【文献】
齋藤 央,単発音を利用したハンドジェスチャインタラクション,情報処理学会研究報告 2012(平成24)年度6[DVD−ROM],2013年 4月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接触判定部は、複数の前記被写体部分領域のそれぞれに対応付けられる前記部分領域特徴量が示す画像特徴量の変化についての時間的な前後関係に基づいて、前記被写体に対する物体の接触の有無を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10の全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム10は、例えば、情報処理装置12、撮像装置14、集音装置16、表示装置18、を含んでいる。本実施形態に係る情報処理装置12は、例えば、ゲームコンソール等のコンピュータである。撮像装置14は、被写体を撮像した画像を情報処理装置12に出力するカメラである。集音装置16は、周囲の音声を取得して、当該音声をPCM形式等の音声データに変換して情報処理装置12に出力するマイク等である。表示装置18は、液晶ディスプレイ等であり、情報処理装置12が生成する画面や撮像装置14が撮像した画像などを表示させる。情報処理装置12と撮像装置14及び集音装置16とは、例えば、USBケーブルや、AVケーブルや、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ケーブル等を介して接続されている。情報処理装置12と表示装置18とは、例えば、AVケーブルや、HDMIケーブル等を介して接続されている。
【0018】
本実施形態では、撮像装置14は所定のフレームレートでその前方に配置されている被写体の画像を順次撮像する。以下、当該画像をフレーム画像20と呼ぶこととする(
図2A、
図2B、及び、
図2C参照)。また、本実施形態における被写体は、ユーザの顔であることとする。本実施形態におけるフレームレートは60fpsであることとする。すなわち、本実施形態におけるフレーム期間は1/60秒となる。
【0019】
図2A、
図2B、及び、
図2Cは、それぞれ撮像装置14が撮像するフレーム画像20の一例を示す図である。本実施形態では、
図2Bに示すフレーム画像20が撮像されたタイミング、及び、
図2Cに示すフレーム画像20が撮像されたタイミングにユーザの指が顔に接触したこととする。
【0020】
本実施形態では、撮像装置14が撮像するフレーム画像20及び集音装置16が取得する音声に基づいて、被写体に対する物体の接触の有無が判定される。例えば、本実施形態では、予め設定された複数の画像接触判定期間のそれぞれについて、当該画像接触判定期間に撮像されたフレーム画像20が後述する画像接触判定条件(
図7参照)を満足するか否かが判定される。そして、本実施形態では、予め設定された複数の音声接触判定期間のそれぞれについて、当該音声接触判定期間に取得された音声が後述する音声接触判定条件を満足するか否かが判定される。
図3に、画像接触判定条件を満足すると判定された画像接触判定期間P1と、音声接触判定条件を満足すると判定された音声接触判定期間P2の一例を示す。そして、本実施形態では、画像接触判定期間P1と音声接触判定期間P2とが重複する期間P3が特定される。そして、当該期間P3が、被写体に対する物体の接触があった期間として最終的に特定されることとなる。例えば、
図2Bに示すフレーム画像20が撮像されたタイミングが含まれる期間や、
図2Cに示すフレーム画像20が撮像されたタイミングが含まれる期間については、被写体に物体が接触したと判定されることとなる。
【0021】
図4は、画像接触判定期間や音声接触判定期間(
図4では、接触判定期間と表記)の設定パターン例を説明する説明図である。画像接触判定期間や音声接触判定期間は、例えば、
図4のパターン1に示すように予め定められた時間間隔で設定されていてもよいし、
図4のパターン2に示すように互いにその一部が重複するよう設定されてもよい。本実施形態では、
図4のパターン1に示すように、例えば、64フレーム、すなわち、約1秒間隔で、画像接触判定期間が設定されることとする。そして、本実施形態では、フレーム画像20に、画像接触判定期間内における撮像順序に従って、1から順に64までフレーム番号が設定されることとする。また、本実施形態では、
