特許第6133011号(P6133011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133011除草剤抵抗性のAHAS突然変異体及び使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133011
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】除草剤抵抗性のAHAS突然変異体及び使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20170515BHJP
   A01H 5/00 20060101ALI20170515BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   A01H5/00 A
   C12N5/10
【請求項の数】35
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2011-529213(P2011-529213)
(86)(22)【出願日】2009年9月24日
(65)【公表番号】特表2012-503488(P2012-503488A)
(43)【公表日】2012年2月9日
(86)【国際出願番号】US2009058169
(87)【国際公開番号】WO2010036771
(87)【国際公開日】20100401
【審査請求日】2012年9月24日
【審判番号】不服2015-11910(P2015-11910/J1)
【審判請求日】2015年6月24日
(31)【優先権主張番号】61/100,541
(32)【優先日】2008年9月26日
(33)【優先権主張国】US
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-9278
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-9279
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-9402
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-9403
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-10321
(73)【特許権者】
【識別番号】511164592
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロケミカル プロダクツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100118072
【弁理士】
【氏名又は名称】醍醐 美知子
(72)【発明者】
【氏名】ビートハム、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、デール
(72)【発明者】
【氏名】ゴーカル、グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】エムシー エルバー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ピアース、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】スホプケ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シング、ビジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、キース
【合議体】
【審判長】 大宅 郁治
【審判官】 三原 健治
【審判官】 高堀 栄二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/040011(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/005581(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0283858(US,A1)
【文献】 特表2010−523103(JP,A)
【文献】 Mol.Breeding,2008,Vol.22,p.217−225
【文献】 Pest.Manag.Sci.,2005,Vol.61,p.246−257
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
A01H 5/00
Uniprot/GeneSeq
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/WPIDS(STN)
JDreamIII
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セイヨウアブラナ植物アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニットIII(AHASL III)タンパク質をコードする組換え又は突然変異誘発核酸分子であって、前記核酸分子は、配列番号16の核酸配列、又は配列番号16の核酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有する核酸配列を有し、
前記アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニットIII(AHASL III)タンパク質は、AHAS阻害性除草剤による阻害に耐性であり、配列番号23の位置A122に対応する位置でのアラニンからトレオニンへの置換(A122T)及び配列番号23の位置S653に対応する位置でのセリンからアスパラギンへの置換(S653N)を含み、前記AHASL IIIタンパク質は、単一突然変異A122Tを有するアブラナ属AHASL IIIタンパク質及び単一突然変異S653Nを有するアブラナ属AHASL IIIタンパク質の相加的なレベルと比較して、イミダゾリノン除草剤による阻害に相乗的なレベルの耐性を示し、またここで、前記AHASL IIIタンパク質は、ヘクタールあたり少なくとも100gの活性成分(100g ai/ha)のイマザモックスに対して抵抗性のセイヨウアブラナ植物をもたらし得る、前記核酸分子。
【請求項2】
(a)AHASLタンパク質が配列番号21のアミノ酸配列を有するか、又は
(b)核酸分子が配列番号16の核酸配列を有する、
請求項1に記載の組換え又は突然変異誘発核酸分子。
【請求項3】
単離された請求項1又は2に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項4】
AHASLタンパク質が配列番号21のアミノ酸配列を有する、請求項3に記載の発現ベクター。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の組換え又は突然変異誘発核酸分子を含むアブラナ属植物。
【請求項6】
(a)核酸分子が、組換え発現ベクターの一部であるか、及び/又は
(b)植物が非トランスジェニックである、
請求項5に記載のアブラナ属植物。
【請求項7】
対象とするタンパク質をコードする少なくとも1つのさらなる核酸分子をさらに含み、前記少なくとも1つのさらなる核酸分子が、AHAS耐性、グリホサート耐性、ジカンバ耐性、PPO阻害剤耐性、昆虫抵抗性、グルホシネート耐性、HPPD阻害剤耐性、オーキシン除草剤耐性、及び耐病性から成る群から選択される、対象とする形質を提供する対象とするタンパク質をコードし、
(a)対象とするタンパク質が、A122、P197、R199、T203、A205、W574、S653、G654、及びその組合せから成る群から選択されるアミノ酸位置に少なくとも1つの置換を有するアミノ酸分子を含むAHASLタンパク質であるか、又は
(b)AHAS耐性が、PM1、PM2、及びBR1並びにその組合せから成る群から選択される遺伝子によってコードされる、
請求項5又は6に記載のアブラナ属植物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の核酸分子を含むアブラナ属植物の種子であるか又は前記植物を作出することができるアブラナ属種子。
【請求項9】
植物がさらに第2の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする第2のAHASL核酸分子を含み、第2のAHASL核酸分子がPM2を含む請求項8に記載のアブラナ属種子。
【請求項10】
処理された請求項8又は9に記載のアブラナ属種子。
【請求項11】
イミダゾリノン除草剤で処理された請求項10に記載のアブラナ属種子。
【請求項12】
除草剤が、イマザモックス、イマザピック、イマザピール、イマゼサピール及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項11に記載のアブラナ属種子。
【請求項13】
種子コーティングでコーティングされた請求項8〜12のいずれかに記載のアブラナ属種子。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の核酸分子を含むアブラナ属植物を作出することができる種子を少なくとも10%含む、アブラナ属種子の容器。
【請求項15】
請求項14に記載の容器が、少なくとも25個の種子を含む、アブラナ属種子の容器。
【請求項16】
アブラナ属植物の畑の雑草を防除するための以下のステップを含む方法:
(a)前記畑に、突然変異誘発アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)をコードする、除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする請求項1又は2に記載の核酸分子をゲノム中に少なくとも一つ含むアブラナ属植物を成長せしめるステップ;及び
(b)アブラナ属植物の畑の雑草及びアブラナ属植物に、有効量のイミダゾリノン除草剤を適用するステップ、前記有効量のイミダゾリノン除草剤は野生種のアブラナ属植物を枯らすかその成長を阻害するために十分である。
【請求項17】
(a)アブラナ属植物が、セイヨウカラシナ、セイヨウアブラナ、カブ、アビシニアガラシ、キャベツ、及びクロガラシから成る群から選択されるか、
(b)アブラナ属植物が非トランスジェニックである、及び/又は
(c)アブラナ属植物がさらに第2の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする第2のAHASL核酸分子を含み、第2のAHASL核酸分子がPM2を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
除草剤がイマザモックス、イマザピック、イマザピール、イマゼサピール及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
アブラナ属植物を育種するための、以下のステップを含む方法:
第1のアブラナ属系統を与えるステップ、該第1のアブラナ属系統は請求項1又は2に記載の核酸分子を含む
前記第1のアブラナ属系統を第2のアブラナ属系統と交雑させるステップ;及び
種子を得るステップ。
【請求項20】
ATCC寄託番号PTA−9279の下で寄託された系統の種子のサンプルであるBnCL131A1(AHAS IIIA122T:S653N;二重変異体)と称するアブラナ属植物系統の種子又はその子孫であるアブラナ属植物の系統の種子。
【請求項21】
ATCC寄託番号PTA−9402の下で寄託された系統の種子のサンプルであるBnCL140B3(AHAS IIIA122T:S653N;二重変異体)と称するアブラナ属植物系統の種子又はその子孫であるアブラナ属植物の系統の種子。
【請求項22】
ATCC寄託番号PTA−9403の下で寄託された前記系統の種子のサンプルであるBnCL140C7(AHAS IIIA122T:S653N;二重変異体)と称するアブラナ属植物系統の種子又はその子孫であるアブラナ属植物の系統の種子。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれかに記載の種子から成長させた植物。
【請求項24】
突然変異誘発核酸分子である請求項1に記載の核酸分子を含む植物細胞。
【請求項25】
アブラナ属植物細胞である請求項24に記載の植物細胞。
【請求項26】
非トランスジェニックである請求項24に記載の植物細胞。
【請求項27】
さらに第2の除草剤抵抗性AHASLタンパク質をコードする第2のAHASL核酸分子を含み、第2のAHASL核酸分子がPM2を含む請求項24に記載の植物細胞。
【請求項28】
雑草を防除するための以下のステップを含む方法:
配列番号23の位置A122に対応する位置でのアラニンからトレオニンへの置換(A122T)及び配列番号23の位置S653に対応する位置でのセリンからアスパラギンへの置換(S653N)を含むセイヨウアブラナ植物のAHASL IIIタンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子を含むアブラナ属植物を作出することができる種子を提供するステップ、前記AHASLタンパク質はイミダゾリノン除草剤による阻害に耐性があり、前記AHASLタンパク質は、単一突然変異A122Tを有するアブラナ属AHASL IIIタンパク質及び単一突然変異S653Nを有するアブラナ属AHASL IIIタンパク質の相加的なレベルと比較して、イミダゾリノン除草剤による阻害に相乗的なレベルの耐性を示す;及び
種をまく前及び/又は発芽前処理後に、種子をイミダゾリノン除草剤に接触するステップ。
【請求項29】
アブラナ属植物がセイヨウカラシナ、セイヨウアブラナ、カブ、アビシニアガラシ、キャベツ、及びクロガラシから成る群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
種子がアブラナ属植物からであるか又は植物の系統のBnCL131A1、BnCL140B3、BnCL140C7又はPM1PM2/BnCL131A1のいずれか1つに由来し、各系統の種子のサンプルは、それぞれATCC受託番号PTA−9279、PTA−9402、PTA−9403及びPTA−10321の下で寄託された請求項28に記載の方法。
【請求項31】
イミダゾリノン除草剤がイマザモックス、イマザピック、イマザピール、イマゼサピール及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項32】
アブラナ属植物が非トランスジェニックである請求項28に記載の方法。
【請求項33】
植物がさらに第2の除草剤抵抗性AHASLタンパク質をコードする第2のAHASL核酸分子を含み、第2のAHASL核酸分子がPM2を含む請求項28に記載の方法。
【請求項34】
生物的サンプル内で請求項1に記載の核酸分子を特定するための以下のステップを含む方法:
(i)DNAを含む生物的サンプル及び(ii)請求項1に記載の核酸分子を増幅することができる第1及び第2の核酸プライマーの混合物を生成するステップ;
前記第1及び第2の核酸プライマーを用いて、請求項1に記載の核酸分子を増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ができる条件下で前記混合物を反応させるステップ;及び
それにより増幅された請求項1に記載の核酸分子の存在又は不存在を検出するステップ。
【請求項35】
生物的サンプル内で請求項1に記載の核酸分子を特定するための以下のステップを含む方法:
(i)アブラナ属DNAを含む生物的サンプル及び(ii)請求項1に記載の核酸分子を特異的にハイブリダイズすることができる核酸分子プローブの混合物を生成するステップ;
前記核酸分子プローブに請求項1に記載の核酸分子を特異的にハイブリダイズすることができる条件下で前記混合物を反応させるステップ;及び
前記サンプル内で請求項1に記載の核酸分子に対する核酸分子プローブのハイブリダイゼーションを検出するステップ、ハイブリダイゼーションの存在は、請求項1に記載の核酸分子の存在を示すステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2008年9月26日に出願された米国仮出願第61/100,541号の利益を主張し、その全内容は、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、除草剤抵抗性のアブラナ属植物並びにAHAS阻害性除草剤抵抗性アブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニットタンパク質をコードする新規なポリヌクレオチド配列、そのような植物の種子、並びにそのような植物を使用する方法に関する。
【0003】
本発明の背景
アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS;EC 4.1.3.18、アセト乳酸シンターゼ又はALSとしても知られている)は、分枝鎖アミノ酸バリン、ロイシン、及びイソロイシンの生化学的合成を触媒する第1の酵素である(Singh(1999年)Plant Amino Acid中の「バリン、ロイシン、及びイソロイシンの生合成(Biosynthesis of valine,leucine and isoleucine)」、Singh,B.K.編、Marcel Dekker Inc.New York、New York、227〜247ページ)。AHASは、スルホニルウレア(Tanら(2005年)Pest Manag.Sci.61:246〜57ページ;Mallory−Smith及びRetzinger(2003年)Weed Technology 17:620〜626ページ;’LaRossa及びFalco(1984年)Trends Biotechnol.2:158〜161ページ)、イミダゾリノン(Shanerら(1984年)Plant Physiol.76:545〜546ページ)、トリアゾロピリミジン(Subramanian及びGerwick(1989年)Biocatalysis in Agricultural Biotechnology中の「トリアゾロピリミジンによるアセト乳酸シンターゼの阻害(Inhibition of acetolactate synthase by triazolopyrimidines)」、Whitaker,J.R.及びSonnet,P.E.編、ACS Symposium Series、American Chemical Society、Washington,D.C.、277〜288ページ)、Tanら(2005年)Pest Manag.Sci.61:246〜57ページ;Mallory−Smith及びRetzinger(2003年)Weed Technology 17:620〜626ページ;及びスルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン(Tanら(2005年)Pest Manag.Sci.61:246〜57ページ;Mallory−Smith及びRetzinger(2003年)Weed Technology 17:620〜626ページ);及びN−スルホニルアミノ−カルボニルを含む、5つの構造的に多様な除草剤ファミリーの作用部位である。イミダゾリノン除草剤及びスルホニルウレア除草剤は、非常に低い適用量でのそれらの有効性及び動物での相対的な非毒性の理由から、現代の農業で広く使用されている。AHAS活性を阻害することによって、除草剤のこれらのファミリーは、多くの雑草種を含む感受性の植物のさらなる成長及び発達を予防する。
【0004】
農業者が使用するイミダゾリノン除草剤及びスルホニルウレア除草剤のタイプ及び量の適応性をより高くするために、より強い除草剤耐性が望まれることが多い。さらに、除草剤耐性の品種を開発する植物育種家は、より高い除草剤耐性をもたらす突然変異を取り扱って、彼らが品種を開発するために使用する生殖質のバックグラウンドの適応性をより高くする必要がある。そのようなAHAS阻害性除草剤抵抗性の品種を生産するために、植物育種家は、好ましくはAHAS阻害性除草剤抵抗性が増加した、さらなる育種系統を開発する必要がある。したがって、作物のさらなるAHAS阻害性除草剤抵抗性の育種系統及びAHAS阻害性除草剤抵抗性の品種並びにAHAS阻害性除草剤抵抗性の育種系統及びAHAS阻害性除草剤抵抗性の品種の生産及び使用のための方法及び組成物が必要とされる。
【0005】
発明の概要
本発明は、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を含むアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする単離核酸分子を提供する。
【0006】
他の態様では、本発明は、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を含むアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする単離核酸分子を含む発現ベクターを提供する。
【0007】
他の態様では、本発明は、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を含む除草剤耐性のアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子を含むアブラナ属植物を提供する。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有するアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子を含むアブラナ属植物を作出することができるアブラナ属種子を提供する。
【0009】
他の態様では、本発明は、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有するアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする突然変異核酸分子を含むアブラナ属植物を作出することができる、少なくとも10%の種子を含む、アブラナ属種子の容器を提供する。さらなる態様では、本発明は、アブラナ属植物の近傍の雑草を防除するための方法であって、雑草及びアブラナ属植物に有効量のAHAS阻害性除草剤を適用するステップを含み、アブラナ属植物が、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有する除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする突然変異誘発アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)コード核酸分子の少なくとも1コピーをそのゲノム中に含む方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、アブラナ属植物を育種するための方法であって、第1のアブラナ属系統を第2のアブラナ属系統と交雑させるステップであって、第1のアブラナ属系統は、突然変異アブラナ属系統の種子を成長させることから得られたアブラナ属植物であるステップと、種子を得るステップとを含む方法もまた提供する。そのような突然変異アブラナ属系統は、ATCC受託番号PTA−9278の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL120C7、ATCC受託番号PTA−9279の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL131A1、ATCC受託番号PTA−9402の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL140B3、及び、ATCC受託番号PTA−9403の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL140Cを含む。
【0011】
ATCC受託番号PTA−9278の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL120C7、ATCC受託番号PTA−9279の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL131A1、ATCC受託番号PTA−9402の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL140B3、ATCC受託番号PTA−9403の下で寄託された上述の種子のサンプルBnCL140C7、ATCC受託番号PTA−10321の下で寄託された上述の種子のサンプルPM1PM2/BnCL131A1と称する突然変異アブラナ属植物系統の種子もまた、提供される。
【0012】
本発明はまた、配列番号23の位置122に対応する位置にトレオニンを有するアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする単離核酸分子を提供する。
【0013】
本発明は、配列番号23の位置122に対応する位置にトレオニンを有するアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする突然変異核酸分子を含むアブラナ属植物をさらに提供する。
【0014】
加えて、本発明は、配列番号23の位置122に対応する位置にトレオニンを有するアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする突然変異核酸分子を含むアブラナ属植物を作出することができるアブラナ属種子を提供する。
【0015】
本発明は、アブラナ属植物を育種するための方法であって、第1のアブラナ属系統を第2のアブラナ属系統と交雑させるステップであって、第1のアブラナ属系統は、ATCC受託番号PTA−9279の下で寄託された上述の種子のサンプル、突然変異系統BnCL131A1の種子を成長させることから得られたアブラナ属植物であるステップと、種子を得るステップとを含む方法をさらに提供する。
【0016】
本発明はまた、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有するAHASタンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子を含む非トランスジェニックアブラナ属植物を提供する。
【0017】
少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤に耐性の非トランスジェニックアブラナ属植物を作出するための方法であって、(a)AHAS遺伝子中に標的突然変異を有する遺伝子修復オリゴ核酸塩基をアブラナ属植物細胞の中に導入して、1つ又は複数のアミノ酸位置で突然変異したAHASタンパク質を発現する突然変異AHAS遺伝子を有する植物細胞を作出するステップであって、上述の位置は、配列番号23のA122、R199、T203、S653、及びG654から成る群から選択される位置に対応するステップと、(b)AHAS阻害性除草剤の存在下において、対応する野生型植物細胞と比較して、実質的に正常な成長を有する植物細胞を同定するステップと、(c)上述の植物細胞から、突然変異AHAS遺伝子を有する非トランスジェニック除草剤耐性のアブラナ属植物を再生するステップとを含む方法もまた提供される。
【0018】
雑種アブラナ属種子を作出するための方法であって、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有する除草剤耐性のアブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子を有する第1のアブラナ属植物を第2のアブラナ属植物と交雑させるステップと、種子を得るステップとを含む方法がさらに提供される。
【0019】
配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有するAHASタンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子を含む植物細胞もまた、提供される。
【0020】
植物の除草剤抵抗性を増加させるための方法であって、第1のアブラナ属植物を第2のアブラナ属植物に交雑させるステップであって、第1のアブラナ属植物は、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有する除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする突然変異誘発アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)コード核酸分子の少なくとも1コピーをそのゲノム中に含むステップと、交雑の結果として生じる種子を得るステップとを含む方法もまた、提供される。
【0021】
加えて、配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を含む除草剤耐性のアブラナ属AHASLタンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子並びに対象とするタンパク質をコードする少なくとも1つのさらなる核酸分子を含むアブラナ属植物が提供される。
