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特許6132916CTシステム及びCTシステムに用いられる検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132916
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】CTシステム及びCTシステムに用いられる検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20060101AFI20170515BHJP
   G01N 23/10 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   G01N23/04 320
   G01N23/10
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-532280(P2015-532280)
(86)(22)【出願日】2013年7月15日
(65)【公表番号】特表2015-532974(P2015-532974A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(86)【国際出願番号】CN2013079382
(87)【国際公開番号】WO2014048163
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】201210364118.3
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】張 麗
(72)【発明者】
【氏名】陳 志強
(72)【発明者】
【氏名】李 元景
(72)【発明者】
【氏名】李 明亮
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−534009(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02437051(EP,A1)
【文献】 特開2009−142518(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0056581(US,A1)
【文献】 特開2012−125573(JP,A)
【文献】 特開2012−073056(JP,A)
【文献】 特開2009−109499(JP,A)
【文献】 特開平07−043321(JP,A)
【文献】 特開2011−064640(JP,A)
【文献】 特開2007−309929(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0002834(US,A1)
【文献】 特開2009−082250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/04
G01N 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さの方向に厚さを有する低エネルギーの検知ユニットと、
複数列の高エネルギーの検知器を含み、前記低エネルギーの検知ユニットの下に設けられている高エネルギーの検知ユニットとを備え、
前記高エネルギーの検知器の間に、所定の間隔があり、
低エネルギーの検知ユニットは、前記厚さの方向から見ると前記複数列の高エネルギーの検知器と重なる第1の低エネルギーの検知器と、前記厚さの方向から見ると前記複数列の高エネルギーの検知器と重ならない第2の低エネルギーの検知器と、を備え
前記CTシステムは、搬送方向に沿って被検物を搬送し、搬送方向に沿って前記複数列の高エネルギーの検知器を配列している、ことを特徴とするCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項2】
前記低エネルギーの検知ユニットと、前記高エネルギーの検知ユニットとの間に設けられているフィルターを、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項3】
前記低エネルギーの検知ユニットは、平面アレイの低エネルギーの検知器を含むことを特徴とする請求項1に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項4】
前記平面アレイの低エネルギーの検知器は、円柱面に配置されていることを特徴とする請求項に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項5】
