特許第6132969号(P6132969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6132969自動注射装置のためのトリガーアセンブリー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132969
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】自動注射装置のためのトリガーアセンブリー
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A61M5/20 570
   A61M5/20 550
   A61M5/20 510
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-500775(P2016-500775)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公表番号】特表2016-511078(P2016-511078A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2014021496
(87)【国際公開番号】WO2014159018
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/782,929
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フォート,ジェシー アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,ブラッドリー ジェームス
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−520786(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/109205(WO,A2)
【文献】 特表2011−509783(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/012745(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付勢要素およびハウジングを含み、付勢要素が、トリガーアセンブリーの操作によって、ハウジングに対して第1の軸方向への移動のために解放することができる、自動注射装置のためのトリガーアセンブリーであって、前記トリガーアセンブリーは、
使用者によって押すことができるボタンであって、前記ボタンが第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へハウジングに対して第1の軸方向にシフト可能であり、前記ボタンがブロッキング表面および凹表面を含むブロッキング要素を含み、前記凹表面が前記ブロッキング表面から第1の角度方向に間隔を置いて配置される、前記ボタンと;
付勢要素上に配置され、それと共に移動可能な第1の係合表面と;
中で回転可能なように前記ハウジング内で支持されたロック部材であって、ボタン係合要素を含む、前記ロック部材と;
前記第1の係合表面との係合のために前記ロック部材上に配置される第2の係合表面であって、前記第1の表面と第2の表面の前記係合が第1の軸方向への付勢要素の動きを制止する、前記第2の係合表面と
を含み;
前記第1の係合表面および第2の係合表面のうちの少なくとも1つが、前記第1の係合表面と第2の係合表面との間のカム効果のために傾斜され;
前記ブロッキング要素が、前記ボタンが前記第1の軸方向位置で配置される場合、前記ボタン係合要素と接する関係性の前記ブロッキング表面を有して、前記第1の角度方向における前記ロック部材の回転を防止し、その回転の防止が前記第1の係合表面との係合で前記第2の係合表面を維持し;
前記ブロッキング要素が、前記ボタンが前記第2の軸方向位置で配置される場合、前記ボタン係合要素から離れた前記ブロッキング表面を有して、付勢要素が第1の軸方向に付勢されるに従う前記第1の係合表面および第2の係合表面のカム効果の影響下で、前記ロック部材が回転することを可能にし、その結果、前記ボタン係合要素は前記凹表面に向かう前記角度方向に移動し、前記ロック部材が回転して第1の軸方向への移動のために付勢要素を解放するように前記第1の係合表面および第2の係合表面を脱係合する、
前記トリガーアセンブリー。
【請求項2】
前記ロック部材が、前記第1の軸方向に沿って延びて前記ハウジング内の中心におかれる回転軸を有するリングを含む、請求項1に記載のトリガーアセンブリー。
【請求項3】
