【文献】
「風力発電設備用雷電流計測装置|東光電気株式会社」,2013年 1月12日,URL,http://web.archive.org/web/20130112055704/http://www.tokodenki.co.jp/products/security/wlc.html
【文献】
白石康寛、大塚尊裕,「風力発電設備における直撃雷電流観測」,電気学会論文誌B,2004年,Vol.124, No.12,pp.1529-1535
【文献】
「風力発電設備用雷電流計測装置」,株式会社東光高岳,2014年,URL,http://www.tktk.co.jp/uploads/wlc-3.pdf
【文献】
酒井繁美、細谷雅樹、藤岡博文,「風力発電設備用雷電流計測装置」,東光高岳技報,2015年,Vol.2,pp.38-39,URL,http://www.tktk.co.jp/uploads/giho2015_15.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した計測装置は、所定時刻になったときにデータを外部に送信するので、外部において落雷の発生を瞬時に把握することができない。従って、計測装置における雷電流の計測を風力発電設備の停止等の制御に利用することができない。また、計測装置において、風力発電設備の停止等の制御に利用するために、雷電流が所定値を超えた場合に落雷の発生を外部に通知する構成も考えられる。しかし、この場合、閾値である所定値によっては小さな落雷の発生についても外部に通知することになり、頻繁に風力発電設備の停止等が行われてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、落雷の大きさに応じてデータの記憶と外部装置への信号出力とを分けて実行することができる計測装置及び計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る計測装置は、雷電流を測定するセンサから出力される雷電流の微分波形を積分することにより雷電流の波形に変換する積分回路と、積分回路が変換した雷電流の波形に基づいて、雷電流に関する第1条件が成立したか否か判定する第1判定部と、積分回路が変換した雷電流の波形に基づいて、雷電流に関する第2条件が成立したか否か判定する第2判定部と、第1判定部で第1条件が成立したと判定された場合、雷電流に関するデータを記憶部に記憶し、第2判定部で第2条件が成立したと判定された場合、外部装置に接点信号を出力する制御部と、
積分回路で変換された雷電流の波形におけるピーク値を保持するピークホールド回路と、を備え、
第1判定部は、ピークホールド回路から出力されたピーク値が第1閾値を超えたか否かを判定し、第2判定部は、雷電流の波形におけるピーク値が所定時間更新されないときの当該ピーク値が第2閾値を超えたか否かを判定し、接点信号は、外部装置側に設けられる発電設備を外部装置が制御することに利用されることを特徴とする。
【0008】
また、第1判定部は、雷電流の値が第1閾値を超えた場合に第1条件が成立したと判定し、第2判定部は、雷電流の値が第1閾値よりも大きな値である第2閾値を超えた場合に第2条件が成立したと判定してもよい。
【0009】
また、第1判定部は、雷電流の値が第1閾値を超えた場合に第1条件が成立したと判定し、第2判定部は、雷電流の値が第1閾値よりも大きな値である第2閾値を超えたことと、雷電流のエネルギー値がエネルギー閾値を超えたことのいずれか一方の条件が成立した場合に第2条件が成立したと判定してもよい。
【0010】
また、第1閾値、第2閾値及びエネルギー閾値のうち少なくともいずれか1つを変更する変更部を備える構成でもよい。
【0011】
また、外部の端末とデータ通信を行う通信部を備え、変更部は、通信部を介して受け取る、外部の端末からの要求に応じて閾値を変更してもよい。
【0012】
また、本発明に係る計測方法は、雷電流を測定するセンサから出力される雷電流の微分波形を積分することにより雷電流の波形に変換することと、
変換された雷電流の波形におけるピーク値をピークホールド回路に保持することと、雷電流の波形に基づいて、
ピークホールド回路から出力されたピーク値が第1閾値を超えたか否かを判定することで、雷電流に関する第1条件が成立したか否か判定することと、雷電流の波形に基づいて、
雷電流の波形におけるピーク値が所定時間更新されないときの当該ピーク値が第2閾値を超えたか否かを判定することで、雷電流に関する第2条件が成立したか否か判定することと、第1条件が成立したと判定された場合、雷電流に関するデータを記憶部に記憶することと、第2条件が成立したと判定された場合、外部装置に接点信号を出力することと、を含み、接点信号は、外部装置側に設けられる発電設備を外部装置が制御することに利用される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御部が、第1条件が成立したと判定された場合に雷電流に関するデータを記憶部に記憶し、第2条件が成立したと判定された場合に外部装置に信号を出力するので、落雷の大きさに応じてデータの記憶と外部装置への信号出力とを分けて実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現する場合がある。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、実施形態に係る風力発電設備1の一例を示す構成図である。
