(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132977
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】電気コンタクト装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20170515BHJP
G01R 1/067 20060101ALI20170515BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R1/073 D
G01R1/067 C
H01L21/66 B
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-512255(P2016-512255)
(86)(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-522404(P2016-522404A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2014055890
(87)【国際公開番号】WO2014180596
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2016年4月6日
(31)【優先権主張番号】102013008324.9
(32)【優先日】2013年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598152389
【氏名又は名称】ファインメタル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(72)【発明者】
【氏名】ベーム,グンター
(72)【発明者】
【氏名】シュタイドル,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイラント,アヒム
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−349692(JP,A)
【文献】
特表2008−542745(JP,A)
【文献】
特表2005−534013(JP,A)
【文献】
特開2007−155507(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/030379(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0061808(US,A1)
【文献】
米国特許第06411112(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0156611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 1/067
G01R 31/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト方向に行われる被検体(5)の電気的接触コンタクトのための電気コンタクト装置であって、
検査機構と電気的に結合可能な少なくとも一つの導体基体(2)と、
少なくとも一つのコンタクト部間隔変換器(4)と、
電気コンタクト要素を具備した少なくとも一つのコンタクトヘッド(3)と、を備え、
前記コンタクトヘッド(3)が前記導体基体(2)と前記コンタクト部間隔変換器(4)との間に配置され、前記コンタクト部間隔変換器(4)が、バネ支持(41)により、コンタクト方向(15)にバネ性をもって若しくは実質的にコンタクト方向(15)にバネ性をもって配置されており、前記バネ支持が前記コンタクト部間隔変換器(4)のための中心センタリング装置(48)を構成し、
中心センタリング装置(48)には、それぞれ互いの間に角度を挟んでおり、第1の端部領域(46)を含み、当該第1の端部領域が互いに向かっている少なくとも二つの板バネ要素(45)が設けられており、前記板バネ要素のそれぞれの端部領域が、前記コンタクト部間隔変換器(4)の異なる側辺にある割り当てられた側辺凹部(47)内で、移動可能に差し込まれて配置され、
前記板バネ要素(45)の各々が、前記割り当てられた側辺凹部(47)と共に、前記コンタクト部間隔変換器(4)を径方向に移動可能に支持するための径方向支持部を構成し、
各々の径方向支持部の前記径方向が、軸方向である前記コンタクト方向(15)に対して横断方向に延びていることを特徴とする電気コンタクト装置(1)。
【請求項2】
前記コンタクト要素(9)が、実質的にコンタクト方向(15)にバネ性のある又は実質的にコンタクト方向(15)にバネ性に作用するバネコンタクト要素(16)として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気コンタクト装置。
【請求項3】
前記被検体(5)の前記電気的接触コンタクトのための検査コンタクト部(19)が、前記コンタクト部間隔変換器(4)に移動可能に保持されていること、又は前記被検体(5)の前記電気的接触コンタクトのための検査コンタクト部(19)が、前記コンタクト部間隔変換器(4)に固定されており、前記検査コンタクト部(19)がそれぞれ、剛性の検査コンタクト部(19)として又はバネ性のある検査コンタクト部(19)として形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気コンタクト装置。
【請求項4】
前記検査コンタクト部(19)がそれぞれ、コンタクト方向(15)に剛性の検査コンタクト部(19)として又はコンタクト方向(15)にバネ性のある若しくはコンタクト方向(15)にバネ性に作用する検査コンタクト部(19)として形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気コンタクト装置。
