(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステータ支持部材及びベース部材は、内部に浸入した水滴を外部へ排出する排水路を有し、該排水路に異物が浸入することを防止する異物侵入防止部を備えるラビリンス構造を設けることを特徴とする請求項1から3までの何れか一項に記載の車両用電動モータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る車両用電動モータにおいては、水抜き構造が所定の取付角度のみに対応するものであるため、車両へのレイアウト性や車両の外部コネクタとの接続作業性等の理由から、車両用電動モータの車両への取付角度が変更となると、車両用電動モータの水抜き構造の性能が損なわれてしまうという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、内部に浸入した水滴を外部に排出する排水構造を備えた車両用電動モータにおいて、排水構造の性能を損なうことなく、車両へ取り付ける際のレイアウト性や車両の外部コネクタとの接続作業性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、コイルを巻回したステータと、前記ステータを支持するステータ支持部材と、前記ステータ支持部材に軸受を介して回転自在に支持されると共に、水平方向に延びる回転軸と、前記回転軸の軸線方向における前記ステータの一方側を覆う円盤状の底壁と、前記底壁の外周端から起立して前記ステータの外周側を覆う円筒状の周壁とを有し、前記周壁にマグネットが設けられると共に、前記底壁が前記回転軸に一体回転可能に結合されるロータと、内周側で前記軸受を支持する円筒状の筒部を有し、前記筒部の鉛直下方側に水抜き孔が形成されるベアリングホルダと、を備えた車両用電動モータにおいて、前記ステータ支持部材には、前記筒部が挿入される円筒状のボス部を有するベアリングホルダ挿入部が設けられ、前記ボス部の内周面の鉛直下方領域には、前記水抜き孔からの水滴を外部へ排出する排水構造が、前記ボス部の内周面の周方向に沿うように設けられ
、前記排水構造は、前記ボス部の内周面から径方向外側に窪むと共に前記ボス部の外部と連通する複数の凹部であることを特徴とする。
【0008】
請求項
2に記載した発明は、前記複数の凹部は、前記ボス部の内周面の一部に周方向に並んで配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項
3に記載した発明は、前記ステータ支持部材には、前記ロータの周壁の開口側の端部の外周を覆う円筒状の水浸入規制壁が設けられ、前記水浸入規制壁の内周面の鉛直下方領域には、前記水浸入規制壁に流れた水滴を外部へ排出する排水用凹部が、前記排水構造に対応する範囲にわたって設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項
4に記載した発明は、前記ステータ支持部材及びベース部材は、内部に浸入した水滴を外部へ排出する排水路を有し、該排水路に異物が浸入することを防止する異物侵入防止部を備えるラビリンス構造を設けることを特徴とする。
【0011】
請求項
5に記載した発明は、前記排水路は、前記軸線方向における前記ベース部材の一方側に開口するベース側排水路を備え、前記異物侵入防止部は、ステータ支持部材のうち前記ベース側排水路に臨む部分から鉛直上方に起立すると共に、前記ベース側排水路を前記軸線方向の一方側から覆う起立壁を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項
6に記載した発明は、前記ベアリングホルダは、前記筒部から径方向外側に起立する環状のフランジ部を更に備え、前記フランジ部には、前記水抜き孔を前記筒部の鉛直下方側に配置した状態で、前記回転軸を中心とする前記ステータ支持部材の取付角度を調整可能な取付部が設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項
7に記載した発明は、前記車両用電動モータは車両のラジエータ冷却用電動ファンの駆動源として用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した発明によれば、ボス部の内周面の鉛直下方領域には、水抜き孔からの水滴を外部へ排出する排水構造が、ボス部の内周面の周方向に沿うように設けられることで、車両用電動モータを車両へ取り付ける際に、車両に対し、回転軸を中心とする車両用電動モータの取付角度を調整する場合であっても、ボス部の内周面の周方向に沿う排水構造の設定範囲において、排水構造の性能を確保することができる。又、ボス部の内周面の周方向に沿う排水構造の設定範囲において、車両に対し、回転軸を中心とする車両用電動モータの取付角度を所定の角度に調整することができる。従って、排水構造の性能を損なうことなく、車両へ取り付ける際のレイアウト性を向上させることが可能となり、車両側の外部コネクタとの接続作業性も向上することができる。
又、排水構造が、ボス部の内周面から径方向外側に窪むと共にボス部の外部と連通する複数の凹部であることで、車両用電動モータを車両へ取り付ける際に、車両に対し、回転軸を中心とする車両用電動モータの取付角度を調整する場合であっても、各凹部から外部にスムーズに排水することができる。又、排水構造をボス部の内周面の周方向に連なる一つの凹部とする場合と比較して、ボス部による筒部の支持強度を向上することができるため、ベアリングホルダを安定して支持することができる。
【0016】
請求項