図1に示す風力発電設備(風力発電機、風車)1は、風力を利用して発電する発電機であり、再生可能エネルギー発電設備の一種である。
図1に示すように、風力発電設備1は、塔(タワー)2と、風を受け回転する3枚のブレード3と、これらのブレード3の付け根をローター軸に連結するハブ4とを備えている。なお、
図1には示していないが、風力発電設備1は、ハブ4からローター軸を通じて連結された発電機などを収納するナセルも設けられている。
【0017】
図1の部分拡大図に示すように、塔2の脚部には、雷電流のような大電流を測定するために用いるロゴウスキーコイル(センサ、測定器)10が設置されている。このロゴウスキーコイル10は、環状体に線材を密着して巻いたコイルである。このロゴウスキーコイル10の内側(環状体の穴、本実施形態では塔2)を雷電流が通過することで、ロゴウスキーコイル10の両端に雷電流に対応した起電力が誘起される。この起電力の電圧は雷電流の微分波形となっている。ロゴウスキーコイル10は信号線11で計測装置100に接続され、ロゴウスキーコイル10で生じた電圧が計測装置100に出力される。
【0018】
また、
図1の部分拡大図に示すように、塔2の表面には、衛星と通信することにより時刻情報を取得するGPSアンテナ20(GPS:Global Positioning System)が設けられている。このGPSアンテナ20は、信号線21で計測装置100と接続されている。
【0019】
また、
図1の部分拡大図に示すように、塔2の内部には、雷電流を計測する計測装置100が設置されている。計測装置100は、接地線31で接地端子30と接続されている。また、計測装置100は、電源ケーブル40でAC100Vの電源(図示せず)と接続されている。また、計測装置100は、接点接続ケーブル50で制御盤(
図2参照)と接続されている。計測装置100の詳細な構成については後述する(
図2及び
図3参照)。
【0020】
図2は、実施形態に係る落雷監視システムの構成を示すブロック図である。
図2に示す落雷監視システムは、上記したロゴウスキーコイル10、GPSアンテナ20及び計測装置100と、外部装置としての制御盤200とを備えている。
【0021】
計測装置100は、
図2に示すように、風力発電設備1ロゴウスキーコイル10、データ伝送部(通信部)120及びメディアコンバータ130を有している。計測部110は、ロゴウスキーコイル10と接続され、そのロゴウスキーコイル10で生じた電圧(雷電流の微分波形)を入力する。また、計測部110は、GPSアンテナ20で取得された時刻情報を入力する。そして、計測部110は、ロゴウスキーコイル10からの電圧に基づいて雷電流のピーク値(波高値)や雷電流の電荷量(エネルギー値)を計測する。また、計測部110は、GPSアンテナ20からの時刻情報に基づいて、落雷があったときの時刻を特定する。
【0022】
計測部110は、雷電流のピーク値が所定値(本実施形態では第1閾値)を超えた場合に雷電流に関するデータ(以下、このデータを落雷データという。)を記録する。また、計測部110は、雷電流のピーク値が所定値(本実施形態では第2閾値)を超えた場合に、接点接続ケーブル50を介して接点信号を制御盤200に出力する。接点信号はオン・オフの信号であって、本実施形態においては例えば風力発電設備1の自動停止の制御に用いられる。
【0023】
データ伝送部120は、外部の端末としてのクライアントPC400との間で通信を行う処理部である。このデータ伝送部120は、クライアントPC400からの要求に応じて、計測部110内に記録された落雷データを取得してクライアントPC400に送信する。メディアコンバータ130は、異なる伝送媒体を接続し、信号を相互に変換する装置である。メディアコンバータ130は、銅線ケーブルと光ケーブル51とを接続し、それらのケーブルにおける信号を相互に変換する。
【0024】
制御盤200は、計測装置100からの接点信号のオン・オフの状態に応じて風力発電設備1を制御する。なお、制御盤200は、1つの風力発電設備1を制御する場合に限られず、複数の風力発電設備を制御してもよい。
図2に示すように、制御盤200は、メディアコンバータ210を有している。メディアコンバータ210は、メディアコンバータ130と同様に、異なる伝送媒体を接続し、信号を相互に変換する装置である。メディアコンバータ210は、光ケーブル51と通信網300に接続されるケーブルとを接続し、それらのケーブルにおける信号を相互に変換する。
【0025】
