【実施例】
【0024】
以下本発明を
図1〜3に示す基本となる構成に基づいて具体的に説明する。図中符号1で示すものが本発明のバンプラバー装置であって、このものは移動体の一例である車輌10の後端部等に具えられるものである。
先ず前記車輌10の一例である貨物トラックについて説明する。このものは貨物輸送に供されるものであり、
図1に示すようにシャーシ11の前後に前輪12、後輪13が具えられ、更にシャーシ11の前部に運転キャビン15が設けられて成るものである。そして運転キャビン15の後方に荷室16が設けられ、この荷室16に貨物が収容される。
また前記荷室16は、跳ね上がり式のウイングルーフ17によって側面側が開閉され、更に観音開きするリアドアー18によって後面側が開閉されるものである。
【0025】
そして一例として前記シャーシ11の後端部、具体的には荷室16後端の下枠部材すなわち前記リアドアー18の下方に位置する後門枠14といわれる部位に、複数のランプ19(方向指示灯、制動灯、尾灯)が一例としてユニット化されて設けられる。これらランプ19は、荷室16を広く採ることや積荷用リフトデッキの配置に支承をきたさず且つ後方に張り出すことのないように取り付けられる。
【0026】
次に本発明のバンプラバー装置1について説明する。なお後述する基板2及びバンプラバーユニット3における組立面とは、基板2と、バンプラバーユニット3とが組み付けられる際に対面する側の面であり、具体的には係止スロット5または係止爪8が形成される側の面を意味するものである。
また前記基板2の基面側とは、車輌10と接する側の面を意味するものであり、前記ラバー本体6及びベース板7の基面側とは、ラバー本体6と、ベース板7とが組み付けられる際に対面する側の面を意味するものである。
【0027】
そしてバンプラバー装置1は
図2に示すように、基板2と、バンプラバーユニット3とを具えて成るものであり、車輌10に固定された基板2とバンプラバーユニット3とは相互の組立面において手作業による取り外し自在の係合構造により、基板2に対し、バンプラバーユニット3が取り付け形成されるものである。
具体的には、前記基板2は縦長状に形成され、組立面側に形成された基板2側の係止構造としての係止スロット5を具えて成るものである。
このような基板2にあっては、一例として適宜の寸法に切断された帯状金属板の両端を折り返し状に曲げて係止スロット5が形成されたり、異なる幅の帯状金属板を積層して溶接することによって係止スロット5が形成される。
そして係止スロット5の組立面側には、一例として上下二カ所に係止バー51が設けられる。
また基板2の適宜の個所には、組立面側に皿もみ加工が施されたボルト孔21が複数個所に形成される。
【0028】
一方、前記バンプラバーユニット3は、ラバー本体6と、ベース板7とを具えて成るものであり、このベース板7は、ラバー本体6の基面側に一体に固定されるとともに、組立面側に側板側係止構造としての係止爪8を、下方を自由端として具えて成るものである。
このようなベース板7は、一例として適宜の寸法に切断された金属板を積層して溶接することによって形成される。また係止爪8の根元付近には、組立面側に皿もみ加工が施されたボルト孔71が形成される。
また前記ラバー本体6は、一例として硬質ゴムを素材として成る断面D字型の中空半円筒体であり、その基面に対してボルト孔61が形成される。
そしてボルト孔71及びボルト孔61にボルトBを挿通し、ナットNを締め付けることにより、ラバー本体6とベース板7とか一体化され、バンプラバーユニット3が構成される。
なお前記ラバー本体6は無垢材としてもよく、また断面形状も矩形その他適宜の形状としてもよい。
【0029】
本発明のバンプラバー装置1は一例として上述のように構成されるものであり、まず、車輌10におけるシャーシ11の後端部、具体的には荷室16後端の後門枠14に設けられるユニット化されたランプ19の外側に、ボルトBを用いて基板2が固定される。
