(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るタイヤマーキング装置の一実施形態を、
図1から
図12を参照しながら説明する。
図1及び2に示すように、本実施形態のマーキング装置1は、タイヤTにマーキング(印字)を行うためのものであり、タイヤTを下方から支持して搬送する搬送部10と、搬送部10の上方に配置されたヘッド部80と、ヘッド部80に取付けられたリボン供給・巻取り部100と、搬送部10、ヘッド部80及びリボン供給・巻取り部100を制御する制御ユニット120とを備えている。
【0017】
図3及び4に示すように、搬送部10は、搬送部10の搬送方向Dの上流側D1に、第一搬送レーン16Aと第二搬送レーン16Bとが搬送部10の幅方向に並べて配置された分割搬送レーン15と、搬送部10の下流側D2に配置された一体搬送レーン30とを有している。本実施形態では、第一搬送レーン16A及び第二搬送レーン16Bの構成は同一であるため、第一搬送レーン16Aの構成については数字や英小文字に英大文字「A」を付加し、第二搬送レーン16Bの対応する構成については同一の数字や英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。後述する位置決め部36A、36B、印字ピン83A〜83F、リボン供給ユニット101A、101B等についても同様に説明する。
例えば、第一搬送レーン16Aの後述する第一駆動ローラ17Aと第二駆動ローラ17Bとの構成は同一である。
【0018】
第一搬送レーン16Aでは、各第一駆動ローラ(第一ローラ)17A、第一従動ローラ18Aは、幅方向の両端部で支持部材19Aによりそれぞれの軸線17aA、18aA周りに回転可能に支持されている。第一駆動ローラ17Aの上面の高さと第一従動ローラ18Aの上面の高さは略一致しているか、第一駆動ローラ17Aの上面の方がわずかに高く配置されている。第一駆動ローラ17A及び第一従動ローラ18Aは、搬送方向Dに沿って交互に配置されている。第一駆動ローラ17A、第一従動ローラ18Aは、軸線17aA、18aAが水平面に平行な同一の面上に配置されている。
各第一駆動ローラ17Aには図示しないベルトが接続されている。このベルトに、
図2に示す第一ローラ駆動モータ20Aの回転軸が接続されている。第一ローラ駆動モータ20Aの回転軸は、正方向(第一の向き)及び逆方向(第二の向き)に切り替えて駆動することができる。第一ローラ駆動モータ20A及び第二ローラ駆動モータ20Bで、搬送駆動部21を構成する。
【0019】
図3及び4に示すように、各第一駆動ローラ17A、第一従動ローラ18A、第二駆動ローラ(第二ローラ)17B、及び第二従動ローラ18B上にタイヤTを配置する。このとき、タイヤTのサイドウォールT1におけるタイヤTの軸線T6に対する一方側に少なくとも第一駆動ローラ17Aの側面が当接し、補助的に第一従動ローラ18Aの側面が当接するようにタイヤTを配置する。サイドウォールT1における軸線T6に対する他方側に少なくとも第二駆動ローラ17Bの側面が当接し、補助的に第二従動ローラ18Bの側面が当接するようにタイヤTを配置する。ローラ17A、18A及びローラ17B、18Bは、タイヤTの一方のサイドウォールT1にそれぞれ当接する。
【0020】
第一ローラ駆動モータ20Aの回転軸を正方向に回転させることで、
図3に示すように各第一駆動ローラ17Aが軸線17aA周りに正方向F1に回転する。第二ローラ駆動モータ20Bの回転軸を正方向に回転させることで、各第二駆動ローラ17Bが軸線17aB周りに正方向F1に回転する。このとき、各駆動ローラ17A、17B上に配置されたタイヤTは、上流側D1から下流側D2に向かって搬送される。搬送されるタイヤTを支持する各第一従動ローラ18A及び第二従動ローラ18Bは、タイヤTの移動にしたがって回転する連れ回りをする。
