(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132953
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】攪拌粉砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 17/04 20060101AFI20170515BHJP
B02C 17/00 20060101ALI20170515BHJP
B02C 17/14 20060101ALI20170515BHJP
B01F 9/22 20060101ALI20170515BHJP
B01F 15/06 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
B02C17/04 Z
B02C17/00 A
B02C17/14 Z
B01F9/22
B01F15/06 Z
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-80562(P2016-80562)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-64694(P2017-64694A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0137685
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516111281
【氏名又は名称】ケイエム テック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李建儀
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平4−40245(JP,A)
【文献】
特開2008−6411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00− 7/18
B02C 15/00−17/24
B01F 9/00−13/10
B01F 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を収容する容器と、
前記容器の外周面を囲む形状に配置されるリングと、
仮想直線上に配置され、前記リングに結合して、前記リングと共に前記仮想直線を中心にして回転可能な第1軸と、
前記仮想直線に垂直な任意の直線上に配置され、前記容器の外周面と前記リングとを連結し、前記容器や前記リングのうちの少なくともいずれか一つと前記任意の直線を中心にして相対的な回転が可能に連結される第2軸と、
一側は前記仮想直線と前記任意の直線の交点を通り前記仮想直線と前記任意の直線にそれぞれ垂直な他の任意の直線を中心にして回転し、他側は前記他の任意の直線から離隔した地点で前記容器の下面に結合し、前記容器の下面と相対的な回転が可能に結合する支持台とを含むことを特徴とする攪拌粉砕機。
【請求項2】
前記第1軸には往復回転運動を入力として用いることができる機構が結合することを特徴とする請求項1に記載の攪拌粉砕機。
【請求項3】
前記機構は、シリンダー、一端が前記第1軸に連結されて前記シリンダー内部で往復運動をするロッドおよび前記ロッドに結合して材料が収容されるケースを含むことを特徴とする請求項2に記載の攪拌粉砕機。
【請求項4】
前記機構は、材料が収容されるチューブおよび前記第1軸に結合して前記チューブが収容されるチャンバーを含むことを特徴とする請求項2に記載の攪拌粉砕機。
【請求項5】
内部に前記材料を収容して前記容器に設置されることによって、前記材料が前記容器に収容されるようにする内部容器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の攪拌粉砕機。
【請求項6】
前記内部容器は、長さが断面の直径より長く形成され、長さ方向が前記交点と前記支持台が前記容器の下面に結合した地点を通る直線に交差するように配置されて前記容器に収容できる大きさに形成されることを特徴とする請求項5に記載の攪拌粉砕機。
【請求項7】
前記容器の壁体内部には外部から冷却水の供給を受ける流路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の攪拌粉砕機。
【請求項8】
前記流路は外部から前記第1軸、前記リングおよび前記第2軸に沿って延長されて前記容器の壁体内部に形成されることを特徴とする請求項7に記載の攪拌粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は攪拌粉砕機に関し、より詳しくは多様な機能を同時に遂行することができる多機能攪拌粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
