【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0025】
[実施例1]
本実施例1では、
図4に示したような、センターラインCLを中心として左右対称となっており、略二等辺三角形の歯山20が箱本体部10の横幅全域に設置されている鋸刃Kを使用した。鋸刃Kは、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の曲率半径R1およびR2が0.25mm、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.21mmである。この鋸刃Kを具備したラップフィルム収納箱を用い、後述する評価基準で切断性能、端面強度(切断したフィルムの端部の裂けの強度)、復旧作業時縦裂けトラブル(トラブル発生後の縦裂けのしやすさ)を評価した。
【0026】
[参考例2、実施例3〜5、参考例6、実施例7]
参考例2、実施例3〜5、参考例6、実施例7では、
図4に示したような、センターラインCLを中心として左右対称となっており、略二等辺三角形の歯山20が箱本体部10の横幅全域に設置されている鋸刃Kを使用した。鋸刃Kは、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1およびR2が0.20mm以上0.30mm以下の範囲内である。また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.15mm以上0.26mm以下である。
本実施例7では、
図7に示したような、センターラインCLを中心として左右対称となっており、大きさの異なる略二等辺三角形の歯山20を箱本体部10の横幅全域に交互に配置した鋸刃Kを使用した。鋸刃Kは、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1およびR2が0.20mm以上0.30mm以下の範囲内である。また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.15mm以上0.26mm以下である。
【0027】
[比較例1〜13]
本比較例1〜13における鋸刃Kは、上記実施例と同様にセンターラインCLを中心として左右対称となっており、略二等辺三角形の歯山20が箱本体部10の横幅全域に設置されている。比較例1〜5では、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1およびR2が0.15mm以上0.35mm以下の範囲内であり、また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.00mm以上0.41mm以下であり、曲率半径R1と曲率半径R2が等しい。比較例6〜9では、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1およびR2が0.15mm以上0.60mm以下の範囲内であり、センターラインCL側の曲率半径R1がエンドラインEL側の曲率半径R2より小さい。また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.02mm以上0.24mm以下である。比較例10〜13では、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1およびR2が0.15mm以上0.60mm以下の範囲内であり、センターラインCL側の曲率半径R1がエンドラインEL側の曲率半径R2より大きい。また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.02mm以上0.24mm以下である。
【0028】
[比較例14]
本比較例14では、
図5に示したような鋸刃Kを使用し、当該鋸刃KはセンターラインCLを中心として左右対称となっており、鋸刃Kの歯先がセンターラインCL側を向いている。この比較例14では、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1が0.45mmおよびR2が0.25mmであり、また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.17mmである。また、歯山20の広がり角θは49.2度である。
【0029】
[比較例15、16]
本比較例では、
図6に示すような鋸刃Kを使用し、当該鋸刃KはセンターラインCLを中心として左右対称となっており、鋸刃Kの歯先がエンドラインEL側を向いている。比較例15では、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1が0.25mmおよびR2が0.45mmであり、また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.17mmである。比較例16では、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間のセンターラインCL側の円弧の曲率半径R1が0.25mm、エンドラインEL側の円弧の曲率半径R2が0.60mmであり、また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.09mmである。いずれの場合も、歯山20の歯先の広がり角θは49.2度である。