2に記載した発明によれば、複数の凹部が、ボス部の内周面の一部に周方向に並んで配置されることで、筒部に形成された水抜き孔を前記配置に対応する範囲(筒部の鉛直下方側の一部)に形成するのみで済むため、水抜き孔を過度に増やす必要がなくなる。そのため、筒部の真円度を確保しやすくなり、ベアリングホルダの加工精度を向上することができる。
【0017】
請求項
3に記載した発明によれば、水浸入規制壁の内周面の鉛直下方領域には、水浸入規制壁に流れた水滴を外部へ排出する排水用凹部が、排水構造に対応する範囲にわたって設けられることで、車両用電動モータを車両へ取り付ける際に、車両に対し、回転軸を中心とする車両用電動モータの取付角度を調整する場合であっても、ボス部の内周面の周方向に沿う排水構造の設定範囲において、排水用凹部の性能を確保することができる。
【0018】
請求項
4に記載した発明によれば、ステータ支持部材及びベース部材は、内部に浸入した水滴を外部へ排出する排水路に異物が浸入することを防止する異物侵入防止部を備えるラビリンス構造を設けることで、排水路への異物の侵入を防止することができるため、排水路の詰まりを防止し、排水路を通じてスムーズに排水することができる。
【0019】
請求項
5に記載した発明によれば、異物侵入防止部が、ステータ支持部材のうちベース側排水路に臨む部分から鉛直上方に起立すると共に、ベース側排水路を軸線方向の一方側から覆う起立壁を備えることで、ベース側排水路への異物の侵入を防止することができるため、ベース側排水路の詰まりを防止し、ベース側排水路を通じてスムーズに排水することができる。
【0020】
請求項
6に記載した発明によれば、ベアリングホルダのフランジ部には、水抜き孔を筒部の鉛直下方側に配置した状態で、回転軸を中心とするステータ支持部材の取付角度を調整可能な取付部が設けられることで、水抜き孔を増やすことなく、ベアリングホルダをステータ支持部材に取り付けることができるため、筒部の真円度を確保しやすくなり、ベアリングホルダの加工精度を向上することができる。
【0021】
請求項
7に記載した発明によれば、車両用電動モータを車両のラジエータ冷却用電動ファンの駆動源として用いた場合に、効果的な排水構造とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<電動モータ全体>
図1〜
図3は、実施形態に係る電動モータ1(車両用電動モータ)の一例を示す。 電動モータ1は、ブラシレスモータ2(被駆動体)と、ブラシレスモータ2を制御するコントローラ3と、を備えるものであって、例えば、車両のラジエータ冷却用電動ファンの駆動源として用いられ、下述する出力軸20に固定されるファン本体(不図示)が、車両のラジエータ(不図示)と対向するように、フランジ部80b,82bを介して、車両側に固定設置されるようになっている。
尚、図中符号CPはブラシレスモータ2の出力軸20(回転軸)の中心を示す。又、図中符号CLは出力軸20の軸線を示す。出力軸20は、車両の前後方向に水平方向に延びる。以下、出力軸20の中心を「モータ中心」、軸線CLに沿う方向を「モータ軸方向」、軸線CLと直交する方向を「モータ径方向」、軸線CL回りに周回する方向を「モータ周方向」という。ここで、モータ軸方向は、請求項に記載の「軸線方向」に相当する。
又、図中符号V1はモータ軸方向の一方側、符号V2はモータ軸方向の他方側をそれぞれ示す。又、図中符号V3は鉛直方向の上方側(鉛直上方側)、符号V4は鉛直方向の下方側(鉛直下方側)をそれぞれ示す。
【0024】
<ブラシレスモータ>
図1及び
図3を併せて参照し、ブラシレスモータ2は、軸線CLを形成する出力軸20と、出力軸20と共に回転可能なロータ21と、出力軸20と共にロータ21を回転させるための磁界を発生可能なステータ22とを備える。
【0025】
ロータ21は、ステータ22におけるモータ軸方向の一方側V1を覆う円盤状の底壁21aと、底壁21aの外周端から起立してステータ22の外周側を覆うと共にモータ軸方向の他方側V2に開口部21iを形成する円筒状の周壁21bと、周壁21bの開口部21i側の端部から径方向外側に起立する円環状の鍔部21dとを備える。底壁21aの径方向中心部には、出力軸20を挿通する円筒状のボス部21hが形成される。
【0026】
底壁21aは、出力軸20に一体回転可能に結合される。例えば、ボス部21hに出力軸20を圧入固定することで、出力軸20と共にロータ21が回転可能とされる。周壁21bの径方向内側面には、接着剤等によって複数のマグネット21cが設けられている。ロータ21は、ステータ22が発生する磁界を受けて出力軸20と共に回転可能とされる。
【0027】
ステータ22は、ロータ21の周壁21bの径方向内側に配置される。ステータ22は、ブラケット8(ステータ支持部材)にボルト22dによって固定される。ステータ22の径方向内側には、出力軸20の軸受として機能する一対のベアリング23を嵌装するベアリングホルダ24が設けられる。ベアリングホルダ24は、ステータ22と共にボルト22dによって固定される。
【0028】
ステータ22は、円筒状のステータコア22aと、ステータコア22aの径方向外側に突設された複数のティース部に対して、モータ軸方向両側に装着される絶縁性のインシュレータ22bと、インシュレータ22b上に巻装される導電性のコイル22cとを備える。コイル22cは、U相、V相、W相の三相に対応する。本実施形態のブラシレスモータ2は、U相、V相、W相の三相のコイル22cを備えた三相ブラシレスモータである。
【0029】