このように、駆動ローラ17A、17BはタイヤTを回転駆動するローラであり、従動ローラ18A、18Bは回転するタイヤTにしたがって従動するローラである。
【0021】
一方で、ローラ駆動モータ20A、20Bの回転軸を逆方向に回転させると、第一駆動ローラ17Aが軸線17aA周りに逆方向F2に回転し、第二駆動ローラ17Bが軸線17aB周りに逆方向F2に回転する。このとき、各駆動ローラ17A、17B上に配置されたタイヤTは、下流側D2から上流側D1に向かって搬送される。
【0022】
第一搬送レーン16Aにおいて、
図3及び4に示すように、一対の支持部材19Aは、連結部材24Aにより接続されている。
連結部材24Aは、上下方向に延びる脚部25Aに設けられた支持部材26Aに取付けられている。脚部25Aの下端部が図示しない床面上に配置されることで、第一搬送レーン16Aは床面から上方に離間した位置で支持されている。
【0023】
一体搬送レーン30は、搬送レーン16A、16Bと同様に構成されている。すなわち、
図3に示すように、一体搬送レーン30において、各第三駆動ローラ31、第三従動ローラ32は、幅方向の両端部で支持部材33によりそれぞれの軸線31a、32a周りに回転可能に支持されている。支持部材33は、前述の支持部材26A、26Bに取付けられている。
各第三駆動ローラ31には図示しないベルトが接続されている。このベルトに第三ローラ駆動モータ34(
図2参照)の回転軸が接続されている。第三ローラ駆動モータ34の回転軸は、正方向及び逆方向に切り替えて駆動することができる。
【0024】
支持部材26Aには、第一位置決め部36Aが設けられている。
第一位置決め部36Aでは、支持台37A上に一対の保持アーム38A、39Aが保持アーム38A、39Aの第一端部を中心に回転(揺動)可能に支持されている。保持アーム38A、39Aは、アーム駆動シリンダ42A(
図2参照)によりギア40A、41Aを介してそれぞれの第一端部を中心に水平面に平行な面上で回転することができる。保持アーム38Aは、保持アーム39Aよりも下流側D2に配置されている。
図5に示すように、保持アーム38Aの第二端部には円柱状の軸部材38aAが設けられている。この軸部材38aAには、
図5及び6に示す駆動ローラ(回転位置調整ローラ、ローラ)44Aが回転可能に支持されている。
駆動ローラ44Aは、水平面に直交する軸線周りに回転可能に支持されている。
【0025】
図5及び6に示すように、駆動ローラ44Aは、円筒状のローラ本体45Aと、ローラ本体45Aの外周面から突出しローラ本体45Aの軸線に沿って延びる複数の外側凸部46Aとを有している。複数の外側凸部46Aは、ローラ本体45Aの周方向に互いに離間するように配置されている。
駆動ローラ44Aを構成するローラ本体45A及び外側凸部46Aは、スチール製のタイミングプーリを用いて構成したり、ナイロンやポリオキシメチレン(POM)等の樹脂で一体に形成したりすることができる。
なお、駆動ローラ44Aが複数の外側凸部
46Aを備えない構成にするとともに、駆動ローラ44Aにローラ本体45Aの外周面の摩擦係数が大きくなる材料を用いてもよい。
【0026】
図7に示すように、保持アーム38Aには、駆動ローラ44Aを回転させるための回転駆動部48Aが取付けられている。
回転駆動部48Aは、
図5及び7に示すように、直線49A上で進退駆動するエアシリンダ(直動部)50Aと、エアシリンダ50Aの進出方向の先端部に回転可能に接続されたリンク部材51Aと、リンク部材51Aに取付けられた公知のクラッチ機構(回転伝達部)52Aとを有している。なお、リンク部材51A及びクラッチ機構52Aで変換部53Aを構成する。
【0027】
エアシリンダ50Aは、