図4のパターン1に示すように、1ミリ秒間隔で、音声接触判定期間が設定されていることとする。このように、本実施形態では、画像接触判定期間と音声接触判定期間は独立して設定されている。
【0022】
以下、フレーム画像20内における、被写体が写っている領域を被写体領域Rと呼ぶこととする。
図2A〜
図2Cに示すように、本実施形態では、被写体領域Rを占める画像には、ユーザの顔の像が概ね含まれている。本実施形態では、
図2A〜
図2Cに示すフレーム画像20が撮像された際のユーザの位置はそれぞれ異なる。そのため、
図2A〜
図2Cに示すフレーム画像20内における被写体の像の位置はそれぞれ異なっている。また、本実施形態では、
図2Aに示すフレーム画像20が撮像された際よりも
図2Bに示すフレーム画像20や
図2Cに示すフレーム画像20が撮像された際の方が、ユーザと撮像装置14との距離は短い。そのため、
図2Aに示すフレーム画像20よりも
図2Bに示すフレーム画像20や
図2Cに示すフレーム画像20の方が、被写体の像が大きく写されている。すなわち、
図2Aに示すフレーム画像20に占める被写体領域Rよりも、
図2B及び
図2Cに示すフレーム画像20に占める被写体領域Rの方が大きい。
【0023】
発明者は、画像接触判定期間内に、ユーザが指を顔に実際に接触させた状況と、接触させるふりをした状況とでは、当該画像接触判定期間における被写体領域Rを占める画像の画像特徴量の変動が異なることを見出した。このことに着目し、本実施形態では、以下に説明するようにして、被写体に物体が実際に接触したか否かを判定する。
【0024】
本実施形態では、被写体領域Rは、複数の被写体部分領域SRに分割される(
図5参照)。
図5は、被写体領域Rと被写体部分領域SRの関係の一例を示す図である。
図5に示すように、被写体部分領域SRは被写体領域Rの一部を占める領域である。そして、1つの被写体領域Rに含まれる被写体部分領域SRのそれぞれの、被写体領域R内における位置は互いに異なっている。本実施形態では、被写体領域Rは、縦4個×横4個、計16個の被写体部分領域SRに等分割されている。
【0025】
本実施形態では、被写体部分領域SRには識別番号が割り当てられる。本実施形態では、一番上、上から2番目、上から3番目、一番下の行の被写体部分領域SRに、左から順に、それぞれ、0〜3、4〜7、8〜11、12〜15の識別番号が割り当てられる。本実施形態では、
図5に示すように、識別番号iが割り当てられる被写体部分領域SRをSRiと表現することとする。本実施形態では、識別番号は、被写体領域R内における位置に対応付けられる。本実施形態では、被写体部分領域SRに対する識別番号の割り当てはフレーム画像20によらない。すなわち、フレーム画像20を問わず、例えば被写体領域R内の左上端の被写体部分領域SRは、被写体部分領域SR0となる。
【0026】
本実施形態に係る情報処理装置12は、被写体に対する物体の接触があったと判定された際には、当該接触に応じた処理を実行する。また、本実施形態では、物体の接触位置に対応付けられる被写体部分領域SRの特定も行われる。
図2Bの例では、指の接触位置に対応付けられる被写体部分領域SRがSR0と特定される。
図2Cの例では、指の接触位置に対応付けられる被写体部分領域SRがSR3と特定される。そして、本実施形態に係る情報処理装置12は、被写体に対する物体の接触があったと判定された際には、被写体に対する物体の接触位置に対応付けられる被写体部分領域SRに応じた処理を実行する。被写体に対する物体の接触に応じて実行される処理は特に限定されない。例えば、情報処理装置12にインストールされているプログラムの起動処理、情報処理装置12の停止処理、情報処理装置12で実行されているプログラムにおけるコマンドの実行処理、などが当該処理に該当する。例えば、情報処理装置12は、物体の接触位置に対応付けられる被写体部分領域SRが被写体部分領域SR0である場合は、情報処理装置12にインストールされているプログラムの起動処理を実行する。また、例えば、情報処理装置12は、物体の接触位置に対応付けられる被写体部分領域SRが被写体部分領域SR3である場合は、情報処理装置12の停止処理を実行する。このようにして、本実施形態に係る情報処理システム10では、被写体に物体を接触させることによる情報処理装置12への情報の入力が可能となる。
【0027】
以下、被写体に対する物体の接触の有無の判定処理を中心に説明する。
