特許第6132918号(P6132918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132918
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】一体成形された磁気流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/58 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   G01F1/58 C
【請求項の数】25
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-533099(P2015-533099)
(86)(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公表番号】特表2015-529341(P2015-529341A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】US2013058911
(87)【国際公開番号】WO2014051987
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】13/627,446
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,スティーブン,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ジョセフ,アラン
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−104269(JP,A)
【文献】 特表2008−530529(JP,A)
【文献】 特開平03−175320(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/021476(WO,A1)
【文献】 実開昭59−047821(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体の流量を測定するための磁気流量計であって、
前記プロセス流体に磁界を印加するように配置された磁気コイルと、
前記プロセス流体と電子的に接続され、前記印加される磁界および前記プロセス流体の流量に関係して前記プロセス流体に誘起される電圧を検知するように配置された1対の電極と、
中央開口を有する取り外し可能な型を使用して非導電材料の充填によって形成された成形流管であって、該成形流管を通過する前記プロセス流体の流れを受け入れるように配置されており、前記磁気コイルおよび前記1対の電極の周囲に成形されており、充填された前記非導電材料によって前記型の空間内に配置された前記磁気コイルおよび前記1対の電極を支持するように構成された成形流管と、
前記磁気コイルに電流を印加し、前記1対の電極によって検知される前記電圧を受信するように構成された流量計回路と
を備えた磁気流量計。
【請求項2】
前記成形流管の周囲に延在する補強構造を含む請求項1の磁気流量計。
【請求項3】
前記補強構造がリングから成る請求項2の磁気流量計。
【請求項4】
前記補強構造が金属から成る請求項2の磁気流量計。
【請求項5】
前記金属が炭素鋼から成る請求項4の磁気流量計。
【請求項6】
前記金属がステンレス鋼から成る請求項4の磁気流量計。
【請求項7】
前記磁気コイルが、前記成形流管内に収まり、前記プロセス流体に隣接して配置された2つの磁気コイルから成る請求項1の磁気流量計。
【請求項8】
前記成形流管がポリマーから成る請求項1の磁気流量計。
【請求項9】
前記1対の電極が導電性ポリマー電極から成る請求項1の磁気流量計。
【請求項10】
前記成形流管が、隣接した管の端部に配置された2つのフランジ間に嵌め込まれるように構成された「ウェハー」型に配置された請求項1の磁気流量計。
【請求項11】
前記流量計回路が、さらに、前記成形流管の近くの磁気材料を検知するように構成された請求項1の磁気流量計。
【請求項12】
前記流量計回路が、磁気インダクタンスに基づいて磁気材料を検知する請求項11の磁気流量計。
【請求項13】
前記流量計回路が、検知されたヒステリシスに基づいて磁気材料を検知する請求項11の磁気流量計。
【請求項14】
前記流量計回路が、前記磁気材料に基づいて較正値を選択する請求項11の磁気流量計。
【請求項15】
前記流量計回路が、検知されたヒステリシスに基づいて較正値を選択する請求項13の磁気流量計。
【請求項16】