前記第2の係合表面が、角度をなして延びて前記第1の係合表面の対応する部位との係合のために前記リングの周囲に180度離れて間隔を置いて配置される第1の部位および第2の部位を含む、請求項2に記載のトリガーアセンブリー。
【請求項4】
各々の前記第1の係合表面および第2の係合表面がカム効果のために傾斜される、請求項1から3のいずれかに記載のトリガーアセンブリー。
【請求項5】
前記ロック部材が前記第1の軸方向に延びる回転軸を有するリングを含み、前記ボタン係合要素が前記回転軸に対して前記第2の係合表面の径方向外側に配置される、請求項1から4のいずれかに記載のトリガーアセンブリー。
【請求項6】
前記ボタンが端部円盤を含み、前記ボタンの前記ブロッキング要素が、前記端部円盤の周辺部に配置されたアームを含み、前記アームが第1のセクションおよび第2のセクションを含み、前記第1のセクションが軸方向に突出し、かつ前記凹表面を画成する側面を含み、前記第2のセクションが前記第1のセクションから前記角度方向に突出し、かつ前記ブロッキング表面を画成する端部面を含む、請求項1から5のいずれかに記載のトリガーアセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬用注射装置および特に自動注射装置内のトリガーアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の異なる疾患を患う患者は、多くの場合、医薬品を自身に注射しなければならない。多様な装置はこれらの注射を促進するために提案されてきた。1つのタイプの装置は自動注射装置である。このタイプの装置は、典型的には、使用者によって操作される場合、トリガリング前に装置が装置ハウジング内に配置されたシリンジの針を使用者の中へ自動的に挿入し、次いで装置がその挿入された針を介して医薬物の用量を自動的に注射する、トリガーアセンブリーを含む。
【0003】
いくつかのトリガーアセンブリーの1つの欠点はそれらを操作するのに要求される大きな力に関する。例えば、いくつかの装置において、基本的にはトリガー操作に対抗するばね力も使用してシリンジプランジャーを直接推進する。増加する直径のプランジャーで、またはプランジャーによって作動される医薬物がより粘稠な状況中で、より大きなばね力が要求される。したがって慣習的な方式で大きな力ばねに対して直接作用するトリガーアセンブリーは、操作する者に困難だろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、先行技術のこれらおよび他の欠点のうちの1つまたは複数を解消することができる自動注射装置のためのトリガーアセンブリーを提供することが望まれるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その1つの形態において、本発明は、自動注射装置のためのトリガーアセンブリーを提供する。トリガーアセンブリーは、その操作によって、装置のハウジングに対して第1の軸方向への移動のために装置の付勢要素を解放する。トリガーアセンブリーは、使用者によって押すことができるボタン、第1の係合表面、ロック部材および第2の係合表面を含む。ボタンは、第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へハウジングに対して第1の軸方向にシフト可能である。ボタンは、ブロッキング表面および凹表面を含むブロッキング要素を含む。凹表面はブロッキング表面から第1の角度方向に間隔を置いて配置される。第1の係合表面は付勢要素上に配置され、それと共に移動可能である。ロック部材はその中で回転可能なようにハウジング内で支持され、ボタン係合要素を含む。第2の係合表面は、第1の係合表面との係合のためにロック部材上に配置される。第1の表面と第2の表面の係合は、第1の軸方向への付勢要素の動きを制止する。第1の係合表面および第2の係合表面のうちの少なくとも1つは第1の係合表面と第2の係合表面との間のカム効果のために傾斜される。ブロッキング要素は、ボタンが第1の軸方向位置で配置される場合、ボタンを係合する表面と接する関係性のブロッキング表面を有して、第1の角度方向におけるロック部材の回転を防止し、その回転の防止は第1の係合表面との係合で第2の係合表面を維持する。ブロッキング要素は、ボタンが第2の軸方向位置で配置される場合、ボタンを係合する表面から離れたブロッキング表面を有して、付勢要素が第1の軸方向に付勢されるに従う第1の係合表面および第2の係合表面のカム効果の影響下で、ロック部材が回転することを可能にし、その結果、ボタン係合要素は凹表面に向かう角度方向に移動し、ロック部材が回転して第1の軸方向への移動のために付勢要素を解放するように第1の係合表面および第2の係合表面を脱係合する。
【0006】