【0028】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置12で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る情報処理装置12で、
図6に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、
図6に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0029】
本実施形態に係る情報処理装置12は、情報処理装置12にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである制御部を含んでいる。また、情報処理装置12は、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどの記憶部も含んでいる。情報処理装置12の記憶部には、情報処理装置12の制御部によって実行されるプログラムなどが記憶される。また、情報処理装置12は、USB(Universal Serial Bus)ポート、HDMIポート等を含んでいる。
【0030】
そして、本実施形態に係る情報処理装置12は、
図6に示すように、機能的には、例えば、接触判定条件データ記憶部30、フレーム画像取得部32、音声データ取得部34、被写体領域特定部36、被写体部分領域特定部38、部分領域特徴量特定部40、接触判定部42、を含んでいる。接触判定条件データ記憶部30は、情報処理装置12の記憶部を主として実装される。その他の機能は、情報処理装置12の制御部を主として実装される。
【0031】
そして、以上の機能は、コンピュータである情報処理装置12にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムを、情報処理装置12の制御部で実行することにより実装されている。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどの通信手段を介して情報処理装置12に供給される。
【0032】
接触判定条件データ記憶部30は、被写体に対する物体の接触の有無を判定する条件を示す接触判定条件データを記憶する。本実施形態では、接触判定条件データ記憶部30には、接触判定条件データの一例として、フレーム画像20に基づいて被写体に対する物体の接触の有無を判定する条件を示す画像接触判定条件データが記憶されている。また、接触判定条件データ記憶部30には、取得された音声に基づいて被写体に対する物体の接触の有無を判定する条件を示す音声接触判定条件データも記憶されている。音声接触判定条件データには、例えば、周波数領域の範囲及び音量の大きさが条件として示されている。
【0033】
図7に、画像接触判定条件データの一例を示す。画像接触判定条件データには、例えば、被写体領域R内における位置に対応付けられる識別番号と、当該識別番号に対応付けられる被写体部分領域SRを占める画像に基づいて特定される部分領域特徴量PRCに関する画像接触判定条件と、が含まれる。このようにして、画像接触判定条件データでは、識別番号と画像接触判定条件とが関連付けられている。
図7に示す画像接触判定条件データには、識別番号0及び3に対応付けられる画像接触判定条件だけが明示されているが、当該画像接触判定条件データには、同様にして、識別番号1、2、4〜15に対応付けられる画像接触判定条件が示されていることとする。識別番号0に対応付けられる画像接触判定条件は、被写体部分領域SR0を占める画像に像が写る被写体の一部への物体の接触の有無を判定する際に用いられる。識別番号3に対応付けられる画像接触判定条件は、被写体部分領域SR3を占める画像に像が写る被写体の一部への物体の接触の有無を判定する際に用いられる。また、
図7に示すように、本実施形態では、識別番号には複数の条件が画像接触判定条件として対応付けられている。そして、本実施形態における画像接触判定条件は、これら複数の条件の論理積に相当する。本実施形態では、後述する部分領域特徴量PRCiが、識別番号iに対応付けられる複数の条件のすべてを満足する場合に、被写体部分領域SRi領域を占める画像に像が写る被写体の一部に物体が接触したと判定される。
【0034】
フレーム画像取得部32は、撮像装置14が撮像したフレーム画像20を取得する。本実施形態では、フレーム画像取得部32は、1/60秒間隔でフレーム画像20を取得する。
【0035】