コイル22cの端末部は、ロータ21の開口部21i側から引き出され、前記開口部21i側にブラケット8の開口80mを貫通するように配置されるバスバーユニット25に接続される。バスバーユニット25は、外部からの電力をコイル22cに供給する機能を有する。例えば、バスバーユニット25は、各相のコイル22cの巻始め端(不図示)と接続されるU相用バスバー、V相用バスバー及びW相用バスバーと、各相のコイル22cの巻終わり端(不図示)と接続される中性点用バスバーとを備える。各バスバーのうち、U〜W相用バスバーは、開口部21iからコントローラ3に向けてモータ軸方向に沿うように延びる3つの給電端子25aを備える。各給電端子25aは、ベース部材5に配設される三相バスバーのモータ側端部125に抵抗溶接等によって電気的に接続される。
【0030】
<コントローラ>
コントローラ3は、複数のバスバー100を含むターミナル4と、ターミナル4を配設する樹脂製のベース部材5と、複数のバスバー100にそれぞれ電気的に接続される複数の電子素子65、66と、ブラシレスモータ2に電力を供給すると共にブラシレスモータ2の駆動を制御するパワーデバイス7と、ベース部材5に取り付けられるブラケット8と、ベース部材5を覆うカバー9,10(本体カバー9及びターミナルカバー10)とを備える。ベース部材5上には、ブラシレスモータ2を制御するための制御回路が構成されている。
【0031】
<ベース部材>
図2及び
図3を併せて参照し、ベース部材5は、モータ軸方向に厚みを有し、且つ、モータ軸方向から見た平面視で矩形板状をなすベース本体50を備える。ベース部材5は、平面視で、ベース本体50から鉛直上方側V3に向けて突出する第一コネクタ51及び第二コネクタ52と、ベース本体50から鉛直下方側V4に向けて突出するターミナル接続部53とを備える。例えば、ベース部材5は、樹脂等の絶縁材料を用いたインサート成形によって、内部に複数のバスバー100を配設する。ターミナル接続部53には、出力軸20に臨む位置に、ベース部材5の厚み方向に開口する開口部53hが形成される。
【0032】
ベース本体50とターミナル接続部53との間には、平面視でベース本体50における鉛直下方側V4の傾斜角部(テーパ部)に沿うように延びると共にターミナル接続部53の外周部に沿うように延びる輪郭を有するフランジ部50fが形成される。
ベース本体50における鉛直上方側V3の角部には、平面視で頂部に角丸を有する三角形状をなすフランジ部50gが形成される。
フランジ部50f,50gには、ベース部材5の厚み方向に開口する不図示の貫通孔が形成される。例えば、ベース部材5の各フランジ部50f,50gの貫通孔にボルト18を挿通し、ブラケット8の各取付孔(不図示)にボルト18をねじ込むことによって、ベース部材5をブラケット8に締結固定することができる。
【0033】
<ブラケット>
図1及び
図3を併せて参照し、ブラケット8は、モータ軸方向で、ベース本体50の外形に沿う形状をなすブラケット本体80と、ターミナル接続部53の外形に沿う形状をなすベアリングホルダ挿入部81と、ブラシレスモータ2の外形に沿う形状をなすモータブラケット部82とを備える。例えば、ブラケット8は、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属材料によって形成される。
【0034】
<ブラケット本体>
ブラケット本体80は、モータ軸方向の一方側V1に平坦な面を有する本体ベース部80aと、本体ベース部80aの幅方向両端部から幅方向外側に突出する複数(例えば本実施形態では幅方向両端に一つずつ計二つ)のフランジ部80bと、本体ベース部80aの面上にモータ軸方向の一方側V1に向けて突出する複数のピン型の放熱フィン80cと、鉛直方向に隣接する複数の放熱フィン80cの間を繋ぐように直線状に延びる連結リブ80dと、本体ベース部80aの幅方向両端部から幅方向外側に突出する複数の凸型の放熱フィン80eとを備える。フランジ部80bには、モータ軸方向に開口する貫通孔80hが形成される。
【0035】
<ベアリングホルダ挿入部>
ベアリングホルダ挿入部81には、モータ軸方向に開口する開口部81hが形成される。ベアリングホルダ挿入部81において開口部81hに臨む部分には、ベアリングホルダ24の筒部24aが挿入される円筒状のベアリングホルダ挿入ボス部81a(ボス部)が設けられる。ベアリングホルダ挿入ボス部81aは、ブラシレスモータ2が一体的に連結されるモータ連結ボス部として機能する。
【0036】
<モータブラケット部>
モータブラケット部82は、モータ軸方向の他方側V2に平坦な面を有するベース部82aと、ベース部82aの外周部からモータ径方向の外側に突出する複数(例えば本実施形態では三つ)のフランジ部82bと、ベース部82aの面上にモータ軸方向の他方側V2に向けて突出する複数のピン型の放熱フィン82cとを備える。フランジ部82bには、モータ軸方向に開口する貫通孔82hが形成される。
【0037】
例えば、ブラケット8の各フランジ部80b,82bの貫通孔80h,82hにボルト(不図示)を挿通し、車両側の各取付孔(不図示)にボルトをねじ込むことによって、電動モータ1を不図示の車両に締結固定することができる。尚、車両に対する電動モータ1の取付姿勢、具体的には、車両に対し、出力軸20を中心とする電動モータ1の取付角度は所定の角度に調整可能とされている。
【0038】
<本体カバー>
図2及び
図3を併せて参照し、モータ軸方向の他方側V2から見て、本体カバー9は、ベース本体50の外形に沿う矩形状をなす。本体カバー9は、ベース本体50を覆う天板部90と、天板部90からベース本体50に向けて起立すると共にモータ軸方向の他方側V2から見てベース本体50を囲む矩形環状のカバー壁部91とを備える。
【0039】
