自体を小型化、薄型化したり、押しボタン16をユーザーが操作しやすい様々な位置や向きに配置したりすることができる。
【0032】
また、本実施形態に係る入力デバイス1aは、タッチセンサー102に印加される電圧Eによって静電容量Cstに流れる電流を利用してスイッチ17の切り替えを検出する。そのため、入力デバイス1a側に独自の電源を内蔵する必要がない。
【0033】
また、本実施形態に係る入力デバイス1aは、導電部材14を単にタッチセンサー102上に配置し、グラウンド端子15aを情報処理装置100のグラウンドと接続しさえすれば動作する。そのため、情報処理装置100側に特別なハードウェア構成を設ける必要がなく、筐体表面にタッチセンサーを備える公知の各種の情報処理装置に対して、アタッチメントとして取り付けることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る入力デバイス1aにおいては、情報処理装置100のグラウンドと入力デバイス1aのグラウンド端子15aとが電気的に接続されているので、導電部材14が情報処理装置100から電気的に独立した状態にならない。そのため、指やスタイラスなどタッチセンサーから電気的に独立した物体の位置をタッチセンサーに検出させる場合と異なり、ノイズ等によるタッチセンサーの誤検出が生じにくくなっている。
【0035】
なお、以上の説明ではグランド端子15aをUSBのコネクタ103内のグラウンド端子と接続することとしたが、グラウンド端子15aを情報処理装置100に接続する方法はこのようなものに限られず、各種の方法を採用することができる。情報処理装置100は、USBのコネクタ103に限らず、イヤフォンやマイクロフォン、充電器を接続するためのコネクタなど、各種のコネクタを備えており、これらのコネクタ内にはグラウンド端子が内蔵されている。そこで入力デバイス1aは、これらのコネクタのいずれかと対応する位置及び形状のコネクタ15を設け、その内部に配置されたグラウンド端子15aを情報処理装置100のグラウンドと接続させてもよい。
【0036】
また、グラウンド端子15aは、入力デバイス1aを情報処理装置100に取り付けた際に、情報処理装置100の筐体表面に露出している充電用の端子や、回路基板のグラウンドと導通しているネジなどに接触するよう構成されてもよい。この場合には、入力デバイス1aはグラウンド端子15aを情報処理装置100に接続するためのコネクタ15を必要としないことになる。さらに、情報処理装置100の筐体表面の一部が金属などの導電体で構成され、かつこの導電体が情報処理装置100のグラウンドになっていれば、この導電体にグラウンド端子15aを接触させてもよい。
【0037】
また、以上の説明では各導電部材14は矩形の金属板であることとしたが、導電部材14は矩形に限らず各種の形状であってよい。また、導電部材14は、金属板ではなく、入力デバイス1aの表面に膜状に形成された金属箔などであってもよいし、導電ゴムなどの樹脂製の部材であってもよい。あるいは、金属板の表面に導電ゴムを貼り付けるなど、複数の部品を組み合わせて導電部材14を構成してもよい。
【0038】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る入力デバイス1bについて説明する。本実施形態に係る入力デバイス1bは、第1実施形態と同様に、導電部材14、グラウンド端子15a、押しボタン16、スイッチ17、導線18及び19、並びに抵抗器20を備えている。なお、これらの構成要素のうち、第1実施形態と同様の機能を持つものについてはその詳細な説明を省略し、以下では第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0039】
第1実施形態と異なり、入力デバイス1bは可変抵抗器21をさらに備えている。
図7は、入力デバイス1bを情報処理装置100に取り付けた状態の等価回路図である。同図に示されるように、可変抵抗器21は導電部材14とグラウンド端子15aを結ぶ電流経路上において、スイッチ17と直列に接続されている。また、抵抗器20はスイッチ17及び可変抵抗器21と並列に接続されている。以下では、可変抵抗器21の抵抗値をRvと表記する。
【0040】