前記高エネルギーの検知器のそれぞれは、前記低エネルギーの検知ユニットに向かう面が、円柱面に位置することを特徴とする請求項1に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項6】
前記高エネルギーの検知器間の所定の間隔は、5mmから80mmまでの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項7】
前記高エネルギーの検知器間の所定の間隔は、30mmから50mmまでの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項8】
隣接する前記高エネルギーの検知器間に設けられている部材を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項9】
前記部材は、射線を吸収する材料からなることを特徴とする請求項に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項10】
前記部材は、アルミニウム、鉄、銅及び鉛から選択された少なくとも一つ、または、アルミニウム、鉄、銅及び鉛から選択された少なくとも一つを含有する合金からなることを特徴とする請求項に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項11】
前記高エネルギーの検知ユニットと、前記低エネルギーの検知ユニットの前記第1の低エネルギーの検知器とが、二重エネルギーのCT画像を取得するように、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のCTシステムに用いられる検知装置。
【請求項12】
搬送方向に沿って被検物を搬送するための搬送装置と、
スリップリングと、
スリップリングに接続されている射線ソースと、
射線ソースに対向し、スリップリングに接続されている検知装置と、を備え、
前記検知装置は、請求項1に記載の検知装置であることを特徴とするCTシステム。
【請求項13】
前記複数列の高エネルギーの検知器は、搬送方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項12に記載のCTシステム。
【請求項14】
前記スリップリングが360度/N(Nは、高エネルギーの検知器の列数である)回転する度に、搬送装置は、被検物を、隣接する二列の検知器の中心間の距離だけ移動させることを特徴とする請求項13に記載のCTシステム。
【請求項15】
前記スリップリングが360度/N(Nは、高エネルギーの検知器の列数である)回転する度に、搬送装置は、被検物を、隣接する二列の検知器の中心間の距離だけ移動させることにより、前記検知装置は、データを出力し、前記出力されたデータに基づいて被検物の画像を再構成することを特徴とする請求項13に記載のCTシステム。
【請求項16】
前記出力された前記データに基づいて、断層再構成法によって被検物の画像を再構成することを特徴とする請求項15に記載のCTシステム。
【請求項17】
前記高エネルギーの検知ユニットと、前記低エネルギーの検知ユニットの前記第1の低エネルギーの検知器とが、二重エネルギーのCT画像を取得するように、構成されていることを特徴とする請求項12に記載のCTシステム。
【請求項18】
前記低エネルギーの検知ユニットは、低エネルギーのCT画像を取得し、
高エネルギーの検知ユニットと、前記低エネルギーの検知ユニットの前記第1の低エネルギーの検知器とが、二重エネルギーのCT画像を取得し、
低エネルギーのCT画像と、二重エネルギーのCT画像とを合成して処理することによって、三次元の二重エネルギーのCT画像を取得することを特徴とする請求項12に記載のCTシステム。
【請求項19】
前記低エネルギーの検知ユニットは、平面アレイの低エネルギーの検知器を含むことを特徴とする請求項18に記載のCTシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CTシステム及びCTシステムに用いられる検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CTシステムの走査スピードの問題を解決するために、通常、平面アレイ(surface-array)の検知器を用いるが、このような検知器は、一回に複数列のデータを同時に収集することで走査のスピードを向上している。保安検査領域で危険物に対する識別の高精確度の要求に伴い,二重エネルギー(dual−energy)技術に対するニーズは差し迫っている。