【文献】
Multiple Sclerosis Journal, 2011.10, vol.17, Suppl., p.s34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)は、(RXRとして知られる)レチノイドXレセプターとのヘテロ二量体の形において、ペルオキシソーム増殖因子応答エレメント(PPRE)として知られるDNA配列のエレメントに結合することによって転写を活性化する。ヒトPPARの3つのサブタイプが同定され、記載されている:PPARα、PPARγ(PPARガンマ)およびPPARδ(またはNUC1)。PPARαは、主に肝臓において発現される一方、PPARδは偏在している。PPARγは、3つのサブタイプの中で最も広く研究されている。例えば「ヒトケラチノサイトの分化の間のペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターサブタイプの異なる発現」Michel Rivier et al., J. Invest. Dermatol., 111, 1998, pp.1116-1121を参照されたい、その中にPPARタイプのレセプターに関連する多数の参照文献が記載されている。また、Timothy M. Willson, Peter J.Brown, Daniel D. Sternbach and Brad R. Henke, J. Med. Chem., 2000, Vol. 43, pp.527-550「PPAR:オーファンレセプターから創薬へ」と題した報告書もされている。PPARγは、それが大量に発現される脂肪細胞の分化の制御において重要な役割を果たすことが示唆される。それはまた、全身の脂質恒常性において重要な役割を有している。
【0003】
ロシグリタゾン、ロシグリタゾンマレアート、ピオグリタゾン、ピオグリタゾンヒドロクロリド、トログリタゾンおよびシグリタゾンおよびまたはその塩形態を含むチアゾリジンジオン類の化合物(いわゆるグリタゾンのグループ)が、PPAR−ガンマの強力かつ選択的なアクチベーター(いわゆるPPARガンマアゴニスト)であり、PPAR−ガンマレセプターに直接結合し(J. M. Lehmann et al., J.30 Biol. Chem. 12953-12956, 270 (1995))、PPAR−ガンマがチアゾリジンジオンの治療作用のための有力な標的であるという証拠を提供することが報告されている。この観察から、この核内ホルモンレセプターの活性化は、多面的な代謝性および非血糖降下作用を有することが示されている。2型糖尿病(またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM))の処置における薬剤の臨床使用は、インスリンのグルコース低下効果に対する感作ならびに標的組織におけるインスリンの他の生物学的作用の増強に関連している。単剤療法として使用する場合、体積膨張をもたらす体液貯留および、一部の患者においては、臨床的な浮腫の報告がある。浮腫の発生率は、これら両方の薬剤がインスリンと組み合わせて使用される場合に増加するようである(Nesto R. W. et al, 2003, Circulation, 108, 2941-2948)。しかしながら、これらの作用に関与する機構は十分に記載されていないが、症状の特性は、腎臓の塩分と水のバランスに対する作用を含む統合生理学的応答を示唆している。PPARガンマレセプターは、腎集合管において見出されており(Guan Y. et al; 2001, Kidney Int. 60, 14-30)、そのため、PPARガンマアゴニストは、腎尿細管代謝に直接関与する可能性があるか、または塩分と水の恒常性に対して二次的な影響を与える可能性がある。PPARガンマアゴニストのピオグリタゾンは、乾癬の処置として例えばBritish Journal of Dermatology 2005 152, pp176-198において推奨されている。
【0004】
核因子赤血球2関連因子2(nuclear factor erythroid-2 related factor 2)または核因子E2p45関連因子(nuclear Factor E2p45-Related Factor (Nrf2))(Nrf2)は、キャップアンドカラー(cap-and-collar)塩基性ロイシンジッパー転写因子であり、細胞の酸化還元ホメオスタシスを維持し、酸化的損傷から細胞を保護する転写プログラムを制御する(Rangasamy T, et al., J Clin Invest 114, 1248 (2004)、Thimmulappa R K, et al.Cancer Res 62, 5196 (2002)、So H S, et al. Cell Death Differ (2006))。NRF2は、これらの遺伝子プロモーターに見出される抗酸化剤応答エレメント(ARE)に特異的に結合することによってその標的遺伝子の転写を活性化する。NRF2制御転写プログラムは、遺伝子の広い範囲を含み、抗酸化物質、例えばγ−グルタミルシステイン合成酵素調節サブユニット(GCLm)、γ−グルタミルシステイン合成酵素触媒サブユニット(GCLc)など、ヘムオキシゲナーゼ−1、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンレダクターゼ(GSR)、グルタチオンペルオキシダーゼ、チオレドキシン、チオレドキシンレダクターゼ、ペルオキシレドキシン(PRDX)、システイン/グルタミン酸トランスポーター(SLC7A11)(7,8)、第II相代謝酵素、NADP(H)キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)、GST、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(Rangasamy T, et al. J Clin Invest 114: 1248 (2004)、Thimmulappa R K, et al. Cancer Res 62: 5196 (2002))、MRP1、MRP2を含むいくつかのATP依存性薬物排出ポンプ(Hayashi A, et al. Biochem Biophy Res Commun 310: 824 (2003)); Vollrath V, et al. Biochem J (2006)); Nguyen T, et al. Annu Rev Pharmacol Toxicol 43: 233 (2003))などが挙げられる。
【0005】
Nrf2の細胞質アンカーであるKEAP1はNrf2と結びつき、またNRF2およびNRF2依存性転写の定常状態レベルを維持するためにCul3依存E3ユビキチンリガーゼ複合体の基質アダプタータンパク質として機能する(Kobayashi et al., Mol Cell Biol 24: 7130 (2004); Zhang D, et al. Mol Cell Biol 24: 10491 (2004))。Keap1遺伝子はヒト染色体遺伝子座19p13.2に位置している。KEAP1ポリペプチドは、三つの主要なドメインを持ち、(1)N末端Broad complex、Tramtrack、およびBric-a-brac(BTB)ドメイン、(2)中央介在領域(IVR)、および(3)6つのC末端ケルヒリピートのシリーズ(Adams J, et al. Trends Cell Biol 10:17 (2000))。KEAP1のケルヒリピートは、Nrf2のNeh2ドメインと結合し、そこにおいて、この領域全体に存在する一連の反応性システインを通じてIVRおよびBTBドメインはNrf2の酸化還元感受性の制御に必要とされる(Wakabayashi N, et al. Proc Natl Acad Sci USA 101: 2040 (2004))。KEAP1は構成的にストレスのない状態においてのNrf2活性を抑制する。
【0006】
酸化剤、生体異物および求電子がNrf2のKEAP1媒介プロテアソームによる分解を妨げ、ひいては増加核内蓄積と、をもたらす、細胞の生存を確保するため、標的遺伝子の転写誘導する(Wakabayashi N, et al. Nat Genet. 35: 238 (2003))。プロサイモシンα、KEAP1の新規結合パートナーは、NRF2−KEAP1複合体の核内解離剤であることが示され、それはNrf2の標的遺伝子の発現を上方制御することができる(Karapetian R N, et al. Mol Cell Biol 25: 1089 (2005))。Nrf2およびPPARガンマの間の特定の相互作用が、例えばAm J Respir Crit Care Med 2010; 182:170-182に示唆されている。
【0007】
本発明によるNrf2アクチベーターは、投与後にNrf2タンパク質の刺激および/または核移行の増加をもたらし、細胞傷害性代謝産物を解毒および除去する遺伝子産物のその後の増加を引き起こす剤である。本発明によるNrf2アクチベーターは、Nrf2、KEAP1、NRF2−KEAP1複合体および/またはその他のものに対して直接作用し得る。本発明のNrf2のアクチベーターは、マイケル付加アクセプター、1または2以上のフマル酸エステルを含んでもよく、すなわち、フマル酸モノおよび/またはジエステルであり、好ましくはモノアルキル水素フマラートおよびジアルキルフマラートの群から選択され、例えば、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラートおよびジエチルフマラートなどであり、さらにはエタクリン酸、バルドキソロンメチル(メチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート)、イソチオシアナート、例えばスルホラファン、1,2−ジチオール−3−チオン、例えばオルチプラズなど、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−ヒドロキシクマリン、または薬理学的に活性な誘導体または上記の剤のアナログである。
【0008】
本発明によるPPARガンマアゴニストと組み合わせて使用するための非常に好ましいNrf2アクチベーターは、バルドキソロンメチルおよびフマル酸エステルである。
フマル酸エステルは、ドイツにおいては乾癬の処置のために承認されており、米国では乾癬および多発性硬化症の処置のために評価され、および免疫性、自己免疫性および炎症性疾患および状態の広い範囲の処置において使用するために提案されている。FAEおよび他のフマル酸誘導体は、免疫性、自己免疫性および/または炎症プロセスが関与する多種多様な疾患および状態、例えば、乾癬(Joshi and Strebel, WO1999/49858; US 6,277,882; Mrowietz and Asadullah, Trends MoI Med 2005, 111(1), 43-48; and Yazdi and Mrowietz, Clinics Dermatology 2008, 26, 522-526)、喘息および慢性閉塞性肺疾患(Joshi et al., WO2005/023241 and US2007/0027076)、左心室不全、心筋梗塞や狭心症などの心不全(Joshi et al., WO2005/023241、Joshi et al.、US2007/0027076)、ミトコンドリア病および神経変性疾患例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、網膜色素変性症およびミトコンドリア脳筋症など(Joshi and Strebel、WO2002/055063、US2006/0205659、US6,509,376、US6,858,750、およびUS7,157,423)、移植(Joshi and Strebel、WO2002/055063、US2006/0205659、US6,359,003、US6,509,376、およびUS7,157,423、およびLehmann et al, Arch Dermatol Res 2002, 294, 399-404) 自己免疫疾患(Joshi and Strebel、WO2002/055063、US 6,509,376、US7,157,423、およびUS2006/0205659) 、例えば、多発性硬化症MS)(Joshi and Strebel, WO1998/52549 and US6,436,992、Went and Lieberburg, US2008/0089896; Schimrigk et al., Eur J Neurology 2006, 13, 604-610、およびSchilling et al., Clin Experimental Immunology 2006, 145, 101-107)、虚血および再灌流傷害(Joshi et al., US 2007/0027076); 年齢により誘発されたゲノム損傷(Heidland, WO2005/027899) クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、関節炎、その他(Nilsson et al., WO 2006/037342およびNilsson and Muller, WO2007/042034) の処置に使用するために提案される。これら全ての適応症および疾患は、本発明の併用処置で処置または予防できる。
【0009】
Fumaderm(登録商標)は、急速にフマル酸モノメチルに加水分解されるフマル酸モノエチルおよびジメチルフマル酸の塩混合物を含有する腸溶性コーティング錠剤は、乾癬の処置のために1994年にドイツで承認された。Fumaderm(登録商標)を、乾癬の処置のために1〜2グラム/日でTID投与する。バイオジェン・アイデック社は、現在、再発寛解型多発性硬化症の処置における製品名BG−12の下でジメチルフマラートを評価している。薬剤は、米国および欧州の規制当局で検討されている。フマル酸誘導体(Joshi and Strebel, WO2002/055063、US2006/0205659、およびUS7,157,423(アミド化合物およびタンパク質−フマル酸複合体)、Joshi et al., WO2002/055066およびJoshi and Strebel, US 6,355,676(モノおよびジアルキルエステル)、Joshi and Strebel, WO2003/087174(炭素環およびオキサカルボシル酸化合物)、Joshi et al., WO2006/122652(チオコハク酸)、Joshi et al., US2008/0233185(ジアルキルおよびジアリールエステル)および塩(Nilsson et al., US2008/0004344) は、フマル酸エステルを用いた現在の治療の欠点を克服するために開発されてきた。フマル酸エステルを含む医薬組成物の制御放出がNilsson and Mueller, WO2007/042034によって開示されている。プロドラッグはNielsen and Bundgaard, J Pharm Sci 1988, 77(4), 285-298 によってWO2010/022177に記載されている。
【発明の概要】
【0010】
好ましくは、用語「アルキル」は、具体的には、任意の飽和程度またはレベルを有する基を含むものとし、すなわち、もっぱら炭素−炭素単結合を有する基、1または2以上の炭素−炭素二重結合を有する基、1または2以上の炭素−炭素三重結合を有する基および炭素−炭素の単結合、二重結合、三重結合の組み合わせを有する基である。特定のレベルの飽和が意図される場合、用語アルカニル、アルケニル、およびアルキニルが使用される。特定の態様においてアルキル基は1〜20個の炭素原子(C1−20)を有することができ、特定の態様において、1〜10個の炭素原子(C1−10)、特定の態様において、1〜8個の炭素原子(C1−8)、特定の態様において、1〜6個の炭素原子(C1−6)、特定の態様において、1〜4個の炭素原子(C1−4)および特定の態様において、1〜3個の炭素原子(C1−3)である。用語「アルコキシ」は、O−アルキル基を指し、ここで、アルキルが上述の意味を有する。用語「ペルフルオロアルキル」は、アルキル基を指し、ここで、全ての水素原子がフッ素で置き換えられている。
【0011】
「処置すること」または疾患の「処置」とは疾患または疾患の少なくとも1つの臨床症状を回復に向かわせること、緩和すること、進行を止めること、または改善すること、疾患または疾患の少なくとも1つの臨床症状にかかるリスクを低減すること、疾患または疾患の少なくとも1つの臨床症状の進行を阻害すること、疾患または疾患の少なくとも1つの臨床症状のを発症するリスクを低減することを指す。また、「処置すること」または「処置」は、物理的に(例えば、認識できる症状の安定化)、生理的に(例えば、物理的パラメータの安定化)、またはその両方で疾患を抑制すること、および患者が認識できても、認識できなくてもよい少なくとも1つの物理的パラメータを阻害することを指す。特定の態様において、「処置すること」または「処置」は、患者がその病気をまだ経験していないか、または症状を示していなくても、病気にかかり得る、またはかかりやすい患者における疾患または少なくとも1または2以上のそれらの症状の発症を遅らせることを指す。
【0012】
「治療量」は、疾患または疾患の少なくとも1つの臨床症状を処置するために対象に投与された際に、疾患またはその症状のこのような処置に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。「治療量」は、例えば、化合物、疾患および/または疾患の症状、疾患および/または疾患あるいは障害の症状の重症度、処置すべき患者の年齢、体重、および/または健康状態、および処方する医師の判断によって異なる。いかなる所定の場合において適切な量は、当業者によって確認でき、または日常的な実験によって決定することが可能である。
【0013】
「治療有効用量」は、患者において疾患または障害の有効な処置を提供する用量を指す。治療有効用量は化合物ごとに、および患者ごとに異なる可能性があり、患者の状態および送達経路などの要因に依存し得る。治療有効用量は、当業者に公知の日常的な薬理学的手順に従って決定されてもよい。
【0014】
本明細書を通して、用語「単離されたNrf2アクチベーター」は、好ましくは、天然に存在する場合に、天然でそれぞれのNrf2アクチベーターを伴う他の成分および他の分子から実質的に分離されるNrf2アクチベーターを指す。用語は、その天然に存在する環境またはその自然の状態から天然でそれに関連する他の分子を分離する精製工程を経て、例えば、クロマトグラフィー、結晶化、蒸留などの公知の従来法によって取り出されたNrf2アクチベーターを包含する。用語「単離されたNrf2アクチベーター」は、好ましくは、Nrf2アクチベーターが、様々な量、例えば約20重量%までの水との混合物であることを、依然として可能にする。用語「単離されたNrf2アクチベーター」は、好ましくは、自然な状態のままである、例えば、植物などの発生源またはその一部にまだ含有されているNrf2アクチベーターを、この発生源が乾燥しているか否かにかかわらず除外する。さらに、用語「単離されたNrf2アクチベーター」は、好ましくは、天然のあるいは合成によって製造された分子を指し、所望の場合、医薬組成物に配合される前に70重量%を上回る純度、好ましくは80重量%を上回る、さらに好ましくは、90重量%を上回る、例えば約95重量%、約97重量%あるいは約99重量%などの純度を有する。Nrf2アクチベーターが天然に、例えば天然物として存在する場合は、好ましくは単離されたNrf2アクチベーターであり、すなわち、例えば漢方薬などの形態ではない。
PPARガンマアゴニストが天然に、例えば天然物として存在する場合は、好ましくは単離されたPPARガンマアゴニストであり、すなわち、例えば漢方薬などの形態ではない。
化合物、組成物、および方法の特定の態様について詳細に参照する。開示された態様は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0015】
本発明によると、PPARアゴニストおよび好ましくはPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターを組み合わせて疾患の処置に使用する場合、PPARガンマアゴニストまたはNrf2アクチベーター単独での処置と比較して、大きく改善された処置結果が自己免疫および/または炎症性疾患の処置において得られる。PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの同時投与またはPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの固定用量の併用投与は、治療効果の改善をもたらし、それぞれ単剤療法として投与されるPPARガンマアゴニストまたはNrf2アクチベーターの投与と比較して、その相加効果以上のものであり得る。
【0016】
特に、PPARガンマアゴニストおよびNrf2活性化効果の両方を有するデキサメタゾンなどの化合物の使用から生じる炎症および/または自己免疫疾患において有利な治療結果が、PPARガンマアゴニストまたはNrf2活性化効果のそれぞれいずれかを有する少なくとも2つの個々の異なる化合物が用いられる本発明の併用
処置に
並ばれるか、あるいは
さらには凌駕され得ることが見出された。従って、Nrf2に対して全く影響しないかあるいは軽微な調節または活性化効果のみを有し得る少なくとも1つのPPARガンマアゴニスト、PPARガンマアゴニストに対して全く影響しないかあるいは軽微な調節または活性化効果のみを有し得る少なくとも1つのNrf2を含む併用療法は、それぞれ単剤療法として投与される該PPARガンマアゴニストまたは該Nrf2アクチベーターの投与と比較して、改良された相乗的な治療効果をもたらす。相乗効果は、多くの場合、用いられる剤が、主に、PPARガンマアゴニストまたはNrf2アクチベーターのいずれかであって、各々がそれぞれもう一方の標的に対して重大な作用を有さないような組み合わせで
、より際立つ。それにもかかわらず、剤の一方または両方が同時に有意なPPARガンマアゴニストおよびNrf2活性化効果を示すような場合、例えば、デキサメタゾンおよび15−デオキシ−デルタ(12,14)−プロスタグランジンJ(2)(15d−PGJ(2))の場合であっても、本発明による併用
処置は、単独療法を上回る改善された処置結果をもたらすことができる。標的PPARガンマおよびNrf2に対しての二重効果を有する化合物は、治療的な使用のための両方の標的に対して理想的な分布効果を示すことはほとんどない。本発明を適用することにより、各標的は個別に対処され、それぞれの剤に適切かつ適正な濃度で活性化することができる。
【0017】
したがって、少なくとも1つの剤が同時にPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの両方ではない態様が好ましい。
本発明の併用療法および固定用量の組み合わせは、併用において使用される濃度において、PPARガンマアゴニストまたはNrf2活性化効果のいずれかを有する少なくとも2つの異なる剤を含んでいるのが好ましい。
本発明は、併用療法、本発明の剤の組合せを含む組成物および関連の固定用量の組み合わせに関し、ここで、PPARガンマアゴニストなどのPPARアゴニストおよびNrf2アクチベーターが、好ましくは異なる化学構造を有する異なる化合物であり、例えば少なくとも3個の炭素原子、好ましくは少なくとも5個または少なくとも10個の炭素原子などの炭素数の違いを有し、同じ化学的分類に属さない。特に示されていない場合、本明細書全体を通して、単数形の使用は複数も含む。
好ましいPPARアゴニストは、有意にNrf2を活性化することなくPPARガンマアゴニスト作用を有する化合物である。これらは、好ましくは、生理的条件下で有機チオール基と、例えばグルタチオンと共有結合を形成する能力を有さない化合物である。したがって、好ましいPPARガンマアゴニストは、例えば15−デオキシ−デルタ(12,14)−プロスタグランジンJ(2)(15d−PGJ(2))と違って、例えばPPAレセプターへのマイケル付加反応を通じて共有結合することができない化合物である。最も好ましいPPARアゴニストは、グリタゾン、グリタザルとサルタンである。
【0018】
PPARアゴニストは、PPARアクチベーターである(例えばPPARガンマアゴニストは、PPARガンマアクチベーターである)。本発明に係る「PPARアゴニスト」および「PPARガンマアゴニスト」の定義は、好ましくは、そのようなアゴニスト、すなわちPPAレセプターに直接結合し、アゴニスト作用を有する、すなわち作用を活性化する化合物ならびに、これは必ずしもPPARレセプターに結合しないが、他の経路を通じて、例えば内因性PPARガンマアゴニスト15−デオキシ−デルタ(12,14)−プロスタグランジンJ(2)(15d−PGJ(2)の濃度を増加させることによって、PPARの活性化をもたらす、いわゆる生理学的PPARアゴニストおよび生理学的PPARガンマアゴニストを含む。多数の天然および合成PPARアゴニストが知られている(例えばMichalik et al. (2006) Pharmacological Reviews 58:726-725、Gilde et al. (2003) Circulation Research 92(5):5 18-524、Peraza et al. (2005) Toxicological Sciences 90(2):269-295、および Desvergne & Wahli (1999) Endocrine Reviews 20(5):649-688を参照)。他のものは複数のPPARサブタイプを標的とする一方で、これらの公知のアゴニストのいくつかは、単一のPPARアイソタイプに特異的である。PPARアゴニストがPPARガンマを、または同時にPPARガンマとPPARアルファをより強く活性化する場合に、PPARアゴニストは他のアイソフォームよりも好ましい。
【0019】
一態様において、PPARアゴニストは、PPARガンマアゴニスト、例えばグリタゾンおよびPPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、例えばグリタザルなどからなる群から選択されてもよい。さらに別の態様において、グリタゾンは、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾン、ネトグリタゾン、イサグリタゾン、MC−555、バラグリタゾン、リボグリタゾン等からなる群から選択されてもよい。さらに別の態様において、グリタザルは、ムラグリタザル、ナベグリタザル、テサグリタザル、ラガグリタザル、レグリタザルおよびファルグリタザルからなる群から選択されてもよい。さらに別の態様において、PPARアゴニストは、ベルベリン、K−111、INT−131、MBX−102(メタグリジセン)、MBX−2044、FK614、GSK−376501、GW1929、S26948、プシー−バプチゲニン等、例えばUS5002953、US4687777およびUS5965584に開示されているものから選択される。ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンが非常に好ましく、最も好ましいのはピオグリタゾンヒドロクロリドおよびロシグリタゾンマレアートである。
【0020】
本発明のさらに好ましい態様において、PPARガンマアゴニストは、スタチンまたはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の類から選択され、好ましくはアトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シムバスタチン、メバスタチンおよびピタバスタチンから選択される。スタチンは、肝臓におけるコレステロールの産生において中心的な役割を果たす酵素HMG−CoAレダクターゼを阻害することにより、コレステロールレベルを下げるために使用される剤の類である。増大したコレステロールレベルは循環器疾患につながり、したがって、スタチンはこれらの疾患の予防に使用される。スタチンはまた、多発性硬化症の処置のために推奨される(例えばUS2004/0013643)。スタチンは、PPARガンマを間接的にのみ、活性化すると考えられているが(Circ Res. 2007; 100:1442-1451)、それらは、生理学的PPARガンマアゴニストとして、本発明の目的のためのPPARガンマアゴニストの定義に含まれる。
【0021】
本発明のさらに好ましい態様において、PPARガンマアゴニストは、サルタンの化学的分類から選択され、また、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト、アンジオテンシンレセプター遮断薬(ARB)、またはAT1レセプターアンタゴニストとして知られている。サルタン、例えばバルサルタン、ロサルタン、アジルサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、カンデサルタンおよびエプロサルタンは、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系を調節する医薬品の群である。本発明に用いられる好ましいサルタンは、PPARガンマに結合し、活性化することが示された(Drug Development Research 67:579-581, 2006)ロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタンおよびカンデサルタンから選択される。サルタンによる処置は、多発性硬化症を改善することが示唆されている。サルタンは、主に高血圧、糖尿病性腎症(糖尿病に起因する腎損傷)および慢性腎疾患ならびにうっ血性心不全の処置に使用され、また、好ましくは、本発明によるNrf2アクチベーターと組み合わせる場合は、これらの疾患および状態のために使用される。
【0022】
本発明のさらに好ましい態様において、PPARガンマアゴニストは、PPARガンマ活性化特性を有する非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、好ましくはインドメタシン、フルフェナム酸、フェノプロフェンおよびイブプロフェンから選択される(The Journal of Biological Chemistry, vol. 272, no. 6, issue 7, pp. 3406-3410, 1997)。NSAIDは、PPARに直接結合するか、または生理学的PPARガンマアゴニストとして作用することができることから、本発明の目的のためのPPARガンマアゴニストの定義に含まれる。一態様において、アスピリン以外のNSAIDが好ましい。