【請求項5】
前記コンタクト要素(9)が前記検査コンタクト部(19)と接触コンタクトしていること、又は前記コンタクト要素(9)が前記検査コンタクト部(19)と取り外し不可の結合により電気的に結合されていること、又は前記コンタクト要素(9)と前記検査コンタクト部(19)が相互に一体的に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の電気コンタクト装置。
【請求項6】
前記板バネ要素(45)のそれぞれが、コンタクト方向(15)に対して横断方向に延びている板面を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気コンタクト装置。
【請求項7】
前記板バネ要素(45)のそれぞれは、第1の端部領域(46)が、前記コンタクト部間隔変換器(4)の側辺に存在する側辺凹部(47)内に移動可能に差し込まれて配置されていること、並びに前記板バネ要素(45)のもう一方のさらなる端部領域が固定式に及び/又は前記コンタクトヘッド(3)で直接的若しくは間接的に保持されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気コンタクト装置。
【請求項8】
前記板バネ要素(45)は、一つの板バネ(42)で形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気コンタクト装置。
【請求項9】
前記板バネ(42)のそれぞれが、複数葉のクローバーの葉のような貫通口(43)を有しており、その際、前記クローバーの葉のそれぞれ二つの隣接する葉(44)の間に前記板バネ要素(45)の一つが形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電気コンタクト装置。
【請求項10】
前記コンタクトヘッド(3)の前記コンタクト要素(9)が、前記コンタクトヘッド(3)がさらなるコンタクト部間隔変換器(23)を構成するように形成及び/又は配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の電気コンタクト装置。
【請求項11】
前記コンタクト要素(9)の少なくとも一つのバネ定数が、帰属の又はそれぞれ帰属の前記検査コンタクト部(19)のバネ定数より大きい又は小さいことを特徴とする請求項3に記載の電気コンタクト装置。
【請求項12】
前記検査コンタクト部(19)の少なくとも一つのバネ圧縮ストロークが、帰属の又はそれぞれ帰属の前記コンタクト要素(9)の前記バネ圧縮ストロークが完全に行ききる前に、ストッパ(39)によって制限されることを特徴とする請求項3、4、または11に記載の電気コンタクト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査機構と電気的に結合可能な少なくとも一つの導体基体と、少なくとも一つのコンタクト部間隔変換器と、電気コンタクト要素、とりわけバネ性のあるコンタクト要素を具備しており、好ましくはとりわけコンタクト要素で存在しているコンタクト方向での異なる接触コンタクト部間隔を補整するのに役立つ少なくとも一つのコンタクトヘッドとを備えた、コンタクト方向に行われる被検体、とりわけウエハの電気的接触コンタクトのための電気コンタクト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に挙げた種類の電気コンタクト装置は、米国特許第5,952,843(A)号から知られている。このコンタクト装置は導体基体を備えており、導体基体がコンタクト部間隔変換器と電気的に協働し、コンタクト部間隔変換器はコンタクトヘッドと電気的に結合しており、このコンタクトヘッドにより電気被検体を検査することができる。このために、コンタクトヘッドのコンタクト要素が、対応する被検体コンタクト部に被さって接触コンタクトする。被検体を電気的な機能性について検査するため、導体基体と電気的に結合された検査機構により検査回路が接続される。既知のコンタクト装置の使用範囲は、とりわけ被検体の被検体コンタクト部のコンタクト位置が非常に密接している場合、限定的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の課題は、多方面にわたって使用可能な冒頭に挙げた種類の電気コンタクト装置を提供することである。とりわけ、この電気コンタクト装置は被検体コンタクト部のコンタクト位置が非常に密接している場合も問題なく使用できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、冒頭に挙げた電気コンタクト装置を考慮し、コンタクトヘッドが導体基体とコンタクト部間隔変換器の間に配置されることによって解決される。本発明では、コンタクト部間隔変換器により被検体の接触コンタクトが行われる。コンタクト要素の異なる接触コンタクト部間隔(とりわけ凹凸、傾きなどによる)の補整は、とりわけコンタクトヘッドのコンタクト要素の形成に依存するコンタクトヘッドの形成に応じ、相応の構造空間を必要とし、この構造空間は本発明の対象では存在している。なぜなら導体基体から被検体の方向に見て、コンタクト経路が互いの間に十分な透き間を有しているからであり、というのもこの透き間は、コンタクトヘッドに被検体の方向で隣り合うコンタクト部間隔変換器において初めて本質的に縮小されるからである。例えば被検体とコンタクト装置の間に傾きが存在する場合、この傾き、つまりその結果として生じる異なる大きな接触コンタクト部間隔の補整は、極めて狭い空間で行う必要はなく、コンタクト部間隔の領域内で行われ、又は被検体コンタクト部間隔より大きなコンタクト部間隔の領域内でも行われる。なぜならコンタクトヘッドと被検体の間にさらに、被検体に向かう方向にコンタクト部間隔を縮小する働きをもつコンタクト部間隔変換器が存在するからである。