前記ヒステリシスが、高周波信号で測定される請求項13の磁気流量計。
【請求項17】
前記高周波信号がスタートアップ期間に適用される請求項16の磁気流量計。
【請求項18】
工業プロセスにおいてプロセス流体の流量を測定するための磁気流量計を製造する方法であって、
プロセス流体に磁界を印加するように構成された磁気コイルを、中央開口を有する取り外し可能な型の空間内に配置すること、
前記印加される磁界および前記プロセス流体の流量に関係して前記プロセス流体に誘起される電圧を検知するように構成された1対の電極を前記型の空間内に配置すること、
前記型の空間内に非導電性液体を注ぎ、前記液体を固化させ、前記型を取り外すことにより、成形流管を形成し、前記非導電材料によって前記磁気コイルおよび前記1対の電極を支持すること、
前記1対の電極によって検知される前記電圧に基づいて前記プロセス流体の流量を測定するために前記磁気コイルおよび前記1対の電極と流量計回路とを接続すること
を含む方法。
【請求項19】
前記成形流管の周囲に延在する補強構造を与えることを含む請求項18の方法。
【請求項20】
前記磁気コイルが前記プロセス流体に隣接して配置された2つの磁気コイルの内の1つである請求項18の方法。
【請求項21】
前記非導電性液体がポリマーから成る請求項18の方法。
【請求項22】
前記1対の電極が導電性ポリマー電極から成る請求項18の方法。
【請求項23】
前記成形流管が、隣接した管の端部に配置された2つのフランジ間に嵌め込まれるように構成された「ウェハー」型に配置される請求項18の方法。
【請求項24】
前記流量計回路で、前記成形流管の近くの磁気材料を検知することを含む請求項18の方法。
【請求項25】
前記磁気材料に基づいて流量較正値を選択することを含む請求項24の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業プロセスプラントにおけるプロセス流体の流量を検知および測定するために使用されるタイプの流量計に関する。より具体的には、本発明は、磁気流量計を用いた流量の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気流量計は、一般に、電気的に絶縁された流管を通過する導電性プロセス流体の流量を測定するために使用される。ファラデーの電磁誘導の法則によれば、導電性プロセス流体が、磁界中を垂直方向に移動するとき、プロセス流体の速度および印加される磁界の強度に比例する電圧が、流体に誘起される。磁界は、近接して離間配置された多数のループに形成された1本の電線で作製されたコイルに電流を印加することによって生成できる。このとき、1対の電極が、プロセス流体の移動によって誘起される電圧を測定するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの流量計は、高圧力への適合に必要とされる強度を実現するために、(金属のような)硬質の流管を必要とする。多くの場合、電極および磁気コイルを配置し、配列することには、困難性があり、製造中に多くの時間を費やす。金属流管のような、追加の金属部品は、磁気コイルとプロセス流体との間の磁気渦電流損失をもたらす。さらに、コイルおよび電極の位置合わせおよび配置は、溶接を含む様々な接合ステップを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
プロセス流体の流量を測定するための磁気流量計は、プロセス流体に磁界を印加するように配置された磁気コイルを備える。1対の電極が、プロセス流体に電子的に接続され、印加される磁界およびプロセス流体の流量に関係してプロセス流体に誘起される電圧を検知するように配置される。取り外し可能な型を使用して非導電材料の充填によって形成された成形流管が、プロセス流体の流れを受け入れるように配置される。成形流管は、磁気コイルおよび1対の電極の周囲に成形され、充填された非導電材料が磁気コイルおよび1対の電極を支持するように構成される。流量計回路は、磁気コイルに電流を印加し、1対の電極によって検知される電圧を受信するように構成される。
【発明の効果】
【0005】
この構成によれば、圧力封じ込めのためのステンレス鋼の導管の部分的または完全な除去、コイルの外側の溶接ハウジングまたは他の機械加工のハウジングの除去可能性、コイルとプロセス流体との間の磁気渦電流の損失の低減、および電極、コイル、および関連する電線を型内に簡単に組み立てて、ポリマーを型に注入または流し込む製造プロセスの全体的な単純化、を含む様々な利点が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】磁気流量計を含むプロセス制御システムを示す図である。