【0023】
NSAIDの群は、以下の化合物を含む:サリチル酸、例えばアスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルニサール、サルサラート、プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、デキシブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デキスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、酢酸誘導体、例えばアシンドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、エノール酸(オキシカム)誘導体、例えばピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、フェナム酸誘導体(フェナマテス)、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、選択的COX−2阻害剤(コキシブ)、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、スルホンアニリデス、例えばニメスリドおよびその他、例えばリコフェロン、リシンクロニキシナート。
【0024】
Nrf2活性化化合物は、それらの化学構造に基づいて分類することができる:ジフェノール、マイケル反応アクセプター、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、三価ヒ素、1,2−ジチオール−3−チオン、ヒドロペルオキシド、ビシジメルカプタン、重金属、およびポリエン。さらに、Nrf2アクチベーターは(i)すべてが化学的に反応性で、(ii)ほぼすべてが求電子剤であり、(iii)多くはグルタチオン転移酵素の基質であり、および(iv)すべてのアルキル化、酸化、または還元によってスルフヒドリル基を修飾することができる(PNAS February 17, 2004 vol. 101 no. 7 2040-2045, Mol. Cell. Biol. 2009, 29(2):493)。化合物の活性は、公知の方法によって同定することができる。
【0025】
好ましいNrf2アクチベーターは、重大なPPARガンマアゴニスト作用のない化合物である。これらは、好ましくは、PPAレセプターに共有結合してもしなくてもよい化合物であるが、PPAレセプターの活性化をもたらす程度にまでPPARおよび好ましくはPPAガンマレセプターの構造を変化させることはできない。本発明によれば、これらの好ましいNrf2アクチベーターは、小型で低分子量のものである。これらの化合物は、好ましくはPPAレセプターに結合する構造要素を欠き、非共有結合的に結果としてPPAレセプターの構造の変化および活性化をもたらす。好ましい態様において、Nrf2アクチベーターは、例えばPPAレセプターのチオール基とのマイケル反応を介して、PPAレセプターの構造変化を生じることなく、PPAレセプターに共有結合することができる。しかしながら、それらの限られたサイズのために、これらの好ましいNrf2の活性化剤は、PPARアゴニスト、および特にPPARガンマアゴニスト、とりわけピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのグリタゾンが構造変化を伴ってPPAレセプターに非共有結合的に結合することを防止できないことがある。
【0026】
非常に好ましい例においては、Nrf2の活性化物質の共有結合、例えばモノメチル水素フマラートまたはジメチルフマラートなど、およびPPARガンマアゴニストの非共有結合性の結合、例えばピオグリタゾンまたはロシグリタゾンのようなグリタゾンは、相乗的および大きく改善された治療結果を導く。
【0027】
一態様において、好ましくは、多くて1または2個の5員または6員炭素環、または互いに融合していてもよい1、2または3個のN、OまたはS原子を環原子として有する5員または6員複素環、または好ましくは、0または1個のみの炭素環または複素環を有し、および/または35個未満、好ましくは30個未満、より好ましくは25個未満および最も好ましくは20個未満またはさらに15個未満または10個未満の炭素原子を有し、および/または400未満、好ましくは300未満、最も好ましくは200g/mol未満または170g/mol未満の分子量を有し、マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバマート、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの化学的分類から選択され、ここで、1または2以上、好ましくは7までのH原子が、直鎖状または分枝状アルキルおよびペルフルオロアルキル、例えばメチル、エチルなど、トリフルオロメチル、ハロゲン、例えばBr、Cl、FまたはIなど、ヒドロキシ、アルコキシおよびペルフルオロアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシなど、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロで置換されていてもよい、有機化合物から選択されるNrf2アクチベーターである。
【0028】
キノンの化学的分類にあたる化合物がNrf2アクチベーターとして用いられる場合、それぞれのヒドロキノンを代替的に使用することができる。しかしながら、それぞれの酸化型、すなわちそれぞれのキノンが好ましい。Nrf2活性は、例えばJALA 2008; 13: 243-248に従って決定することができる。バルドキソロンメチルおよび誘導体は、特許US8129429、US7435755およびUS2009/0060873に記載されている。非結晶性バルドキソロンメチルおよび適切な製剤は、WO2010/093944に開示されている。
【0029】
非常に好ましいNrf2アクチベーターは、刺激されたおよび/または増大したNrf2タンパク質の核移行を誘発または誘導することができ、
a)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群から選択され、および
b)35未満の炭素原子を含有し、および/または
c)600g/mol未満の分子量を有し、および/または
d)0あるいは多くて1または2個の融合したまたは単環式の5−または6−員炭素環、またはN、OまたはSから選択された1、2または3個の還原子を有する複素環を含有し、
これらの好ましいNrf2アクチベーターにおいて、1または2以上、好ましくは7までのH−原子は、好ましくは直鎖状または分枝状アルキルおよびペルフルオロアルキル、例えばメチル、エチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、例えばBr、Cl、FまたはI、ヒドロキシ、アルコキシおよびペルフルオロアルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロで置換されてもよい。
【0030】
これらのNrf2アクチベーターのより好ましい態様は、環系を含有しないか、1または2個のみの環を含有し、炭素環および/または複素環であってもよい。さらにより好ましいNrf2アクチベーターは、30個未満、より好ましくは25個未満および最も好ましくは20個未満またはさらに15個未満または10個未満の炭素原子を含有し、および/または400g/mol未満、およびより好ましくは300g/mol未満および最も好ましくは200g/mol未満または170g/molの分子量を有する。さらに好ましくはNrf2アクチベーターは、Keap1はタンパク質に、好ましくはタンパク質アミノ酸のS原子を介して共有結合する。
【0031】
好ましいマイケル反応アクセプターはケトン、アルデヒド、すべてアルファ、ベータ不飽和であるカルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドである。
より好ましいNrf2アクチベーターは、それらの互変異性体および立体異性体を含む、下記の化合物A〜Zである。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
個々のラジカルは、以下に与えられた意味を有する。
R
1 H、OH、Hal、CN、A、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ
R
2 H、OH、A、アルコキシ、アミノ
R
3 H、アルキル
R
4 H、OH、アルキル、アルコキシ
R
5 H、OH、A、アルコキシ
R
6 H、A、アルコキシ、アリール、het
R
7 H、OH、A、アルコキシ
R
8 A
X O、NH、S
R
9 Het
m 1、2
n 1、2、3
【0032】
Halは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはClである。
Aは、好ましくはアルキルであり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭素鎖を意味する。アルキルは好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルを意味し、さらにペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピルも意味する。代わりに、3、4、5、6または7個の炭素原子もしくは2〜12個のC原子を有する分枝状または直鎖状アルキルを有するシクロアルキルを意味し、ここで、1または2以上、好ましくは1〜7のH−原子が、Hal、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、p−、m−、o−ヒドロキシフェニル、p−、m−、o−アルコキシフェニル、N(R
3)
2、OH、CO
2H、CF
3で置き換えられてもよく、および/またはここで、1または2以上、好ましくは1〜7個の非隣接CH
2−基は−O−、−S−、−SO−、−NR
3−、−CO−、−CO
2−、−CH=CH−S−および/または−CH=CH−で置き換えられてもよい。シクロアルキルは好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを意味する。
【0033】
アルコキシは、好ましくはO−アルキル基であり、ここでアルキルは上記のように定義される。好ましくはアルコキシは−O−(CH
2)
n−CH
3基を意味し、ここで、nは0、1、2、3または4、さらに好ましくはメトキシまたはエトキシである。
ペルフルオロアルキルは、好ましくは1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル鎖を意味し、ここで、全ての水素原子がF原子で置換され、好ましくは例えばトリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチル。
ペルフルオロアルコキシは好ましくはO−ペルフルオロアルキル基であり、ここでペルフルオロアルキルは、上記のように定義される。ペルフルオロアルコキシは好ましくはOCF
3を意味する。
【0034】
アミノは好ましくは−NR’R’’基を意味し、ここで各R’、R’’は独立して水素またはアルキルである。−NR’R’’基はまたピペリジニル、ピペラジニル、ピロリルまたはモルホリニルから選択される環状基を形成することができ、ここで1、2または3個のH原子はメチルなどのアルキルで置換されてもよい。一態様において、アミノはジアルキルアミノを意味し、ここでアルキルは上記で与えられた意味を有し、好ましくはジメチルアミノである。
アリールは好ましくは、6〜14個の炭素原子を有する単環式または二環式の芳香族炭素環を意味し、それは非置換であるか、またはF、Cl、Br、CF
3、OCF
3、NO
2、CN、アルキル、アルコキシ、OH、アミノ、CO−アミノ、NHCO−アルキル、CO−アルキル、CO−アルコキシ、SO
2−アルキル、SO
2−アミノで一単置換、二置換または三置換される。最も好ましくは、アリールは非置換または一置換フェニルを意味する。
【0035】
Hetは、好ましくは、さらに置換されることなく、N、OおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子を含有する6〜14員の単環式または二環式、飽和、不飽和または芳香族の複素環系を意味し、それは非置換であるかまたはF、Cl、Br、CF
3、OCF
3、NO
2、CN、アルキル、アルコキシ、OH、アミノ、CO−アミノ、NHCO−アルキル、CO−アルキル、CO−アルコキシ、SO
2−アルキル、SO
2−アミノで単置換、二置換または三置換される。より好ましくは、Hetは、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニルであり、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、インダゾリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンゾイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンゾ−2,1,3−オキサ−ジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルであり、またさらに好ましくは、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルである。複素環式ラジカルはまた、部分的にまたは完全に水素化されてもよい。したがって、Hetはまた、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−,2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサネイル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−または−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたは3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−または−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルを意味することができる。非常に好ましくは、ヘテロアリールは非置換であるかまたは一置換される2−ピリジル、ピリミジルまたはイミダゾリルである。
【0036】
R
1は好ましくはH、OH、F、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ
R
2は好ましくはH、OH、アルコキシ、例えばメトキシ、OCH
2CH
2−フェニル
R
3は好ましくはHまたはアルキル、好ましくはH、メチルまたはtert−ブチル
R
4は好ましくはH、OH、アルコキシ、例えばメトキシ
R
5は好ましくはHまたはA
R
6は好ましくはHまたはHet
R
7は好ましくは(CH
2)
mCOR
2、(CH
2)
mCOR
2、O(CH
2)
mCOR
2またはO(CH
2)
mCOR
2
R
8は好ましくはアリルまたは(C(R3)2)qS−アルキルまたは(C(R3)2)qSO−アルキルから選択される基であり、ここで、qは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である。
【0037】
好ましいNrf2アクチベーターは、J. Med. Chem., 2011, 54 (12), pp 4147-4159に開示されるカルコン誘導体、例えば2−トリフルオロメチル−2’−メトキシカルコン、アウラノフィン(FDAの承認薬Ridauraに含まれる)、エブセレン、1,2−ナフトキノン、シンナム酸アルデヒド、コーヒー酸およびそのエステル、クルクミン、レセルバトロール、アルテスナート、tert−ブチルヒドロキノンおよび−キノン、(tBHQ、tBQ)、ビタミンK1、K2およびK3、好ましくはメナジオン、フマル酸エステル、すなわち、好ましくはモノアルキル水素フマラートおよびジアルキルフマラート、例えば、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラート、およびジエチルフマラート群から選択されるフマル酸モノ−および/またはジエステル、2−シクロペンテノネス、エタクリン酸およびアルキルエステル、バルドキソロンメチル(メチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート)(CDDO−Me、RTA402)、エチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−酸(CDDO)、1[2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オイル]イミダゾール、(CDDO−Im)、(2−シアノ−N−メチル−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28アミド(CDDO−メチルアミド、CDDO−MA)、イソチオシアナート例えばスルホラファン、1,2−ジチオール−3−チオン、例えばオルチプラズ、カプサイシン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−ヒドロキシクマリン、クロモリンナトリウムおよびそれらの他の塩またはネドクロミルまたはその塩、例えばナトリウム塩、4−ヒドロキシノネナール、4−オキソノネナール、マロンジアルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、カプサイシン、アリシン、アリルイソチオシアナート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアナート、7−メチルチオヘプチルイソチオシアナート、スルホラファン、8−メチルチオオクチルイソチオシアナート、コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン、8−イソプロスタグランジンA2、アルキルピルバート、例えばメチルおよびエチルピルバート、ジエチルまたはジメチルオキサロプロプリオナート、2−アセトアミドアクリラート、メチルまたはエチル−2−アセトアミドアクリラート、ヒポエストキシド、パルテノリド、エリオジクチオール、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−オキソ−2ノネナール、ゲラニアール、ゼルンボン、アウロン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、[10]−ショガオール、オイゲノール、1’−アセトキシカビコールアセタート、アリルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4−(メチルチオ)−3−ブテニルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、フェルラ酸およびそのエステル、例えばフェルラ酸エチルエステルおよびフェルラ酸メチルエステル、ソファルコン、4−メチルダフネチン、インペラトリン、アウラプテン、ポンシマリン、ビス[2−ヒドロキシベンジリデン]アセトネス、アリシルクルクミノイド、4−ブロモフラボン、β−ナフトフラボン、サッパノンA、オーロンおよびそのとそれに対応するインドール誘導体、例えばMedicinal Research Reviews, 32, No. 4, 687-726, 2012で言及されるベンジリデン−インドリン−2−オネス、ペリルアルデヒド、クェルセチン、フィセチン、コパリン、ゲニステイン、タンシノンIIA、BHA、BHT、PMX−290、アール−1、アビシンD、ゲズニン、フィセチン、アンドログラホリド、[(±)−(4bS,8aR,10aS)−10a−エチニル−4b,8,8−トリメチル−3,7−ジオキソ−3,4b,7,8,8a,9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,6−ジカルボニトリル](TBE−31)、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オニトリル(TP−225)、[(±)−(4bS,8aR,10aS)−10a−エチニル−4b,8,8−トリメチル−3,7−ジオキソ−3,4b,7,8,8a,9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,6−ジカルボニトリル](TBE−31)、(TP−225)、MCE−1、MCE5、ADT、没食子酸エステル、例えばアルキルエステル好ましくは没食子酸エチル、n−プロピルガラートおよびオクチルガラート、またはエピガロカテキンガラート、コーヒー酸エステル、例えばアルキルエステルまたはそのフェネチルエステル、コエンザイムQ10(ユビキノン、ユビデカレノン)およびそれぞれのキノンまたは上記のキノンのヒドロキノン形態およびヒドロキノン誘導体および前記剤の立体異性体、互変異性体または薬理学的に活性な誘導体、例えばそれぞれフェニルエステル、アルキルエステル、アルカノイルエステルおよびベンゾイルエステル、フェニルエーテルおよびアルキルエーテルから選択される。
【0038】
非常に好ましいNrf2アクチベーターは、カルノス酸、2−ナフトキノン、シンナム酸アルデヒド、コーヒー酸およびそのエステル、クルクミン、レセルバトロール、アルテスナート、tert−ブチルヒドロキノン、ビタミンK1、K2およびK3フマル酸エステル、すなわち、好ましくはモノアルキル水素フマラートおよびジアルキルフマラート、例えば、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラート、およびジエチルフマラート群から選択されるフマル酸モノおよび/またはジエステル、イソチオシアナート、例えばスルホラファン、1,2−ジチオール−3−チオン、例えば、オルチプラズ、カプサイシン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−ヒドロキシクマリン、4−ヒドロキシノネナール、4−オキソノネナール、マロンジアルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、カプサイシン、アリシン、アリルイソチオシアナート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアナート、7−メチルチオヘプチルイソチオシアナート、スルホラファン、8−メチルチオオクチルイソチオシアナート、8−イソプロスタグランジンA2、アルキルピルバート、例えばメチルおよびエチルピルバート、ジエチルまたはジメチルオキサロプロプリオナート、2−アセトアミドアクリラート、メチルまたはエチル−2−アセトアミドアクリラート、ヒポエストキシド、パルテノリド、エリオジクチオール、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−オキソ−2ノネナール、ゲラニアール、ゼルンボン、オーロン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、[10]−ショガオール、オイゲノール、1’−アセトキシカビコールアセタート、アリルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4−(メチルチオ)−3−ブテニルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナートおよびそれぞれのキノンまたは上記のキノンのヒドロキノン形態およびヒドロキノン誘導体および前記剤の立体異性体、互変異性体または薬理学的に活性な誘導体から選択される。非常に好ましいNrf2アクチベーターは、マイケル反応アクセプター、例えば、ジメチルフマラート、モノメチル水素フマラートイソチオシアナートおよび1,2−ジチオール−3−チオンである。他の一態様において、非常に好ましいNrf2アクチベーターは、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、オルチプラズ、1,2−ナフトキノン、tert−ブチルヒドロキノン、メチルまたはエチルピルバート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ジエチルおよびジメチルオキサロプロプリオナート、ヒポエストキシド、パルテノリド、エリオジクチオール、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−オキソ−2ノネナール、ゲラニアール、ゼルンボン、オーロン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、[10]−ショガオール、オイゲノール、1’−アセトキシカビコールアセタート、アリルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4−(メチルチオ)−3−ブテニルイソチオシアナートおよび6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナートから選択される。
【0039】
好ましいNrf2アクチベーターの他の群は、好ましいNrf2アクチベーターのフマル酸エステル、バルドキソロンメチル(メチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート,CDDO−Me、RTA402)、エチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オイック酸(CDDO)、1[2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オイル]イミダゾール(CDDO−Im)、2−シアノ−N−メチル−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28アミド(CDDO−メチルアミド、CDDO−MA)、[(±)−(4bS,8aR,10aS)−10a−エチニル−4b,8,8−トリメチル−3,7−ジオキソ−3,4b,7,8,8a,9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,6−ジカルボニトリル](TBE−31)、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オニトリル(TP−225)、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、アルファリポ酸、例えば、アルキルエステル、好ましくはリポ酸エチルエステル、クルクミン、レセルバトロール、メナジオン、ケイ皮酸アルデヒド、ケイ皮酸エステルス、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、カプサイシン(8−メチル−N−バニリル−トランス−6−ノネンアミド)、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナートならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩を含む。
【0040】
本発明のさらにより好ましい態様において、Nrf2アクチベーターは、フマル酸エステル、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択される。これらの好ましい前記Nrf2アクチベーターは、PPARガンマに対して有意なアゴニスト活性または重大な影響を与えない。
【0041】
本発明のさらなる態様では、Nrf2アクチベーターは、オーラノフィンである。オーラノフィンは好ましくは発明によりグリタゾン、より好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンとともに使用される。
【0042】
本発明のさらなる態様では、Nrf2アクチベーターは、スルファサラジンまたは5−アミノサリチル酸(メサラミン)から選択される。スルファサラジンまたは5−アミノサリチル酸(メサラミン)は、好ましくは発明によりグリタゾン、より好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンとともに使用される。
【0043】
本発明によるPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの使用は、単剤療法で使用される場合、最大の治療効果をもたらす各薬剤の最大投与量を可能にすることができることから特に有利である。個々のPPARガンマアゴニストまたはNrf2アクチベーターで知られる有害な副作用は無いか、あるいは非常に限られていることが観察できる。また、本発明の併用処置に用いられる剤の一方または両方の投与量を低減することが有利であり得る。したがって、剤を用いた単剤療法で観察され得る副作用を、回避または低減することができる。明細書全体を通して、用語「薬理学的に活性な誘導体」は、好ましくは塩、アミドおよびエステル、例えばメチルおよびエチルエステルを含む薬理学的に活性な酸のアルキルエステル、および薬理学的に活性なアルコールのアルカン酸エステルおよびエーテル、例えば酢酸エステルおよびメチルエーテルなど、ならびに薬理学的に活性なアミンのアルカン酸アミド、例えばそれぞれの酢酸アミドを意味する。
【0044】
本発明の併用処置は、さらに、一般に、標準的な処置として、種々の適応症に使用される処置および薬剤と組み合わせることができる。多発性硬化症の処置において、例えば、本発明の組み合わせ処置はさらにインターフェロン、例えばインターフェロンベータ1bまたはインターフェロンベータ1a(Rebif, Avonex)またはグラチラマーアセタート(Copaxone)、スフィンゴシン1−リン酸レセプターモジュレーター、例えばフィンゴリモド(Gilenya)および/またはメトトレキサートと組み合わせることができる。本発明の併用処置は、さらに、特に乾癬の処置において一層改善された結果を得るために、RXR特異的リガンド、例えば9−シス−レチノイン酸(RA)と組み合わせることができる。
【0045】
