(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1回動部に第1回動抑制部材を固設し、前記第2回動部に第2回動抑制部材を移動可能に設け、前記付勢手段により前記第2回動抑制部材を前記第1回動抑制部材側に付勢し、
前記操作部の非操作時には、前記の各連結部において、前記付勢手段により前記第1回動抑制部材と前記第2回動抑制部材が相互に当接されて、全ての前記連結部での回動が抑制され、
前記操作部を操作することにより、前記付勢手段に抗して全ての前記第2回動抑制部材を同時に移動させ、前記第2回動抑制部材と前記第1回動抑制部材とが離間して、全ての前記連結部で回動することができるようにしたことを特徴とする請求項1記載の支持装置。
前記第2回動部に前記第1回動抑制部材を固設し、前記第1回動部に前記第2回動抑制部材を移動可能に設け、前記付勢手段により前記第2回動抑制部材を前記第1回動抑制部材から離間する方向に付勢し、
前記操作部を操作することにより、前記付勢手段に抗して全ての前記第2回動抑制部材を同時に移動させ、前記第1回動抑制部材と前記第2回動抑制部材を相互に当接させて、全ての前記連結部での回動を抑制し、
前記操作部の非操作時には、前記第2回動抑制部材と前記第1回動抑制部材とが離間して、全ての前記連結部で回動することができるようにしたことを特徴とする請求項1記載の支持装置。
前記第1回動抑制部材に係合部を設け、前記第2回動抑制部材に係合部を設け、前記両係合部を係合させることにより、前記回動部での回動を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の支持装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記支持装置101では、2箇所の連結部105,105に夫々締め部材110が設けられているため、固定部材108の位置を変更するには、2箇所の締め部材110,110に夫々個々に緩め・締めの操作を行う必要がある。
【0005】
そのため、支持装置101の固定部材108の位置を変えるには、一方の手で被支持部材の位置を保持し他方の手で締め部材110を締める必要があり作業性が悪い。
【0006】
そこで、本発明は、被支持部材を片手で容易にその位置を変えることができる支持装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本願発明は、被支持部材を支持する支持装置であって、
該支持装置は、それぞれ接続された少なくとも3個以上の腕部材と、その端の腕部材の一端に固設され固定位置を変更するための操作部と、その操作部の固設された側と反対側に固接され被支持部材を固定する固定部材と、を有し、
隣接する腕部材同士はその端部の連結部で腕部材の軸線と直交する軸線を中心として回動可能に連結され、
各連結部において、一方の腕部材には第1回動部を、他方の腕部材には第2回動部を設け、
それらの回動部の一方に第1回動抑制部材を固設し、他方には第2回動抑制部材を移動可能に設け、第2回動抑制部材を操作部側に付勢する付勢手段を設け、
操作部の操作により、全ての第2回動抑制部材を同時に移動するようにし、
第1回動抑制部材と第2回動抑制部材が当接した際に、連結部での回動が抑制され、
第1回動抑制部材と第2回動抑制部材とが離間した際に、連結部で回動することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、第1回動部に第1回動抑制部材を固設し、第2回動部に第2回動抑制部材を移動可能に設け、付勢手段により第2回動抑制部材を第1回動抑制部材側に付勢し、
操作部の非操作時には、各連結部において、付勢手段により第1回動抑制部材と第2回動抑制部材が相互に当接されて、全ての連結部での回動が抑制され、
操作部を操作することにより、付勢手段に抗して全ての第2回動抑制部材を同時に移動させ、第2回動抑制部材と第1回動抑制部材とが離間して、全ての連結部で回動することができるようにしてもよい。
【0009】
また、第2回動部に第1回動抑制部材を固設し、第1回動部に第2回動抑制部材を移動可能に設け、付勢手段により第2回動抑制部材を第1回動抑制部材から離間する方向に付勢し、
操作部を操作することにより、付勢手段に抗して全ての第2回動抑制部材を同時に移動させ、第1回動抑制部材と第2回動抑制部材を相互に当接させて、全ての連結部での回動を抑制し、
操作部の非操作時には、第2回動抑制部材と第1回動抑制部材とが離間して、全ての連結部で回動することができるようにしてもよい。
【0010】
また、腕部材内に中空部を形成し、該中空部内に摺動部材を挿通し、操作部での操作により、摺動部材を移動させ、この摺動部材の移動により第2回動抑制部材が移動するようにしてもよい。