クライアントPC400は、インターネットやLANなどの通信網300及びメディアコンバータ210,130を介してデータ伝送部120と通信を行う。発電事業者は、クライアントPC400を操作することにより、計測部110内に記録されている落雷データにアクセスして収集することができる。
【0026】
図3は、
図2に示す計測部110の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、計測部110は、積分回路111、正極性ピークホールド回路112、負極性ピークホールド回路113、記憶部114、信号処理部115及び信号出力部116を有している。積分回路111は、ロゴウスキーコイル10からの微分波形の出力を積分することにより雷電流の波形に変換する。積分回路111は、変換した雷電流を正極性ピークホールド回路112、負極性ピークホールド回路113及び信号処理部115に出力する。
【0027】
正極性ピークホールド回路112は、積分回路111で変換された雷電流における正極のピーク値(波高値)を保持する回路である。負極性ピークホールド回路113は、積分回路111で変換された雷電流における負極のピーク値(波高値)を保持する回路である。ピークホールド回路(正極性ピークホールド回路112及び負極性ピークホールド回路113)は、雷電流を例えば50μsecの間隔でサンプリングする。そして、ピークホールド回路112,113は、雷が発生してから今までにサンプリングした電流値のピーク値(最大値)と今現在サンプリングした電流値とを比較する。ピークホールド回路112,113は、今現在サンプリングした電流値がピーク値よりも大きい場合、ピーク値を入れ替える。ピークホールド回路112,113は、今現在保持しているピーク値を信号処理部115に出力する。記憶部114は、信号処理部115で生成される落雷データを記憶するメモリである。なお、記憶部114はメモリカードのような記憶媒体として構成されてもよい。
【0028】
信号処理部115は、積分回路111から出力される雷電流、及びピークホールド回路112,113から出力される雷電流の正負のピーク値に基づいて、落雷データの生成、落雷データの記憶、接点信号の出力などを行う処理部である。
図3に示すように、信号処理部115は、トリガ判定部(第1判定部)115a、ピーク判定部115b、エネルギー算出部115c、信号出力判定部(第2判定部)115d、制御部115e及び変更部115fを含む。
【0029】
トリガ判定部115aは、正極性ピークホールド回路112からの正極のピーク値(絶対値)又は負極性ピークホールド回路113からの負極のピーク値(絶対値)が第1閾値を超えたか否か判定する。ここで、ピーク値が第1閾値を超えることが第1条件が成立したことに対応する。第1閾値は例えば2[kA]とされる。ピーク判定部115bは、今回の事象(雷)における真のピーク値を判定する。例えば、ピーク判定部115bは、雷電流の波形におけるピーク値が所定時間更新されないときに今回の雷のピーク値と判定する。
【0030】
エネルギー算出部115cは、積分回路111から出力される雷電流に基づいて雷電流の電荷量(エネルギー値、エネルギー量)を算出する。例えば、エネルギー算出部115cは、50μsecのサンプリング間隔で計測時間(1sec)における瞬時電流値を積算することで雷電流の電荷量を算出する。信号出力判定部115dは、ピーク判定部115bで判定されたピーク値(絶対値)が第2閾値を超えたか否か判定する。ここで、ピーク値が第2閾値を超えることが第2条件が成立したことに対応する。第2閾値は風力発電設備1などに応じて変更され得る値である。しかし、本実施形態では、第2閾値は少なくとも第1閾値よりも大きな値とされる。
【0031】
制御部115eは、トリガ判定部115aによりピーク値が第1閾値を超えたと判定された場合に、GPSアンテナ20から時刻情報を取得する。また、制御部115eは、ピーク判定部115bにより判定された雷電流のピーク値を取得し、エネルギー算出部115cにより算出された雷電流の電荷量を取得する。そして、制御部115eは、時刻情報、雷電流のピーク値、及び雷電流の電荷量を落雷データとして記憶部114に記憶する。
【0032】
制御部115eは、信号出力判定部115dによりピーク値が第2閾値を超えたと判定された場合に接点信号を出力する制御を行う。本実施形態では、接点信号はオン・オフ信号であるので、制御部115eは接点信号をオフ状態からオン状態になるように制御する。上位の制御側(制御盤200や風力発電設備1)は、接点信号がオフ状態からオン状態に切り替えられることにより、落雷が発生したことを認識する。変更部115fは、クライアントPC400からの指示信号をデータ伝送部120を介して受け取り、受け取った指示信号が閾値(第1閾値、第2閾値)の変更を要求する指示であった場合は、信号処理部115に設定されている閾値を変更する処理を行う。信号出力部116は、接点信号を制御盤200に出力するための出力インターフェイスである。信号出力部116には接点接続ケーブル50が接続される。