図7に示すように、シリンダ本体50aA内に、ロッド50bAがシリンダ本体50aAに対して進退可能に挿通されて構成されている。シリンダ本体50aAには、不図示のチューブを介してエアコンプレッサ等の圧縮空気の供給・排出が可能なシリンダ駆動部50cA(
図2参照)が接続されている。
シリンダ駆動部50cAによりシリンダ本体50aA内のヘッド側に圧縮空気を供給すると、シリンダ本体50aAに対してロッド50bAが進出する。一方で、シリンダ駆動部50cAによりシリンダ本体50aA内のロッド側に圧縮空気を供給すると、シリンダ本体50aAに対してロッド50bAが後退する。
【0028】
なお、本実施形態では、直動部であるエアシリンダ50Aは圧縮空気で駆動するとしたが、直動部が油圧や磁力等で駆動するとしてもよい。
ロッド50bAの進出方向の先端部とリンク部材51Aの第一端部とは、符号を省略したピン等で回転可能に接続されている。
【0029】
図5に示すように、リンク部材51Aの第二端部51aAは円筒状に形成されている。第二端部51aAの筒孔内には、保持アーム38Aの軸部材38aAが第二端部51aAに対して回転可能に挿通されている。この第二端部51aAの外周面に、前述のクラッチ機構52Aが固定されている。クラッチ機構52Aは、駆動ローラ44Aのローラ本体45Aの筒孔内に配置されている。
クラッチ機構52Aは、クラッチ機構52Aに対して駆動ローラ44Aが軸部材38aAの軸線38bA周りに方向(一方向)E1に回転するのを規制する。一方で、クラッチ機構52Aに対して駆動ローラ44Aが軸線38bA周りに方向E2に回転するのを許容する。
【0030】
このように構成された回転駆動部48Aは、シリンダ本体50aAに対してロッド50bAが
図7の位置P3に示すように進出すると、リンク部材51Aが軸線38bA周りに方向E2に回転し、位置P4に移動する。このとき、クラッチ機構52Aと駆動ローラ44Aとが接続され、リンク部材51Aの第二端部51aAとともにクラッチ機構52A及び駆動ローラ44Aが軸線38bA周りに方向E2に回転する。
一方で、シリンダ本体50aAに対してロッド50bAが後退すると、リンク部材51Aが軸線38bA周りに方向E1に回転する。このとき、クラッチ機構52Aと駆動ローラ44Aとの接続が解除され、駆動ローラ44Aは回転しない(空転する)。
【0031】
なお、ロッド50bAが進出したときに駆動ローラ44Aが回転せず、ロッド50bAが後退したときに駆動ローラ44Aが回転するように構成してもよい。
【0032】
このように、クラッチ機構52Aは、リンク部材51Aの第二端部51aAに対する駆動ローラ44Aの軸線38bA周りの方向E2のみの回転を許容する。
変換部53Aは、エアシリンダ50Aの進退駆動の力を駆動ローラ44Aの軸線38bA周りの方向E2の回転力に変換する。
回転駆動部48Aがエアシリンダ50A及び変換部53Aを備え、エアシリンダ50Aが直線49A上で進退駆動する動きを変換部53Aで変換することで、駆動ローラ44Aが方向E2に回転する。
【0033】
シリンダ駆動部50cAによりロッド50bAの進出及び後退を行うと、駆動ローラ44Aが軸線38bA周りに一定の角度回転する。
ロッド50bAの進出及び後退を組にして所定の回数繰り返すことで、駆動ローラ44Aが一定の角度の所定の回数倍回転する、いわゆるインチング駆動をする。
【0034】
保持アーム39Aの第二端部には、
図3に示す従動ローラ57Aが回転可能に支持されている。従動ローラ57Aは、後述するように回転するタイヤTにしたがって従動するものである。
支持部材26Bには、第二位置決め部36Bが設けられている。第一位置決め部36A及び第二位置決め部36Bで、中心位置調整機構59を構成する。
第二位置決め部36Bの保持アーム38Bは、保持アーム39Bよりも上流側D1に配置されている。
第一位置決め部36A及び第二位置決め部36Bは、分割搬送レーン15の下流側D2の端部を挟んで対向するように配置されている。
【0035】