【0011】
また、第1回動抑制部材に係合部を設け、第2回動抑制部材に係合部を設け、両係合部を係合させることにより、回動部での回動を抑制するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連結部の第1回動部と第2回動部の一方に第1回動抑制部材を固設し、他方の回動部には第2回動抑制部材を移動可能に設け、第2回動抑制部材を付勢手段により操作部側に付勢し、操作部の操作により、全ての第2回動抑制部材を同時に移動するようにして、第1回動抑制部材と第2回動抑制部材が相互に当接した際に、連結部での回動が抑制され、第2回動抑制部材と第1回動抑制部材とが離間した際に、連結部で回動することができるようにしたことで、全ての連結部での回動状態を容易に制御することが出来るために、従来技術の支持装置101と比較して、被支持部材の移動を容易に行うことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による実施例を添付図に基づいて説明する。
[実施例1]
本実施例1の支持装置1は、
図1に示すように、被支持部材である医療用呼吸器のチューブ10を支持するためのものである。該支持装置1は、
図1〜
図3に示すように、第1腕部材2と第2腕部材3と第3腕部材4の3個の長尺の腕部材を有している。
【0015】
断面が円形の第1腕部材2は、
図2,
図3に示すように、長尺に形成され、かつ、
図4,
図5に示すように、その軸線方向の両端部が開口する中空部6aが形成された筒状部材6を有し、筒状部材6の一端部にはこの支持装置の固定位置を変更するための操作部8が固設されている。操作部8の固設された側の反対側には筒状部材6と略同径の円筒状の棒状部材9が固設されている。
【0016】
棒状部材9の一端部には、被支持部材を取外し可能に固定するための固定部材12が設けられている。なお、
図2,
図3には、医療用呼吸器のチューブ10を取り付けることが出来る固定部材12が設けられている。固定部材12は、棒状部材9、すなわち、第1腕部材2に対して任意の方向に回動することできると共に、図示のような球面継手等によって第1腕部材2に対する位置が保持できるようになっている。
【0017】
図4では、筒状部材6の他端部には、一方の回動部である第1回動部15が固設されている。第1回動部15には、筒状部材6の中空部6aの軸線と略同一の軸線に形成されると共に中空部6aと連通する第1通路15aが形成され、さらにこの第1通路15aと直交するように延び第1通路15aと連通する第2通路15bが形成され、第2通路15bの上端部は開口している。第2通路15bの外周部内には第1回動抑制部材18が設けられ、第1回動抑制部材18はネジ17により第1回動部15に対して固設されている。
【0018】
第1回動抑制部材18は、
図12,
図13に示すように、円盤状で、かつ、その中心部に貫通孔18aが形成されたドーナツ状に形成され、
図4,
図5に示すように、貫通穴18aの中心線は、第2通路15bの軸線と略同一となるように設けられている。第1回動抑制部材18における第2通路15bの開口側表面には、
図13に示すように、その周方向に延びる谷部19aと山部19bが交互に複数連続して形成された係合部19が、適宜間隔を有して複数形成されている。谷部19aと山部19bの角度は任意に設定するが、本実施例では40°に設定した。この係合部19の数は、1個でも複数でも任意に設定することが出来、好ましくは3個以上、本実施例では、周方向に等間隔に4個形成した。
【0019】
筒状部材6の中空部6a内には、摺動部材であるロッド20が、中空部6aの軸線方向に移動可能に挿通されている。ロッド20は、中空部6aの両端部から突出するように設けられている。ロッド20の一端部は、
図7に示すように操作部8内に挿通され、他端部は、
図4,
図5に示すように第1通路15a内に挿通されている。操作部8の操作ハンドル21を手操作で閉じることにより、
図8に示すように、操作ハンドル21の端部に設けられた当接部21aが回動し、ロッド20の一端部を押してロッド20が第1通路15a側に移動するようになっている。
【0020】
ロッド20の他端には、
図4,
図5に示すように、ロッド20の軸線に対する角度αで傾斜する平面状の当接面20aが形成されている。この当接面20aの軸線に対する角度αは、操作ハンドル21によるロッド20等の移動に必要な力等に応じて任意に設定し、本実施例ではこの角度αを30度に設定した。
【0021】
操作ハンドル21は、
図7に示すように、付勢部材22により開く方向に付勢されるようになっている。付勢部材22として、バネ材やゴム等の任意のものを用いることが出来るが、本実施例ではコイルスプリングを用いた。