音声データ取得部34は、例えば、集音装置16から音声データを取得する。本実施形態では、音声データ取得部34は、取得した音声データを、少なくとも当該音声が取得されたタイミングが属する接触判定期間が終了するまでは保持する。
【0036】
被写体領域特定部36は、フレーム画像20内における被写体領域Rを特定する。本実施形態では、被写体領域特定部36は、例えば、公知の顔認識技術などのトラッキング技術により、ユーザの顔の像が写された被写体領域Rを特定する。なお、フレーム画像20内における被写体領域Rが予め設定されており、被写体領域R内にユーザの顔の像が写されるようユーザが顔の位置を調整するようにしてもよい。
【0037】
被写体部分領域特定部38は、被写体領域Rに基づいて被写体部分領域SRを特定する。本実施形態では、例えば、被写体領域Rを縦に4個、横に4個に等分割することにより、各フレーム画像20について、被写体領域R内における位置が互いに異なる16個の被写体部分領域SR(SR0〜SR15)を特定する。
【0038】
部分領域特徴量特定部40は、被写体部分領域SRを占める画像の画像特徴量の変動を示す部分領域特徴量PRCを特定する。ここで、被写体部分領域SRを占める画像の画像特徴量とは、例えば、当該画像内の画素の画素値に応じた統計情報などを指す。当該統計情報の一例としては、当該画像内の画素の平均画素値が挙げられる。本実施形態では、部分領域特徴量特定部40は、被写体部分領域SRiに対応付けられる部分領域特徴量PRCi(i=0、1、2、・・・、15)を特定する。このように、本実施形態では、部分領域特徴量PRCは、被写体部分領域SRに割り当てられた識別番号毎に特定されることとなる。本実施形態では、部分領域特徴量特定部40は、接触判定期間における被写体部分領域SRiを占める画像の画像特徴量の変動が大きい程、当該接触判定期間における部分領域特徴量PRCiとして大きな値を特定する。なお、本実施形態では、部分領域特徴量PRCiはスカラーであることとするが、部分領域特徴量PRCiはベクトルであっても構わない。また、部分領域特徴量特定部40は、画像接触判定条件として示されている部分領域特徴量PRCiについてのみ特定するようにしてもよい。
【0039】
接触判定部42は、複数の位置に対応付けられる部分領域特徴量PRC0〜PRC15の関係、及び、音声データ取得部34が取得する音声データ、の少なくとも一方に基づいて、被写体に対する物体の接触の有無を判定する。本実施形態では、接触判定部42は、各被写体部分領域SRについて、当該領域を占める画像に像が写る被写体の一部に物体が接触したか否かを判定する。
【0040】
ここで、本実施形態に係る情報処理装置12で各フレーム期間に行われる処理の流れの一例を、
図8に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0041】
まず、フレーム画像取得部32が、フレーム画像20を取得する(S101)。ここでは、フレーム番号がkであるフレーム画像20が取得されたこととする。そして、被写体領域特定部36は、S101に示す処理で取得したフレーム画像20内の被写体領域Rを特定する(S102)。そして、被写体部分領域特定部38は、S102に示す処理で特定された被写体領域Rを16分割して、16個の被写体部分領域SR(SR0〜SR15)を特定する(S103)。
【0042】
そして、部分領域特徴量特定部40は、変数iの値を0に設定する(S104)。そして、部分領域特徴量特定部40は、被写体部分領域SRiに含まれる画素の画素値を特定する(S105)。S105に示す処理では、部分領域特徴量特定部40は、例えば、被写体部分領域SR0に含まれるすべての画素のR成分の画素値、G成分の画素値、及び、B成分の画素値を特定する。
【0043】
そして、部分領域特徴量特定部40は、S105に示す処理で特定された画素値に応じた画像特徴量PCi(k)を特定する(S106)。本実施形態では、S106に示す処理で特定された画像特徴量PCi(k)を示すデータを、部分領域特徴量特定部40は、当該フレーム期間が属する接触判定期間が終了するまで保持する。
【0044】
S106に示す処理では、部分領域特徴量特定部40は、例えば、フレーム番号kのフレーム画像20内の被写体部分領域SRiに含まれる画素の画素値のR成分、G成分、B成分それぞれの平均値を成分とする3次元ベクトルを特定する。そして、部分領域特徴量特定部40は、特定された3次元ベクトルに基づいて、画像特徴量PCi(k)を特定する。画像特徴量PCi(k)としては、例えば、上述の3次元ベクトルの3成分の値の和、あるいは、その平均値、上述の3次元ベクトルの3成分の二乗和の平方根、などが挙げられるがこの限りではない。