本発明の1つの長所は、注射ボタン上での比較的低い力の適用によって使用者による好適な操作を可能にする自動注射装置のためのトリガーアセンブリーを提供できることである。
【0007】
本発明の別の長所は、製造のデザインの間に容易に調整可能な自動注射装置のためのトリガーアセンブリーが提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面と併用して、本発明の実施形態の以下の記述を参照することによって、本発明の上述および他の長所ならびに目的、ならびにそれらを達成する様式はより明らかになり、本発明それ自体はより良好に理解されるだろう。
図1】使用の前の本発明のトリガーアセンブリーを備えた自動注射装置の斜視図である。
図2図1に類似する抽象的斜視図であるが、そこで針カバーは図示されず、その中で抽象的に示された針を付けたシリンジはより容易に目視可能である。
図3図2に類似する抽象的斜視図であるが、装置のトリガリング後の、シリンジの針が使用者の貫通のために装置から延びる場合の使用中の時のものである。
図4図3に類似する抽象的斜視図であるが、装置が注射を完了し、ハウジングの中へシリンジの針が引き込まれた後のものである。
図5】装置の安全ロックが使用の前に可能になる図1の自動注射装置の長手方向の横断面図である。
図6A図1の装置の他の要素と分離して示されたハウジング安全スリーブの外側部材の斜視図である。
図6B図1の装置の他の要素と分離して示されたハウジング安全スリーブの外側部材の側面図である。
図6C図1の装置の他の要素と分離して示されたハウジング安全スリーブの外側部材の断面図である。
図7A】他の装置要素と分離して示された安全スリーブインサートの斜視図である。
図7B】他の装置要素と分離して示された安全スリーブインサートの平面図である。
図7C】他の装置要素と分離して示された安全スリーブインサートの側面図である。
図8A】他の装置要素と分離して示されたハウジング本体の斜視図である。
図8B】他の装置要素と分離して示されたハウジング本体の側面図である。
図8C】他の装置要素と分離して示されたハウジング本体の平面図である。
図9A】他の装置要素と分離して示されたボタンの平面斜視図である。
図9B】他の装置要素と分離して示されたボタンの底面斜視図である。
図9C】他の装置要素と分離して示されたボタンの断面図である。
図10A】他の装置要素と分離して示されたリング形状のロック部材の斜視図である。
図10B】他の装置要素と分離して示されたリング形状のロック部材の平面図である。
図10C】他の装置要素と分離して示されたリング形状のロック部材の側面図である。
図11A】他の装置要素と分離して示されたプランジャー要素の平面斜視図である。
図11B】他の装置要素と分離して示されたプランジャー要素の底面斜視図である。
図11C】他の装置要素と分離して示されたプランジャー要素の正面図である。
図11D】他の装置要素と分離して示されたプランジャー要素の側面図である。
図12】ハウジング本体へ組み立てられたボタンのみの部分的な斜視図であり、ボタンは突き入られた軸方向位置にある。
図13】トリガーアセンブリーの操作の前の図1の装置の選択された要素の部分的な斜視図である。
図14】トリガーアセンブリーが操作された後の図13に類似する部分的な斜視図であり、プランジャー要素(トリガーアセンブリーの操作によって解放された)は装置のさらなる操作のために軸方向に下向きで移動するように付勢される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
対応する参照特徴は複数の概観図を通して対応する部分を示す。図面は本発明の実施形態を代表するが、図面は必ずしも一定の比率の縮尺ではなく、特定の特色は、本発明をより良好に図示および説明するために図面のいくつかにおいて誇張および省略することができる。
【0010】
図1において、本発明のトリガーアセンブリーを備えた自動注射装置(一般的には20と表記される)の第1の実施形態の斜視図が示される。図2〜4において、装置20は、単純な針を付けたシリンジ、およびその針カバー(それは使用の間に折り畳まれ、注射の間に貫かれる(図示されない))を備えて抽象的に示される。図1および2は、使用の前のロック状態または安全状態にあるときに配置された装置20を示す。装置は、ハウジング本体34に関して矢印23によって示されるように、安全スリーブ32をロック解除された角度の位置へ回転させることによってロック解除される。装置のロック解除後、および矢印24によって示されるように、本発明のトリガーアセンブリーがトリガーボタン(一般的には21と表記される)を押し下げることによって操作される場合、装置20の針を付けたシリンジ25は自動的に下向きに推進され、その結果、シリンジ25の注射針27は装置ハウジングの底端部を超えて突出して図3中で示されるように使用者を貫通する。次いで装置は進んで、シリンジ25の医薬物含有量を針27を介して自動的に(すなわちさらなる使用者の行為なしに)注射し、その後シリンジは矢印29によって示されるように自動的に引き込まれ、その結果、針27は図4中で示されるようにハウジング内に戻される。
