(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ラベルプリンタは、例えば、ロール状に巻かれた連続紙の長手方向一端をサーマルヘッドとプラテンローラとの間に挟み込んだ状態でプラテンローラを回転させることにより連続紙をシート状に繰り出して搬送する途中において、連続紙を構成する長尺状の台紙に仮着された複数枚のラベルの各々にサーマルヘッドにより所望の情報を印字するラベル印字専用のプリンタである。
【0003】
このラベルプリンタには、連続発行と剥離発行との2種類の発行方式がある。連続発行方式は、ラベルを台紙に仮着したまま発行する方式であり、剥離発行方式はラベルを台紙から剥がして発行する方式である。
【0004】
連続発行方式の場合は、必要枚数のラベルが貼られた台紙を切断処理により作成しておき、現場でラベルを台紙から剥がして貼り付けることができるので、ラベルを貼り付ける対象物がプリンタから離れた場所にある場合に適している。
【0005】
一方、剥離発行の場合は、ラベルが1枚ずつ台紙から剥がれた状態で排出されるのでラベルを貼り付ける対象物が作業者の近くにある場合に適している。剥離発行に際しては、プリンタに装着された剥離ユニットを剥離発行位置に設置するとともに、台紙の長手方向一端側を、剥離ピンを介して折り曲げてから剥離ユニットのニップローラとプラテンローラとの間に挟み込んだ状態に設定する。これにより、印字のためにプラテンローラを回転させ連続紙を搬送すると、台紙はニップローラとプラテンローラとに挟まれた状態で搬送される一方、印字後のラベルは1枚毎に台紙から剥がされて機外に排出される。
【0006】
ここで、このようなプリンタにおいては、必要に応じてラベルを迅速に発行することができる機動性が求められるため、小型であることが要求される。
【0007】
なお、特開2005−035180号公報には、印字装置と供給ユニットとを相互に着脱可能にすることにより、機動的なプリンタを得る技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1(a)は本実施の形態に係るプリンタの連続発行状態の全体斜視図、
図1(b)は本実施の形態に係るプリンタの剥離発行状態の全体斜視図、
図2は開閉カバー部の開放状態における
図1のプリンタおよび連続紙の全体斜視図、
図3は
図1のプリンタを構成する機能ユニット部の分解斜視図、
図4は
図1のプリンタの本体ケースとフロントカバー部と機能ユニット部との分解斜視図、
図5は
図1のプリンタの開閉カバー部の要部斜視図である。
【0021】
本実施の形態のプリンタ1は、
図1〜
図4に示すように、例えば、扁平な直方体形状に形成された携帯型のラベルプリンタであり、ネジによって相互に固定された本体ケース(第1の筐体部)2およびフロントカバー部(第2の筐体部)5を備えている。そして、これら本体ケース2とフロントカバー部5とによって、開閉カバー部3や剥離ユニット(剥離機構部)4などが取り付けられて構成された機能ユニット部(詳細は後述する)Yが保護されており、1台で連続発行と剥離発行との切り換えが可能な兼用型の構成を備えている。
【0022】
なお、プリンタ1は、発行口側を上に向けた状態(横置き)で使用することも可能であるが、プリンタ1の底面(本体ケース2の裏面)に設けられたベルトクリップ(図示せず)を作業者のベルトに引っかけたり、ショルダーベルト(図示せず)を装着して作業者の肩に掛けたりすることにより発行口側を横に向けた状態(縦保持)で使用することも可能である。
【0023】
本体ケース2は、プリンタ1の外形の一部を形成する筐体であり、その一面には、
図2に示すように、開口部2aが形成されている。そして、開口部2a内に機能ユニット部Yが収納されている。なお、本体ケース2の片側側面には、
図1および
図2に示すように、バッテリカバー部7が開閉可能な状態で軸支されている。このバッテリカバー部7は、後述のバッテリ収容部33(
図3,4)の開閉カバーである。
【0024】
図3に示すように、機能ユニット部Yは、ロール状の連続紙(印字媒体)Pを収容する領域である用紙収容部(印字媒体収容部)6が形成されたフレーム部Fを有している。そして、当該フレーム部Fに、開閉カバー部3、プラテンローラ(搬送ローラ)10、サーマルヘッド(印字ヘッド部)28、剥離ユニット(剥離機構部)4、制御基板ユニット(制御基板部)40などが取り付けられている。また、フレーム部Fには、電源であるバッテリ(図示せず)が収容されるバッテリ収容部(電源収容部)33が形成されている。
