特許第6132866号(P6132866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社栄和自動車の特許一覧

特許6132866バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物
<>
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000002
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000003
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000004
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000005
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000006
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000007
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000008
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000009
  • 特許6132866-バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132866
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】バンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/02 20060101AFI20170515BHJP
   B63B 59/02 20060101ALI20170515BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B60R19/02 Z
   B63B59/02 B
   B60R19/24 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-54565(P2015-54565)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-172535(P2016-172535A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2016年8月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508282270
【氏名又は名称】有限会社栄和自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 武
(72)【発明者】
【氏名】飯田 泰教
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−279832(JP,A)
【文献】 特開2008−238889(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013195(WO,A1)
【文献】 特開2009−154831(JP,A)
【文献】 特開2009−035027(JP,A)
【文献】 特開2009−220694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/02
B60R 19/24
B63B 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け対象物に固定される基板と、バンプラバーユニットとを具え、
前記基板と、バンプラバーユニットとは相互の組立面において手作業による取り外し自在とした係合構造により、基板に対し、バンプラバーユニットが取り付け形成されることを特徴とするバンプラバー装置。
【請求項2】
前記基板とバンプラバーユニットとには、それぞれの組立面側に、係止構造としての係止スロットと係止爪とのいずれかが対となるように具えられていることを特徴とする請求項1記載のバンプラバー装置。
【請求項3】
前記バンプラバーユニットは縦長状のものであることを特徴とする請求項1または2記載のバンプラバー装置。
【請求項4】
前記請求項1、2または3記載のバンプラバー装置が、車体外周部に具えられたことを特徴とする車輌。
【請求項5】
前記車体外周部は車体の後端部であり、荷室後端の下枠部材の左右に設けられたランプの外側に、それぞれバンプラバー装置が具えられていることを特徴とする請求項4記載のバンプラバー装置が具えられた車輌。
【請求項6】
前記請求項1、2または3記載のバンプラバー装置が、船体外周部に具えられたことを特徴とする船舶。
【請求項7】
前記請求項1、2または3記載のバンプラバー装置が、移動体との接触部位に具えられたことを特徴とする構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラックやトレーラ等の貨物車輌の主として後端面に設けるバンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物車輌は、燃料コストの高騰や荷役を含めた車輌利用効率の向上要求等、種々の要求に対応すべく車輌構造において種々の改善、改良が進められている。このうち荷役を含めた車輌の利用効率の面でいえば、広い荷室空間とともに、荷主毎に異なる荷役環境に順応できる機能が求められている。