【0045】
S106が終了すると、部分領域特徴量特定部40は、変数iの値が15であるか否かを確認する(S107)。変数iの値が15でないことが確認された場合は(S107:N)、部分領域特徴量特定部40は、変数iの値を1だけ増加させて(S108)、S105以降の処理を再度実行する。変数iの値が15であることが確認された場合は(S107:Y)、本処理例に示す処理を終了する。
【0046】
図9は、フレーム番号kのフレーム画像20内の被写体部分領域SR0に対応付けられる画像特徴量PC0(k)の一例を模式的に示す図である。本実施形態では、情報処理装置12が、S101〜S108に示す処理を1接触判定期間内に撮像された各フレーム画像20について実行する。このことにより、画像特徴量PC0(1)〜PC0(64)、PC1(1)〜PC1(64)、・・・、PC15(1)〜PC15(64)が特定されることとなる。
【0047】
以下、画像接触判定期間が終了した際に本実施形態に係る情報処理装置12で行われる、当該画像接触判定期間に撮像されたフレーム画像20が画像接触判定条件を満足するか否かを判定する処理の流れの一例を、
図10に示すフロー図を参照しながら説明する。
図10には、被写体部分領域SR0に対応付けられる、画像接触判定条件データにおいて識別番号0に関連付けられている画像接触判定条件を満足するか否かを判定する処理の流れの一例が示されている。
【0048】
まず、部分領域特徴量特定部40は、変数iの値を0に設定する(S201)。そして、部分領域特徴量特定部40は、画像接触判定条件データに含まれるいずれかの画像接触判定条件として部分領域特徴量PRCiが示されているか否かを確認する(S202)。
【0049】
部分領域特徴量PRCiが示されている場合は(S202:Y)、部分領域特徴量特定部40は、保持されている画像特徴量PCi(1)〜PCi(64)に基づいて、フィルタリング後画像特徴量PC’i(1)〜PC’i(64)を算出する(S203)。S203に示す処理で、部分領域特徴量特定部40は、画像特徴量PCi(1)〜PCi(64)を時系列データとみなして、画像特徴量PCi(1)〜PCi(64)に対して例えばバンドパスフィルタによるフィルタリングを行う。当該フィルタリングでは例えば、所定の周波数よりも高い周波数の成分を除去する平滑化が行われる。
図11に、被写体部分領域SR0に対応付けられるフィルタリング後画像特徴量PC’0(k)の一例を模式的に示す。
【0050】
そして、部分領域特徴量特定部40は、S203に示す処理で算出されたフィルタリング後画像特徴量PC’i(1)〜PC’i(64)に基づいて、被写体部分領域SRiに対応付けられる部分領域特徴量PRCiを特定する(S204)。ここで、部分領域特徴量特定部40は、当該接触判定期間内における被写体部分領域SRiに含まれる画素の画素値の変動が大きい程大きな値となるよう、部分領域特徴量PRCiの値を特定する。例えば、部分領域特徴量特定部40は、PC’i(1)〜PC’i(64)のうちの最大値から最小値を引いた値を、部分領域特徴量PRCiとして特定する。
【0051】
そして、画像接触判定条件データに含まれるいずれの画像接触判定条件としても部分領域特徴量PRCiが示されていない場合(S202:N)、又は、S204に示す処理が終了した場合は、部分領域特徴量特定部40は、変数iの値が15であるか否かを確認する(S205)。変数iの値が15でないことが確認された場合は(S205:N)、部分領域特徴量特定部40は、変数iの値を1だけ増加させて(S206)、S202以降の処理を再度実行する。
【0052】
変数iの値が15であることが確認された場合は(S205:Y)、接触判定部42は、画像接触判定条件データにおいて識別番号0に関連付けられている画像接触判定条件を構成する複数の条件のうちのいずれかを満足するか否かを確認する(S206)。S206に示す処理では、まだS206に示す処理が行われていない条件について、満足するか否かが確認される。例えば、PRC0>PRC1、・・・、PRC3>PRC2などの条件のうちのいずれかについて、満足するか否かが確認される。
【0053】