【0022】
アブラナ属植物の近傍の雑草を防除するための方法であって、雑草及びアブラナ属植物に有効量の、少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤を適用するステップを含み、アブラナ属植物は、配列番号23のA122及びS653に対応するアミノ酸位置に突然変異を有する除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする第1のAHASL核酸分子の少なくとも1コピー並びにA122T、P197S、A205V、W574L、S653N、及びその組合せから成る群から選択される突然変異を有する第2の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする少なくとも1つの第2のAHASL核酸分子をそのゲノム中に含む方法がさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】アブラナ属実生抽出物中のAHAS活性の略図を示す図である。
図2】野生型アブラナ属植物及び本発明の突然変異核酸分子を含有するアブラナ属植物の例の除草剤噴霧分析の結果を示す図である。
図3】本発明の核酸分子の間の核酸配列整列化を示す図である(掲載順に、それぞれ、配列番号11〜16)。
図4】本発明のAHASタンパク質の間のアミノ酸配列整列化を示す図である(掲載順に、それぞれ、配列番号17〜21)。
図5図5中に示されるアミノ酸配列を有するシロイヌナズナAHASLタンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列を示す図である。DNA配列は、配列番号22として開示され、アミノ酸配列は、配列番号23として開示される。
【0024】
本発明の詳細な説明
本開示は、AHAS阻害性除草剤抵抗性の植物由来の突然変異アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)タンパク質をコードする単離ヌクレオチド及びそれに関する方法に関する。一態様では、単離核酸分子は、野生型(つまり、非突然変異)セイヨウアブラナAHAS配列に関して1つ又は複数のアミノ酸置換を有するAHASタンパク質をコードする。開示はまた、そのような核酸分子を含む組換えベクター並びにそのようなベクター及び核酸分子を含有するトランスジェニック植物を提供する。
【0025】
本開示はまた、突然変異AHASコード配列、たとえば、野生型配列に関して2つ以上のアミノ酸置換を有する突然変異誘発AHAS IIIコード配列を含む非トランスジェニック植物をも提供する。突然変異AHASコード配列は、シロイヌナズナ属AHASタンパク質配列中の位置122に対応する位置及び位置653に対応する位置にアミノ酸置換を有していてもよい。(図5;配列番号23)。そのような植物を調製するための方法及びそのような植物を使用する育種方法もまた、提供される。
【0026】
いくつかの態様では、本発明の植物、種子、方法、及び組成物は、位置122に対応する位置でのアラニンからトレオニンへの置換及び位置653に対応する位置でのセリンからアスパラギンへの置換を有するAHASタンパク質の発現をもたらす突然変異を有するAHASタンパク質をコードする核酸分子を使用する(時に、本明細書でCLB−1とも呼ばれる)。他の態様では、本発明の植物、種子、方法、及び組成物は、位置122に対応する位置で置換されたアルギニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、ヒスチジン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、メチオニン、ロイシン、アスパラギン、イソロイシン、及びバリンから選択されるアミノ酸並びに位置653に対応する位置で置換されたアルギニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、メチオニン、ロイシン、トレオニン、イソロイシン、及びバリンから選択されるアミノ酸を有するAHASタンパク質の発現をもたらす突然変異を有するAHASタンパク質をコードする核酸分子を使用する。
【0027】
本明細書で提供される突然変異AHAS配列を含有するトランスジェニック植物及び非トランスジェニック植物を使用して、雑草を防除するための方法もまた提供される。
【0028】
さらに、本出願は、詳細に下記に記載される突然変異誘発方法を使用して作出したBnCL120C7、BnCL131A1、BnCL140B3、BnCL140C7と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系統並びにその種子、後代、及び誘導体を提供する。
【0029】
本発明はまた、増強された除草剤耐性及び単一AHASコード配列中のAHAS突然変異を組み合わせた場合に得られる増強された除草剤耐性を得るための方法もまた提供する。一例では、シロイヌナズナ属AHASタンパク質配列(図5;配列番号23)の位置A122及びS653に対応する突然変異を組み合わせる植物は、そのような増強された除草剤耐性を示す。結果として生じる除草剤耐性は、著しく増強され、たとえば、位置A122又はS653に対応するいずれかの突然変異を個々に含有する植物中で得られた耐性レベルが共に加算された場合に観察される耐性のレベルに対して、相乗効果を有する。
【0030】
本発明をさらに詳細に記載する前に、以下の用語を最初に定義することとする。
【0031】
定義
「除草剤耐性の」植物又は「除草剤抵抗性の」植物は、突然変異AHAS核酸分子を欠く正常植物又は野生型植物を通常死滅させる又はその成長を阻害すると思われるレベルの少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤に耐性である又は抵抗性である植物を指す。「除草剤抵抗性のAHAS核酸分子」によって、非突然変異AHASタンパク質と比較して1つ又は複数のアミノ酸置換をもたらす1つ又は複数の突然変異を含む核酸分子が意図され、突然変異は、除草剤抵抗性のAHASタンパク質の発現をもたらす。「除草剤耐性のAHASタンパク質」又は「除草剤抵抗性のAHASタンパク質」によって、そのようなAHASタンパク質は、AHAS活性に干渉することが知られている少なくとも1つの除草剤の存在下で及び野生型AHASタンパク質のAHAS活性を阻害することが知られている、除草剤の濃度又はレベルで、野生型AHASタンパク質のAHAS活性と比較して、より高度なAHAS活性を示すことが意図される。そのうえ、そのような除草剤耐性のAHASタンパク質又は除草剤抵抗性のAHASタンパク質のAHAS活性は、「除草剤耐性の」AHAS活性又は「除草剤抵抗性の」AHAS活性と本明細書で呼ぶことができる。
【0032】
本発明について、「除草剤耐性の」及び「除草剤抵抗性の」という用語は、交換可能に使用され、等価な意味及び等価な範囲を有することが意図される。同様に、「除草剤耐性」及び「除草剤抵抗性」という用語は、交換可能に使用され、等価な意味及び等価な範囲を有することが意図される。同じく、「イミダゾリノン抵抗性の」及び「イミダゾリノン抵抗性」という用語は、それぞれ、「イミダゾリノン耐性の」及び「イミダゾリノン耐性」という用語と交換可能に使用され、等価な意味及び等価な範囲であることが意図される。「除草剤抵抗性」又は「除草剤耐性」は、Singh,et al.Anal.Biochem.,(1988),171:173−179において開示される方法を使用して、imazamoxなどのようなAHAS阻害剤の存在下において、突然変異誘発AHAS配列を含有する植物由来の及び突然変異誘発AHAS配列を欠く植物由来の細胞抽出物から得られたAHAS活性の比較によって測定することができる。一態様では、抵抗性植物又は耐性植物は、100μM imazamoxを使用してアッセイした場合、Singh et al (1988)において開示された方法を使用して25%を超える非阻害を示す。
【0033】
「単離された」又は「精製された」核酸分子又はタンパク質又はその生物学的活性部分は、その天然に存在する環境に見つけられるような核酸分子又はタンパク質に通常付随する又はそれと相互作用する構成成分が実質的に又は本質的に含まれない。したがって、単離された又は精製された核酸分子又はタンパク質は、他の細胞性の物質若しくは組み換え技術によって生産された場合、培地が実質的に含まれず、又は化学的に合成された場合、化学物質前駆体若しくは他の化学物質が実質的にない。一態様では、「単離された」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNA中で本来、核酸の側面に位置する配列(つまり核酸の5’端末及び3’端末に位置する配列)(好ましくはタンパク質コード配列)が実質的にない。たとえば、様々な態様では、単離核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNA中で本来、核酸分子の側面に位置する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、又は0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有し得る。いくつかの態様では、単離核酸分子は、細胞におけるその発現をコントロールするその本来のゲノム配列、たとえば本来のプロモーター又は本来の3’非翻訳領域が側面に位置する。細胞性の物質が実質的に含まれないタンパク質は、約30%、20%、10%、5%、又は1%(乾燥重量で)未満の混在タンパク質を有するタンパク質の調製物を含む。本発明のタンパク質又はその生物学的活性部分が組み換えで生産される場合、好ましくは、培地は、化学物質前駆体又は対象とするタンパク質ではない化学物質の約30%、20%、10%、5%、又は1%(乾燥重量で)未満に相当する。
【0034】
用語「野生型」は、人によって人工的に生産される又は突然変異させることとは別個のものとして、自然界において見つけることができる核酸分子又はタンパク質を指すために使用される。一態様では、「野生型」AHAS核酸配列は、図3中のBN−02の核酸配列を指す。同様に、野生型アブラナ属植物は、図3中のBN−02の核酸配列を有するアブラナ属植物を指す。用語はまた、図3中のBN−02のAHAS核酸配列を含有する植物を指すために使用される。「野生型」という用語の使用によって、植物、植物組織、植物細胞、又は他の宿主細胞が、そのゲノム中に組換えDNAを欠く及び/又は本明細書で開示される特徴とは異なる除草剤抵抗性の特徴を保有しないということを意味することを必ずしも意図するものではない。
【0035】
核酸分子又はアミノ酸分子などのような「突然変異」分子又は「突然変異分子」又は「突然変異誘発」分子は、等価な位置の核酸分子若しくはアミノ酸分子、非突然変異分子、又は野生型分子と比較して1つ又は複数の核酸又はアミノ酸の置換、欠失、又は塩基転換を有する核酸分子又はポリペプチドを指す。この用語は、故意のヒトの操作の結果としてその本来の形態又は野生型形態から修飾され、天然の配列を含まない核酸分子又はポリペプチド分子を指す。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「相乗作用」、「相乗的な」、及び「相乗効果」においてなどのようなその派生語は、2以上の突然変異AHASポリペプチドの組合せ並びに/又は位置A122及びS653に対応する位置に突然変異をコードするAHAS核酸分子及びそれを有するAHASポリペプチドなどのような単一コード配列中の突然変異の組合せの生物学的活性が、個々の突然変異を有するAHASポリペプチドの生物学的活性の合計よりも少なくとも10%大きい状況を指す。AHASポリペプチドについての生物学的活性は、imazamoxなどのようなAHAS阻害性除草剤を用いる処理の15日後に、本発明の突然変異誘発分子を含有する植物の傷害速度をそれぞれの突然変異を含有する植物の組み合わせた傷害速度と比較することによって測定されてもよい。
【0037】
「等価な位置」又は「対応する位置」は、参照アミノ酸位置と同じ保存領域内にある位置を指す。たとえば、AHASタンパク質配列に関して、本明細書で開示されるアミノ酸位置は、図5図5;配列番号23)中に示されるアミノ酸配列を有するシロイヌナズナAHASLタンパク質中のアミノ酸位置に対応する。他に本明細書で示されない限り、特定のアミノ酸位置は、図5(配列番号23)中に示される完全長シロイヌナズナAHASLアミノ酸配列中のアミノ酸の対応する位置を指す。そのうえ、実際のアミノ酸位置は、アミノ酸が、たとえば、アミノ酸配列のN末端に追加されるか又はそれから除去されるかに依存して、変わり得るが、なお、図5(配列番号23)などのような参照配列との整列化を通して等価な位置を決定することができる。したがって、本発明は、記載される位置又は等価な位置(たとえば「アミノ酸位置653又は等価な位置」)でのアミノ置換を包含する。
【0038】
「断片」は、AHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分又は本発明のAHASタンパク質のアミノ酸配列の部分を指す。本発明のAHASLヌクレオチド配列の断片は、AHASLタンパク質の生物学的活性部分をコードしてもよく、又はそれは下記に開示される方法を使用するハイブリダイゼーションプローブ又はPCRプライマーとして使用することができる断片であってもよい。AHASポリペプチドの断片は、AHASタンパク質の生物学的活性断片を包含してもよい。
【0039】
用語「生物学的活性断片及び変異体」は、AHAS活性を含む又はコードする例示される核酸分子及びポリペプチドの断片及び変異体を指す。
【0040】
本明細書で使用される用語「調節エレメント」は、作動可能に連結された核酸の転写及び/又は翻訳を調節することができる核酸を指す。調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、イントロン、5’UTR、及び3’UTRを含むが、これらに限定されない。用語「作動可能に連結された」は、調節エレメント及び第2の核酸の間の機能的連結を指し、調節エレメント配列は、第2の核酸配列の発現のコントロールに関与し、たとえば、第2の配列に対応するDNA配列の転写及び/又は翻訳を開始する及び/又は媒介する。一般的に、作動可能に連結された、とは、連結している核酸配列が、隣接していることを意味し、2つのタンパク質コード領域をつなぐことが必要な場合、隣接しており、同じリーディングフレーム中にあることを意味する。
【0041】
本明細書で使用されるように、用語「トランスジェニック」は、少なくとも1つの組換え体核酸分子のすべて又は一部を含有する任意の細胞、組織、植物、植物細胞、カルス、植物組織、又は植物の一部分を指す。
【0042】
核酸分子
本発明は、一側面では、それが由来する野生型(つまり天然)核酸配列と比較して突然変異を有する核酸配列を含むアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)配列に関する単離核酸分子及びそのような突然変異を含むそのような配列の断片に関する。そのような単離核酸配列は、図3及び4のものを含む。他の側面では、本開示は、AHAS阻害性除草剤に対する耐性又は抵抗性の増強されたレベルを提供することができる、野生型タンパク質と比較して突然変異を有するAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子及びそのような突然変異AHASLタンパク質に関する。一態様では、AHASLコード配列は、突然変異アブラナ属AHASLコード配列、たとえば、野生型配列と比較して2つの突然変異を含有するセイヨウアブラナAHASIIIコード配列である。他の態様では、本発明は、野生型アブラナ属植物の突然変異誘発によって作出した除草剤抵抗性のアブラナ属植物由来の除草剤抵抗性のアブラナ属AHASLIIIタンパク質をコードする核酸分子の単離及びヌクレオチド配列を提供する。
【0043】
核酸分子は、植物又は細菌の供給源などのような任意の供給源に由来し得る。一態様では、核酸分子は、アブラナ属植物などのような植物供給源に由来する。アブラナ属植物に由来する核酸分子は、セイヨウアブラナ、カブ、又はセイヨウカラシナを含む任意のアブラナ属種に由来し得る。そのような核酸分子は、AHASI、AHASII、又はAHASIIIなどのような任意のAHASコード配列に由来し得る。一態様では、核酸分子は、AHASLコード配列のATG開始コドンからのアミノ酸位置122(たとえばGCT−>ACT)及び/又は653(たとえばAGT−>AAT)でのコドン配列に対応する位置に核酸配列中の突然変異を含む。しかし、いかなる突然変異も、本開示の範囲内で、アミノ酸位置122及び653に対応する位置に生じ得る。
【0044】
そのうえ、AHAS配列の位置122及び653での突然変異は、位置122に対応する位置にアラニン以外の任意のアミノ酸を有する又は位置653に対応する位置にセリン以外の任意のアミノ酸を有するAHASタンパク質の発現をもたらすことができる。一態様では、位置122及び653に対応する位置での突然変異は、保存的アミノ酸置換とすることができるが、他の態様では、置換は、それぞれ、位置122及び653でのトレオニン又はアスパラギンの保存的置換とすることができる。他の態様では、位置122に対応する位置での突然変異は、トレオニン及びバリンから成る群から選択される、その位置でのアミノ酸の発現をもたらす。他の態様では、位置653に対応する位置での突然変異は、アスパラギンアミノ酸の発現をもたらす。一態様では、本発明の核酸分子によってコードされるAHASタンパク質は、AHASL遺伝子の位置653に対応する位置でのセリンからアスパラギンへの置換(たとえばS653N)(シロイヌナズナナンバリングに基づく)及び位置122に対応する位置でのアラニンからトレオニンへの置換(たとえばA122T)を含む。しかし、保守的アミノ酸置換を含むあらゆるアミノ酸置換は、本開示の範囲内でこれらの位置に成されてもよい。本発明は、さらに、野生型アブラナ属AHASLタンパク質をコードする核酸分子の単離及びヌクレオチド配列を開示する。
【0045】
いくつかの態様では、本発明の核酸分子は、位置122に対応する位置でのアラニンからトレオニンへの置換及び位置653に対応する位置でのセリンからアスパラギンへの置換を有するAHASタンパク質の発現をもたらす突然変異を有するAHASタンパク質をコードする。他の態様では、核酸分子は、位置122に対応する位置で置換されたアルギニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、ヒスチジン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、メチオニン、ロイシン、アスパラギン、イソロイシン、及びバリンから選択されるアミノ酸並びに位置653に対応する位置で置換されたアルギニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、プロリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、メチオニン、ロイシン、トレオニン、イソロイシン、及びバリンから選択されるアミノ酸を有するAHASタンパク質の発現をもたらす突然変異を有するAHASタンパク質をコードする。
【0046】
本発明の突然変異誘発AHASポリペプチド配列は、任意のAHAS阻害性除草剤に対する抵抗性又は耐性を示してもよい。そのような突然変異誘発AHASポリペプチド配列は、少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤に抵抗性であってもよい又は耐性であってもよい。一態様では、本発明の突然変異誘発AHASポリペプチド配列は、イミダゾリノン除草剤及びスルホニルウレア除草剤から成る群から選択されるAHAS阻害性除草剤に対して抵抗性又は耐性を示す。他の態様では、本発明の突然変異誘発AHASポリペプチド配列は、イミダゾリノン除草剤に対して抵抗性又は耐性を示す。
【0047】
いくつかの態様では、位置A122及びS653に対応する位置に突然変異を有する突然変異誘発AHAS配列は、相乗的な除草剤耐性レベルを提供する。一態様では、本発明の二重突然変異体AHAS配列を含有する植物において得られた除草剤耐性のレベルは、それぞれの個々の突然変異を有するAHAS配列を含有する植物において観察された耐性の相加的なレベルよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%以上高い。そのような相乗的な除草剤耐性レベルはまた、AHAS阻害剤耐性AHASタンパク質をコードする、1つ又は複数のさらなる突然変異誘発AHAS配列又は組換えAHAS配列と組み合わせて、位置A122及びS653に対応するアミノ酸位置に突然変異を有する突然変異誘発AHAS配列を有する植物において得られてもよい。
【0048】
位置122に対応する位置にアラニンからトレオニンへの置換(A122T)を有するセイヨウアブラナAHASIIIタンパク質をコードする、突然変異核酸分子もまた開示される。一態様では、そのような核酸分子はまた、たとえば、位置653に対応する位置にセリンからアスパラギンへの置換(S653N)をコードする核酸分子中の核酸配列中に第2の突然変異をも含有する。
【0049】
本開示はまた、図3及び4中に示されるBN02−120又はBN02−131の核酸配列を有する単離核酸分子並びにその断片及び変異体をも提供する。
【0050】
本開示はまた、1つ又は複数のアミノ酸置換を有するAHASタンパク質の発現をもたらす、1つ又は複数の核酸置換を有する、アブラナ属由来のAHASLタンパク質をコードする単離核酸分子をも提供する。たとえば、本発明は、図3及び4中に示されるBN02−120又はBN02−131のヌクレオチド配列、図4中に示されるBN02−102又はBN02−131として同定されるアミノ酸配列を含むAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列、図3中に示されるヌクレオチド配列、図4中のBN02−120又はBN02−131中に示されるアミノ酸配列を含むAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列、並びに機能的AHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列の断片及び変異体を含む単離核酸分子を提供する。
【0051】
本発明の突然変異誘発AHAS配列は、位置122及び/又は653に対応するそれらの突然変異に加えて任意の数の突然変異を有するものを含む。たとえば、突然変異誘発AHAS配列は、サイレント突然変異であってもよい又は同じ若しくは他のクラスのAHAS阻害性除草剤に対して抵抗性若しくは耐性を提供してもよい、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のさらなる突然変異を含有していてもよい。
【0052】
他の態様では、本発明は、図3及び4中に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子並びにAHAS活性を有するポリペプチドをコードする断片及び変異体を提供する。本明細書で記載される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチド、たとえば、図3及び4中に示されるヌクレオチド配列(BN02−120又はBN02−131として同定される)並びにAHAS活性を含むポリペプチドをコードするその断片及び変異体がさらに提供される。
【0053】
本発明はまた、本明細書で開示されるアブラナ属AHASLタンパク質の保存領域内の同定されたアミノ酸位置にアミノ酸置換を有するAHASLタンパク質を提供する。
【0054】
本発明は、単離された又は実質的に精製された核酸又はタンパク質組成物を包含する。
【0055】
本発明は、突然変異AHASタンパク質を含む単離ポリペプチドを提供する。単離ポリペプチドは、図4中に示されるBN02−120又はBN02−131のアミノ酸配列、図3中に示されるヌクレオチド配列BN02−120又はBN02−131によってコードされるアミノ酸配列、アミノ酸、並びにAHAS活性を含むAHASポリペプチドをコードする上述のアミノ酸配列の機能的断片及び変異体から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0056】
開示される核酸分子は、植物(たとえばアブラナ属植物などのような作物)の形質転換のために核酸構築物中に使用することができる。一態様では、本開示の核酸分子を含有するそのような核酸構築物は、イミダゾリノン除草剤などのような、AHAS活性を阻害することが知られている除草剤などのような除草剤に対する抵抗性を提供するためにトランスジェニック植物を作出するために使用することができる。核酸構築物は、発現カセット、発現ベクター、形質転換ベクター、プラスミド、及びその他同種のもので使用することができる。そのような構築物を用いる形質転換の後に得られたトランスジェニック植物は、たとえばイミダゾリノン除草剤及びスルホニルウレア除草剤などのようなAHAS阻害性除草剤に対する抵抗性の増加を示す。
【0057】
したがって、本発明は、AHASL核酸分子並びにその断片及び変異体を包含する。これらのヌクレオチド配列の断片である核酸分子もまた本発明によって包含される。一態様では、断片は、野生型配列由来の対応する配列に対する比較において少なくとも1つの突然変異配列を含む。AHASタンパク質の生物学的活性部分は、本発明のAHASヌクレオチド配列のうち1つの部分を単離すること、AHASタンパク質のコードされた部分を発現すること(たとえば、インビトロでの組み換え体発現によって)、及びAHASタンパク質のコードされた部分の活性を評価することによって調製することができる。AHASヌクレオチド配列の断片である核酸分子は、意図される使用に依存して、少なくとも約15、20、50、75、100、200、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、若しくは900個のヌクレオチド又は本明細書で開示される完全長ヌクレオチド配列中に存在するヌクレオチドの数までのヌクレオチドを含む。
【0058】
本発明のAHASタンパク質の生物学的活性部分をコードするAHASヌクレオチド配列の断片は、少なくとも約15、25、30、50、75、100、125、150、175、200、225、若しくは250個の隣接するアミノ酸又は本発明の完全長AHASタンパク質中に存在するアミノ酸の総数までのアミノ酸をコードする。PCRプライマーのためのハイブリダイゼーションプローブとして有用な、AHASヌクレオチド配列の断片は、一般的に、AHASタンパク質の生物学的活性部分をコードする必要はない。一態様では、AHAS配列の断片は、本明細書で開示される1つ又は複数の突然変異を包含する。
【0059】
本明細書で開示されるヌクレオチド配列の変異体である核酸分子もまた本発明によって包含される。本発明のAHASヌクレオチド配列の「変異体」は、本明細書で開示されるAHASタンパク質をコードするが、遺伝コードの縮重のために保存的に異なるそれらの配列を含む。これらの天然に存在する対立遺伝子変異体は、下記に概説されるようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術及びハイブリダイゼーション技術などのようなよく知られている分子生物学技術の使用により同定することができる。変異体ヌクレオチド配列はまた、たとえば、下記に論じられるように、部位特異的突然変異誘発を使用することによって産生されたが、本発明で開示されるAHASタンパク質をなおコードする、合成的に誘導されたヌクレオチド配列をも含む。一般的に、本発明のヌクレオチド配列変異体は、本明細書で開示される特定のヌクレオチド配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する。変異体AHASヌクレオチド配列は、本明細書で開示されるAHASタンパク質のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するAHASタンパク質をそれぞれコードする。
【0060】
加えて、当業者は、さらに、変化を、突然変異によって本発明のヌクレオチド配列の中に導入して、それによって、AHASタンパク質の生物学的活性を改変することなく、コードされたAHASタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすことができることを十分に理解するであろう。したがって、図3に記載されるBN02−120又はBN02−131の配列と異なる配列を有するAHASタンパク質をコードする単離核酸分子は、1つ又は複数のアミノ酸の置換、付加、又は欠失がコードされたタンパク質の中に導入されるように、本明細書で開示される対応するヌクレオチド配列の中に1つ又は複数のヌクレオチドの置換、付加、又は欠失を導入することによって作り出すことができる。突然変異は、部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性の突然変異誘発並びに本明細書で記載される技術などのような標準的な技術によって導入することができる。そのような変異体ヌクレオチド配列もまた本発明によって包含される。