天板部90には、本体カバー9をベース本体50に係止する係止部92が設けられる。係止部92は、天板部90の幅方向両端部に複数(例えば本実施形態では幅方向両端に二つずつ計四つ)設けられる。
係止部92は、天板部90からベース本体50に向けて延びる一対の脚部92aと、一対の脚部92aの末端部を連結する連結部92bとを備える。
ベース本体50には、係止部92の連結部92bに係止する爪部50jが設けられる。爪部50jは、本体カバー9の係止部92に対向するように、ベース本体50の幅方向両端部に複数(例えば本実施形態では幅方向両端に二つずつ計四つ)設けられる。
【0040】
<ターミナルカバー>
モータ軸方向の他方側V2から見て、ターミナルカバー10は、ターミナル接続部53の外形に沿う形状をなす。ターミナルカバー10は、ベース部材5に配設された三相バスバーのモータ側端部125と、出力軸20の締結部20jとを覆う位置に配置され、ブラシレスモータ2の3つの給電端子25aと対応するモータ側端部125との電気的接続部を覆蓋するものである。ターミナル接続部53とターミナルカバー10との間には、環状のシール材40が設けられる。
【0041】
ターミナルカバー10は、ターミナル接続部53を覆う天板部11と、天板部11からターミナル接続部53に向けて起立すると共にモータ軸方向の他方側V2から見てターミナル接続部53を囲む環状のカバー壁部12とを備える。
ターミナル接続部53は、カバー壁部12の外周側にシール材40を介して接する環状のベース壁部53aを備える。
【0042】
<ベアリングホルダ>
図3、
図4及び
図5を併せて参照し、ベアリングホルダ24は、内周側で一対のベアリング23を支持する円筒状の筒部24aと、筒部24aにおけるモータ軸方向の一方側V1の端部から径方向外側に起立する円環状のフランジ部24dとを備える。筒部24aは、一対のベアリング23のうちモータ軸方向の一方側V1のベアリングを支持する円筒状の第一筒部24bと、一対のベアリング23のうちモータ軸方向の他方側V2のベアリングを支持すると共に第一筒部24bよりも縮径する円筒状をなす第二筒部24cとを備える。第二筒部24cの鉛直下方側V4で且つ第一筒部24b寄りの部分には、第二筒部24cを厚み方向に開口し且つ第二筒部24cの内周面の周方向に沿う長孔形状をなす水抜き孔24hが形成される。
【0043】
フランジ部24dには、フランジ部24dを厚み方向に開口すると共にモータ軸方向から見て円形をなす貫通孔24i,24j,24kが形成される。ここで、貫通孔は、請求項に記載の「取付部」に相当する。尚、図中符号24mは、フランジ部24dに形成される切欠部を示す。
【0044】
貫通孔24i,24j,24kは、複数(例えば本実施形態では三つずつ計九つ)設けられる。貫通孔24i,24j,24kは、円環状のフランジ部24dにおけるモータ径方向中央部において、モータ周方向に沿うように所定間隔を空けて配置される。モータ軸方向から見て、各貫通孔24i,24j,24kは、モータ周方向で略等間隔(例えば120°程度の間隔)を開けて配置される。
【0045】
モータ軸方向から見て、各貫通孔24j,24kは、貫通孔24iに対し、モータ周方向で所定間隔(例えば45°程度の間隔)を開けて配置される。
図5において、符号H1,H2,H3は、それぞれモータ中心CPと各貫通孔24i,24j,24kの中心P1,P2,P3とを通る直線を示す。又、符号θ1は直線H1と直線H2とのなす角度、符号θ2は直線H1と直線H3とのなす角度を示す。尚、角度θ1,θ2は、それぞれ貫通孔24iに対する各貫通孔24j,24kの配置角度に相当し、本実施形態ではそれぞれ45°程度とする。各貫通孔24i,24j,24kは、水抜き孔24hを筒部24aの鉛直下方側に配置した状態で、モータ中心CPに対するブラケット8の取付角度を調整可能とする。本実施形態において、ブラケット8の取付角度は、モータ中心CPに対して
図6に示す角度A1,A2ずつ(ブラケット幅方向中心線C1を基準として一方側と他方側とに45°程度ずつ)調整可能とされる。
【0046】
<ベアリングホルダの取付構造>
図6を併せて参照し、モータ軸方向の一方側V1から見て、ベアリングホルダ挿入部81には、ベアリングホルダ挿入部81の外周部からモータ径方向の外側に突出する複数(例えば本実施形態では三つ)のベアリングホルダ取付部89が設けられる。各ベアリングホルダ取付部89は、モータ周方向で略等間隔(例えば120°程度の間隔)を開けて配置される。各ベアリングホルダ取付部89には、モータ軸方向に開口すると共にモータ軸方向から見て円形をなす取付孔89hが形成される。
【0047】
例えば、ベアリングホルダ24のフランジ部24dの各貫通孔24i(又は各貫通孔24j、24k)にボルト22dを挿通し、ステータ22を介して各ベアリングホルダ取付部89の取付孔89hにボルト22dをねじ込むことによって、ベアリングホルダ24をステータ22と共にブラケット8に締結固定することができる(
図8参照)。
【0048】
<排水構造>
図7及び
図8を併せて参照し、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の鉛直下方領域には、水抜き孔24hからの水滴を外部へ排出する複数(例えば本実施形態では三つ)の凹部81i,81j,81kが形成される。複数の凹部81i,81j,81kは、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の一部に周方向に並んで配置される。ここで、複数の凹部は、請求項に記載の「排水構造」に相当する。