【0005】
本発明の一変形形態によれば、コンタクト要素は、実質的にコンタクト方向にバネ性のある又は実質的にコンタクト方向にバネ性に作用するバネコンタクト要素として形成されていることが企画される。コンタクト要素が、とりわけコンタクト方向に又はほぼコンタクト方向に延びているコンタクト要素であり、特に好ましくはいわゆる屈曲ワイヤである場合、とりわけコンタクト要素が絶縁されていない屈曲ワイヤとして形成されている場合、本発明に基づき、及び本発明に基づいて生じるコンタクト要素の比較的大きな間隔に基づき、コンタクト要素が相互に接触する恐れがなく、したがって電気的短絡の恐れがない。
【0006】
本発明に基づけば、存在している接触コンタクト部間隔(軸方向、つまりコンタクト方向での)の比較的大きく見積もられた補整を、バネコンタクト要素として形成されたコンタクト要素のバネ作用を低下させることなく可能である。それ故、相応の大きさのバネストロークを実現することができ、それにもかかわらず前述の短絡の危険性は存在しない。さらに本発明の対象の場合、コンタクト要素を十分に安定に実施することもでき、したがって、安定した実施に基づき相応の高いバネ力が作用するので、(とりわけコンタクト部間隔変換器により)確実な接触コンタクトが成され、つまり、それぞれの接触コンタクトが相応の大きさのコンタクト力によって実現され、これにより確実なコンタクトが可能である。さらに、本発明のコンタクト要素の比較的安定した形態は、相応に高い電流負荷を許容し、この高い電流負荷が、許容できない加熱に至ることはなく、したがって測定エラーを引き起こすこともない。現況技術では、固有電気抵抗が相応に低く、十分なコンタクト力をももたらす太いコンタクト要素を用いる場合、このコンタクト要素は必然的に、比較的短く実施しなければならず、したがって達成可能なバネストロークがしばしば十分ではない。これらの制限のあるパラメータ及びそれによって生じる欠点はすべて、本発明の対象では存在しない。
【0007】
本発明の一変形形態によれば、被検体の電気的接触コンタクトのための検査コンタクト部は、コンタクト部間隔変換器に移動可能に保持されており、又は被検体の電気的接触コンタクトのための検査コンタクト部は、コンタクト部間隔変換器に固定されており、この検査コンタクト部はそれぞれ、剛性の検査コンタクト部として又はバネ性のある検査コンタクト部として形成されており、とりわけ、コンタクト方向に剛性の検査コンタクト部として又はコンタクト方向にバネ性のある若しくはコンタクト方向にバネ性に作用する検査コンタクト部として形成されていることが企画される。検査コンタクト部が移動可能であることは、例えば小さな凹凸の補整に関し、接触コンタクトの改善を可能にする。移動可能に保持された検査コンタクト部は、例えば故障した場合に新しい検査コンタクト部と交換するために、コンタクト部間隔変換器から簡単なやり方で取り外せることが好ましい。上で代替策として挙げた固定された検査コンタクト部は、前述の移動可能性を有していない。検査コンタクト部は、剛性の検査コンタクト部として又はバネ性のある検査コンタクト部として形成することができる。剛性の検査コンタクト部の場合、検査コンタクト部では凹凸などの補整は行われない。バネ性のある検査コンタクト部は、比較的小さな凹凸などを、接触コンタクトの際に補整することができる。
【0008】
総括すると、本発明のすべての様々な実施形態に関して重要なのは、本質的な、つまりより大きな接触コンタクト部間隔はコンタクトヘッドによって補整され、その一方でコンタクト部間隔変換器によっては、まったく補整されないか又は相対的にかなり小さい接触コンタクト部間隔差しか補整されないことである。したがって、例えば被検体とコンタクト装置の間の傾きは、実質的にはコンタクトヘッドによって補整される。これに対しコンタクト部間隔変換器によってはせいぜい、接触コンタクト部間隔の相応に小さな凹凸しか補償されない。接触コンタクト部間隔は、構造形式に応じて、導体基体とコンタクトヘッドの間に、コンタクトヘッドとコンタクト部間隔変換器の間に、及び/又はコンタクト部間隔変換器と被検体の間に存在し得る。
【0009】
本発明の一変形形態によれば、コンタクト要素は検査コンタクト部と接触コンタクトしているか、又はコンタクト要素が検査コンタクト部と取り外し不可の結合により電気的に結合しているか、又はコンタクト要素と検査コンタクト部が相互に一体的に形成されていることが企画される。言及した接触コンタクトが存在する場合、コンタクト装置はこの接触コンタクトと、さらなる接触コンタクトを詳しくはコンタクト部間隔変換器と被検体の間で有している。もう一つの接触コンタクトが、コンタクトヘッドと導体基体の間に存在し得る。相互に取り外し不可に結合されたコンタクト要素と検査コンタクト部は、例えば接着、はんだ付け、溶接、とりわけ冷間溶接によってもたらされたユニットを構成している。さらなる代替策として、コンタクト要素と検査コンタクト部の一体化が挙げられており、この一体化は、とりわけ非常に低抵抗の電流路を提供する。
【0010】