【0025】
ここで、フレーム部Fに形成された用紙収容部6の内部には、用紙ガイド部6aが設置されている。用紙ガイド部6aは、ロール状の連続紙Pの軸方向両端面に接触した状態でロール状の連続紙Pを回転自在の状態で支持して連続紙Pの搬送をガイドする部材であり、連続紙Pの幅(連続紙Pの短方向の長さ)に応じて位置を変えられるように連続紙Pの短方向に沿って移動可能な状態で設置されている。
【0026】
連続紙Pは、
図2に示すように、例えば、長尺状の台紙PMと、その長手方向に沿って予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを有しており、ロール状に巻回された状態で用紙収容部6内に収容される。台紙PMのラベル貼付面には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等のような剥離剤が被覆されている。また、台紙PMのラベル貼付面の裏面には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルPLの位置を示す位置検出マーク(図示せず)が形成されている。ラベルPLの表面(印字面)には、予め決められた温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。
【0027】
開閉カバー部3は、用紙収容部6を開閉するための開閉カバーであり、開閉カバー部3の長手方向一端部(フレーム部Fの長手方向中央側)がフレーム部Fに対して離間および接近する方向に移動可能なように、開閉カバー部3の長手方向他端部がフレーム部Fの長手方向一端部にヒンジ等により軸支されている。また、開閉カバー部3は、その長手方向他端側に配置されたトーションバネ(
図8,9)により開方向(開閉カバー部3の長手方向一端部がフレーム部Fから離間する方向)に付勢されている。
【0028】
この開閉カバー部3の長手方向一端部には、
図2、
図3、
図5に示すように、一対の押さえ部3a,3aが形成されている。この一対の押さえ部3a,3aは、剥離発行時において開閉カバー部3を閉止した場合に剥離ユニット4を剥離発行位置に固定するように押さえる部分であり、開閉カバー部3の幅方向(開閉カバー部3の長手方向に直交する方向)の両端側に形成されている。
【0029】
また、開閉カバー部3の長手方向一端部には、
図2〜
図5に示すように、プラテンローラ10が正逆方向に回動自在の状態で軸支されている。このプラテンローラ10は、連続紙Pを搬送する搬送手段である。プラテンローラ10のプラテン軸10aの一端には、ギア10bが接続されている。このギア10bは、開閉カバー部3の閉止時にフレーム部Fの片側側面に設置されたギア群G(
図3)に係合され、そのギア群Gを介して、同様にフレーム部Fの片側側面に取り付けられたプラテンローラ駆動用の駆動手段であるステッピングモータM(
図3)に機械的に接続されるようになっている。
【0030】
図5に詳しく示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部においてプラテンローラ10の近傍には剥離ピン11がプラテンローラ10に沿って設置されている。この剥離ピン11は、台紙PMからラベルPLを剥離する剥離部材であり、その長手方向両端側は開閉カバー部3に軸支されている。
【0031】
また、
図2、
図3、
図5に示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部において開閉カバー部3の閉止時に通紙ルートに対向する面部分には、センサ12(12a,12b)が設置されている。センサ12aは、例えば、ラベルPLの位置(上記台紙PMの位置検出マーク)を検出するセンサであり、反射型の光センサ等により構成されている。一方、センサ12bは、例えば、ラベルPLの有無(隣り合うラベルPL間の台紙PM部分等)を検出するセンサであり、透過型の光センサ等により構成されている。
【0032】
剥離ユニット4は、剥離発行時に台紙PMからラベルPLを剥がして台紙PMとラベルPLとの搬送経路を分ける機能を備えており、その長手方向一端を、プリンタ1の内部の連続発行位置と、プリンタ1の外部の剥離発行位置とに移動させることが可能な状態で設置されている。なお、剥離ユニット4の構成については後述する。
【0033】
フロントカバー部5は、
図1、
図2および