高速走査及び高解像度の三次元の二重エネルギー画像を図るには、通常、高エネルギーの検知器も、低エネルギーの検知器も平面アレイの配置を用いることができる。しかし、このようなシステムは、多くの検知器及びデータ収集手段を必要し、システムの製造コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、CTシステム及びそれに用いられる検知装置を提供することであり、これにより、危険物に対する識別性能を高く確保すると共に、コストを低減させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの形態によれば、本発明は、CTシステムに用いられる検知装置であって、低エネルギーの検知ユニットと、複数列の高エネルギーの検知器を含み、前記低エネルギーの検知ユニットの下に設けられている高エネルギーの検知ユニットとを備え、前記高エネルギーの検知器の間に、所定の間隔がある。
【0005】
本発明の一つの形態によれば、前記検知装置は、低エネルギーの検知ユニットと、前記高エネルギーの検知ユニットとの間に設けられているフィルターを、さらに備える。
【0006】
本発明の一つの形態によれば、前記CTシステムは、搬送方向に沿って被検物を搬送し、大体、搬送方向に沿って前記複数列の高エネルギーの検知器を配列している。
【0007】
本発明の一つの形態によれば、前記低エネルギーの検知ユニットは、平面アレイの低エネルギーの検知器を含む。
【0008】
本発明の一つの形態によれば、前記平面アレイの低エネルギーの検知器は、大体、円柱面上に配置されている。
【0009】
本発明の一つの形態によれば、前記高エネルギーの検知器のそれぞれは、前記低エネルギーの検知ユニットに向かう面が、大体、円柱面に位置する。
【0010】
本発明の一つの形態によれば、前記高エネルギーの検知器間の所定の間隔は、5mmから80mmまでの範囲にある。
【0011】
本発明の一つの形態によれば、前記高エネルギーの検知器間の所定の間隔は、30mmから50mmまでの範囲にある。
【0012】
本発明の一つの形態によれば、前記検知装置は、隣接する前記高エネルギーの検知器間に設けられている部材を、さらに備える。
【0013】
本発明の一つの形態によれば、前記部材は、射線を吸収する材料からなる。
【0014】
本発明の一つの形態によれば、前記部材は、アルミニウム、鉄、銅及び鉛から選択された少なくとも一つ、または、アルミニウム、鉄、銅及び鉛から選択された少なくとも一つを含有する合金からなる。
【0015】
本発明の一つの形態によれば、前記高エネルギーの検知ユニットと、前記高エネルギーの検知ユニットにおける高エネルギーの検知器に重なる低エネルギーの検知ユニットの低エネルギーの検知器の部分とが、二重エネルギーのCT画像を取得するように、構成されている。
【0016】
本発明の一つの形態によれば、本発明は、CTシステムであって、搬送方向に沿って被検物を搬送するための搬送装置と、スリップリングと、スリップリングに接続されている射線ソースと、射線ソースに対向し、スリップリングに接続されている検知装置と、を備え、前記検知装置は、低エネルギーの検知ユニットと、複数列の高エネルギーの検知器を含み、前記低エネルギーの検知ユニットの下に設けられている高エネルギーの検知ユニットとを備え、前記高エネルギーの検知器の間に、所定の間隔がある。
【0017】
本発明の一つの形態によれば、前記複数列の高エネルギーの検知器は、大体、搬送方向に沿って配列されている。
【0018】
本発明の一つの形態によれば、前記スリップリングが360度/N(Nは、高エネルギーの検知器の列数である)回転する度に、搬送装置は、被検物を、隣接する二列の検知器の中心間の距離だけ移動させる。
【0019】
本発明の一つの形態によれば、前記スリップリングが360度/N(Nは、高エネルギーの検知器の列数である)回転する度に、前記搬送装置が、被検物を、隣接する二列の検知器の中心間の距離だけ移動させることにより、検知装置は、データを出力し、前記出力されたデータに基づいて被検物の画像を再構成する。
【0020】
好ましくは、前記出力されたデータに基づいて、断層再構成法によって被検物の画像を再構成する。
【0021】
本発明の一つの形態によれば、前記高エネルギーの検知ユニットと、前記高エネルギーの検知ユニットにおける高エネルギーの検知器に重なる低エネルギーの検知ユニットにおける低エネルギーの検知器の部分とが、二重エネルギーのCT画像を取得するように、構成されている。
【0022】