好ましくは、コンタクト部間隔変換器が、バネ支持により、コンタクト方向にバネ性をもって若しくは実質的にコンタクト方向にバネ性をもって配置されることであり、又はコンタクト部間隔変換器が、コンタクト方向に移動可能に若しくは実質的にコンタクト方向に移動可能にガイド支持によって配置され、且つ実質的にコンタクト方向にバネ性のある若しくは実質的にコンタクト方向にバネ性に作用するバネコンタクト要素によりバネ性をもって突っ張り支持されることが企画される。それに加えて又はその代わりに、ガイド支持により移動可能に配置されたコンタクト部間隔変換器を、別個のバネ機構によりバネ性をもって突っ張り支持することができる。両方の場合に、つまりバネ支持によって又はガイド支持によって、コンタクト方向に又は実質的にコンタクト方向に可能な、コンタクトヘッドに対するコンタクト部間隔変換器の変位性が可能にされている。これに対してコンタクトヘッドは固定式に配置されるのが好ましい。導体基体も固定式に配置されるのが好ましい。接触コンタクトを実施するには、とりわけ、被検体を電気コンタクト装置の方向に、接触コンタクトが生じるまで動かすことが企画される。その代わりに電気コンタクト装置を、固定式に配置された被検体の方向に動かしてもよい。第3の可能性としては、電気コンタクト装置及び被検体の双方を互いに向かって送ることである。ガイド支持は、基本的には一種のバネ支持でもあり、この一種のバネ支持が生じているのは、コンタクト装置がガイド支持によっては確かに移動可能であるだけであり、つまりガイド支持に内在するバネ力に対しては変位不能であるが、しかしながらバネコンタクト要素がコンタクト方向にバネ性をもってコンタクト部間隔変換器と協働し、これによりコンタクト部間隔変換器がガイド支持の移動経路に沿ってバネ特性も獲得し、且つ/又は別個のバネ機構が設けられることによってである。
【0011】
本発明の一変形形態によれば、コンタクト部間隔変換器のための中心センタリング装置が設けられている。これは、例えば温度変動が生じるか又は被検体が様々な温度で検査されるとしても、検査コンタクト部の構成の中心又はほぼ中心が、検査コンタクト部の被検体に対する及び/又はコンタクトヘッドに対するポジションを維持することを意味する。なぜなら温度影響によって生じる膨張又は収縮は、上記の部品の面全体に、中心センタリング装置に基づいて中心からしか影響を及ぼさず、したがってせいぜい僅かにしか生じないからであり、これにより、被検体及び/又はコンタクトヘッドに対する電気コンタクトは危険にさらされることがない。
【0012】
とりわけ、バネ支持又はガイド支持が、コンタクト部間隔変換器のための中心センタリング装置を一緒に形成することを企画することができる。これにより、コンパクトで単純な構造形式が達成される。
【0013】
本発明の一変形形態では、バネ支持が少なくとも一つの板バネ要素を備えていることを企画する。この板バネ要素は、コンタクト部間隔変換器の、コンタクト方向又は実質的にコンタクト方向に作用するバネ性のある支持を可能にする。
【0014】
とりわけ有利なのは、バネ要素が、(軸方向の)コンタクト方向に対して横断方向に、とりわけ直角に又は実質的に直角に延びている板面を有する場合である。それ故、バネ作用はコンタクト方向に又はほぼコンタクト方向に生じる。
【0015】
本発明の一変形形態によれば、板バネ要素は、第1の端部領域が、コンタクト部間隔変換器の側辺に存在する側辺凹部内に移動可能に差し込まれて配置されており、且つ板バネ要素のもう一方のさらなる端部領域は固定式に及び/又はコンタクトヘッドで直接的若しくは間接的に保持されていることが企画される。言及したコンタクトヘッドでの間接的な保持は、少なくとも一つのさらなる部材の介在によって行われる。板バネ要素の第1の端部領域は、板バネ要素のさらなる端部領域、とりわけ第2の端部領域に対し、バネ性をもって変位することができる。これは、板面に対して横断方向に、とりわけ直角に、とりわけ軸方向に行われ、これによりバネ支持が達成される。バネ支持が相応にしなると、第1の端部領域が側辺凹部内で径方向に僅かに移動し得る。これは、コンタクト方向に行われる変位のために必要である。
【0016】
本発明の一変形形態は、それぞれ互いの間にとりわけ鋭角を挟んでおり、第1の端部領域が互いに向かっている少なくとも二つの、好ましくは三つ又は四つの板バネ要素が設けられており、とりわけ一つの板バネに形成された板バネ要素が設けられており、これらの板バネ要素は、コンタクト部間隔変換器の異なる側辺にある側辺凹部内で、移動可能に差し込まれて配置されていることを企画する。複数の個々の板バネ要素がそれぞれにそれだけで、板バネ要素のさらなる、とりわけ第2の端部領域で係留されて、且つ板バネ要素の第1の端部領域でコンタクト部間隔変換器を保持しているか、又はこれらの板バネ要素が一緒になって一つの同じ板バネで形成されている。板バネ要素の互いに角度をずらした配置により、板バネ要素は、とりわけ板バネ要素が三つ以上の場合、コンタクト部間隔変換器の中心センタリングをもたらし、つまり一方ではバネ支持を形成し、他方では中心センタリング装置も形成している。
【0017】
有利なのは、板バネが、複数葉のクローバーの葉のような、とりわけ三つ葉のクローバーの葉又は四つ葉のクローバーの葉のような貫通口を有している場合であり、その際、クローバーの葉のそれぞれ二つの隣接する葉の間に板バネ要素の一つが形成されている。その結果として、板バネでは複数の板バネ要素が相互に一体的に形成されている。
【0018】
本発明の一変形形態は、板バネ要素の各々が、割り当てられた側辺凹部と共に、コンタクト部間隔変換器を径方向に移動可能に支持するための径方向支持部を構成していることを企画する。この機能は上で既に取り上げた。
【0019】
各々の径方向支持部の径方向が、軸方向であるコンタクト方向に対して横断方向に、とりわけ垂直に又は実質的に垂直に延びている場合が有利である。
【0020】
本発明の一変形形態は、コンタクトヘッドのコンタクト要素は、コンタクトヘッドがさらなるコンタクト部間隔変換器を構成するように形成及び/又は配置されていることを企画する。したがって、既に言及した最初に挙げたコンタクト部間隔変換器のコンタクト部間隔の縮小が、さらなるコンタクト部間隔変換器を構成するコンタクトヘッドによって増進され、つまり両方のコンタクト部間隔変換器の総和が作用し、これにより、この電気コンタクト装置を使って非常に狭い被検体コンタクト部間隔を接触コンタクトすることができる。好ましいのは、コンタクト部間隔の本質的な縮小が最初に挙げたコンタクト部間隔変換器によって成される一方で、それより小さなコンタクト部間隔の縮小が、さらなるコンタクト部間隔変換器によって、つまりコンタクトヘッドによって達成されるように構成されることである。