【0022】
操作部8には、操作部8を握って操作ハンドル21を開閉する際に、拳に当接若しくは近傍する位置に、本体部から外側方向に突出する鍔状の落下防止部8aが形成され、この落下防止部8aは、操作ハンドル21が位置する以外の外周全体に亘って設けられている。なお、落下防止部8aの形状は、操作部8を握り損ねて操作部8を落とした際に、拳に当たって落下を防止できる形状であれば任意に設定することが出来る。
【0023】
第2腕部材3は断面が円形で長尺に形成され、かつその軸線方向の両端部が開口する中空部25aが形成された筒状部材25を有し、筒状部材25の一端部には他方の回動部である第2回動部26が固設されている。
【0024】
第2回動部26には、
図4、
図5に示すように、筒状部材25の中空部25aの軸線と略同一の軸線に形成されると共に中空部25aと連通する第3通路26aが形成され、さらに第3通路26aと直交するとともに第3通路26aと連通する第4通路26bが形成され、第4通路26bの下端部は開口している。
【0025】
第1回動部15の第2通路15bと第2回動部26の第4通路26bは
図4,
図5に示すように連通し、この第2通路15bと第4通路26bで空間30が形成されている。
【0026】
空間30の軸線X1はロッド20の軸線と直交するように設定され、第1回動部15と第2回動部26は連結部材48により空間30の軸線X1を中心として相対的に回動することが出来るように連結されている。第1回動部15と第2回動部26との間に相互に回動する際に摺動抵抗が生じるようにしてもよい。
【0027】
空間30内には移動部材31が軸線X1方向に移動可能に設けられている。移動部材31は付勢部材32により第1回動抑制部材18(操作部8)側に付勢されている。付勢部材32としてバネ材やゴム等の任意のものを用いることが出来るが、本実施例では皿バネを用いた。
【0028】
図9〜
図11に示すように、移動部材31はその第1回動部15側には円筒状に形成された第1円筒部33を設け、第1円筒部33の軸線は空間30の軸線X1と略同じになるように設定され、第1円筒部33の先部は円錐状の当接面33aに形成されている。
図4,
図5に示すように、当接面33aはロッド20の当接面20aに対応した形状に形成され、この当接面33aと20aは相互に当接・係合するようになっている。
【0029】
さらに移動部材31はその第2回動部26側に円筒状に形成された第2円筒部35を設け、第2円筒部35の軸線は空間30の軸線X1と略同じになるように設定され、第2円筒部35の先部でかつ第2腕部材3と対向する側には、空間30の軸線X1に対する角度βで傾斜する平面状の当接面35aに形成されている。当接面35aの軸線X1に対する角度βは、操作ハンドル21によるロッド20等の移動に必要とする力等に応じて任意に設定する。当接面35aの軸線X1に対する角度βはロッド20における当接面20aの軸線に対する角度αよりも大きく設定することが好ましく、本実施例ではこの角度βを45度に設定した。
【0030】
第1円筒部33と第2円筒部35の間には円盤状の取付部36が設けられ、この取付部36には、
図4,
図5に示すように、第1回動抑制部材18と対向する側に第2回動抑制部材40がネジ41により固設されている。第2回動抑制部材40は、取付部36を介して付勢手段32により、第1回動抑制部材18(操作部8)側へ付勢されている。第2回動抑制部材40は、
図14に示すように、円盤状でかつその中心部に貫通孔40aが形成されたドーナツ状に形成され、貫通穴40aの中心が空間30の軸線X1と略同じになるように設けられている。
【0031】
第2回動抑制部材40の第1回動抑制部材18側の面には、周方向全体に亘って、中心から周縁方向に向かう谷部と山部が交互に連続して形成された係合部40bが形成されている。谷部と山部の角度は任意に設定するが、本実施例では40°に設定した。この係合部40bは、第1回動抑制部材18の係合部19と噛合して係合できる形状に形成されている。なお、この係合部40bは第1回動抑制部材18の係合部19の少なくとも一部と係合できれば良く、第2回動抑制部材40の全周に亘って形成せずに、谷部と山部を交互に複数連続して形成したものを1個或いは適宜間隔を有して複数設けてもよい。
【0032】
移動部材31の取付部36の第2円筒部35側には、
図4,
図5,
図9〜
図11に示すように、第2回動部26に対して移動部材31の回動を抑制する位置決め部42が小判型に設けられている。
【0033】