S206に示す処理で条件を満足しないことが確認された場合は(S206:N)、接触判定部42は、識別番号0に関連付けられている画像接触判定条件は満足しないと判定して(S207)、本処理例に示す処理を終了する。
【0054】
一方、S206に示す処理で満足することが確認された場合は(S206:Y)、画像接触判定条件データにおいて識別番号0に関連付けられている複数の条件のうち、S206に示す処理が行われていないものが存在するか否かを確認する(S208)。存在する場合は(S208:Y)、S206以降に示す処理が再度実行される。存在しない場合は(S208:N)、接触判定部42は、識別番号0に関連付けられている画像接触判定条件は満足すると判定して(S209)、本処理例に示す処理を終了する。
【0055】
以上のようにして、本実施形態では、部分領域特徴量PRC0〜PRC15の関係が識別番号0に関連付けられている複数の条件のすべてを満足するか否かが確認される。本実施形態では、他の識別番号についても同様にして、当該識別番号に関連付けられている複数の条件のすべてを部分領域特徴量PRC0〜PRC15の関係が満足するか否かについて確認される。
【0056】
以下、音声接触判定期間が終了した際に本実施形態に係る情報処理装置12で行われる、当該音声接触判定期間に生成された音声データが音声接触判定条件を満足するか否かを判定する処理の流れの一例を、
図12に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0057】
まず、接触判定部42が、当該音声接触判定期間内に音声データ取得部34が取得した音声データに対して音声接触判定条件データが示す周波数領域を抽出するフィルタリング処理を実行する(S301)。そして、接触判定部42は、フィルタリング後の音声データが、音声接触判定条件データが示す音声接触判定条件を満足するか否かを確認する(S302)。S302に示す処理では、接触判定部42は、例えば、フィルタリング後の音声データが示す音声の最大音量が、音声接触判定条件データが示す音量の大きさを超えるか否かを確認する。
【0058】
S302に示す処理で超えることが確認された場合は(S302:Y)、接触判定部42は、音声接触判定条件を満足すると判定して(S303)、本処理例に示す処理を終了する。S302に示す処理で超えないことが確認された場合は(S302:N)は、接触判定部42は、音声接触判定条件を満足しないと判定して(S304)、本処理例に示す処理を終了する。
【0059】
以上のようにして、生成された音声データが音声接触判定条件を満足するか否かが判定される。
【0060】
そして、接触判定部42は、
図4に示すように、識別番号iに関連付けられている画像接触判定条件を満足すると判定された画像接触判定期間P1と、音声接触判定条件を満足すると判定された音声接触判定期間P2と、が重複する期間P3を特定する。そして、接触判定部42は、特定された期間P3に、被写体部分領域SRiを占める画像に像が写る被写体の一部への物体の接触があったと判定する。接触判定部42は、例えば、音声接触判定期間毎に、当該音声接触判定期間が、識別番号iに関連付けられている画像接触判定条件を満足すると判定され、かつ、音声接触判定条件を満足すると判定された期間であるという条件を満足するか否かを判定してもよい。そして、接触判定部42は、当該条件を満足する音声接触判定期間に、被写体部分領域SRiを占める画像に像が写る被写体の一部への物体の接触があったと判定してもよい。
【0061】
なお、以上の処理例では、接触判定部42は、撮像したフレーム画像20及び取得した音声データに基づいて、被写体への物体の接触の有無を判定しているが、いずれか一方に基づいて、被写体への物体の接触の有無を判定しても構わない。例えば、接触判定部42は、識別番号iに関連付けられている画像接触判定条件を満足すると判定された画像接触判定期間に、被写体部分領域SRiを占める画像に像が写る被写体の一部への物体の接触があったと判定してもよい。
【0062】
被写体部分領域SR4〜SR7を占める画像には、被写体の目の像が写る可能性が高い。そのため、被写体であるユーザのまばたきによって、被写体への物体の接触とは無関係に、被写体部分領域SR4〜SR7に含まれる画素の画素値の変動が大きくなるおそれがある。そのため、
図7の例では、識別番号0、3に対応付けられている画像接触判定条件において、部分領域特徴量PRC4〜PRC7が、部分領域特徴量PRC0との比較対象から除外されている。