【0030】
[比較例17〜20]
本比較例17〜20では、
図7に示したような鋸刃Kを使用し、当該鋸刃KはセンターラインCLを中心として左右対称となっており、高さH1の高い歯山20と高さH2の低い歯山20の2種の歯を交互に備えている。また本比較例17〜20では、歯山20の傾斜部分22と平坦部21の間の円弧の曲率半径R1およびR2が0.15mm以上0.35mm以下の範囲内であり、また、歯山20間の平坦部21の長さL2が0.00mm以上0.32mm以下である。
【0031】
以上の実施例及び比較例では、歯山20の高さ、歯山20の歯先の広がり角、平坦部21と歯山20の傾斜部分22の円弧の曲率半径R1、R2、及び歯山20間の平坦部21の長さの異なる金属製の鋸刃Kを用意した。上記実施例及び比較例の各鋸刃Kの構成は、
図4〜7に示される形状であり、
図8の表1に示す通りである。上記実施例及び比較例の各鋸刃Kは、旭化成ホームプロダクツ株式会社により製造、販売されている「サランラップ」(登録商標)に使用されているラップフィルム収納箱(長さ約31cm、幅4.5cm、高さ4.5cmの紙製の箱)に接着された。そして、該ラップフィルム収納箱内に収容されたポリ塩化ビニリデンのラップフィルムを実際に切断した。
【0032】
[評価基準と結果]
本発明の実施例に用いた評価方法及び評価尺度は以下のとおりであり、各評価結果と合否(○:合格、×:不合格)は、
図9に示した。
【0033】
(1)切断性能
ラップフィルム収納箱AからラップフィルムFを1m/minの速さで引き出し、収納箱A(掩蓋片6の鋸刃K)とラップフィルムFの端との間でなす角度を50度にし、ラップフィルムFを鋸刃Kの一端から他端に向けて順次切断する『通常スイングカット』と、収納箱AとラップフィルムFとの平行関係を維持したまま、ラップフィルムFを鋸刃Kの一端から他端に向けて順次切断する『疑似スイングカット』を5回ずつ行い、カットエネルギーを測定した。カットのしやすさの観点から、カットエネルギーが25mJ以下を切断性能が良好とみなし、合格とした。各収納箱Aでのカットエネルギーの測定値を
図9に示した(小数点第2位以下は四捨五入)。
【0034】
各実施例1
、参考例2、実施例3〜5、参考例6、実施例7と比較例1〜3、5〜15は合格であるが、比較例4、16〜20はカットエネルギーが高いため切断性能が悪いとみなし不合格である。また、比較例17〜20のカットエネルギーが高いことより、異なる大小の2種の歯を交互に備えた場合、切断性能は悪化することがわかる。
【0035】
(2)端面強度(切断したフィルムの端部の裂けの強度)
ラップフィルム収納箱Aから約30cmの長さのラップフィルムFを引き出し、これを切断したのち、切断したラップフィルムFの端部の中央部の摘みしろ5mmを挟み、速度20deg/secで裂いたときの裂けの強度を20回ずつ測定した。縦裂けの起こりにくさの観点から、端面強度が15N以上を合格とした。各収納箱Aでの端面強度の測定値を表2に示した(小数点第2位以下は四捨五入)。
【0036】
各実施例1
、参考例2、実施例3〜5、参考例6、実施例7〜7と比較例4、5、7、8、12、14、15は合格であるが、比較例1〜3、6、9〜11、13、16〜20は端面強度が低く、切断したラップフィルムFの端部が縦裂けしやすいとみなし不合格である。特に、歯山20間の平坦部21の長さが0.10mm以下であるように短い場合は、歯先でラップフィルムFを切断後、各ラップフィルムFの破断が繋がる際にずれが生じ、平坦部21にラップフィルムFの亀裂が入りやすく、端面強度が低いことがわかる。
【0037】
(3)復旧作業時縦裂けトラブル(トラブル発生後の縦裂けのしやすさ)
ラップフィルムFを切断後、『巻回ラップフィルムに巻き戻ったラップフィルムが密着』した場合を想定し、収納箱Aから約30cmの長さのラップフィルムFを引き出し、これを切断したのちラップフィルムの切断端部を巻回ラップフィルムRに密着させ、セロテープ(登録商標)で端からラップフィルムFを剥がす復旧作業を20回ずつ行い、縦裂け発生回数を評価し、縦裂け発生率を算出した。縦裂けの起こりにくさの観点から、縦裂け発生率が30%以下を合格とした。各収納箱Aでの縦裂け発生率を
図9に示した。
【0038】
各実施例1
、参考例2、実施例3〜5、参考例6、実施例7〜7と比較例7は合格であるが、比較例1〜6、8〜20は縦裂け発生率が高く、ラップフィルムFを切断後、巻回ラップフィルムRに巻戻ったラップフィルムFが密着したトラブルが発生した場合の縦裂けが発生しやすいとみなし不合格である。特に、比較例9、13、16のように、平坦部21と傾斜部分22の円弧の曲率半径が0.60mmと大きい場合は、縦裂けが発生しやすいことがわかる。
【0039】
以上の結果より、本発明のラップフィルム収納箱Aは、従来(市販)品の持つ切断性能は保持した状態で、切断したラップフィルムFの端部の裂けの強度を従来(市販)品の1.5倍に上昇させる効果がある。また、ラップフィルムFの切断端部を巻回ラップフィルムRに密着させ、セロテープ(登録商標)で端からラップフィルムFを剥がす作業を行った場合、『縦、横、斜めの方向(意図しない方向)にラップフィルムが裂ける』縦裂け発生率を従来(市販)品の1/2以下に減少させる効果がある。