【0021】
さらに、コンタクト要素の少なくとも一つのバネ定数が、帰属の又はそれぞれ帰属の検査コンタクト部のバネ定数より大きい又は小さい場合が有利である。つまり、より強いバネ作用が少なくとも一つのコンタクト要素によって達成され、その一方でより小さい力で作用するバネ作用が、割り当てられた又はそれぞれ割り当てられた検査コンタクト部によって達成されるか(「より大きい」、とりわけ
図8)、又はその逆である(「より小さい」、とりわけ
図6)。
【0022】
好ましいのは、検査コンタクト部の少なくとも一つのバネ圧縮ストロークを、帰属の又はそれぞれの帰属のバネコンタクト要素のバネ圧縮ストロークが完全に行ききる前に、ストッパによって制限するように構成できることである。その結果として、バネ圧縮工程中、バネ定数の大きさが異なることにより、接触コンタクトの際は考察された検査コンタクト部がバネ圧縮され、それも、割り当てられたコンタクト要素より大きなバネストロークに沿って圧縮される。さらにバネ圧縮しているうちに検査コンタクト部は言及したストッパに当たり、その結果として、検査コンタクト部はそれ以上バネ圧縮しないか又はそれ以上は僅かにしかバネ圧縮せず、したがってその後は接触コンタクト力が上昇してもコンタクト要素のバネ圧縮しかもはや行われないか又は実質的にはコンタクト要素のバネ圧縮しか行われない。それ故、検査コンタクト部及びコンタクト要素から結果として生じるバネ特性線(力に対するバネストローク)は折れ目を有し、その折れ目以降は、バネストロークがさらに増大すると力が大幅に上昇する。
【0023】
図面は、複数の例示的実施形態に基づいて本発明を具体的に説明している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】電気コンタクト装置の第1の例示的実施形態を示す図である。
【
図2】コンタクト状態での
図1のコンタクト装置を示す図である。
【
図4】電気コンタクト装置のさらなる一つの例示的実施形態を示す図である。
【
図5】電気コンタクト装置のさらなる一つの例示的実施形態を示す図である。
【
図6】電気コンタクト装置のさらなる一つの例示的実施形態を示す図である。
【
図7】電気コンタクト装置のさらなる一つの例示的実施形態を示す図である。
【
図8】電気コンタクト装置のさらなる一つの例示的実施形態を示す図である。
【
図12】上で挙げたコンタクト装置の一つのコンタクト部間隔変換器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、電気コンタクト装置1を概略図で示している。コンタクト装置1は、導体基体2、コンタクトヘッド3、及びコンタクト部間隔変換器4を備えている。コンタクト装置1は、電気被検体5、とりわけウエハを電気的な機能性について検査することに用いられる。検査電流路を接続するために、図示されていない検査機構に至る示唆した電気的結合部6により、コンタクト装置1を使って被検体5に電気的に接触コンタクトすることができる。
【0026】
導体基体2は、導体路8を備えた基板7として形成され得ることが好ましく、この導体路は一方では電気的結合部6と電気的に結合されており、他方ではコンタクトヘッド3の電気コンタクト要素9と協働するコンタクトエリア(パッド)に至る。
【0027】
コンタクトヘッド3は、少なくとも二つのガイドプレート10、11を備えており、これらのガイドプレートはスペーサ12により互いに離されて配置されている。ガイドプレート10、11はガイド孔13、14を有しており、このガイド孔にはコンタクト要素9が移動可能に差し込まれている。コンタクト要素9は、コンタクト方向15にバネ性のあるバネコンタクト要素16として、とりわけ屈曲ワイヤ17として形成されている。これは、屈曲ワイヤ17が両方のガイドプレート10と11の間で少なくとも一つの湾曲部を有することを意味する。屈曲ワイヤ17はこの湾曲部により、及び屈曲ワイヤの材料特性により、バネ特性を獲得している。
【0028】
コンタクト部間隔変換器4は基体18を備えており、この基体には被検体5の方向に向かって検査コンタクト部19が固定されている。検査コンタクト部19は電気的結合部20と電気的に結合されており、電気的結合部20は基体18の上面21までガイドされており、そこでコンタクトヘッド3の電気コンタクト要素9と協働することができる。被検体5は被検体コンタクト部22を備えており、被検体コンタクト部はこの例示的実施形態では柱状に出っ張っており、コンタクト部間隔変換器4の検査コンタクト部19と協働することができる。
【0029】
図1から明らかなのは、電気的結合部20が検査コンタクト部19の側では上面21でより狭いコンタクト部間隔を有しており、つまりコンタクト部間隔が被検体5に向かう方向に縮小されていることである。
図1から見て取れるように、すべてのコンタクト要素9に電気的結合部20が割り当てられる必要はない。さらに言及すべきは、本出願の図ではコンタクト装置1及び被検体5が二次元的にしか示されていないということである。これは、上記の部品の、空間的に、とりわけマトリクス状に存在しているコンタクト部構成が二次元的にしか明白でないことを意味する。さらに、本出願の幾つかの実施形態は、電気コンタクト要素9が互いに対して実質的に平行に延びている、つまりコンタクト部間隔が変化しないコンタクトヘッド3を示している。
図8の例示的実施形態でのみ、ガイドプレート11の領域内のコンタクト要素9が、ガイドプレート10の領域内でより狭いコンタクト部間隔を有することが認識できる。これは結果として、コンタクトヘッド3がさらなるコンタクト部間隔変換器23を構成していることになる。したがって本出願で示した例示的実施形態は、それぞれの図での具体的な表現とは関係なく、実質的に平行に延びている電気コンタクト要素を備えることができ、又は例えば