【0011】
本発明のトリガーアセンブリーは、本明細書において記述される装置20において有益な適用が見出されることが示されるが、かかる適用は単に例示的であり限定的であるとは意図されない。その利益が所望される場合、本発明のトリガーアセンブリーは様々なタイプの自動注射装置(針の挿入は手動で行われるが、一旦トリガーが引かれたなら針を介する医薬の押し出しは自動である装置に加えて、注射は針の自動挿入であるが、針を介する医薬品の押し出しは手動で供給される装置が含まれる)において使用することができる。
【0012】
図1を再び参照して、装置20は外側ハウジング30を含み、その中に装置の作動要素は操作用に配置される。外側ハウジング30は安全スリーブ32、本体34およびベースプレート35を含み、それらはともに外側ハウジングの軸方向の高さを形成する。
【0013】
安全スリーブ32は、図6A〜6C中で示される外側スリーブ部材36および図7A〜7C中で示されるインサートまたは内側スリーブ部材37から形成される二部分構造を有する。スリーブ部材36はぎざぎざの付いた周辺部38を含み、周辺部38は隆起したリブ39を含み、リブ39は、スリーブ32の回転位置およびそれによって装置のロック状況またはロック解除状況を示すのに役立つ、ハウジング本体に沿った目視可能なしるし(示されない)を備える。スリーブ部材36は、スリーブ部材37のキー42を受け入れてスリーブ部材をともに回転可能に締め付ける、軸方向に伸長するキー溝40を含む。スリーブ部材37は、スリーブ部材36中の棚によって1つの軸に沿って、かつハウジング本体34によって他の軸に沿って軸方向に保持され、その結果、装置中で最終的に組み立てられた場合にスリーブ部材36および37は互いに対して軸方向に固定される。
【0014】
1ペアのボタンロックスロット44はスリーブ部材37の向かい合った部位中に形成される。2ペアのスロット45はスリーブ部材37の底部から上向きに延びる。
【0015】
安全スリーブ32は、軸方向に固定され、それに相対的に回転可能であるように、接近して間隔を置いて配置されたスロットペア各々のスロット45の間の角距離に等しい小さな角距離を介して、ハウジング本体34へ取り付けられる。スリーブ部材36の2つの向かい合ったチャンネル46内へのハウジング本体34のタブ47の挿入は、かかる取り付けを提供する。
【0016】
ボタン21はトリガーアセンブリーの一部であり、図9A〜9C中でさらに示される。ボタン21は、適切な耐久性の材料(20%のガラス充填によるDelrin 570等)からの単一片として成型される。ボタン21は、円盤50の外側周辺部から近位へ延びるスカート52を備えた端部円盤50を含む。端部円盤50は凸面の遠位面54を有し、その上に使用者は力を直接適用して選択的にボタンを突き入れて装置のトリガリングを行うことができる。
【0017】
1ペアの向かい合った弾性のあるアーム56はボタンスカート52から下がり、軸方向に延びる。それらの角度の間隔に沿った湾曲に起因して、アーム56はアーチ形の棒形状である。各々のアーム56はその半径方向外向きの表面上に移動止め突起58を備えて提供される。各々の突起58は、スリーブ部材37中で形成されたペアのスロット45のうちの1つと相互作用して、スリーブ32のロックした回転位置およびロック解除した回転位置で触覚的で聞き取り可能なフィードバックを提供する。使用中に完全にそれが突き入られた後に、もとの位置、すなわち押される前の位置へ軸方向にボタン21が戻ることを防止するために突起58と協働する図示されない特徴を、スリーブ32がロック解除した回転位置である場合に突起58が存在するスロット45内において、さらに含むように、スリーブ部材37が修正されてもよい。
【0018】
ボタン21のある角度方向に湾曲した棒形状のアーム60は、アーム56の間のボタンスカート52に従属する。アーム60の直径方向に反対には、トリガーアセンブリー中のブロッキング要素として役立つアーム62がある。アーム62は、アーチ形の棒形状でありスカート52から軸方向に突出する、第1のセクション64を含む。アーム62は、棒形状であり、第1のセクション64からある角度方向に向けて突出し、かつ第1のセクション64に対して直角に配置される、第2のセクション66も含む。アームセクション66は上部面68、底部面69および端部面70を含む。端部面70はさらに以下で記述されるようにロック部材のためのブロッキング表面として役立つ。