【0063】
また、被写体部分領域SR4、SR8、SR12を占める画像には、被写体部分領域SR0に写る顔の一部に指が接触する際に被写体の腕や手の像が写る可能性が高い。そのため、被写体部分領域SR0に写る顔の一部への指の接触の有無を判定するにあたって、被写体部分領域SR4、SR8、SR12に含まれる画素の画素値の変動が参考にならない可能性が高い。そのため、
図7の例では、識別番号0に対応付けられている画像接触判定条件において、部分領域特徴量PRC4、PRC8、PRC12が、部分領域特徴量PRC0との比較対象から除外されている。一方、被写体部分領域SR7、SR11、SR15を占める画像には、被写体部分領域SR3に写る顔の一部に指が接触する際に被写体の腕や手の像が写る可能性が高い。そのため、部分領域特徴量PRC7、PRC11、PRC15が、部分領域特徴量PRC3との比較対象から除外されている。
【0064】
そして、被写体部分領域SR0を占める画像に像が写る被写体の一部に物体が接触すると、画素値の変動は、被写体部分領域SR0内の画素の方が他の被写体部分領域SR内の画素よりも大きくなる。そのため、
図7の例では、比較対象から除外された部分領域特徴量PRC以外の部分領域特徴量PRCのいずれよりも部分領域特徴量PRC0が大きいことが、識別番号0に対応付けられている画像接触判定条件として示されている。また、同様の理由により、比較対象から除外された部分領域特徴量PRC以外の部分領域特徴量PRCのいずれよりも部分領域特徴量PRC3が大きいことが、識別番号3に対応付けられている画像接触判定条件として示されている。
【0065】
また、被写体部分領域SR0、あるいは、SR3を占める画像に像が写る顔の一部に指が接触すると、当該接触に伴い顔が動く可能性が高い。そして、被写体部分領域SR0を占める画像に像が写る顔の一部に指が接触した際には、被写体部分領域SR1、SR3を占める画像には、被写体部分領域SR2を占める画像よりも顔の輪郭の像が写る可能性が高い。そのため、被写体部分領域SR1、SR3に含まれる画素の画素値の変動が被写体部分領域SR2に含まれる画素の画素値の変動よりも大きくなる可能性が高い。一方、ユーザが被写体部分領域SR0を占める画像に像が写る顔の一部に指を接触させるふりをしただけで、実際には指が顔に接触していない場合は、顔が動く可能性は低い。よってこの場合は、部分領域特徴量PRC2が、部分領域特徴量PRC1、PRC3のいずれよりも小さいという条件を満足しない可能性が高い。このことから、
図7には、部分領域特徴量PRC2が、部分領域特徴量PRC1、PRC3のいずれよりも小さいことが、識別番号0に対応付けられている画像接触判定条件としてさらに示されている。同様の理由により、
図7には、部分領域特徴量PRC1が、部分領域特徴量PRC0、PRC2のいずれよりも小さいことが、識別番号3に対応付けられている画像接触判定条件としてさらに示されている。
【0066】
図13に、複数の被写体部分領域SRについてのフィルタリング後画像特徴量PC0’(k)〜PC15’(k)の一例を模式的に示す。また、
図13には、部分領域特徴量PRC0も示されている。
図13には、
図7において識別番号0に関連付けられている画像接触判定条件として示されている画像特徴量PCに対応するフィルタリング後画像特徴量PC0’(k)〜PC15’(k)が示されている。
【0067】
例えば、
図13に示されているフィルタリング後画像特徴量PC0’(k)〜PC15’(k)が算出された場合は、部分領域特徴量PRC0が、部分領域特徴量PRC1〜PRC3、PRC9〜PRC11、PRC13〜PRC15のいずれよりも大きい。また、部分領域特徴量PRC2が、部分領域特徴量PRC1、PRC3のいずれよりも小さい。よって、この場合は、部分領域特徴量PRC0〜PRC15間の関係が、画像接触判定条件データにおいて識別番号0に関連付けられている画像接触判定条件を満足すると判定されることとなる。同様にして、識別番号3に関連付けられている画像接触判定条件などの他の画像接触判定条件を満足するか否かも判定可能である。
【0068】
本実施形態では、複数の位置に対応付けられる画像特徴量の関係に基づいて、被写体に対する物体の接触の有無が判定されるので、被写体に対する物体の接触の有無を検出する精度が従来よりも向上することとなる。
【0069】