【0061】
たとえば、一態様では、保存的アミノ酸置換は、1つ又は複数の予測される非必須アミノ酸残基で成すことができる。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を改変することなくAHASタンパク質の野生型配列(たとえば、図5の配列(配列番号23))から改変することができる残基であるのに対して、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要とされる。「保存的アミノ酸置換」は、同様の側鎖を有するアミノ酸残基とアミノ酸残基が交換される置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(たとえばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(たとえばアスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(たとえばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(たとえばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(たとえばトレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(たとえばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。そのような置換は、保存アミノ酸残基又は保存モチーフ内に存在するアミノ酸残基には成されない。
【0062】
本発明のタンパク質は、アミノ酸置換、欠失、及び挿入を含む様々な方法で改変することができる。そのような操作のための方法は、当技術分野で一般的に知られている。たとえば、AHASタンパク質のアミノ酸配列変異体は、DNA中での突然変異によって調製することができる。突然変異誘発及びヌクレオチド配列の改変のための方法は、当技術分野でよく知られている。たとえばKunkel(1985年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488〜492ページ;Kunkelら(1987年)Methods in Enzymol.154:367〜382ページ;米国特許第4,873,192号;Walker及びGaastra編(1983年)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company、New York)、並びにそこに引用される参考文献を参照されたい。対象とするタンパク質の生物学的活性に影響を与えない適切なアミノ酸置換に関するガイダンスは、参照によって本明細書に組み込まれるDayhoffら(1978年)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.、Washington,D.C.)のモデルに見つけることができる。同様の特性を有する他のアミノ酸とのあるアミノ酸の交換などのような保存的置換は好ましい可能性がある。
【0063】
その代わりに、変異体AHASヌクレオチド配列は、飽和突然変異誘発によってなどのように、AHASコード配列のすべて又は一部分に沿って突然変異を無作為に導入することによって作製することができ、結果として生じる突然変異体は、除草剤抵抗性のAHAS活性を含むAHAS活性を保持する突然変異体を同定するためにAHAS活性についてスクリーニングすることができる。突然変異誘発に続いて、コードされたタンパク質は、組み換えで発現させることができ、タンパク質の活性は、標準的なアッセイ技術を使用して決定することができる。
【0064】
したがって、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書で開示される配列並びにその断片及び変異体を含む。本発明のAHASLヌクレオチド配列並びにその断片及び変異体は、プローブ及び/又はプライマーとして使用することができる。そのようなプローブは、同じ又は同一のタンパク質をコードする転写物又はゲノム配列を検出するために使用することができる。
【0065】
このように、PCR、ハイブリダイゼーション、及びその他同種のものなどのような方法は、本発明の配列に対して実質的な同一性を有するそのような配列を同定するために使用することができる。たとえばSambrookら(1989年)Molecular Cloning:Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、NY)及びInnisら(1990年)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Academic Press、NY)を参照されたい。本明細書に記載されるAHASヌクレオチド配列又はその断片及び変異体に対する配列同一性に基づいて単離されたAHASLヌクレオチド配列は、本発明によって包含される。
【0066】
ハイブリダイゼーション法では、知られているAHASヌクレオチド配列のすべて又は一部分は、cDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングするために使用することができる。そのようなcDNA及びゲノムライブラリーの構築のための方法は、当技術分野で一般的に知られており、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、NY)に開示される。ハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNA断片、cDNA断片、RNA断片、又は他のオリゴヌクレオチドであってもよく、32Pなどのような検出可能なグループ又は他の放射性同位元素、蛍光性化合物、酵素、若しくは酵素補因子などのような他の検出可能なマーカーを用いて標識することができる。ハイブリダイゼーションのためのプローブは、本明細書で開示される、知られているAHASヌクレオチド配列に基づいて合成オリゴヌクレオチドを標識することによって作製することができる。知られているAHASヌクレオチド配列又はコードされたアミノ酸配列中の保存ヌクレオチド又は保存アミノ酸残基に基づいて設計される縮重プライマーは加えて使用することができる。プローブは、典型的には、本発明のAHASヌクレオチド配列又はその断片若しくは変異体の少なくとも約12、好ましくは約25、より好ましくは約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、600、700、800、又は900個の連続ヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。ハイブリダイゼーションのプローブの調製は、当技術分野で一般的に知られており、参照によって本明細書に組み込まれるSambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York)に開示される。
【0067】
たとえば、本明細書で開示される全突然変異AHAS核酸配列又はその1つ若しくは複数の部分は、対応するAHAS配列及びメッセンジャーRNAに特異的にハイブリダイズすることができるプローブとして使用することができる。ハイブリダイゼーション技術は、平板培養したDNAライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングを含む(プラーク又はコロニーのいずれか;たとえば、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New Yorkを参照されたい)。
【0068】
そのような配列のハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件下で実行することができる。「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」によって、プローブが、他の配列よりも検出可能に高い程度まで(たとえばバックグラウンドに対して少なくとも2倍)その標的配列にハイブリダイズする条件が意図される。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況では異なる。
【0069】
一態様では、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3で、約1.5M Naイオン未満、典型的には約0.01〜1.0M Naイオン濃度(又は他の塩)であり、温度が、短いプローブ(たとえば10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃及び長いプローブ(たとえば50ヌクレオチドよりも長い)について少なくとも約60℃である条件となる。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどのような不安定化剤を追加して達成することができる。例示的な低ストリンジェンシー条件は、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液を用いる37℃でのハイブリダイゼーション及び1×〜2×SSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中での50〜55℃での洗浄を含む。例示的な中程度のストリンジェンシー条件は、40〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中での37℃でのハイブリダイゼーション及び55〜60℃での0.5×〜1×SSC中での洗浄を含む。例示的な高度なストリンジェンシー条件は、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中での37℃でのハイブリダイゼーション及び60〜65℃での0.1×SSC中での洗浄を含む。任意選択で、洗浄緩衝液は、約0.1%〜約1%SDSを含んでもよい。ハイブリダイゼーションの継続期間は、一般的に約24時間未満、普通約4〜約12時間である。
【0070】
特異性は、典型的には、ハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、決定的な因子は、最終洗浄溶液のイオン強度及び温度である。DNA−DNA雑種については、Tは、Meinkoth及びWahl(1984年)Anal.Biochem.138:267〜284ページ:T=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/Lの方程式から概算することができ、ここで、Mは、一価カチオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシンヌクレオチド及びシトシンヌクレオチドの百分率であり、%formは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの百分率であり、Lは、塩基対の雑種の長さである。Tは、相補的な標的配列の50%が、完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である(規定されたイオン強度及びpH下)。Tは、1%の不一致毎に約1℃低下し、したがって、Tm、ハイブリダイゼーション、及び/又は洗浄の条件は、望ましい同一性の配列にハイブリダイズするために調整することができる。たとえば、>90%の同一性を有する配列が要求される場合、Tは、10℃減少させることができる。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度及びpHで、特異的配列及びその相補体の熱的融点(T)よりも約5℃低くなるように選択される。しかし、極度にストリンジェントな条件は、熱的融点(T)よりも1、2、3、又は4℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ、中程度にストリンジェントな条件は、熱的融点(T)よりも6、7、8、9、又は10℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ、低ストリンジェンシー条件は、熱的融点(T)よりも11、12、13、14、15、又は20℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができる。方程式、ハイブリダイゼーション組成物及び洗浄組成物、並びに望ましいTを使用すると、当業者らは、ハイブリダイゼーション溶液及び/又は洗浄溶液のストリンジェンシーの変化が本質的に説明されることを理解するであろう。不一致の望ましい程度が、45℃(水溶液)又は32℃(ホルムアミド溶液)未満のTをもたらす場合、より高い温度を使用することができるようにSSC濃度を増加させることが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションの広範囲なガイドは、Tijssen(1993年)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes、第I部、第2章(Elsevier、New York);及びAusubelら編(1995年)Current Protocols in Molecular Biology、第2章(Greene Publishing and Wiley−Interscience、New York)に見つけられる。Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York)を参照されたい。
【0071】
本発明の核酸分子及びタンパク質は、図3及び図4に記載されるBN02−120又はBN02−131のヌクレオチド配列と十分に同一であるヌクレオチド又はアミノ酸配列を含む核酸分子及びタンパク質を包含する。「十分に同一」といった用語は、第1及び第2のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列が共通の構造ドメイン及び/又は共通の機能的活性を有するように、第2のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列に対して、十分な又は最小限の数の、同一又は等価である(たとえば同様の側鎖を有する)アミノ酸残基又はヌクレオチドを含有する第1のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を指すために本明細書で使用される。たとえば、少なくとも約45%、55%、又は65%の同一性、好ましくは75%の同一性、より好ましくは85%、95%、又は98%の同一性を有する共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、十分に同一のものとして本明細書で定義される。
【0072】
2つのアミノ酸配列又は2つの核酸の同一性パーセントを決定するために、配列は最適な比較目的のためにアラインメントする。2つの配列の間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(つまり、同一性パーセント=同一の位置の数/位置の総数(たとえば重なる位置)×100)。一態様では、2つの配列は同じ長さである。2つの配列の間の同一性パーセントは、ギャップを割り当てて又は割り当てずに、下記に記載される技術に同様の技術を使用して決定することができる。同一性パーセントを計算する際に、典型的には、正確に一致するものが数えられる。
【0073】
2つの配列の間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して実行することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin及びAltschul(1993年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5877ページと同様に改変されたKarlin及びAltschul(1990年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990年)J.Mol.Biol.215:403のNBLAST及びXBLASTのプログラムの中に組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に相同性であるヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同性のアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行うことができる。比較目的のためにギャップアラインメントをするために、Gapped BLASTは、Altschulら(1997年)Nucleic Acids Res.25:3389に記載されるように利用することができる。その代わりに、PSI−Blastは、分子間の遠縁の関連性を検出する繰り返しの検索を行うために使用することができる。Altschulら(1997年)前掲を参照されたい。BLASTプログラム、Gapped BLASTプログラム、及びPSI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(たとえばXBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの他の好ましい非限定的な例は、Myers及びMiller(1988年)CABIOS 4:11〜17ページのアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)の中に組み込まれており、これは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部分である。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティー、及び4のギャップペナルティーを使用することができる。アラインメントはまた、検査によって手作業で行われてもよい。
【0074】
他に述べられない限り、本明細書で提供される配列同一性/類似性の値は、本発明の完全長配列を使用して及びデフォルトパラメーターを使用する、ソフトウェアパッケージVector NTIアドバンス10(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)に含まれるプログラムAlignX又はその任意の等価なプログラムを使用するアルゴリズムClustal W(Nucleic Acid Research,22(22):4673〜4680ページ、1994年)による複数のアラインメントを使用して得られる値を指す。「等価プログラム」によって、ソフトウェアパッケージVector NTIアドバンス10のAlignXによって生成される対応するアラインメントと比較した場合に、問題の任意の2つの配列について、同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基の一致及び同一の配列同一性パーセントを有するアラインメントを生成する任意の配列比較プログラムが意図される。
【0075】
本発明の突然変異AHASLタンパク質は、開示されるタンパク質並びにその変形及び改変形態の両方を包含する。そのような変異体は、望ましいAHAS突然変異活性を保有し続ける。一態様では、変異タンパク質をコードする核酸分子におけるそのような突然変異により、リーディングフレームの外にその配列が配置されることはなく、好ましくは、二次的mRNA構造物を生産することができる相補的な領域を作り出さない。欧州特許出願公開第75,444号を参照されたい。
【0076】
一態様では、本発明の配列は、AHAS活性を有するタンパク質をコードする。そのような活性は、AHAS活性スクリーン(たとえば、参照によって本明細書に組み込まれるSinghら(1988年)Anal.Biochem.171:173〜179ページに記載されるもの)によって評価することができる。
【0077】
変異ヌクレオチド配列及び変異タンパク質はまた、DNAシャフリングなどのような突然変異誘発性手順及び組み換え誘導手順から誘導される配列及びタンパク質を包含する。そのような手順を用いて、1つ又は複数の異なるAHASLコード配列は、望ましい特性を保有する新しいAHASLタンパク質を作り出すために操作することができる。このように、組み換え核酸のライブラリーは、実質的な配列同一性を有し、インビトロで又はインビボで相同的に組み換えることができる配列領域を含む、関係のある配列核酸の集団から産生される。たとえば、このアプローチを使用して、対象とするドメインをコードする配列モチーフは、本発明のAHASL1遺伝子及び他の知られているAHASL遺伝子の間でシャッフルして、酵素の場合にKの増加などのような、改善された対象とする特性を有するタンパク質をコードする新しい遺伝子が得られてもよい。そのようなDNAシャフリングのための戦略は、当技術分野で知られている。たとえばStemmer(1994年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747〜10751ページ;Stemmer(1994年)Nature 370:389〜391ページ;Crameriら(1997年)Nature Biotech.15:436〜438ページ;Mooreら(1997年)J.Mol.Biol.272:336〜347ページ;Zhangら(1997年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4504〜4509ページ;Crameriら(1998年)Nature 391:288〜291ページ;並びに米国特許第5,605,793号及び第5,837,458号を参照されたい。
【0078】
本発明のヌクレオチド配列は、他の生物、具体的には他の植物、より具体的には他の双子葉類からの対応する配列を単離するために使用することができる。このように、PCR、ハイブリダイゼーション、及びその他同種のものなどのような方法は、本明細書で記載される配列に対するそれらの配列相同性に基づいてそのような配列を同定するために使用することができる。本明細書で記載される全AHASL配列又はその断片に対するそれらの配列同一性に基づいて単離される配列は、本発明によって包含される。したがって、AHASLタンパク質をコードし、本明細書で開示される配列又はその断片にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離配列は、本発明によって包含される。
【0079】
PCRアプローチでは、オリゴヌクレオチドプライマーは、任意の対象とする植物から抽出されるcDNA又はゲノムDNAから対応するDNA配列を増幅するためにPCR反応で使用するために設計することができる。PCRプライマーを設計するための及びPCRクローニングのための方法は、当技術分野で一般的に知られており、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、PIainview、New York)に開示される。Innisら編(1990年)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Academic Press、New York);Innis及びGelfand編(1995年)PCR Strategies(Academic Press、New York);並びにInnis及びGelfand編(1999年)PCR Methods Manual(Academic Press、New York)もまた参照されたい。PCRの知られている方法は、対のプライマー、入れ子型プライマー、単一特異的プライマー、縮重プライマー、遺伝子特異的プライマー、ベクター特異的プライマー、部分的に不一致のプライマー、及びその他同種のものを使用する方法を含むが、これらに限定されない。
【0080】
構築物
本発明の核酸分子は、組換え核酸構築物の生産において使用することができる。一態様では、本発明の核酸分子は、核酸構築物、たとえば、対象とする植物中の発現のための発現カセットの調製において使用することができる。
【0081】
発現カセットは、本発明のAHASL核酸配列に作動可能に連結された調節配列を含んでいてもよい。カセットは、加えて、生物の中に同時形質転換するための、少なくとも1つのさらなる遺伝子を含有していてもよい。その代わりに、1つ又は複数のさらなる遺伝子は、複数の発現カセット上に提供することができる。
【0082】
核酸構築物は、調節領域の転写調節下となるように、AHASL核酸配列の挿入のための複数の制限部位を提供されてもよい。核酸構築物は、加えて、選択可能マーカー遺伝子をコードする核酸分子を含有していてもよい。
【0083】
一態様では、発現カセットは、転写の5’−3’方向に、植物で機能的な転写開始領域及び翻訳開始領域(つまりプロモーター)、本発明のAHASL核酸配列、並びに転写終了領域及び翻訳終了領域(つまり終了領域)を含む。
【0084】
任意のプロモーターを、核酸構築物の生産において使用することができる。プロモーターは、植物宿主に対して及び/又は本発明のAHASL核酸配列に対して、本来のもの又は類似性のもの又は外来性のもの若しくは異種性のものであってもよい。加えて、プロモーターは、天然の配列又はその代わりに合成配列であってもよい。プロモーターが、植物宿主に対して「外来性の」又は「異種性の」ものである場合、プロモーターは、プロモーターが導入される本来の植物中に見つけられないことが意図される。プロモーターが、本発明のAHASL核酸配列に対して「外来性の」又は「異種性の」ものである場合、プロモーターは、本発明の作動可能に連結されたAHASL核酸配列に対して本来の又は天然に存在するプロモーターではないことが意図される。本明細書で使用されるように、キメラ遺伝子は、コード配列に対して異種性の転写開始領域に作動可能に連結されたコード配列を含む。
【0085】
異種性のプロモーターを使用して、本発明のAHASL核酸分子を発現させることが好ましい可能性もあるが、本来のプロモーター配列を構築物の調製において使用してもよい。そのような構築物は、植物又は植物細胞中のAHASLタンパク質の発現レベルを変化させるであろう。したがって、植物又は植物細胞の表現型は改変される。
【0086】
植物中での発現のために構成的なプロモーター、組織にとって好ましいプロモーター、誘発性のプロモーター、又は他のプロモーターを提供するプロモーターなどのような任意のプロモーターを、AHASコード配列の発現をコントロールするために構築物の調製において使用することができる。構成的なプロモーターは、たとえば、WO99/43 838及び米国特許第6,072,050中に開示されるRsyn7プロモーター及び他の構成的なプロモーターのコアプロモーター;コアCaMV 35Sプロモーター(Odell et al.(1985)Nature 313:810−812);イネアクチンプロモーター(McElroy et al.(1990)Plant Cell 2:163−171);ユビキチンプロモーター(Christensen et al.(1989)Plant Mol.Biol.12:619−632及びChristensen et al.(1992)Plant Mol.Biol.18:675−689);pEMUプロモーター(Last et al.(1991)Theor.Appl.Genet.81:581−588);MASプロモーター(Velten et al.(1984)EMBO J.3:2723−2730);ALSプロモーター(米国特許第5,659,026号)、並びにその他同種のものを含む。他の構成的なプロモーターは、たとえば、米国特許第5,608,149号;第5,608,144号;第5,604,121号;第5,569,597号;第5,466,785号;第5,399,680号;第5,268,463号;第5,608,142号;及び第6,177,611号を含む。
【0087】
組織にとって好ましいプロモーターは、特定の植物組織内でのAHASL発現を指示するために利用することができる。そのような組織にとって好ましいプロモーターは、葉にとって好ましいプロモーター、根にとって好ましいプロモーター、種子にとって好ましいプロモーター、及び茎にとって好ましいプロモーターを含むが、これらに限定されない。組織にとって好ましいプロモーターは、Yamamoto et al.(1997)Plant J.12(2):255−265;Kawamata et al.(1997)Plant Cell Physiol.38(7):792−803;Hansen et al.(1997)Mol.Gen Genet.254(3):337−343;Russell et al.(1997)Transgenic Res.6(2):157−168;Rinehart et al.(1996)Plant Physiol.1 12(3):1331−1341;Van Camp et al.(1996)Plant Physiol.1 12(2):525−535;Canevascini et al.(1996)Plant Physiol.112(2):513−524;Yamamoto et al.(1994)Plant Cell Physiol.35(5):773−778;Lam (1994)Results Probl.Cell Differ.20:181−196;Orozco et al.(1993)Plant Mol Biol.23(6):1129−1138;Matsuoka et al.(1993)Proc Natl.Acad.Sci.USA 90(20):9586−9590;及びGuevara−Garcia et al.(1993)Plant J.4(3):495−505を含む。