図4に示すように、本体ケース2の開口部2aにおいて開閉カバー部3の向かい側、および開閉カバー部3を開閉可能にするために当該開閉カバー部3の両側に当たる本体ケース2の両側面近傍部分を覆うように本体ケース2に固定されている。このフロントカバー部5には、表示部15と、操作ボタン16a,16bと、電源ボタン17と、カバーオープンボタン18と、一対の解除レバー部19,19と、カッタ20とが備えられている。
【0034】
表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。操作ボタン16a,16bは、プリンタ1の動作を操作するボタンであり、電源ボタン17は、プリンタ1の電源をオンオフするボタンである。
【0035】
カバーオープンボタン18は、開閉カバー部3を開くためのボタンである。解除レバー部19,19は、剥離ユニット4を連続発行位置に保持する部材であり、これらを互いに接近する方向に移動させることにより剥離ユニット4の保持状態を解除することが可能になっている。
【0036】
カッタ20は、連続発行後の連続紙Pの台紙PMを切断する部材であり、フロントカバー部5において開閉カバー部3の向かい側の先端部に設置されている。なお、開閉カバー部3とフロントカバー部5との間に発行口が形成されている。
【0037】
次に、剥離ユニット4について
図6および
図7を参照して説明する。
図6は
図2のプリンタの剥離ユニットとその周囲の要部拡大斜視図、
図7は
図6の剥離ユニットの側面図である。
【0038】
剥離ユニット4は、ニップローラ4aと、軸部4bと、一対の支持部4c,4cと、一対の板バネ4daと、ネジ4eとを備えている。
【0039】
ニップローラ4aは、剥離発行時にプラテンローラ10に当接して当該プラテンローラ10により従動回転するように配置され、ニップローラ4aとプラテンローラ10との間に挿入される台紙PMをニップローラ4aとプラテンローラ10とで挟み込み搬送する部材である。このニップローラ4aは、例えば、ゴムのような弾性部材により形成されており、一対の支持部4c,4cの長手方向一端側の間に挟持された軸部4bに回動自在の状態で軸支されている。また、ニップローラ4aは、その長さが軸部4bの全長よりも短く形成されており、軸部4bの軸方向中央に部分的に配置されている。
【0040】
一対の支持部4c,4cは、ニップローラ4aおよび軸部4bを支持する部材である。各支持部4c,4cの長手方向一端側の上部には、各支持部4c,4cの側面から外側に向かって延びる庇部4cpが形成されている。また、各支持部4c,4cの長手方向他端側には、ガイドレール孔4chが形成されている。このガイドレール孔4chは、剥離ユニット4の移動をガイドするとともに、その移動を規制する孔であり、支持部4cの長手方向に沿って長孔状に形成されている。
【0041】
一対の板バネ4da,4daは、剥離発行時に開閉カバー部3が閉じると開閉カバー部3の押さえ部3aが当接されることによりニップローラ4aをプラテンローラ10側に付勢する部材である。各板バネ4daは、各支持部4c,4cの外側側面において、支持部4cの長手方向一端側(ニップローラ4aのある側)に固定され、そこから長手方向他端側(ガイドレール孔4chのある側)に向かって湾曲状に延在し、終端部で浮遊状態になっている。なお、各板バネ4da,4daは、例えば金属により形成されており、ネジ4eにより着脱自在の状態で固定されている。
【0042】
次に、プリンタ1の内部構造について
図8を参照して説明する。
図8は剥離発行状態における
図1のプリンタの内部を側面側から透かして見せた概略構成図である。
【0043】
図8に示すように、本体ケース2の開口部2a内に収納されたフレーム部Fには、連続紙PのラベルPLに印字を施すための機構として、ヘッドブラケット27と、サーマルヘッド28(
図12参照)と、コイルバネ29(
図12参照)と、バッテリ収容部33とを備えている。
【0044】
ヘッドブラケット27は、閉止状態の開閉カバー部3を保持する部材である。このヘッドブラケット27は、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10の向かい側に、回転軸27aを中心に揺動自在の状態となって前述したフレーム部Fに設置されている。
【0045】
このヘッドブラケット27には、溝27bが形成されている。この溝27b内に、プラテンローラ10のプラテン軸10aが嵌め込まれることにより、開閉カバー部3は、ヘッドブラケット27に保持されるようになっている。
【0046】
また、ヘッドブラケット27には、押圧部27cが形成されている。この押圧部27cは、