このように構成された中心位置調整機構59では、搬送部10で搬送されたタイヤTが第一位置決め部36Aと第二位置決め部36Bとの間に規定されるマーキング位置P1に来たことをタイヤ検出センサ61(
図2参照)が検出する。タイヤ検出センサ61としては、公知の接触式又は非接触式のセンサを適宜選択して用いることができる。
タイヤ検出センサ61は、検出結果を制御ユニット120に送信する。
タイヤ検出センサ61でマーキング位置P1にタイヤTが来たことを検出したときに、以下のように制御される。
なお、中心位置調整機構59はタイヤTの位置を調整しない通常時には、保持アーム38A、39A、38B、39BがタイヤTの搬送方向Dに平行になるように配置され、タイヤTの搬送に支障が無い。
【0036】
アーム駆動モータ40A、41A、40B、41Bを駆動して、保持アーム38A、39A、38B、39Bを回転させ、ローラ44A、57A、44B、57BをタイヤTのトレッドT2に周方向の複数の位置から当接させる。
シリンダ駆動部50cA、50cBにより駆動ローラ44A、44Bをインチング駆動により回転すると、タイヤTは軸線T6周りの所定の向きに回転する。
タイヤTが回転すると、従動ローラ57A、57Bは従動して連れ回りする。
駆動ローラ44A、44Bをインチング駆動することで、タイヤTの軸線T6の位置が調整される(タイヤTが芯出しされる)。
このように、本実施形態では、タイヤTの位置を調整する中心位置調整機構59の駆動ローラ44A、44Bが、タイヤTを軸線T6周りに回転させる回転位置調整ローラを兼ねている。
【0037】
なお、本実施形態では、中心位置調整機構59が有する2つの駆動ローラ44A、44Bの駆動力でタイヤTを軸線T6周りに回転させた。しかし、タイヤTを駆動する駆動ローラの数はこの限りではなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0038】
図8に示すように、脚部25Aには、支持部材64を介して回転量検出部65が取付けられている。
回転量検出部65では、エアシリンダ66のロッド66aの先端部に、連結部材67を介して回転軸68が取付けられている。ロッド66aは、エアシリンダ66のシリンダ本体66b内に進退可能に挿通されている。シリンダ本体66bは、前述の支持部材64により脚部25Aに固定されている。
シリンダ本体66bには、不図示のチューブを介してシリンダ駆動部70(
図2参照)が接続されている。
シリンダ駆動部70によりシリンダ本体66b内のヘッド側に圧縮空気を供給すると、シリンダ本体66bに対してロッド66aが進出する。一方で、シリンダ駆動部70によりシリンダ本体66b内のロッド側に圧縮空気を供給すると、シリンダ本体66bに対してロッド66aが後退する。
【0039】
回転軸68は、水平面に直交するように配置されている。回転軸68は、連結部材67により回転軸68の軸線周りに回転可能に支持されている。
回転軸68の下方の端部には検出ローラ71が、上部にはエンコーダ72がそれぞれ取付けられている。ロッド66aが進出したときに検出ローラ71が位置P5に移動して、マーキング位置P1にあるタイヤTのトレッドT2に検出ローラ71の側面が当接する。タイヤTが軸線T6周りに回転する回転量(回転角度)と、回転軸68が軸線周りに回転する回転量との間には、一定の関係がある。
エンコーダ72は、回転軸68の回転量を検出し、検出結果を補正してタイヤTの回転量を検出する。エンコーダ72は、検出結果を制御ユニット120に送信する。
【0040】
ヘッド部80は、
図1、9、及び10に示すように、支持台81上に支持されたベース82と、ベース82に支持された6本の印字ピン(印字部)83A〜83Fと、印字ピン83A〜83Fを進退駆動する6つのエアシリンダ84A〜84Fとを有している。なお、印字ピン83A〜83Fは、印字ピン83A、83B、83C、83D、83E、83Fを略記したものである。エアシリンダ84A〜84F等についても同様である。