【0088】
核酸構築物はまた、転写終了領域を含んでいてもよい。転写終了領域が使用される場合、任意の終了領域もまた、核酸構築物の調製において使用されてもよい。たとえば、終了領域は、転写開始領域に対して本来のものであってもよい、対象とする作動可能に連結されたAHASL配列に対して本来のものであってもよい、植物宿主に対して本来のものであってもよい、又は他の供給源に由来してもよい(つまり、プロモーター、対象とするAHASL核酸分子、植物宿主、又はその任意の組合せに対して外来性の又は異種性の)。本発明の構築物中に使用するための入手可能な終了領域の例は、オクトピンシンターゼ終了領域及びノパリンシンターゼ終了領域などのような、A.ツメファシエンスのTiプラスミド由来のものを含む。Guerineau et al.(1991)Mol.Gen.Genet.262:141−144;Proudfoot (1991)Cell 64:671−674;Sanfacon et al.(1991)Genes Dev.5:141−149;Mogen et al.(1990)Plant Cell 2:1261−1272;Munroe et al.(1990)Gene 91:151−158;Ballas et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:7891−7903;及びJoshi et al.(1987)Nucleic Acid Res.15:9627−9639もまた参照されたい。
【0089】
いくつかの態様では、核酸は、形質転換植物中での発現の増加のために最適化されてもよい。即ち、突然変異AHASLタンパク質をコードする核酸は、発現の改善のために、植物にとって好ましいコドンを使用して合成することができる。宿主にとって好ましいコドン使用頻度の考察については、たとえばCampbell and Gowri (1990)Plant Physiol.92:1−11を参照されたい。方法は、植物にとって好ましい遺伝子を合成するために当技術分野で入手可能である。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,380,831号及び第5,436,391号並びにMurray et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:477−498を参照されたい。
【0090】
加えて、他の配列改変は、本明細書で開示される核酸配列に対して成すことができる。たとえば、さらなる配列改変は、細胞性の宿主中の遺伝子発現を増強することが知られている。これらは、偽性のポリアデニル化シグナル、エキソン/イントロンスプライス部位シグナル、トランスポゾン様リピート、及び遺伝子発現に対して有害性である可能性がある他のそのようなよく特徴づけられた配列をコードする配列の排除を含む。配列のG−C含有量もまた、宿主細胞中で発現される、知られている遺伝子に対する参照によって計算されるように、標的の細胞性の宿主にとって平均的なレベルに調整することができる。加えて、配列は、予測されるヘアピン二次的mRNA構造物を回避するために改変することができる。
【0091】
他の核酸配列もまた、たとえば、AHASコード配列の発現を増強するために本発明の構築物の調製において使用されてもよい。そのような核酸配列は、トウモロコシAdhI、イントロン1遺伝子のイントロン(Callis et at (1987)Genes and Development 1:1183−1200)並びにタバコモザイクウイルス(TMV)、トウモロコシクロロティックモトルウイルス、及びアルファルファモザイクウイルスからのリーダー配列(W配列)(Gallie et al.(1987)Nucleic Acid Res.15:8693−8711及びSkuzeski et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:65−79,1990)を含む。トウモロコシのshrunken−1座由来の第1のイントロンは、キメラ遺伝子構築物中で遺伝子の発現を増加させることが示された。米国特許第5,424,412号及び第5,593,874号は、遺伝子発現構築物中での特異的なイントロンの使用を開示し、Gallie et al.((1994)Plant Physiol.106:929−939)もまた、イントロンが、組織特異的な方式で遺伝子発現を調節するのに有用であることを示した。AHAS大サブユニット遺伝子発現をさらに増強するために又は最適化するために、本発明の植物発現ベクターはまた、マトリックス付着領域(MAR)を含有するDNA配列を含有してもよい。そのような改変された発現系を用いて形質転換された植物細胞は、次いで、本発明のヌクレオチド配列の過剰発現又は構成的な発現を示し得る。
【0092】
本発明の核酸構築物は、加えて、発現カセット構築物中に5’リーダー配列を含有してもよい。そのようなリーダー配列は、翻訳を増強するように作用することができる。翻訳リーダーは、当技術分野で知られており、ピコルナウイルスリーダー、たとえばEMCVリーダー(脳心筋炎5’非コード領域)(Elroy−Stein et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6126−6130)、ポティウイルスリーダー、たとえばTEVリーダー(タバコエッチウイルス)(Gallie et al.(1995)Gene 165(2):233−238))、MDMVリーダー(トウモロコシ萎縮モザイクウイルス)(Virology 154:9−20)、及びヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)(Macejak et al.(1991)Nature 353:90−94)、アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質mRNA由来の非翻訳リーダー(AMY RNA 4)(Jobling et al.(1987)Nature 325:622−625)、タバコモザイクウイルスリーダー(TMV)(Gallie et al.(1989)in Molecular Biology of RNA,ed.Cech (Liss,New York),pp.237−256)、及びトウモロコシクロロティックモトルウイルスリーダー(MCMV)(Lommel et al.(1991)Virology 81:382−385)を含む。Della−Cioppa et al.(1987)Plant Physiol.84:965−96もまた参照されたい。翻訳を増強することが知られている他の方法、たとえばイントロン及びその他同種のものもまた利用することができる。
【0093】
核酸構築物を調製する際に、様々なDNA断片は、適した配向で及び必要に応じて、適したリーディングフレーム中にDNA配列を提供するために操作することができる。この目的のために、アダプター若しくはリンカーは、DNA断片をつなぐために使用されてもよく、又は他の操作は、好都合な制限部位、余分なDNAの除去、制限部位の除去、若しくはその他同種のものを提供するために含まれてもよい。この目的のために、インビトロ突然変異誘発、プライマー修復、制限、アニーリング、再置換、たとえば転移、及び塩基転換が含まれてもよい。
【0094】
本発明の発現構築物はまた、葉緑体へのAHAS配列の発現を指示することができる核酸配列を含むこともできる。そのような核酸配列は、植物細胞葉緑体に対象とする遺伝子産物を向けるための葉緑体輸送ペプチドをコードする葉緑体標的配列を含む。そのような輸送ペプチドは、当技術分野で知られている。葉緑体標的配列に関して、「作動可能に連結された」は、輸送ペプチドをコードする核酸配列(つまり葉緑体標的配列)は、2つの配列が隣接し、且つ同じリーディングフレーム中にあるように本発明のAHASL核酸分子に連結されることを意味する。たとえばVon Heijne et al.(1991)Plant Mol.Biol.Rep.9:104−126;Clark et al.(1989)J.Biol.Chem.264:17544−17550;Della−Cioppa et al.(1987)Plant Physiol.84:965−968;Romer et al.(1993)Biochem.Biophys.Res.Commun.196:1414−1421;及びShah et al.(1986)Science 233:478−481を参照されたい。本発明のAHASLタンパク質は、本来の葉緑体輸送ペプチドを含んでいてもよいが、当技術分野で知られている任意の葉緑体輸送ペプチドもまた、本発明の成熟AHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’端末に葉緑体標的配列を作動可能に連結することによって、本発明の成熟AHASLタンパク質のアミノ酸配列に融合することができる。
【0095】
葉緑体標的配列は、当技術分野で知られており、リブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)の葉緑体小サブユニット(de Castro Silva Filho et al.(1996)Plant Mol.Biol.30:769−780;Schnell et al.(1991)J.Biol.Chem.266(5):3335−3342);5−(エノールピルビル)シキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)(Archer et al.(1990)J.Bioenerg.Biomemb.22(6):789−810);トリプトファンシンターゼ(Zhao et al.(1995)J.Biol.Chem.270(11):6081−6087);プラストシアニン(Lawrence et al.(1997)J.Biol.Chem.272(33):20357−20363);コリスミ酸シンターゼ(Schmidt et al.(1993)J.Biol.Chem.268(36):27447−27457);及び集光性クロロフィルa/b結合タンパク質(LHBP)(Lamppa et al.(1988)J.Biol.Chem.263:14996−14999)を含む。Von Heijne et al.(1991)Plant Mol.Biol.Rep.9:104−126;Clark et al.(1989)J.Biol.Chem.264:17544−17550;Della−Cioppa et al.(1987)Plant Physiol.84:965−968;Romer et al.(1993)Biochem.Biophys.Res.Commun.196:1414−1421;及びShah et al.(1986)Science 233 :478−481もまた参照されたい。
【0096】
他の態様では、核酸構築物は、植物細胞葉緑体由来の突然変異AHASコード配列の発現を指示するために調製されてもよい。葉緑体の形質転換のための方法は、当技術分野で知られている。たとえば、Svab et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8526−8530;Svab and Maliga (1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:913−917;Svab and Maliga (1993)EMBO J.12:601−606を参照されたい。方法は、選択可能なマーカーを含有するDNAのパーティクルガンデリバリー及び相同組換えを通しての色素体ゲノムに対するDNAのターゲティングに依存する。加えて、色素体形質転換は、核コード色素体特異的RNAポリメラーゼの組織にとって好ましい発現による、サイレントな色素体由来の導入遺伝子のトランス活性化によって実行することができる。そのような系は、McBride et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:7301−7305に報告されている。
【0097】
葉緑体を標的とする対象とする核酸は、植物の核及びこの細胞器官の間のコドン使用頻度の差異を引き起こすために、葉緑体中で発現のために最適化することができる。このように、対象とする核酸は、葉緑体にとって好ましいコドンを使用して合成することができる。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,380,831号を参照されたい。
【0098】
核酸構築物は、植物細胞を形質転換し、且つ突然変異AHASコード配列を含むトランスジェニック植物を再生するために使用することができる。多数の植物形質転換ベクター及び植物を形質転換するための方法は、入手可能である。たとえば、米国特許第6,753,458号、An,G.et al.(1986)Plant Physiol.,81:301−305;Fry,J.et al.(1987)Plant Cell Rep.6:321−325;Block,M.(1988)Theor.Appl Genet.76:767−774;Hinchee et al.(1990)Stadler.Genet.Symp.203212.203−212;Cousins et al.(1991)Aust.J.Plant Physiol.18:481−494;Chee,P.P.and Slightom,J.L.(1992)Gene.118:255−260;Christou et al.(1992)Trends.Biotechnol.10:239−246;D’Halluin et al.(1992)Bio/Technol.10:309−3 14;Dhir et al.(1992)Plant Physiol.99:81−88;Casas et al.(1993)Proc.Nat.Acad Sci.USA 90:11212−11216;Christou,P.(1993)In Vitro Cell.Dev.Biol.−Plant;29P:1 19−124;Davies,et al.(1993)Plant Cell Rep.12:180−183;Dong,J.A.and Mc Hughen,A.(1993)Plant Sci.91:139−148;Franklin,C.I.and Trieu,T.N.(1993)Plant.Physiol.102:167;Golovkin et al.(1993)Plant Sci.90:41−52;Guo Chin Sci.Bull.38:2072−2078;Asano,et al.(1994)Plant Cell Rep.13;Ayeres N.M.and Park,W.D.(1994)Crit.Rev.Plant.Sci.13:219−239;Barcelo et al.(1994)Plant.J.5:583−592;Becker,et al.(1994)Plant.J.5:299−307;Borkowska et al.(1994)Acta.Physiol Plant.16:225−230;Christou,P.(1994)Agro.Food.Ind.Hi Tech.5:17−27;Eapen et al.(1994)Plant Cell Rep.13:582−586;Hartman et al.(1994)Bio−Technology 12:919923;Ritala et al.(1994)Plant.Mol.Biol.24:317−325;及びWan,Y.C.and Lemaux,P.G.(1994)Plant Physiol.104:3748を参照されたい。構築物はまた、相同組換えを使用して、植物細胞に形質転換されてもよい。
【0099】
本発明のAHASL配列を含む、開示された構築物は、細菌、酵母などのようなトランスジェニック宿主細胞を産生し、植物細胞を形質転換し、いくつかの場合では、トランスジェニック植物を再生するために様々な方法において使用することができる。たとえば、本発明のAHASL突然変異コード核酸(単数又は複数)を含有するトランスジェニック作物を作出するための方法であって、植物中の核酸の発現は、野生型植物又は知られているAHAS突然変異型植物と比較して、除草剤耐性をもたらし、(a)本発明の突然変異AHASLをコードする核酸を含む発現ベクターを植物細胞の中に導入するステップと、(b)植物細胞から除草剤耐性であるトランスジェニック植物を作製するステップとを含む方法。
【0100】
本発明の方法で使用される植物細胞は、プロトプラスト、配偶子生産細胞、及び全植物に再生する細胞を含むが、これらに限定されない。多くの場合では、組換え核酸分子のすべて又は一部は、それが後に続く世代に伝わるように、染色体の中に安定して統合される又は安定的な染色体外エレメントとなる。
【0101】
本発明は、単子葉植物及び双子葉類を含むが、これらに限定されない任意の植物種の形質転換に使用することができる。対象とする植物種の例は、コーン又はトウモロコシ(Zea mays)、アブラナ属種(たとえばセイヨウアブラナ、カブ、セイヨウカラシナ)(種子油の供給源として有用なそれらのアブラナ属種を含む)、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))、イネ(イネ(Oryza sativa))、ライ麦(ライムギ(Secale cereale))、モロコシ(モロコシ(Sorghum bicolor)、ソルガム(Sorghum vulgare))、キビ(たとえばトウジンビエ(トウジンビエ(Pennisetum glaucum))、プロソミレット(proso millet)(キビ(Panicum miliaceum))、アワ(アワ(Setaria italica))、シコクビエ(シコクビエ(Eleusine coracana))、ヒマワリ(ヒマワリ(Helianthus annuus))、ベニバナ(ベニバナ(Carthamus tinctorius))、コムギ(コムギ(Triticum aestivum)、イギリスコムギ亜種 デュラム小麦)、ダイズ(ダイズ(Glycine max))、タバコ(タバコ(Nicotiana tabacum))、ジャガイモ(ジャガイモ(Solanum tuberosum))、ピーナッツ(ピーナッツ(Arachis hypogaea))、ワタ(カイトウメン(Gossypium barbadense)、ワタ(Gossypium hirsutum))、サツマイモ(サツマイモ(Ipomoea batatus))、キャッサバ(キャッサバ(Manihot esculenta))、コーヒー(コーヒー属種)、ココナッツ(ココヤシ(Cocos nucifera))、パイナップル(パイナップル(Ananas comosus))、柑橘類の木(ミカン属種)、ココア(カカオ(Theobroma cacao))、茶(茶(Camellia sinensis))、バナナ(バショウ属種)、アボカド(アボカド(Persea americana))、イチジク(イチジク(Ficus casica))、グアバ(グアバ(Psidium guajava(登録商標)))、マンゴー(マンゴー(Mangifera indica))、オリーブ(オリーブ(Olea europaea))、パパイヤ(パパイヤ(Carica papaya))、カシュー(カシューノキ(Anacardium occidentale))、マカダミア(マカダミア(Macadamia integrifolia))、アーモンド(アーモンド(Prunus amygdalus))、サトウダイコン(サトウダイコン(Beta vulgaris))、サトウキビ(サトウキビ属種)、カラスムギ(カラスムギ(Avena sativa))、オオムギ(オオムギ(Hordeum vulgare))、野菜、観賞植物、及び針葉樹を含むが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の植物は、作物(たとえばヒマワリ、アブラナ属種、ワタ、砂糖、テンサイ、ダイズ、ピーナッツ、アルファルファ、ベニバナ、タバコ、トウモロコシ、イネ、コムギ、ライ麦、オオムギ、ライコムギ、モロコシ、キビなど)である。
【0102】
本発明のAHASLポリペプチドをコードする突然変異AHASL核酸分子はまた、たとえば、突然変異AHASLポリペプチドをコードする、導入された核酸分子を含有するトランスジェニック細胞を同定するための選択可能マーカーとして使用することもできる。一態様では、本発明は、形質転換された植物細胞、植物組織、植物、又はその一部を同定する又は選択するための方法であって、a)形質転換された植物細胞、植物組織、植物、又はその一部を提供するステップであって、形質転換された植物細胞、植物組織、植物、又はその一部は、上記に記載される本発明のAHASL突然変異ポリペプチドをコードする単離核酸を含み、ポリペプチドは、選択マーカーとして使用され、形質転換された植物細胞、植物組織、植物、又はその一部は、任意選択で、対象とするさらなる単離核酸を含んでいてもよいステップと、b)形質転換された植物細胞、植物組織、植物、又はその一部を少なくとも1つのAHAS阻害剤又はAHAS阻害性化合物と接触させるステップと、c)植物細胞、植物組織、植物、又はその一部が阻害剤又は阻害性化合物によって影響を与えられるかどうかを決定するステップと、d)形質転換された植物細胞、植物組織、植物、又はその一部を同定する又は選択するステップとを含む方法を提供する。
【0103】
本発明はまた、本明細書で記載される突然変異を含有する精製AHASLタンパク質においても具体化され、これは、除草剤耐性に対するさらなる改良を設計するための分子モデリング研究において有用である。タンパク質精製の方法は、よく知られており、たとえばProtein Biotechnology,Walsh and Headon (Wiley,1994)に示されるように、市販で入手可能な産物又は特別に設計された方法を使用して、容易に実行することができる。
【0104】
本発明は、イミダゾリノン除草剤又はスルホニルウレア除草剤などのような、少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤に抵抗性又は耐性である植物、植物組織、植物細胞、及び宿主細胞を提供する。いくつかの態様では、植物、植物組織、植物細胞、及び宿主細胞は、少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤に対して増強された抵抗性又は増強された耐性を示す。「増強」という用語は、期待されるものを超える、抵抗性又は耐性の量の増加を指す。除草剤の好ましい量又は濃度は、「有効量」又は「有効濃度」である。「有効量」及び「有効濃度」によって、同様の野生型植物、植物組織、植物細胞、小胞子、又は宿主細胞を死滅させる又はその成長を阻害するのに十分であるが、その上述の量は、本発明の除草剤抵抗性の植物、植物組織、植物細胞、小胞子、及び宿主細胞を同じように極度に死滅させない又はその成長を阻害しない量及び濃度がそれぞれ意図される。典型的には、除草剤の有効量は、対象とする雑草を死滅させるために農業生産システムで日常的に使用される量である。そのような量は、当業者らに知られている又は当技術分野で知られている方法を使用して容易に決定することができる。そのうえ、農業生産システムでの除草剤の有効量は、たとえば小胞子培養システムなどのような植物培養システムのための除草剤の有効量と実質的に異なる可能性があることが認識される。
【0105】
本発明の除草剤は、AHAS活性が除草剤の存在下で低下するようにAHAS酵素の活性に干渉する除草剤である。そのような除草剤はまた、「AHAS阻害性除草剤」又は単に「AHAS阻害剤」と本明細書で呼ぶことができる。本明細書で使用されるように、「AHAS阻害性除草剤」又は「AHAS阻害剤」は、AHAS酵素の活性に干渉する単一の除草剤に限定されることを意味しない。したがって、他に述べられない限り又は文脈から明白でない限り、「AHAS阻害性除草剤」又は「AHAS阻害剤」は、1つの除草剤又は2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の除草剤の混合物とすることができ、それらのそれぞれは、AHAS酵素の活性に干渉する。
【0106】
他に明確に示されない限り、本明細書で使用されるように、「植物」という用語は、任意の発達期の植物及び完全な無傷の植物に取りつけられる又はそれから分離してもよい植物の任意の1つ又は複数の一部分を意味するように意図される。植物のそのような一部分は、植物を再生することができる植物カルス、植物の凝集塊、植物プロトプラスト、及び植物細胞組織培養物を含む植物の器官、組織、及び細胞を含むが、これらに限定されない。特定の植物の一部分の例は、茎、葉、根、花序、花、小花、果実、小花梗、花柄、雄しべ、葯、柱頭、花柱、子房、花弁、がく片、心皮、根端、根冠、根毛、葉毛、種子毛、花粉粒、小胞子、胚、胚珠、子葉、胚軸、上胚軸、木部、師部、柔組織、胚乳、伴細胞、孔辺細胞、並びに植物の任意の他の知られている器官、組織、及び細胞を含む。そのうえ、種子は植物の一部であることが認識される。
【0107】
本発明の植物は、非トランスジェニック植物及びトランスジェニック植物の両方を含む。「非トランスジェニック植物」によって、そのゲノム中に組換えDNAを欠くが、化学的突然変異誘発などのような突然変異誘発性技術を使用して又は本明細書で提供される方法によって突然変異させた植物細胞ゲノム中に突然変異核酸分子を含有する植物を意味するように意図される。非トランスジェニック植物は、自然の方法の結果として突然変異配列を有する植物を包含しない。「トランスジェニック植物」によって、そのゲノム中に組換えDNAを含む植物を意味するように意図される。そのようなトランスジェニック植物は、植物のゲノムに組換えDNAを導入することによって生産することができる。そのような組換えDNAがトランスジェニック植物のゲノムに組み込まれる場合、植物の後代もまた組換えDNAを含むことができる。少なくとも1つの先祖トランスジェニック植物の組換えDNAの少なくとも1つの部分を含む後代植物もまたトランスジェニック植物である。
【0108】
本発明はまた、本明細書で開示される核酸分子を含有する、AHAS除草剤抵抗性の植物を提供する。AHAS除草剤抵抗性の植物は、本明細書で記載されるAHASL突然変異ポリペプチドをコードする核酸分子を含む非トランスジェニック除草剤耐性植物又はトランスジェニック除草剤耐性植物とすることができる。AHAS除草剤抵抗性の植物は、第1の植物を第2の植物と他花受粉させ、花粉アクセプター植物(第1又は第2の植物のいずれかとすることができる)がこの他家受粉から種子を生じることを可能にすることによって作出することができる。それから産生された種子及び後代植物は、種子及び/又は後代植物のゲノムの中に交雑された突然変異を有することができる。花粉アクセプター植物は、第1又は第2の植物のいずれかとすることができる。第1の植物は、本明細書で開示される、少なくとも1つのAHASL突然変異ポリペプチドをコードする第1の核酸分子を含む。第2の植物は、任意の適合性の植物とすることができ、同じ又は異なるAHASL突然変異ポリペプチドをコードする第2の核酸分子を含んでいてもよい。第1及び第2のAHASL突然変異ポリペプチドは、野生型AHASLポリペプチドと比較して同じ又は異なるアミノ酸置換(単数又は複数)を含んでいてもよい。AHASL突然変異ポリペプチドをコードする1つの核酸分子又は2つのAHASL突然変異ポリペプチドをコードする2つの核酸分子を含む交雑から生じる種子又は後代植物は、選択することができる。
【0109】
第1及び第2の植物が、第1及び第2の核酸分子についてそれぞれホモ接合性である場合、それぞれの結果として生じる後代植物は、第1及び第2の核酸分子のそれぞれの1コピーを含み、選択ステップは省略することができる。第1及び第2の植物の少なくとも1つが、ヘテロ接合性である場合、両方の核酸分子を含む後代植物は、たとえば、第1及び第2の核酸分子の両方を含む後代植物を同定するために後代植物のDNAを分析することによって又は除草剤耐性の増加について後代植物を試験することによって選択することができる。
【0110】