特に、電動モータ1を車両のラジエータ冷却用ファンの駆動源として用いる場合、電動モータ1は車両前方のエンジンルーム内に配置される場合が多く、この部位は雨水の吹き込みや走行輪からの被水環境にあるため、電動モータ1においては、効果的な排水構造が望まれている。
【0049】
各凹部81i,81j,81kは、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面から径方向外側に、モータ軸方向から見てU字状に窪む。各凹部81i,81j,81kは、第二筒部24cと対向する部位でモータ軸方向に沿うように延びてベアリングホルダ挿入ボス部81aの外部(モータ軸方向の他方側V2の開口)と連通する。これにより、雨水の吹き込みや走行輪からの被水等によってベアリングホルダ24内に水滴が浸入した場合であっても、水抜き孔24hからの水滴を各凹部81i,81j,81kを通じて外部に排出することができる。
【0050】
以下、モータ中心CPを通り且つブラケット8の幅方向中心を通る直線を「ブラケット幅方向中心線」という。図中符号C1は、ブラケット幅方向中心線を示す。
図6を併せて参照し、モータ軸方向から見て、凹部81iは、底部(最も深い部分)がブラケット幅方向中心線C1上に位置するように配置される。モータ軸方向から見て、各凹部81j,81kは、凹部81iに対し、モータ周方向で所定間隔(例えば45°程度の間隔)を開けて配置される。
図6において、符号L1,L2は、それぞれモータ中心CPと各凹部81j,81kの底部(最も深い部分)とを通る直線を示す。又、符号A1はブラケット幅方向中心線C1と直線L1とのなす角度、符号A2はブラケット幅方向中心線C1と直線L2とのなす角度を示す。尚、角度A1,A2は、それぞれ凹部81iに対する各凹部81j,81kの配置角度に相当し、本実施形態ではそれぞれ45°程度とする。
【0051】
<ブラケットの取付角度による排水の流れ>
図5、
図8及び
図9を併せて参照し、ボルト22dの挿通箇所をベアリングホルダ24のフランジ部24dの各貫通孔24iとすることによって、ブラケット幅方向中心線C1を鉛直方向に沿わせた状態で、水抜き孔24hを筒部24aの鉛直下方側に配置した状態とすることができる。
【0052】
図9において、符号W10は、凹部81iによる排水の流れを示す。ブラケット幅方向中心線C1を鉛直方向に沿わせた状態において、凹部81iは、ベアリングホルダ挿入ボス部81aにおける鉛直下方側の最下部(水抜き孔24hの直下)に配置される。これにより、ブラケット幅方向中心線C1を鉛直方向に沿わせた状態において、矢印W10で示すように、水抜き孔24hからの水滴を鉛直下方側V4へ向けて流しつつ外部へ排出することができる。
【0053】
図5、
図8及び
図10を併せて参照し、ボルト22dの挿入箇所をベアリングホルダ24のフランジ部24dの各貫通孔24jとすることによって、鉛直方向に対し、ブラケット幅方向中心線C1をブラケット幅方向の一方側に傾斜させた状態(例えばブラケット幅方向中心線C1を基準として一方側に45°程度傾斜させた状態)で、水抜き孔24hを筒部24aの鉛直下方側に配置した状態とすることができる。
【0054】
図10において、符号W11は、凹部81jによる排水の流れを示す。鉛直方向に対し、ブラケット幅方向中心線C1をブラケット幅方向の一方側に傾斜させた状態において、凹部81jは、ベアリングホルダ挿入ボス部81aにおける鉛直下方側の最下部(水抜き孔24hの直下)に配置される。これにより、鉛直方向に対し、ブラケット幅方向中心線C1をブラケット幅方向の一方側に傾斜させた状態において、矢印W11で示すように、水抜き孔24hからの水滴を鉛直下方側V4へ向けて流しつつ外部へ排出することができる。
【0055】
図5、
図8及び
図11を併せて参照し、ボルト22dの挿入箇所をベアリングホルダ24のフランジ部24dの各貫通孔24kとすることによって、鉛直方向に対し、ブラケット幅方向中心線C1をブラケット幅方向の他方側に傾斜させた状態(例えばブラケット幅方向中心線C1を基準として他方側に45°程度傾斜させた状態)で、水抜き孔24hを筒部24aの鉛直下方側に配置した状態とすることができる。
【0056】
図11において、符号W12は、凹部81kによる排水の流れを示す。鉛直方向に対し、ブラケット幅方向中心線C1をブラケット幅方向の他方側に傾斜させた状態において、凹部81kは、ベアリングホルダ挿入ボス部81aにおける鉛直下方側の最下部(水抜き孔24hの直下)に配置される。これにより、鉛直方向に対し、ブラケット幅方向中心線C1をブラケット幅方向の他方側に傾斜させた状態において、矢印W12で示すように、水抜き孔24hからの水滴を鉛直下方側V4へ向けて流しつつ外部へ排出することができる。
【0057】
<水浸入規制壁>
図6及び
図8を併せて参照し、モータブラケット部82におけるモータ軸方向の一方側V1の外周縁には、ロータ21の周壁21bの開口部21i側の端部(鍔部21d)の外周を覆う円筒状の水浸入規制壁85が形成される。水浸入規制壁85は、ベアリングホルダ挿入ボス部81aと同軸に配置される。
【0058】
水浸入規制壁85は、モータブラケット部82の鉛直上方側V3から、電気接点及びコントローラ3等が配置されているモータ中心CP側に流入しようとする水滴を外周面に沿わせて鉛直下方側V4に滴下させ、水滴のモータ中心CP側への浸入を規制する機能を有する。
尚、ロータ21の鍔部21dは、周壁21bの外周面に滴下した水滴が、周壁21bの開口部21i側に流れ込むことを規制する規制壁として機能すると共に、周壁21bの補強部としても機能する。
【0059】