【0041】
印字ピン83A〜83Fは、上下方向に延びる棒状に形成されている。印字ピン83A〜83Fは、印字ピン83A、83B、83Cで側面から見て重なる1つの列を構成するとともに、印字ピン83D、83E、83Fで側面から見て重なる他の1つの列を構成するように碁盤目状に配置されている。正面から見て、印字ピン83Aと印字ピン83D、印字ピン83Bと印字ピン83E、印字ピン83Cと印字ピン83Fがそれぞれ重なる。
【0042】
印字ピン83Bは直線状に形成されている。印字ピン83A、83Cは、長手方向の中央部がクランク状に曲げて形成されている。これにより、印字ピン83A、83B、83Cは、上方の端部のピッチに比べて下方の端部のピッチが小さくなっている。印字ピン83A、83B、83Cの下面には、図示はしないが○形や△形等の端面から突出した形状が形成されている。
印字ピン83D、83E、83Fは、印字ピン83A、83B、83Cと同様に構成されている。
印字ピン83Aの上方の端部には、拡径部83aAが設けられている(拡径部83aD、83aE、83aFは不図示)。
【0043】
印字ピン83A〜83Fは、ベース82に取付けられた加熱ブロック86に形成された図示しない案内孔により、ベース82に対して上下方向に進退するように案内される。加熱ブロック86内にはヒータ等を有する加熱手段87(
図2参照)が配置されている。加熱手段87は、ヒータに所定の電力を印加することで、案内孔に挿通された印字ピン83A〜83Fを加熱する。
加熱ブロック86よりも下方にはガイド板88が配置され、ガイド板88はベース82に取付けられている。ガイド板88には、印字ピン83A〜83Fの下方の端部が挿通可能な貫通孔88aが形成されている。
【0044】
印字ピン83Aの拡径部83aAの下面と加熱ブロック86の上面との間には、コイルばね90Aが配置されている(コイルばね90D、90E、90Fは不図示)。コイルばね90Aは、印字ピン83Aに挿通されている。
コイルばね90Aは、印字ピン83Aを上方に付勢している。エアシリンダ84Aが印字ピン83Aを下方に付勢していない状態では、印字ピン83Aの下面はガイド板88の下面よりも上方に配置されている。
【0045】
エアシリンダ84Aは、シリンダ本体84aA内に、ロッド84bAがシリンダ本体84aAに対して進退可能に挿通されて構成されている(シリンダ本体84aD、84aE、84aF、ロッド84bD、84bE、84bFは不図示)。
シリンダ本体84aAは、ベース82に取付けられている。シリンダ本体84aAには、不図示のチューブを介してシリンダ駆動部92A(
図2参照)が接続されている。
シリンダ駆動部92Aによりシリンダ本体84aA内のヘッド側に圧縮空気を供給すると、シリンダ本体84aAに対してロッド84bAが下方に移動して進出する。このとき、コイルばね90Aの付勢力に抗して印字ピン83Aを進出させることで、印字ピン83Aの下面はガイド板88の下面よりも下方に突出する。加熱された印字ピン83Aが後述するインクリボンR1をタイヤTのサイドウォールT1に押付けることで、タイヤTにマーキングが行われる。
【0046】
一方で、シリンダ駆動部92Aによりシリンダ本体84aA内のロッド側に圧縮空気を供給すると、コイルばね90Aの付勢力を受けてシリンダ本体84aAに対してロッド84bAが上方に移動して後退する。
【0047】
リボン供給・巻取り部100は、
図9及び10に示すように、ヘッド部80のベース82に固定されたリボン供給ユニット101A、101Bと、リボン巻取りユニット102A、102Bとを有している。