図1に示したカバーオープンボタン18に対向する位置(直下)に配置されており、カバーオープンボタン18を押すと押圧部27cも押され、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が解除されるようになっている。そして、この開閉カバー部3の保持状態が解除されると、開閉カバー部3は、その長手方向他端側に配置されたトーションバネ35の付勢力により自動的に開くようになっている。
【0047】
サーマルヘッド28は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報をラベルPLに印字する印字手段であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10に対向するようにサーマルヘッド28の印字面を通紙ルートに向けた状態で回路基板36を介してヘッドブラケット27に実装されている。サーマルヘッド28の印字面には、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)が連続紙Pの幅方向(台紙PMの短方向)に沿って並んで設置されている。なお、回路基板36は、サーマルヘッド28に印字信号を伝送する配線基板である。
【0048】
コイルバネ29(
図12参照)は、開閉カバー部3の閉止時にヘッドブラケット27およびサーマルヘッド28をプラテンローラ10側に付勢する部材であり、ヘッドブラケット27の背面側(回路基板36の実装面の裏面)に設置されている。このコイルバネ29の付勢力によりヘッドブラケット27がプラテンローラ10側に押されるので、ヘッドブラケット27の溝27b内に嵌り込んだプラテン軸10aもしっかりと押さえられ、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が維持されている。
【0049】
バッテリ収容部33はバッテリが収容される箇所であり、このバッテリ収容部33にバッテリを収容して電極(図示せず)と接続することにより、ステッピングモータM、サーマルヘッド28、制御基板ユニット40(後述する)、センサ12、表示部15、操作ボタン16a,16bなどに、電源ボタン17をオンすることにより電源が供給される。
【0050】
図3、
図8に示すように、フレーム部Fの開閉カバー部3の取り付け位置と反対側には、制御基板ユニット40が取り付けられている。この制御基板ユニット40には、プリンタ1の動作を制御するための電子基板が実装されており、操作者による操作ボタン16a,16bを用いた入力操作の内容やセンサ12の検出情報に応じて、例えばステッピングモータMを介してプラテンローラ10の回転動作が制御され、例えばラベルPLに印字を行うサーマルヘッド28の印字動作が制御される。
【0051】
このように、本実施の形態におけるプリンタ1は、印字機能を有する機能ユニット部Yを本体ケース2およびフロントカバー部5という筐体から独立した構成としてモジュール化し、当該機能ユニット部Yを保護するようにして(挟み込むようにして)本体ケース2とフロントカバー部5とを固定している。
【0052】
よって、プリンタ1の組み立て時においては、フレーム部Fに、開閉カバー部3、プラテンローラ10、サーマルヘッド28、剥離ユニット4、制御基板ユニット40などの機能部品を組み付けていくことで、モジュール化された機能ユニット部Yが得られる。つまり、ベースとなるフレーム部Fに対して、様々な任意の方向からプラテンローラ10などの機能部品を組み付けていくことで機能ユニット部Yが完成する。
【0053】
したがって、本体ケース2をベースにした場合には、本体ケース2という箱の中に機能部品を組み込んでいかなければならないために組み立てにくくなるのに比べて、プリンタ1の組み立て時における作業性が向上する。
【0054】
また、本実施の形態におけるプリンタ1は、このようにベースとなるフレーム部Fに開閉カバー部3、プラテンローラ10、サーマルヘッド28、剥離ユニット4、制御基板ユニット40などの機能部品を組み付けているので、機能部品を順次積み上げるようにして組み立てる場合には機能部品の累積公差により部品相互間の位置精度が悪化するのに比べて、プリンタ1を構成する部品相互間の位置精度を良好にすることが可能になる。
【0055】
さらに、本実施の形態におけるプリンタ1は、フレーム部Fに、開閉カバー部3やプラテンローラ10などの機能部品を組み付けて機能ユニット部Yを構成しているので、当該機能ユニット部Yだけで印字動作を行うことができる。例えば、本実施の形態のプリンタ1では、プラテンローラ10を備えた開閉カバー部3が機能ユニット部Yにあり、開閉カバー部3を閉じたときのプラテンローラ10の対向位置にサーマルヘッド28があるので、剥離発行と連続発行とを切り換えて印字動作を行うことができる。