具体的には、荷役環境は、例えば一定の定型梱包した荷物を積荷するような場合には、荷台側面を解放してフォークリフト等での積み込み作業が行われる。一方、その積荷を届けた帰路は空荷とさせずに、例えば配送仕向地や荷種も異なる不定形荷物を輸送する場合も多くある。
このような不定形荷物を輸送する場合、多くは荷役拠点となる営業所いわゆるデポに集荷され、キャスター付ラックに収納された荷物を、プラットホーム上から車輌荷室に積み込むような作業が行われる。このような作業に当たって車輌後端をかなり厳密にプラットホーム端面に接近させなければならず、実際にはプラットホーム端面とともに、車輌後部にもバンプラバーを設けて緩やかに接近させて止まるように対処している。
【0003】
このため車輌荷台最後端面にバンプラバーを設けることが一般的になっているが(例えば特許文献1参照)、一方で、このバンプラバーの設置が安全性確保の見地から定められている灯火配置の法規制に関連して新たな課題をもたらす場合も生じてきた。
すなわち車輌後方には、方向指示灯、制動灯、尾灯が多くはユニット化されて設けられているが、これらの装備も荷室を広く採ることや、積荷用のリフトデッキの配置に支障をきたさず且つ後方に張り出すことのないよう、後門枠といわれる荷台後端の下枠部材に取り付けている。
このような状況下でバンプラバーを設置することを試みた場合、後門枠の左右側端寄りに設けられるランプユニットよりも、更に外側におけるスペース付近に設けることが現実的である。
【0004】
しかしながらこのようなバンプラバーの設置にあたっては、先ず、バンプラバーの緩衝方向の高さ寸法がある程度、例えば100mm前後あることから、そのすぐ内側に位置する方向指示灯の側傍においてバンプラバーが後方に張り出すような状態となる。
この際、安全面から方向指示灯は、その斜め後方45°の範囲で視認障害とならないよう法制上規定されており、充分な緩衝性能を期待できる緩衝高さのバンプラバーではその規定に適合できない。加えてこのようなバンプラバーを後付けするとなると、車輌全長が増えて、結果的に車輌登録手続き上の改造申請が必要となってしまう。
【0005】
一方、プラットホームの上部端面にも、バンプラバーが設けられるが、複数の車輌が出入りする荷役拠点において、バンプラバーは車輌の後部との複数の接触によってヘタってしまったり、傷付いてしてしまうとは避けられない。この場合、バンプラバーは一般的にプラットホームの端面上部に沿って長尺のものが強固に取り付けられており、その交換作業は手間のかかるものであり、且つ一部がヘタってしまったり、傷付いてしまっただけでも全体の交換が必要となっていた。
なお桟橋や護岸に接岸する船舶においても、船舶並びに桟橋や護岸に緩衝材が具えられており、上述の問題と同様の問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−199502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような状況を考慮して成されたものであって、車輌走行時にはその斜め後方45°の範囲で保安用灯火類の視認障害となることがなく、且つ車輌登録手続き上の改造申請が不要であり、一方、プラットホームに臨む際には十分な緩衝機能を発揮することのできる、新規なバンプラバー装置並びにこれを具えた車輌、船舶及び構造物を開発することを技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず請求項1記載のバンプラバー装置は、取り付け対象物に固定される基板と、バンプラバーユニットとを具え、前記基板と、バンプラバーユニットとは相互の組立面において手作業による取り外し自在とした係合構造により、基板に対し、バンプラバーユニットが取り付け形成されることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項2記載のバンプラバー装置は、前記要件に加え、前記基板とバンプラバーユニットとには、それぞれの組立面側に、係止構造としての係止スロットと係止爪とのいずれかが対となるように具えられていることを特徴として成るものである。
【0010】
更にまた請求項3記載のバンプラバー装置は、前記要件に加え、前記バンプラバーユニットは縦長状のものであることを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項4記載のバンプラバー装置が具えられた車輌は、前記請求項1、2または3記載のバンプラバー装置が、車体外周部に具えられたことを特徴として成るものである。
【0012】
また請求項5記載のバンプラバー装置が具えられた車輌は、前記請求項4記載の要件に加え、前記車体外周部はシャーシの後端部であり、荷室後端の下枠部材の左右に設けられたランプの外側に、それぞれバンプラバー装置が具えられていることを特徴として成るものである。
【0013】
また請求項6記載のバンプラバー装置が具えられた船舶は、前記請求項1、2または3記載のバンプラバー装置が、船体体外周部に具えられたことを特徴として成るものである。
【0014】