【0033】
次に、
図4から
図6を参照して計測装置100の動作を説明する。
【0034】
図4は、第1実施形態における信号処理部115が実行する信号処理を示すフローチャートである。
図5は、雷電流の波形の一例を示す波形図である。なお、
図5(A)は、夏季にみられる電荷量が小さい雷電流波形の例を示し、
図5(B)は、主に冬季に発生する、継続時間が長く電荷量の大きな雷電流波形の例を示している。
【0035】
図4に示す処理において、まず、トリガ判定部115aは、正極性ピークホールド回路112からの正極のピーク値(絶対値)又は負極性ピークホールド回路113からの負極のピーク値(絶対値)が第1閾値(例えば2[kA])を超えたか否か判定する(ステップS1)。トリガ判定部115aによりピーク値が第1閾値を超えたと判定された場合に(ステップS1のYES)、ステップS2以降の処理が開始される。
【0036】
トリガ判定部115aによりピーク値が第1閾値を超えたと判定されると(ステップS1のYES)、制御部115eは、GPSアンテナ20から現在の時刻(年月日及び時分秒)を示す時刻情報を取得する(ステップS2)。また、ピーク判定部115bは、今回の雷電流の波形における真のピーク値を判定する(ステップS3)。
図5(A)に示す例では、雷電流が負極の電流値の波形となっているので、ピーク判定部115bは真のピーク値として負極のピーク値を判定する。
図5(B)に示す例では、雷電流が負極の電流値の波形と正極の電流値の波形となっているので、ピーク判定部115bは真のピーク値として負極のピーク値と正極のピーク値とを判定する。
【0037】
また、エネルギー算出部115cは、積分回路111から出力される雷電流に基づいて雷電流の電荷量(エネルギー量)を算出する(ステップS4)。上述したように、エネルギー算出部115cは、例えば50μsecのサンプリング間隔で計測時間(例えば1sec)における瞬時電流値を積算することで雷電流の電荷量を算出する。
図5(A)に示す雷電流の波形においては、雷電流の継続時間が短く、雷電流の電荷量も小さい。これに対して、
図5(B)に示す雷電流の波形においては、正極の雷電流の継続時間が長く、雷電流の電荷量が大きい。このように電荷量の大きな雷が風力発電設備1に落雷すると、風力発電設備1に被害を及ぼす可能性が高い。
【0038】
次に、制御部115eは、計測時間が終了したか否か判定する(ステップS5)。制御部115eにより計測時間が終了したと判定されるまで、ピーク判定部115b及びエネルギー算出部115cはステップS3及びステップS4の処理を繰り返し実行する。
【0039】
制御部115eが計測時間が終了したと判定した場合(ステップS5のYES)、信号出力判定部115dは、ピーク判定部115bで判定されたピーク値(絶対値)が第1閾値よりも大きな値である第2閾値を超えたか否か判定する(ステップS6)。信号出力判定部115dによりピーク値が第2閾値を超えたと判定された場合は(ステップS6のYES)、制御部115eは、接点信号を制御盤200に出力する(ステップS7)。すなわち、制御部115eは、接点信号をオフ状態からオン状態に切り替える。これにより、制御盤200は、第2閾値以上の雷電流の雷が発生したことを認識し、例えば自動的に風力発電設備1を停止するように制御する。
【0040】
その後、制御部115eは、落雷データを記憶部114に記憶する(ステップS8)。
図6は、記憶部114に記憶される落雷データの一例を示す図である。
図6に示すように、落雷データにおいて、落雷ごとに番号(No)が付され、この番号に対応つけて、アドレス情報(
図6の「ADDRESS」)、落雷発生時刻情報(
図6の「DATE」及び「TIME」)、ピーク値(波高値)の情報(
図6の「P[kA]N[kA]」)、電荷量の情報(
図6の「Q[C]」)が記憶部114に記憶される。ここで、アドレス情報は、計測装置100に予め割り当てられたアドレスの情報(インターネットやLANで通信を行うためのIPアドレスやMACアドレス)である。落雷発生時刻情報は、GPSアンテナ20により取得された年月日(例えば「DATE」における「13/11/27」)及び時分秒(例えば「TIME」における「07:37:21.0861」)である。なお、時分秒の情報には1/10000秒の情報も含まれる。ピーク値の情報は、ピーク判定部115bで判定された正のピーク値(P[kA])と負のピーク値(N[kA])である。電荷量の情報は、エネルギー算出部115cで算出された電荷量である。
【0041】