【0056】
よって、プリンタ1の製造時における動作確認(テスト動作)をプリンタ1の完成途中で行うことができるので、その時点で動作の不具合をチェックすることができ、不具合の対策を容易に実行することができる。
【0057】
そして、バッテリ収容部33がフレーム部Fに形成されているので、バッテリからの配線引き回し長を最短化することができる。
【0058】
次に、本体ケース2と機能ユニット部Yとフロントカバー部5との取付構造について、
図4、
図9〜
図11を用いて説明する。
図9は本体ケースの底面図、
図10は機能ユニット部の底面図、
図11は機能ユニット部を制御基板ユニットが取り付けられる方向から見た正面図である。
【0059】
本実施の形態においては、前述のように、本体ケース2とフロントカバー部5とが4カ所でネジにより固定されることにより機能ユニット部Yを挟み込んだ構造となっている。
【0060】
図9に示すように、本体ケース2の裏面には、本体ケース2とフロントカバー部5とをネジ固定するためのネジが挿入されるネジ孔50が4カ所形成されている。詳しくは、用紙収容部側の両側に2カ所のネジ孔(第1のネジ孔)50aが、表示部側(つまり、用紙収容部6の反対側)の両側に2カ所のネジ孔(第2のネジ孔)50bが、それぞれ形成されている。なお、ネジ孔50bの内側には、図示しないベルトクリップやショルダーベルト等のプリンタ携行部材を取り付けるためのネジが貫通する2カ所のネジ貫通孔50cが形成されている。
【0061】
図4に示すように、本体ケース2の開口部2aの側壁近傍には、ネジ孔50a,50bに差し込まれたネジの挿入方向を案内するためのガイド筒51a,51bがネジ孔50a,50bと連通してそれぞれ形成されている。
【0062】
また、
図4および
図10に示すように、機能ユニット部Yを構成するフレーム部Fの短方向の両端には、機能ユニット部Yを本体ケース2に収納した際にネジ孔50aに対応したガイド筒51aの先端面に当接するリブ(板状片)52が形成されている。そして、当該リブ52には、ネジ孔50aに挿入されてガイド筒51aから突き出たネジが貫通する貫通孔52aが形成されている。
【0063】
さらに、本体ケース2の開口部2aにおけるガイド筒51bの近傍の底面には、周辺よりも高さの高くなった段差部2bが形成されている。そして、フレーム部Fには、機能ユニット部Yを本体ケース2に収納した際に当該段差部2bに当接するフランジ53が形成されている。
【0064】
したがって、用紙収容部側では、本体ケース2とフロントカバー部5とで機能ユニット部Yを挟み込むとともにフレーム部Fの貫通孔52aを貫通したネジによりフレーム部Fを介して本体ケース2とフロントカバー部5とが固定される。一方、表示部側(用紙収容部6の反対側)では、本体ケース2とフロントカバー部5とで機能ユニット部Yを挟み込んだ状態で、ネジにより本体ケース2とフロントカバー部5とが直接固定される。
【0065】
そして、収納された機能ユニット部Yは、その底面が本体ケース2と隙間なく接した状態となるのではなく、フレーム部Fのリブ52がガイド筒51aの先端に当接し、フランジ53が段差部2bに当接することにより、本体ケース2と機能ユニット部Yとの間に隙間が形成された状態となる。なお、当該隙間には、落下衝撃等を吸収するための緩衝材を入れてもよい。
【0066】
そして、このような隙間により、落下衝撃など外力が加わった際、その外力が本体ケース2の変形等によって吸収されるので、機能ユニット部Yには伝わりにくくなる。したがって、外力によるフレーム部Fに取り付けられた部品間の位置ずれの発生が緩和されるとともに、本体ケース2が破損したときの交換が容易になる。
【0067】
なお、本体ケース2とフロントカバー部5とを固定するためのネジには、例えば先端に切れ込みが入ったタップネジを用いることができる。この場合、ネジ先端をフロントカバー部5の内側に形成されたネジ受け孔(図示せず)に押し込みながら閉めていくことで、当該ネジ受け孔にネジ溝が形成されていく。
【0068】
図10および
図11に示すように、フランジ53を跨ぐようにして、ベルトクリップやショルダーベルト等のプリンタ携行部材をネジ固定するための2カ所のネジ孔54aが形成された金属製の携行部材固定プレート(携行部材固定板)54がフレーム部Fに取り付けられている。ネジ孔54aは、前述した本体ケース2に形成されたネジ貫通孔50cに対向した位置に形成されており、ネジ貫通孔50cから挿入されたネジがネジ孔54aに締め付けられる。