図6に示すように、第2腕部材3の筒状部材25の他端部には上記第1腕部材2に設けた第1回動部15と同様の第1回動部15が固設されている。第3腕部材4の一端部には上記第2腕部材3に設けた第2回動部26と同様の第2回動部26が固設され、この第1回動部15と第2回動部26は上記と同様に空間30の軸線X1を中心として相対的に回動することが出来るようになっている。この回動部15,26内には、第1腕部材2と第2腕部材3との間の回動部と同様に、第1回動抑制部材18と移動部材31と第2回動抑制部材40等が設けられている。
【0034】
このように、回動可能に連結された一方の腕部材2(3)には第1回動部15を、他方の腕部材3(4)には第2回動部26が設けられて、第1回動部15、第2回動部26、移動部材31、第1回動抑制部材18、第2回動抑制部材40、付勢部材32等で連結部55が構成されている。
【0035】
第2腕部材3における筒状部材25の中空部25a内には、摺動部材であるロッド45が中空部25aの軸線方向に移動可能に挿通されている。ロッド45は中空部25aの両端部から突出するように設けられ、ロッド45の一端部は、
図4,
図5に示すように、第2腕部材3に設けた第2回動部26の第3通路26a内に挿通され、他端部は、
図6に示すように、第2腕部材3に設けた第1回動部15の第1通路15a内に挿通されている。
【0036】
ロッド45の一端には、
図4,
図5に示すように、移動部材31における第2円筒部35の当接面35aに対応した当接面45aが形成され、ロッド45と移動部材31の当接面35a,45aは相互に当接・係合するようになっている。また、ロッド45の他端には、
図6に示すように、移動部材31における第1円筒部33の当接面33aに対応した当接面45bが形成され、ロッド45と移動部材31の当接面45b,33aは相互に当接・係合するようになっている。
【0037】
第3腕部材4は、
図6に示すように、軸線方向内部が中空状に形成されている。なおこの中空内には、第1腕部材2、第2腕部材3のような摺動部材であるロッドは挿通されていない。
【0038】
第3腕部材4の先部には、
図1〜
図3に示すように、取付金具50が第3腕部材4の軸線に対して回動可能に取り付けられている。取付金具50は、ネジ51を締め付けることで任意の部材に取外し可能に取り付けることができるようになっている。
【0039】
次に、支持装置1の使用方法について説明する。
【0040】
支持装置1は、取付金具50のネジ51を締め付けて任意の部材に、例えば、
図1に示すように、ベッドのヘッドボードに対して取り付ける。固定部材12には、
図1に示すように、医療用呼吸器のチューブ10が取付けられている。
【0041】
操作部8を操作せず、
図7に示すように操作ハンドル21が開いた状態では、
図4,
図6に示すように、付勢部材32の付勢力により移動部材31及び第2回動抑制部材40が、第1回動抑制部材18側に付勢されて、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bが係合し、第1回動部15と第2回動部26の相対的な回動が抑制され、2ヵ所の連結部55,55での回動は抑制される。
【0042】
また、付勢部材32の付勢力により、
図4,
図6に示すように、移動部材31が操作部8側に付勢され、この移動部材31によりロッド20,45は操作部8側に移動され、
図7に示すように、ロッド20により操作ハンドル21も開く方向に移動し保持されている。なお、操作ハンドル21は付勢部材22によっても開く方向に付勢されている。付勢部材22と付勢部材32の何れかが故障したとしても他の付勢部材により操作ハンドル21は開く方向に付勢され、第1回動部15の第2回動部26に対する回動が抑制されたまま保持されるようになっている。
【0043】
操作ハンドル21を閉じると、
図8に示すように、当接部21aが回動し、ロッド20を押して、ロッド20を第1通路15a側に移動させる。このロッド20の移動により、
図5に示すように、移動部材31は付勢部材32の付勢力に抗して第2回動部26側に移動し、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bの係合状態が解除され、2ヵ所の連結部55,55において、夫々、第1回動部15と第2回動部26は相対的に回動することができる。
【0044】
また、移動部材31が
図5に示すように移動されると、ロッド45が操作部8側とは反対側の第3腕部材4側に押され、第2腕部材3と第3腕部材4間における第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bの係合状態も同時に解除されて、被支持部材の位置を変えることができる。
【0045】
この際、