【0019】
端部面70はアームセクション64の側面の面または表面72から角度をなして間隔を置いて配置されて、端部面70からある角度方向に凹表面72を生じる。アーム62の構成の結果として、ギャップまたは開口部74は、アーム上部面68より上およびスカート52より下の軸方向の空間中で提供される。
【0020】
各々のアーム60およびアームの第1のセクション64は、その半径方向外向きの表面上に突出するドッグまたはキー80を含む。キー80はスリーブ部材37のボタンロックスロット44の中へ嵌合する。安全スリーブ32が本体34上で回転して配向し、その結果キー80がスロット44の軸方向に延びる部位にわたって整列するまで、キー80は内側スリーブ部材37と協働して、ボタン21が装置ハウジングに対して軸方向にシフトするのを防止する。
【0021】
図12中で最もよく示されるように、ボタン21はハウジング本体34の上方領域へ取り付けられる。図8A〜8Cを追加で参照して、2つのアーム56の各々に加えて、アーム60および62は、ボタン21が本体34に対して軸方向に移動するが回転しないように本体34中で提供される適切にサイズ合わせをされた開口部または切り欠き85、86、88および87のそれぞれ内に挿入される。各々の開口部85〜87の両側に沿って形成されたガイドレール90は、ボタン21の軸方向の動きをガイドする。レリーフ100は本体34の円盤形状部位102中の開口部85および86の上に形成されて、移動止め突起58と関連した移動止めの特徴を収容するようにボタンアーム56が半径方向内側へ撓曲することを可能にする。
【0022】
トリガーアセンブリーは、ボタン21のブロッキング要素と協働する移動可能なロック部材も含む。ロック部材は、図10A〜10C中でさらに示されるリング形状部材またはロックリング110として提供される。ロックリング110は20%のガラス充填によるDelrin 570から1つの片で作製され、より薄い弓形セクション116および118がわたされる弓形セグメント112および114を含み、それらは一般的には円形の開口部119をともに画成する。各々の弓形112および114は軸方向に傾斜する角度のある端部117を含んで、傾斜またはカム面120を提供する。傾斜面120はともに係合表面として役立って装置20の推進機構の要素上で相補的な部材または表面と係合し、それは近位方向に付勢され、本発明のトリガーアセンブリーの操作によって解放される。カム面120は遠位で面し、それはトリガーアセンブリーによって解放された場合に付勢要素が移動する方向と方向反対である。付勢要素が装置の推進機構中で機能する様式は、本発明のトリガーアセンブリーに対して重要ではない。したがって、その付勢部材すなわちプランジャー要素155の機能の以下の記述は、例示的であり限定しないことが意図される。
【0023】
ロックリング110の周面の周りに180度離れて間隔を置いて配置された2つの傾斜面120が、係合表面として役立って、ロックリング110上に荷重を加えるが、角度をなして離間する追加の面(例えば合計4つの90度離れて間隔を置くもの)を係合表面として使用することができるか、または1つの傾斜面を係合表面として使用することができる。
【0024】
ロックリング110は、トリガリング操作の間に、ロックリング110が軸方向に固定されるが、ハウジング本体34内で軸方向に延びる回転軸の周囲で回転可能であり、ハウジング本体34の中心と整列するようにハウジング本体34内で支持される。ロックリング110(図5中で示されるように装置20中で)は、開口部119内で緊合する直立カラー132を有するシャトル部材130上での回転可能な支持経由でハウジングへ非常に回転可能に間接的に取り付けられ、シャトル部材130はプランジャー要素155に回転して合わせられ、プランジャー要素155はスリーブ144へ回転して固定され、スリーブ144はそのスリーブ144のキー146経由でハウジングへ回転可能に直接固定され、スリーブ144は、ハウジング本体34の示されない内部リブによって画成される軸方向に伸長するチャンネル内で緊合する。他の適用において、ロックリングは、異なるように支持、例えばハウジング部材の段部へ直接に、または別の要素を経てハウジングへ間接に支持され得る。
【0025】
各々の弓形セグメント112および114は、それらの内側の半径方向の周辺部に沿って、ノッチ121および高さが低くなった段部122を含む。シャトル部材130のタブ127はアセンブリーの製造の間にノッチ121を介して緊合される。組み立てられるとき、タブ127は、段部122の上に突出し、トリガリング操作の間に段部122にわたって自由に摺動するように配置され、そのようにすることでロックリング110がシャトル部材に対して軸方向に位置し、それは以下でさらに記述されるようにトリガリングの間にハウジングに対して軸方向に固定される。