いくつかの態様では、本発明の核酸配列を含有する植物は、たとえば、国際出願PCT/US00/23457又は米国特許第6,271,360号、第6,479,292号、及び第7,094,606号中に開示される方法を含む、部位特異的突然変異誘発方法などのような非トランスジェニック方法を使用して作出することができる。一態様では、そのような方法は、宿主細胞ゲノムの中に点突然変異を導入するためのオリゴヌクレオチド特異的遺伝子修復の使用を含んでいてもよく、遺伝子修復オリゴ核酸塩基などのような一本鎖オリゴヌクレオチドの使用を含むことができる(米国特許第6,870,075号及び第5,565,350号を参照されたい)。オリゴ核酸塩基は、核酸塩基を含むポリマーであり、このポリマーは、相補的配列を有するDNAにワトソン−クリック型塩基対によってハイブリダイズすることができる。核酸塩基は、プリン、ピリミジン、又はその誘導体若しくはアナログである塩基を含む。核酸塩基は、ペプチド核酸塩基、ペプチド核酸のサブユニット、及びモルホリン核酸塩基並びにヌクレオシド及びヌクレオチドを含む。ヌクレオシドは、ペントースフラノシル(pentosefuranosyl)成分、たとえば任意選択で置換されたリボシド又は2’−デオキシリボシドを含有する核酸塩基である。ヌクレオシドは、いくつかの連結成分の1つによって連結することができ、これらはリンを含有していてもよい又は含有していなくてもよい。非置換ホスホジエステル連結によって連結されるヌクレオシドは、ヌクレオチドと称される。オリゴ核酸塩基鎖は、単一の5’及び3’末端を有し、これらはポリマーの最終の核酸塩基である。特定のオリゴ核酸塩基鎖は、すべてのタイプの核酸塩基を含有することができる。オリゴ核酸塩基化合物は、相補的で、ワトソン−クリック型塩基対によってハイブリダイズされる1つ又は複数のオリゴ核酸塩基鎖を含む化合物である。核酸塩基は、デオキシリボ型又はリボ型のいずれかである。リボ型核酸塩基は、ペントースフラノシル含有核酸塩基であり、2’炭素は、ヒドロキシル、アルキルオキシ、又はハロゲンと置換されたメチレンである。デオキシリボ型核酸塩基は、リボ型核酸塩基以外の核酸塩基であり、ペントースフラノシル成分を含有しない核酸塩基をすべて含む。
【0111】
一本鎖オリゴヌクレオチド突然変異ベクター(SSMOV)は、AHASコード配列に突然変異を導入するために調製することができる。SSMOVは、国際特許出願PCT/US00/23457並びに米国特許第6,271,360号;第6,479,292号;及び第7,094,606号に従って調製することができる。SSOMVの配列は、米国特許第5,565,350号;第5,731,181号、第5,756,325号;第5,871,984号;第5,760,012号;第5,888,983号;第5,795,972号;第5,780,296号;第5,945,339号;第6,004,804号;及び第6,010,907号並びに国際公開WO98/49350;WO99/07865;WO99/58723;WO99/58702;及びWO99/40789に記載される突然変異ベクターと同じ原理に基づくものとすることができる。一態様では、SSOMVの配列は、突然変異誘発遺伝子領域と称される、望ましい遺伝子改変を含有する領域によって分離される、標的配列と相同性の2つの領域を含有する。突然変異誘発遺伝子領域は、標的配列中の相同性の領域を分離する配列と同じ長さである配列を有することができるが、異なる配列を有する。そのような突然変異誘発遺伝子領域は、置換を引き起こすことができる。その代わりに、SSOMV中の相同性の領域は、互いに隣接することができ、同じ配列を有する標的遺伝子中の領域は、1つ、2つ以上のヌクレオチドによって分離される。そのようなSSOMVは、SSOMVに不在のヌクレオチドの標的遺伝子からの欠失を引き起こす。最後に、相同性の領域に同一の標的遺伝子の配列は、標的遺伝子において隣接してもよいが、SSOMVの配列中の1つ、2つ以上のヌクレオチドによって分離される。そのようなSSOMVは、標的遺伝子の配列中への挿入を引き起こす。
【0112】
いくつかの態様では、SSOMVのヌクレオチドは、5’末端及び/若しくは3’末端ヌクレオチド間連結又はその代わりに、2つの5’末端及び/若しくは3’末端ヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート又はホスホアミデートとすることができるという点を除いて、非修飾ホスホジエステル結合によって連結されるデオキシリボヌクレオチドである。本明細書で使用されるように、ヌクレオチド間連結は、SSOMVのヌクレオチドの間の連結であり、5’端末ヌクレオチド又は3’末端ヌクレオチド及びブロッキング置換基の間の連結を含まない。特定の一態様では、SSOMVの長さは、21〜60のデオキシヌクレオチドであり、相同性領域の長さは、したがって、全長が、少なくとも20デオキシヌクレオチドであり、少なくとも2つの相同性領域は、それぞれ、少なくとも8デオキシヌクレオチドの長さを有するべきである。
【0113】
SSOMVは、標的遺伝子のコード鎖又は非コード鎖のいずれかに相補的となるように設計することができる。望ましい突然変異が一つの塩基の置換である場合、両方の突然変異誘発遺伝子ヌクレオチドがピリミジンであることが好ましい。望ましい機能的な結果を得ることと矛盾しない程度まで、相補鎖中の突然変異誘発遺伝子ヌクレオチド及び標的ヌクレオチドの両方が、ピリミジンであることが好ましい。一態様において、塩基転換型突然変異をコードするSSOMV、つまり、C又はTの突然変異誘発遺伝子ヌクレオチドは、相補鎖中のC又はTのヌクレオチドと、それぞれ、ミスマッチする。
【0114】
オリゴデオキシヌクレオチドに加えて、SSOMVは、リンカーを通して5’末端炭素に結合されている5’ブロッキング置換基を含有することができる。リンカーの化学的性質は、任意の化学的性質とすることができ、少なくとも6原子長であり、リンカーは、好ましくは可動性である。ビオチン、コレステロール、若しくは他のステロイドなどのような様々な非毒性置換基又は非挿入陽イオン性蛍光色素を使用することができる。SSOMVを作製するための試薬の例は、オリゴヌクレオチドの中への組込みに際して、3,3,3’,3’−テトラメチルN,N’−イソプロピル置換インドモノカルボシアニン色素及びインドジカルボシアニン色素を産出する、ブロックされたホスホロアミダイト(phosphoroamidite)である、Glen Research、Sterling Va.(現在のGE Healthcare)によってCy3(商標)及びCy5(商標)として販売されている試薬を含む。一態様では、試薬は、Cy3である。インドカルボシアニンがN−オキシアルキル置換されている場合、それは、5’末端リン酸とのホスホジエステル結合を通してオリゴデオキシヌクレオチドの5’末端に好都合に連結することができる。色素及びオリゴデオキシヌクレオチドの間の色素リンカーの化学的性質は決定的でなく、合成の利便性のために選ばれる。市販で入手可能なCy3ホスホロアミダイトが指示どおりに使用される場合、結果として生じる5’改変は、共に、N−ヒドロキシプロピル,N’−ホスファチジルプロピル3,3,3’,3’−テトラメチルインドモノカルボシアニンであるブロッキング置換基及びリンカーから成る。
【0115】
一態様では、インドカルボシアニン色素は、インドール環の3及び3’位でテトラ置換される。理論に関して束縛されることなく、これらの置換は、色素が挿入色素となるのを予防する。これらの位置での置換基の固有性は、決定的とならない。SSOMVは、加えて、ブロッキング3’置換基を有することができる。なおまた、3’ブロッキング置換基の化学的性質は、決定的ではない。
【0116】
AHAS遺伝子の中に導入されることとなる変化は、コード領域及び非コード領域を含む核酸配列の任意の領域中とすることができる。一態様では、標的(AHAS)遺伝子の中に導入されることとなる変化は、異種性の領域によってコードされる。遺伝子の中に導入されることとなる変化は、遺伝子配列の1つ若しくは複数の塩基の変化(つまり置換)又は1つ若しくは複数の塩基の付加若しくは欠失であってもよい。
【0117】
本発明はまた、BnCL120C7と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系統をも提供する。アブラナ属系統BnCL120C7からの少なくとも2500個の種子の、American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VA 20110 USAのPatent Depositoryへの寄託は、2008年6月23日に成され、ATCC特許寄託番号PTA−9278に指定された。本発明はまた、BnCL131A1と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系統をも提供する。アブラナ属系統BnCL131A1からの少なくとも2500個の種子の寄託は、2008年6月23日に成され、ATCC特許寄託番号PTA−9279に指定された。本発明はまた、BnCL140B3と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系統をも提供する。アブラナ属系統BnCL140B3からの少なくとも2500個の種子の、American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VA 20110 USAのPatent Depositoryへの寄託は、2008年8月27日に成され、ATCC特許寄託番号PTA−9402に指定された。本発明はまた、BnCL140C7と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系統をも提供する。アブラナ属系統BnCL140C7からの少なくとも2500個の種子の、American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VA 20110 USAのPatent Depositoryへの寄託は、2008年8月27日に成され、ATCC特許寄託番号PTA−9403に指定された。本発明はまた、PM1PM2/BnCL131A1と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系統をも提供する。アブラナ属系統PM1PM2/BnCL131A1からの少なくとも2500個の種子の、American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VA 20110 USAのPatent Depositoryへの寄託は、2009年9月9日に成され、ATCC特許寄託番号PTA−10321に指定された。寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項の下で維持される。アブラナ属系統BnCL120C7、BnCL131A1、BnCL140B3、BnCL140C7、及びPM1PM2/BnCL131A1の寄託は、少なくとも30年及び寄託物のサンプルの分譲の最も近時の依頼がATCCによって受領された後の少なくとも5年の期間の間、成された。加えて、出願人は、サンプルの生存率の表示を提供することを含めて米国特許法施行規則§§1.801〜1.809の条件をすべて満たした。
【0118】
本発明において例示される突然変異体の除草剤抵抗性のアブラナ属系統BnCL120C7、BnCL131A1、BnCL140B3、及びBnCL140C7は、実施例において開示されるように、部位特異的突然変異誘発技術を使用して生産した。しかし、本発明は、そのような方法によって生産される除草剤抵抗性のアブラナ属植物に限定されない。当技術分野で知られている任意の突然変異誘発方法は、本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物を生産するために使用することができる。そのような突然変異誘発方法は、たとえば、以下の突然変異原の任意の1つ又は複数の使用を含むことができる:X線、ガンマ線(たとえばコバルト60又はセシウム137)、中性子(たとえば、原子炉中でのウラン235による核分裂の産物)、ベータ放射線(たとえば、リン32又は炭素14などのような放射性同位元素から放出される)、及び紫外線(好ましくは250〜290nm)などのような放射線並びにエチルメタンスルホン酸(EMS)、塩基類似体(たとえば5−ブロモウラシル)、関連化合物(たとえば8−エトキシカフェイン)、抗生物質(たとえばストレプトニグリン)、アルキル化剤(たとえばサルファマスタード、ナイトロジェンマスタード、エポキシド、エチレンアミン、硫酸、スルホン酸、スルホン、ラクトン)、アジ化物、ヒドロキシルアミン、亜硝酸、又はアクリジンなどのような化学的突然変異原。除草剤抵抗性の植物はまた、除草剤抵抗性の突然変異を含む植物細胞を選択するために組織培養法を使用し、次いで、それから除草剤抵抗性の植物を再生することによって生産することもできる。たとえば、共に、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,773,702号及び第5,859,348号を参照されたい。突然変異育種のさらなる詳細は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる「栽培品種開発法(Principles of Cultivar Development)」 Fehr、1993 Macmillan Publishing Companyにおいて見出すことができる。加えて、部位特異的突然変異誘発は、本明細書で開示される宿主植物細胞中で突然変異AHASL配列を生じさせるために使用することができる。
【0119】
本発明のアブラナ属植物は、野生型AHASLタンパク質と比較して、アミノ酸位置653(シロイヌナズナの呼称)のアスパラギン、アミノ酸位置122(シロイヌナズナの呼称)のトレオニン、及び野生型AHASLタンパク質と比較してAHASLタンパク質中に1つ又は複数のさらなるアミノ酸置換を含む植物であって、野生型アブラナ属植物と比較した場合に、そのようなアブラナ属植物は、少なくとも1つの除草剤に対する抵抗性が増加している植物をさらに含む。
【0120】
植物及び育種方法
アブラナ属のAHAS除草剤抵抗性の植物などのような本発明のAHAS除草剤抵抗性の植物及びそのような植物の後代は、AHAS阻害性除草剤に対する増加した耐性を有する抵抗性の植物及びそのような植物の種子を調製するための方法において使用することができる。したがって、たとえば、本明細書で例示されるアブラナ属植物は、セイヨウアブラナの市販品種(たとえばキャノーラ)などのような、さらなる除草剤抵抗性の植物を開発するために育種プログラムで使用することができる。そのような方法に従って、第1の親植物は、第2の親植物との交雑において使用されてもよく、第1又は第2の親植物の少なくとも1つは、本発明の少なくとも1つのAHASL核酸配列、たとえば、A122T突然変異及びS653N突然変異を有するAHASLポリペプチドをコードする核酸分子を含有する。プロセスの1つの適用は、F雑種植物の生産中とする。このプロセスの他の重要な側面は、プロセスを新規な親、二ゲノム性半数体、又は近交系統の開発に使用することができるということである。たとえば、本明細書で記載されるような植物系統は、任意の第2の植物と交雑させることができ、結果として生じる雑種後代は、それぞれ、約5〜7又はそれ以上の世代の間、自家受粉させて及び/又は同胞受粉させて、それによって多数の別個の親系統がもたらされる。次いで、これらの親系は、他の系と交雑させることができ、結果として生じる雑種後代は、有益な特徴について分析される。このような方法で、望ましい特徴を付与する新規な系統を同定することができる。様々な育種方法は、半数性、系統育種、単粒系統、改変された単粒系統、循環選択、及び戻し交雑を含む方法で使用することができる。
【0121】
いくつかの態様では、植物及びその後代は、除草剤耐性の相加効果ではなく相乗効果を示し、それによって、複数の突然変異を含むその植物及びその後代の除草剤耐性のレベルは、AHASL単一突然変異タンパク質を含む植物の組み合わせられた除草剤耐性よりも高い。
【0122】
本発明の核酸分子を含有する植物系統は、自然又は機械的な技術によって交雑させることができる。機械的な受粉は、柱頭上に移入することができる花粉のタイプをコントロールすることによって又は手で受粉することによって達成することができる。
【0123】
子孫及び/又は後代植物は、突然変異AHASL核酸又は突然変異AHASLポリペプチドの存在を決定するための任意の方法によって本発明の核酸分子について評価されてもよい。そのような方法は、表現型の評価、遺伝子型の評価、又はその組合せを含む。後代植物は、除草剤抵抗性及び他の望ましい形質について続く世代において評価されてもよい。AHAS阻害剤除草剤に対する抵抗性は、1つ又は複数の適切なAHAS阻害剤除草剤に植物を曝露し、除草剤傷害を評価することによって評価することができる。倒伏抵抗性及び植物丈などのようないくつかの形質は、植物の目視検査を通して評価することができるが、成熟度についての早生は、さや(長角果)内の種子の目視検査によって評価することができる。種子の含油率、タンパク質率、及び総グルコシノレートなどのような他の形質は、近赤外線分光法並びに/又は液体クロマトグラフィー及び/若しくはガスクロマトグラフィーなどのような技術を使用して評価することができる。
【0124】
本発明の植物はまた、任意の遺伝子型の分析法を使用して同定することができる。植物の遺伝子型の評価は、アイソザイム電気泳動、制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(Arbitrarily Primed Polymerase Chain Reaction)(AP−PCR)、対立遺伝子特異的PCR(AS−PCR)、DNA増幅フィンガープリント法(DAF)、配列特徴的増幅領域(Sequence Characterized Amplified Region)(SCAR)、増幅断片長多型(AFLP)、「マイクロサテライト」とも呼ばれる単純配列反復(SSR)などのような技術を使用することを含む。本明細書で提供される植物の遺伝子型を分析するためのさらなる組成物及び方法は、米国特許公開第2004/0171027号、米国特許公開第2005/02080506号、及び米国特許公開第2005/0283858号に開示される方法を含み、これらの全体は、参照によって組み込まれる。
【0125】
評価及び操作(1つ又は複数の適切なAHAS阻害剤除草剤への曝露を通して)は、数世代にわたって行うことができる。新しい系統の生産力は、比較品種に対する比較での客観的な基準を使用して評価することができる。形質の望ましい組合せを示す系統は、種子を作出するために他の系統と交雑させる又は自家受粉させる。自家受粉は、ある花からの同じ花又は同じ植物の他の花への花粉の移入を指す。何世代もの間、自家受粉し、タイプを選択している植物は、ほとんどすべての遺伝子座でホモ接合性になり、均一な集団の純粋育種後代を生産する。
【0126】
任意の育種方法を、本発明の方法で使用することができる。一例では、本発明の除草剤抵抗性の植物は、半数体法を使用して育種することができる。そのような方法では、特徴の望ましい補足のための遺伝的根拠を有する親は、単純な又は複雑な交雑で交雑させる。交雑(又は他家受粉)は、ある植物から異なる植物への花粉の移入を指す。交雑の後代は、成長させ、小胞子(未成熟の花粉粒)は、当業者に知られている技術を使用して分離され、選別させる[(たとえばSwanson,E.B.et al.,(1987)Plant Cell Reports,6:94−97,「セイヨウアブラナでの小胞子の効率的な単離及び小胞子由来の胚の生産(Efficient isolation of microspores and the production of microspore−derived embryos in Brassica napus,L.)」;及びSwanson,E.B.,(1990)Microspore culture in Brassica,pp.159−169 in Methods in Molecular Biology,vol.6,Plant Cell and Tissue Culture,Humana Press]。これらの小胞子は、遺伝子が分離されている。小胞子は、除草剤に対する抵抗性を担う突然変異を欠く小胞子を死滅させる、イマゼタピル(Imazethapyr)(たとえばPURSUIT(商標))、imazamox(たとえばSOLO(商標)、BEYOND(商標)、及びRAPTOR(商標))、又はイマゼタピル(Imazethapyr)及びimazamoxの50/50ミックス(たとえばODYSSEY(商標))などのような適切なAHAS阻害剤除草剤の存在下で培養される。除草剤に対する抵抗性を担う遺伝子を運搬する小胞子は、存在し続け、胚を生産し、これは半数体植物を生成する。次いで、それらの染色体は、倍加させて、倍加半数体を生産する。
【0127】
他の育種方法もまた本発明に従って使用することができる。たとえば、系統育種は、アブラナ属及びキャノーラなどのような大規模自家受粉作物の改良に使用することができる。系統育種は、2つの遺伝子型の交雑から始まり、これらのそれぞれは、他方で欠いている又は他方を補足する1つ又は複数の望ましい特徴を有していてもよい。2つの最初の親が、望ましい特徴のすべてを提供しない場合、さらなる親を、交雑計画に含むことができる。
【0128】
これらの親は、単純な又は複雑なFを生産するために単純な又は複雑な様式で交雑させてもよい。F集団は、1つ若しくはいくつかのF植物を自家受粉させることによって又は2つのF植物を相互交雑することによって(つまり同胞交配)Fから生産される。最良の個体の選択は、F世代で開始してもよく、Fで開始して、最良のファミリー及び最良のファミリー内の最良の個体が選択される。ファミリーの再現試験は、低遺伝率を有する形質の選択の有効性を改善するために、F世代で開始することができる。同系交配の進んだ段階(つまりFとF)で、最良の系統又は表現型的に同様の系統の混合物は、新しい栽培品種としての発売の可能性について試験することができる。しかし、植物は複数の世代で分離されており、望ましい形質の回復は比較的低いので、系統育種法は、改善されたAHAS除草剤抵抗性の植物を開発するための半数性の方法よりも多くの時間を要する。
【0129】
単粒系統(SSD)手順もまた、改良品種を育種するために使用することができる。厳密な意味のSSD手順は、分離集団を栽培すること、植物当たり1つの種子のサンプルを収穫すること、及び次の世代を栽培するために単一の種子の集団を使用することを指す。集団をFから同系交配の望ましいレベルまで進めた場合、系統が由来する植物はそれぞれ、異なるF個体にさかのぼるであろう。集団の植物の数は、いくつかの種子が発芽することができない又はいくつかの植物が少なくとも1つの種子を作出することができない理由から、それぞれの世代で減少する。その結果として、世代の進行が終了した場合に、F2集団で最初にサンプリングされた植物のすべてが後代によって表されるとは限らないであろう。
【0130】
複数の種子による手順では、キャノーラ育種家は、一般に、集団のそれぞれの植物から1つ又は複数のさやを収穫し、それらを共に脱穀して、バルクを作る。バルクの一部分は、次の世代を栽培するために使用し、一部分は貯蔵する。その手順は、改変された単粒系統又はさやバルク技術と呼ばれてきた。複数の種子による手順は、収穫時の労力を省くために使用されてきた。単粒手順のために手でそれぞれから1つの種子を取り出すよりも機械を用いてさやを脱穀するほうが相当に速い。複数の種子による手順はまた、同系交配のそれぞれの世代で、集団の同じ数の種子を栽培することを可能にする。発芽しなかった又は種子を作出しなかったそれらの植物を補うために十分な種子が収穫される。
【0131】
戻し交雑育種は、供給源となる品種又は系統(ドナー親)からの、単純に遺伝する、高度に遺伝性の形質の1つ又は複数の遺伝子を他の望ましい栽培品種又は近交系統(反復親)に移入するために使用することができる。初めの交雑の後に、ドナー親の表現型を保有する個体は選択され、反復親に繰り返し交雑させる(戻し交雑させる)。戻し交雑が終了した場合に、結果として生じる植物は、反復親の特質及びドナー親から移入された望ましい形質を有することが期待される。
【0132】
改良品種もまた、循環選択を通して開発することができる。この方法では、ヘテロ接合性の個体の遺伝的変異集団は、いくつかの異なる親の相互交雑によって同定される又は作り出される。最良の植物は、個々の優性、優れた後代、又は良好な組合せ能力に基づいて選択される。選択された植物は、相互交雑して、選択のさらなるサイクルが継続される新しい集団を生産する。
【0133】
他の側面では、本発明は、AHAS阻害性除草剤に対する抵抗性を有する植物を作出するための方法であって、(a)分離集団を生成するために第1の植物系統を第2の植物系統と交雑させるステップであって、第1の植物系統又は第2の植物系統は、本発明の核酸分子を含むAHAS阻害性除草剤抵抗性の植物であるステップと、(b)増加したAHAS阻害性除草剤抵抗性、本発明の核酸分子の存在、又はその両方について集団をスクリーニングするステップと、(c)野生型植物と比較して増加したAHAS抵抗性を有する又は本発明の核酸分子を含有する集団の1つ又は複数のメンバーを選択するステップとを含む方法を提供する。第1の植物又は第2の植物は、本発明のAHASL核酸分子を含有する。一態様では、方法で使用される植物は、アブラナ属植物である。
【0134】
他の側面では、本発明は、植物の中にAHAS阻害性除草剤抵抗性の形質を遺伝子移入するための方法であって、(a)分離集団を生成するために少なくとも1つの第1のAHAS阻害性除草剤抵抗性の植物系統を第2の植物系統と交雑させるステップと、(b)増加したAHAS阻害性除草剤抵抗性について集団をスクリーニングするステップと、(c)増加したAHAS阻害性除草剤抵抗性を有する集団の少なくとも1つのメンバーを選択するステップとを含む方法を提供する。一態様では、方法で使用される植物は、アブラナ属植物である。
【0135】
その代わりに、本発明の他の側面では、第1の親アブラナ属植物及び第2の親アブラナ属植物の両方は、本明細書で記載されるAHAS阻害性除草剤抵抗性のアブラナ属植物とすることができる。したがって、本明細書で記載される、増加したAHAS阻害性除草剤抵抗性を有するアブラナ属植物を使用して作出された任意のアブラナ属植物は、本発明の一部分を形成する。本明細書で使用されるように、交雑は、自家受粉、同胞受粉、戻し交雑、他の又は同じ親系統への交雑、集団への交雑、及びその他同種のものを意味することができる。
【0136】
本発明はまた、有性生殖を含む従来の植物育種を通して、除草剤抵抗性のアブラナ属植物などのような、除草剤抵抗性の植物を作出するための方法をも提供する。方法は、除草剤に抵抗性である第1の植物を除草剤に抵抗性ではない第2の植物と交雑させるステップを含む。第1の植物は、たとえば、除草剤抵抗性のAHASLをコードする本発明の突然変異核酸分子の少なくとも1つを含むアブラナ属植物及びBnCL120C7、BnCL131A1、BnCL140B3、又はBnCL140C7のアブラナ属植物の除草剤抵抗性の特徴を含む非トランスジェニックアブラナ属植物を含む、本発明の除草剤抵抗性の植物のいずれかとすることができる。第2の植物は、第1の植物と交雑させた場合に、成育可能な後代植物(つまり種子)を作出することができる任意の植物とすることができる。典型的には、しかし、必ずではないが、第1及び第2の植物は同じ種とする。たとえば、セイヨウアブラナ植物中のAゲノム上の突然変異AHASL配列はまた、たとえば、セイヨウカラシナ植物とセイヨウアブラナ植物を交雑させることによって、これもまたAゲノムを有する他のアブラナ属植物に交配することができる。本発明の方法は、さらに、第1の交雑の後代植物を、第1又は第2の植物のいずれかと同じ系統又は遺伝子型の植物に戻し交雑した1つ又は複数の世代を含むことができる。その代わりに、第1の交雑又は任意の続く交雑の後代は、第1又は第2の植物のいずれかと異なる系統又は遺伝子型である第3の植物と交雑させることができる。本発明の方法は、加えて、第1の植物の除草剤抵抗性の特徴を含む植物を選択するステップを含むことができる。
【0137】
本発明は、有性生殖を含む従来の植物育種を通して、植物、具体的には除草剤抵抗性のアブラナ属植物の除草剤抵抗性を増加させるための方法をさらに提供する。方法は、除草剤に抵抗性である第1の植物を、除草剤に抵抗性であってもよく若しくは抵抗性でなくてもよい又は第1の植物と異なる1つ若しくは複数の除草剤に抵抗性であってもよい第2の植物と交雑させるステップを含む。第1の植物は、たとえば、除草剤抵抗性のAHASLをコードする本発明の核酸分子の少なくとも1つを含むトランスジェニック植物又は非トランスジェニック植物及びBnCL120C7、BnCL131A1、BnCL140B3、又はBnCL140C7のアブラナ属植物の除草剤抵抗性の特徴を含む非トランスジェニックアブラナ属植物を含む、本発明の除草剤抵抗性の植物のいずれかとすることができる。第2の植物は、第1の植物と交雑させた場合に、成育可能な後代植物(つまり種子)を生産することができる任意の植物とすることができる。典型的には、しかし、必ずではないが、第1及び第2の植物は同じ種とし、同様に、第1及び第2の植物は、異なる種であるが同じ属内の種由来のものとすることができ(例:セイヨウカラシナ×セイヨウアブラナ、セイヨウカラシナ×カブ、セイヨウアブラナ×キャベツ、セイヨウカラシナ×クロガラシなど)、さらに、第1及び第2の植物は異なる属(例:アブラナ属×シロガラシ属)とする。本発明のこの方法によって生産された後代植物は、第1の植物若しくは第2の植物又はその両方と比較した場合、除草剤に対する増加した抵抗性を有する。第1の植物及び第2の植物が異なる除草剤に抵抗性である場合、後代植物は、第1の植物及び第2の植物の組み合わせられた除草剤抵抗性の特徴を有するであろう。本発明の方法は、さらに、第1の交雑の後代植物を、第1又は第2の植物のいずれかと同じ系統又は遺伝子型の植物に戻し交雑した1つ又は複数の世代を含むことができる。その代わりに、第1の交雑又は任意の続く交雑の後代は、第1又は第2の植物のいずれかと異なる系統又は遺伝子型である第3の植物と交雑させることができる。本発明の方法は、加えて、第1の植物、第2の植物、又は第1及び第2の植物の両方の除草剤抵抗性の特徴を含む植物を選択するステップを含むことができる。