図8で示唆したように、コンタクト部間隔変換器4だけでなく、さらなるコンタクト部間隔変換器23を構成するために、「ほぐれた」コンタクト要素9を備えることができる。
【0030】
図1は、コンタクトしていない状態でのコンタクト装置1を示しており、
図2はコンタクトした状態でのコンタクト装置1を示し、つまり被検体5が、電気的な機能性について検査できるように接触コンタクトされている。
図2では、簡略化のため導体基体2を示していない。これに対応することは、以下の電気コンタクト装置1のさらなる例示的実施形態にも当てはまる。被検体5の被検体コンタクト部22に電気的に接触コンタクトするために、被検体が矢印24(
図2)によりコンタクト装置1の方向に動かされ、これにより検査コンタクト部19が被検体コンタクト部22に被さる。このために被検体5は、コンタクト方向15に変位可能な昇降台(図示されていない)上にある。
図3は、検査コンタクト部19及び被検体コンタクト部22の拡大図を示している。検査コンタクト部19は複数のコンタクト要素25から成っており、コンタクト要素25は突き当て斜面26を有していることが分かる。突き当て斜面26は、被検体コンタクト部22で突っ張り支持され、コンタクト要素25の間隔を相応に弾性をもって拡張させ、その結果これにより、被検体コンタクト部22のコンタクト差及び被検体5の凹凸を補整するための、コンタクト方向15でのある程度のバネ作用が生じる。この軸方向のバネ性は比較的僅かな作用しかないが、それでもここでは正確で低抵抗の被検体コンタクトの達成に有益である。検査コンタクト部19は、クラウン型コンタクト部(Kronenkontakt)であることが好ましい(
図1〜3を参照)。
【0031】
被検体5をコンタクト装置1の方向に送ることにより、検査コンタクト部19と被検体コンタクト部22の接触コンタクトが行われるだけでなく、コンタクトヘッド3の方向へのコンタクト部間隔変換器4のバネ圧縮も行われる。
図1と
図2の比較が示すのは、接触コンタクトの際に、コンタクト部間隔変換器4とコンタクトヘッド3の間隔が縮小し、つまりコンタクト部間隔変換器4が矢印27に対応してコンタクト方向15に変位するということである。コンタクトヘッド3は固定式に配置されており、つまりコンタクトヘッドは変位しない。何によってこの変位が可能にされているかは、
図1及び
図2からは明らかではない。しかしながら変位は
図12に基づいて説明される。好ましくは固定式のコンタクトヘッド5及び同様に好ましくは固定式の導体基体2に対して相対的な、コンタクト部間隔変換器4のこの軸方向の変位、とりわけバネ性のある軸方向の変位は、本出願のすべての他の例示的実施形態でも存在しているが、図では常に直接的に明らかではない。電気コンタクト要素9、とりわけ屈曲ワイヤ17は、とりわけ弾性をもって、詳しくはバネ弾性をもって形成された変位性により、弾性をもってたわみ又はさらにたわみ、これは
図1と
図2の比較から明らかに分かることである。それ故これにより、一方では導体基体2のコンタクトエリア/導体路8に対し、他方では電気的結合部20の露出している端面に対し、電気コンタクト要素9の相応のコンタクト圧力が生じ、したがってこの両方の部位でも低抵抗の接触コンタクトが生じる。
【0032】
本出願の図から、とりわけ
図1から、コンタクトヘッド3が導体基体2とコンタクト部間隔変換器4の間に存在していることが分かる。コンタクト部間隔変換器4は、検査すべき電気的被検体5との電気的接触コンタクトを確立し、導体基体2は図示されていない検査機構と電気的に結合可能である。
【0033】
とりわけ言及すべきは、例えば傾きを補整するための、コンタクト方向15に行われるバネストロークは、実質的にはコンタクトヘッド3によって、つまり電気コンタクト要素9によって成されるということである。検査コンタクト部19は、例えばその突き当て斜面26に基づいて、著しくより小さな軸方向のバネストロークを引き起こすことができ、しかしながらこの小さなバネ圧縮は比較的小さな凹凸しか補整できない。この原理は、本発明のすべての例示的実施形態で当てはまり、つまりより大きな軸方向のバネストロークはコンタクトヘッド3によって実現され、その一方でコンタクト部間隔変換器4、とりわけ検査コンタクト部19は、小さなバネストロークしか実現しない。
【0034】
図4は、実質的に
図1及び
図2の例示的実施形態に対応するコンタクト装置1のさらなる一つの例示的実施形態を示している。したがって、対応する上記の実施形態を参照されたい。異なっているのは、コンタクト方向15に弾性のバネ作用をもつ検査コンタクト部19の代わりに、軸方向に、つまりコンタクト方向15に剛性に形成された剛性の検査コンタクト部19が存在していることだけである。電気的検査の際には、この剛性の検査コンタクト部19が、被検体5の対応する被検体コンタクト部22に被さる。
【0035】
図5は、実質的に
図1及び
図2のコンタクト装置1に対応するコンタクト装置1のさらなる一つの例示的実施形態を示している。したがって、対応する上記の実施形態を参照されたい。異なっているのは、クラウン型コンタクト部として形成された検査コンタクト部19の代わりに、軸方向にバネ性のある検査コンタクト部19が設けられていることだけである。この検査コンタクト部は、軸バネ、屈曲ワイヤ、コブラ型コンタクト部(Cobra-Kontakt)として、又は湾曲しており、少なくとも一つのスリットを備えたコンタクト要素(ストライプビーム(Striped Beam))として形成することができる。本出願のすべての例示的実施形態で、検査コンタクト部19はコンタクト部間隔変換器4に固定的に配置することができ、又は検査コンタクト部19はそこで取り外し可能に据え付けられている。
【0036】
図6は、実質的に
図1及び
図2のコンタクト装置1に対応するコンタクト装置1のさらなる一つの例示的実施形態を示している。したがって、対応する上記の実施形態を参照されたい。異なっているのは、コンタクト部間隔変換器4の形成だけである。