【0026】
ロックリング110の階段形状のタブ135は、カム面120よりもロックリング110の回転軸からより離れて位置するように弓形セグメント114から半径方向外向きに突出する。タブ135は、半径方向に延びてロックリング110のボタンを係合する表面として役立つ角度のある側面137を含む。ボタン21が突き入られず図1中で示されるように配置される場合、ロックリング110がアーム表面72に向かって回転することができないように、側面137はアーム端部面70に直接接する。ボタン21が突き入られた位置である場合、アーム端部面70は側面137より軸方向に下であるかまたは離れており、ロックリング110が回転するにつれてタブ135が開口部74の中へ移動することを可能にする。
【0027】
図13中で示されるように、装置のトリガリングの前に、ロックリングカム面120は、プランジャー要素(一般的には155と表記される)の上方領域154上で提供される2つの相補的なカム面150と係合する。カム面150は下向きに面する。それはトリガーアセンブリーによって以下に記載されるように解放された場合に付勢されたプランジャー要素155が移動する方向である。カム面150は、ロックリング110と係合するプランジャー要素155の係合表面としてともに役立つ。上方領域154はシャトル部材130中で提供される開口部131を介して延び、部材130に対して、プランジャー要素155は軸方向に移動可能に合わせられるが回転可能に固定される。図示されない代替の実施形態において、プランジャー要素上方領域および上方領域が延びるシャトル部材中の開口部は、ロックリング110を変化させることなしに外径を減少させることができ、それは、シャトルがロックリング端部117の外側半径方向の周辺部についての応力を減少させる支持の提供をもたらす。異なる数のロックリングカム面120を有する代替の実施形態において、プランジャー要素カム面150は、好ましくは1対1であり、かかるカム面120と位置が一致する。
【0028】
示される実施形態において、面120および150の各々は傾斜される。面120および150の傾斜の角度は軸方向に対しておよそ50度である。装置の開発の間に、嵌合面120、150について異なる角度を提供して、異なる角度が、ボタン21を突き入れて装置のトリガリングを行うのに必要とされる力に影響する異なる摩擦力を生じるように、トリガーアセンブリーの感触を調整することができる。例えば、カム運動は、傾斜している各々のペアの係合面120、150のうちのただ1つにより達成され得る。
【0029】
プランジャー要素155は図11A〜11D中でさらに示され、フランジ付きの端部160を備えた直立の脚157を含む。フランジ端部160は、スリーブ144の段部161を介してコイルばね164の底端部によって効果的に作動され、その段部はフランジ端部160とばね164との間に配置される。ばね164の上部端部は、シャトル部材130のプレート形状部位の下側に対して作動する。図5および図13中で示されるように、プランジャー要素155がカム面120および150の係合経由でロックリング110と係合している場合、ばね164はシャトル部材130とプランジャー要素155との間に圧縮された状態で捕捉され、プランジャー要素155がシャトルに対して下方へ付勢されることを引き起こし、それは、トリガリングの間に、ハウジング部位102へ固定された軸方向に延びるハウジング支持部材172によって支持されるフォロワー170とのその係合によってハウジング中の軸方向で適所に保持され、2013年3月14日に特許出願第61/783007号として米国特許商標局に出願された仮特許出願を考慮して、および本出願と同じ日付に当局に受理されたとして米国特許商標局に出願された表題「Delay Mechanism Suitable For Compact Automatic Injection Device」の国際特許出願(本事例と同じリストされた発明者による)を考慮して、さらに理解することができ、それらの両方の出願の開示全体は参照として本明細書に援用される。
【0030】
プランジャー要素の中央プレート部位162はその複数の脚157に架かる。部分的に閉鎖された底端部166を備えた円筒状チューブ164は、プランジャーの脚157の間のプレート部位162に従属する。底端部166は、装置シリンジのサブアセンブリー200のシーリングピストンまたはプランジャー190を直接係合するためのものである。プランジャー要素155によるピストン190の下向きまたは近位への推進は、最初に、折り畳まれた針カバー215の閉鎖された近位端部を介して、およびハウジング開口部を介して、使用者の中に推進される移動止め付きキャリヤ210内で保持される針205の先端部を近位へもたらし、次いで、針の遠位先端部が隔壁220を貫いた後、針205を介して装置20からシリンジの含有物の放出が起こる。シリンジのサブアセンブリーは本発明のトリガーアセンブリーの一部を形成しないが、国際出願第PCT/US2012/051702中で記載される概念的に類似するサブアセンブリーを考慮してさらに理解され、その出願の開示全体は参照として本明細書に援用される。