本発明の一つの形態によれば、前記低エネルギーの検知ユニットは、低エネルギーのCT画像を取得し、高エネルギーの検知ユニットと、前記高エネルギーの検知ユニットにおける高エネルギーの検知器に重なる低エネルギーの検知ユニットにおける低エネルギーの検知器の部分とが、二重エネルギーのCT画像を取得し、低エネルギーのCT画像と、二重エネルギーのCT画像とを合成して処理することによって、三次元の二重エネルギーのCT画像を取得する。
【0023】
本発明の一つの形態によれば、前記低エネルギーの検知ユニットは、平面アレイの低エネルギーの検知器を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、低エネルギーの検知器の平面アレイ配置形態、高エネルギーの検知器のまばらな配置形態を提供する。このような配置によって、検知器及びデータの収集手段の数量を大幅に減少させ、解像度の高い三次元のCT画像を取得しながら、危険物に対して精度よく警報を発することができる。システムの高性能を確保すると共に、システムの製造のコストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例による荷物保安検査のためのCTシステムの模式図
図2】本発明の実施例によるCTシステムに用いられる検知装置の模式図
図3】本発明の実施例による荷物保安検査のためのCTシステムの模式図
図4】本発明の実施例によるCTシステムに用いられる検知装置の模式断面図
図5】本発明の実施例によるCTシステムに用いられる検知装置の模式断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本発明を更に説明する。
【0027】
図1及び図3に示すように、本発明の実施例のCTシステム10は、搬送方向Vに沿って被検物を搬送するための搬送装置17と、搬送方向Vにほぼ平行である回転軸線の回りを回転可能なスリップリング12と、スリップリング12に接続される射線ソース11と、射線ソース11に対向し且つスリップリング12に接続され、射線ソース11とともにスリップリング12に従って回転可能な検知装置16と、CTシステム10の操作を制御するための制御装置18と、検知装置16によって検知されたデータを処理するためのデータ処理装置15と、被検物に疑いのあるものが存在する場合、警報を発する警報装置19と、を備える。
【0028】
射線ソース11から、X線を射出することができる。射線ソース11は、X線機器、加速器または放射性同位元素などであってもよい。データ処理装置15は、コンピューター等であってもよい。データ処理装置15は、制御装置18に含まれてもよい。
【0029】
図2及び図4に示すように、検知装置16は、低エネルギーの検知ユニット1と、前記低エネルギーの検知ユニット1の下に設けられている高エネルギーの検知ユニット3と、を含む。
【0030】
図2及び図4に示すように、低エネルギーの検知ユニット1は、平面アレイの低エネルギーの検知器を含む。平面アレイの低エネルギーの検知器は、大体円柱面に配置されている。前記円柱面の中心軸線は、大体、射線ソース11の焦点を通じる。または、前記円柱面の中心軸線は、大体、スリップリング12の回転軸線に平行する。平面アレイにおける各低エネルギーの検知器の中心は、射線ソース11の焦点を円心とする円弧上に分布してもよい。
【0031】
図2及び図4に示すように、高エネルギーの検知ユニット3は、複数列の高エネルギーの検知器31を含み、高エネルギーの検知器31の間は、所定の間隔を有している。複数列の高エネルギーの検知器31は、大体、搬送方向Vに配列されている。高エネルギーの検知器31のそれぞれは、前記低エネルギーの検知ユニット1に向かう表面が、大体、円柱面に位置する。前記円柱面の中心軸線は、大体、射線ソース11の焦点を通じる。または、前記円柱面の中心軸線は、スリップリング12の回転軸線に平行する。また、複数列の高エネルギーの検知器は、本領域における公知の適切なレイアウトを使用すればよい。前記高エネルギーの検知ユニットと、前記高エネルギーの検知ユニットの高エネルギーの検知器に重なる低エネルギーの検知ユニットの低エネルギーの検知器の部分とが、二重エネルギーのCT画像を取得するように、構成される。前記低エネルギーの検知ユニットは、低エネルギーのCT画像を取得し、当該低エネルギーのCT画像と二重エネルギーのCT画像を合成することで、三次元の二重エネルギーのCT画像を取得する。
【0032】