図11に詳しく示すように、携行部材固定プレート54は、長手方向の両端がフレーム部Fにはめ込まれており、板バネのように弾性変形が可能となっている。
【0069】
したがって、ベルトクリップ等が携行部材固定プレート54に取り付けられたとき、作業者の動きによりベルトクリップ等を介して伝達される振動は、携行部材固定プレート54の弾性変形によって大幅に吸収される。これにより、フレーム部Fやフレーム部Fに取り付けられた開閉カバー部3やプラテンローラ10、サーマルヘッド28、剥離ユニット4、制御基板ユニット40などには振動が直接伝わらなくなるので、ベルトクリップ等からの振動に起因する不具合の発生が緩和される。
【0070】
次に、プリンタ1の連続発行および剥離発行について
図12(a),(b)を参照して説明する。
図12(a)は
図1(a)の連続発行時のプリンタの概略構成図、
図12(b)は
図1(b)の剥離発行時のプリンタの概略構成図である。
【0071】
連続発行および剥離発行のいずれの場合も印字工程においては、用紙収容部6から繰り出された連続紙Pをサーマルヘッド28とプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態でプラテンローラ10を回転させることにより連続紙Pを搬送する。この搬送の際、センサ12により検出された情報に基づいて印字タイミングを図り、サーマルヘッド28に送信された印字信号によりサーマルヘッド28の発熱抵抗体を選択的に発熱させて連続紙PのラベルPLに所望の情報を印字する。
【0072】
ここで、連続発行においては、
図12(a)に示すように、剥離ユニット4をプリンタ1の内部の連続発行位置に配置する。印字後のラベルPLは、台紙PMから剥がされることなく排出される。連続発行の場合、必要枚数のラベルPLが貼られた台紙PMを作成しておき、現場でラベルPLを台紙PMから剥がして貼り付けることができるので、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1から離れた場所にある場合に適している。
【0073】
一方、剥離発行においては、
図12(b)に示すように、剥離ユニット4を剥離発行位置に配置するとともに、台紙PMを剥離ピン11を介して剥離ユニット4のニップローラ4aとプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態にする。これにより、印字のためにプラテンローラ10を回転させ連続紙Pを搬送すると、台紙PMはニップローラ4aとプラテンローラ10とに挟まれた状態で搬送される一方、印字後のラベルPLは1枚毎に台紙PMから剥がされて機外に排出される。剥離発行の場合、ラベルPLが1枚ずつ排出されるので、ラベルPLを貼り付ける対象物が作業者の近くにある場合に適している。
【0074】
本実施の形態のプリンタ1においては、連続発行と剥離発行とを切り換えることができ、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1に近い場合と遠い場合との2つの状況に1台で対応できるので使い勝手が良く経済的である。
【0075】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0076】
例えば、前記実施の形態においては、連続発行と剥離発行との両方に使用可能な兼用型のプリンタに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、剥離発行のみ、または連続発行のみに使用可能なプリンタに適用することもできる。
【0077】
また、前記実施の形態においては、印字媒体として複数枚のラベルを台紙に仮着した連続紙を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、一方面に粘着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)、粘着面を有しない連続状のシート(連続シート)あるいは紙類に限らずサーマルヘッドにより印字可能なフィルム等を印字媒体として使用することもできる。台紙無しラベル、連続シートまたはフィルムは位置検出マークを設けることができる。また、粘着剤が露出する台紙無しラベルなどを搬送する場合には、搬送路を非粘着剤で被覆するとともにシリコーンなど含有した非粘着ローラを設けることができる。