本発明の併用療法は、特にパーキンソン病の処置のために、さらに技術分野においてよく知られた疾患のための実証された治療薬、例えばレボドパと組み合わせることができ、通常は、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤、例えばカルビドパまたはベンセラジドなど、またはCOMT阻害剤、例えばエンタカポン、トルカポンまたはニテカポンと組み合わせることができる。さらに、本発明の併用療法は、さらにドーパミンアゴニスト、例えばブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、ピリベジル、カベルゴリン、アポモルフィンまたはリスリドまたはロチゴチンなど、およびMAO−B阻害剤、例えばセレギリンまたはラサギリンと組み合わせることができる。
【0046】
本発明の併用療法は、同時にまたは連続して投与してもよく、同時投与とも呼ばれる。連続して投与する場合、組み合わせは2または3回以上の投与において行ってもよい。患者への同時または連続投与のための単位剤形において、いずれかのPPARガンマアゴニストとNrf2アクチベーターを組み合わせることも可能である。一般的に、フマル酸エステルを含有する組成物について、投与は1日2回(BID)または1日3回(TID)が好ましい。個々の剤の投与量は結果的に調整される。
【0047】
本発明のPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの同時投与は、一般的におよび好ましくは、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの同時または連続的投与と呼ばれ、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの治療量はともに患者の体内に同時に存在する。
【0048】
同時投与は、同時の投与および本発明による剤を他の剤の前または後に投与すること、例えば、本発明による両方の剤を数秒、数分または数時間のうちに投与することを含む。一態様において、第一の剤が投与され、続いて、第二の剤の投与までは数時間の期間(例えば0.25〜12時間、好ましくは0.5〜3時間、最も好ましくは1〜2時間)の後である。
【0049】
本発明の併用療法および同時投与は、しばしば「相乗作用」および「相乗効果」を提供し、すなわち、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターを一緒に使用する場合に達成される治療効果は、相加的な効果を超え、すなわち各剤を単独で使用した結果を合わせた効果よりも大きい。本発明において使用するための、PPARアゴニストおよびNrf2アクチベーターまたはPPARアゴニストおよびNrf2アクチベーターを含む医薬組成物の適切な用量は、いくつかのよく確立されたプロトコルのいずれかに従って決定してもよい。例えば、マウスラット、イヌ、および/またはサルを使用した研究などの動物研究は、医薬化合物の適切な用量を決定するために使用してもよい。動物研究からの結果は、例えば、ヒトなどの他の種において使用するための用量を決定するために外挿してもよい。
【0050】
一般的に、本発明により、好ましいPPARガンマアゴニストは好ましいNrf2アクチベーターとの組み合わせにおいて投与され、好ましくは経口で、それぞれのPPARガンマアゴニストの活性および安全性に依存して、1日当たりの用量が体重1kgあたり0.01mg〜50mgにおいて投与される。特に示されていない場合、本明細書中の所定の用量は、マレイン酸または他の酸付加塩の形態で使用する場合であっても、PPARガンマアゴニストの遊離塩基の量を示す。
【0051】
好ましいNrf2アクチベーターはバルドキソロンメチルおよびジアルキルフマラート、例えばジメチルフマラートおよびジエチルフマラートである。
本発明に従って使用されるジアルキルフマラートは、当該技術分野で知られている方法によって製造される(例えばEP0312697参照)。
【0052】
好ましくは、活性成分、すなわち剤は、任意にカプセルまたはサシェに入れてもよい錠剤、マイクロ錠剤、ペレットまたは顆粒の形態の経口用製剤を製造するために使用される。任意にカプセルまたはサシェに充填してもよいマイクロ錠剤またはペレットの形態における製造も好ましく、また、本発明の主題である。好ましい態様によれば、ペレットまたはマイクロ錠剤それぞれのサイズまたは平均直径は、300〜2,000μmの範囲であり、特に500または1,000μmの範囲である。
経口製剤は、腸溶性コーティングを施してもよい。カプセルは、軟または硬ゼラチンカプセルであってもよい。
【0053】
本発明に従って使用されるジアルキルフマラートは、単独で、または任意に慣用の担体および賦形剤との組み合わせにおいて、いくつかの化合物の混合物として使用してもよい。使用される量は、得られた錠剤などの製剤が、投与単位あたり10〜300mgのフマル酸に相当する量の活性成分を含有するように選択される。本発明による好ましい製剤は、合計で10〜300mgのジメチルフマラートおよび/またはジエチルフマラートを含有する。
【0054】
PPARアゴニストおよび好ましくPPARガンマアゴニストとNrf2アクチベーターの固定用量の組み合わせが好ましい。ロシグリタゾンとジメチルフマラートおよびロシグリタゾンとバルドキソロンメチルの固定用量の組み合わせが特に好ましい。ピオグリタゾンとジメチルフマラートおよびロシグリタゾンとバルドキソロンメチルの固定用量の組み合わせが特に好ましい。
【0055】
特にロシグリタゾンは、好ましくは本発明により、1日に体重1kg当たり0.01〜0.2mgの用量、より好ましくは1日に体重1kg当たり0.02〜0.16mgの用量、最も好ましくは1日に体重1kg当たり0.025mg〜0.14mgの用量、例えば1日に体重1kg当たり0.03mg、0.06mgまたは0.12mgの用量においてマレイン酸塩の形で投与される。1日に患者当たり2mg、4mgおよび8mgのロシグリタゾンの経口用量が特に好ましい。
【0056】
特にピオグリタゾンは、好ましくは本発明により、1日に体重1kg当たり0.05〜1mgの用量、より好ましくは1日に体重1kg当たり0.1〜0.8mgの用量および最も好ましくは1日に体重1kg当たり0.15mg〜0.7mgの用量、例えば1日に体重1kg当たり約0.2mg、約0.4mgまたは約0.6mgの用量の塩酸塩の形で投与される。1日に患者当たり約15mg、約30mgおよび約45mgのピオグリタゾンの経口用量が特に好ましい。
【0057】
特にシグリタゾンまたはトログリタゾンは、好ましくは本発明により、1日に体重1kg当たり1〜20mgの用量、より好ましくは1日に体重1kg当たり2〜15mgの用量および最も好ましくは1日に体重1kg当たり3mg〜10mgの用量で投与される。経口用量が特に好ましい。
【0058】
一般的に、好ましいNrf2アクチベーターは、好ましいPPARガンマアゴニストとの組み合わせにおいて投与され、好ましくは経口で、それぞれのNrf2アクチベーターの活性および安全性に依存して、1日に体重1kg当たり0.1mg〜20mgの用量において投与される。
特に、バルドキソロンメチルは、好ましくは本発明により、1日に体重1kg当たり0.1〜3mgの用量、より好ましくは1日に体重1kg当たり0.2〜2.5mgの用量および最も好ましくは1日に体重1kg当たり0.3mg〜2.2mgの用量、例えば1日に体重1kg当たり約0.35mg、約1.1mgまたは約2mgの用量において投与される。1日に患者当たり約25mg、約75mgおよび約150mgのバルドキソロンメチルの経口用量が特に好ましい。
【0059】
特にジメチルフマラートは、好ましくは本発明により、1日に体重1kg当たり1〜20mgの用量、より好ましくは1日に体重1kg当たり2〜15mgの用量、最も好ましくは3mg〜12mgの用量、例えば1日に体重1kg当たり約3.4mg、約7mgまたは約10mgの用量である。1日に患者当たり約240mg、約480mgおよび約720mgのジメチルフマラートの経口用量が特に好ましい。
【0060】
本発明による組み合わせにおいて使用されるPPARガンマアゴニストとNrf2アクチベーターの用量間の割合は、選択された具体的なPPARガンマアゴニストおよびNrf2のアクチベーターの活性に依存する。
1日に患者当たり2mg、4mgおよび8mgのロシグリタゾンの経口用量が特に好ましい。
1日に患者当たり約20mg、約25mg、約75mgおよび約150mgのバルドキソロンメチルの経口用量が特に好ましい。バルドキソロンメチルが非晶質形態において用いられる場合、1日に患者当たり約20mgの用量が最も好ましい。
【0061】
患者あたり、1日当たりのジメチルフマラートの経口用量が約120mg、約240mg、約360mg、約480mg、約600mgおよび約720mgであるのが特に好ましい。
もし、Nrf2アクチベーターがジメチルフマラートであるなら、1日に1回または2回の投薬が好ましい。
好ましい製剤および特に錠剤またはカプセルなどの経口製剤は以下を含有する:
【0062】
1日当たりの投与のために、錠剤またはカプセルなどの製剤は、好ましくは約2mgのロシグリタゾンおよび約25mgのバルドキソロンメチルまたは約2mgのロシグリタゾンおよび約75mgのバルドキソロンメチルまたは約2mgのロシグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルまたは約4mgのロシグリタゾンおよび約25mgのバルドキソロンメチルまたは約4mgのロシグリタゾンおよび約75mgのバルドキソロンメチルまたは約4mgのロシグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルまたは約8mgのロシグリタゾンおよび約25mgのバルドキソロンメチルまたは約8mgのロシグリタゾンおよび約75mgのバルドキソロンメチルまたは約8mgのロシグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルを含有してもよい。最も好ましくは、製剤は約8mgのロシグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルを含有してもよい。
【0063】
1日3回の投与のために、好ましくは錠剤またはカプセルなどの製剤は、約0.7mg、好ましくは約0.67mgのロシグリタゾンおよび240mgのジメチルフマラートまたは約1.3mg、好ましくは約1.33mgのロシグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約2.7mg、好ましくは約2.67mgのロシグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約0.7mg、好ましくは約0.67mgのロシグリタゾンおよび120mgのジメチルフマラートまたは約1.3mg、好ましくは約1.33mgのロシグリタゾンおよび約120mgのジメチルフマラートまたは約2.7mg、好ましくは約2.67mgのロシグリタゾンおよび約120mgのジメチルフマラートを含有してもよい。最も好ましくは、製剤は約2.7mg、好ましくは約2.67mgのロシグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートを含有してもよい。
1日2回の投与のために、好ましくは錠剤またはカプセルなどの製剤は、約1mgのロシグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約2mgのロシグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約4mgのロシグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートを含有してもよい。
【0064】
1日当たりの投与のために、錠剤またはカプセルなどの製剤は、好ましくは約15mgのピオグリタゾンおよび約25mgのバルドキソロンメチルまたは約15mgのピオグリタゾンおよび約75mgのバルドキソロンメチルまたは約15mgのピオグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルまたは約30mgのピオグリタゾンおよび約25mgのバルドキソロンメチルまたは約30mgのピオグリタゾンおよび約75mgのバルドキソロンメチルまたは約30mgのピオグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルまたは約45mgのピオグリタゾンおよび約25mgのバルドキソロンメチルまたは約45mgのピオグリタゾンおよび約75mgのバルドキソロンメチルまたは約45mgのピオグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルを含有してもよい。最も好ましくは、製剤は約45mgのピオグリタゾンおよび約150mgのバルドキソロンメチルを含有してもよい。
【0065】
1日3回の投与のために、好ましくは錠剤またはカプセルなどの製剤は、約5mgのピオグリタゾンおよび240mgのジメチルフマラートまたは約10mgのピオグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約15mgのピオグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約5mgのピオグリタゾンおよび120mgのジメチルフマラートまたは約10mgのピオグリタゾンおよび約120mgのジメチルフマラートまたは約15mgのピオグリタゾンおよび約120mgのジメチルフマラートを含んでもよく、最も好ましくは、製剤は約15mgのピオグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートを含有でもよい。
1日2回の投与のために、好ましくは錠剤またはカプセルなどの製剤は、約7.5mgのピオグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約15mgのピオグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートまたは約22.5mgのピオグリタゾンおよび約240mgのジメチルフマラートを含有でもよい。
【0066】
さらに、本発明による医薬組成物は、PPARガンマアゴニストとして、約5mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約22.5mgまたは約25mgのピオグリタゾンを含むのが好ましい。また、本発明による医薬組成物はPPARガンマアゴニストとして約0.7mg、約1mg、約1.3mg、約2mg、約2.7mg、約3mg、約3.5mg、約4または約5mgのロシグリタゾンを含むのが好ましい。本発明による医薬組成物は約120mg、約200mgまたは約240mgのジメチルフマラートを含むのが好ましい。
【0067】
特に、アトルバスタチンは、好ましくは本発明により、患者あたり約10、約20、約40または約80mgにおける1日の経口用量において、カルシウム塩の形で投与される。好ましくはアトルバスタチンは、上記用量において1日あたり約120、約240または約360、約480または約720mgの用量のジメチルフマラートと組み合わせる。最も好ましくはカルシウム塩の形における約20mgまたは約40mgのアトルバスタチン、および約240mgのジメチルフマラート含有する組み合わせである。
【0068】
さらなる態様において、アトルバスタチンは1日あたり約20mgの用量での非晶質形態におけるバルドキソロンメチルと上記の投与量で組み合わされる。最も好ましくは、カルシウム塩の形態における約40mgまたは約80mgのアトルバスタチンおよび非晶質形態における約20mgのバルドキソロンメチルを含有する組み合わせである。
【0069】
特に、ロサルタンは好ましくは、本発明により患者あたり約25、約50、約75または約100mgの1日経口用量で投与される。好ましくは、ロサルタンは1日あたり約120、約240または約360、約480または約720mg用量のジメチルフマラートと上記用量において組み合わされる。最も好ましくは、約25mgまたは約50mgのロサルタンおよび約240mgジメチルフマラートを含有する組み合わせである。組み合わせは、好ましくは1日2回投与する。サルタンおよび好ましくはロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタンおよびカンデサルタンのNrf2アクチベーターとの併用処置、例えばジメチルフマラートおよびバルドキソロンメチルは、糖尿病性腎症(糖尿病による腎損傷)および慢性腎臓病の処置だけでなく、多発性硬化症の処置のために特に効果的である。
【0070】
さらなる例において、ロサルタンは1日あたり約20mgの非晶質形態におけるバルドキソロンメチルと上記用量において組み合わせる。最も好ましくは、約25mgまたは約50mgのロサルタンおよび約20mgの非晶質形態におけるバルドキソロンメチルを含有する組み合わせである。組み合わせは、好ましくは1日1回投与される。
【0071】
特にイブプロフェンは好ましくは本発明に従い、イブプロフェンの単独療法に適用可能な1日当たりの用量、例えば患者あたり約600mg、約800mgまたは約1200mgまたは約2400mgで投与される。最も好ましくは約600mgのイブプロフェンおよび約240mgのジメチルフマラートを含有する組み合わせである。組み合わせは、好ましくは1日2回投与する。
【0072】
さらなる例において、イブプロフェンは1日あたり約20mgの用量での非晶質形態におけるバルドキソロンメチルと上記の投与量で組み合わされる。最も好ましくは、約800mgのイブプロフェンおよび約20mgの非晶質形態におけるバルドキソロンメチルを含有する組み合わせである。組み合わせは、好ましくは1日1回投与される。
好ましいロシグリタゾンとジメチルフマラートの割合は、1/20〜1/400(w/w、ロシグリタゾン/ジメチルフマラート)、好ましくは1/25〜380、より好ましくは1/28〜1/360から選択される。最も好ましくは、割合は約1/30、約1/45、例えば約1/44.4、約1/60、約1/90、例えば約1/88.9または約1/92.3、約1/120、約1/180、例えば1/171.4または1/184.6、約1/240、約1/340、例えば約1/342.9である。
【0073】
好ましいピオグリタゾンとジメチルフマラートの割合は、1/3〜1/60(w/w、ピオグリタゾン/ジメチルフマラート)、好ましくは1/4〜1/55、より好ましくは1/5〜1/52から選択される。最も好ましくは、割合は約1/5.3、約1/8、約1/10、例えば1/10.7、約1/12、約1/16、約1/24、約1/32、約1〜48である。
【0074】
一般的に、ロシグリタゾンとバルドキソロンメチルの割合は、1/1〜1/100(w/w、ロシグリタゾン/バルドキソロンメチル)、好ましくは1/1.5〜1/80、より好ましくは1/2〜1/75から選択される。最も好ましくは、割合は約1/2.5、例えば約1/3.1または約1/5、例えば1/6.3、約1/10、例えば約1/9.4または約1/12.5、約1/20、例えば1/18.8、約1/40、例えば約1/37.5、約1/70、例えば約1/75である。
【0075】
一般的に、ピオグリタゾンとバルドキソロンメチルの割合は、1/0.1〜1/20(w/w、ピオグリタゾン/バルドキソロンメチル)、好ましくは1/0.3〜1/15、より好ましくは1/0.4〜1/12から選択される。最も好ましくは、割合は、約1/0.5、例えば約1/0.4または約1/0.6または約1/0.7、または約1/0.8、約1/2、例えば約1/1.7または約1/2.5、約1/3、例えば約1/3.3、約1/5または約1/10である。
【0076】
本発明の好ましい態様は、非晶質バルドキソロンメチルがより好ましくは非晶質バルドキソロンメチルを含む医薬製剤において用いられ、好ましくはガラス成形賦形剤を伴う噴霧乾燥分散液として得られ、例えばメタクリル酸共重合体タイプC、USP、例えばメタクリル酸共重合体タイプC、USP(Eurdagit)に対して、4/6重量比におけるバルドキソロンメチル、より好ましくは、少なくとも1種の親水性結合剤からなる粒子と混合され、例えばUS2012/022156によるヒドロキシプロピルメチルセルロースである。本発明によるバルドキソロンメチルの好ましい組成は、また、界面活性剤、例えば硫酸ラウリルナトリウムを、好ましくは全組成の約1〜5重量%、好ましくは約3%、例えば2.73%の量で含有する。
【0077】
好ましい態様において、非晶質バルドキソロンメチルが本発明により1日に体重1kg当たり0.05〜1mgの用量、より好ましくは体重1kg当たり0.1〜0.8mgの用量、および最も好ましくは体重1kg当たり0.2mg〜0.6mgの用量、例えば1日に体重1kg当たり約0.15mg、約0.25mgまたは約0.35mgの用量で投与される。患者1日当たり約10mg、約20mgおよび約30mgのバルドキソロンメチルの経口用量が好ましい。
【0078】
非晶質バルドキソロンメチルの1日当たりの投与のために、患者あたり以下の用量:約2mgのロシグリタゾンおよび約10mgのバルドキソロンメチルまたは約2mgのロシグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルまたは約2mgのロシグリタゾンおよび約30mgのバルドキソロンメチルまたは約4mgのロシグリタゾンおよび約10mgのバルドキソロンメチルまたは約4mgのロシグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルまたは約4mgのロシグリタゾンおよび約30mgのバルドキソロンメチルまたは約8mgのロシグリタゾンおよび約10mgのバルドキソロンメチルまたは約8mgのロシグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルまたは約8mgのロシグリタゾンおよび約30mgのバルドキソロンメチルが用いられる。最も好ましくは、約8mgのロシグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルが用いられる。特に、上記の量が固定用量の組み合わせ、すなわち固体経口剤形で使用される場合に好ましい。
【0079】
また、非晶質バルドキソロンメチルの1日当たり投与のために、患者あたり以下の用量:約15mgのピオグリタゾンおよび約10mgのバルドキソロンメチルまたは約15mgのピオグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルまたは約15mgのピオグリタゾンおよび約30mgのバルドキソロンメチルまたは約30mgのピオグリタゾンおよび約10mgのバルドキソロンメチルまたは約30mgのピオグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルまたは約30mgのピオグリタゾンおよび約30mgのバルドキソロンメチルまたは約45mgのピオグリタゾンおよび約10mgのバルドキソロンメチルまたは約45mgのピオグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルまたは約45mgのピオグリタゾンおよび約30mgのバルドキソロンメチルが用いられる。最も好ましくは、約45mgのピオグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルが用いられる。最も好ましくは、約8mgのロシグリタゾンおよび約20mgのバルドキソロンメチルが用いられる。特に、上記の量が固定用量の組み合わせ、すなわち固体経口剤形で使用される場合に好ましい。
【0080】
バルドキソロンメチルが非晶質の形態において用いられる本発明の好ましい態様において、ロシグリタゾンとバルドキソロンメチルの好ましい割合は、1/1〜1/20(割合を考える場合「/」はこの出願を通して「対」を表し、w/w、ロシグリタゾン/バルドキソロンメチル)、好ましくは1/1.1〜1/17、より好ましくは1/1.2〜1/16である。最も好ましくは、割合は約1/1.3、例えば約1/1.25、約1/2.5、約1/3.5、例えば1/3.75、約1/5、約7.5、約1/10である。
【0081】
バルドキソロンメチルが非晶質の形態において用いられる本発明のさらなる好ましい態様において、ピオグリタゾンとバルドキソロンメチルの好ましい割合は、1/0.1〜1/3(w/w、ピオグリタゾン/バルドキソロンメチル)、好ましくは1/0.15〜1/2.5、より好ましくは1/0.2〜1/2.2である。最も好ましくは、割合は約1/0.2、例えば約1/0.22、約1/0.3、例えば約1/0.33、約1/0.4、例えば約1/0.44、約1/0.7、例えば約1/0.67、約1/1または約1/2である。
【0082】
剤形、特に上記所定の割合の組成、特に非晶質バルドキソロンメチル含有する組成を含む固定用量の組み合わせにおいてPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの両方を含有する錠剤またはカプセル剤などの経口剤形が好ましい。
【0083】
固定用量の組み合わせ、例えば、活性成分を上記用量および割合で含有する錠剤などが、最も好ましい。本開示によって提供される医薬組成物は、患者へ適切に投与するために、1または2以上の薬学的に許容可能なビヒクルの適切な量とともに、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの治療量を含んでもよい。好適な薬学的ビヒクルは、当技術分野において記載されている。
【0084】
特定の態様において、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターはともに経口的に投与される医薬組成物へ組み込まれる。そのような医薬組成物の経口投与は、腸を通じて全身循環に入るPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの吸収につながる。このような口腔用組成物は、医薬分野で周知の方法で製造でき、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターおよび少なくとも一つの薬学的に許容されるビヒクルを含む。口腔用組成物は、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの治療的有効量および患者への投与に適切な形態を提供するために、薬学的に許容されるビヒクルの適切な量を含んでもよい。
【0085】
PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターはともに、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、または局所を含む、いかなる適切な投与経路によって投与される医薬組成物に組み込まれてもよい。
【0086】
本発明の一態様において、PPARアゴニスト、例えばピオグリタゾンまたはロシグリタゾンのようなグリタゾンおよびNrf2アクチベーター、好ましくはアレルギー性皮膚反応を起こさないNrf2アクチベーター、例えばバルドキソロンメチル、CDDO、CDDO−IM、CDDO−MA、TP−225、メナジオン、ビタミンK1、BHA、BHT、tBHQ、tBQ、クルクミン、レセルバトロール、ケイ皮酸アルデヒドまたはオルチプラズなどを含有する局所製剤が提供される。局所製剤は、好ましくは乾癬、にきび、酒さおよび皮膚発疹、例えばセツキシマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブおよびマツズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、およびラパチニブのようなEGFR阻害剤により引き起こされる皮膚発疹などの処置において使用される。製剤は、当技術分野で既知のおよび/または本明細書に開示された慣用の成分および方法を用いて製造される。
【0087】
PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターを含む医薬組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠形成(dragee-making)、粉末化(levigating)、乳化、カプセル化、封入(entrapping)、または凍結乾燥プロセスの方法を用いて製造されてもよい。医薬組成物は、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターまたはそれらの結晶形態および1または2以上の薬学的に許容されるビヒクルを加工処理して薬学的に使用できる製剤にすることを容易にする、1または2以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用する従来の方法で処方してもよい。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本開示によって提供される医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、ペレット、カプセルの形態、液体、粉末、持続放出製剤、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液を含有するカプセルまたは患者への投与に適した他のいかなる形態をとってもよい。本開示により提供される医薬組成物は単位剤形において処方してもよい。単位剤形は、処置を受けている患者のための単位用量として適した物理的に個別の単位を指し、各単位は、意図した治療効果をもたらすように計算されたPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの所定量を含む。単位剤形は、1日1回の用量、1日2回、または1日複数回、例えば1日3回または4回以上のための用量であってよい。複数の1日用量が使用される場合、単位剤形は、各用量について同じでも異なっていてもよい。1または2以上の剤形は、ある時点またはある時間間隔の間に患者に投与され得る用量を含んでもよい。
【0088】
PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターを含む医薬組成物は、即時放出または制御または持続または遅延放出のために策定され得る。特定の態様において、本開示により提供される経口剤形は、制御放出剤形であってもよい。制御された送達技術は、特定の領域または消化管領域における薬剤の吸収を改善することができる。制御された薬剤送達システムは、薬剤レベルが治療有効領域内に維持され、効果的で安全な血中レベルがシステムが消化管において特定の放出プロファイルで薬剤を送達し続ける限り維持されるような方法で薬剤を送達するように設計し得る。制御された薬剤送達は、即時放出剤形で観察される変動と比較して、ある期間にわたり実質的に一定のPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの血中濃度を生成することができる。いくつかのPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターにとって、治療過程を通して一定の血液および組織濃度を維持することは、処置の最も望ましいやり方である。PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの即時放出は、血中濃度が所望の応答を引き出すのに必要なレベルを超えたピークの原因となり、剤を無駄にして、毒性副作用を引き起こしまたは悪化させる可能性がある。制御された薬剤送達は、最適な治療をもたらすことができ、投与頻度を減らすことができるだけでなく、副作用の重症度を減少させることができる。制御放出剤形の例としては、溶解制御システム、拡散制御系、イオン交換樹脂、浸透圧制御システム、浸食性マトリックスシステム、pH非依存性製剤、胃内滞留システムなどが挙げられる。
【0089】
本開示によって提供される特定の医薬組成物の適切な経口剤形は、少なくとも部分的に、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの消化管吸収特性、消化管におけるこれらの剤の安定性、これらの薬物動態および意図した治療プロファイルに依存してもよい。適切な制御放出経口剤形は、特定のPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターから選択されてよい。例えば、胃貯留経口剤形は、上部消化管から主に吸収される剤のための適切であり得、持続放出性経口剤形は、下部消化管から主に吸収される剤のための適切であり得る。
【0090】
特定の態様において、本開示により提供される医薬組成物は、経口投与後にPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの持続放出を提供するのに適した剤形で実施し得る。持続放出性経口剤形は、PPARガンマアゴニストおよび/またはNrf2アクチベーターを長期間にわたって放出するために使用することができ、薬剤が下部消化管に送達することが望まれる場合に有用である。持続放出性経口剤形には、生体液、例えば血漿、血液、脳脊髄液などにおいて、または組織または器官において、長期間、剤の治療濃度を維持するいかなる経口剤形も含まれる。持続放出性経口剤形には、拡散制御システム、例えばリザーバーデバイスおよびマトリックスデバイスなど、溶解制御システム、浸透圧システムおよび浸食制御システムが含まれる。持続放出性経口剤形およびその製造方法は当該技術分野において周知である。
【0091】
上記各剤形において、PPARガンマアゴニストは混合して一緒に処方されるか、または好ましくはNrf2アクチベーターとは別々に処方し得る。各PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターは、好ましくは剤形の中で別々の形態、例えば好ましくは錠剤またはカプセルである経口剤形などにおいて含有され得る。PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターが分離されているこのような経口投与形態において、各剤は、異なる賦形剤とともに処方し得る。PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターはまた、それぞれが異なる放出プロファイルを有する、すなわち即時、制御または遅延放出をする製剤に含有してもよい。
【0092】
PPARガンマアゴニストおよび/またはNrf2アクチベーターを含有する製剤は、特に、固体経口剤形は、医薬製剤の分野における従来の添加剤を含有してもよく、また、既知の方法に従って製造することができる。添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、徐放剤、安定化剤、酸味料、香料、流動促進剤などが挙げられる。これらの添加剤は、従来の医薬製剤の分野で用いられる量で使用される。
【0093】
賦形剤として例えば、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファ化デンプン、有孔デンプン等、糖および糖アルコール、例えばラクトース、フルクトース、グルコース、D−マンニトール、ソルビトールなど、無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
【0094】
崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が使用される。使用される崩壊剤の量は、固形製剤の100重量部当たり好ましくは0.5〜25重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
【0095】
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などが挙げられる。使用される結合剤の量は、固形製剤の100重量部当たり好ましくは0.1〜50は重量部、より好ましくは0.5〜40重量部である。
【0096】
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、例えば、食用色素、例えば食用色素黄色5号、食用色素赤色2号、食用色素青色2号等、食用レーキ顔料、酸化第二鉄などが挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、炭酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、アミノ酸塩等を挙げることができる。界面活性剤としては、硫酸ラウリルナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
【0097】
徐放剤としては、例えば、セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208等)、セルロースアセタート(好ましくは39.3〜40%のアセチル含量を有するセルロースアセタート)、セルロースジアセタート、セルローストリアセタート、セルロースアセタートプロピオナート、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等;アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー;アクリル酸ポリマー、例えばアミノアルキルメタクリル酸コポリマーRS[Eudragit RS(登録商標)、Rohm Pharma社]、エチルアクリラート−メチルメタクリラートコポリマー懸濁液[Eudragit NE(登録商標)、Rohm Pharma社]等;などが挙げられる。徐放剤は、例えば、流動促進剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、スクロース、ソルビトール、D−マンニトール、ポリエチレングリコール、(好ましくはポリエチレングリコール400等)、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアルコール、メタクリル酸ポリマー)、可塑剤(例えば、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、グレープシード油、オリーブ油、ゴマ油、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリンソルビトール、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセロールトリブチラート)等を含有することができる。徐放剤の好ましい例としては、(1)酢酸セルロースを含有する半透膜コーティング(好ましくは39.3−40%のアセチル含量を有するセルロースアセタート)、ポリエチレングリコール(好ましくはポリエチレングリコール400など)およびトリアセチン、(2)カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208および微結晶セルロース等を含有する徐放剤組成物。
【0098】
安定剤としては、例えば、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチンアミド、シクロデキストリン等が挙げられる。酸味剤としては、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。フレーバーとしては、例えば、メントール、ペパーミント油、レモン油、バニリン等が挙げられる。流動促進剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。上記添加剤は適宜の割合におけるそれらの2または3種類以上の混合物において使用し得る。
【0099】
使用
各PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの適切な用量は、いくつかの要因に基づいて決定することができ、例えば、処置される患者の体重および/または状態、処置を受けている疾患の重症度、副作用の発生率および/または重症度、投与方法、処方する医師の判断が挙げられる。適切な用量範囲は、当業者に知られた方法によって決定してもよい。一態様において本発明は、炎症性疾患および自己免疫疾患の処置に使用するためのPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの組合せを提供する。
【0100】
他の態様において、本発明は、フマル酸モノおよび/またはジエステルと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストを提供し、PPARガンマアゴニストは選択的であり、PPARアルファまたはデルタに対して実質的な活性を有しないことを特徴とする。PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの組合せの治療量は、免疫性、自己免疫性および/または乾癬を含む炎症性疾患、喘息および慢性閉塞性肺疾患、左心室不全、心筋梗塞および狭心症を含む心不全、ミトコンドリア病および神経変性疾患、例えばパーキンソン病など、アルツハイマー病、ハンチントン病、認知症、網膜色素変性およびミトコンドリア脳筋症など、移植拒絶反応、自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、虚血および再灌流傷害など、終末糖化産物(AGE)誘発ゲノムおよびタンパク質損傷、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、甲状腺眼疾患に関連する炎症、肺線維症などの線維症、慢性リンパ性白血病、アフタ性口内炎、例えば再発性アフタ性口内炎、急性肺損傷、非アルコール性脂肪性肝炎急性腎損傷および老化関連の進行性腎傷害、糖尿病性心筋症と腎症の病歴および/または素因を有する患者への処置または予防手段として投与することができる。慢性腎臓病(CKD)、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、大動脈弁狭窄、手術後の急性腎臓損傷(AKI)。本発明はまた、心血管疾患の予防、プラークの安定化、炎症の低減、内皮機能不全の回復、および血栓形成の減少および糖尿病における創傷治癒のために使用することができる。また、本発明の併用処置は、アトピー性皮膚炎、認知症、胃炎、線維症、インスリン抵抗性、I型およびおよびII型糖尿病およびシンドロームXの処置および予防において使用することができる。
【0101】
本発明の好ましい態様において、Nrf2アクチベーターはスルファサラジン(2−ヒドロキシ−5−[4−(2−ピリジルスルファモイル)−フェニルジアゼニル]−安息香酸、5−[4−(2−ピリジルスルファモイル)−フェニルアゾ]サリチル酸)、メサラミン、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステルヒドロクロリド(ATB−429)から選択される。本発明によると、これらのNrf2アクチベーターは、好ましくはグリタゾン、例えばピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わされる。さらに好ましくは、これらの組み合わせは、好ましくはIBSおよび関節炎疾患の処置のために使用される。本発明の好ましい態様において、ジメチルフマラートなどのフマル酸エステルは、慢性腎臓病(CKD)の処置のためにグリタゾン、例えばピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わされる。
【0102】
本発明の一態様において、併用処置は、好ましくは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の予防または処置に使用される。また、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの両方の化合物が単独療法剤として好適な効果を示すことが分かった。PCOSの予防および処置に使用することができ、錠剤などの剤形において単独の有効成分として好ましい化合物は、バルドキソロンメチル、CDDO、CDDO−IM、CDDO−MAまたはTP−225である。したがって、本発明の他の目的は、PCOSの予防および処置においてバルドキソロンメチル、CDDO、CDDO−IM、CDDO−MAまたはTP−225を使用すること、およびバルドキソロンメチル、CDDO、CDDO−IM、CDDO−MA、TBE−31またはTP−225の薬理学的有効量、または他のNrf2アクチベーターをそれらを必要とする患者に投与することによりPCOSを処置する方法である。多くの場合において、上記のNrf2アクチベーターを用いた単剤療法は、PPARアゴニスト、例えばピオグリタゾンまたはロシグリタゾン等のグリタゾンとの同時投与によってさらに改善することができる。
【0103】
NF−κB介在性および/または他の疾患は、以下で説明する。
本発明の他の態様によれば、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの組み合わせの投与または同時投与は、ヒト、これらに限定されない、を含む哺乳動物において、神経障害、眼科障害からなる疾患群のメンバーを処置するのに有効である。他の態様によると、神経障害、眼科障害またはそれらの組み合わせは、外傷、虚血、および低酸素症からなる群の少なくとも1つのメンバーに起因する。他の態様によると、神経障害、眼科障害またはそれらの組み合わせは、有痛性神経障害、神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、薬物依存、薬物添加、薬物離脱、ニコチン離脱、アヘン剤耐性、アヘン剤離脱、うつ病、不安症、運動障害、遅発性ジスキネジア、血液脳関門を破壊する脳感染症、髄膜炎、髄膜脳炎、脳卒中、低血糖症、心停止、脊髄外傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、緑内障、網膜虚血、虚血性視神経症、黄斑変性症、多発性硬化症、高ホモシステイン血症の後遺症、けいれん、疼痛、統合失調症、筋痙攣、片頭痛、尿失禁、嘔吐、脳浮腫、遅発性ジスキネジア、AIDS誘発性認知症、眼損傷、網膜症、認知障害、およびHIV感染に関連する神経損傷からなる群から選択される。他の態様によると、神経障害、眼科障害またはそれらの組み合わせは、てんかん、アルツハイマー病、血管(多発梗塞)性認知症、ハンチントン病、パーキンソン症候群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、および微小認知障害(MCI)からなる群から選択される。
【0104】
乾癬は角質増殖および表皮の肥厚ならびに、真皮における血管分布の増加および炎症細胞の浸潤によって特徴付けられる。尋常性乾癬は一般的に頭皮、肘、膝、臀部に、銀色のうろこ状の、紅斑性プラークとして現れる。滴状乾癬は涙のしずく大の病変が生じる。ドイツにおいて、フマル酸エステルは乾癬の処置のために認識され、ジメチルフマラートは全身処置のために承認されている(Mrowietz and Asadullah, Trends MoI Med 2005, 11(1), 43-48、およびMrowietz et al, Br J Dermatology 1999, 141, 424-429)。乾癬を処置するための有効性は、動物モデルを使用して、臨床試験で決定することができる。フマル酸エステルとは逆に、PPARガンマアゴニストは乾癬の処置において有利ではないことが分かった(ロシグリタゾンに対して陰性である2つの長期無作為乾癬研究におけるプラセボ反応、Am J Clin Dermatol. 2007;8(2):93-102)。この結果とは反対に、本発明によるPPARガンマアゴニストが乾癬の併用処置において治療上の利益を提供することが分かった。
【0105】
炎症性関節炎には、例えば関節リウマチ、若年性関節リウマチ(若年性特発性関節炎)、乾癬性関節炎および関節の炎症を生じる強直性脊椎炎などの疾患が挙げられる。炎症性関節炎を含む免疫介在性炎症性疾患の病変形成には、TNFおよびNK−κBシグナル伝達経路が関与すると考えられている(Tracey et al., Pharmacology & Therapeutics 2008, 117, 244-279)。ジメチルフマラートは、TNFを阻害することが示され、炎症性関節炎を含む炎症性疾患は、TNFおよびNK−κBシグナル伝達に関与すると考えられ、したがって、炎症性関節炎の処置に有用であり得る(Lowewe et al.,、J Immunology 2002, 168, 4781-4787)。
【0106】
好ましくは本発明の処置方法および組合せは、神経変性疾患、例えば多発性硬化症、
clinically isolated syndrome (CIS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、認知症、ミトコンドリア脳筋症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)の予防および処置において使用することができる。
【0107】
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系を隔離する軸索ミエリン鞘に対する自己免疫攻撃により引き起こされる中枢神経系の炎症性自己免疫疾患である。脱髄は、伝導の破壊につながり、局所的な軸索の破壊と不可逆的な神経細胞死を伴う重篤な疾患につながる。MSの症状は、運動、感知、および感覚障害の特定のパターンを示す個々の患者により非常に異なる。MSは、多発する炎症性病巣、脱髄のプラーク、神経膠症および脳と脊髄内の軸索病変により病理学的に代表され、これらの全ては、神経障害の臨床症状に寄与する(例えばWingerchuk, Lab Invest 2001, 81, 263-281およびVirley, NeuroRx 2005, 2(4), 638-649を参照)。MS沈殿物の原因となる事象は完全には理解されていないが、証拠は、特定の遺伝的素因だけでなく、環境要因とともに自己免疫病因も暗示している。機能障害、身体障害、およびハンディキャップは、個人の生活の質に影響を与える麻痺、感覚障害やoctintive障害(octintive disturbances)けいれん、振戦、協調運動の欠如および視覚障害として表される。MSの臨床経過は個人によって異なるが、常に疾患は3つの型:再発寛解型、二次進行型、および一次性進行型に分類できる。
【0108】
研究は、MSを処置するためのフマル酸エステルの有効性を支持し、第II相臨床試験を行っている(Schimrigk et ah, Eur J Neurology 2006, 13, 604-610およびWakkee and Thio, Current Opinion Investigational Drugs 2007, 8(11), 955-962)。MSの臨床試験における治療効果の評価は、総合障害度評価尺度および多発性硬化症機能評価(MS Functional)ならびに磁気共鳴映像の病変負荷、バイオマーカー、自己報告の生活の質などのツールを使用して達成することができる。潜在的な治療薬を同定し、検証するのに有用であることが示されたMSの動物モデルには、MSの臨床的および病理学的徴候および非ヒト霊長類EAEモデルをシミュレートする実験的自己免疫/アレルギー性脳脊髄炎(EAE)齧歯類モデルが挙げられる。
【0109】
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)炎症性腸疾患(IBD)は、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む大腸の、場合によっては、小腸の一群の炎症状態である。クローン病は、正常な裏層領域との間の炎症領域を特徴とし、口から肛門までの消化管のあらゆる部分に影響を与えることができる。主な胃腸症状は、腹痛、下痢、便秘、嘔吐、体重減少、および/または体重増加である。また、クローン病は、皮膚の発疹、関節炎および目の炎症を引き起こすことが可能である。潰瘍性大腸炎は、大腸や結腸内における潰瘍または開放創を特徴としている。潰瘍性大腸炎の主な症状は、典型的には徐々に発症する血液が混ざった持続性の下痢である。他の腸の腸疾患には、コラーゲン大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット大腸炎、および不確定大腸炎が挙げられる。喘息は、可逆性気道閉塞であり、気道が時々収縮し、炎症を起こし、過剰の粘液で埋め尽くされる。
【0110】
喘息の症状は、呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、および咳を含む。喘息の症状の発現は空中アレルゲン、食物アレルギー、投薬、吸入刺激物、身体的な運動、呼吸器感染症、精神的ストレス、ホルモンの変化、寒さ、またはその他の要因によって引き起こされる。
【0111】
動物実験(Joshi et ah, US2007/0027076)に示されるように、フマル酸エステルは、肺疾患、例えば喘息および慢性閉塞性肺疾患などの治療において有用であり得る。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性閉塞性気道疾患としても知られ、完全には可逆的ではない気道における病理学的気流制限を特徴とする疾患群であり、例えば、慢性気管支炎、肺気腫ならびに他の肺障害、例えば石綿肺、塵肺および肺腫瘍(例えばBarnes, Pharmacological Reviews 2004, 56(4), 515-548参照)の状態を含む。気流制限は、通常進行性で、有害な粒子およびガスに対する肺の異常な炎症反応と関連する。COPDは、息切れが数ヶ月または数年続くことで特徴づけられ、喘鳴、および痰が出る持続性の咳を伴うこともある。COPDは、ほとんどの場合、喫煙によって引き起こされるが、他の空中刺激物、例えば炭塵、アスベスト、都市の大気汚染、あるいは溶媒によっても引き起こされ得る。COPDは、線維症および末梢気道の閉塞、および気空の拡大を伴う肺気腫および肺の柔組織の破壊、肺の弾性の損失、および末梢気道の閉塞を伴う慢性閉塞性気管支炎を包含する。
【0112】
神経変性疾患、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症などは、進行性の機能障害および神経細胞死を特徴とする。パーキンソン病はゆっくりと進行する神経系の変性障害であり、筋肉が静止しているときの振戦(静止時振戦)、随意運動の緩慢さ、筋緊張の増大(硬直)を特徴とする。パーキンソン病において、大脳基底核、例えば黒質の神経細胞が変性し、それによってドーパミンの産生および大脳基底核における神経細胞間の接続の数が低下する。結果として、大脳基底核は、筋肉の動きを滑らかにし、通常のように姿勢の変化を調整することができず、振戦、協調運動障害、および緩慢で減少した動きにつながる(動作緩慢)(Blandini et ah., MoI. Neurobiol. 1996, 12, 73-94)。
【0113】
アルツハイマー病は、神経細胞の損失および老人斑と神経原線維変化の発生を含む脳組織の変性によって特徴づけられる進行性の精神機能の損失である。アルツハイマー病において、脳の一部が、神経細胞を破壊し、神経伝達物質に対する残っているニューロンの応答性を低下させながら変性する。脳組織における異常は、老人斑または神経突起班(senile or neuritic plaques)からなり、例えば異常なアミロイドと呼ばれる不溶性タンパク質を含有した死んだ神経細胞の凝集塊および神経細胞における不溶性タンパク質のねじれたストランドである神経原線維変化である。
【0114】
ハンチントン病は、常染色体優性の神経変性障害であり、特定の細胞死が新線条体および皮質で発生する(Martin, N Engl J Med 1999, 340, 1970-80)。発症は通常、人生の40代または50代の間に起き、発症年齢での平均生存期間は14〜20年である。ハンチントン病は、一般的に致命的であり、有効な処置法は存在しない。症状は、特徴的な運動障害(ハンチントン舞踏病)、認知機能障害および精神症状を含む。この疾患は、ハンチンチンタンパク質におけるCAGでエンコードされたポリグルタミンリピートの異常な伸長をエンコードする突然変異により引き起こされる。
【0115】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、進行性の神経変性障害であり、進行性および特定の脳、脳幹および脊髄における運動ニューロンの損失によって特徴付けられる (Rowland and Schneider, N Engl J Med 2001, 344, 1688-1700)。ALSは、頻繁に手に、まれに足における脱力に始まり、一般的に腕や脚にまで進行する。時間が経つにつれて、脱力が広がり痙攣が発生し、筋肉の単収縮(muscle twitching)や拘縮(tightening)を特徴とし、その後、筋痙攣(muscle spasms)および場合により振戦が生じる。発症の平均年齢は55歳であり、臨床的発症後の平均余命は4年である。ALSのための唯一の認識された処置法は、リルゾールであり、生存期間をわずかに約3ヶ月延ばすことができる。
【0116】
重症筋無力症(MG)は、横紋筋の神経筋接合部に影響を与える古典的な自己免疫疾患である。アセチルコリンレセプター(AChRを)および完全フロイントアジュバント(CFA)を用いて異なる動物種を免疫することにより、実験的自己免疫性重症筋無力症(EAMG)と呼ばれるMGの動物モデルが得られる。円形脱毛症は、一般的な病気であるが、倫理的な理由で、人間における病因を解明し、新たな治療的アプローチを開発するための大規模な研究を行うことが困難に思える。従って、適切な動物モデルを開発することは有用である。ダンディーの脱毛症実験ラット(DEBR)およびC3H/HeJマウスは円形脱毛症のための十分に確立された動物モデルであり、遺伝的な側面の研究、疾患の病因と治療のために使用することができる(J Dtsch Dermatol Ges. 2004 Apr;2(4):260-73)。
【0117】
糖尿病性腎症のためのマウスモデルは、Kidney International 77, 749-750 (May 2010)に従い、本発明による組み合わせの効果を証明するために利用することができる。
【0118】
そのため、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの組み合わせを用いた処置が有用である疾患および状態には、例えばリウマチ、環状肉芽腫、ループス、自己免疫性心臓炎、湿疹、サルコイドーシス、および自己免疫疾患、例えば急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、水疱性類天疱瘡、ベーチェット病、セリアック病、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚筋炎、I型糖尿病、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、汗腺膿瘍、川崎病、IgAニューロパチー、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、エリテマトーデス、混合性結合組織病、限局性強皮症、多発性硬化症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、関節リウマチ、統合失調症、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群(stiff person syndrome)、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、脈管炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0119】
投与
Nrf2アクチベーターとPPARガンマアゴニストとの組み合わせおよびそれらの医薬組成物は、経口または他の適切な経路により、例えば点滴またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚(例えば口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介した吸収により投与されてもよい。他の適切な投与の経路としては、限定されるものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、または局所が挙げられる。投与は全身または局所であってもよい。化合物および/または医薬組成物を投与するために使用することが可能な様々な送達系、(例えばリポソームへのカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなど)が知られている。
【0120】
全身投与のために、治療的有効量は、インビトロアッセイから最初に推定してもよい。例えば、用量は有益な循環組成濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて策定されてもよい。初期投与量はまた、in vivoデータ、例えば当該技術分野において知られた技術を使用する動物モデルから推定することができる。このような情報は、ヒトにおいてより正確に有用な用量を決定するために使用してもよい。当該技術分野で通常の知識を有するものは、動物データに基づいてヒトへの投与を最適化し得る。