図2図1の磁気流量計の部分切欠断面斜視図である。
図3図1の磁気流量計の部分切欠断面正面図である。
図4A図1の磁気流量計の流管を製造するために用いられる型の分解斜視図である。
図4B図1の磁気流量計の流管を製造するために用いられる型の斜視図である。
図5図1の磁気流量計の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、工業プロセスにおける導電性プロセス流体の流量を測定するために用いられる磁気流量計を提供する。ある態様では、本発明は、流量計のコイルおよび電極を、要求されるように配置することを可能にし、成形流管の構成により圧力封じ込めを実現する。特定の実施形態では、これは、流管が2つのプロセス導管の互いに対向する端部で2つのフランジ間に固定される「ウェハー」型流管として知られている構成で実現される。
【0008】
ある例では、コイル、電極、およびこれらに関連する配線はすべて、「ドーナツ」形状に配置される、固体ポリマーの成形管または「リング」に成形または鋳造され、配管路の2つのプロセスフランジの間に取り付けられる。特定のポリマーは、プロセス流体の圧力、オリフィスのサイズ、成形の容易さなどに基づいて、要求されるように選択できる。幾つかの構成では、追加的な材料を使用して、構造補強を実現できる。例えば、金属または他の材料の「補助リング」を、ポリマー管の外側円周の周囲に延在させてもよい。これにより、圧力封じ込めを補助し、ポリマー管に、さらなる安定性を与えることができる。使用できる金属は、例えば、ステンレス鋼または炭素鋼を含む。炭素鋼は、他の材料と同じように、磁界のための磁気帰還路を与えるという利点を有する。ポリマーリング自体は、例えば、ポリウレタン、PFA、非導電性ポリフェニレンサルファイドから成り、場合により導電性ポリフェニレンサルファイド電極を含んでもよい。ポリフェニレンサルファイドは、商業的には、ライトン( Ryton) (登録商標)およびテクトロン( Techtron) (登録商標)という商標名で知られている。一般に、導電性ポリマーの電極を含む電極と非導電性ポリマーの、どのような組み合わせでも、本発明を実施するために使用できる。
【0009】
これらの構成は、圧力封じ込めのためのステンレス鋼の導管の部分的または完全な除去、コイルの外側の溶接ハウジングまたは他の機械加工のハウジングの除去可能性、コイルとプロセス流体との間の磁気渦電流の損失の低減、および電極、コイル、および関連する電線を型内に簡単に組み立てて、ポリマーを型に注入または流し込む製造プロセスの全体的な単純化、を含む様々な利点を提供する。
【0010】
ある実施形態では、磁気流量計は、プロセス流体の流れを受け入れるように配置される流管を含む。さらに、流量計は、流管に隣接して配置される複数のコイルを含むことが好ましい。コントローラは、複数のコイルを使用してプロセス流体に磁界を印加するように構成される。第1の電極および第2の電極は、印加される磁界およびプロセス流体の流量に関係するプロセス流体の電位を検知するように配置される。センサは、第1の電極と第2の電極との間の電圧を検知するように構成される。コントローラは、センサによって第1の電極と第2の電極との間に検知される電圧に基づいてプロセス流体の流量を計算するように構成される。
【0011】
図1には、磁気流量計102のための典型的な環境が、100で図示されている。より具体的には、図1では、磁気流量計102がプロセス配管104に連結され、さらに、プロセス配管104が制御弁112に連結されている。図1に示されているように、流量計102の流管108は、「ウェハー」型流管であり、この場合、これは、プロセス導管104のフランジ120および対向するフランジ130の間に固定され、それ自体は、フランジを備えない。フランジ120および130はそれぞれ、ボルト孔122および132を備える。ボルト140は、孔122および132を通して受け入れられるように配置され、これによって、フランジ120と130の間に流管108が固定される。また、流管は、ボルトを受け入れるスリーブ141を備えてもよく、そこにボルトを通すことによって、フランジ120および130の間の中央に流管108を位置させることができる。
【0012】