また請求項7記載のバンプラバー装置が具えられた構造物は、前記請求項1、2または3記載のバンプラバー装置が、移動体との接触部位に具えられたことを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0015】
まず請求項1記載の発明によれば、バンプラバーユニットを必要とするときのみ車輌に取り付けて使用し、一方、車輌が一般道を走行する際には、バンプラバーユニットを車輌に取り付けられた基板から取り外すことにより、方向指示灯を、その斜め後方45°の範囲で視認障害とならないよう規定されている法規に適合したものとすることができる。加えて車輌全長も改造申請を要しない範囲の増加に留めることができる。
特に車輌が積荷作業を行う際には、バンプラバーユニットを、車輌に取り付けることにより、プラットホームへのアクセスを安全に行うことができ、積荷に適した状態とすることができる。
【0016】
また請求項2記載の発明によれば、基板へのバンプラバーユニットの組み付け及び基板からのバンプラバーユニットの取り外しを容易に行うことができる。
【0017】
更に請求項3記載の発明によれば、バンプラバーユニットを、車輌後部に具えられる方向指示灯等よりも更に外側の狭いスペースに設置することが可能となる。
【0018】
また請求項4記載の発明によれば、一般道を走行する際には、バンプラバーユニットを車輌から取り外して車輌の外形寸法を適法なものとすることができる。一方、プラットホームでの荷役の際には、バンプラバーユニットを車輌に取り付けることにより、バンプラバー本体の緩衝性能を享受することができる。
【0019】
また請求項5記載の発明によれば、車輌の後端且つ両端にバンプラバーユニットが具えられるため、車輌がプラットホームへアクセスする際の安全性を向上させることができる。
【0020】
また請求項6記載の発明によれば、船体の保護を可能にするとともに軽量化を実現することが可能となる。
【0021】
また請求項7記載の発明によれば、ラバー本体が損傷した場合には、損傷個所のラバー本体のみを交換するだけで済むため、交換作業が容易に行えるとともに、維持コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のバンプラバー装置並びにこれを具えた車輌を示す斜視図である。
図2】本発明のバンプラバー装置並を示す分解斜視図である。
図3】集荷所における車輌へのバンプラバー装置の装着と、バンプラバー装置が具えられた車輌がプラットホームに接近した様子を示す側面図である。
図4】車輌の両側面にバンプラバー装置が装着される実施例を示す斜視図である。
図5】基板とバンプラバーユニットとの係止構造の関係を、図1に示す実施例と逆関係とした実施例を示す斜視図である。
図6】ベース板を具えることなくバンプラバーユニットを構成する実施例を示す斜視図である。
図7】係合スロットと係合爪との間にバヨネット構造を採用し、このバヨネット構造が係合する様子を段階的に示す説明図である。
図8】係合スロットと係合爪との間に抜け止め構造を採用し、この抜け止め構造が係合する様子を示す説明図である。
図9】係合構造としてトグルラッチを採用した実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであると共に、この技術思想に基づく種々の改良した実施例も含むものである。
【実施例】
【0024】
以下本発明を図1〜3に示す基本となる構成に基づいて具体的に説明する。図中符号1で示すものが本発明のバンプラバー装置であって、このものは移動体の一例である車輌10の後端部等に具えられるものである。
先ず前記車輌10の一例である貨物トラックについて説明する。このものは貨物輸送に供されるものであり、図1に示すようにシャーシ11の前後に前輪12、後輪13が具えられ、更にシャーシ11の前部に運転キャビン15が設けられて成るものである。そして運転キャビン15の後方に荷室16が設けられ、この荷室16に貨物が収容される。
また前記荷室16は、跳ね上がり式のウイングルーフ17によって側面側が開閉され、更に観音開きするリアドアー18によって後面側が開閉されるものである。
【0025】
そして一例として前記シャーシ11の後端部、具体的には荷室16後端の下枠部材すなわち前記リアドアー18の下方に位置する後門枠14といわれる部位に、複数のランプ19(方向指示灯、制動灯、尾灯)が一例としてユニット化されて設けられる。これらランプ19は、荷室16を広く採ることや積荷用リフトデッキの配置に支承をきたさず且つ後方に張り出すことのないように取り付けられる。
【0026】
次に本発明のバンプラバー装置1について説明する。なお後述する基板2及びバンプラバーユニット3における組立面とは、基板2と、バンプラバーユニット3とが組み付けられる際に対面する側の面であり、具体的には係止スロット5または係止爪8が形成される側の面を意味するものである。
また前記基板2の基面側とは、車輌10と接する側の面を意味するものであり、前記ラバー本体6及びベース板7の基面側とは、ラバー本体6と、ベース板7とが組み付けられる際に対面する側の面を意味するものである。
【0027】
そしてバンプラバー装置1は図2に示すように、基板2と、バンプラバーユニット3とを具えて成るものであり、車輌10に固定された基板2とバンプラバーユニット3とは相互の組立面において手作業による取り外し自在の係合構造により、基板2に対し、バンプラバーユニット3が取り付け形成されるものである。