【0138】
本発明の植物は、トランスジェニック植物又は非トランスジェニック植物とすることができる。イミダゾリノン除草剤及び/又はスルホニルウレア除草剤に対する増加した抵抗性を有する非トランスジェニックアブラナ属植物の例は、BnCL131A1、BnCL120C7、BnCL140B3、BnCL140C7、若しくはPM1PM2/BnCL131A1のアブラナ属植物又はBnCL131A1、BnCL120C7、BnCL140B3、BnCL140C7、若しくはPM1PM2/BnCL131A1の植物の又はBnCL131A1、BnCL120C7、BnCL140B3、BnCL140C7、若しくはPM1PM2/BnCL131 A1の植物の任意の後代の突然変異体、組換え体、若しくは遺伝子的に操作された誘導体又はこれらの植物の任意の後代である植物又はBnCL131A1、BnCL120C7、BnCL140B3、BnCL140C7、PM1PM2/BnCL131A1の植物の除草剤抵抗性の特徴を含む植物を含む。
【0139】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの核酸分子、発現カセット、又は形質転換ベクターを用いて形質転換された植物、植物器官、植物組織、植物細胞、種子、及び非ヒト宿主細胞をも提供する。そのような形質転換植物、植物器官、植物組織、植物細胞、種子、及び非ヒト宿主細胞は、それぞれ非形質転換植物、植物組織、植物細胞、又は非ヒト宿主細胞を死滅させる又はその成長を阻害する除草剤のレベルで、少なくとも1つの除草剤に対する耐性又は抵抗性が増強している。一例では、本発明の形質転換植物、植物組織、植物細胞、及び種子は、アブラナ属及び作物である。
【0140】
本発明はまた、本発明の方法によって作出される植物から得られる、AHAS阻害性除草剤抵抗性を有する植物を作出することができるAHAS阻害性除草剤耐性の植物の種子を提供する。
【0141】
他の側面では、本発明はまた、除草剤抵抗性の形質を有する種子から成長させた植物から得られたAHAS阻害性除草剤抵抗性を有する植物の種子から成長させた植物並びにそのような植物からの植物の一部分及び組織培養物をも提供する。
【0142】
種子がAHAS阻害性除草剤抵抗性のアブラナ属植物を作出することができる、植物種子の容器もまた本明細書で提供される。種子の容器は、任意の数、重量、又は容量の種子を含有してもよい。たとえば、容器は、少なくとも約10、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000以上の又はそれよりも多数の種子を含有することができる。その代わりに、容器は、少なくとも約1オンス、5オンス、10オンス、1ポンド、2ポンド、3ポンド、4ポンド、5ポンド以上の又はそれよりも多数の種子を含有することができる。
【0143】
植物種子の容器は、当技術分野で入手可能な任意の容器であってもよい。非限定的な例として、容器は、箱、バッグ、小包、小袋、テープロール、バケツ、ホイル、又はチューブであってもよい。
【0144】
他の態様では、種子の容器中に含有される種子は、処理された種子又は未処理の種子とすることができる。一側面では、種子は、たとえば種子を刺激することによって又は種子伝染性の病原菌から防御するための消毒によって、発芽を改善するために処理することができる。他の側面では、種子は、たとえば、栽培可能性、種子出芽、及び種子伝染性の病原菌からの防御を改善するために、任意の入手可能なコーティングを用いてコーティングすることができる。種子コーティングは、ペレッティング、フィルムコーティング、及び外層を含むが、これらに限定されない種子コーティングの任意の形態とすることができる。
【0145】
加えて、アブラナ属植物は、グリホサート、グルホシネート、及び/又はジカンバなどのようなさらなる除草剤に対する抵抗性の組合せなどのような、AHAS阻害剤耐性と組み合わせられた、対象とするさらなる形質(「積み重ねられた形質」又は「形質の積み重ね」とも呼ばれる)を有する植物を生産するために育種方法において使用されてもよい。加えて、アブラナ属植物は、複数のAHAS阻害性除草剤抵抗性をコードする配列を有するアブラナ属植物を排出するために、育種方法に使用されてもよい。また、開示された植物は、Bt遺伝子によって付与されるものなどのような病気抵抗性及び病原菌抵抗性、黒脚病抵抗性などのような、他の農業経済学的に重要な形質と組み合わせたAHAS阻害性除草剤耐性形質を有する植物を生産するために、育種方法において使用されてもよい。
【0146】
育種のための開示される方法は、AHAS阻害性除草剤抵抗性のアブラナ属植物を育種するための方法であって、(a)配列番号23の位置A122に対応する位置での突然変異及び配列番号23の位置S653に対応する位置での突然変異を有する除草剤耐性AHASタンパク質をコードする突然変異誘発核酸分子を含有するアブラナ属植物を第2のアブラナ属植物と交雑させるステップと、(b)交雑から種子を得るステップとを含む方法を提供する。得られた種子は、突然変異誘発核酸分子を含有する種子を同定するためにスクリーニングされてもよい。そのような方法は、交雑の種子からDNAサンプルを得るステップと、突然変異誘発核酸分子の存在又は不在についてサンプルをアッセイするステップとをさらに含んでいてもよい。その代わりに、種子は、除草剤耐性AHAS核酸を発現する種子又は後代を同定するために、AHAS阻害性除草剤耐性についてスクリーニングされてもよい。
【0147】
他の側面では、本発明は、AHAS阻害性除草剤に対する抵抗性を有するアブラナ属植物を生産するための方法であって、(a)第1のアブラナ属系統が本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子を含むAHAS阻害性除草剤抵抗性のアブラナ属植物である場合に、分離集団を生成するために第1のアブラナ属系統を第2のアブラナ属系統と交雑させるステップと、(b)増加したAHAS阻害性除草剤抵抗性について集団をスクリーニングするステップと、(c)野生型アブラナ属植物と比較して増加したAHAS抵抗性を有する集団の1つ又は複数のメンバーを選択するステップとを含む方法を提供する。
【0148】
他の側面では、本発明は、アブラナ属植物の中にAHAS阻害性除草剤抵抗性の形質を遺伝子移入するための方法であって、(a)分離集団を生成するために少なくとも1つの第1のAHAS阻害性除草剤抵抗性アブラナ属系統を第2のアブラナ属系統と交雑させるステップと、(b)増加したAHAS阻害性除草剤抵抗性について集団をスクリーニングするステップと、(c)増加したAHAS阻害性除草剤抵抗性を有する集団の少なくとも1つのメンバーを選択するステップとを含む方法を提供する。
【0149】
その代わりに、本発明の他の側面では、第1の親アブラナ属植物及び第2の親アブラナ属植物の両方は、本明細書で記載されるAHAS阻害性除草剤抵抗性のアブラナ属植物とすることができる。したがって、本明細書で記載される突然変異誘発AHAS核酸分子を有するアブラナ属植物を使用して作出される任意のアブラナ属植物は、本発明の一部分を形成する。本明細書で使用されるように、交雑は、自家受粉、同胞受粉、戻し交雑、他の又は同じ親系統への交雑、集団への交雑、及びその他同種のものを意味することができる。
【0150】
いくつかの態様では、本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子は、操作して、グリホサート又はグルホシネートなどのような第2の除草剤に対する抵抗性を付与する核酸分子と分子を積み重ねることができる。他の態様では、分子の積み重ねは、第3の除草剤に対する耐性を付与する、少なくとも1つのさらなる核酸分子をさらに含む。一態様では、配列は、グルホシネートに対する耐性を付与し、特定の態様では、配列は、patを含む。
【0151】
他の態様では、本発明のアブラナ属植物は、対象とする1つ又は複数の形質を含み、いくつかの態様では、突然変異誘発AHAS核酸分子は、形質の望ましい組合せを有する植物を作り出すために対象とする核酸分子配列の任意の組合せと積み重ねられる。形質は、本明細書で使用されるように、特定の配列又は配列の群に由来する表現型を指す。たとえば、除草剤耐性核酸分子は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒性タンパク質(米国特許第5,366,892号;第5,747,450号;第5,737,514号;第5,723,756号;第5,593,881号;Geiser et al.(1986)Gene 48:109−118;Lee et al.(2003)Appl.Environ.Microbiol.69:4648−4657 (Vip3A);Galitzky et al.(2001)Acta Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.57:1101−1109 (Cry3Bbl);及びHerman et al.(2004)J.Agric.Food Chem.52:2726−2734 (Cry1F))、レクチン(Van Damme et al.(1994)Plant Mol.Biol.24:825−830、ペンチン(米国特許第5,981,722中に記載される)、並びにその他同種のものなどのような農薬性の(pesticidal)及び/又は殺虫性の活性を有するポリペプチドをコードする任意の他の核酸分子と積み重ねられてもよい。生成された組合せはまた、対象とする核酸分子のいずれか1つの複数のコピーをも含むことができる。
【0152】
いくつかの態様では、突然変異誘発AHAS核酸分子は、さらなる改善された特性を有する本発明のアブラナ属植物を作り出すために他の除草剤耐性形質と積み重ねることができる。そのような態様において使用することができる他の除草剤耐性核酸分子は、たとえば、米国特許第5,776,760号及び第5,463,175号中に、より完全に記載されるグリホサートオキシドレダクターゼ酵素をコードする遺伝子などのように、他の作用様式によってグリホサート又はAHAS阻害剤に対する耐性を付与するものを含む。突然変異誘発AHAS核酸分子と組み合わせることができる他の形質は、たとえば、米国特許第6,248,876 B1号;第5,627,061号;第5,804,425号;第5,633,435号;第5,145,783号;第4,971,908号;第5,312,910号;第5,188,642号;第4,940,835号;第5,866,775号;第6,225,114 B1号;第6,130,366号;第5,310,667号;第4,535,060号;第4,769,061号;第5,633,448号;第5,510,471号;Re.36,449;RE 37,287E;及び第5,491,288号;並びに国際公開WO97/04103;WO00/66746;WO01/66704;及びWO00/66747中に、より完全に記載されるように、より高度なレベルの5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSP)を生産するための性能を植物に付与する核酸分子に由来するものを含む。突然変異誘発AHAS核酸分子と組み合わせることができる他の形質は、たとえば、米国特許第5,605,011号;第5,013,659号;第5,141,870号;第5,767,361号;第5,731,180号;第5,304,732号;第4,761,373号;第5,331,107号;第5,928,937号;及び第5,378,824号;並びに国際公開WO96/33270中に、より完全に記載されるように、スルホニルウレア及び/又はイミダゾリノンに対する耐性を付与するものを含む。
【0153】
したがって、AHAS阻害剤耐性の核酸分子などのような、対象とする遺伝子をコードする他の突然変異体又は組換え核酸と組み合わせて(つまり「積み重ねられた」)本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子を含有するアブラナ属植物が提供される。一例では、そのような組合せで使用されてもよいさらなるAHAS阻害剤耐性核酸分子は、たとえば突然変異P197S、A205V、S653N、W574L、及び/又はA122T並びにその組合せ(たとえば二重突然変異AHAS配列又は三重突然変異AHAS配列)を有するAHASタンパク質などのように、野生型AHAS配列と比較して任意の突然変異を含有していてもよい。一例では、位置A122及びS653にアミノ酸突然変異を含む除草剤耐性AHASLタンパク質を位置W574にアミノ酸突然変異を含む他の除草剤耐性AHASLタンパク質及び位置S653にアミノ酸突然変異を含む除草剤耐性AHASLタンパク質と組み合わせるアブラナ属植物が提供される。ATCC受託番号PTA−10321の下で寄託された上述の種子のサンプルである、PM1PM2/BnCL131A1と称するそのような突然変異アブラナ属植物系統の種子もまた、提供される。
【0154】
加えて、AHAS阻害剤耐性の核酸と組み合わせられることとなる突然変異核酸又は組換え核酸は、アブラナ属のいずれかのゲノム上に位置してもよく、ヘテロ接合性又はホモ接合性の積み重ねを生じさせてもよい。したがって、積み重ねに使用するための、対象とする核酸は、本発明の二重突然変異AHAS阻害剤耐性の核酸と同じ又は異なるゲノム上に見つけられてもよい。たとえば、一例として、ヘテロ接合性の積み重ねを生じさせるために「A」ゲノム上に又はホモ接合性の積み重ねを生じさせるために「C」ゲノム上に位置するイミダゾリノン耐性核酸分子と組み合わせて本発明の突然変異誘発AHASを含有するセイヨウアブラナ植物(AACCゲノムを含有する)が、提供される。他の例では、たとえば、ヘテロ接合性の積み重ねを生じさせるために「A」ゲノム上に又はホモ接合性の積み重ねを生じさせるために「B」ゲノム上に位置するイミダゾリノン耐性核酸分子と組み合わせて本発明の突然変異誘発AHASを含有するセイヨウカラシナ植物(AABBゲノムを含有する)が、提供される。他の例では、たとえば、ヘテロ接合性の積み重ねを生じさせるために「A」ゲノム上に位置するイミダゾリノン耐性核酸分子と組み合わせて本発明の突然変異誘発AHASを含有するカブ植物(AAゲノムを含有する)が、提供される。
【0155】
そのようなアブラナ属植物の例は、単一突然変異、W574Lを含有するAゲノム由来のAHASL核酸分子であるPM2(たとえばWO2004/040011を参照されたい)と組み合わせて、いくつかの態様では、単一突然変異S653Nを含有するCゲノム配列由来のAHASL核酸分子であるPM1(たとえばWO2004/040011を参照されたい)とさらに組み合わせて、本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子を含有するセイヨウアブラナ植物を含む。他の例は、単一突然変異S653Nを含有するBゲノム由来のAHASL核酸分子であるbRと組み合わせて本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子を含有するセイヨウカラシナ植物を含む(たとえば米国特許公開第2005/0283858号及び第2009/0013424号)。他の例は、PM1と組み合わせて本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子を含有するアブラナ属植物を含む。
【0156】
いくつかの態様では、AHAS阻害剤耐性の核酸の組合せは、相加効果又は相乗効果などのような、AHAS阻害剤に対する任意のレベルの耐性を提供してもよい。
【0157】
いくつかの態様では、突然変異誘発AHAS核酸分子は、たとえば、パラ−ヒドロキシフェニルピルビン酸(HPP)がホモゲンチジン酸に変換される反応を触媒する酵素であるヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼと積み重ねられてもよい。ホモゲンチジン酸へのHPPの変換を阻害するためにこの酵素を阻害し、酵素に結合する分子は、除草剤として有用である。植物における、そのような除草剤に対する耐性を付与する形質は、米国特許第6,245,968 B1号;第6,268,549号;及び第6,069,115号;並びに国際公開WO99/23886中に記載される。突然変異誘発AHAS配列と積み重ねることができる好適な除草剤耐性形質の他の例は、アリルオキシアルカノエートジオキシゲナーゼ核酸分子(たとえばWO2005/107437中に記載されるように、報告によれば、2,4−D及び他のフェノキシオーキシン除草剤並びにアリールオキシフェノキシプロピオン酸除草剤に対する耐性を付与する)並びにたとえばHerman et al.(2005)J.Biol.Chem.280:24759−24767中に記載されるジカンバ耐性核酸分子を含む。
【0158】
本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子と組み合わせることができる除草剤耐性形質の他の例は、米国特許第5,969,213号;第5,489,520号;第5,550,318号;第5,874,265号;第5,919,675号;第5,561,236号;第5,648,477号;第5,646,024号;第6,177,616号;及び第5,879,903号中に記載されるように、外因性ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子によって付与されるものを含む。外因性ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼを含有している植物は、酵素グルタミンシンターゼを阻害するグルホシネート除草剤に対する改善された耐性を示すことができる。突然変異誘発AHAS配列と組み合わせることができる除草剤耐性形質の他の例は、米国特許第6,288,306 B1号;第6,282,837 B1号;及び第5,767,373号;並びに国際公開WO01/12825中に記載されるように、改変されたプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(protox)活性を付与する核酸分子によって付与されたものを含む。そのような核酸分子を含有する植物は、protox酵素を標的とする様々な除草剤(「protox阻害剤」とも呼ばれる)のいずれかに対して改善された耐性を示すことができる。
【0159】
突然変異誘発AHAS核酸分子と組み合わせることができる除草剤耐性遺伝子の他の例は、ジカンバ除草剤に対する耐性を付与する遺伝子を含む。そのような遺伝子は、当技術分野で知られており、たとえば米国特許第7,022,896号及び米国特許公開第2008/0015110号において記載されている。
【0160】
本発明の突然変異誘発AHAS核酸分子と組み合わせることができる除草剤耐性形質の他の例は、たとえばアブラナ属植物などのような植物において少なくとも1つの除草剤に対する耐性を付与するものを含む。除草剤耐性アブラナ属植物は、特定の除草剤に対してそれらの耐性が異なる植物であるが、当技術分野で知られている。たとえば米国特許第5,627,061号を参照されたい。これらの耐性を担う形質(単数又は複数)は、本発明の植物及びその使用の方法を提供するために、育種によって又は突然変異誘発AHAS核酸分子を用いる、トランスジェニックなどのような他の方法を介して組み合わせることができる。
【0161】
突然変異誘発AHAS核酸分子はまた、高度な含油量(たとえば米国特許第7,238,856号;第7,268,276号)、アミノ酸組成、タンパク質含有量、改善された消化率、又は改変された脂肪酸組成物などのような動物用飼料について望ましい形質を含むが、これらに限定されない様々な望ましい形質の組合せをさらに含む、本発明の植物を生産するための、少なくとも1つの他の形質と組み合わせることもできる。
【0162】
突然変異誘発AHAS核酸分子はまた、たとえば非病原性遺伝子及び耐病性遺伝子などのような他の望ましい形質(Jones et al.(1994)Science 266:789−793;Martin et al.(1993)Science 262:1432−1436;Mindrinos et al.(1994)Cell 78:1089−1099)並びに処理又は変性油(たとえば脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子(米国特許第5,952,544号;WO94/11516))並びにポリマー又はバイオプラスチック(たとえば米国特許第5,602,321号;ベータ−ケトチオラーゼ、ポリヒドロキシ酪酸シンターゼ、及びアセトアセチルCoAレダクターゼ(Schubert et al.(1988)J.Bacteriol.170:5837−5847)は、ポリ水酸化アルカノエート(PHA)の発現を促進する)などのような処理及び処理産物に望ましい形質と組み合わせることができる。また、任意の農業形質を提供する核酸分子と除草剤耐性核酸分子を組み合わせることもできる。
【0163】
積み重ねられた組合せは、任意の知られている方法論又は遺伝子形質転換又は組合せによって植物を育種することを含むが、これらに限定されない任意の方法によって作り出すことができる。配列が植物を遺伝的に形質転換することによって積み重ねられる場合、対象とする核酸分子配列は、いつでも任意の順序で組み合わせることができる。形質は、形質転換カセットの任意の組合せによって提供される、対象とする核酸分子を用いて同時形質転換プロトコールにおいて同時に導入することができる。たとえば、2つの配列が導入される場合、2つの配列は、別個の形質転換カセット(トランス)中に含有することができる又は同じ形質転換カセット(シス)上に含有することができる。配列の発現は、同じプロモーター又は異なるプロモーターによって駆動することができる。ある場合には、対象とする核酸分子の発現を抑制するであろう形質転換カセットを導入することが望ましい。これは、植物における形質の望ましい組合せを産生するために、他の抑制カセット又は過剰発現カセットの任意の組合せで組み合わせられてもよい。部位特異的組換え系を使用して、望ましいゲノムの位置で核酸分子を積み重ねることができることがさらに認識される。たとえば、すべてが参照によって本明細書に組み込まれるWO99/25821、WO99/25854、WO99/25840、WO99/25855、及びWO99/25853を参照されたい。
【0164】
検出方法
後代及び誘導体を含む、突然変異誘発AHAS核酸分子及び突然変異誘発AHASポリペプチドを含む植物を同定するための方法及び組成物もまた提供される。そのような方法は、任意の生物学的物質中にそのような突然変異誘発配列を含有する植物を同定する及び/又は検出するのに使用される。そのような方法は、たとえば、種子純度を確証するための方法及び本発明の突然変異誘発配列について種子ロット中の種子をスクリーニングするための方法を含む。一態様では、生物学的サンプル中の突然変異誘発AHAS配列を同定するための方法が、提供され、生物学的サンプル並びに突然変異誘発AHAS核酸分子を増幅することができる第1の核酸プライマー及び第2の核酸プライマーの混合物を形成するステップと、第1の核酸プライマー及び第2の核酸プライマーが突然変異誘発AHAS核酸分子を増幅することを可能にする条件下で混合物を反応させるステップと、増幅された突然変異誘発AHAS配列核酸分子の存在又は不在を検出するステップとを含む。
【0165】
増幅核酸分子(増幅産物)は、突然変異誘発AHAS配列の検出を可能にする任意の長さとすることができる。たとえば、増幅産物は、約10、50、100、200、300、500、700、100、2000、3000、4000、5000ヌクレオチド長以上とすることができる。
【0166】
生物学的サンプル中の突然変異誘発AHAS配列を同定する又は検出するための方法であって、アブラナ属DNAを有する生物学的サンプル及び突然変異誘発核酸分子とハイブリダイズすることができる核酸分子プローブを含有する混合物を形成するステップと、核酸分子プローブが突然変異誘発AHAS核酸分子とハイブリダイズすることを可能にする条件下で混合物を反応させるステップと、核酸分子プローブがサンプル中の突然変異誘発AHAS核酸分子とハイブリダイズしたかどうかを検出するステップとを含み、ハイブリダイゼーションの存在が、突然変異誘発AHAS核酸分子の存在を示す方法もまた提供される。
【0167】
トランスジェニック
本発明はまた、本発明のAHASLヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸構築物を用いて植物を形質転換するステップを含む、植物のAHAS活性を増加させるための方法を提供する。方法は、少なくとも1つの植物細胞に本発明の核酸構築物を導入するステップと、形質転換植物をそれから再生するステップとを含む。核酸構築物は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド、具体的には、図3及び4中に示されるBN02−120又はBN02−131のヌクレオチド配列並びにその断片及び変異体を含む。方法は、植物細胞中で遺伝子発現を駆動することができるプロモーターの使用をさらに含む。一態様では、そのようなプロモーターは、構成的なプロモーター又は組織にとって好ましいプロモーターである。この方法によって生産される植物は、非形質転換植物と比較した場合に、増加されたAHAS活性、具体的には除草剤耐性のAHAS活性を含む。したがって、方法は、AHAS酵素の触媒活性に干渉する少なくとも1つの除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤に対する植物の抵抗性を増強する又は増加させる際に使用される。
【0168】
一例では、除草剤抵抗性の植物を作出するための方法は、植物細胞中で発現を駆動するプロモーターに作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む核酸構築物を用いて植物細胞を形質転換するステップと、上述の形質転換植物細胞から形質転換植物を再生するステップとを含む。ヌクレオチド配列は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列、具体的には、図3及び4中に示されるBN02−120又はBN02−131のヌクレオチド配列、並びにその断片及び変異体から選択される。この方法によって生産される除草剤抵抗性の植物は、非形質転換植物と比較して、少なくとも1つの除草剤、具体的にはたとえばイミダゾリノン除草剤又はスルホニルウレア除草剤などのような、AHAS酵素の活性に干渉する除草剤に対して増強された抵抗性を含む。
【0169】
除草剤抵抗性及び雑草コントロール
本発明のAHAS阻害性除草剤抵抗性の植物は、雑草をコントロールするための方法での使用を見出す。したがって、本発明は、本発明のAHASL核酸分子を含む、アブラナ属植物などの除草剤抵抗性の植物の近くの雑草をコントロールするための方法をさらに提供する。方法は、雑草及び除草剤抵抗性の植物に有効量のAHAS阻害性除草剤を適用するステップを含み、植物は、野生型植物と比較した場合に、少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤、たとえばイミダゾリノン除草剤又はスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性を有する。本発明の核酸配列を有する任意の植物を、そのような方法において使用することができる。一態様では、本発明の除草剤抵抗性の植物は、セイヨウアブラナ、カブ、及びセイヨウカラシナを含むが、これらに限定されないアブラナ属作物である。
【0170】
AHAS阻害性除草剤、たとえばイミダゾリノン除草剤及びスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性が増加している植物を提供することによって、種々様々の配合物は、植物の成長を増強し、栄養分についての競争を低下させるために、雑草から植物を防御するために使用することができる。除草剤は、本明細書で記載される植物の周囲のエリアの雑草の、出芽前、出芽後完熟前、栽培前、及び栽培時のコントロールのために単独で使用することができる又は他の添加剤を含有するAHAS阻害性除草剤配合物を使用することができる。除草剤はまた、種子の処理として使用することもできる。有効濃度若しくは有効量の除草剤又は有効濃度若しくは有効量の除草剤を含む組成物は、種子の播種前に又はその間に種子に直接適用することができる。AHAS阻害性除草剤の配合物又は組成物中に見つけられる添加剤は、他の除草剤、洗浄剤、補助剤、展着剤、固着剤、安定化剤、又はその他同種のものを含む。除草剤配合物は、湿性調製物又は乾燥調製物とすることができ、流動性粉末、乳化性濃縮物、及び液体濃縮物を含むことができるが、これらに限定されない。除草剤及び除草剤配合物は、たとえば、噴霧、灌漑、散布、コーティング、及びその他同種のものによって、従来の方法に従って適用することができる。