モータブラケット部82におけるモータ軸方向の一方側V1には、水浸入規制壁85よりも小径の円筒状をなす第一円筒壁86と、第一円筒壁86よりも小径の円筒状をなす第二円筒壁87とが形成される。第一円筒壁86及び第二円筒壁87は、それぞれベアリングホルダ挿入ボス部81aと同軸に配置される。第一円筒壁86及び第二円筒壁87の径方向内側には、
図8の断面視でそれぞれモータ軸方向の一方側V1ほど径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面86a,87aが形成される。
【0060】
第一円筒壁86及び第二円筒壁87も、水浸入規制壁85と同様、モータブラケット部82の鉛直上方側V3から、電気接点及びコントローラ3等が配置されているモータ中心CP側に流入しようとする水滴を外周面に沿わせて鉛直下方側V4に滴下させ、水滴のモータ中心CP側への浸入を規制する機能を有する。これにより、水滴のモータ中心CP側への浸入を二重、三重に規制するようになっている。
【0061】
図6を参照し、モータ軸方向の一方側V1から見て、モータブラケット部82のベース部82aにおけるモータ軸方向の一方側V1で且つ第二円筒壁87によって囲まれる領域には、ベアリングホルダ挿入ボス部81aから放射状に延びる複数のリブ81rが形成される。
【0062】
<排水用凹部>
図6及び
図8を併せて参照し、水浸入規制壁85の内周面の鉛直下方領域には、水浸入規制壁85に流れた水滴を外部へ排出する排水用凹部85bが、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの複数の凹部81i,81j,81k(排水構造)に対応する範囲にわたって設けられる。モータ軸方向の一方側V1から見て、排水用凹部85bの設定範囲は、直線L1と直線L2とのなす角度(本実施形態では90°程度)よりも大きい角度範囲とされている。尚、ブラケット8の開口80mの設定範囲も、モータ軸方向の一方側V1から見て、直線L1と直線L2とのなす角度(本実施形態では90°程度)よりも大きい角度範囲とされている。
【0063】
モータ軸方向の一方側V1から見て、水浸入規制壁85は、排水用凹部85bを除く内周面の全域が円形曲面に形成される。以下、水浸入規制壁85のうち、排水用凹部85bを除く、前記円形曲面をなす内周面を有する部分を「一般部」という。排水用凹部85bは、一般部85aに対して径方向外側に窪むと共に水浸入規制壁85の内周面の周方向に沿うように形成される。排水用凹部85bは、水浸入規制壁85の付根部側から延出端にわたる範囲に形成され、外部(モータ軸方向の一方側V1の開口)と連通する。
【0064】
例えば、排水用凹部85bの窪みの深さは、排水用凹部85b内の水浸入規制壁85の付根部側のコーナーに水滴が表面張力によって付着し、付着した水滴が凍結して氷塊となった場合に、その氷塊がロータ21の周壁21bの開口部21i側の端部(鍔部21d)と接触することがない深さに設定される。
【0065】
図1を併せて参照し、ブラシレスモータ2をブラケット8に取り付けた状態において、水浸入規制壁85の内周面は、ロータ21の周壁21bの開口部21i側の端部(鍔部21d)と隙間を空けて対向する。排水用凹部85bは一般部85aに対して径方向外側に窪むため、排水用凹部85bにおいてはロータ21の周壁21bの開口部21i側の端部(鍔部21d)との離間幅が一般部85aに対して部分的に拡大している。
【0066】
<ラビリンス構造>
図8を併せて参照し排水路70は、ベアリングホルダ24における第二筒部24cの外周面とベアリングホルダ挿入ボス部81aにおける複数の凹部81i,81j,81kとによって囲まれると共にモータ軸方向に延びるモータ側排水路71と、ベース部材5のモータ軸方向の一方側V1に開口するベース側排水路72と、ベース部材5からモータ軸方向の一方側V1に向けて突出すると共に開口80mによって囲まれるベース側凸部53bの鉛直下方側の面と後述する起立壁88aの上面(開口80mに臨む面)との間に形成される開口側排水路73とを含む。排水路70は、ブラケット8とベース部材5との接続部分等においてクランク状に屈曲し、ラビリンス構造を形成する。
【0067】
<異物侵入防止部>
図6及び
図8を併せて参照し、ラビリンス構造は、排水路70に異物が侵入することを防止する異物侵入防止部88を備える。異物侵入防止部88は、ブラケット8におけるモータブラケット部82のうちベース側排水路72に臨む部分から鉛直上方に起立すると共に、ベース側排水路72をモータ軸方向の一方側V1から覆う起立壁88aを備える。起立壁88aは、ブラケット8の開口80mを形成する開口形成部のうち鉛直下方側の部分に形成される。起立壁88aの上縁(開口80m側の端縁)は、モータ軸方向から見て、緩やかなU字状をなす。
【0068】
<ラビリンス構造による排水の流れ>
図8において、矢印W,W1,W2,W3,W4は、排水の流れを示す。例えば、水抜き孔24hから滴下された水滴は、矢印Wで示すように、モータ側排水路71内に流れる。モータ側排水路71内に流れた水滴は、矢印W1で示すように、モータ側排水路71内をモータ軸方向の他方側V2に向けて流れる。モータ軸方向の他方側V2に向けて流れた水滴は、破線矢印W2で示すように、ベース側凸部53bの紙面奥側又は紙面前側を迂回して鉛直下方側V4に向けて流れ、開口側排水路73内に流れる。
一方、ターミナルカバー10内に浸入した水滴は、矢印W4で示すように、ベース側排水路72内を経て開口側排水路73内に流れる。
開口側排水路73内に流れた水滴は、矢印W3で示すように、起立壁88aにおけるモータ軸方向の一方側V1の部分等に沿うと共に鉛直下方側V4に向けて流れ、第二円筒壁87、第一円筒壁86及び水浸入規制壁85における排水用凹部85b等の排水案内壁を経て外部へ排出される。