態様の「自己免疫および/または炎症性疾患の処置におけるフマル酸モノおよび/またはジエステルと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニスト」は、自己免疫および/または炎症性疾患の処置においてフマル酸モノおよび/またはジエステルと組み合わせた、少なくとも1つのPPARガンマアゴニストの使用方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0122】
本発明の好ましい態様を、以下に記載する。
1.自己免疫および/または炎症性疾患の治療におけるフマル酸モノおよび/またはジエステルと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニスト。
2.自己免疫および/または炎症性疾患が乾癬であることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様1によるフマル酸モノおよび/またはジエステルとともに組み合わせて使用するための、ロシグリタゾンなどのPPARガンマアゴニスト。
3.自己免疫および/または炎症性疾患が、乾癬性関節炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患(IBS)、潰瘍性大腸炎、クローン病、肝炎、脱毛、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、糖尿病性腎症、慢性腎臓病および重症筋無力症の群から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様1によるフマル酸モノおよび/またはジエステルとともに組み合わせて使用するための、PPARガンマアゴニスト。
【0123】
4.PPARガンマアゴニストが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾンおよびシグリタゾンの群から選択されることを特徴とする、前記態様によるフマル酸モノおよび/またはジエステルとともに組み合わせて使用するための、PPARガンマアゴニスト。
5.フマル酸モノおよび/またはジエステルが、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラートおよびジエチルフマラートの群から選択されることを特徴とする、前記態様によるフマル酸モノおよび/またはジエステルとともに組み合わせて使用するための、PPARガンマアゴニスト。
6.PPARガンマアゴニストおよびフマル酸モノおよび/またはジエステルおよび任意に1または2以上の賦形剤を含む医薬組成物。
【0124】
7.ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾンまたはシグリタゾンおよびフマル酸モノおよび/またはジエステルおよび任意に1または2以上の賦形剤を含む医薬組成物。
8.フマル酸モノおよび/またはジエステルが、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラートおよびジエチルフマラートの群から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様6または7による医薬組成物。
9.PPARガンマアゴニストおよびフマル酸モノおよび/またはジエステルを含む固体経口製剤。
10.PPARガンマアゴニストおよびフマル酸モノおよび/またはジエステルとしてロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾンまたはシグリタゾンを含む固体経口製剤。
【0125】
11.フマル酸モノおよび/またはジエステルが、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラート、およびジエチルフマラートの群から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様9または10による固体経口製剤。
12.PPARガンマアゴニストおよびフマル酸モノおよび/またはジエステルが、該剤形中、任意に1または2以上の賦形剤を含有する別々の組成物においてそれぞれ含有されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様9〜10による固体経口製剤。
13.a)PPARガンマアゴニストおよびb)フマル酸モノおよび/またはジエステルおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
14.a)ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾンまたはシグリタゾンb)フマル酸モノおよび/またはジエステルおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
【0126】
15.フマル酸モノおよび/またはジエステルが、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラート、およびジエチルフマラートの群から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様13または14による部品キット。
16.多発性硬化症の処置においてモノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニスト。
17.多発性硬化症が再発寛解型(RR)、二次進行型(SP)、一次性進行型(PP)と再発進行型(PR)多発性硬化症およびMSを示唆する最初の脱髄性イベントまたは
clinically isolated syndrome (CIS)を含むことを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
18.PPARガンマアゴニストがグリタゾンであることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
【0127】
19.PPARガンマアゴニストが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンの群から選択されるグリタゾンであることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
20.Nrf2アクチベーターが、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラートおよびバルドキソロンメチルの群から選択されることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
21.ロシグリタゾンおよびジメチルフマラートの間の割合が1/20〜1/400(w/w、ロシグリタゾン/ジメチルフマラート)から選択されることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
22.ピオグリタゾンおよびジメチルフマラートの間の割合が1/3〜1/60(w/w、ピオグリタゾン/ジメチルフマラート)から選択されることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
【0128】
23.ロシグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/1〜1/100(w/w、ロシグリタゾン/バルドキソロンメチル)から選択されることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
24.バルドキソロンメチルが非晶質形態で用いられ、ロシグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/1〜1/20(w/w、ロシグリタゾン/バルドキソロンメチル)であることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
25.ピオグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/0.1〜1/20(w/w、ピオグリタゾン/バルドキソロンメチル)から選択されることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
26.バルドキソロンメチルが非晶質形態で用いられ、ピオグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/0.1〜1/3(w/w、ピオグリタゾン/バルドキソロンメチル)であることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
【0129】
27.PPARガンマアゴニスト、およびモノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーターおよび任意に1または2以上の賦形剤を含む医薬組成物。
28.PPARガンマアゴニストがグリタゾンであることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様27による医薬組成物。
29.グリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンの群から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28による医薬組成物。
30.Nrf2アクチベーターが、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラートおよびバルドキソロンメチルの群から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28〜30による医薬組成物。
【0130】
31.ロシグリタゾンおよびジメチルフマラートの間の割合が1/20〜1/400(w/w、ロシグリタゾン/ジメチルフマラート)から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28〜30による医薬組成物。
32.ピオグリタゾンおよびジメチルフマラートの間の割合が1/3〜1/60(w/w、ピオグリタゾン/ジメチルフマラート)から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28〜30による医薬組成物。
33.ロシグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/1〜1/100(w/w、ロシグリタゾン/バルドキソロンメチル)から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28〜30による医薬組成物。
34.バルドキソロンメチルが非晶質形態で用いられ、ロシグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/1〜1/20(w/w、ロシグリタゾン/バルドキソロンメチル)であることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28〜30による医薬組成物。
【0131】
35.ピオグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/0.1〜1/20(w/w、ピオグリタゾン/バルドキソロンメチル)から選択されることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28〜30による医薬組成物。
36.バルドキソロンメチルが非晶質形態で用いられ、ピオグリタゾンおよびバルドキソロンメチルの間の割合が1/0.1〜1/3(w/w、ピオグリタゾン/バルドキソロンメチル)であることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様28〜30による医薬組成物。
37.1または2以上の前記態様および/または態様27〜36による医薬組成物を含む固体経口製剤。
38.PPARガンマアゴニスト、およびモノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーター、および任意に1または2以上の賦形剤を含む固体経口製剤であって、ここでPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターがそれぞれ別々の医薬製剤において含有される、前記固体経口製剤。
【0132】
39.PPARガンマアゴニストはグリタゾンであり、およびNrf2アクチベーターが、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラートおよびバルドキソロンメチルの群から選択される1または2以上の前記態様および/または態様38による固体経口製剤。
40.Nrf2アクチベーターが非晶質形態で含有されるバルドキソロンメチルである前述の態様による固体経口製剤。
41.Nrf2アクチベーターが非晶質分散剤中に含有されるバルドキソロンメチルである前述の態様による固体経口製剤。
42.Nrf2アクチベーターが噴霧乾燥または凍結乾燥によって得られた非晶質分散剤中に含有されるバルドキソロンメチルである前述の態様による固体経口製剤。
43.Nrf2アクチベーターがメタクリル酸共重合体タイプC、USPとともに非晶質分散剤中に含有されるバルドキソロンメチルである前述の態様による固体経口製剤。
【0133】
44.Nrf2アクチベーターがメタクリル酸共重合体タイプC、USPとともに4/6の重量比で非晶質分散剤中に含有されるバルドキソロンメチルである前述の態様による固体経口製剤。
45.Nrf2アクチベーターが、少なくとも一つの親水性バインダーを含む非晶質分散剤中に含有されるバルドキソロンメチルである前述の態様による固体経口製剤。
46.親水性バインダーが、約1〜約40%の間(製剤に使用される全医薬組成物の重量%)、好ましくは約2〜約20%の間、より好ましくは約4〜約10%の間、さらにより好ましくは約5〜約7.5%の間および最も好ましくは約7〜7.5%の間、例えば7%の量で用いられる前述の態様による固体経口製剤。
【0134】
47.親水性バインダーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである前述の態様による固体経口製剤。
48.Nrf2アクチベーターが非晶質分散剤中に含有されるバルドキソロンメチルであり、さらに製剤がラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を、好ましくは製剤の総重量の3%の量において含有する前述の態様による固体経口製剤。
49.a)PPARガンマアゴニストおよびb)モノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーターおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
50.a)PPARアゴニストおよびb)モノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーターおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
51.PPARガンマアゴニストが、ロシグリタゾンまたはピオグリタゾンであることを特徴とする前記態様による部品キット。
【0135】
52.Nrf2アクチベーターが、ジエチルフマラートまたはバルドキソロンメチルであることを特徴とする前記態様による部品キット。
53.多発性硬化症の処置のためにNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、該PPARアゴニストが、例えばモノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーターの患者への投与と同時にまたは2日前までまたは2日後までに患者に投与される、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
54.多発性硬化症の処置のためにNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、該PPARアゴニストが1日に1回または2回投与される、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
【0136】
55.多発性硬化症の処置のためにNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、該Nrf2アクチベーターが1日に1回または2回投与される、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
56.乾癬以外の自己免疫および/または炎症性疾患の処置においてNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニスト。
57.自己免疫および/または炎症性疾患、例えば多発性硬化症、乾癬または慢性腎疾患の処置において、異なる化学分類に属するNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、好ましくはピオグリタゾン以外である、PPARガンマアゴニスト。
58.Nrf2アクチベーターが有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しない前述の態様に従い使用するための、好ましくはピオグリタゾン以外である、PPARガンマアゴニスト。
【0137】
59.自己免疫および/または炎症性疾患、例えば多発性硬化症、乾癬または慢性腎疾患の処置において、有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しないNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、好ましくはピオグリタゾン以外であり、Nrf2に対して有意な活性化効果を有しない、前記PPARガンマアゴニスト。
60.自己免疫および/または炎症性疾患、例えば多発性硬化症、乾癬または慢性腎疾患の処置において、異なる化学分類に属するNrf2アクチベーター(ここで、Nrf2アクチベーターはバルドキソロンメチルおよびその誘導体以外である)と組み合わせて使用するための、好ましくはピオグリタゾン以外である、PPARガンマアゴニスト。
61.PPARガンマアゴニストおよび異なる化学分類に属するNrf2アクチベーターを含む、自己免疫および/または炎症性疾患、例えば多発性硬化症、乾癬または慢性腎疾患の処置における使用のための組成物。
【0138】
62.Nrf2に対して有意な活性化効果を有しないPPARガンマアゴニスト、および有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しないNrf2アクチベーターを含む、自己免疫および/または炎症性疾患、例えば多発性硬化症、乾癬または慢性腎疾患の処置における使用のための前記態様による組成物。
63.ピオグリタゾンなどのPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターを含む組成物。
64.ピオグリタゾンなどのPPARガンマアゴニスト、および有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しないNrf2アクチベーターを含む組成物。
65.ピオグリタゾンおよび有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しないNrf2アクチベーターを含む、乾癬および他の自己免疫および/または炎症性疾患、例えば多発性硬化症、乾癬または慢性腎疾患の処置における使用のための組成物。
【0139】
66.多発性硬化症の処置において、有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しないNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニスト。
67.CKDまたは多発性硬化症の処置において、バルドキソロンメチル以外のNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニスト。
68.多発性硬化症が再発寛解型(RR)、二次進行型(SP)、一次性進行型(PP)と再発進行型(PR)多発性硬化症およびMSを示唆する最初の脱髄性イベントまたは
clinically isolated syndrome (CIS)を含むことを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
69.PPARガンマアゴニストがグリタゾンであることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
70.PPARガンマアゴニストが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンの群から選択されるグリタゾンであることを特徴とする、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、いかなる前記態様によるPPARガンマアゴニスト。
【0140】
71.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、いかなる前記態様のPPARガンマアゴニストであって、Nrf2アクチベーターが、マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバマート、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群に属する化合物から選択されることを特徴とし、ここで、1つまたは2つ以上、好ましくは1、2、3、4、5、6または7個のH原子が、直鎖状または分枝状アルキルおよびペルフルオロアルキル、例えばメチル、エチルなど、トリフルオロメチル、ハロゲン、例えばBr、Cl、FまたはIなど、ヒドロキシ、アルコキシおよびペルフルオロアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシなど、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロで置換されていてもよく、化合物が多くて1または2個の5員または6員炭素環、または互いに融合していてもよい1、2または3個のN、OまたはS原子を環原子として有する5員または6員複素環、好ましくは、0または1個のみの炭素環または複素環を有する。これらのNrf2アクチベーターを含有する組成物が好ましい。
本願発明および特に上記態様71による、組み合わせて使用するのに好ましいNrf2アクチベーターは、35個未満、好ましくは30個未満、より好ましくは25個未満および最も好ましくは20個未満またはさらに15個未満または10個未満の炭素原子を含有し、および/または400未満、好ましくは300未満、最も好ましくは200g/mol未満または170g/mol未満の分子量を有し、有意なPPARガンマアゴニスト活性を有しない化合物である。これらのNrf2アクチベーターを含有する組成物が好ましい。
【0141】
72.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、いかなる前記態様ののPPARガンマアゴニストおよび組成物であって、Nrf2アクチベーターが、2−ナフトキノン、シンナム酸アルデヒド、コーヒー酸およびそのエステル、クルクミン、レセルバトロール、アルテスナート、tert−ブチルヒドロキノン、ビタミンK1、K2およびK3およびそれぞれのキノンまたは上記のキノンのヒドロキノン形態およびヒドロキノン誘導体、フマル酸エステル、すなわち、フマル酸モノおよび/またはジエステルであり、好ましくはモノアルキル水素フマラートおよびジアルキルフマラート、例えば、モノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、モノエチル水素フマラートおよびジエチルフマラートなどであり、イソチオシアナート、例えばスルホラファン、1,2−ジチオール−3−チオン、例えば、オルチプラズ、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−ヒドロキシクマリン、4−ヒドロキシノネナール、4−オキソノネナール、マロンジアルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、カプサイシン、アリシン、アリルイソチオシアナート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアナート、7−メチルチオヘプチルイソチオシアナート、スルホラファン、8−メチルチオオクチルイソチオシアナート、8−イソプロスタグランジンA2、アルキルピルバート、例えばメチルおよびエチルピルバート、ジエチルまたはジメチルオキサロプロプリオナート、2−アセトアミドアクリラート、およびメチルまたはエチル−2−アセトアミドアクリラート、および前記剤の薬理学的に活性な立体異性体または誘導体の群から選択されることを特徴とする。
【0142】
73.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するための、前記態様のいずれかによるPPARガンマアゴニストおよび組成物であって、Nrf2アクチベーターがモノメチル水素フマラート、ジメチルフマラート、オルチプラズ、1,2−ナフトキノン、tert−ブチルヒドロキノン、メチルまたはエチルピルバート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ジエチルおよびジメチルオキサロプロプリオナートから選択されることを特徴とする。
74.a)ピオグリタゾン以外のPPARガンマアゴニストおよびb)モノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーターおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
75.a)Nrf2に対して有意な活性化効果を有しないPPARガンマアゴニストおよびb)モノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンの群から選択されるNrf2アクチベーターおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
【0143】
76.a)Nrf2に対して有意な活性化効果を有しないPPARガンマアゴニストおよびb)有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しないNrf2アクチベーターおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
77.a)Nrf2に対して有意な活性化効果を有しないPPARガンマアゴニストおよびb)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバマート、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群に属する化合物から選択されるNrf2アクチベーター、ここで、1つまたは2つ以上、好ましくは1、2、3、4、5、6または7個のH原子が、直鎖状または分枝状アルキルおよびペルフルオロアルキル、例えばメチル、エチルなど、トリフルオロメチル、ハロゲン、例えばBr、Cl、FまたはIなど、ヒドロキシ、アルコキシおよびペルフルオロアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシなど、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロで置換されていてもよく、化合物が多くて1または2個の5員または6員炭素環、または互いに融合していてもよい1、2または3個のN、OまたはS原子を環原子として有する5員または6員複素環、または好ましくは、0または1個のみの炭素環または複素環を有する、および任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
78.a)好ましくはピオグリタゾン以外のPPARガンマアゴニスト、b)モノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンアルキルの群から選択されるNrf2アクチベーターを含む組成物。
【0144】
79.a)Nrf2に対して有意な活性化効果を有しないPPARガンマアゴニスト、b)モノアルキル水素フマラート、ジアルキルフマラートおよびバルドキソロンの群から選択されるNrf2アクチベーターを含む組成物。
80.a)Nrf2に対して有意な活性化効果を有しないPPARガンマアゴニスト、b)有意なPPARガンマアゴニスト効果を有しないNrf2アクチベーターを含む組成物。
81.a)Nrf2に対して有意な活性化効果を有しないPPARガンマアゴニスト、b)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバマート、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群に属する化合物から選択されるNrf2アクチベーター、ここで、1つまたは2つ以上、好ましくは1、2、3、4、5、6または7個のH原子が、直鎖状または分枝状アルキルおよびペルフルオロアルキル、例えばメチル、エチルなど、トリフルオロメチル、ハロゲン、例えばBr、Cl、FまたはIなど、ヒドロキシ、アルコキシおよびペルフルオロアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシなど、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロで置換されていてもよく、化合物が多くて1または2個の5員または6員炭素環、または互いに融合していてもよい1、2または3個のN、OまたはS原子を環原子として有する5員または6員複素環、または好ましくは、0または1個のみの炭素環または複素環を有する、を含む組成物。
【0145】
82.がん、好ましくは白血病などの血液のがん、例えば急性骨髄性白血病(AML)を処置または予防する方法であって、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターをそれらを必要とする患者に投与することを含み、ここで該Nrf2アクチベーターは刺激されたおよび/または増大したNrf2タンパク質の核移行を誘発または誘導することができ、