【0171】
本明細書で提供される方法において使用するためのAHAS阻害性除草剤は、種子の処理、土壌の処理、及び葉面の処理を含むが、これらに限定されない当技術分野で知られている任意の方法によって適用することができる。
【0172】
本発明は、AHAS酵素の活性に干渉する少なくとも1つの除草剤に対する植物、植物組織、植物細胞、又は他の宿主細胞の耐性又は抵抗性を増強するための方法を提供する。好ましくは、そのようなAHAS阻害性除草剤は、イミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン除草剤、又はそれらの混合物である。より好ましくは、そのような除草剤は、イミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、又はそれらの混合物である。本発明について、イミダゾリノン除草剤は、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル(Imazethapyr))、CADRE(登録商標)(イマザピック)、RAPTOR(登録商標)(imazamox)、SCEPTER(登録商標)(イマザキン(imazaquin))、ASSERT(登録商標)(イマゼサベンズ(imazethabenz))、ARSENAL(登録商標)(イマザピル)、前述の除草剤のいずれかの誘導体、2つ以上の前述の除草剤の混合物、たとえばイマザピル/imazamox(ODYSSEY(登録商標))を含むが、これらに限定されない。より具体的には、イミダゾリノン除草剤は、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸、[2−(4−イソプロピル)−4−][メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン]酸、[5−エチル−2−(4−イソプロピル−]4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−]イミダゾリン−2−イル)−5−メチルニコチン酸、並びにメチル[6−(4−イソプロピル−4−]メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−m−トルイル酸及びメチル[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−]オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−p−トルイル酸の混合物から選択することができるが、これらに限定されない。5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸及び[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−]イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸の使用は好ましい。[2−(4−イソプロピル−4−]メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸の使用は特に好ましい。
【0173】
本発明について、スルホニルウレア除草剤は、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメツルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、プリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン(amidosulfluon)、フルザスルフロン(fluzasulfuron)、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ハロスルフロン、アジムスルフロン、シクロスルフロン(cyclosulfuron)、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロンメチル、ホラムスルフロン、ヨードスルフロン、オキサスルフロン、メソスルフロン、プロスルフロン、スルホスルフロン、トリフロキシスルフロン、トリトスルフロン、前述の除草剤のいずれかの誘導体、及び2つ以上の前述の除草剤の混合物を含むが、これらに限定されない。本発明のトリアゾロピリミジン除草剤は、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、及びペノキススラムを含むが、これらに限定されない。本発明のピリミジニルオキシベンゾエート除草剤は、ビスピリバック、ピリチオバック、ピリミノバック、ピリベンゾキシム、及びピリフタリドを含むが、これらに限定されない。スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン除草剤は、フルカルバゾン及びプロポキシカルバゾンを含むが、これらに限定されない。
【0174】
ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤は、ピリミジニルチオベンゾエート除草剤と密接に関係し、Weed Science Society of Americaによって後者の名称の見出し語で普及していることが認識されている。したがって、本発明の除草剤は、上記に記載されるピリミジニルオキシベンゾエート除草剤を含むが、これに限定されないピリミジニルチオベンゾエート除草剤をさらに含む。
【0175】
本発明はまた、開示されるアブラナ属植物への適用のための農業用組成物を提供する。そのような組成物は、除草剤、殺真菌剤、殺菌剤、肥料、及びその他同種のものを含んでいてもよい。一態様では、農業用組成物は、1つ若しくは複数の除草剤又は殺真菌剤、殺菌剤、肥料、及びその他同種のものなどのような他の農業用組成物との1つ若しくは複数の除草剤の組合せを含む除草性組成物である。
【0176】
任意の除草剤は、作物、作物の一部、又は本発明のAHAS阻害剤耐性の核酸配列を含有するアブラナ属植物を含有する栽培のエリアに適用することができる。除草剤の分類(つまりクラス及びサブクラスへの除草剤のグループ分け)は、当技術分野においてよく知られており、HRAC(Herbicide Resistance Action Committee)及びWSSA(Weed Science Society of America)による分類を含む。HRAC分類は、たとえば、ウェブサイトhracglobal.com/Publications/Classificationof HerbicideModeofAction/tabid/222/Default.aspxで世界中で入手可能である。
【0177】
いくつかの態様では、本発明は、イミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン除草剤、及びそれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1つのAHAS阻害性除草剤の使用を含む方法を提供する。これらの方法では、AHAS阻害性除草剤は、種子の処理、土壌の処理、及び葉面の処理を含むが、これらに限定されない当技術分野で知られている任意の方法によって適用することができる。
【0178】
いくつかの態様では、AHAS阻害性除草剤は、さらなる除草剤、殺真菌剤、殺菌薬、抗ウイルス組成物、又はその組合せなどのような1つ又は複数のさらなる農業用組成物と組み合わせることができる。組合せで使用されるさらなる除草剤は、スルファミド除草剤、有機リン系除草剤、及びベンゾチアジアジノン(benzothiadiazinone)除草剤を含む任意の除草剤を含む。スルファミド除草剤は、サフルフェナシルを含むが、これに限定されない。有機リン系除草剤は、グリホサート及びグルホシネートを含むが、これらに限定されない。ベンゾチアジアジノン除草剤は、ベンタゾンを含むが、これに限定されない。そのような組合せで使用される殺真菌剤は、ピラクロストロビンを含むが、これらに限定されない。
【0179】
プロトポルフィリノーゲン[IX]オキシダーゼ(PPO)阻害性除草剤はまた、本発明の組成物に使用される。PPO阻害性除草剤は、当技術分野において知られており、アシフルオルフェン(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]2−ニトロ安息香酸)、ビフェノックス(メチル5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロベンゾエート)、DPEI(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ニトロアセトフェノンオキシム−o−(酢酸、メチルエステル))、DPEII(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−3−メトキシフタリド)、エトキシフェン((1S)−1−カルボキシエチル−2−クロロ−5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゾエート)、フォメサフェン(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−(メチルスルホニル)−2−ニトロベンズアミド)、ラクトフェン(エチル0−[5−(2−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリルオキシ)−2−ニトロベンゾイル]−DL−ラクテート)、及びオキシフルオルフェン(2−クロロ−1−(3−エトキシ−4−ニトロフェノキシ)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン)などのようなジフェニルエーテル除草剤(ニトロフェニルエーテル除草剤を含む)を含むが、これらに限定されない。PPO阻害性除草剤はまた、N−フェニル−フタルイミドフルミクロラック([2−クロロ−5−(シクロヘキサ−1−エン−1,2−ジカルボキシイミド)−4−フルオロロフェノキシ]酢酸)、フルミオキサジン(N−(7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−プロプ−2−イニル−2H−1,4−ベンズオキサジン−6−イル)シクロヘキサ−1−エン−1,2−ジカルボキサミド)などのようなジカルボキシイミド除草剤をも含む。PPO阻害性除草剤は、カルフェントラゾン(α,2−ジクロロ−5−[4−(ジフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3−メチル−5−オキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]−4−フルオロベンゼンプロパン酸)及びスルフェントラゾン(N−[2,4−ジクロロ−5−[4−(ジフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3−メチル−5−オキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]フェニル]メタンスルホンアミド)などのようなトリアゾリノン除草剤をさらに含む。PPO阻害性除草剤はまた、ニピラクロフェン(1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−アミン)及びピラフルフェン(2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチルピラゾール−3−イル)−4−フルオロフェノキシ酢酸)を含むが、これらに限定されないフェニルピラゾール除草剤をも含む。PPO阻害性除草剤はまた、オキサジアゾン(3−[2,4−ジクロロ−5−(1−メチルエトキシ)フェニル]−5−(1,1−ジメチルエチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)及びオキサジアルギル(5−tert−ブチル−3−[2,4−ジクロロ−5−(プロプ−2−イニルオキシ)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)などのようなオキサジアゾロン除草剤をも含む。PPO阻害性除草剤は、フルチアセット([[2−クロロ−4−フルオロ−5−[(テトラヒドロ−3−オキソ−1H,3H−[1,3,4]チアジアゾロ[3,4−a]ピリダジン−1−イリデン)アミノ]フェニル]チオ]酢酸)並びにZagar及びSievernichに対するUS2008254985(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)のIII.4部中に記載されるものなどのようなチアジアゾロン除草剤をさらに含む。
【0180】
オーキシン除草剤もまた、本発明の組成物中に使用される。オーキシン除草剤は、その作用様式がオーキシン模倣物又はオーキシン阻害剤(抗オーキシン)としてのものである除草性活性成分を含むものを含む。オーキシン除草剤の例は、ピクロラム(4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸);ジカンバ(3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸);クロフィブリン酸((p−クロロフェノキシ)イソ酪酸);2−(4−クロロフェノキシ)−2−メチルプロパン酸;ベナゾリン(4−クロロ−2−オキソ−3−ベンゾチアゾール酢酸;4−クロロ−2−オキソベンゾチアゾリン−3−イル酢酸);TIBA(2,3,5−トリヨード安息香酸);2,3,6−TBA(2,3,6−トリクロロ安息香酸);トリクロピル(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルオキシ酢酸);キンクロラック(3,7−ジクロロキノリン−8−カルボン酸);並びにオーキシン模倣フェノキシ除草剤又はオーキシンブロッキングフェノキシ除草剤、たとえば、2,4−D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)、MCPA((4−クロロ−2−メチルフェノキシ)酢酸)、2,4−DB(4−(2,4−ジクロロフェノキシ)酪酸)、2,4−DEP(tris[2−(2,4−ジクロロフェノキシ)エチル]リン酸)、4−CPA(4−クロロフェノキシ酢酸)、2,4,5−T((2,4,5−トリクロロフェノキシ)酢酸)、ジクロルプロプ(2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロパン酸)、フェノプロプ(2−(2,4,5−トリクロロフェノキシ)プロパン酸)、及びメコプロプ(2−(2−メチル−4−クロロ−フェノキシ)プロピオン酸)を含むフェノキシ酢酸除草剤、フェノキシプロピオン酸除草剤、及びフェノキシブチル酸除草剤を含むが、これらに限定されない。
【0181】
本発明の農業用組成物の組合せの例は、イマザピル及びイマザピック;イマザピル及びベンタゾン;イマザピル、イマザピック、及びベンタゾン;イマザピル及びピラクロストロビン;イマザピル、イマザピック、及びピラクロストロビン;イマザピル及びサフルフェナシル;イマザピル、イマザピック、及びサフルフェナシル;イマザピック、サフルフェナシル、及びグリホサート;イマザピル、イマザピック、サフルフェナシル、及びグリホサート;イマザピック及びグリホサート;イマザピル及びグリホサート;イマザピル、サフルフェナシル、及びグリホサート;並びにサフルフェナシル及びグリホサートを含む。
【0182】
適用前に、AHAS阻害性除草剤は、通例の配合物、たとえば溶液、乳濁液、懸濁液、粉体、粉末、ペースト、及び顆粒に変換することができる。使用形態は、特定の意図される目的に依存し、それぞれの場合で、本発明による化合物の細かく均一な分散を確実にするべきである。
【0183】
配合物は、たとえば、溶媒及び/又はキャリヤー、望ましい場合、乳化剤、界面活性剤及び分散剤、防腐剤、消泡剤、凍結防止剤、種子の処理の配合のために、さらに任意選択で着色剤及び/又は結合剤及び/又はゲル化剤などのような農薬の配合に適した助剤を用いて活性化合物を増量することによって知られている様式で調製され得る(たとえば、検討のために、米国特許第3,060,084号、EP−A 707445(液体濃縮物について)、Browning、「凝集(Agglomeration)」、Chemical Engineering、1967年12月4日、147〜48ページ、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook、第4版、McGraw−Hill、New York、1963年、8〜57ページを参照、並びに以下を参照のこと。国際公開第91/13546号、米国特許第4,172,714号、米国特許第4,144,050号、米国特許第3,920,442号、米国特許第5,180,587号、米国特許第5,232,701号、米国特許第5,208,030号、英国特許第2,095,558号、米国特許第3,299,566号、Klingman、Weed Control as a Science、John Wiley及びSons,Inc.、New York、1961年、Hanceら、Weed Control Handbook、第8版、Blackwell Scientific Publications、Oxford、1989年、及びMallet,H.、Grubemann,A.、Formulation technology、Wiley VCH Verlag GmbH、Weinheim(Germany)、2001年、2.、D.A.Knowles、Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations、Kluwer Academic Publishers、Dordrecht、1998年(ISBN 0−7514−0443−8))。
【0184】
配合物中に使用される好適な溶媒の例は、水、芳香族溶媒(たとえばSolvesso産物、キシレン)、パラフィン(たとえば鉱油画分)、アルコール(たとえばメタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(たとえばシクロヘキサノン、ガンマ−ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、アセテート(二酢酸グリコール)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸、及び脂肪酸エステルを含む。溶媒混合物もまた使用することができる。
【0185】
本発明の配合物中に使用される適したキャリヤーの例は、粉砕された天然鉱物(たとえばカオリン、粘土、タルク、チョーク)及び粉砕された合成鉱物(たとえば高度に分散させたシリカ、ケイ酸)を含む。
【0186】
本発明の配合物中に使用される好適な乳化剤は、非イオン性乳化剤及び陰イオン性乳化剤(たとえばポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、スルホン酸アルキル、及びアリールスルホン酸)を含む。
【0187】
本発明の配合物中に使用される分散剤の例は、リグニン−亜硫酸パルプ廃液及びメチルセルロースを含む。
【0188】
本発明の配合物中に使用される好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、脂肪族アルコールスルホン酸、脂肪酸、及び硫酸化脂肪族アルコールグリコールエーテルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩、そのうえ、ホルムアルデヒドとのスルホン化ナフタレン及びナフタレン誘導体の縮合物、フェノール及びホルムアルデヒドとのナフタレン又はナフタレンスルホン酸の縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリールフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪族アルコールエチレンオキシド縮合物、エトキシ化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシ化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液、並びにメチルセルロースを含む。
【0189】
直接噴霧することができる溶液、乳濁液、ペースト、又は油分散液の調製に適した物質は、灯油又はディーゼル油などのような中〜高沸点の鉱油画分、そのうえコールタール油及び植物又は動物起原の油、脂肪族炭化水素、環状炭化水素、及び芳香族炭化水素、たとえばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン、又はそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、高極性溶媒、たとえばジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、又は水である。
【0190】
さらに、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのような凍結防止剤及びなどのような殺菌剤は、配合物に追加することができる。
【0191】
本発明の配合物中に使用される好適な消泡剤は、たとえば、ケイ素又はステアリン酸マグネシウムをベースとする消泡剤を含む。
【0192】
本発明の配合物中に使用される好適な防腐剤は、たとえば、ジクロロフェノール及びベンジルアルコールヘミホルムアルデヒドを含む。
【0193】
本発明の種子の処理配合物は、加えて、結合剤及び任意選択で着色剤を含んでもよい。
【0194】
結合剤は、処理の後の種子上への活性物質の付着を改善するために、開示される種子の配合物に追加することができる。適した結合剤は、ブロックコポリマーEO/PO界面活性剤であるが、適した結合剤はまた、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)、Polymin(登録商標)、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、チロース、及びこれらのポリマーに由来するコポリマーでもある。
【0195】
任意選択で、着色剤もまた配合物中に含むことができる。種子の処理配合物に適した着色剤又は染料は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0196】
適したゲル化剤の例は、ヤハズツノマタ(Satiagel(登録商標))である。
【0197】
粉末、展着のための物質、及び散布することができる産物は、固体キャリヤーと活性物質を混合する又は同時に粉砕することによって調製することができる。
【0198】
顆粒、たとえばコーティングした顆粒、浸透性の顆粒、及び均質の顆粒は、活性化合物を固体キャリヤーに結合することによって調製することができる。固体キャリヤーの例は、シリカゲル、ケイ酸、タルク、カオリン、アタクレイ(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、ボール、黄土、粘土、ドロマイト、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどのような土類鉱物、粉砕された合成物質、たとえば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、並びに穀物粗びき粉、樹皮粗びき粉、木粗びき粉、及び堅果殻粗びき粉などのような植物起原の産物などのような肥料、セルロース粉末、並びに他の固体キャリヤーである。
【0199】
一般に、配合物は、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%のAHAS阻害性除草剤を含む。この場合、AHAS阻害性除草剤は、90重量%〜100重量%、好ましくは95重量%〜100重量%の純度で使用される(NMRスペクトルによる)。種子の処理の目的のために、それぞれの配合物は、2〜10倍に希釈することができ、活性化合物重量で0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の使用準備済の調製物の濃度をもたらす。
【0200】
AHAS阻害性除草剤は、それ自体、それらの配合物の形態又はそれから調製される使用形態で、たとえば、直接噴霧することができる溶液、粉末、懸濁液若しくは分散液、乳濁液、油分散液、ペースト、散布することができる産物、展着のための物質、又は顆粒の形態で、噴霧、微粒化、散布、展着、又は注入の手段によって使用することができる。使用形態は、もっぱら、意図される目的に依存し、それらは、それぞれの場合で、本発明によるAHAS阻害性除草剤の可能な限り細かい分散を確実にすることが意図される。
【0201】
水性の使用形態は、水を追加することによって、乳濁液濃縮物、ペースト、又は水和剤(噴霧することができる粉末、油分散液)から調製することができる。乳濁液、ペースト、又は油分散液を調製するために、物質それ自体又は油若しくは溶媒中で溶解された物質は、湿潤剤、粘着剤、分散剤、又は乳化剤の手段によって水中で均質化することができる。しかし、活性物質、湿潤剤、粘着剤、分散剤、又は乳化剤及び適切な場合、溶媒又は油から構成される濃縮物を調製することもまた可能であり、そのような濃縮物は、水を用いる希釈に適している。
【0202】
使用準備済の調製物の活性化合物濃度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、それらは、重量当たり0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。
【0203】
AHAS阻害性除草剤はまた、極微量のプロセス(ULV)で上手く使用することができ、95重量%を超える活性化合物を含む配合物を適用することが可能である又は添加剤のない活性化合物を適用することが可能である。
【0204】
下記は、配合物の例である。
1.葉面適用のための、水を用いる希釈のための産物。種子の処理の目的のために、そのような産物は、希釈して又は希釈せずに種子に適用することができる。
A)水溶性濃縮物(SL、LS)
10重量部のAHAS阻害性除草剤は、90重量部の水又は水溶性溶媒中に溶解される。代替として、湿潤剤又は他の助剤が追加される。AHAS阻害性除草剤は、水を用いる希釈に際して溶解し、それによって、10%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
B)分散性濃縮物(DC)
20重量部のAHAS阻害性除草剤は、10重量部の分散剤、たとえばポリビニルピロリドンの追加と共に、70重量部のシクロヘキサノン中に溶解される。水を用いる希釈によって分散液が生じ、それによって、20%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
C)乳化性濃縮物(EC)
15重量部のAHAS阻害性除草剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合で、5重量部)の追加と共に、7重量部のキシレン中に溶解される。水を用いる希釈によって乳濁液が生じ、それによって、15%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
D)乳濁液(EW、EO、ES)
25重量部のAHAS阻害性除草剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合で、5重量部)の追加と共に、35重量部のキシレン中に溶解される。この混合物は、乳化機(たとえばUltraturrax)の手段によって30重量部の水の中に投入され、均質の乳濁液になる。水を用いる希釈によって乳濁液が生じ、それによって、25%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
E)懸濁液(SC、OD、FS)
激しく動かされるボールミル中で、20重量部のAHAS阻害性除草剤は、10重量部の分散剤、湿潤剤、及び70重量部の水又は有機溶媒の追加と共に粉末にされて、細かいAHAS阻害性除草剤懸濁液が生じる。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な懸濁液が生じ、それによって、20%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