具体的には、前記基板2は縦長状に形成され、組立面側に形成された基板2側の係止構造としての係止スロット5を具えて成るものである。
このような基板2にあっては、一例として適宜の寸法に切断された帯状金属板の両端を折り返し状に曲げて係止スロット5が形成されたり、異なる幅の帯状金属板を積層して溶接することによって係止スロット5が形成される。
そして係止スロット5の組立面側には、一例として上下二カ所に係止バー51が設けられる。
また基板2の適宜の個所には、組立面側に皿もみ加工が施されたボルト孔21が複数個所に形成される。
【0028】
一方、前記バンプラバーユニット3は、ラバー本体6と、ベース板7とを具えて成るものであり、このベース板7は、ラバー本体6の基面側に一体に固定されるとともに、組立面側に側板側係止構造としての係止爪8を、下方を自由端として具えて成るものである。
このようなベース板7は、一例として適宜の寸法に切断された金属板を積層して溶接することによって形成される。また係止爪8の根元付近には、組立面側に皿もみ加工が施されたボルト孔71が形成される。
また前記ラバー本体6は、一例として硬質ゴムを素材として成る断面D字型の中空半円筒体であり、その基面に対してボルト孔61が形成される。
そしてボルト孔71及びボルト孔61にボルトBを挿通し、ナットNを締め付けることにより、ラバー本体6とベース板7とか一体化され、バンプラバーユニット3が構成される。
なお前記ラバー本体6は無垢材としてもよく、また断面形状も矩形その他適宜の形状としてもよい。
【0029】
本発明のバンプラバー装置1は一例として上述のように構成されるものであり、まず、車輌10におけるシャーシ11の後端部、具体的には荷室16後端の後門枠14に設けられるユニット化されたランプ19の外側に、ボルトBを用いて基板2が固定される。
そしてこの基板2に対してバンプラバーユニット3が組み付けられるものであり、基板2とベース板7それぞれの組立面を合わせ、係止爪8を係止スロット5に入れ込むとともに、バンプラバーユニット3全体を下方にスライドさせることにより、車輌10と一体化された状態のバンプラバー装置1が構成される。
なおこの時点でランプ19の方向指示灯は、その斜め後方45°の範囲で視認障害とならないよう規定されている法規に適合しない状態となる場合もある。
【0030】
このため上述のような基板2へのバンプラバーユニット3の組み付けは、一般道を走行してきた車輌10が、一例として集荷所(デポ)に到着した後に行われる。
そして運転者や集荷所の作業者は、図3(a)に示すようにバンプラバーユニット3を基板2に組み付けてバンプラバー装置1と車輌10とを一体化させる。その後、運転者は車輌10後退させてプラットホームPの端面に接近させ、図3(b)に示すようにプラットホームPの端面に取り付けられたバンプラバーP1にラバー本体6を当接させて車輌10を停止する。
この際、車輌10の後端における左右両端にバンプラバー装置1が具えられるため、車輌10がプラットホームPへアクセスする際のハンドル操作を、厳密なものではなく、ある程度おおまかな容易なものとすることができる
【0031】
次いでリアドアー18が解放され、キャスター付ラックに収納された荷物が、プラットホームP上から荷室16に積み込まれる。
そして積込作業が完了するとリアドアー18が閉鎖され、次いで車輌10をプラットホームPから離れた場所に停止させ、バンプラバーユニット3が基板2から取り外されるものである。この時点でランプ19の方向指示灯は、その斜め後方45°の範囲で視認障害とならないよう規定されている法規に適合したものとなり、車輌10は一般道での走行が可能となる。
【0032】
〔他の実施例〕
本発明は上述した実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術思想に基づいて以下に示すような実施例を採ることもできる。
まず上述した基本となる実施例では、バンプラバー装置1を、車輌10の車体外周部のうち、シャーシ11の後端部であり、荷室16後端の後門枠14といわれる部位)の左右に設けられたランプ19の更に外側に設けるようにしたが、他の部位に設けるようにしてもよい。
具体的には図4に示すように、横長状とされたバンプラバー装置1を、車輌10の車体外周部のうち、荷室16の下枠部材の左右側面に設けるようにしてもよい。この場合、係止スロット5を基板2の長辺に沿って二か所に形成するようにし、同様に係止爪8をベース板7の長辺に沿って二か所に具えられるようにし、更にラバー本体6がベース板7から突出した状態とし、この突出部が荷室16の後端面より突出して設けられるようにする。
この場合、荷室16のあおり板16aを外側に展開する際に、バンプラバーユニット3を基板2から取り外すことにより、あおり板16aの回動範囲を縮小してしまうことが回避される。
【0033】
また本発明のバンプラバー装置1を、あおり板16aの内側下部に設けるようにしてもよい。この場合、片側のあおり板16aを外側に展開した状態で、フォークリフトを用いて荷室16に荷物の積み込みが行われる際に、フォークが反対側の展開されていないあおり板16aに接触し、これを損傷してしまったり、甚だしい場合には突き抜けてしまうような事態を回避することができる。
【0034】