また、本実施形態では、部分領域特徴量PRC1〜PRC3の関係に基づいて、被写体部分領域SR0を占める画像に像が写る被写体の一部に対する物体の接触の有無が判定される。そして、部分領域特徴量PRC0〜PRC2の関係に基づいて、被写体部分領域SR3を占める画像に像が写る被写体の一部に対する物体の接触の有無が判定される。このように、特定の被写体部分領域SRとは異なる複数の被写体部分領域SRに対応付けられる部分領域特徴量PRCの関係に基づいて、当該特定の被写体部分領域SRを占める画像に像が写る被写体の一部に対する物体の接触の有無が判定される。このようにして、本実施形態では、当該被写体部分領域SRを占める画像に像が写る被写体の一部への物体の接触の有無の検出精度が従来よりも向上することとなる。
【0070】
また、本実施形態では、音声接触判定期間が画像接触判定期間よりも短い。そのため、フレーム画像20に基づく上述の判定と音声に基づく上述の判定とを組み合わせることで、被写体に物体が接触したタイミングを精度よく特定することができる。
【0071】
また、本実施形態では、フレーム画像20内における被写体領域Rの位置が特定され、当該被写体領域R内における位置に対応付けられる部分領域特徴量PRCが算出される。そしてこのようにして算出された部分領域特徴量PRCの関係に基づいて、被写体に対する物体の接触の有無が判定される。このようにして、本実施形態では、被写体と撮像装置14との距離や、撮像装置14に対する被写体の位置が接触判定期間内で変化しても、被写体への物体の接触の有無を的確に検出することができることとなる。
【0072】
以上、ユーザが指を顔に接触させたか否かを判定することを中心に説明したが、本実施形態では、同様にして、ボール等の任意の物体が顔に接触したか否かを判定することができることとなる。また、同様にして、物体が顔以外の被写体に接触したか否かを判定することができることとなる。
【0073】
なお、1接触判定期間内に、複数の被写体部分領域SRについて、被写体部分領域SRを占める画像に像が写る被写体の一部への物体の接触が判定されることがある。この場合、情報処理装置12は、当該複数の被写体部分領域SRの組合せに応じた処理を実行してもよい。
【0074】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、接触判定部42が、複数の被写体部分領域SRのそれぞれに対応付けられる部分領域特徴量PRCが示す画像特徴量の変化についての時間的な前後関係に基づいて、被写体に対する物体の接触の有無を判定してもよい。
図14に、複数の被写体部分領域SRについてのフィルタリング後画像特徴量PC0’(k)〜PC15’(k)の別の一例を模式的に示す。そして例えば、
図14に示すように、接触判定部42が、フィルタリング後画像特徴量PC’i(k)(i=0、1、2、・・・、15)の値が最大となる時刻(ここでは、フレーム番号PTCi)を特定してもよい。
図14には、PTC0、PTC3、PTC11、PTC15が例示されているが、他のフィルタリング後画像特徴量PC’i(k)についても、その値が最大となる時刻(フレーム番号PTCi)が同様にして特定されてもよい。そして、例えば、画像接触判定条件データに、フレーム番号PTCiの関係を示す画像接触判定条件が含まれていてもよい。具体的には、例えば、画像接触判定条件データに、PTC0<PTC3、PTC0<PTC11、PTC0<PTC15などが画像接触判定条件の一部として含まれていてもよい。そして、接触判定部42が、これらの条件を含むすべての条件を満足する場合に、被写体に対する物体の接触があったと判定してもよい。
【0076】
また、画像接触判定期間と音声接触判定期間とは、期間、始期、終期の少なくとも1つが同一であってもよい。また、例えば、被写体部分領域SRは被写体領域Rを分割した一領域である必要はない。例えば、被写体部分領域SR同士が重なっていてもよい。
【0077】
また、情報処理装置12は、例えば、カメラやマイクを備えた携帯型ゲーム装置であってもよい。また、情報処理装置12は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、などであっても構わない。また、情報処理装置12、撮像装置14、集音装置16、表示装置18の役割分担は上述のものに限定されない。また、情報処理装置12が複数の筐体から構成されていてもよい。
【0078】
また、上記の具体的な文字列や図面中の具体的な文字列は例示であり、これらの文字列には限定されない。