図2及び図4に示すように、低エネルギーの検知ユニット1と、高エネルギーの検知ユニット3との間に、フィルター2を設けても良い。フィルターの厚さは、射線ソース11から射出されるX線のエネルギーによって決定すればよい。フィルター2は、射線エネルギーの一部を吸収することで、高エネルギーの検知器及び低エネルギーの検知器によって検知されるエネルギーの差をより大きくすることができる。フィルター2は、銅、銀または金の材料で形成されてもよく、銅、銀または金の合金材料などで形成されてもよい。
【0033】
低エネルギーの検知器及び高エネルギーの検知器は、同一のシンチレータ材料からなってもよく、異なるシンチレータ材料からなってもよい。シンチレータ材料は、CsI(Tl)、CdWO、GOS、ZnSeおよびYAGから選択すればよい。
【0034】
図5に示すように、本発明の一実施形態によれば、検知装置16は、隣接する前記高エネルギーの検知器31間に設けられる部材4をさらに含む。前記部材4は、射線を吸収する材料からなる。例えば、前記部材4は、アルミニウム、鉄、銅及び鉛から選択された少なくとも一つの材料で形成されてもよく、アルミニウム、鉄、銅及び鉛から選択された少なくとも一つの材料を含有する合金で形成されてもよい。部材4は、分散信号を抑制し、放射をシールドすることができる。
【0035】
図1及び図3に示すように、搬送装置17は、搬送ベルト7を含んでもよい。当該搬送ベルト7は、水平に放置され、スリップリング12の回転面は、搬送ベルト7の水平面または搬送方向Vに大体、垂直してもよい。
【0036】
スリップリング12の回転面に、高エネルギーの検知器及び低エネルギーの検知器は、円弧状に配置され、複数の板状検知器が組み合わせて当該円弧状を構成してもよい。回転面内での高エネルギーの検知器及び低エネルギーの検知器の分布は、走査通路のニーズ及びCTシステムのニーズを満たす形態であればよい。
【0037】
例えば、低エネルギーの検知ユニット1は、複数列の高エネルギーの検知器よりも密集に配置された複数列の低エネルギーの検知器を含んでも良い。当該複数列の低エネルギーの検知器の配列方向は、複数列の高エネルギーの検知器の配列方向と一致し、各列の高エネルギーの検知器には、それらに重なる低エネルギーの検知器が対応している。
【0038】
保安検査途中で、荷物は、搬送ベルト7に置かれて水平に移動し、スリップリング12の回転によって、射線ソース11及び検知装置16も回転することになる。スリップリング12の回転軸線は、水平面に平行してもよい。荷物に対する走査は、螺旋コーン状の走査である。制御装置18は、搬送ベルト7とスリップリング12の動作を制御し、射線ソース11のビームの射出及び検知装置16のデータの収集を制御する。データ処理装置15は、検知装置16によって検知されたデータを取得し、データの処理、ユーザの交互操作、及び、警報装置19bへの通知を行う。警報装置19は、警報信号を通知するためのものである。
【0039】
平面アレイの低エネルギーの検知器のデータを再構成することで、高解像度の画像を取得することができる。複数列の高エネルギーの検知器と、複数列の高エネルギーの検知器に重なるように形成された低エネルギーの検知器とが、共に二重エネルギーの投影データを取得し、当該取得された二重エネルギーの投影データによってCT画像を取得する。当該CT画像は、スライスの厚さが厚い二重エネルギーのCT画像であってもよい。アルゴリズム計算によって、被検物の高・低エネルギーの減衰係数画像と、有効原子番号Zの値と、密度Dの値との情報を正確に取得することができる。爆発物及び麻薬がZ−Dグラフでの分布に応じて、該当する携帯禁止の物品を正確に判別することができる。高解像度の低エネルギーのCT画像と、スライスの厚さが厚い二重エネルギーのCT画像とを合成処理することで、CTシステムは、高解像度の三次元の二重エネルギーのCT画像を取得する。高解像度の画像によって、麻薬、爆発物など携帯禁止の物品の位置を提供し、さらに、携帯禁止の物品の形状、サイズ及び質量を解析することができる。当該CTシステムによれば、高解像度の画像を得ることができ、コストを抑制し、材料も識別できる効果を持たせることができる。
【0040】
低エネルギーの検知器によって取得された投影データは、いろいろな再構成方法を使用可能し、例えば、FDKアルゴリズムのような方法によって処理することができる。二重エネルギーの検知装置によって取得された投影データは、各種の公知アルゴリズムによって再構成されることができる。例えば、反復法、FDK法または断層再構成によって処理することができる。そして、ベース材料の分解や、ダブル効果分解方法によって物質を識別することができる。
【0041】
本発明によるCTシステムは、主に以下の機能を含む。
1.ボックスやカバン等に対して、CTの螺旋コーン状の走査を行うことができる。