この可変抵抗器21は、押しボタン16に対するユーザーの操作量に応じてその抵抗値Rvの大きさが変化する。具体的に、ユーザーが押しボタン16の押下を開始した場合、スイッチ17がオフからオンに切り替わる。そして、さらにユーザーが押しボタン16を押し込むと、その押し込んだ量に応じて可変抵抗器21の抵抗値Rvが変化する。このように押しボタン16に対するユーザーの操作量に応じて抵抗値Rvの大きさが変化する可変抵抗器21は、公知の各種の手法によって実現できる。
【0041】
本実施形態では、可変抵抗器21の抵抗値Rvの変化に応じて、タッチセンサー102の検出結果が変化する。そのため、タッチセンサー102の検出結果を参照することで、情報処理装置100は、ユーザーが押しボタン16をどの程度の操作量で操作したかを特定することができる。
図8は、可変抵抗器21の抵抗値Rvの変化に応じたタッチセンサー102の検出結果の変化を説明するための図であって、
図6A及び
図6Bと同様に、タッチセンサー102に蓄積される電荷の時間変化を示している。また、時刻t0及びt1はそれぞれ電圧印加の開始タイミングとタッチセンサー102の検出タイミングを示しており、破線のグラフは検出対象の物体が存在しない場合の電荷の時間変化を示している。
【0042】
同図においては、抵抗値Rvが大きい場合、中間の場合、及び小さい場合のそれぞれにおける電荷の時間変化が実線L1、L2、及びL3のグラフによって示されている。また、各場合における時刻t1までに蓄積される電荷をそれぞれq3、q4、及びq5とする。同図に示されるように、抵抗値Rvが大きければ大きいほど、タッチセンサー102に電荷が蓄積されるまでに時間がかかるようになるため、時刻t1において検出される電荷の量は少なくなり、差分値Δが小さくなる。そこで情報処理装置100は、この差分値Δを取得してその大きさを評価することによって、ユーザーの押しボタン16に対する操作量を特定することができる。
【0043】
なお、以上の説明では押しボタン16に対する操作量、すなわち、押しボタン16が押し込まれた量を検出することとしたが、入力デバイス1bはこれに限らず、ユーザーが押しボタン16を押下した際の押圧の強さを示す情報をタッチセンサー102に入力することとしてもよい。この場合には、押しボタン16に対する押圧の強さに応じて可変抵抗器21の抵抗値Rvが変化する構成とすればよい。
【0044】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る入力デバイス1cについて説明する。以上の説明では、いずれの実施形態においても入力デバイスはユーザーの押しボタン16に対する操作入力の内容を示す情報をタッチセンサー102に対して入力することとした。しかしながら本発明の実施の形態に係る入力デバイスは、ユーザーによる操作入力の内容に限らず、その他の情報をタッチセンサーに入力するものであってもよい。本実施形態に係る入力デバイス1cはこのような場合の一例を示すものであって、Nビットのデジタルデータを情報処理装置100に対して入力する。
【0045】
図9は、N=4の場合の入力デバイス1cの構成例を説明するための図である。この例における入力デバイス1cは、4個の導電部材14a〜14dと、4個の外部スイッチ22a〜22dと、集積回路23と、を含んでいる。また、集積回路23内には4個のスイッチ素子24a〜24dが含まれており、各スイッチ素子24には抵抗器が並列に接続されている。第1実施形態と同様に、4個の導電部材14a〜14dはタッチセンサー102上に配置される。各導電部材14は外部スイッチ22を経由して集積回路23と接続されている。また、集積回路23内においてスイッチ素子24と接続されている。各外部スイッチ22は、集積回路23と対応する導電部材14との接続切り替えに用いられる。
【0046】
入力デバイス1cがタッチセンサー102に対して情報を入力する際には、まず4個の外部スイッチ22をオンに切り替える。そして、入力すべきデジタルデータに応じてスイッチ素子24a〜24dのそれぞれを切り替えることによって、タッチセンサー102に対して情報を入力する。例えば「1101」という4ビットのデータを入力する際には、スイッチ素子24a,24b,及び24dをオンに切り替え、スイッチ素子24cはオフの状態のままにする。これにより、第1実施形態などと同様の動作原理によりタッチセンサー102は導電部材14a,14b,及び14dの配置位置に物体の存在を検出するので、情報処理装置100はその検出結果をデコードすることで「1101」という4ビットのデータを取得できる。このような処理を所定の周期で繰り返すことによって、1度に4ビットずつ、入力デバイス1cは情報処理装置100に対してデジタルデータを入力することができる。