【0069】
<ロータ位置決め用孔>
図1を参照し、ロータ21の底壁21aには、底壁21aの厚み方向に開口する複数(例えば本実施形態では八つ)の貫通孔26,27が形成される。複数の貫通孔26,27は、円盤状の底壁21aの外周に沿うように間隔を空けて配置される。モータ軸方向から見て、各貫通孔26,27は、円盤状の底壁21aの外周縁に沿う円弧状に延びる長孔形状をなす。これにより、各貫通孔の形状をモータ軸方向から見て円形とする場合と比較して、ロータ21の軽量化を図ることができる。
【0070】
複数の貫通孔26,27のうち、貫通孔26とは異なる形状を有する貫通孔27(異形孔)は、ロータ21の位置決め用の孔として機能する。以下、ロータ21の位置決め用の孔として機能する貫通孔を「ロータ位置決め用孔」という。ロータ位置決め用孔27は、一つのみ設けられる。これにより、ロータ位置決め用孔を複数(例えば二つ)設ける場合と比較して、ロータ21の組付けの際に一つのロータ位置決め用孔27のみに着目すればよいため、ロータ21の誤組付けをより一層防止することができる。
【0071】
図12を併せて参照し、ロータ位置決め用孔27は、モータ軸方向から見て円盤状の底壁21aの外周縁に沿う円弧状に延びる長孔形状をなす長孔部27aと、長孔部27aにおけるモータ周方向の一端側に形成される第一切欠部27bと、長孔部27aにおけるモータ周方向の他端側に形成される第二切欠部27cとを含む。これにより、長孔部におけるモータ周方向の一端側にのみ切欠部を形成する場合と比較して、モータ周方向におけるロータ21の重量バランスが保たれるため、音及び振動等の発生を防止することができる。
【0072】
底壁21aにおける長孔部27aを形成する部分のうちモータ径方向の内側の部分には、長孔部27aの内方に向けて(モータ軸方向の外側)に向けて緩やかな凸をなす厚肉部28が形成される。図中符号S1は第一切欠部27bによる減少分の体積、符号S2は第二切欠部27cによる減少分の体積、符号S3は厚肉部28による増加分の体積を示す。例えば、減少分の体積S1,S2の合計分だけ相殺するように増加分の体積S3を設定する。すなわち、第一切欠部27b及び第二切欠部27cによって減少した重さ分だけ相殺するように厚肉部28の重さを設定する。これにより、第一切欠部27b及び第二切欠部27cのみを形成する場合(厚肉部28を形成しない場合)と比較して、ロータ位置決め用孔27と他の貫通孔26との間で重量バランスが保たれるため、音及び振動等の発生を防止することができる。
【0073】
ここで、ベース部材5に設けられた第一コネクタ51及び第二コネクタ52は、
図9に示すブラケット8幅方向中心線を鉛直方向に沿わせた状態では、鉛直方向上方側V3に向けて突出するようになっているため、例えば、電動モータ1の上方側におけるレイアウトの制約があった場合には、設置スペースの問題や車両の外部ハーネスの接続作業性も考慮すると、
図9の姿勢でレイアウトすることが困難となるが、本実施形態によれば、排水構造の性能を損なうことなく、電動モータ1の取付角度を、
図10や
図11に示すように任意の角度に調整することが可能となるため、電動モータ1の上方側におけるレイアウトの制約があった場合でも、限られた設置スペース内に電動モータ1をレイアウトすることが可能となり、また、必要に応じて、車両側の外部コネクタとの接続作業性も向上させることができる。
【0074】
以上説明したように、上記実施形態は、コイル22cを巻回したステータ22と、ステータ22を支持するブラケット8と、ブラケット8にベアリング23を介して回転自在に支持されると共に、水平方向に延びる出力軸20と、出力軸20の軸線方向におけるステータ22の一方側を覆う円盤状の底壁21aと、底壁21aの外周端から起立してステータ22の外周側を覆う円筒状の周壁21bとを有し、周壁21bにマグネット21cが設けられると共に、底壁21aが出力軸20に一体回転可能に結合されるロータ21と、内周側でベアリング23を支持する円筒状の筒部24aを有し、筒部24aの鉛直下方側に水抜き孔24hが形成されるベアリングホルダ24と、を備えた電動モータ1において、ブラケット8には、筒部24aが挿入される円筒状のベアリングホルダ挿入ボス部81aを有するベアリングホルダ挿入部81が設けられ、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の鉛直下方領域には、水抜き孔24hからの水滴を外部へ排出する排水構造が、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の周方向に沿うように設けられる。
【0075】
この構成によれば、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の鉛直下方領域には、水抜き孔24hからの水滴を外部へ排出する排水構造が、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の周方向に沿うように設けられることで、電動モータ1を車両へ取り付ける際に、車両に対し、出力軸20を中心とする電動モータ1の取付角度を調整する場合であっても、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の周方向に沿う排水構造の設定範囲において、排水構造の性能を確保することができる。又、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の周方向に沿う排水構造の設定範囲において、車両に対し、出力軸20を中心とする電動モータ1の取付角度を所定の角度に調整することができる。従って、排水構造の性能を損なうことなく、車両へ取り付ける際のレイアウト性を向上させることが可能となり、車両側の外部コネクタとの接続作業性も向上することができる。