そしてこの基板2に対してバンプラバーユニット3が組み付けられるものであり、基板2とベース板7それぞれの組立面を合わせ、係止爪8を係止スロット5に入れ込むとともに、バンプラバーユニット3全体を下方にスライドさせることにより、車輌10と一体化された状態のバンプラバー装置1が構成される。
なおこの時点でランプ19の方向指示灯は、その斜め後方45°の範囲で視認障害とならないよう規定されている法規に適合しない状態となる場合もある。
【0030】
このため上述のような基板2へのバンプラバーユニット3の組み付けは、一般道を走行してきた車輌10が、一例として集荷所(デポ)に到着した後に行われる。
そして運転者や集荷所の作業者は、
図3(a)に示すようにバンプラバーユニット3を基板2に組み付けてバンプラバー装置1と車輌10とを一体化させる。その後、運転者は車輌10後退させてプラットホームPの端面に接近させ、
図3(b)に示すようにプラットホームPの端面に取り付けられたバンプラバーP1にラバー本体6を当接させて車輌10を停止する。
この際、車輌10の後端における左右両端にバンプラバー装置1が具えられるため、車輌10がプラットホームPへアクセスする際のハンドル操作を、厳密なものではなく、ある程度おおまかな容易なものとすることができる
【0031】
次いでリアドアー18が解放され、キャスター付ラックに収納された荷物が、プラットホームP上から荷室16に積み込まれる。
そして積込作業が完了するとリアドアー18が閉鎖され、次いで車輌10をプラットホームPから離れた場所に停止させ、バンプラバーユニット3が基板2から取り外されるものである。この時点でランプ19の方向指示灯は、その斜め後方45°の範囲で視認障害とならないよう規定されている法規に適合したものとなり、車輌10は一般道での走行が可能となる。
【0032】
〔他の実施例〕
本発明は上述した実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術思想に基づいて以下に示すような実施例を採ることもできる。
まず上述した基本となる実施例では、バンプラバー装置1を、車輌10の車体外周部のうち、シャーシ11の後端部であり、荷室16後端の後門枠14といわれる部位)の左右に設けられたランプ19の更に外側に設けるようにしたが、他の部位に設けるようにしてもよい。
具体的には
図4に示すように、横長状とされたバンプラバー装置1を、車輌10の車体外周部のうち、荷室16の下枠部材の左右側面に設けるようにしてもよい。この場合、係止スロット5を基板2の長辺に沿って二か所に形成するようにし、同様に係止爪8をベース板7の長辺に沿って二か所に具えられるようにし、更にラバー本体6がベース板7から突出した状態とし、この突出部が荷室16の後端面より突出して設けられるようにする。
この場合、荷室16のあおり板16aを外側に展開する際に、バンプラバーユニット3を基板2から取り外すことにより、あおり板16aの回動範囲を縮小してしまうことが回避される。
【0033】
また本発明のバンプラバー装置1を、あおり板16aの内側下部に設けるようにしてもよい。この場合、片側のあおり板16aを外側に展開した状態で、フォークリフトを用いて荷室16に荷物の積み込みが行われる際に、フォークが反対側の展開されていないあおり板16aに接触し、これを損傷してしまったり、甚だしい場合には突き抜けてしまうような事態を回避することができる。
【0034】
また
図5に示すように、基板2とバンプラバーユニット3との係止構造の関係を、
図1に示す実施例と逆関係とすることもできる。すなわち基板2に対して係止爪8が具えられ、ベース板7に係止スロット5が具えられるようにするものである。
【0035】
また
図6に示す実施例は、バンプラバーユニット3を、前記ベース板7を具えることなくラバー本体6のみで構成したものである。
この場合、ラバー本体6が直接基板2に対して組み付けられるため、ラバー本体6と、基板2とが組み付けられる側の面を組立面とする。
そして前記ラバー本体6の組立面に対して係止スロット5が形成されるとともに、基板2における組立面に係止爪8が具えられる。