【0047】
[変形例]
本発明の実施の形態の係る入力デバイスは、以上説明したものに限られない。例えば以上の説明では、入力デバイスは情報処理装置と分離しており、後から情報処理装置に取り付けて使用する操作入力用アタッチメントであることとした。しかしながら、入力デバイスは情報処理装置の筐体内に配置され、情報処理装置と一体に製造されることとしてもよい。この場合にも、タッチセンサーから離れた位置に押しボタンを配置し、その押しボタンに対する操作入力の内容をタッチセンサーに入力することができる。なお、この場合にはタッチセンサーの検出面のうち、少なくとも導電部材が配置される領域は情報処理装置の筐体表面に露出しておらずともよい。
【0048】
また、第1及び第2実施形態では押しボタンに対するユーザーの操作入力の内容をタッチセンサーに対して入力することとしたが、これに限らず本発明の実施の形態に係る入力デバイスは各種の操作部材に対するユーザーの操作内容をタッチセンサーに入力することとしてもよい。この場合にも、入力デバイスは、操作部材と連動するスイッチを内蔵し、操作部材が操作された際には連動してスイッチのオン/オフを切り替えることとする。これにより本発明の実施の形態に係る入力デバイスは、押しボタンに限らず、各種の操作部材に対する操作があったことをタッチセンサーに入力することができる。また、操作部材は回転操作や傾倒操作が可能な種類のものであってもよい。この場合、操作部材を回転させたり傾倒させたりする操作の操作量に応じて可変抵抗器の抵抗値が変化するように構成することで、その操作部材に対してユーザーが行った操作の量を情報処理装置に検出させることができる。
【0049】
ここで、傾倒操作部材に対する傾倒操作の内容をタッチセンサーに入力する手法の一例について、説明する。この例における入力デバイスは、傾倒操作部材200を備えている。
図10A及び
図10Bは傾倒操作部材200の形状を示す図であって、
図10Aが側面方向から見た断面図、
図10Bが平面図である。これらの図に示されるように、傾倒操作部材200は、円板状の操作部201と、支持部202と、ヒンジ203と、を備えて構成されている。操作部201の下面には、支持部202を中心にリング状の導電部材204が固定されている。導電部材204は、抵抗器205を介してグラウンド端子206と接続されており、グラウンド端子206は前述したグラウンド端子15aと同様にタッチセンサー102のグラウンドと接続される。
【0050】
この例では、ヒンジ203がタッチセンサー102の保護層102aの上に固定されており、支持部202はタッチセンサー102の検出面に対して略垂直に立設するように支持されている。支持部202は、ヒンジ203を支点として360度任意の方向に傾けられるように構成されている。ユーザーは、例えば操作部201の上面を指で押さえて支持部202を傾ける操作を行う。
【0051】
導電部材204は、タッチセンサー102内の導電膜102bとの間で静電容量を形成する。そして、この導電部材204から導電膜102bまでの距離は、ユーザーの傾倒操作によって変化する。
図11は傾倒操作中の傾倒操作部材200の様子を示す図である。同図に示すように、ユーザーがいずれかの方向(ここでは紙面左方向)に向けて傾倒操作を行うと、傾倒操作が行われた方向において導電部材204が導電膜102bに接近する。これに応じてタッチセンサー102は、図中の位置Pの近傍において物体の存在を検出する。この位置Pの基準位置(ヒンジ203が配置された位置)に対する向きを特定することで、情報処理装置100は、ユーザーがいずれの方向に傾倒操作部材200を傾けたかを特定する。
【0052】
なお、この例においても、抵抗器205を介して導電部材204が情報処理装置100のグラウンドと接続されているので、第1実施形態に係る入力デバイス1aなどと同様に、導電部材204が情報処理装置100から電気的に独立することを防ぎ、その電位を安定させることができる。