2.高解像度の低エネルギーのCTスライス画像及び三次元の画像を取得することができる。
3.スライスの厚さが厚い二重エネルギーのCTスライス画像を取得することができる。
4.画像合成方法によって、解像度の高い二重エネルギーのCT画像を取得することができる。
5.三次元の二重エネルギーのCT画像に基づいて、刃具、銃などを表示して識別することができる。
6.二重エネルギーのCT画像データに基づいて、ボックスやカバンの原子番号や、密度や、高・低エネルギーの減衰系数の画像データを取得することで、被検物に、麻薬や、爆発物や、他の携帯禁止の物品が隠れているか否かを識別することができる。
7.麻薬や、爆発物や、他の携帯禁止の物品の位置、サイズ、類別、及び、重量を推定することができる。
【0042】
以下、本発明によるCTシステムの高エネルギーの検知器31の具体的な操作を記述することにする。
【0043】
隣接する2列の高エネルギーの検知器31の中心間の距離をt、合計でN列(ただし、Nは、1より大きい整数)、スリップリングの回転速度をr、搬送ベルトの速度をsとすると、以下の式を満たすような走査を図ることができる。
【0044】
【数1】
【0045】
各列の高エネルギーの検知器31は、スリップリング12が360度を回転する度に、その検査領域においては、当該領域の360度/Nの扇形部分を検知する。同時に、搬送装置17は、スリップリングが360度/N回転する度に、物体を、隣接する二列の検知器の中心間の距離tだけ移動させる。これにより、前記N列の高エネルギーの検知器31において、搬送装置17の移動方向Vの上流側の1列目の検知器から最終列の検知器までは、順次に対応する360度/N分を検知する。これにより、前記検知装置は、データを出力して、出力された前記データに基づいて、例えば断層再構成法を用いて被検物の画像を再構成する。
【0046】
1列目の高エネルギーの検知器31の最初の位置をTとすると、2列目の位置はT−t、3列目の位置はT−2t、……、である。
【0047】
上記の式から簡単に得られるように、スリップリング12(即ち検知器31)が、1/N回を回転すると、高エネルギーの検知器31は、移動している被検物に対して、スリップリング12の軸方向に沿って距離tで走行することになる。このとき、検知器の位置は、1列目がT+t、2列目がT、3列目がT−t、……、になる。ここで、n+1列目の高エネルギーの検知器は、回転前のn列目の検知器と同一軸方向の位置に置かれ、2π/Nの角度の差がある。これによれば、スリップリングが一回り回転した場合、N列の高エネルギーの検知器は、ちょうどTからT+tまでの2π角度の範囲内に配置されることになる。
【0048】
高・低エネルギーの検知器によって取得された二重エネルギーの投影データは、理論的には、各方法によって再構成されることができる。上述のように、スリップリングが一回り回転すると、N列の高エネルギーの検知器は、ちょうどTからT+tまでの2πの角度の範囲内に配置されることになる。そのため、断層再構成法を用いて再構成することが好ましい。当該方法は、簡単で速いからである。
【0049】
図4に示すように、tは、搬送ベルト17の搬送方向Vに沿う隣接する二列の高エネルギーの検知器の中心間の距離を示し、dは、搬送ベルト17の搬送方向Vに沿う検知器31の幅を示す。上記した所定の間隔は、tとdの差である。高エネルギーの検知器31間の間隔は、5mm〜80mmでよいし、10mm〜70mmが好ましく、20mm〜60mmがより好ましく、30mm〜50mmがより好ましく、35mm〜45mmがより好ましく、36mm〜40mmがより好ましく、38mmが一番好ましい。
【0050】
本発明による検知装置において、隣接する二列の検知器の中心間の距離tは、t>>dという関係を満たすことで、結晶体の面積を有効に低減させ、コストを低下させることができる。シングル列の検知器に比べると、検知のスピードを何倍も向上させることができる。
【0051】
本発明によるCTシステムは、低エネルギーのCT画像、高・低エネルギーの減衰系数画像、密度の画像、原子番号の画像を合成することで、ユーザに必要な画像を提供することができる。高解像度の低エネルギーのCT画像と、スライスの厚さの厚い二重エネルギーのCT画像を合成処理することによって、システムは、解像度の高い三次元の二重エネルギーのCT画像を得ることができる。二重エネルギーのCT画像によって、危険物を自動に識別し、高精度の危険物識別結果を得ることができる。また、補間法により、解像度の高い密度の画像及び原子番号の画像を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5