図1に示すように、被支持部材の近傍に操作部8を設けるとともに、操作部8に鍔状の落下防止部8aを設けたことにより、操作ハンドル21を閉じた状態で、例えば操作部8を握り損ねて操作部8を落下させたとしても、落下防止部8aが拳に当たり、操作部8の落下を阻止することが出来るようになっている。また、操作部8を離せば、付勢部材22,32により操作ハンドル21が開き、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bの係合状態が回復し、被支持部材の移動が阻止される。
【0046】
このように、片手で操作ハンドル21を開閉するだけで各回動部の回動状態を制御することができるために被支持部材の移動を容易に行うことが出来る。
【0047】
また、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bを係合させて第1回動部15と第2回動部26との相対的な回動を抑制するようにしたことにより、係合状態を確実に保持することが出来る。
【0048】
ロッド20における当接面20aの軸線に対する角度αを第2円筒部35における当接面35aの軸線X1に対する角度βよりも小さく設定したことにより、操作ハンドル21での操作力が比較的小さくても付勢部材32の付勢力に抗して移動部材31やロッド20,45等を移動させることができる。
【0049】
従来の支持装置101に医療用呼吸器のチューブを取付けて使用した場合には、褥創予防等のために介助者が患者の体勢を変える際に、固定部材108から一旦医療用呼吸器のホースを外した後に患者の体勢を変え、その後、固定部材108の位置を調整し各締め部材110を締め上げて支持装置101の固定部材108の位置を固定した後に固定部材108に医療用呼吸器のホースを取り付ける必要があり、作業に時間がかかるという問題点がある。
【0050】
また、患者の体勢を変える際には医療用呼吸器のチューブが抜けたりチューブで怪我をしないように慎重に患者を移動させる必要があるため、中腰での長時間作業となり介助者の腰痛の一因となっていた。
【0051】
それに対し本願の支持装置1は、
図1に示すように、介助者が片手で医療用呼吸器のチューブ10を移動させながら他方の手で褥創予防等のために患者の体勢を変えたりすることなどができるため、介助者の作業時間を従来の支持装置101と比較して大幅に短縮することができ、介助者の中腰状態での作業時間を短縮し介助者の負担を減らすことが出来るとともに、短時間で作業が終わることで患者への負担も減らすことが出来る。また、緊急事態においても迅速に対応することが出来る。
【0052】
なお、支持装置1を構成する各部材の材質としては、鋼材、プラスチック、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等を用いることができる。
【0053】
また、
図15に示すように、操作部8にロック手段であるストッパ51を回動可能に設けて、操作ハンドル21が開いた状態でストッパ51を操作ハンドル21と当接するまで回動させることにより、操作ハンドル21を誤って閉じることを防止するようにしてもよい。なお、ロック手段と操作ハンドル21とを係合することで操作ハンドル21の開状態を保持することができれば、任意の機構を用いることができる。
【0054】
また、
図16に示すように、操作部8の握り部8bに人差し指や中指等を挿通できる指挿通部8cを設け、握り部8bを握った際にこの指挿通部8cに他の指を挿通することで操作ハンドル21を閉じた際に指を操作ハンドル21と握り部8bとの間で挟み込むことを防止するようにしてもよい。
【0055】
また、操作部8の操作ハンドル21をその軸線を中心として周方向に回動できるようにするとともに、操作ハンドル21を周方向の任意の位置においてその状態を保持できるようにしてもよい。
【0056】
操作ハンドル21の開いた状態の開き角度を使用者の手の大きさに応じて変更できるようにしてもよい。
【0057】
[実施例2]
上記実施例1の支持装置1は医療用呼吸器のチューブ10を被支持部材としこれを支持できるようにしたが、これ以外にも、本・雑誌類、液晶テレビ、パソコン等の表示器、タブレット端末、ハンドライト等の照明器具、収納部材、マイク、デジタルルーペ等の拡大鏡、溶接トーチ等の各種工場ツール、トレイなど様々なものを被支持部材とし、固定部材12を夫々の被支持部材が支持できるように形成してもよい。
【0058】
例えば、
図17に示すように、固定部材12に被支持部材である液晶テレビ60を取付けできるように形成し、ベッド、キッチン、医療現場などで使用することができる。
【0059】
また、
図18に示すように、固定部材12を被支持部材であるトレイ61を取付けできるように形成し、工場内等において支持装置1を工具入れ等に取付金具50で固定し固定部材12にトレイ61を取付け、そのトレイ61の上に工具や部品等を載置しトレイ61の位置を任意に動かしながら製品の組立てや設備の補修などを行うことができる。