リボン供給ユニット101Aでは、ベース82に固定された補助ベース104Aに、供給ローラ105A及びガイドローラ106Aが回転可能に支持されている。供給ローラ105Aには、例えば赤色のインクリボンR1が巻回されている。インクリボンR1としては、加圧及び加熱されることでインクが転写される熱転写タイプのリボンが用いられている。
供給ローラ105Aから巻き出されたインクリボンR1は、インクリボンR1に一定の張力が作用するようにガイドローラ106Aに巻き回された後で、ガイド板88の下面に案内されている。
インクリボンR1は、ガイド板88の貫通孔88aを挟んで印字ピン83A、83B、83Cの下面に対向している。
【0048】
リボン供給ユニット101Bの供給ローラ105Bには、例えば黄色のインクリボンR2が巻回されている。供給ローラ105Bが回転する面と供給ローラ105Aが回転する面とは、ベース82の厚さ方向、すなわち、インクリボンR1、R2の幅方向にずれている。
インクリボンR2は、ガイド板88の貫通孔88aを挟んで印字ピン83D、83E、83Fの下方の端面に対向している。
【0049】
リボン巻取りユニット102Aでは、ベース82に固定された補助ベース109Aに、ガイドローラ110Aが回転可能に支持されているとともに、巻取りモータ111Aの本体111aAが固定されている。巻取りモータ111Aの回転軸111bAには、巻取りローラ112Aが接続されている。巻取りローラ112Aには、インクリボンR1が巻回されている。
ガイド板88から送り出されたインクリボンR1は、ガイドローラ110Aに巻き回された後で巻取りローラ112Aに巻回されている。
一方で、インクリボンR2は、巻取りローラ112Bに巻回されている。
【0050】
制御ユニット120は、
図2に示すように、バス121に接続された直動制御部122及び主制御部123を有している。バス121には、搬送部10のローラ駆動モータ20A、20B、34、アーム駆動シリンダ42A、42B、シリンダ駆動部50cA、50cB、70、タイヤ検出センサ61、エンコーダ72、ヘッド部80の加熱手段87、シリンダ駆動部92A〜92F、及び、リボン供給・巻取り部100の巻取りモータ111A、111Bが接続されている。
【0051】
直動制御部122及び主制御部123は、それぞれがタイマー、演算素子、メモリー、及び制御プログラム等で構成されている。
直動制御部122は、回転量検出部65のエンコーダ72の検出結果に基づいて、シリンダ駆動部50cA、50cBを駆動してエアシリンダ50A、50Bを制御する。
主制御部123は、シリンダ駆動部50cA、50cB以外のローラ駆動モータ20A、20B、34等を制御する。
【0052】
次に、以上のように構成されたマーキング装置1の作用について説明する。
マーキング装置1を起動すると、制御ユニット120の主制御部123はローラ駆動モータ20A、20B、34の回転軸を正方向に回転させる。駆動ローラ17A、17B、31が正方向F1に回転する。加熱手段87により加熱ブロック86を加熱することで、印字ピン83A〜83Fを所定の温度に加熱する。
タイヤユニフォミティマシン等の試験装置で所定の試験・検査を終えたタイヤTは、分割搬送レーン15上に配置される。
タイヤTは、試験装置によりマーキングを行う周方向の位置が調整された状態で、分割搬送レーン15上に配置される。
【0053】
タイヤTは駆動ローラ17A、17Bにより上流側D1から下流側D2に向かって搬送される。試験装置からマーキング装置1の制御ユニット120に、タイヤTの外径、タイヤTに行うマーキングの形状や色等の情報が送信される。
この例では、互いに色の異なる2種類の形状をタイヤTにマーキングする指示が試験装置から送信されたとして説明する。
【0054】
タイヤTがマーキング位置P1まで搬送されると、タイヤ検出センサ61はタイヤTがマーキング位置P1に来たことを検出し、検出結果を制御ユニット120の直動制御部122及び主制御部123に送信する。