a)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群から選択され、および
b)35未満の炭素原子を含有し、および/または
c)600g/mol未満の分子量を有し、および/または
d)0あるいは多くて1または2個の融合したあるいは単環式の5−または6−員炭素環、またはN、OまたはSから選択された1、2または3個の還原子を有する複素環を含有する、
前記がんを処置または予防する方法。
前記方法の一態様において、Nrf2アクチベーターは好ましくは三酸化ヒ素以外である。好ましくはNrf2アクチベーターは、ジメチルフマラート、モノメチル水素フマラートまたはバルドキソロンメチルである。
【0146】
83.糖尿病、例えばII型糖尿病およびその合併症、例えば関節炎、慢性腎臓病およびシンドロームXを処置または予防する方法であって、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターをそれらを必要とする患者に投与することを含み、ここで該Nrf2アクチベーターは、Nrf2タンパク質の刺激されたおよび/または増大した核移行を誘発または誘導することができ、
a)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群から選択され、および
b)35未満の炭素原子を含有し、および/または
c)600g/mol未満の分子量を有し、および/または
d)0あるいは多くて1または2個の融合したあるいは単環式の5−または6−員炭素環、またはN、OまたはSから選択された1、2または3個の還原子を有する複素環を含有する、
前記糖尿病を処置または予防する方法。
前記方法の一態様において、Nrf2アクチベーターは好ましくはバルドキソロンメチルおよび/またはコルチコステロイド以外である。好ましくはNrf2アクチベーターは、ジメチルフマラートまたはモノメチル水素フマラートである。
【0147】
84.循環器疾患を処置または予防する方法であって、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターをそれらを必要とする患者に投与することを含み、ここで該Nrf2アクチベーターは、Nrf2タンパク質の刺激されたおよび/または増大した核移行を誘発または誘導することができ、
a)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群から選択され、および
b)35未満の炭素原子を含有し、および/または
c)600g/mol未満の分子量を有し、および/または
d)0あるいは多くて1または2個の融合したあるいは単環式の5−または6−員炭素環、またはN、OまたはSから選択された1、2または3個の還原子を有する複素環を含有する、
前記循環器疾患を処置または予防する方法。
【0148】
85.呼吸器疾患、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患および線維症を処置または予防する方法であって、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターをそれらを必要とする患者に投与することを含み、ここで該Nrf2アクチベーターは、Nrf2タンパク質の刺激されたおよび/または増大した核移行を誘発または誘導することができ、
a)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群から選択され、および
b)35未満の炭素原子を含有し、および/または
c)600g/mol未満の分子量を有し、および/または
d)0あるいは多くて1または2個の融合したあるいは単環式の5−または6−員炭素環、またはN、OまたはSから選択された1、2または3個の還原子を有する複素環を含有する、
前記呼吸器疾患を処置または予防する方法。
前記方法の一態様において、Nrf2アクチベーターは好ましくはコルチコステロイド以外である。好ましくはNrf2アクチベーターは、ジメチルフマラート、モノメチル水素フマラートまたはバルドキソロンメチルである。
【0149】
86.移植片拒絶および/または壊死を処置または予防する方法であって、PPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターをそれらを必要とする患者に投与することを含み、ここで該Nrf2アクチベーターは、Nrf2タンパク質の刺激されたおよび/または増大した核移行を誘発または誘導することができ、
a)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群から選択され、および
b)35未満の炭素原子を含有し、および/または
c)600g/mol未満の分子量を有し、および/または
d)0あるいは多くて1または2個の融合したあるいは単環式の5−または6−員炭素環、またはN、OまたはSから選択された1、2または3個の還原子を有する複素環を含有する、
前記移植片拒絶および/または壊死を処置または予防する方法。
【0150】
87.乾癬を処置または予防する方法であって、PPARアゴニストおよびNrf2アクチベーターをそれらを必要とする患者に投与することを含み、ここで該Nrf2アクチベーターは、Nrf2タンパク質の刺激されたおよび/または増大した核移行を誘発または誘導することができ、
a)マイケル反応アクセプター、フェノール、ジフェノール、カルコン、イソチオシアナート、チオカルバミン酸、キノン、ナフトキノンおよび1,2ジチオール−3−チオンの群から選択され、および
b)35未満の炭素原子を含有し、および/または
c)600g/mol未満の分子量を有し、および/または
d)0あるいは多くて1または2個の融合したあるいは単環式の5−または6−員炭素環、またはN、OまたはSから選択された1、2または3個の還原子を有する複素環を含有する、
前記乾癬を処置または予防する方法。
前記方法の一態様において、ヒドロキシ尿素の治療量が患者に同時投与されることはない。前記方法の他の態様において、モノメチル水素フマラートの治療量が患者に同時投与されることはない。前記方法の他の態様において、ジメチルフマラートの治療量が患者に同時投与されることはない。前記方法の他の態様において、Nrf2アクチベーターはバルドキソロンメチルである。前記方法の他の態様において、PPARアゴニストはピオグリタゾン以外、例えばロシグリタゾンである。
【0151】
88.PPARアゴニストおよびジアルキルフマラートおよび/またはモノアルキル水素フマラートをそれらを必要とする患者に投与することを含む、乾癬以外の自己免疫および/または炎症性疾患を処置または予防する方法。
89.PPARアゴニストおよびバルドキソロンメチルをそれらを必要とする患者に投与することを含む、慢性腎疾患以外の自己免疫および/または炎症性疾患を処置または予防する方法。
90.PPARアゴニストおよびジメチルフマラートおよび/またはモノメチル水素フマラートをそれらを必要とする患者に投与することを含む、循環器疾患、呼吸器疾患、移植片拒絶、がんおよび糖尿病およびその合併症を処置または予防する方法。
91.ピオグリタゾン以外のPPARアゴニストおよびジメチルフマラートおよび/またはモノメチル水素フマラートをそれらを必要とする患者に投与することを含む、自己免疫/炎症性および循環器疾患、呼吸器障害、移植片拒絶、がんおよび糖尿病およびその合併症を処置または予防する方法。
【0152】
92.自己免疫および/または炎症性疾患の処置において、Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニスト。
93.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、Nrf2アクチベーターがジメチルフマラートであることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様92による前記PPARガンマアゴニスト。
94.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、Nrf2アクチベーターがバルドキソロンメチルであることを特徴とする、1または2以上の前記態様および/または態様92による前記PPARガンマアゴニスト。
95.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、PPARガンマアゴニストがピオグリタゾンであることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
【0153】
96.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、PPARガンマアゴニストが、ロシグリタゾン、トログリタゾンおよびシグリタゾンの群から選択されることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
97.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、自己免疫および/または炎症性疾患が乾癬であることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
98.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、自己免疫および/または炎症性疾患が多発性硬化症であることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
99.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、自己免疫および/または炎症性疾患が潰瘍性大腸炎であることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
【0154】
100.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、自己免疫および/または炎症性疾患がクローン病であることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
101.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、自己免疫および/または炎症性疾患が円形脱毛症や瘢痕性脱毛症であることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
102.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、自己免疫および/または炎症性疾患が糖尿病腎症であることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
【0155】
103.Nrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであって、自己免疫および/または炎症性疾患が重症筋無力症であることを特徴とする、前記態様の一つによる前記PPARガンマアゴニスト。
104.ピオグリタゾン、ジメチルフマラートおよび任意に1または2以上の賦形剤を含む医薬組成物。
105.ジメチルフマラートおよびロシグリタゾン、トログリタゾンおよびシグリタゾンから選択されるPPARガンマアゴニストおよび任意に1または2以上の賦形剤を含む医薬組成物。
106.バルドキソロンメチルおよびピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾンおよびシグリタゾンから選択されるPPARガンマアゴニストおよび任意に1または2以上の賦形剤を含む医薬組成物。
【0156】
107.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびフマル酸モノアルキルおよび/またはジアルキルエステルそれらを必要とする患者に投与することを含む、神経変性疾患を処置または予防する方法。
108.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートおよびジエチルフマラートから選択され、フマル酸モノアルキルエステルが、モノメチル水素フマラート およびモノエチル水素フマラートから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様107による方法。
109.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様107または108による方法。
110.神経変性疾患が、多発性硬化症である、1または2以上の前記態様および/または態様107、108または109による方法。
【0157】
111.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびフマル酸モノアルキルおよび/またはジアルキルエステルおよび任意の1または2以上の賦形剤を含む、医薬組成物。
112.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートおよびジエチルフマラートから選択され、フマル酸モノアルキルエステルが、モノメチル水素フマラート およびモノエチル水素フマラートから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様111による医薬組成物。
113.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様111または112による医薬組成物。
114.1または2以上の前記態様および/または態様111、112または113による医薬組成物をそれらを必要とする患者に投与することを含む、神経変性疾患を処置または予防する方法。
【0158】
115.神経変性疾患が、多発性硬化症である、1または2以上の前記態様および/または態様114による方法。
116.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびフマル酸モノアルキルおよび/またはジアルキルエステルおよび任意の1または2以上の賦形剤を含む、固体経口製剤。
117.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートおよびジエチルフマラートから選択され、フマル酸モノアルキルエステルが、モノメチル水素フマラート およびモノエチル水素フマラートから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様116による固体経口製剤。
118.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様116または117による固体経口製剤。
【0159】
119.、1または2以上の前記態様および/または態様116、117または118による固体経口製剤のそれらを必要とする患者に経口投与することを含む、神経変性疾患を処置または予防する方法。
120.神経変性疾患が、多発性硬化症である、1または2以上の前記態様および/または態様119による方法。
121.a)グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびb)フマル酸モノアルキルおよび/またはジアルキルエステルおよび任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
122.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートおよびジエチルフマラートから選択され、フマル酸モノアルキルエステルが、モノメチル水素フマラート およびモノエチル水素フマラートから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様121による部品キット。
123.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様121または122による部品キット。
【0160】
124.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびa)フマル酸エステル、バルドキソロンメチル(メチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、CDDO−Me、RTA402)、エチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オイック酸(CDDO)、1[2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オイル]イミダゾール(CDDO−Im)、2−シアノ−N−メチル−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28アミド(CDDO−メチルアミド、CDDO−MA)、[(±)−(4bS、8aR、10aS)−10a−エチニル−4b,8,8−トリメチル−3,7−ジオキソ−3,4b,7,8,8a,9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,6−ジカルボニトリル](TBE−31)、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オニトリル(TP−225)、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択される単離されたNrf2アクチベーター、またはb)前記単離されたNrf2アクチベーターを含む医薬組成物を組み合わせて投与することを含む、
ただし、自己免疫および/または炎症性疾患が乾癬であり、PPARガンマアゴニストがピオグリタゾンであり、Nrf2アクチベーターがフマル酸エステルである場合には、前記処置は、ヒドロキシ尿素と組み合わせない、
自己免疫および/または炎症性疾患の処置方法。
【0161】
125.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびa)フマル酸エステル、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択される単離されたNrf2アクチベーター、またはb)前記単離されたNrf2アクチベーターを含む医薬組成物を組み合わせて投与することを含む、
ただし、自己免疫および/または炎症性疾患が乾癬であり、PPARガンマアゴニストがピオグリタゾンであり、Nrf2アクチベーターがフマル酸エステルである場合には、前記処置は、ヒドロキシ尿素と組み合わせない、
自己免疫および/または炎症性疾患のを処置方法。
【0162】
126.自己免疫および/または炎症性障害が、乾癬、強皮症、慢性腎臓病(CKD)、神経変性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、線維症、炎症性関節炎疾患および炎症性腸疾患(IBD)から選択される、前記態様による処置方法。
127.自己免疫および/または炎症性障害が、多発性硬化症、
clinically isolated syndrome (CIS)、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、およびパーキンソン病から選択される神経変性疾患である、前記態様による処置方法。
【0163】
128.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびa)フマル酸エステル、バルドキソロンメチル(メチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、CDDO−Me、RTA402)、エチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オイック酸(CDDO)、1[2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オイル]イミダゾール(CDDO−Im)、2−シアノ−N−メチル−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28アミド(CDDO−メチルアミド、CDDO−MA)、[(±)−(4bS、8aR、10aS)−10a−エチニル−4b,8,8−トリメチル−3,7−ジオキソ−3,4b,7,8,8a,9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,6−ジカルボニトリル](TBE−31)、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オニトリル(TP−225)、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択される単離されたNrf2アクチベーター、またはb)前記単離されたNrf2アクチベーターを含む医薬組成物を組み合わせて投与することを含む、
ただし、自己免疫および/または炎症性疾患が乾癬であり、PPARガンマアゴニストがピオグリタゾンであり、Nrf2アクチベーターがフマル酸エステルである場合には、前記処置は、ヒドロキシ尿素と組み合わせない、
患者の炎症を抑制する方法。
【0164】
129.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびa)フマル酸エステル、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択される単離されたNrf2アクチベーター、またはb)前記単離されたNrf2アクチベーターを含む医薬組成物を組合わせて投与することを含む、
ただし、炎症が乾癬に伴いおよび/または乾癬の結果から生じ、PPARガンマアゴニストがピオグリタゾンであり、Nrf2アクチベーターがフマル酸エステルである場合には、前記処置は、ヒドロキシ尿素と組み合わせない、
患者の炎症を抑制する方法。
【0165】
130.炎症が慢性炎症である、前記態様による方法。
131.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、前記態様による方法。
132.Nrf2アクチベーターが、ジアルキルフマラートおよびモノアルキルフマラートから選択されるフマル酸エステルである、前記態様による方法。
133.Nrf2アクチベーターが、ジアルキルフマラートである、前記態様による方法。
【0166】
134.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびフマル酸エステル、バルドキソロンメチル(メチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、CDDO−Me、RTA402)、エチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オイック酸(CDDO)、1[2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オイル]イミダゾール(CDDO−Im)、2−シアノ−N−メチル−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28アミド(CDDO−メチルアミド、CDDO−MA)、[(±)−(4bS、8aR、10aS)−10a−エチニル−4b,8,8−トリメチル−3,7−ジオキソ−3,4b,7,8,8a,9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,6−ジカルボニトリル](TBE−31)、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オニトリル(TP−225)、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択されるNrf2アクチベーター、および任意に1または2以上の賦形剤を含む、医薬組成物。
【0167】
135.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびフマル酸エステル、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択されるNrf2アクチベーター、および任意に1または2以上の賦形剤を含む、医薬組成物。
【0168】
136.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、前記態様による医薬組成物。
137.Nrf2アクチベーターが、ジアルキルフマラートおよびモノアルキルフマラートから選択されるフマル酸エステルである、前記態様による医薬組成物。
138.Nrf2アクチベーターが、ジアルキルフマラートである、前記態様による医薬組成物。
139.前記態様による医薬組成物を含む、固体経口製剤。
【0169】
140.1または2以上の前記態様および/または態様134、135、136、137または138による医薬組成物を投与することを含む、自己免疫および/または炎症性障害の処置方法。
141.自己免疫および/または炎症性障害が、乾癬、強皮症、慢性腎臓病(CKD)、神経変性疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、線維症、炎症性関節炎疾患および炎症性腸疾患(IBD)から選択される、前記態様による処置方法。
142.自己免疫および/または炎症性障害が、多発性硬化症、
clinically isolated syndrome (CIS)、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、およびパーキンソン病から選択される神経変性疾患である、前記態様による処置方法。
143.1または2以上の前記態様および/または態様134、135、136、137または138による医薬組成物投与することを含む、患者における炎症の抑制方法。
144.炎症が、慢性炎症である、前記態様による方法。
【0170】
145.a)グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびb)フマル酸エステル、バルドキソロンメチル(メチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート,CDDO−Me、RTA402)、エチル2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オアート、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)ジエン−28−オイック酸(CDDO)、1[2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オイル]イミダゾール(CDDO−Im)、2−シアノ−N−メチル−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28アミド(CDDO−メチルアミド、CDDO−MA)、[(±)−(4bS,8aR,10aS)−10a−エチニル−4b,8,8−トリメチル−3,7−ジオキソ−3,4b,7,8,8a,9,10,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,6−ジカルボニトリル](TBE−31)、2−シアノ−3,12−ジオキソオレアナ−1,9(11)−ジエン−28−オニトリル(TP−225)、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択されるNrf2アクチベーター、および任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
【0171】
146.a)グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびb)フマル酸エステル、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、オーラノフィン、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸(メサラミン)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩の群から選択されるNrf2アクチベーター、および任意にc)投与計画のための説明書を含む部品キット。
【0172】
147.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、前記態様による部品キット。
148.Nrf2アクチベーターが、ジアルキルフマラートおよびモノアルキルフマラートから選択されるフマル酸エステルである、前記態様によるキット。
149.Nrf2アクチベーターが、ジアルキルフマラートである、前記態様によるキット。
150.グリタゾンおよびフマル酸モノアルキルエステルおよび/またはフマル酸ジアルキルエステルを多発性硬化症または
clinically isolated syndrome (CIS)を有する患者に含む医薬組成物を投与することを含む、多発性硬化症または
clinically isolated syndrome (CIS)を処置する方法。
151.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートまたはジエチルフマラートから選択され、フマル酸モノアルキルエステルが、モノメチル水素フマラートまたはモノエチル水素フマラートから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様150による方法。
【0173】
152.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートである、1または2以上の前記態様および/または態様151による方法。
153.グリタゾンが、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンである、1または2以上の前記態様および/または態様150による方法。
154. 前記組成物が、ジメチルフマラートまたはジエチルフマラートから選択されるフマル酸ジアルキルエステルを含む、1または2以上の前記態様および/または態様150による方法。
155.フマル酸ジアルキルエステルがジメチルフマラートである、1または2以上の前記態様および/または態様154による方法。