【0031】
装置20は異なるタイプのシリンジ(図2〜4中で示されるものに類似する打ち込まれた針を持つシリンジ(staked needle syringe))を使用することができる。かかる打ち込まれた針を付けたシリンジは、示された折り畳まれるカバーの代わりに異なるシーリングカバーを有することができる。例えば、シーリングカバーを把持する指で引くことができるカラーによって、またはシーリングカバーを把持するカラーからつるしてある、装置の操作指示によりマークされうる、手で握れる柔軟なストラップによって、使用の前に使用者によって手動で除去されるシーリングカバーを有することができる。
【0032】
本発明のトリガリングアセンブリーの構成は、装置20の初期操作の記述を考慮してさらに理解されるだろう。装置20は、図13中で示されるように構成されたトリガリングアセンブリーにより、図5中で示されるようにロックされた状態で構成される。使用者がボタン21上に突き入れる力を適用すれば、ボタンの移動は内側スリーブ部材37に軸方向で接するキー80によって妨げられる。
【0033】
使用者が安全スリーブ32をロック解除位置へ手動で回転させて、次いで注射部位上に装置20を配置した後に、ボタン21は使用者によって突き入れることができる。このボタンの突き入れの前には、トリガリングアセンブリーは図13中で示されるようにまだ構成されている。かかる構成において、プランジャー要素155から遠ざかって回転するロックリング110の傾向(かかる傾向は、カム面150とカム面120の係合、およびばね164によって回転可能に固定されたプランジャー要素155上に適用される下向きの付勢力から生じる)は、ロックリング側面137による端部面70の接する係合によって防止される。
【0034】
使用者が突き入れる力をボタン遠位部面54へ手動で適用する場合、ボタン21は安全スリーブ32の中へおよびハウジング本体34に向かってさらに押される。この突き入れるプロセスの間に使用者によって適用される必要のある力は、大部分は、端部面70とロックリング側面137との間の摩擦摺動力に打ち勝つものである。ボタンと周囲の部品との間の追加の移動止めの特徴は、ボタン感触を弱め、かつ前述のようにトリガリング後にボタンを押したままにするのにも有用であり得る。キー80がハウジング本体34上の段部に接する点までボタン21が完全に突き入られると、ボタンアーム62は軸方向にシフトし、その結果、アームセクション66がハウジング内で下向きにシフトしてタブ135から軸方向に離れるにつれて、ロックリング側面137はもはや端部面70に接しない。したがって、ロックリング110は自由に回転することができ、カム面150とカム面120のカム効果、およびプランジャー要素155の下向きのばね付勢に起因して、ロックリング側面137はアーム表面72に向かう移動を生じる。ロックリング110が、カム面150がカム面120の角度をなして離れている点へ回転した場合、トリガリングは完了し、ばね164は図14中で示されるようにプランジャー要素155を下向きに強制的に移動して、装置の操作を継続する。次いで装置20は進んで使用者の中へ針205を挿入し、シリンジ内に保持される製剤を注射し、次いで最終的に操作デザインに従ってハウジング内の針を引き込む。
【0035】
本発明が好ましいデザインを有するとして示され記載されたが、本発明はこの開示の趣旨および範囲内で修飾することができる。例えば、示された実施形態において、トリガーアセンブリーが解放する付勢要素は、それ自体がシリンジピストンと接触するプランジャー要素であるが、本発明のトリガーアセンブリーを使用して、代替の実施形態における異なる付勢要素、またはコイルばねとは異なる部品により付勢される要素を、解放することができる。さらに、本発明のトリガーアセンブリーは異なる操作原理または部品を有する装置中で使用することができる。したがって、本出願は、その一般原理を使用して、本発明のいかなる変動、使用または適応物もカバーすることが意図される。さらに、本出願は、本発明が属する当技術分野における公知のまたは慣習的な実践内であるように、本開示からのかかる逸脱をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14