直動制御部122は、アーム駆動シリンダ42A、42Bを駆動して、タイヤTのトレッドT2にローラ44A、57A、44B、57Bを当接させる。このとき、ローラ44A、57A、44B、57Bは、
図3の位置P6に移動する。
【0055】
第一のマーキングをするために、シリンダ駆動部92Aを駆動し、エアシリンダ84Aのロッド84bAとともに印字ピン83Aを進出させる。インクリボンR1が加圧及び加熱されることで、タイヤTのサイドウォールT1に例えば赤色で○形のマーキングが行われる。巻取りモータ111Aを駆動して巻取りローラ112Aを回転させ、巻取りローラ112AにインクリボンR1を一定長さ巻取る。
【0056】
次に第二のマーキングをするために、シリンダ駆動部50cA、50cBを駆動し、駆動ローラ44A、44Bをインチング駆動することでタイヤTの位置を調整する。駆動ローラ44Aに外側凸部46Aが形成されていることで、駆動ローラ44AとタイヤTとの摩擦力を高めることができる。
駆動ローラ44A、44BがタイヤTを軸線T6周りに回転させると、回転するタイヤTにしたがって従動ローラ57A、57Bが従動して回転する。
主制御部123がシリンダ駆動部70を駆動してロッド66aを進出させると、タイヤTのトレッドT2に検出ローラ71の側面が当接する。
【0057】
直動制御部122は、駆動ローラ44A、44Bを所定の回数インチング駆動して、タイヤTを軸線T6周りに所定の目標回転量回転させる。このとき、タイヤTに当接した検出ローラ71は、軸線周りに回転する。回転量検出部65は、タイヤTの回転量を検出し、検出したタイヤTの回転量を信号に変換して直動制御部122に送信し、所定の目標回転量回転したかを確認する。
【0058】
この回転量が目標回転量よりも小さい場合には、駆動ローラ44A、44Bをインチング駆動しても駆動ローラ44A、44BとタイヤTとの間が滑り、タイヤTが充分に回転していないことが考えられる。この場合、直動制御部122はシリンダ駆動部50cA、50cBをさらに駆動してエアシリンダ50A、50Bのロッド50bA、50bBを進出させる。
なお、この後でさらに回転量検出部65によりタイヤTの回転量を検出することと、検出結果に基づいてエアシリンダ50A、50Bを進出させることを繰り返し行ってもよい。
【0059】
また、タイヤTの外径が大きくなるのにしたがって、駆動ローラ44A、44Bを所定の回数インチング駆動したときにタイヤTが軸線T6周りに回転する回転量(角度)が小さくなる。このため、タイヤTの外径が大きくなるのにしたがって、インチング駆動する回数を増やしてもよい。
タイヤTと軸線T6とタイヤTのサイドウォールT1にマーキングする位置との距離に応じて、駆動ローラ44A、44Bをインチング駆動する回数を変化させてもよい。
【0060】
主制御部123は、例えばシリンダ駆動部92Eを駆動して印字ピン83Eを進出させる。インクリボンR2が加圧及び加熱されることで、タイヤTのサイドウォールT1の○形のマーキングとは周方向に異なる位置に、例えば黄色で△形のマーキングが行われる。
こうして、タイヤTにおいて第一のマーキングをした位置から周方向にずらした位置に、第二のマーキング以降のマーキングが順次実施可能となる。
【0061】
主制御部123がシリンダ駆動部70を駆動してロッド66aを後退させると、タイヤTのトレッドT2から検出ローラ71が離間する。
直動制御部122は、アーム駆動シリンダ42A、42Bを駆動して、タイヤTからローラ44A、57A、44B、57Bを離間させる。
2つのマーキングが行われたタイヤTが、一体搬送レーン30によりマーキング位置P1から下流側D2に向かって搬送される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のマーキング装置1によれば、駆動ローラ44A、44B及び回転駆動部48A、48Bを備えることで、タイヤTを軸線T6周りに回転させることができる。タイヤTが軸線T6周りに回転すると、印字ピン83A〜83FによりマーキングされるタイヤTの周方向の位置がずれる。