156.グリタゾンおよびフマル酸モノアルキルエステルおよび/またはフマル酸ジアルキルエステルおよび任意に1または2以上の賦形剤を含む組成物。
【0174】
157.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートまたはジエチルフマラートから選択され、フマル酸モノアルキルエステルが、モノメチル水素フマラートまたはモノエチル水素フマラートから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様156による医薬組成物。
158.グリタゾンが、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンである、1または2以上の前記態様および/または態様156による医薬組成物。
159.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートである、1または2以上の前記態様および/または態様157による医薬組成物。
160.医薬組成物が固体経口製剤を含む、1または2以上の前記態様および/または態様156による前記医薬組成物。
【0175】
161.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートまたはジエチルフマラートから選択され、フマル酸モノアルキルエステルが、モノメチル水素フマラートまたはモノエチル水素フマラートから選択され、グリタゾンが、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンであり、前記医薬組成物が固体経口製剤である、1または2以上の前記態様および/または態様156による医薬組成物。
162.フマル酸ジアルキルエステルが、ジメチルフマラートである、1または2以上の前記態様および/または態様161による医薬組成物。
163.患者が多発性硬化症である、1または2以上の前記態様および/または態様150による方法。
164.患者が
clinically isolated syndrome (CIS)を有する、1または2以上の前記態様および/または態様150による方法。
165.グリタゾンの群から選択されるPPARガンマアゴニストおよびバルドキソロンアルキルをそれらを必要とする患者に投与することを含む、自己免疫および/または炎症性障害を処置または予防する方法。
【0176】
166.バルドキソロンアルキルが、バルドキソロンメチルである、1または2以上の前記態様および/または態様165による方法。
167.PPARガンマアゴニストグリタゾンが、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンから選択される、1または2以上の前記態様および/または態様165または166による方法。
168.自己免疫および/または炎症性障害が慢性腎臓病である、1または2以上の前記態様および/または態様165、166または167による方法。
169.自己免疫および/または炎症性障害が多発性硬化症である、1または2以上の前記態様および/または態様165、166または167による方法。
170.a)オーラノフィン、スルファサラジンまたは5−アミノサリチル酸(メサラミン)から選択される化合物およびb)グリタゾンを含む組成物。
【0177】
171.a)オーラノフィン、スルファサラジンまたは5−アミノサリチル酸(メサラミン)から選択される化合物およびb)ピオグリタゾンを含む組成物。
172.a)オーラノフィン、スルファサラジンまたは5−アミノサリチル酸(メサラミン)から選択される化合物およびb)ロシグリタゾンを含む組成物。
173.a)オーラノフィン、スルファサラジンまたは5−アミノサリチル酸(メサラミン)から選択される化合物およびb)ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのグリタゾンc)1または2以上の賦形剤を含む医薬組成物。
174.態様170〜173による組成物、好ましくはa)オーラノフィンまたはスルファサラジンおよびb)グリタゾンを含む組成物を患者に投与することを含む、関節リウマチを処置方法。
175.態様170〜173による組成物、好ましくはスルファサラジンまたは5−アミノサリチル酸(メサラミン)およびグリタゾンを含む組成物を患者に投与することを含み、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸疾患から選択される状態を処置する方法。
【0178】
本発明の他の態様において、自己免疫および/または炎症性疾患は、口腔の炎症やのどの炎症、例えば歯肉炎、歯周炎または扁桃炎などである。好ましい態様において、このような疾患は、好ましくは、溶液を用いて口腔および/またはのどを漱ぐか、またはPPARガンマアゴニスト、例えばグリタゾン、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾン、およびNrf2アクチベーター、例えばスルホラファン、tert−ブチルヒドロキノンおよび/またはブチル化ヒドロキシアニソールまたは本明細書に記載した他のもの、好ましくは、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナートなど、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩を含むジェルまたはクリームを塗ることによって処置される。上記溶液またはジェルは、従来知られた賦形製剤、例えばポリビニルピロリドンを賦形剤として含む剤の水性製剤などに基づくことができる。さらに、溶液またはゲルを剤に加えてもよく、また、抗菌剤、例えばクロルヘキシジン、例えばグルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、フッ化スズ、ヘキセチジン、安息香酸およびその塩、例えば安息香酸ナトリウム、サリチル酸塩、例えばサリチル酸メチル、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベンおよび/または臭化ドミフェンを含有してもよい。
【0179】
そのため、本発明の好ましい態様は、PPARアゴニストおよび好ましくはPPARガンマアゴニスト、例えばグリタゾン、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンおよびNrf2アクチベーター、例えばスルホラファン、tert−ブチルヒドロキノンおよび/またはブチル化ヒドロキシアニソールまたは本明細書に記載した他のもの、特に、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、tert−ブチルキノン(tBQ)、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチレン−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン(2,6−ジ−tert−ブチルキノンメチド、BHT−キノンメチド)、エトキシキン、没食子酸エステル、クルクミン、レスベラトロール、メナジオン、桂皮アルデヒド、桂皮酸エステル、コーヒー酸エステル、カフェストール、カーウェオール、リコペン、カルノソール、スルホラファン、オルチプラズ、5−(4−メトキシ−フェニル)−1,2−ジチオール−3−チオン(ADT)、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(ATB−429)、アリシン、アリルイソチオシアナート、ゼルンボン、フェネチルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナートなど、ならびに前記剤のアルキルおよびアルカノイルエステル、アルキルエーテル、立体異性体、互変異性体および塩をを含有する溶液およびジェルまたはクリームである。さらなる好ましい態様において、各剤はこれらの溶液、ジェルまたはクリーム中、溶液、クリームまたはジェルの総重量の少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも0.5%または少なくとも1、2または3%(w/w)の量で用いられる。
【0180】
炎症性疾患における活性酸素種および抗酸化剤の役割はJournal of Clinical Periodontology Volume 24、Issue 5、1997年、287-296頁中において記載されている。
歯周炎および歯肉炎の動物モデルは、当該技術分野、例えばJournal of Biomedicine and Biotechnology Volume 2011, Article ID 754857, 8 頁doi:10.1155/2011/754857で周知である。
本発明の他の好ましい態様において、PPARガンマアゴニスト、例えばピオグリタゾンまたはロシグリタゾンは、自己免疫および/または炎症性疾患、例えば、乾癬、乾癬性関節炎、および関節炎、例えば関節リウマチの処置のためにNrf2アクチベーターカプサイシンとともに投与される。その組み合わせはまた、神経障害性疼痛などの疼痛の処置のために使用することができる。カプサイシンとの組み合わせは、好ましくは、クリームまたはジェルまたはパッチの形態で局所的に適用される。より好ましくは、本発明は、カプサイシンおよびPPARガンマアゴニスト、例えばグリタゾン、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンを含むクリームまたはジェルまたはパッチに関する。
【0181】
本発明によるカプサイシンを含むクリーム、ジェルまたはパッチは、本明細書に記載したような乾癬および関節リウマチのための動物モデルにおいて局所的に適用された場合に有利な結果を提供する。これらの動物モデルにおいて、カプサイシンおよびPPARガンマアゴニスト、例えばグリタゾン、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンを含むクリーム、ジェルまたはパッチは、症状が現れている皮膚の接合部または他の領域に適用される。
【0182】
他の好ましい態様において、自己免疫および/または炎症性疾患、例えば喘息、アレルギー、例えば季節アレルギーや花粉症、COPDまたはアレルギー性鼻炎を処置または予防するために、Nrf2アクチベーターのクロモリンナトリウムまたはネドクロミルはPPARガンマアゴニスト、例えばグリタゾン、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わされる。好ましくは、クロモリンナトリウムまたはそれらの他の塩またはネドクロミルまたはその塩、例えばナトリウム塩をNrf2アクチベーターとして含有する組み合わせは、PPARガンマアゴニストと溶液またはジェルまたはクリームまたはパッチ、特に従来の賦形剤を含む吸入のための溶液または点眼液において組み合わされる。ピオグリタゾンは、鏡像異性的に純粋または濃縮された形態で使用することができ、例えばWO2011015868およびWO2011098746において開示され、特に口内洗浄剤または経口ジェル製剤、吸入溶液、点眼剤および皮膚の処置のための局所クリームまたはジェルまたはパッチに有利である。
【0183】
好ましくは、本発明において使用されるPPARアゴニストおよびNrf2アクチベーターは化合物の同じ化学分類に属さない、すなわちNrf2アクチベーターは好ましくはPPARアゴニストとしての化合物とは異なる分類に属する。炎症および/または自己免疫疾患の処置において使用するための本発明の組み合わせを含む固体経口剤形が好ましい。
固体経口剤形は、当該技術分野で周知であり、粉末、顆粒、トローチ剤、カプセル剤および錠剤、例えば圧縮錠剤(CT)、糖被覆錠剤(SCT)、フィルム被覆錠剤(FCT)、腸溶性被覆錠剤(ECT)、複数の圧縮サイクルによって作成された圧縮錠剤である多重圧縮錠剤(MCT)、既に圧縮造粒したものに追加のタブレット造粒を圧縮することにより製造する層錠剤、プレスコーティング錠、制御放出錠、発泡錠、圧縮坐剤、口腔および舌下錠、成形した錠剤(粉薬錠剤、TT)と皮下錠剤(HT)を含む。最も好ましくは、両薬剤を単一の医薬組成物中に一緒に含有する固体経口剤形である。
【0184】
また、好ましいのは、ジメチルフマラート、モノメチルフマラート、その亜鉛、マグネシウムおよび/またはカルシウム塩の形態およびPPARアゴニストを含む組成物である。乾癬の処置におけるこの組成物の使用が特に好ましい。また、好ましいのは、上記態様のいずれかに記載の自己免疫および/または炎症性疾患の処置においてNrf2アクチベーターと組み合わせて使用するためのPPARガンマアゴニストであり、特にPPARアゴニストおよびNrf2アクチベーターを混合物において、あるいは両剤を一緒に含有する単一の医薬製剤中において使用しないかあるいは投与しない場合、処置がヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)の投与を除外するかまたは含まないことを特徴とする。
【0185】
本発明の一態様において、本発明に従って処置される自己免疫および/または炎症性障害は、乾癬および/または乾癬に起因してまたは伴って生じる炎症である。好ましくは、本発明の処置は、乾癬および/または乾癬に起因してまたは伴って生じる炎症を処置するために、グリタゾンとジメチルフマラートを組み合わせる。この場合においてグリタゾンがピオグリタゾンであり、特にNrf2アクチベーターとの混合物において、あるいは両剤を一緒に含有する単一の医薬製剤中において使用しないかあるいは投与しないならば、処置される患者は、本発明の処置の前に好ましくは、ヒドロキシ尿素の治療量を受けない。本発明による処置と同時に、好ましくはその後においてもピオグリタゾン、ジメチルフマラートまたはその代謝物が、まだ体内に存在している間は、ヒドロキシ尿素を受けない。そのため、自己免疫および/または炎症性疾患が乾癬であり、PPARアゴニストがピオグリタゾンであり、Nrf2アクチベーターがフマル酸エステルである場合、特にPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターを混合物において、あるいは両剤を一緒に含有する単一の医薬製剤中において使用しないかあるいは投与しない場合、処置は、好ましくはヒドロキシ尿素と組み合わされない。
【0186】
本発明に従って処置される自己免疫および/または炎症性疾患が、乾癬および/または乾癬に起因してまたは伴って生じる炎症である場合、グリタゾンは一態様において好ましくはピオグリタゾン以外、例えばロシグリタゾンであるか、またはNrf2アクチベーターがフマル酸エステル以外である。ピオグリタゾンおよびロシグリタゾン錠剤が市販されており、本発明による併用療法のためにそのまま使用することができる。
【0187】
一態様において、好ましい錠剤は、ロシグリタゾンと同等のロシグリタゾンマレアートを2mg、4mgまたは8mgを含有するフィルムコーティング錠であり、経口投与のための以下の不活性成分を伴う:ヒプロメロース2910、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール3000、デンプングリコール酸ナトリウム、二酸化チタン、トリアセチン、および1または2以上の合成赤色および黄色酸化鉄およびタルク。一態様において、経口投与のための好ましい錠剤は15mg、30mgまたは45mgのピオグリタゾン(塩基として)を含有し、以下の賦形剤:ラクトース一水和物NF、ヒドロキシプロピルセルロースNF、カルボキシメチルセルロースカルシウムNF、およびステアリン酸マグネシウムNFとともに製剤化する。他の製剤は、US6355676、US7976853および6403121に準じて得ることができる。
【0188】
本明細書を通して、用語「有意でないPPARガンマアゴニスト活性」または「有意でないPPARガンマアゴニスト作用」は、治療上有用なNrf2アクチベーターの濃度で、治療上有用なPPARガンマの活性化が得られないかまたは測定できないことを意味する。本明細書全体を通して、用語「Nrf2に対して有意でない効果」または「Nrf2に対して有意な活性化効果がない」または「Nrf2活性に対して有意な効果がない」は、治療上有用なPPARガンマアゴニストの濃度で、治療上有用なNrf2の活性化が得られないかまたは測定できないことを意味する。
用語モノアルキルフマラート、モノアルキル水素フマラートは、例えば、モノメチルフマラートおよびモノメチル水素フマラートとして、同義的に使用される。
【実施例】
【0189】
例1
ジメチルフマラート120.0mgを含有するカプセル内の腸溶性コーティングマイクロ錠剤の製造
米国特許7320999に従い、ジメチルフマラート12.000kgを粉砕、混合し、ふるい800を用いて均質化した。次に、以下の組成を有する賦形剤混合物が製造される。でんぷん誘導体17.50kg(STA-RX(登録商標)1500)、微結晶性セルロース0.30kg(Avicel(登録商標)PH101)、PVP0.75kg(Kollidon(登録商標)120)、プリモゲル4.00kg(登録商標)、コロイド状ケイ酸0.25kg(Aerosil(登録商標))。ジメチルフマラートを全粉末混合物に添加し、混合し、ふるい200を用いて均質化し、バインダー顆粒を得るために2%ポリビドンピロリドン(Kollidon(登録商標)K25)水溶液を用いて通常の方法で処理し、乾燥状態において外側相とともに混合した。
前記外側相はステアリン酸Mg0.50kgおよびタルクム1.50kgからなる。
粉末混合物は、10mgマイクロ錠剤コアへと通常の方法で圧縮される。胃酸に対する耐性を達成するために、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP、Pharmacoat(登録商標)HP50)2.250kgの溶液を、以下の溶媒の混合物中に一部を溶解する:アセトン13.00L、エタノール13.50L(94重量%、2%ケトンで変性)および脱ミネラル水1.50L。可塑剤として、ヒマシ油(0.240kg)を慣習的な方法でマイクロ錠剤コアに一部適用され、完成した溶液に添加する。
乾燥が完了した後、以下の組成の懸濁液は、同一装置内におけるフィルムコートとして適用する:タルク0.340kg、Cronus RN 56酸化チタン(VI)0.400kg、L-Rot-lack 86837着色ラッカー0.324kg、12.5%Eudragit E 4.800kgおよびポリエチレングリコール6000を0.120kg、以下の組成の混合溶媒pH11 XI:2−プロパノール8.170kg、脱ミネラル水0.200kgおよびグリセリントリアセタート(トリアセチン)0.600kg。この手順により腸溶性コーティングマイクロ錠剤を得る。
続いて、腸溶性コーティングマイクロ錠剤は、硬ゼラチンカプセルに充填され、本発明に係る使用のために密封する。マイクロペレットは、US7320999に従い同様に得ることができる。
【0190】
例2
別個の錠剤層にピオグリタゾンおよびジメチルフマラートを含有する錠剤の製造
US807113に従い、ピオグリタゾンヒドロクロリド(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(13.2g)およびラクトース(184.9g)の混合物を、流動層造粒装置(パウレック社製、モデル:LAB−1)中で、ヒドロキシプロピルセルロース(6.81g)の水溶液の136.2gをその上に噴霧することにより造粒する。
次いで、ラクトースでコーティングしたピオグリタゾンヒドロクロリド含有顆粒を得るために、得られた造粒粉末を、ヒドロキシプロピルセルロース(7.59g)の水溶液148.6g中にラクトース(36g)を分散させることにより得た懸濁液を流動層造粒装置(パウレック社製、モデル:LAB−1)中でその上に噴霧することにより造粒する。
このようにして得られた顆粒の一部(23.18g)に、クロスカルメロースナトリウム(0.728g)およびステアリン酸マグネシウム(0.096g)を添加および混合し、ピオグリタゾンヒドロクロリド含有混合粉末を得る。ピオグリタゾンヒドロクロリド含有混合粉末は、例1に従って得られた、ジメチルフマラート、でんぷん誘導体(STA-RX(登録商標)1500)、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、PVP(Kollidon(登録商標)120)、プリモゲル(登録商標)、およびコロイド状ケイ酸(Aerosil(登録商標))を含有する粉末を用いて積層体の形態で圧縮される。
【0191】
例3
US7976853に従い、ヒドロキシプロピルセルロース(26.4g、グレードSSL、日本曹達(株))(20℃における5%水溶液の粘度:8mPa・s)、ポリエチレングリコール6000(1.32g)、酸化チタン(2.64g)およびピオグリタゾンヒドロクロリド(16.5g)を、水(297g)中に分散させ、コーティング液を得る。例1において得られた腸溶性コーティングマイクロ錠剤を、フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント産業製)に供給し、上記コーティング液でコーティングされ、コーティングされた製剤を得る。
続いて、ピオグリタゾンヒドロクロリドでコーティングされたこれらの腸溶性コーティングマイクロ錠剤は、硬ゼラチンカプセルに充填され、本発明に係る使用のために密封する。
あるいは、例1に従い、所望の量のジメチルフマラートを含有した腸溶性コーティング錠剤が得られ、続いて、上述したように、ピオグリタゾン製剤でコーティングする。錠剤は、本発明の併用処置のためにそのまま使用することができる。
【0192】
例4
ピオグリタゾンヒドロクロリド(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(13.2g)およびラクトース(184.9g)の混合物を、流動層造粒装置(パウレック社製、モデル:LAB−1)中でヒドロキシプロピルセルロース(6.81g)の水溶液136.2gをその上に噴霧することにより造粒する。
次いで、ラクトースでコーティングしたピオグリタゾンヒドロクロリド含有顆粒を得るために、得られた造粒粉末を、ヒドロキシプロピルセルロース(7.59g)の水溶液148.6g中にラクトース(36g)を分散させることにより得た懸濁液を流動層造粒装置(パウレック社製、モデル:LAB−1)中でその上に噴霧することにより造粒する。
このようにして得られた所望の量の顆粒を、例1に従って得られるジメチルフマラート腸溶性コーティングマイクロ錠剤を含有するカプセルに充填し、その後密封する。
【0193】
例5
メタクリル酸コポリマータイプC USPに対してバルドキソロンメチル4/6重量比である以下の組成を有するメタクリル酸コポリマータイプC USP中の非晶質バルドキソロンメチルの分散物20mgを充填したカプセルは、US2012/022156に従って製造する:
非晶質バルドキソロンメチル40%分散液:11.36%
SMCC(90LM、ケイ化微結晶セルロース、FDAによって作成された非活性成分ガイドに掲載される通り):36.36%
ラクトース一水和物:40.91%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:6.82%
コロイド状二酸化ケイ素:0.91%
ステアリン酸マグネシウム:0.91%
ラウリル硫酸ナトリウム:2.73%
また、カプセルは、ヒドロクロライドの形態のピオグリタゾン45mg当量を例4の序盤に従って得られるラクトースでコーティングされた顆粒として充填される。カプセルを、その後の使用のために密封する。
あるいは、バルドキソロンメチル含有混合物およびピオグリタゾン含有混合物は、錠剤に圧縮することができ、好ましくは層をなした錠剤であり、ここで、製剤は、層状に配置されている。一態様において、腸溶性コーティングは、錠剤に応用される。
【0194】
一般的な実験プロトコール
特記しない限り、以下の動物モデルにおける処置は、蒸留水中の0.5%メチルセルロース/0.1%Tween80に溶解または分散させたヒドロクロリドの形態におけるジメチルフマラートおよびピオグリタゾンから成り、1日2回強制経口投与した。処置群は一般に以下のものである:ビヒクルのみ、単独ジメチルフマラート、ピオグリタゾン単独またはジメチルフマラートおよびピオグリタゾンの組み合わせ。本発明による組合せは、ビヒクルおよびそれぞれの薬剤単独における処置に対する改善した応答をもたらす。がんおよび好ましくは血液がん、例えばCLLおよびAMLなどの処置における本発明による組合せの効果は、Blood. 2006 Nov 15;108(10):3530-7 and Cancer Res June 15, 2010 70; 4949に見つけることができる。
【0195】
歯肉炎、歯周炎、扁桃炎を含む口腔の炎症および喉の炎症における、PPARガンマアゴニストとのNrf2アクチベーターの組み合わせの治療および予防効果を評価するための動物モデル
特定病原体を有しないC3H/HeNマウスを、J. Periodontol. 2000 Jul; 71(7): 1167-73に従って感染させ、ピオグリタゾンヒドロクロリド、スルホラファンまたはtert−ブチルヒドロキノンで、またはピオグリタゾンヒドロクロリドとスルホラファン、またはピオグリタゾンヒドロクロリドとtert−ブチルヒドロキノンとの組み合わせで、一般的な例に従い強制経口によって毎日処置する。組合せによる処置は、個々の薬剤および非処置動物と比較して、予防または発症遅延および炎症の減少の兆候をもたらす。毎日、薬剤溶液で2分間動物の口をすすぐ処置を適用することによって、同様の定性的な結果を得る。
【0196】
慢性関節リウマチにおける、PPARガンマアゴニストとのNrf2アクチベーターの組み合わせの治療および予防効果を評価するための動物モデル
動物はWilder, R. L. 2001 (Streptococcal Cell Wall Arthritis) Current Protocols in Immunology. 26: 15.10.1-15.10.12に従って製造し、ピオグリタゾンヒドロクロリド、ジメチルフマラートまたはそれら薬剤の組み合わせで、一般的な例に従い強制経口投与により毎日処置する。組合せによる処置は、個々の薬剤および非処置動物と比較して、予防または発症遅延および関節炎および炎症の減少の兆候をもたらす。
【0197】
乾癬の処置における効果を評価するための動物モデルの使用
重症複合免疫不全(SCID)マウスモデルが、ヒトにおいて乾癬を処置するための化合物の有効性を評価するために使用することができる(Boehncke, Ernst Schering Res Found Workshop 2005, 50, 213-34、およびBhagavathula et ah, J Pharmacol Expt 7 Therapeutics 2008, 324(3), 938-947)。SCIDマウスは、組織のレシピエントとして使用する。正常または乾癬の各ボランティアにつき1つのバイオプシーをレシピエントマウスの背側表面に移植する。処置は移植1〜2週間後に開始される。ヒト皮膚移植片を有する動物を処置群に分ける。動物を14日間1日2回処置する。処置の終わりに、動物を撮影し、その後、安楽死させる。移植されたヒト組織を周囲のマウス皮膚と一緒に外科的に除去し、10%ホルマリンで固定し、顕微鏡観察のためのサンプルを得る。表皮の厚さを測定する。組織切片は、移植された組織におけるヒトTリンパ球を検出するために、増殖関連抗原Ki−67に対する抗体および抗ヒトCD3+モノクローナル抗体で染色する。切片はまた、C−mycおよびβ−カテニンに対する抗体でプローブする。処置に対する陽性反応は、乾癬皮膚移植片の平均表皮厚の減少に反映する。陽性反応もケラチノサイトにおけるKi−67の発現の減少にも関連する。
【0198】
多発性硬化症を治療するためのPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの組み合わせの治療効果を評価するための一般的EAE動物モデル
動物およびEAE誘導メスC57BL/6マウス、8−10週齢(Harlan Laboratories, Livermore, CA)に、完全フロイントアジュバント(CFA)(4mg/nLのMycobacterium tuberculosisを含有)と乳化した(1:1の体積比)ミエリンオリゴデンドロサイト糖ペプチド200μg(MOG3S-SS)(インビトロジェン社によって合成)を脇腹および中央肩甲骨領域における皮下で免疫化した。エマルジョンは、3方コックが接続された2つのガラスルアーロックシリンジを用いたシリンジ押し出し法によって製造する。また、免疫化当日および免疫化2日後にマウスに200ngの百日咳毒素(List Biological Laboratories, Inc, キャンベル、カリフォルニア)を腹腔内注射する。マウスを毎日、体重測定し、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の臨床的徴候について検査する。餌および水は自由に与えられ、一旦動物が病気を示し始めてからは、餌はケージの底部に与える。
【0199】
臨床評価
マウスは、免疫化後7日目から毎日の記録が開始される。臨床的スコアリング尺度は以下の通りである(Miller and Karplus, Current Protocols in Immunology 2007, 15.1.1-15.1.18) 0=正常、1=尾の引きずりまたは後肢の脱力(歩行中、ケージ上部のバーの間で足を滑らすことによって定義する)、2=尾の引きずりと後肢の脱力、3=部分的な後肢麻痺(後肢では全く体重を支えられないが、ある程度まで一方または両方の後肢で移動することができることによって定義する)、4=完全な後肢麻痺、5=瀕死状態(前肢の麻痺を含む)または死亡。
【0200】
多発性硬化症を治療するためのPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの組み合わせの治療効果を評価するための動物モデル
実験は、4〜6週齢でC57BL/6系統に属し、体重17〜20gのメスのマウスで行った。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を、>95%純粋な合成ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35−55(MOG35-55, MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK)を使用して積極的に誘導する。各マウスを麻酔し、MOGペプチド200μgおよびリン酸緩衝生理食塩水100μL中に乳化したキラヤバーク(Quilija bark)からのサポニン抽出物15μgを与える。25μL量を4つの腹部領域にわたって皮下注射する。また、マウスに、200μLのPBS中の200ngの百日咳毒素を腹腔内に注射する。二回目は同じ百日咳毒素の注射を48時間後に与える。毎日の処置は免疫化後26日目から36日目まで行う。臨床スコアは免疫化後0日目から60日目まで毎日得る。臨床兆候は下記の手順を使用してスコアリングする:0、検知可能な兆候なし、;0.5、尾の末端の脱力、背中を丸めた様子および静かな態度;1、完全な尾の引きずり;1.5、尾の引きずりおよび後肢の脱力(不安定歩行および後肢の握力の弱さ);2、片側の部分的な後肢麻痺;2.5、両側の後肢麻痺;3、完全な両側後肢麻痺;3.5、完全な後肢麻痺および片側の前肢麻痺;4、後肢および前肢の完全な麻痺 (Eugster et al, Eur J Immunol 2001, 31, 2302-2312)。