以上に説明したように、第1実施形態では、センサ10で測定した雷電流に関する第1条件が成立したか否か判定する第1判定部115aと、雷電流に関する第2条件が成立したか否か判定する第2判定部115dと、第1判定部115aで第1条件が成立したと判定された場合、雷電流に関するデータを記憶部114に記憶し、第2判定部115dで第2条件が成立したと判定された場合、外部装置200に信号(接点信号)を出力する制御部115eとを備える。このような構成によれば、落雷の大きさに応じて記憶部114への落雷データの記憶と外部装置200への信号出力とを分けて実行することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、第1判定部115aは、雷電流の値が第1閾値を超えた場合に第1条件が成立したと判定し、第2判定部115dは、雷電流の値が第1閾値よりも大きな値である第2閾値を超えた場合に第2条件が成立したと判定する。このような構成によれば、小さな落雷についても落雷データを記憶部114に記憶することができるとともに、小さな落雷の発生によっては外部装置200に信号を出力させないようにすることができる。従って、落雷が発生する度に頻繁に風力発電設備の停止等が行われてしまうのを防止することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、第1閾値及び第2閾値を変更する変更部115fを備える。このような構成によれば、発電事業者等が風力発電設備1の規模等に合わせて第1閾値及び第2閾値を設定変更することができる。また、発電事業者等が落雷データの実績値に基づいて第2閾値を風力発電設備1の被害を引き起こさない値に設定変更することができる。また、第1実施形態では、外部の端末400とデータ通信を行う通信部120を備え、変更部115fは、通信部120を介して受け取る、外部の端末400からの要求に応じて閾値を変更する。このような構成によれば、発電事業者等が外部の端末400による遠隔操作によって閾値の設定変更を行うことができる。
【0044】
<第2実施形態>
上記した第1実施形態では、信号出力判定部115dは、雷電流のピーク値が第2閾値を超えたと判定された場合に接点信号を出力していた(ステップS6,S7参照)。これに対して、第2実施形態では、信号出力判定部115dは、雷電流のピーク値が第2閾値を超えたか、エネルギー値(電荷量)がエネルギー閾値を超えたと判定された場合に接点信号を出力する。
【0045】
図7は、第2実施形態における信号処理部115が実行する信号処理を示すフローチャートである。なお、
図7に示すステップS1〜S5及びS7〜S8の処理は、
図4に示した処理と同様であるため、同一の処理には同一符号を付すことで重複する説明を省略する。
【0046】
ステップS6Aにおいて、信号出力判定部115dは、ピーク判定部115bで判定された雷電流のピーク値が第2閾値を超えたか否かと、エネルギー算出部115cで算出されたエネルギー値(電荷量)がエネルギー閾値を超えたか否かを判定する。そして、信号出力判定部115dは、ピーク値が第2閾値を超えたことと、エネルギー値がエネルギー閾値を超えたことのいずれか一方の条件が成り立った場合、つまり、2つの条件のORが成立した場合に(ステップS6AのYES)、接点信号を制御盤200に出力する(ステップS7)。このような構成によれば、エネルギー値が小さいが電流値が大きい雷が発生した場合、又は電流値が小さいがエネルギー値が大きい雷が発生した場合のいずれの場合も接点信号を出力することができる。従って、落雷による風力発電設備1の被害の発生を確実に防止することができる。
【0047】
なお、信号出力判定部115dは、エネルギー算出部115cで算出されたエネルギー値がエネルギー閾値を超えた場合に接点信号を出力させてもよい。この場合、風力発電設備1に被害を及ぼすエネルギー値(電荷量)の大きな落雷に対してだけ接点信号を出力させることができる。従って、むやみに風力発電設備1の自動停止等の制御が実行されてしまうことを防止することができる。
【0048】
信号処理部115における各処理部(トリガ判定部115a、ピーク判定部115b、エネルギー算出部115c、信号出力判定部115d、制御部115e、変更部115f)は、ソフトウェアで構成されてもハードウェアで構成されてもよい。すなわち、信号処理部115がCPUを備え、そのCPUが制御プログラムに基づいて実行する処理又は制御によって信号処理部115における各処理部が実現されてもよい。また、信号処理部115における各処理部が回路等のハードウェアで実現されてもよい。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。また、上記の実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。そのような変更又は改良、省略した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【0050】
例えば、計測装置100から出力される接点信号は、風力発電設備1の自動停止に利用されていたが、発電事業者等に落雷の発生を知らせるメール送信などに利用してもよい。また、計測装置100はクライアントPC400から遠隔操作可能に構成されていなくてもよい。この場合、データ伝送部120、メディアコンバータ130、メディアコンバータ210を設ける必要はない。