このように、簡単な構成で印字ピン83A〜83Fに対してタイヤTを回転させることができる。
【0063】
回転駆動部48Aがエアシリンダ50Aと変換部53Aを備え、エアシリンダ50Aが直線49A上で進退駆動する動きを変換部53Aで変換する。これにより、駆動ローラ44Aを方向E2に回転させることができる。
マーキング装置1がクラッチ機構52Aを備えてエアシリンダ50Aを繰返して進出させることで、駆動ローラ44Aを方向E2のみに回転させることができる。
【0064】
タイヤTの位置を調整する中心位置調整機構59の駆動ローラ44A、44Bが、タイヤTを軸線T6周りに回転させる回転位置調整ローラを兼ねる。したがって、マーキング装置1が中心位置調整機構59を備える場合は、新たな装置の追加ではなく簡単な機能の追加のみでタイヤTを回転させることができる。
マーキング装置1は回転量検出部65及び直動制御部122を備える。これにより、駆動ローラ44A、44BとタイヤTとの間が滑り、タイヤTが充分に回転していない場合でも、タイヤTの回転量が目標回転量となるように調節することができる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、変換部53Aはリンク部材51A及びクラッチ機構52Aであるとしたが、変換部は、
図11に示すリンク機構130であってもよい。リンク機構130は、第一端部が駆動ローラ44Aに取付けられたリンク部材131と、リンク部材131の第二端部とロッド50bAの先端部とを回転可能に接続する接続部132とを有している。
図11に示す状態から、
図12に示すようにロッド50bAが進出すると、ロッド50bAとリンク部材131との接続角度が変化して、駆動ローラ44Aが方向E2に回転する。一方で、
図11に示すようにロッド50bAが後退すると、駆動ローラ44Aが方向E1に回転する。
【0066】
実施形態では、回転位置調整ローラが中心位置調整機構59の駆動ローラ44A、44Bであるとした。しかし、回転位置調整ローラはこれに限定されず、例えば分割搬送レーン15の第一駆動ローラ17A及び第二駆動ローラ17Bであってもよい。この場合、駆動ローラ17A、17Bは、タイヤTのサイドウォールT1に当接し、ローラ駆動モータ20A、20Bが回転駆動部となる。ローラ駆動モータ20A、20Bが、第一駆動ローラ17Aを軸線17aA周りに正方向F1に回転させるとともに、第二駆動ローラ17Bを軸線17aB周りに逆方向F2に回転させることで、駆動ローラ17A、17B上のタイヤTが軸線T6周りに回転する。
【0067】
搬送部10の駆動ローラ17A、17Bが回転位置調整ローラを兼ねることで、マーキング装置1が搬送部10を備える場合でも、マーキング装置1の構成を簡単にすることができる。
【0068】
回転量検出部65は、タイヤTに当接する検出ローラ71の回転をエンコーダ72で検出するとした。しかし、エンコーダ72は、中心位置調整機構59の駆動ローラ44A、44Bの回転を直接検出するとしてもよいし、分割搬送レーン15のマーキング位置P1にあるローラ17A、17B、18A、18Bの回転を検出するとしてもよい。
駆動ローラ44A、44BとタイヤTとの間の滑りが無視できるほど少ないと考えられる場合には、マーキング装置1は回転量検出部65を備えなくてもよい。
【0069】
マーキング装置については、回転軸周りに回転する円盤部を備え、この円盤部に複数の印字ピンを円盤部の周方向に互いに間隔を空けた形態としてもよい。複数の印字ピンのうちの1つの印字ピンの上方にエアシリンダを設け、円盤部を回転軸周りに回転させることでエアシリンダで押圧する印字ピンを変える。これにより、タイヤTに行うマーキングの形状を変えることができる。