【0201】
炎症および脱髄をEAEマウスのCNSの切片に対する組織診断により評価する。マウスを30日または60日後に安楽死させ、全脊髄を取り出し、そして0.32Mスクロース溶液に40Cで一晩置く。組織を調製し、薄片にする。ルクソールファストブルー(Luxol fast blue)染色を使用して、脱髄の領域を観察する。ヘマトキシリンおよびエオシン染色を使用して単核細胞の核を暗く染色することで炎症領域を強調する。H&Eで染色された免疫細胞を光学顕微鏡下に盲検様式で計数する。切片をグレーおよび白質に分け、各セクターを手で計数し、その後、合わせて、切片の合計とする。T細胞を抗−CD3+モノクロナール抗体で免疫標識する。洗浄後、切片をヤギの抗−ラットHRP二次抗体とともにインキュベートする。その後、切片を洗浄し、メチルグリーンで対比染色する。免疫化後30日および60日マウスから単離される脾細胞を溶解緩衝液で処理し、赤血球細胞を除去する。その後、細胞をPBS中に再懸濁し計数する。約3×106細胞/mLの密度の細胞を、20μg/mLのMOGペプチドとともに一晩インキュベートする。刺激された細胞からの上清を、適切なマウスIFN−γ免疫アッセイシステムを使用しIFN−γタンパク質レベルに関してアッセイする。
【0202】
炎症性腸疾患の処置における効果を評価するための動物モデルの使用
炎症性腸疾患の動物モデルはJurjus et al, J Pharmaocol Toxicol Methods 2004, 50, 81-92; Villegas et al, Int’l Immunopharmacol 2003, 3, 1731-1741; およびMurakami et al, Biochemical Pharmacol 2003, 66, 1253-1261に記載されている。たとえば、下記のプロトコールを用いて、炎症性腸疾患、クローン病および大腸炎を処置するための化合物の本願発明による組合せの効果を評価することができる。雌のICRマウスを用いる。マウスを複数の処置群に別ける。それらの群に、水(対照)、水道水中5%DSSのいずれかを大腸炎を誘発させる、または処置するために実験の最初に与える。該処置を1週間投与した後に、水道水中5%DSSも、1週間処置を受けた群に投与する。実験の最後に、すべてのマウスを安楽死させ、大腸を取り出す。大腸粘膜サンプルを得てそして均一化する。炎症誘発性媒介物質(たとえば、IL−1α、IL−1β、TNF−α、PGE2およびPGF2α)およびタンパク質濃度を定量化する。各切除した大腸を組織的に調べ、そして大腸への損傷をスコアリングする。
【0203】
喘息の処置における効果を評価するための臨床試験
安定した軽度から中程度の喘息をもった成人の対象(非喫煙者)が参加する(たとえば、Van Schoor and Pauwels, Eur Respir J 2002, 19, 997-1002を参照されたい)。ランダム化二重盲検プラセボ対照試験2期クロスオーバーデザインを用いる。プラセボは、ジメチルフマラート単独、ピオグリタゾン単独およびジメチルフマラートおよびピオグリタゾンの組み合わせは、異なる治療群において経口投与される。本発明による組合せは、ビヒクルおよび薬剤単独に対して改善された処置への応答をもたらす。
【0204】
慢性閉塞性肺疾患の処置における効果を評価するための動物モデルの使用
肺疾患
たばこの煙に慢性的に暴露されたマウスを用いた動物モデルを用いて肺気腫の処置における効果を評価することができる (たとえば、Martorana et al, Am J Respir Crit Care Med 2005, 172, 848-835; およびCavarra st al., Am J Respir Crit Care Med 2001, 164, 886-890を参照されたい)。6週齢のC57B1/6J雄マウスを用いる。急性試験では、マウスを20分間、室内空気または5本のたばこの煙のいずれかに暴露する。慢性試験では、マウスを7ヶ月間、室内空気または週5日で1日当たり3本のたばこの煙のいずれかに暴露する。急性試験では、マウスを3つの群に分割する。その後、これらの群を各々10匹の以下の4つのサブグループに分ける:(1)処置なし/空気暴露、(2)処置なし/煙暴露、(3)ジメチルフマラートおよびピオグリタゾンの組み合わせに煙暴露を加える、および(4)ピオグリタゾンに煙暴露を加える、および(5)ジメチルフマラートに煙暴露を加える。第一の群において、暴露の最後に気管支肺胞洗浄液中の酸素ラジカル吸収能を評価する。第二の群において、サイトカインおよびケモカインを、4時間で市販のサイトカインパネルを用いて、気管支肺胞洗浄液中で測定し、および第三の群において、気管支肺胞洗浄液の細胞計数を24時間で評価する。
【0205】
パーキンソン病の処置のためのPPARガンマアゴニストおよびNrf2アクチベーターの組み合わせの治療効果を評価するための動物モデル
MPTP誘導神経毒性
MPTP、または1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンは神経毒であり、人間および実験動物の両方にパーキンソン病を発症させる。MPTP神経毒の機構の研究は、それがMPTPに対するモノアミンオキシダーゼの活性により形成される主要代謝物質MPP+の発生に関与することを示す。モノアミンオキシダーゼ阻害剤はマウスおよび霊長類の両方においてMPTPの神経毒をブロックする。ドーパミン作動性ニューロンへのMPP+の神経毒効果の特異性はシナプス性ドーパミン輸送体によるMPP+の吸収に依存するようである。この輸送体のブロッカーはMPP+神経毒性を防止する。MPP+は、ロテノン結合領域で複合体Iに結合して酸化的リン酸化を弱めるミトコンドリア複合体I活性の比較的に特異的な阻害剤であることが示されている。in vivo研究は、MPTPはマウスにおける線条体ATP濃度を枯渇させることができることを示している。ラットの線条体内へのMPP+投与が有意なATP枯渇ならびに注入場所の線条体に限定された乳酸塩濃度の上昇を生じることを示した。ATP産生を向上させる化合物はマウスにおけるMPTP毒性に対して保護することができる。マウスまたはラットは、MPTPで処置する前にビヒクル単独、ジメチルフマラート単独、ピオグリタゾン単独またはジメチルフマラートおよびピオグリタゾンの組み合わせのいずれかで3週間処置する。MPTPは、適切な用量、投与間隔および投与様式で安楽死させるまで1週間投与される。対照群は普通の生理食塩水またはMPTPヒドロクロリド単独のいずれかを受ける。安楽死させた後、2つの線条体をすばやく解剖し、冷却した0.1M過塩素酸中に置く。次いで、組織を超音波処理し、そしてアリコートをタンパク質含有量について蛍光光度計アッセイを用いて分析した。ドーパミン、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)およびホモバニリン酸(HVA)も定量化する。ドーパミンおよび代謝物の濃度をnmol/mg蛋白として表す。
【0206】
ハロペリドール誘導自発運動の抑制(Hypolocomotion)
げっ歯類におけるハロペリドールなどのドーパミンアンタゴニストの行動抑制効果を逆行させる化合物の能力は潜在的抗パーキンソン病効果を有する薬剤をスクリーニングするための有効な方法と考えられている(Mandhane et al., Eur. J. Pharmacol 1997, 328, 135-141)。それゆえ、マウスの自発運動におけるハロぺリドール誘導障害をブロックする処置の能力は、in vivoおよび潜在的抗パーキンソン病効果の両方を評価するために使用できる。実験において使用するマウスは、制御環境に入れ、実験に使用する前に順応させる。試験の1.5時間前に、マウスに0.2mg/kgのハロペリドール、基礎自発運動活性を少なくとも50%低下させる量を投与する。処置は試験に十分に先行して投与する。その後、動物を個々に、平らな穴あきの蓋を有するきれいで透明なポリカーボネートケージに入れる。ビーム遮断を表にするためにコンピュータにインターフェース接続された3×6配置のフォトセルを含むフレーム内にケージを入れることで水平自発運動量を測定する。マウスを1時間、干渉せずに探索させ、そしてこの間に作ったビーム遮断の数に自発運動活性のインジケータの役割をさせ、それを、対照動物のデータと比較し、統計的に有意な差異を求める。
【0207】
6−ヒドロキシドーパミン動物モデル
パーキンソン病に見られる神経化学的欠損はドーパミン神経毒である6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)を黒質線条体ニューロンの細胞体又は軸索線維のいずれかを含む脳の領域に局所注入することにより再現することができる。脳の片側のみで黒質線条体路を片側障害することにより、運動阻害における行動の非対称性を観察する。片側障害された動物はなおも動くことが可能でありそして自己維持することができるが、残りの障害された側のドーパミン感受性ニューロンは刺激に対して過敏になる。このことは、アポモルフィンなどのドーパミンアゴニストの全身投与の後に、動物が障害側とは反対側の方向に顕著な回転を示すことを観測することにより示される。6−OHDA障害ラットにおいて反対側回転を誘発する化合物の能力は、パーキンソン病の処置における医薬効力を予測するための感受性モデルであることを示している。雄のスプラーグドーリーラットを制御環境に入れ、そして実験使用前に順応させる。手術の15分前に、動物にノルアデレナリン取り込み阻害剤であるデシプラミン(25mg/kg)の腹腔内注射を行い非ドーパミンニューロンに対する損傷を防止する。その後、動物を麻酔チャンバーに入れ、酸素およびイソフルランの混合物を使用して麻酔する。意識がなくなったら、定位固定フレームに動物を輸送し、ここで、マスクを通して麻酔を維持する。頭の上部を剃り、ヨウ素溶液を用いて滅菌する。乾燥したら、頭皮の中央線にそって2cm長さで切開し、そして皮膚を避け、頭蓋骨が露出するようにして留める。その後、小さい穴を注入場所の上方の頭蓋骨にドリルで開ける。黒質線条体路を障害させるために、注入カニューラをゆっくりと右内側前脳束上方、十字縫合から前後方向−3.2mm、内側外側方向−1.5mm、硬膜の下方7.2mmの深さの位置まで下ろした。カニューラを下げた2分後に、6−OHDAを4分間にわたって0.5μL/minの速度で注入し、最終的に8μgの用量を供給した。カニューラをさらに5分間配置して拡散を促進し、その後、ゆっくりと抜き出す。その後、皮膚を縫い合わせて閉じ、定位固定フレームから動物を取り出し、そしてそのハウジングに戻す。ラットは行動試験を行う前2週間、手術からの回復にあてられる。ステンレススチールボウル(45cm直径×15cm高さ)を有し、そのボウルがボウルの縁の周囲にありかつ29cmの高さまで延在している透明プレキシガラスカバーに包囲されているロータメータシステムを使用して回転行動を測定する。回転を評価するために、ボウルの上方にある光学ロータメータに接続されているバネロープ(spring tether)がついた布ジャケットにラットを入れ、右または左への部分回転(45°)または完全回転(360°)のいずれかの運動を評価する。処置は試験に先立ち、適した期間に行なった。動物は閾値用量以下のアポモルフィンを皮下注射で与え、その後、装着帯(harness)に入れる。1時間、回転数を記録する。その1時間の試験時間の間の完全な反対側回転の合計数が抗パーキンソン薬剤効果の指標としての役割を果たす。
【0208】
アルツハイマー病の処置のための処置効果を評価するための動物モデル
スエーデンAD突然変異遺伝子を発現するヘテロ接合トランスジェニックマウスhAPPK670N, M671L (Tg2576; Hsiao, Learning & Memory 2001, 8, 301-308)をアルツハイマー病の動物モデルとして使用する。動物を12:12明/暗サイクルで、食物および水が自由に入手可能な標準条件下に収容する。9ヶ月の月齢で始めて、マウスを2つの群に別ける。動物の第一の2つの群は6ヶ月にわたって処置を受ける。すべての実験群において2週間にわたって同一のシーケンスを使用して各薬剤用量で行動試験を行う:(1)空間逆転学習(spatial reversal learning)、(2)自発運動、(3)恐怖条件づけ、および(4)衝撃感度。空間学習パラダイムおよび逆転学習の獲得を、Bardgett et al., Brain Res Bull 2003, 60, 131-142に記載されるとおりT型水迷路を用いて、試験化合物の投与の最初の5日の間に試験する。マウスを第1〜3日の間、T型水迷路に住まわせ、そしてタスク獲得は第4日から始まる。第4日に、6〜8回の正しい選択が連続の移動跡でなされるまで迷路の1つの選択アームに避難台を見つけるようにマウスを訓練する。その後、逆転学習フェーズを第5日に行う。逆転学習フェーズの間に、第4日の逃避台の位置とは反対の選択アームに逃避台を見つけるようにマウスを訓練する。タスク獲得の間、同一の動作基準および期日間の間隔を使用する。空間逆転学習パラダイムの結果が歩行性能によって影響を受けないことを判断するために大歩行移動を評価する。残りの2日間の後に、垂直運動移動および微細運動移動を除く水平歩行移動を、第8日に、動作検出グリッド(a grid of motion-sensitive detectors)を装備したチャンバー内で評価する。水平方向にある検出器の遮断および非遮断を同時に伴う移動の回数を1時間の間に測定する。前後関係および合図記憶に関する動物の能力を、第9日に開始した恐怖条件づけパラダイムを用いて試験する。試験はグリッドフロアの下にあるミント抽出物などの臭い発散性溶液中に浸漬した吸収性綿片を含むチャンバー内で行う。動物を第9日に訓練するために、5分3回トライアル80db、2800Hzのトーンフットショックシーケンスを実施した。第10日に、トーンおよびフットショックにさらすことなくチャンバーに各マウスを戻し、そして8分間、10秒おきに凍結挙動の有無を記録することで前後関係記憶を試験する。凍結は歩行、嗅ぐ動作または常同などの呼吸以外の動作がないことと定義される。第11日に、交互の前後関係および聴覚合図に対する動物の応答を試験する。ココナツの抽出物をカップに入れ、そして80dBトーンを出すが、フットショックを与えない。交互コンテクストに対する凍結の有無を、その後、トライアルの最初の2分間で測定する。その後、トライアルの残りの8分間にトーンを連続して出し、そしてトーンに対する応答における凍結の有無を測定する。第12日に、条件刺激、すなわち、フットショックへの感受性を評価するように動物を試験する。行動試験の最後の日に次いで、動物に麻酔をかけ、脳を取り出し、一晩、固定させ(post-fixed)、海馬を区分するように切断する。セクションを染色し、β-アミロイドプラークを画像形成する。データを適切な統計法を使用して分析する。
【0209】
ハンチントン病を処置するための治療効果を評価するための動物モデル
ハンチントン病のトランスジェニックマウスモデルにおける神経保護効果
N171−82Q系のトランスジェニックHDマウスおよび非トランスジェニック同腹仔を週齢10週間から処置する。マウスを回転ロッド(ロータロッド)上に置く。マウスがロータロッドから落下する時間長さを運動協調性の測定値として記録する。マウスが移動する合計距離も全体の自発運動の測定値として記録する。ジメチルフマラートおよびピオグリタゾンの組み合わせにより処置に対して改善された応答を示すマウスは、より長時間、ロータロッド上に留まり、ビヒクルまたはいずれかの剤の単体のみ投与したものよりもさらに移動する。
【0210】
ハンチントン病のマロネートモデル
エネルギー発生経路に関与する酵素の一連の可逆性および非可逆性阻害剤を用いて、パーキンソン病およびハンチントン病などの神経変性疾患のための動物モデルを生成する。特に、スクシネートデヒドロゲナーゼの阻害剤、細胞のエネルギーホメオスタシスに影響を及ぼす酵素を用いて、ハンチントン病のモデルを生成した。ハンチントン病に関するこのマロネートモデルにおいて、処置を適切な用量、投与間隔および経路で雄のスプラーグドーリーラットに投与する。マロネートの投与に先行して2週間、処置を投与し、その後、さらに1週間投与し、安楽死させる。マロネートを蒸留脱イオン水中に溶解させ、0.1M HClでpHを7.4に調節する。1.5μLの3μmolのマロネートの線条体内注入を、正中線から外側に2.4mm、硬膜から腹側に4.5mmにある十字縫合の深さの左線条体中に行う。動物を頭切除により第7日に安楽死させ、脳をすばやく取り出し、そして氷冷された0.9%食塩水中に入れる。脳を、脳の型において2mm間隔で薄片にする。その後、スライスを2%2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド中に、後部側を下にして入れる。切片を室温で30分間、暗所で染色し、その後、取り出し、そして4%パラホルムアルデヒドpH7.3中に入れる。蒼白色の染色により示される損傷を、各切片の後部表面で評価する。隣接のニッスル染色部分で得られる測定値と比較することで、測定値を評価する。
【0211】
筋萎縮性側索硬化症の処置のための治療効力を評価するための動物モデル
マウスが、ヒトスーパーオキシドディスミューターゼ(SOD)残基93におけるグリシン−アラニン突然変異(SOD1)を発現する、SOD1突然変異関連ALSのマウスモデルを開発した。これらのSOD1マウスはSODの有害特性の優性獲得を示し、そして運動ニューロンの変性およびヒトALSと同様の機能不全にかかる。SOD1トランスジェニックマウスは、約3ヶ月齢で後肢の脱力の兆候を示し、4ヶ月で死ぬ。ヒトALSに共通の特徴としてはアストロサイト増加、小神経膠細胞症、酸化ストレス、シクロオキシゲナーゼ/プロスタグランジンのレベル増加、そして病気が進行すると、重度の運動ニューロンの損失が挙げられる。ヒトCu/Zn−SOD G93A突然変異(B6SJL−TgN(SOD1−G93A)1Gur)を過剰発現するトランスジェニックマウスおよび非トランスジェニックB6/SJLマウスおよびそれらの野生型同腹子(wild litter mates)に対して研究を行う。マウスを1日12時間日照サイクルで収容し、そして(45日齢で開始して)、同一のペレットに加工された、試験化合物補充固形飼料か、または、対照として、通常配合コールドプレス固形飼料のいずれかを自由に入手できるようにする。遺伝子型同定はGurney et ah, Science 1994, 264(5166), 1772-1775に記載されるとおりに21日齢に行うことができる。SOD1マウスを複数の群に分け、しかるべき期間、処置は投与される。
【0212】
マウスを毎日観察し、そして毎週重量計量する。健康状態を評価するために、マウスを毎週重量計量し、そして流涙/唾液分泌、眼瞼の閉鎖、耳のけいれん(ear twitch)および瞳孔反射、ひげの方向づけ、姿勢および正向反射ならびに全体としての身体状態のスコアの変化を調べる。一般的な病原学的試験を安楽死させる際に行う。動物の運動調整パフォーマンスは当業者に知られている1または2以上の方法により評価できる。たとえば、運動調整は神経学的スコアリング法を用いて評価できる。神経学的スコアリングにおいて、各肢の神経学的スコアをモニターし、そして規定の4ポイントスケールにより記録する:0−後肢の正常反射(動物はその尾で持ち上げたときに後肢を外へ開く)、1−後肢の異常反射(動物はその尾で持ち上げたときに後肢を外へ開かない)、2−肢の異常反射および麻痺の証拠、3−反射の欠如および完全な麻痺、および4−横向きに寝かせたときに30秒以内に立て直す能力がないかまたは死亡。第一の最終ポイントは生き残りで、第二の最終ポイントは神経学的スコアおよび体重である。神経学的スコア観察および体重測定は週に5日行い、記録する。適切な統計法を使用してデータ分析を行う。ロータロッド試験は回転ドエル上に動物が滞在する能力を評価し、運動調整および固有感覚性の評価を行うことができる。その装置は直径3cmの自動ロッドが、たとえば、12回転/分で回転している。ロータロッド試験はどれくらい長くマウスが落ちることなくロッド上に維持することができるかを測定する。試験は120秒間の任意の制限の後に止めることができる。120秒より前に動物が落ちるならば、その性能を記録し、2回の追加のトライアルを行う。3回のトライアルの平均時間を計算する。歩行時間の減少により運動障害が示される。
【0213】
グリッド試験において、平面サポート上にあるグリッド(長さ:37cm、幅:10.5cm、メッシュサイズ:1×1cm2)上にマウスを置く。マウスが足でグリッドを通過した回数を計数し、それは運動調整の測定値としての役割を果たす。ぶら下がり試験は動物がワイヤにぶら下がる能力を評価する。装置はテーブルの40cm上方に水平に延ばされたワイヤである。動物は前足によりワイヤに取り付けられる。動物がその後足でストリングを捕まえるのに要する3回の連続トライアルの間の時間を記録する(最大60秒)。運動活性状態を評価するために電気生理学的測定(EMG)も使用することができる。筋電図記録は筋電図装置を使用して行う。EMGモニタリングの間に、マウスを麻酔する。測定されるパラメータは複合筋活動電位(CMAP)の振幅および潜時(latency)である。CMAPは座骨神経の刺激の後に、腓腹筋において測定される。参照電極はアキレス腱付近に挿入され、そして活性針は尾の根元に配置される。グラウンド針はマウスの腰に挿入される。過最大強度(12.9mA)で座骨神経を単一の0.2秒のパルスで刺激する。振幅(mV)および応答の潜時(ms)を測定する。振幅は活性運動単位数の指標であり、一方、遠位潜時は運動神経伝導速度を反映する。本発明による組合せの効果は、また、バイオマーカー分析を使用して評価できる。運動障害の開始の間に、SOD1マウスにおけるタンパク質バイオマーカーの制御を評価するために、腰髄のサンプル(タンパク質抽出物)を異なる表面化学/生化学特性を有するプロテインチップアレイ(ProteinChip Array)に適用し、そして、たとえば、表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析によって分析される。その後、積分タンパク質質量プロファイル分析法を使用して、種々の処理群のタンパク質発現プロファイルを比較するためにデータを使用する。分析は適切な統計方法を使用して行うことができる。
【0214】
重症筋無力症の治療効果を評価するための動物モデル
International Immunology, Vol. 10, No. 9, pp. 1359-1365による誘導およびEAMGの臨床評価
B6およびμMTマウスを肩および背に沿って全量100μl中、CFAと20μgAChRで免疫化し、CFA中の20μgAChRで肩および太ももの4つのサイトに毎月2回の間隔でブーストする。マウスは、EAMGの筋力低下特性の兆候を盲検様式で、一日おきに観察する。臨床症状は、0と3(4)の間で段階評価される:0、明確な筋力低下なし;1、安静時には正常に強いが、あごを床に置くほど弱く、20の連続した足のグリップ運動の後、頭をあげることができない;2、1の段階で安静時も弱い;3、瀕死、脱水および麻痺。臨床EAMGは、ネオスチグミン臭化物およびアトロピン硫酸塩を注入することにより確認される。マウスをグループ化し、試験前に適切な期間にわたって処置が投与される。
【0215】
脱毛症の治療効果を評価するための動物モデル
ダンディーの脱毛症実験ラット(DEBR)およびC3H/HeJマウスは、円形脱毛症のために十分に確立された動物モデルであり、遺伝的側面、病因および疾患の治療の研究のために使用することができる。C3H/HeJマウスにおける円形脱毛症は、実験的に組織適合性レシピエントに罹患したマウスからの病変皮膚を移植することによって誘導することができ、疾患の発達に対する様々な要因の影響を研究するための可能性を提供する。マウスをグループ化し、試験前に適切な期間にわたって処置が投与される。
【0216】
一般的な実験プロトコール
以下の動物モデルにおける処置は、0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)中に溶解および分散させたジメチルフマラートK4M/0.25% Tween 20および蒸留水中のKleptoseに溶解または分散させたピオグリタゾンからなる。処置は1日1回または2回、強制経口投与した。処置群は、一般に以下:適切なビヒクル、ジメチルフマラート、ピオグリタゾンまたはジメチルフマラートおよびピオグリタゾンの組み合わせである。本発明による組合せは、ビヒクルとそれぞれの薬剤単独に対して改善された処置への応答をもたらす。
【0217】
多発性硬化症の処置のためのPPARガンマアゴニストとのNrf2アクチベーターの組み合わせの治療効果を評価するためのEAE動物モデル
雌のC57BL/6マウスを注文し(Janvier FranceまたはCharles River)、7〜8週齢で、馴化期間の後、9〜11週の間に使用する。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を、>95%純粋な合成ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35−55(MOG35−55、Met−Glu−Val−Gly−Trp−Tyr−Arg−Ser−Pro−Phe−Ser−Arg−Val−Val−His−Leu−Tyr−Arg−Asn−Gly−Lys、Ref SC1272, NeoMPS)を使用して積極的に誘導する。各マウスを麻酔し、200μlのMOG35−55および250μlの乾燥および死滅させたM. TuberculosH37 Ra、(Ref 231141 Difco)を含有する100μlの完全フロイントアジュバント(Ref 263810, Difco)エマルジョンを腰の皮下に注射する。エマルジョンは、ルアーロックチューブを介して接続された2つのシリンジを用いたシリンジ法により製造される。また、マウスに、200μlのPBSで希釈した300ngの百日咳毒素(Ref BML-G100、Enzo Lifescience)を腹腔内注射する。百日咳毒素の注射は、48時間後に繰り返される。マウスは、毎日体重を測定し、EAEの臨床的徴候を検査する。食糧および水は自由に与える。
【0218】
臨床評価
動物は、神経障害(臨床スコア)を評価し、毎日体重を測定した。臨床的スコアリング尺度は以下の通りである:0=兆候なし、0.5=尾の先の引きずり、1=完全な尾の麻痺、1.5=後肢の脱力、2=片側の部分的後肢麻痺、2.5=両側の部分的後肢麻痺、3=完全な両側の後肢麻痺、3.5=前肢脱力および完全な両側の後肢麻痺、4=四肢麻痺/瀕死、5=EAEによる死亡。結果:塩酸塩の形態のピオグリタゾンとの組み合わせにおいてジメチルフマラートを用いた処置の評価。8〜9週齢の40の雌のC57BL/6マウスを、方法のセクションに記載したEAEプロトコルにより免疫化した。マウスを4つの異なる処置群(n=10)に分け、1日2回(b.i.d.)のHPMC0.5%/Tween20 0.25%(ジメチルフマラートのためのビヒクル)に加えて1日1回(q.d.)のKleptose 20%(ピオグリタゾンのためのビヒクル)、1日2回のジメチルフマラート60mg/kgに加えて1日1回のKleptose 20%、1日1回のピオグリタゾン10mg/kgに加えて1日2回のHPMC0.5%/Tween20 0.25%または1日2回のジメチルフマラート60mg/kgに加えて1日1回のピオグリタゾン10mg/kgで処置した。簡単に言うと、ビヒクル処理はグラフの説明文(legends)には記載していないが、上記群をそれぞれコントロール、1日2回のジメチルフマラート60mg/kg、1日1回のピオグリタゾン10mg/kgまたはジメチルフマラート+ピオグリタゾンと名付けた。薬物処置は免疫化後0日目に開始した。
図1Aに示すように、C57BL/6マウスのMOG35−55による免疫化は、免疫化後9日目頃に臨床的兆候を伴う運動障害を誘発する。
【0219】
組み合わせ(ジメチルフマラート+ピオグリタゾン)処置の効果は、有意に毎日の臨床スコアの平均を減少させた(
図1A)。組み合わせの有効性はより顕著であり、個々の処置の効果とは統計的な差異があった。炎症誘発性の悪液質の抑制は、処置上の利益の信頼できるマーカーとして機能する。併用処置(ジメチルフマラート+ピオグリタゾン)処置は、ビヒクルまたは単一薬物処置(
図1B)と比較して、有意に体重を改善した。
【0220】
疾患の罹患率に対する薬物処置の効果は、
図2で分析される。疾患の発症は、各マウスが、最初に臨床スコア≧1を示す点で定義される。
図2Aは、対照群のマウスが、免疫化後9日目から14日目までに完全な感受性を伴うEAEの発達開始を示すカプランマイヤー分析を示す。ジメチルフマラート+ピオグリタゾンとの併用処置では、EAEの発症曲線がシフトした。薬剤の組み合わせで処置されたすべての動物が、実験終了まで、すなわち免疫化後22日目までに、疾患の徴候を発達させたわけではない。併用処置の効果は、対照群との比較においてだけでなく、単独で投与された薬剤のそれぞれとの比較においても統計的な差異があった。
図2Bは、同じデータについて異なる表現をしたものである。平均値においては、ビヒクル、ジメチルフマラートまたはピオグリタゾン単独で処置したマウスは、併用群においてEAEの平均発症が免疫化後17日目頃であったのに対し、免疫化後12〜13日目頃に疾患の最初の臨床的徴候を示した。併用処置の効果は再度、統計的に差異があり、他の処理群よりも強力であった。このデータは、個々の処置では観察されない相乗的な処置効果を、併用処置がもたらすことを示す。出血を含む胃腸の変化は、ジメチルフマラート処置の既知の副作用である。併用処置およびジメチルフマラート単独処置は、同様な胃の高粘度の過形成を生じた。全くの併用処置による症状の悪化は認められなかった。いくつかの観察を実証するために、ジメチルフマラート、ピオグリタゾンまたはそれらのビヒクルで22日間慢性的に処置したマウスの胃の代表的な図を
図3に示す。重要なのは、前の段落で述べた相乗効果は、増大した胃腸の有害事象と関連していなかった。