磁気流量計では、監視されるプロセス変数は、流管108を通って流れるプロセス流体の速度に関係する。磁気流量計102は、通信バス106を介してコントローラまたはインジケータに長距離伝送する出力を提供するように構成できる。典型的な処理プラントでは、通信バス106は、システムコントローラ/モニタ110のようなコントローラまたは他の装置に対する4〜20mA電流ループ、フィールドバス接続、パルス出力/周波数出力、HART(登録商標)プロトコル通信、無線通信接続( IEC62591規格に準拠した無線HART(登録商標)通信プロトコルなど)、イーサネット(登録商標)、もしくは光ファイバー接続、または他の通信チャネルである。システムコントローラ110は、人間オペレータに流量情報を表示するプロセス監視装置として、または制御弁112を使用するプロセスを、通信バス106を介して制御するプロセスコントローラとしてプログラムされる。
【0013】
図2は、磁気流量計102の部分切欠斜視図であり、図3は、磁気流量計102の部分切欠正面図である。図2および図3に示されているように、磁気流量計102は、電子装置ハウジング240と連結された流管108を含む。流管108は、磁気コイル222Aおよび222Bを内部に保持しているリングまたは管200によって形成されている。コイル222Aおよび222Bは、管200の内部に磁界を発生させるように配置されており、これにより、磁界が、プロセス流体に加えられる。電極224Aおよび224Bは、管200内に配置されている。電極224Aおよび224Bの端部は、少なくとも管200の縁まで延在しており、これにより、電極224Aおよび224Bは、プロセス流体と電気的に接触する。図2は、また、ボルト孔122を含むフランジ120に隣接して配置された磁気流管108を示している。図1に関連して述べたように、フランジ120およびフランジ130は、配管104の部分間に磁気流管108を固定するために使用される。図2および図3では、鞍形状または「C字」形状を有するコイル222Aおよび222Bが図示されている。しかしながら、本発明は、この構成に限定されない。さらに、本発明は、2つのコイルおよび2つの電極を有する構成に限定されず、要求されるように任意数のコイルおよび電極を用いることができる。さらに、上述したように、さらなる強度を実現するために、オプションの外側支持リング202を使用してもよい。ある例では、この支持リング202は、金属から成る。しかしながら、支持リング202は、他の材料から形成されてもよく、また、リング200の周囲に部分的または全体的に延在してもよい。
【0014】
図4Aおよび図4Bは、管200を形成するために型204が使用される成形プロセスを示している。型204は、型204およびリング202内に形成される空間に液状ポリマーを流し込むことを可能にするように配置される。この空間にポリマーを充填する前に、コイル222A、222B、電極224A、224B、およびそれらに関連する配線が、型204の空間208内に、要求されるように配置される。成形により、導電性ポリマーの成形電極を形成することもできる。成形材料が固化すると、最終的な管200が形成され、型204が、成形品から取り外され、要求されるように仕上げが行われる。成形プロセスの後に、追加的な処理(例えば、リング200の追加的機械加工または研磨)が要求される場合もある。図4Aおよび図4Bにおいて、要素240は、送信器に電気的に接続するために使用される接続ハウジングを示している。
【0015】
図5のブロック図は、流管108を通る導電性プロセス流体184の流量を測定するための磁気流量計102の一実施形態を示している。コイル222A、222Bは、コイルドライバ230から与えられる駆動電流に応じて流体の流れに外部磁界を印加するように構成されている。コイル222には、交流(AC)または直流(DC)のいずれか一方によって電力を供給される。電極(EMFセンサ)224A、224Bは、流体の流れに電気的に結合され、印加される磁界および流体速度に起因して流体の流れに発生するEMFに関係するEMF信号出力234を増幅器232に与える。アナログ/デジタル変換器242は、デジタル化されたEMF信号をコントローラシステム248(マイクロプロセッサなどでよい)に与える。流量計電子装置240のマイクロプロセッサシステム248内に信号プロセッサ250が実装されており、流量計電子装置240は、EMF出力234と結合されて、流体速度に関係する出力252を提供する。メモリ278は、プログラム命令または他の情報を記憶するために使用される。
【0016】
マイクロプロセッサシステム248は、ファラデーの法則で述べられているように、EMF出力234と流速との関係に従って、以下のように、流管108を通る速度を計算する。
V = E / (kBD) 式1