なおこの実施例では前記ラバー本体6を、一例として断面正方形状の中空角筒体とした。
【0036】
また基板2とバンプラバーユニット3との組み付けが容易に解除されないための機構を具えるようにしてもよい。一例として
図7に示す実施例はバヨネット構造を採用したものであり、基板2における係止バー51の内側に突起52が具えられ、一方、係止爪8にクランク状の案内溝81が形成される。そして
図7(a)〜(d)に示すように、係止爪8を係止スロット5に挿入する際に、前記突起52が案内溝81の終端に向かって移動するように係止爪8(バンプラバーユニット3)を移動させる。このような構成が採られることにより、車輌10の移動による振動等によってバンプラバーユニット3が上方に移動してしまった場合であっても、係止爪8が係止スロット5から抜け出てバンプラバーユニット3が脱落してしまうのを防止することが可能となる。
【0037】
また基板2とバンプラバーユニット3との組み付けが容易に解除されないための機構としては、
図8に示すような構成を採ることもできる。具体的にはベース板7の組立面に円柱状の係止爪8を立設し、その先端に一例として円盤状の抜止82を設ける。一方、基板2に対しては、組立面に鍵穴状の抜止孔53を形成し、この抜止孔53が係止スロット5に連通した状態に形成する。
そして
図8(b)に示すように、抜止82を抜止孔53の円形部に入れ込むととともに、係止爪8を抜止孔53の長孔部に沿って下降させてその下端に位置させることにより、基板2とバンプラバーユニット3との係合が維持されるとともに、係止爪8が抜止孔53から抜け出してバンプラバーユニット3が脱落してしまうのを防止することが可能となる。なおこの状態で、基板2とバンプラバーユニット3との上端部が揃うように、前記係止爪8及び抜止孔53の設置個所が設定される。
【0038】
また手作業による取り外し自在の係合構造として、
図9に示すようなトグルラッチ等を採用することもできる。この実施例では、基板2に対してフック91を具え、バンプラバーユニット3側にトグルラッチ9を具えるようにした。
【0039】
また車輌10としては、上述したトラックの他、トレーラー、貨物軽自動車等の貨物輸送用車輌や、福祉車輌等を採用することもできる。
【0040】
更にまた本発明のバンプラバー装置1を、
図1、3に示した構造物の一例であるプラットホームPに具えられたバンプラバーP1に替えて用いることも可能である。具体的には、車輌10との接触部位となるプラットホームPの端面上部に、バンプラバー装置1を一定間隔あるいは連続して設けるものである。
このような構成が採られた場合、複数の車輌10が出入りする荷役拠点において、プラットホームPに設けられたバンプラバー装置1は、車輌10に取り付けられたバンプラバー装置1あるいはバンプラバー装置1が取り付けられていない車輌10の後部との複数の接触によって、ラバー本体6がヘタってしまったり、傷付いてしてしまうとは避けられない。しかしながらが、本発明のバンプラバー装置1を採用した場合、当該損傷個所のラバー本体6のみを交換するだけで済むこととなり、交換作業が容易に行えるとともに、維持コストを大幅に低減することができる。
因みに従来より用いられているバンプラバーP1の場合、多くはプラットホームPの端面上部に沿って長尺のものが強固に取り付けられており、その一部がヘタってしまったり、傷付いてしまっただけでも全体の交換が必要となっていた。
【0041】
更にまた図示は省略するが、本発明のバンプラバー装置1を、移動体の一例である船舶の側周部に取り付けることも可能である。特に小型の船舶やボートでは、従来、複数の古タイヤ等を船体の側周部に取り付ける等して接岸の際の緩衝が図られていたが、複数の古タイヤの場合は船体の重量増加が少なくなかった。しかしながら本発明のバンプラバー装置1を採用することにより、船体の保護を可能にするとともに軽量化を実現することが可能となる。
更に構造物の一例であって、船着場となる岸壁や桟橋に対して、船舶との接触部位に本発明のバンプラバー装置1を取り付けるようにしてもよい。