【0060】
また、支持装置1を車いすに取付け、固定部材12に被支持部材である収納部材を取り付け、この収納部材内に車いす使用者の荷物などを収納することができる。
【0061】
また、キッチンで、固定部材12に被支持部材である本、レシピ、タブレット端末等を取付け、その被支持部材の位置を任意の位置に動かし、それらを見ながら料理をすることができる。
【0062】
その他の構造は、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0063】
本実施例2においても実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0064】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、第1回動抑制部材18を第1回動部15に固設したが、
図19に示すように、第1回動抑制部材18を、第1回動部15に対して回動可能に設けるとともに、挟持板52と第1回動部15で挟持し、挟持板52と第1回動抑制部材18との間、又は/及び、第1回動部15と第1回動抑制部材18との間の摩擦力により、第1回動抑制部材18の第1回動部15に対する回動を抑制するようにしてもよい。
【0065】
その他の構造は、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
本実施例3においても実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
【0067】
本実施例3では、更に、挟持版52と第1回動抑制部材18との間、又は/及び、第1回動部15と第1回動抑制部材18との間の摩擦力を所定値に設定することにより、連結部55の回動方向に所定以上の負荷がかかると上記摩擦力に抗して第1回動抑制部材18が、第1回動部15に対して回動し、連結部55での損傷を抑えることができる。
【0068】
[実施例4]
実施例1〜3では、第3腕部材4の先部に取付金具50を、第3腕部材4の軸線を中心として常に回動できるようにしたが、
図20に示す本実施例4の取付金具50Aは、操作部8の非操作時には回動が抑制され、操作部8を操作することにより回動できる連結部62を有するものである。
【0069】
本実施例4の取付金具50Aは、
図20に示すように、実施例1の第1回動部15と同様の構造を有する第1回動部15Aと、実施例1の第2回動部26と同様の構造を有する第2回動部26Aを有し、実施例1と同様に空間30の軸線X1を中心として相対的に回動することが出来るようになっている。第1回動部15Aには、実施例1と同様に第1回動抑制部材18が固設され、第2回動部26A内には、実施例1の移動部材31と同様の構造を有する移動部材31Aが、軸線X2方向に移動可能に設けられている。移動部材31Aには、第2回動抑制部材40が固設されている。なお、第1回動抑制部材18を、第1回動部15Aに固設せず、実施例3のように、挟持板52と第1回動部15で挟持するようにしてもよい。
【0070】
第3腕部材4の中空内には、摺動部材であるロッド61が挿通され、ロッド61の一端には、第3腕部材4の取付金具50Aとは反対側に設けた移動部材31における第2円筒部35の当接面35aに対応した傾斜面61aが形成されている。
【0071】
ロッド61の他端には、その軸線と直交する平面状の当接面61bが形成され、この当接面61bと当接する移動部材31Aの第1円筒部33の当接面33Aも、同様に、軸線と直交するように形成されている。
【0072】
第1回動部15A、第2回動部26A、移動部材31A、第1回動抑制部材18、第2回動抑制部材40、付勢部材32等で、連結部62が構成されている。
【0073】
その他の構造は、実施例1〜3と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
本実施例4においても上記実施例1〜3と同様の作用、効果を奏するとともに、操作部8の非操作時には、第3腕部材4の軸線を中心とする回動が抑制され、操作部8を操作することにより、第3腕部材4の軸線を中心とする回動が可能になる。
【0075】
[実施例5]
実施例1〜4においては、操作部8の開閉操作により、ロッド20,45,61を機構的に移動させて、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bを係合・解除するようにしたが、操作部8の開閉操作により、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bを係合・解除することが出来れば、ロッド20,45,61の代わりに、油圧や空気圧等の任意の手段を用いて行うようにしても良い。