【0076】
又、上記実施形態では、排水構造が、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面から径方向外側に窪むと共にベアリングホルダ挿入ボス部81aの外部と連通する複数の凹部81i,81j,81kであることで、電動モータ1を車両へ取り付ける際に、車両に対し、出力軸20を中心とする電動モータ1の取付角度を所定の角度に調整する場合であっても、各凹部81i,81j,81kから外部にスムーズに排水することができる。又、排水構造をベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の周方向に連なる一つの凹部とする場合と比較して、ベアリングホルダ挿入ボス部81aによる筒部24aの支持強度を向上することができるため、ベアリングホルダ24を安定して支持することができる。
【0077】
又、上記実施形態では、複数の凹部81i,81j,81kが、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の一部に周方向に並んで配置されることで、水抜き孔24hを前記配置に対応する範囲(筒部24aの鉛直下方側の一部)に形成するのみで済むため、水抜き孔を過度に増やす必要がなくなる。そのため、筒部24aの真円度を確保しやすくなり、ベアリングホルダ24の加工精度を向上することができる。
【0078】
又、上記実施形態では、水浸入規制壁85の内周面の鉛直下方領域には、水浸入規制壁85に流れた水滴を外部へ排出する排水用凹部85bが、排水構造に対応する範囲にわたって設けられることで、電動モータ1を車両へ取り付ける際に、車両に対し、出力軸20を中心とする電動モータ1の取付角度を所定の角度に調整する場合であっても、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の周方向に沿う排水構造の設定範囲において、排水用凹部85bの性能を確保することができる。
【0079】
又、上記実施形態では、ブラケット8及びベース部材5に、内部に浸入した水滴を外部へ排出する排水路70を有し、排水路70に異物が浸入することを防止する異物侵入防止部88を備えるラビリンス構造を設けることで、排水路70への異物の侵入を防止することができるため、排水路70の詰まりを防止し、排水路70を通じてスムーズに排水することができる。
【0080】
又、上記実施形態では、異物侵入防止部88が、ブラケット8のうちベース側排水路72に臨む部分から鉛直上方に起立すると共に、ベース側排水路72をモータ軸方向の一方側V1から覆う起立壁88aを備えることで、ベース側排水路72への異物の侵入を防止することができるため、ベース側排水路72の詰まりを防止し、ベース側排水路72を通じてスムーズに排水することができる。
【0081】
又、上記実施形態では、ベアリングホルダ24のフランジ部24dには、水抜き孔24hを筒部24aの鉛直下方側に配置した状態で、出力軸20を中心とするブラケット8の取付角度を調整可能な取付部(貫通孔24i,24j,24k)が設けられることで、水抜き孔24hを増やすことなく、ベアリングホルダ24をブラケット8に取り付けることができる。
【0082】
又、上記実施形態では、電動モータ1を車両のラジエータ冷却用電動ファンの駆動源として用いた場合に、効果的な排水構造とすることができる。
【0083】
尚、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0084】
例えば、上記実施形態においては、排水構造を、ベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面から径方向外側に窪むと共にベアリングホルダ挿入ボス部81aの外部と連通する複数の凹部81i,81j,81kとしたが、これに限らず、例えばベアリングホルダ挿入ボス部81aの内周面の周方向に連なる一つの凹部としてもよい。
【0085】
又、上記実施形態においては、凹部81i,81j,81kの配置数を三つとしたが、これに限らない。尚、各貫通孔24i,24j,24kの配置数、ベアリングホルダ取付部89の配置数についても三つに限らない。
【0086】
又、上記実施形態においては、異物侵入防止部88が、ブラケット8のうちベース側排水路72に臨む部分から鉛直上方に起立すると共に、ベース側排水路72をモータ軸方向の一方側V1から覆う起立壁を備える構成としたが、これに限らず、例えば異物侵入防止部として、ブラケット8のうちベース側排水路72に臨む部分にブラケット8とは別体の壁部を設けてもよい。
【0087】
又、上記実施形態においては、三相バスバーのモータ側端部125と各給電端子25aとの接続を抵抗溶接により行ったが、これに限らず、例えばTIG溶接等のアーク溶接やレーザ溶接等により行ってもよい。
【0088】
又、ベース部材5、ブラケット8、本体カバー9、ターミナルカバー10、ブラシレスモータ2、バスバー100等の材質や形状等は、上記実施形態に限定されない。例えば、バスバー100をアルミニウムにより形成してもよい。又、ブラケット8を鉄(炭素鋼)等の金属材料によって形成してもよい。
【0089】
又、電動モータ1を車両のラジエータ冷却用電動ファンの駆動源として用いた場合について説明したが、上記実施形態においてはこれに限らない。
【0090】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。