また図5に示すように、基板2とバンプラバーユニット3との係止構造の関係を、図1に示す実施例と逆関係とすることもできる。すなわち基板2に対して係止爪8が具えられ、ベース板7に係止スロット5が具えられるようにするものである。
【0035】
また図6に示す実施例は、バンプラバーユニット3を、前記ベース板7を具えることなくラバー本体6のみで構成したものである。
この場合、ラバー本体6が直接基板2に対して組み付けられるため、ラバー本体6と、基板2とが組み付けられる側の面を組立面とする。
そして前記ラバー本体6の組立面に対して係止スロット5が形成されるとともに、基板2における組立面に係止爪8が具えられる。
なおこの実施例では前記ラバー本体6を、一例として断面正方形状の中空角筒体とした。
【0036】
また基板2とバンプラバーユニット3との組み付けが容易に解除されないための機構を具えるようにしてもよい。一例として図7に示す実施例はバヨネット構造を採用したものであり、基板2における係止バー51の内側に突起52が具えられ、一方、係止爪8にクランク状の案内溝81が形成される。そして図7(a)〜(d)に示すように、係止爪8を係止スロット5に挿入する際に、前記突起52が案内溝81の終端に向かって移動するように係止爪8(バンプラバーユニット3)を移動させる。このような構成が採られることにより、車輌10の移動による振動等によってバンプラバーユニット3が上方に移動してしまった場合であっても、係止爪8が係止スロット5から抜け出てバンプラバーユニット3が脱落してしまうのを防止することが可能となる。
【0037】
また基板2とバンプラバーユニット3との組み付けが容易に解除されないための機構としては、図8に示すような構成を採ることもできる。具体的にはベース板7の組立面に円柱状の係止爪8を立設し、その先端に一例として円盤状の抜止82を設ける。一方、基板2に対しては、組立面に鍵穴状の抜止孔53を形成し、この抜止孔53が係止スロット5に連通した状態に形成する。
そして図8(b)に示すように、抜止82を抜止孔53の円形部に入れ込むととともに、係止爪8を抜止孔53の長孔部に沿って下降させてその下端に位置させることにより、基板2とバンプラバーユニット3との係合が維持されるとともに、係止爪8が抜止孔53から抜け出してバンプラバーユニット3が脱落してしまうのを防止することが可能となる。なおこの状態で、基板2とバンプラバーユニット3との上端部が揃うように、前記係止爪8及び抜止孔53の設置個所が設定される。
【0038】
また手作業による取り外し自在の係合構造として、図9に示すようなトグルラッチ等を採用することもできる。この実施例では、基板2に対してフック91を具え、バンプラバーユニット3側にトグルラッチ9を具えるようにした。
【0039】
また車輌10としては、上述したトラックの他、トレーラー、貨物軽自動車等の貨物輸送用車輌や、福祉車輌等を採用することもできる。
【0040】
更にまた本発明のバンプラバー装置1を、図1、3に示した構造物の一例であるプラットホームPに具えられたバンプラバーP1に替えて用いることも可能である。具体的には、車輌10との接触部位となるプラットホームPの端面上部に、バンプラバー装置1を一定間隔あるいは連続して設けるものである。
このような構成が採られた場合、複数の車輌10が出入りする荷役拠点において、プラットホームPに設けられたバンプラバー装置1は、車輌10に取り付けられたバンプラバー装置1あるいはバンプラバー装置1が取り付けられていない車輌10の後部との複数の接触によって、ラバー本体6がヘタってしまったり、傷付いてしてしまうとは避けられない。しかしながらが、本発明のバンプラバー装置1を採用した場合、当該損傷個所のラバー本体6のみを交換するだけで済むこととなり、交換作業が容易に行えるとともに、維持コストを大幅に低減することができる。
因みに従来より用いられているバンプラバーP1の場合、多くはプラットホームPの端面上部に沿って長尺のものが強固に取り付けられており、その一部がヘタってしまったり、傷付いてしまっただけでも全体の交換が必要となっていた。
【0041】
更にまた図示は省略するが、本発明のバンプラバー装置1を、移動体の一例である船舶の側周部に取り付けることも可能である。特に小型の船舶やボートでは、従来、複数の古タイヤ等を船体の側周部に取り付ける等して接岸の際の緩衝が図られていたが、複数の古タイヤの場合は船体の重量増加が少なくなかった。しかしながら本発明のバンプラバー装置1を採用することにより、船体の保護を可能にするとともに軽量化を実現することが可能となる。
更に構造物の一例であって、船着場となる岸壁や桟橋に対して、船舶との接触部位に本発明のバンプラバー装置1を取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 バンプラバー装置
2 基板
21 ボルト孔
3 バンプラバーユニット
5 係止スロット
51 係止バー
52 突起
53 抜止孔
6 ラバー本体
61 ボルト孔
7 ベース板
71 ボルト孔
8 係止爪
81 案内溝
82 抜止
9 トグルラッチ
91 フック
10 車輌
11 シャーシ
12 前輪
13 後輪
14 後門枠
15 運転キャビン
16 荷室
16a あおり板
17 ウイングルーフ
18 リアドアー
19 ランプ
B ボルト
N ナット
P プラットホーム
P1 バンプラバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9