撹拌機は、化学実験や製造化学工業で気体、液体または固体(粒子)状の物体をかき混ぜる機構であり、粉砕機は、固体を破砕して微細な粉末を得る機構である。一般には、このような撹拌機および粉砕機は高速で回転して作動するので、遠心力が発生して材料が均等に攪拌されなかったり、気泡が発生して材料の品質が低下したりするという問題がある。また、このような撹拌機および粉砕機は比較的高価であるため、用途に合う機構をそれぞれ備えるためには費用が多くかかるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記課題を解決するために、本発明の目的は、攪拌効率や粉砕効率を向上させることができる攪拌粉砕機を提供することにある。
本発明の他の目的は、多様な機能を同時に遂行することができる攪拌粉砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る攪拌粉砕機は、材料を収容する容器と、前記容器の外周面を囲む形状に配置されるリングと、仮想直線上に配置され前記リングに結合して前記リングと共に前記仮想直線を中心にして回転可能な第1軸と、前記仮想直線に垂直な任意の直線上に配置され前記容器の外周面と前記リングとを連結し、前記容器や前記リングのうちの少なくともいずれか一つと前記任意の直線を中心にして相対的な回転が可能に連結される第2軸と、一側は前記仮想直線と前記任意の直線の交点を通り前記仮想直線と前記任意の直線にそれぞれ垂直な他の任意の直線を中心にして回転し他側は前記他の任意の直線から離隔した地点で前記容器の下面に結合し、前記容器の下面と相対的な回転が可能に結合する支持台とを含むことができる。
【0005】
このとき、前記第1軸には往復回転運動を入力として用いることができる機構が結合する。
ここで、前記機構は、シリンダーと、一端が前記第1軸に連結されて前記シリンダー内部で往復運動をするロッドと、前記ロッドに結合して材料を収容するケースと、を含むことができる。
【0006】
また、前記機構は、材料が収容されるチューブと、前記第1軸に結合して前記チューブが収容されるチャンバーと、を含むこともできる。
一方、内部に前記材料を収容して前記容器に設置されることによって、前記材料が前記容器に収容される内部容器をさらに含むことができる。
【0007】
このとき、前記内部容器は、長さが断面の直径よりも長く形成され、長さ方向が前記交点と前記支持台が前記容器の下面に結合した地点を通る直線に交差するように配置されて前記容器に収容できる大きさに形成される。
【0008】
また、前記容器の壁体内部には、外部から冷却水の供給を受ける流路を形成することができる。
このとき、前記流路は、外部から、前記第1軸、前記リングおよび前記第2軸に沿って延長されて前記容器の壁体内部に形成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る攪拌粉砕機は、容器を回転させることによって、容器に収容された材料を攪拌することができる。
また、初期にある一方向に向かっている容器の外周面が容器回転中でも継続して同じ方向に向かうようにすることによって、容器の内部に収容された材料が遠心力によって容器の内部のうち外側だけで停滞する現象を防止して、攪拌効率を向上させることができる。
【0010】
また、容器にビードも入れることによって、容器に収容された材料を粉砕することができる。
また、容器に連結された第1軸に他の種類の機構を結合することによって、一つの攪拌粉砕機で多様な機能を同時に遂行することができる。
【0011】
また、容器の壁体内部に外部から冷却水の供給を受ける流路を形成することによって、容器内部の過熱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る攪拌粉砕機の斜視図である。
【
図2】
図1においてケーシングの一部が除去された状態を示した斜視図である。
【
図3】
図2において第1機構をA方向から見た状態を示した正面図である。
【
図4】
図2において第1機構をB方向から見た状態を示した側面図である。
【
図5】
図2において第1機構をC方向から見た状態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る攪拌粉砕機の斜視図である。
図1を参照すれば、攪拌粉砕機は、第1機構100と、第2機構200と、第3機構300と、ケーシング400と、を含む。
【0014】
第1機構100、第2機構200および第3機構300はそれぞれ攪拌や粉砕などの機能を遂行する。ケーシング400には、第1機構100が作動する間に第1機構100の容器110に収容された材料が外部に離脱するのを防止するためのカバー410が形成され、第1機構100、第2機構200および第3機構300を操作するための操作部420を設置することもできる。もちろん、ケーシング400は、