図6によれば、コンタクト部間隔変形器は、既に
図1及び
図2の例示的実施形態でも述べたように、電気的結合部20を具備する基体18を備えている。検査コンタクト部19は、バネ性又は剛性のコンタクト針28として形成されている。
図6では、コンタクト針が弓状に延びて形成されており、被検体5に接触コンタクトする際にコンタクト方向15にバネ圧縮され得ることによりバネ性のあるコンタクト針28が示されている。コンタクト針28は、ガイドプレート30のガイド穿孔29内で移動可能に支持されており、このガイドプレート30は保持要素31により基体18に固定されている。図示されていない導体基体2との接触コンタクトは電気コンタクト要素9によって行われる。さらに、コンタクト要素9と電気的結合部20の接触コンタクトが存在している。電気的結合部20はコンタクト針28と電気的及び機械的に結合している。この結合は、好ましくは取り外し不可の結合、とりわけはんだ付け、溶接、接着、又はそれに類することによって行われる。その代わりに電気的結合部20とコンタクト針28の一体的な形成も考えられる。
【0037】
図7の例示的実施形態は、実質的に
図1及び
図2の形態と関連する
図6の形態に対応するコンタクト装置1を示している。したがって、対応する上記の実施形態を参照されたい。
図6の形態に対して異なっているのは、(弓状なので)バネ性をもって延びているコンタクト針28が、被検体5の方向でガイドプレート30のガイド穿孔29内で移動可能にガイドされているだけでなく、基体18に隣接するさらなるガイドプレート33のガイド穿孔32内でも移動可能に支持されていることだけである。
【0038】
図8は、実質的に
図1及び
図2の例示的実施形態に対応するコンタクト装置1の一つの例示的実施形態を示している。したがって、対応する上記の実施形態を参照されたい。ただし、コンタクト部間隔変換器4の形態が異なっている。
図8の例示的実施形態では、コンタクト部間隔変換器は、二つの互いに間隔をあけたガイドプレート34及び35を備えており、これらのガイドプレートがガイド穿孔36、37を有しており、このガイド穿孔に屈曲ワイヤ38として形成された検査コンタクト部19が貫通していることにより、コンタクトヘッド3のように形成されている。屈曲ワイヤ38は、ガイド穿孔36内でもガイド穿孔37内でも移動可能に支持されるのが好ましい。コンタクトヘッド3の側では、コンタクトヘッドの電気コンタクト要素9と屈曲ワイヤ38が電気的及び機械的に結合されており、とりわけ取り外し不可に、好ましくははんだ付け、溶接、接着、又はそれに類することにより結合されている。ガイドプレート34と35の間で少なくとも一つの湾曲部を有する屈曲ワイヤ38として検査コンタクト部19を形成することにより、バネ性のある、詳しくはコンタクト方向15にバネ性のある検査コンタクト部19が提供されている。
図9及び
図10は、屈曲ワイヤ38がそれぞれストッパ39と協働することを明瞭化している。この場合はストッパ壁であることができる。屈曲ワイヤ38のバネ圧縮が起こると、屈曲ワイヤは
図9及び
図10に対応してさらにたわみ、その際、増大するたわみ部がストッパ39にぶつかる(矢印40)。これによりバネ圧縮ストロークが制限される。コンタクト要素9、とりわけ屈曲ワイヤ17のバネ定数は、屈曲ワイヤ38のバネ定数より大きく構成することが好ましい。これは結果として、
図11のグラフによる特性曲線を生じさせる。このグラフではバネストロークFに対する力K(バネ力)が示されている。バネ圧縮の際、まず、屈曲ワイヤ38がストッパ39に当たるまでは実質的に屈曲ワイヤ38のバネ定数が作用することが認識できる。それ以降はバネ特性線が折れ目で急激に上昇する。なぜならそこからは屈曲ワイヤ17のバネ定数が優位になるからである。
【0039】
既に言及したように、本発明のすべての例示的実施形態では、コンタクト部間隔変換器4はコンタクト方向15にバネ性をもって又は実質的にコンタクト方向15にバネ性をもって配置されていることが企画される。このためにバネ支持41が設けられている。バネ支持41の一つの例示的実施形態が
図12から分かる。バネ支持41は、複数葉のクローバーの葉のような貫通口43を有する板バネ42を備えている。
図12の例示的実施形態では、四つ葉のクローバーの葉のような貫通口43である。貫通口43のそれぞれ二つの隣接する葉44の間には、それぞれ一つの板バネ要素45が舌状に形成されている。板バネ要素45は端部領域46を有しており、端部領域は互いに向かっており、且つ基体18の側辺凹部47内で移動可能に差し込まれて配置されている。この形態は
図13からも分かる。上述の及び
図12から分かる構成により、並びに板バネ要素45の端部領域46の側辺凹部47内への移動可能な差し込みにより、全体として、コンタクト部間隔変換器4の、コンタクト方向15に、つまり軸方向に作用するバネ性のある支持をもたらすことが実現されているだけでなく、同時にコンタクト部間隔変換器4のための中心センタリング装置48が形成されている。
【0040】
図14によれば、板バネ42は外縁側では保持要素49によりコンタクトヘッド3に固定することができる。さらに、必須ではないがこれに加えて又はこの代わりに、被検体5に接触していない状態でも既にコンタクトヘッド3のコンタクト部に、コンタクト部間隔変換器4のコンタクト部の接触コンタクト力をかけるため、板バネ要素45に被検体の方向に少し予応力を加え得る(
図14を参照)ことが考えられる。板バネ要素45は、しならせていない状態ではすべて一平面内にあるということも考えられる。
【0041】
よって
図14の参照の下、被検体5(
図14でのそこでは図示されていない)の接触コンタクトが行われると、コンタクト部間隔変換器4がコンタクト方向15においてコンタクトヘッド3の方向にバネ性をもって移動し、接触コンタクトが終了するとコンタクト部間隔変換器4がその出発位置に跳ね返る。