ここでは、Eは、EMF出力234であり、Vは、流体の速度であり、Dは、流管108の直径であり、Bは、流体における磁界の強度であり、kは、比例定数である。マイクロプロセッサシステム248は、周知の手法に従って、プロセス流体の流量を計算する。マイクロプロセッサシステム248に接続されたデジタル/アナログ変換器258は、通信バス106に結合するためのアナログトランスミッタ出力260を生成する。デジタル通信回路262は、デジタルトランスミッタ出力264を生成する。
【0017】
ある構成では、本発明の磁気流量計は、フランジ120および130(図1参照)(これらの間に磁気流量計が固定される)の特性に適合するように構成される。本発明の流管108内に磁界が完全に収まらないとき、隣接するフランジは、フランジの透磁率に基づいて磁界を変化させる。これは、流量計の較正に影響する。例えば、フランジが炭素鋼である場合、流量計は、フランジがステンレス鋼である場合とは異なる仕方で較正される必要がある。
【0018】
ある態様では、マイクロプロセッサ248は、隣接するフランジが炭素鋼製とステンレス鋼製のいずれであるかを検出するように構成される。より具体的には、コイル222Aおよび222Bによって作製された磁気回路のインダクタンスを変える。このインダクタンスは、炭素鋼のフランジが使用される場合、ステンレス鋼のフランジが使用される場合よりも大きくされる。インダクタンスの増加は、電流の極性が反転するときのコイル電流の変化率を監視することによって検出される。より高いインダクタンス値は、より緩やかな変化率と相関する。磁気回路のインダクタンスを製造時に測定し、異なる較正値をマイクロプロセッサ248のメモリに記憶することができる。流管が動作を開始するときのスタートアップ時に、マイクロプロセッサ248に実装されたソフトウェアを使用して、磁気回路のインダクタンスを測定し、適切な較正値を選択するようにしてもよい。この調整は、スタートアップ時に自動で行ことができるし、定期的検査またはデータバス106を介して受信されるコマンドに基づく検査のような、他の手法に基づいて行うこともできる。
【0019】
フランジの組成を検出するための代替的な方法では、磁気回路のヒステリシスが、磁界の反転時に測定される。ヒステリシスは、フランジがステンレス鋼で作製されて場合よりむしろ炭素鋼で作製されている場合に変化する。マイクロプロセッサ248は、異なるヒステリシス信号を解析し、適切な補償値を選択することができる。ある例では、コイル222Aおよび222Bは、ヒステリシスの検出をより容易にするために特別な信号により駆動される。例えば、装置のスタートアップ時に、より高い周波数の信号を加えれば、ヒステリシスの変化をより容易に検出できる。
【0020】
本発明は、好ましい実施形態について説明されたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細の変更が行われてもよいことを認識するであろう。より具体的には、本発明の実施形態は、2つのコイルおよび2つの電極を含むものとして説明されたが、本発明で使用され得るコイルおよび電極の数は、これらに限定されない。流量計のコイルは、要求されるように構成することができる。コイルは、円錐形シート( conical seat)、反転円錐形シート( inverted conical seat)、ラビリンス( labyrinth)の構成などであってもよい。以上では、適切な較正値を選択するための2つの手法について説明したが、手動選択を含む他の手法を用いることができる。他の例では、較正値は、隣接するフランジの磁気特性に基づいて計算される。例えば、流量計のための較正値は、多項特性式( polynomial characterization equation)のような式に基づいて検出される磁気特性に関するものであってもよい。同様に、補償は、金属リングが成形流管を補強するためたに使用される場合に調整されてもよい。本明細書で使用されているように、ウェハー型の流量計は、その端部にフランジを有さない流管を有する流量計を意味する。
【符号の説明】
【0021】
102・・・磁気流量計、104・・・プロセス配管、106・・・通信バス、108・・・成形流管、110・・・システムコントローラ/モニタ、112・・・制御弁、120,130・・・フランジ、122,132・・・ボルト孔、140・・・ボルト、141・・・スリーブ、200・・・リングまたは管、202・・・外側支持リング、222,222A,222B・・・磁気コイル、224,224A,224B・・・電極、230・・・コイルドライバ、240・・・流量計回路、248・・・コントローラシステム、258・・・デジタル/アナログ変換器、262・・・デジタル通信回路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5