【0076】
その他の構造は、実施例1〜4と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
本実施例5においても実施例1〜4と同様の作用、効果を奏する。
【0078】
[実施例6]
実施例1〜5においては、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bの係合により、空間30の軸線X1,X2を中心として、第1回動部15,15Aの第2回動部26,26Aに対する回動を抑制するようにしたが、両係合部19,40bを設けずに、第1回動抑制部材18と第2回動抑制部材40間に摩擦材を設けたり、第1回動抑制部材18と第2回動抑制部材40間に所定の摩擦抵抗を持たせて、第1回動抑制部材18と第2回動抑制部材40間を当接させた際に、第1回動部15,15Aの第2回動部26,26Aに対する回動を抑制するようにしてもよい。
【0079】
その他の構造は、実施例1〜5同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
本実施例6においても実施例1〜5と同様の作用、効果を奏する。
【0081】
[実施例7]
上記実施例1〜6においては、全ての連結部55,62において、操作部8を操作することにより回動可能とするとともに、操作部8の非操作時には、回動が抑制されるようにしたが、全ての連結部55,62において、操作部8の非操作時に回動可能とするとともに、操作部8を操作することにより、回動が抑制されるようにしてもよい。
【0082】
例えば、
図21,
図22に示すように、第1回動部15,15A内に、第2回動抑制部材40を固設した移動部材31Bを軸線方向に移動可能に設け、第2回動部26,26A内に第1回動抑制部材18を固設し、実施例1〜6とは、移動部材31と第1回動抑制部材18の位置を逆に設けてもよい。なお、移動部材31Bは、第1円筒部33の先部と第2円筒部35の先部の何れも円錐状の当接面33aとした点が実施例1の移動部材31と異なる。
【0083】
本実施例7は、付勢部材32Aにより、第2回動抑制部材40を、操作部8側方向、すなわち、第1回動抑制部材18から離間する方向に付勢するようになっている。
【0084】
その他の構造は、実施例1〜6同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
本実施例7では、操作部8の非操作時には、
図21に示すように、付勢部材32Aの付勢力により、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bが離間して、全ての連結部55,62での回動が可能となる。
【0086】
また、操作部8を閉操作すると、
図22に示すように、付勢部材32Aの付勢力に抗して、ロッド20,45,61が移動して、第1回動抑制部材18の係合部19と第2回動抑制部材40の係合部40bが係合して、全ての連結部55,62での回動が抑制される。
【0087】
なお、
図23に示すように、操作部8にロック手段であるストッパ65を回動可能に設けて、操作ハンドル21が閉じた状態でストッパ65を操作ハンドル21と係合する位置まで回動させ、操作ハンドル21の閉状態を保持することができるようにしてもよい。なお、ロック手段と操作ハンドル21とを係合することで、操作ハンドル21の閉状態を保持することができれば、任意の機構を用いることができる。
【0088】
本実施例7においても上記実施例1〜6と同様の作用、効果を奏する。
【0089】
本実施例7においては、更に、操作部8の非操作時に、全ての連結部55,62での回動を可能とするとともに、操作部8を操作することにより、全ての連結部55,62での回動を抑制するようにしたことにより、溶接トーチなど被支持部材の位置を頻繁に変更し、被支持部材の使用時においては、その位置を固定する必要がある被支持部材を支持する場合において好適である。
【0090】
[実施例8]
実施例1〜7においては、腕部材を3本設けその連結部55,55は2箇所であるが、腕部材を3本以上直列に連結するとともに、その連結部が2箇所以上であれば腕部材の数、連結部の数は任意に設定することが出来る。例えば、
図24に示すように、腕部材2,3,4,71を4本直列に連結してもよい。
【0091】
また、腕部材2,3,4,71は、実施例1〜7のように直線状ではなく、緩やかな円弧状に湾曲した形状に形成してもよい。
【0092】
その他の構造は、実施例1〜7と同様であるので、その説明を省略する。
【0093】
本実施例8においても実施例1〜7と同様の作用、効果を奏する。