【0042】
図15によれば、とりわけ、板バネ42を保持要素49から取り外し、且つ側辺凹部47内で板バネの端部領域46だけが押し込まれた板バネ要素45を引き抜くことにより、板バネ42の容易な交換が行われ得るように、構成することができる。これは例えば軸方向の強い圧力によって行うことができる。これに対応するやり方で、新しい板バネ42を据え付けることができる。
【0043】
本発明に基づけば、いわば主コンタクトヘッド、つまりコンタクトヘッド3が存在している。さらに、検査すべき被検体5に向かう方向にコンタクト部間隔の縮小が行われるさらなる平面が使用される。これに関して重要なのは、この平面が、被検体5に隣接して存在すること、つまりコンタクトヘッド3が導体基体2とコンタクト部間隔変換器4の間に配置されていることである。その代わりに又はそれに加えて重要なのは、コンタクト部間隔変換器4が、コンタクトの際に持ち上がること、つまりコンタクト方向15に変位可能に、とりわけバネ性をもって変位可能に配置されていることである。
【0044】
検査コンタクト部19は様々に実現することができ、例えば、とりわけ金属から成るか、又は金属性の表面若しくは非常に導電性に優れた表面を有する非導電性若しくは弱導電性材料から成る蛇腹状のコンタクト針として実現することができる。さらに、オイラー座屈の原理を活用したバックリングビーム(buckling-beam)状のコンタクト針を用いてもよい。さらに、固有歪みを活用したコブラ状の垂直(軸方向)のコンタクト針を用いることができる。さらに、カンチレバーの原理に基づき水平方向にバネ性のある(径方向にバネ性のある)コンタクト針を用いることができ、この場合、バネ性のある部分は、一つ又は任意選択で複数の互いに平行で、所望のバネ方向に対して垂直に配置された要素から成る。さらに、主として垂直(軸方向)に方向付けられた複数の薄板を備えた、ストライプビームの原理によるコンタクト要素を用いることができ、その断面は、バネ伸長の方向が予め設定されるように形成されている。さらにクラウン状のコンタクト針を用いることができ、このコンタクト針は、被検体に向かう方向にスリットを入れられているか又は複数の部分から形成されており、間隔拡張により小さなバネストロークを実現する。コンタクト部間隔変換器4(スペーストランスフォーマ)の場合、基板、とりわけ有機基板又はセラミック基板を用いることができる。さらに、ビアを備えたウエハの使用が可能である。
【0045】
図14によれば、コンタクト部間隔変換器4は、各々のコンタクト動作の際に主コンタクトヘッド、つまりコンタクトヘッド3に対して軸方向の相対運動が行われるように形成することができる。これに関しては、コンタクト部間隔変換器4のバネ性のある支持により、被検体5に接触していない状態でも、力がコンタクト部間隔変換器4からコンタクトヘッド3にかかり、それによりコンタクトヘッド3の電気コンタクト要素9にコンタクト圧力がかかるように構成してもよい。
【0046】
上で言及したコンタクト部間隔変換器4の中心センタリングは、別のやり方で、例えばコンタクト方向15に延びており、且つコンタクト部間隔変換器4の長孔に噛み合っているピンによって実現することもできる。この長孔はその長手方向をコンタクト部間隔変換器4の中心に、つまりセンターに方向付けられている。
【0047】
コンタクト部間隔変換器4では、コンタクト部間隔に影響を及ぼすため、図から分かるS字状の電気的結合部20を用いることができる。もちろん他の実施形態、例えば斜めに立てたコンタクト部による実施形態も考えられる。これに対応することが、コンタクトヘッド3のコンタクト要素9に当てはまる。
【0048】
バネ性をもって支持されたコンタクト部間隔変換器4の中又は上には、受動部品(コンデンサ、抵抗、コイル)又は能動部品(トランジスタ、マイクロ電子機器)が存在することができ、これらの部品は内蔵式で、つまりコンタクト部間隔変換器4の内蔵された構成要素として設けられているか、又はコンタクト部間隔変換器上に施されている。コンタクト部間隔変換器4のバネ性のある形成により、つまり例えば示した板バネ42により、又はバネ性のある支持の基本的な原理を知っている平均的な当業者によって容易に実現され得るその他の措置に基づいても、コンタクトヘッド3の方向への予応力を実現することができる。コンタクトヘッド3の電気コンタクト要素9に対するコンタクト部間隔変換器4の荷重−変位特性線の形状及び勾配は、このバネを相応に実現することによって調整することができる。こうして平準化を簡単に実現することができる。コンタクトヘッド3のコンタクト要素9は、図に示したように軸方向に延びているバネ要素から成ることができるが、しかしながら他の可能性、とりわけ例えばタングステン合金のワイヤから製造されたとりわけカンチレバー構造形式の可能性、マイクロカンチレバー形成(LIGA技術において、例えばニッケル合金から成る)の可能性、圧縮空気によって加圧されるか若しくはポリマークッションによって弾ませられる膜としての可能性、図から分かるようにプレート内でガイドされ、主として軸方向に、とりわけ垂直に方向付けられた湾曲要素から製造される可能性、又は自立式で、ワイヤからか若しくはLIGA技術において製造され、場合によってはストライプビームの原理に基づく、つまりラミネートされたコンタクト要素としての可能性も考えることができる。コンタクトヘッド3のバネ要素(コンタクト要素)と、バネ性に支持されたコンタクト部間隔変換器4内のバネ要素(コンタクト要素)との結合部は、単なる接触コンタクトであることができる。この場合、バネ性をもって支持されたコンタクト部間隔変換器4を簡単に交換することができる。しかしながら、接触コンタクトの代わりに取り外し不可の結合であってもよい。この両方のバネ要素が一つの部品から構成されることも可能である。