図1で示されたものとは異なり、カバー410を形成しなかったり操作部420を設置しないなど異なる形状からなることもできる。
【0015】
図2は、
図1においてケーシング400の一部が除去された状態を示した斜視図であり、
図3は、
図2において第1機構をA方向から見た状態を示した正面図であり、
図4は、
図2において第1機構をB方向から見た状態を示した側面図であり、
図5は、
図2において第1機構をC方向から見た状態を示した平面図である。
【0016】
図2乃至
図5を参照すれば、第1機構100は、容器110、リング120、第1軸130、第2軸140、支持台150、均衡錘160および内部容器170を含む。
容器110には、攪拌や粉砕される材料が収容される。
図2において、容器110は、上面が開放された円柱のような形状に示されているが、その内部に前記材料が収容できるものであれば、四角柱などのような他の形状に形成することもある。
【0017】
リング120は、容器110の外周面を囲む形状に配置される。
図2において、リング120は円形状となっているが、四角形などのように他の形状に形成することもある。
第1軸130は、仮想直線(以下、X1)上に配置され、X1を中心にして回転することができる。また、第1軸130はリング120に結合し、リング120と共にX1を中心にして回転することができる。
【0018】
第2軸140は、X1に垂直な任意の直線(以下、X2)上に配置され、容器110の外周面とリング120とにそれぞれ結合して、容器110の外周面とリング120とを互いに連結する。このとき、第2軸140は容器110の外周面やリング120のうちの少なくともいずれか一つとX2を中心にして相対的な回転が可能に結合する。
【0019】
支持台150の平らな部151はモータMに結合して、X1とX2との交点(以下、P)を通りながらX1とX2とにそれぞれ垂直な他の任意の直線(以下、X3)を中心にして回転することができる。支持台150の傾斜部152は、X3から離隔した地点で容器110の下面に結合する。このとき、傾斜部152は、Pと容器110の下面に結合した前記地点とを通る直線(以下、X4)を中心にして相対的な回転が可能に結合する。
【0020】
均衡錘160は、支持台150の平らな部151を基準に傾斜部152と向き合う方向に配置される。均衡錘160は、支持台150の左右の重量バランスを合わせて、支持台150がX3を中心にして回転するとき、振動や騒音を減らし、第1機構100の全体的な安定性を図る役割を果たす。
【0021】
前述した第1機構100の各構成間の結合関係に基づいて、第1機構100の作動について説明する。
まず、モータMが作動すれば、支持台150はX3を中心にして回転する。これによって、支持台150に結合した容器110もX3を中心にして回転する。ただし、容器110は外周面が第2軸140によってリング120に連結されており、リング120は第1軸130に結合しており、第1軸130はX3を中心にして回転しないので、初期にある一方向に向かっている容器110の外周面は容器110がX3を中心にして回転する間でも継続して同じ方向に向かうことになる。このとき、X3とX4とのなす鋭角がθであれば、リング120、第1軸130および第2軸140はX1を中心にして時計方向と反時計方向にそれぞれθほどずつ往復回転運動をする。
【0022】
このように、容器110がX3を中心にして回転することによって、容器110に収容された前記材料が攪拌される。また、前述したように、初期にある一方向に向かっている容器110の外周面は容器110がX3を中心にして回転する間でも継続して同じ方向に向かっているため、前記材料が遠心力によって容器110の内部のうちのX3から遠い一側だけで停滞する現象を防止することができる。したがって、容器が単にX3を中心にして空転だけをする方式(例えば、容器と支持台とが互いに相対的に回転が不能に結合して、容器がX3を中心に特定の角度ほど回転すれば、初期にある一方向に向かっていた容器の外周面もその角度ほど回転した方向に向かうようになる方式)と比較すれば、攪拌効率を向上させることができる。
【0023】
一方、容器110にビードも入れると、前記材料が容器110の内面とビードとの間で衝撃を受けたり、ビードとビードとの間で衝撃を受けたりすることによって粉砕される。
前記材料は、容器110に直接収容することもできるが、別途の内部容器170に収容され、内部容器170は容器110に脱着可能に設けることもできる。
【0024】
これによって、容器110から前記材料を取り出しやすくなり、かつ前記材料の残余物の洗浄が容易になる。
一方、内部容器170は、長さを断面の直径より長く形成することができる。また、内部容器170は、長さ方向がX4に並んで配置されて容器110に収容されることもあり、長さ方向がX4に交差するように配置されて容器110に収容可能な大きさに形成されることもある。このとき、内部容器170がX3に略垂直に配置されて容器110に収容されるほど、前記材料は内部容器170の長さ方向にさらに激しく流動して、攪拌効率を向上させることができ、内部容器170にビードも入れた場合には粉砕効率を向上させることができる。反面、内部容器170がX3に略並んで配置されて容器170に収容されるほど、前記材料には気泡が少なく発生する。したがって、一つの機構で容器110に内部容器170が収容される方向を調節することによって、必要に応じて攪拌や粉砕作用にさらに有利に機構を作動させることができ、気泡の抑制にさらに有利に機構を作動させることもできる。
【0025】
一方、前記材料が急速に回転しながら攪拌や粉砕されると、その温度が上昇して、前記材料の品質が変わったり機構が過熱されたりし得る。したがって、容器110の壁体内部に冷却水が供給される。このとき、前記冷却水は、外部から、第1軸130、リング120および第2軸140に沿って延長形成された流路Fを通じて供給される。前述の通り、リング120、第1軸130および第2軸140は自分の位置でX1を中心に往復回転運動をするだけで、その位置を移動したりX3を中心にして回転したりしないので、流路Fが容器110、リング120、第1軸130または第2軸140に絡まったり互いに干渉したりせず、容器100の壁体内部に前記冷却水が安定的に供給される。
【0026】
以下、再び
図1および
図2を参照して、第2機構200および第3機構300について説明する。
図1および
図2において、第2機構200および第3機構300は冷凍粉砕機および撹拌機でそれぞれ示されているが、第1機構100の第1軸130の往復回転運動を入力として用いることができる機構であれば、第2機構200および第3機構300として使用することができる。以下、
図1および
図2に示された冷凍粉砕機および撹拌機を例として説明する。
【0027】
第2機構200は、シリンダー210、ロッド220、ケース230およびコネクティングロッド240を含む。シリンダー210には、冷媒が収容され、例えば液体窒素が収容される。ロッド220の一端には粉砕する材料およびビードが収容されるケース230が結合し、ケース230はシリンダー210に収容されて、前記冷媒によって冷却される。ロッド220の他端はX1から離隔した地点でコネクティングロッド240によって第1機構100の第1軸130に連結される。モータMが作動して第1軸130が往復回転運動をすると、ロッド220およびロッド220に結合したケース230はシリンダー210の内部で往復直線運動をして、前記材料がケース230の内面とビードとの間で衝撃を受けたりビードとビードとの間で衝撃を受けたりすることによって、粉砕される。このような冷凍粉砕機によれば、毛髪やポリマーなどのように一般的な粉砕機ではナノ級粒径で粉砕しにくい材料もナノ級粒径で粉砕することができる。
【0028】
第3機構300は、チューブ310、チャンバー320および連結バー330を含む。チューブ310には攪拌する材料が収容される。チャンバー320は、連結バー330によって第1機構100の第1軸130に連結され、チャンバー320にはチューブ310が収容される。連結バー330は
図1および
図2に示されているように、複数からなり、第1軸130に放射状に結合し、チャンバー320は連結バー330に相応する個数からなり、それぞれの連結バー330に連結され、チューブ210もチャンバー320に相応する個数からなり、それぞれのチャンバー320に収容される。モータMが作動して第1軸130が往復回転運動をすると、チャンバー320とチャンバー320に収容されたチューブ310とは往復回転運動をして、チューブ310に収容された前記材料が攪拌される。
【0029】
前述したように、第1機構100の第1軸130の往復回転運動を入力として用いることができる機構であれば、第2機構200および第3機構300として用いられるので、一つの機構で攪拌や粉砕だけでなく、多様な機能を同時に遂行できる。また、第1機構100、第2機構200および第3機構300は一つのモータMによって同時に作動するので、一つの機構で多様な機能を同時に遂行できる。
【0030】
前述され、図面に示された本発明の実施例は本発明の技術的な思想を限定すると解釈されてはいけない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記載された事項によって制限され、本発明の技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的思想を多様な形態で改良変更することが可能である。例えば、第1機構100の第1軸130に三つ以上の機構を結合することによって、第2機構200と第3機構300だけでなく第4機構や第5機構などを結合することもできる。したがって、このような改良および変更は通常の知識を有する者にとって自明である限り、本発明の保護範囲に属するようになるだろう。