F)水分散性顆粒及び水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部のAHAS阻害性除草剤は、50重量部の分散剤及び湿潤剤の追加と共に、細かく粉砕され、専門的な装置の手段によって(たとえば押出成形、噴霧塔、流動層)、水分散性顆粒又は水溶性顆粒として作製される。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な分散液又は溶液が生じ、それによって、50%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
G)水分散性粉末及び水溶性粉末(WP、SP、SS、WS)
75重量部のAHAS阻害性除草剤は、25重量部の分散剤、湿潤剤、及びシリカゲルの追加と共にローターステーターミル(rotor−stator mill)中で粉砕される。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な分散液又は溶液が生じ、それによって、75%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
I)ゲル配合物(GF)
激しく動かされるボールミル中で、20重量部のAHAS阻害性除草剤は、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤湿潤剤、及び70重量部の水又は有機溶媒の追加と共に粉末にされ、細かいAHAS阻害性除草剤懸濁液が生じる。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な懸濁液が生じ、それによって、20%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。このゲル配合物は、種子の処理としての使用に適している。
2.葉面適用のために希釈されずに適用される産物。種子の処理の目的のために、そのような産物は、希釈して種子に適用することができる。
A)散布することができる粉末(DP、DS)
5重量部のAHAS阻害性除草剤は、細かく粉砕され、95重量部の細かく分けられたカオリンとよく混合される。これにより、5%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する、散布することができる産物が生じる。
B)顆粒(GR、FG、GG、MG)
2分の1重量部のAHAS阻害性除草剤は、細かく粉砕され、95.5重量部のキャリヤーと結合し、それによって、0.5%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。現行の方法は、押出成形、噴霧乾燥、又は流動層である。これによって、葉の使用のために希釈されずに適用される顆粒が生じる。
【0205】
従来の種子の処理のための配合物は、たとえば流動性濃縮物FS、溶液LS、乾燥処理のための粉末DS、スラリー処理のための分散性水WS、水溶性粉末SS及び乳濁液ES及びEC及びゲル配合物GFを含む。これらの配合物は、希釈して又は希釈せずに種子に適用することができる。種子への適用は、播種の前に、種子上に直接実行される。
【0206】
一態様では、FS配合物は、種子の処理に使用される。典型的には、FS配合物は、1〜800g/lの活性成分、1〜200g/lの界面活性剤、0〜200g/lの凍結防止剤、0〜400g/lの結合剤、0〜200g/lのピグメント、及び1リットルまでの溶媒、好ましくは水を含んでもよい。
【0207】
本発明は、本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物の非トランスジェニック種子及びトランスジェニック種子を提供する。そのような種子は、たとえば、BnCL120C7又はBnCL131A1の植物の除草剤抵抗性の特徴を含む非トランスジェニックアブラナ属種子及び除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードする本発明の核酸分子を含むトランスジェニック種子を含む。
【0208】
種子の処理について、本発明による除草剤抵抗性の植物の種子は、除草剤、好ましくは、アミドスルフロン(amidosulfluon)、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、imazamox、イマザピック、イマザピル、イマザキン(imazaquin)、イマゼタピル(Imazethapyr)、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノキススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリチオバック、及びそれらの混合物又はAHAS阻害性除草剤を含む配合物との混合物などのようなAHAS阻害性除草剤から成る群から選択される除草剤を用いて処理される。
【0209】
種子の処理という用語は、種子ドレッシング、種子コーティング、種子散布、種子浸漬、及び種子ペレッティングなどのような当技術分野で知られている好適な種子の処理の技術をすべて含む。
【0210】
本発明の一変形に従って、本発明のさらなる主題は、具体的には種まき機の中への適用によって土を処理するための方法である:顆粒状配合物のいずれも、任意選択で1つ若しくは複数の固体若しくは液体の農学的に許容できるキャリヤーと共に及び/又は任意選択で1つ若しくは複数の農学的に許容できる界面活性剤と共に、組成物/配合物、たとえば顆粒状配合物としてAHAS阻害性除草剤を含有する。この方法は、たとえば、穀物、トウモロコシ、ワタ、及びヒマワリの苗床中に有利に使用される。
【0211】
本発明はまた、アミドスルフロン(amidosulfluon)、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、imazamox、イマザピック、イマザピル、イマザキン(imazaquin)、イマゼタピル(Imazethapyr)、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノキススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、及びピリチオバックから成る群から選択される少なくとも1つのAHAS阻害剤を含む種子の処理の配合物を用いてコーティングされた又はそれを含有する種子をも含む。
【0212】
「種子」という用語は、完全な種子、種子片、吸根、球茎、鱗茎、果実、塊茎、穀粒、さし木、カットした苗条、及びその他同種のものを含むが、これらに限定されないすべての種類の種子及び植物珠芽を包含し、好ましい態様では完全な種子を意味する。
【0213】
「コーティングされ、且つ/又は含有する」という用語は、一般的に、活性成分が、適用の方法に依存して、多かれ少なかれ、繁殖産物の中に浸透する可能性があるが、活性成分は、大部分は、適用の時に繁殖産物の表面上にあることを表す。繁殖産物が(再)栽培される場合、それは活性成分を吸収してもよい。
【0214】
AHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤を含む配合物を用いる種子の処理の適用は、植物の播種及び植物の出芽の前に種子に噴霧する又は散布することによって実行される。
【0215】
種子の処理では、対応する配合物は、有効量のAHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤を含む配合物を用いて種子を処理することによって適用される。本明細書で、適用量は、一般的に、100kgの種子当たり、0.1g〜10kgのa.i(又はa.i.若しくは配合物の混合物)、好ましくは、100kgの種子当たり、1g〜5kg、具体的には、100kgの種子当たり、1g〜2.5kgである。レタスなどのような特定の作物については、量はより高くなり得る。
【0216】
本発明のアブラナ属植物に適用される任意の除草剤配合物は、「タンク−ミックス」組成物として調製することができる。そのような態様では、それぞれの成分又は成分の組合せは、互いに別々に保存することができる。次いで、成分は、適用前に互いに混合することができる。典型的には、そのような混合は、適用直前に行う。タンク−ミックスプロセスでは、それぞれの成分は、混合の前に、典型的には、水又は適した有機溶媒中に存在する。そのような配合物の調製のための方法及びガイダンスは、当技術分野において知られている。
【0217】
方法は、本発明のアブラナ属植物と共に使用されることとなる除草剤の組合せの開発をさらに考慮する。そのような方法では、栽培のエリア中の環境条件が、評価される。評価することができる環境条件は、地下水及び地上水の汚染の問題、作物の意図される使用、作物耐性、土残留物、栽培のエリア中に存在する雑草、土性、土のpH、土中の有機物の量、適用設備、及び耕作の実施を含むが、これらに限定されない。環境条件の評価に際して、除草剤の組合せの有効量を作物、作物の一部、作物の種子、又は栽培のエリアに適用することができる。
【0218】
いくつかの態様では、本発明のアブラナ属植物に適用される除草剤は、感受性の雑草若しくは望ましくない植物の成長の開始を予防するように貢献する及び/又は対象とするエリア中で成長している雑草又は望ましくない植物に対して損傷を引き起こすように貢献する。いくつかの態様では、除草剤又は除草剤混合物は、対象とするエリア(つまり栽培のフィールド又はエリア)中で続いて栽培される作物に影響を与える雑草又は望ましくない植物に対してこれらの影響を及ぼす。方法において、除草剤の組合せの適用は、同時に行う必要はない。作物が栽培されるフィールドが検出可能な量の第1の除草剤を含有しており、第2の除草剤が、作物が栽培のエリア中にある期間の間のある時期に適用される限り、作物は、本発明に記載の除草剤の混合物を用いて処理されたと見なされる。したがって、提供される方法は、「発芽前除草剤」、「発芽後除草剤」、「植付け前の組込み」である、及び又は栽培前の種子処理を含む、除草剤の適用を包含する。
【0219】
加えて、方法は、本発明のアブラナ属種子をコーティングするために提供される。方法は、除草剤又は除草剤の組合せ(本明細書で他のところに開示される)の有効量を用いて種子をコーティングするステップを含む。次いで、種子は、栽培のエリア中で栽培することができる。除草剤又は除草剤の組合せ(本明細書で他のところに開示される)の有効量を含むコーティングを有するアブラナ属種子がさらに提供される。
【0220】
「発芽前除草剤」は、植物が土から目に見えて出現する前に及び/又は種子の発芽の前に対象とするエリア(たとえば栽培のフィールド又はエリア)に適用される除草剤を指す。「発芽後除草剤」は、植物が土から目に見えて出現した後、エリアに適用される除草剤を指す。いくつかの実例では、「発芽前除草剤」及び「発芽後除草剤」という用語は、対象とするエリア中の雑草又は望ましくない植物に関して使用され、いくつかの実例では、これらの用語は、対象とするエリア中の作物に関して使用される。雑草又は望ましくない植物に関して使用される場合、これらの用語は、対象とするエリア中に存在する又は存在すると考えられる特定のタイプの雑草又は雑草若しくは望ましくない植物の種にのみ適用されてもよい。任意の除草剤が、発芽前除草剤及び/又は発芽後除草剤処理において適用されていてもよいが、いくつかの除草剤は、出芽前又は出芽後に適用される場合に、雑草(複数可)又は望ましくない植物を防除するのに、より有効であることが知られている。たとえば、リムスルフロンは、出芽前及び出芽後の活性を有するが、他の除草剤は、優勢に、出芽前(メトラクロル)又は出芽後(グリホサート)の活性を有する。特定の除草剤のこれらの特性は、当技術分野において知られており、当業者によって容易に決定される。さらに、当業者は、本発明のトランスジェニック植物との及び/又は本発明のトランスジェニック植物が栽培されることとなるエリア上での使用に適切な除草剤及び適用時期を容易に選択することができるであろう。「植付け前の組込み」は、植付け前の土の中への化合物の組込みを含む。
【0221】
したがって、たとえば「栽培前全焼」などのような、作物を成長させる及び/又は雑草又は望ましくない植物を防除する、改善された方法が、提供され、エリアは、雑草又は望ましくない植物をより防除するために対象とする作物の栽培前に1つ又は複数の除草剤を用いて処理される。さらに、「無耕農業」又は「不耕起栽培」(「低耕作」とも呼ばれる)、作物を成長させる及び/又は雑草又は望ましくない植物を防除するための方法が提供される。そのような方法では、土は、耕作されず、従来の方法に対する比較において成長サイクルの間にそれほど頻繁に耕作されず、これらの方法は、さらなる耕作により他の場合には必要とされるであろう、労力及び燃料費用を含む費用を省くことができる。
【0222】
方法は、複数のクラスの除草剤の同時の及び/又は連続的な適用の使用を包含する。いくつかの態様では、方法は、たった1つの除草剤又はたとえばイミダゾリノン除草剤などのような他の化学物質を用いて、本発明の植物及び/又は対象とするエリア(たとえば栽培のフィールド若しくはエリア)及び/又は雑草及び/又は望ましくない植物を処理するステップを含む。
【0223】
対象とするエリア(また任意のその中の植物)に除草剤が適用される時期が、雑草又は望ましくない植物の防除を最適化するのに重要となり得る。除草剤が適用される時期は、植物のサイズ及び/又は成長の段階及び/又は対象とするそのエリア中の植物の発達、たとえば、そのエリア中で成長している作物若しくは雑草若しくは望ましくない植物の発達に関して決定されてもよい。植物の成長及び/又は発達の段階は、当技術分野において知られている。したがって、たとえば、除草剤又は他の化学物質が、植物が成長している対象とするエリアに適用される時期は、特定のエリア中の植物のいくつか又はすべてが少なくとも1つの特定のサイズ並びに/又は成長及び/若しくは発達の段階に達した時期又は特定のエリア中の植物のいくつか又はすべてが特定のサイズ並びに/又は成長及び/若しくは発達の段階にまだ達していない時期であってもよい。
【0224】
いくつかの態様では、本発明のアブラナ属植物は、出芽後除草剤処理に対する改善された耐性を示す。たとえば、本発明のアブラナ属植物は、適切な防除植物に対する比較において、除草剤のより高用量に耐性であり得、広範囲の除草剤に耐性であり得(つまりより多くのAHAS阻害剤の化学的性質に対して耐性)、及び/又は発達の初期若しくは後期の時期に適用される除草剤の用量に耐性であり得る。
【0225】
除草剤などのような異なる化学物質は異なる「残留」効果、つまり、化学物質又は除草剤を用いる処理が、処理されたエリア中で成長している植物に対して効果を有し続ける異なる時間を有する。そのような効果は、処理されるエリア(たとえば栽培のフィールド又はエリア)の望ましい将来の目的に依存して、望ましいかもしれない又は望ましくないかもしれない。したがって、輪作計画は、それぞれの作物に使用される処理由来の残留効果及び同じエリア中で続いて成長する作物に対するそれらの効果に基づいて選ばれてもよい。当業者は、除草剤の残留効果を評価するために使用することができる技術に精通しており、たとえば、AHASを阻害するように作用する除草剤は、それらの残存活性レベルが変動する。様々な除草剤についての残存活性は、当技術分野において知られており、また、たとえば土壌水分レベル、温度、pH、及び土壌組成(構成及び有機物)などのような様々な環境要因により変動することも知られている。本発明のアブラナ属植物は、除草剤の残存活性に対する改善された耐性が有益である作物を成長させるための方法において特定の使用を見出す。
【0226】
加えて、本発明のアブラナ属植物は、毒性緩和剤、アンモニウムスルホネートなどのような補助剤、及び作物油濃縮物並びにその他同種のものなどのような、除草剤処理と共に作物に使用される、さらなる化学物質を用いる処理に対する改善された耐性を提供する。
【0227】
加えて、開示される方法は、農業用防御の一層広いスペクトルをもたらす多成分混合物を形成するために、AHAS阻害性除草剤又は除草剤の混合物並びに1つ又は複数の他の殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、生長調整物質、化学不妊剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激物質、若しくは他の生物学的活性化合物又は昆虫病原性の細菌、ウイルス、若しくは菌類の使用を含むことができる。方法において使用することができる農業用保護剤の例は、アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アミドフルメト(S−1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホスメチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルメトフェン、シフルトリン、ベータシフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジエルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルシトリネート、タウ−フルバリネート、フルフェネリム(UR−50701)、フルフェノクススロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロール、メトフルトリン、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE−007)、オキサミル、パラチオン、パラチオンメチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、プロフルトリン、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダリル、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン(BSN 2060)、スピロテトラマト、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップナトリウム、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホン、及びトリフルムロンなどのような殺虫剤;アシベンゾラル、アルジモルフ、アミスルブロム、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブイソプロピル、ビノミアル、ビフェニル、ビテルタノール、ブラスチシジンS、ボルドー液(3塩基性硫酸銅)、ボスカリド/ニコビフェン、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、カルボキシン、カルプロパミド、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロトリマゾール、塩基性塩化銅、硫酸銅及び水酸化銅などのような銅塩、シアゾファミド、シフルナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ジノカップ、ジスコストロビン、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エコナゾール、エタコナゾール、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンカラミド、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、酢酸トリフェニルスズ、トリフェニルスズヒドロキシド、フェルバム、フェルフラゾエート、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホル、ホルペット、ホセチルアルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメタピル、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、グアザチン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、チオジカルブ、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソコナゾール、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、マンコゼブ、マンジプロパミド、マネブ、マパニピリン、メフェノキサム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン/フェノミノストロビン、メパニピリム、メトラフェノン、ミコナゾール、ミクロブタニル、ネオアソジン(メタンアルソネート第二鉄)、ヌアリモル、オクチリノン、オフレース、オリサストロビン、オキサジキシル、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ペルフラゾエート、ホスホン酸、フタリド、ピコベンザミド、ピクオキシストロビン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブハイドロクロライド、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリフェノックス、ピロールニトリン、ピロキロン、ウニコナゾール、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクラゼン、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネートメチル、チラム、チアジニル、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモル、トリアゾキシド、トリデモルフ、トリモプルアミドトリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、バリダマイシン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、及びゾキサミドなどのような殺真菌剤;アルジカルブ、オキサミル、及びフェナミホスなどのような殺線虫剤;ストレプトマイシンなどのような殺菌剤;アミトラズ、キノメチオナート、クロロベンジラート、シヘキサチン、ジコホール、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾックス、プロパルギット、ピリダベン、及びテブフェンピラドなどのような殺ダニ剤;並びにバチルス・チューリンゲンシス亜種Aizawai及びバチルス・チューリンゲンシス亜種Kurstakiなどのような昆虫病原性の細菌並びにバチルス・チューリンゲンシスの被包デルタ内毒素(たとえばCellcap、MPV、MPVII)を含む生物学的作用物質;緑きょう病菌(green muscardine fungus)などのような昆虫病原性の菌類;並びにバキュロウイルス、HzNPV、AfNPVなどのような核多角体病ウイルス(NPV)を含む昆虫病原性のウイルス;並びにCpGVなどのような顆粒病ウイルス(GV)を含む。方法において使用される、他の組成物(たとえば除草剤)に対する様々な混合パートナーの重量比は、典型的には、100:1及び1:100の間又は30:1及び1:30の間、10:1及び1:10の間、若しくは4:1及び1:4の間である。
【0228】
対象とするAHAS阻害性除草剤又は除草剤の混合物の生物学的有効量並びにさらなる少なくとも1つの活性化合物又は作用物質の生物学的有効量を含み、界面活性剤、固体希釈剤、又は液体希釈剤の少なくとも1つをさらに含むことができる組成物が、さらに提供される。そのような生物学的に活性な化合物又は作用物質の例は、アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アミドフルメト(S−1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホスメチル、ビフェントリン、ビンフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルシトリネート、タウ−フルバリネート、フルフェネリム(UR−50701)、フルフェノクスロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロール、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE−007)、オキサミル、パラチオン、パラチオンメチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、ピメトロジン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ロテノン、スピノサド、スピロメシフェン(BSN 2060)、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップナトリウム、トラロメトリン、トリクロルホン、及びトリフルムロンなどのような殺虫剤;アシベンゾラル、アゾキシストロビン、ベノミル、ブラスチシジンS、ボルドー液(3塩基性硫酸銅)、ブロムコナゾール、カルプロパミド、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、塩基性塩化銅、銅塩、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、(S)−3,5−ジクロロ−N−(3−クロロ−1−エチル−1−メチル−2−オキソプロピル)−4−メチルベンザム−イド(RH7281)、ジクロシメット(S−2900)、ジクロメジン、ジクロラン、ジフェノコナゾール、(S)−3,5−ジヒドロ−5−メチル−2−(メチルチオ)−5−フェニル−3−(フェニル−アミノ)−4H−イミド−アゾール−4−オン(RP407213)、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ドジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンカラミド(SZX0722)、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、酢酸トリフェニルスズ、トリフェニルスズヒドロキシド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル(RPA 403397)、フルモルフ/フルモルリン(SYP−L190)、フルオキサストロビン(HEC 5725)、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトラニル、フルトリアホル、ホルペット、ホセチルアルミニウム、フララキシル、フラメタピル(S−82658)、ヘキサコナゾール、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、マンコゼブ、マネブ、メフェノキサム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メトミノストロビン/フェノミノストロビン(SSF−126)、メトラフェノン(AC375839)、ミクロブタニル、ネオアソジン(メタンアルソネート第二鉄)、ニコビフェン(BAS 510)、オリサストロビン、オキサジキシル、ペンコナゾール、ペンシクロン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロキナジド(DPX−KQ926)、プロチオコナゾール(JAU 6476)、ピリフェノックス、ピラクロストロビン、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、スピロキサミン、硫黄、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネートメチル、チラム、チアジニル、トリアジメホン、トリアジメノール、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリチコナゾール、バリダマイシン、及びビンクロゾリンなどのような殺真菌剤;アルジカルブ、オキサミル、及びフェナミホスなどのような殺線虫剤;ストレプトマイシンなどのような殺菌剤;アミトラズ、キノメチオナート、クロロベンジラート、シヘキサチン、ジコホール、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾックス、プロパルギット、ピリダベン、及びテブフェンピラドなどのような殺ダニ剤;並びにバチルス・チューリンゲンシス亜種Aizawai及びバチルス・チューリンゲンシス亜種Kurstakiなどのような昆虫病原性の細菌並びにバチルス・チューリンゲンシスの被包デルタ内毒素(たとえばCellcap、MPV、MPVII)を含む生物学的作用物質;緑きょう病菌(green muscardine fungus)などのような昆虫病原性の菌類;並びにバキュロウイルス、HzNPV、AfNPVなどのような核多角体病ウイルス(NPV)を含む昆虫病原性のウイルス;並びにCpGVなどのような顆粒病ウイルス(GV)を含む。方法はまた、無脊椎動物有害生物に対して毒性のタンパク質(バチルス・チューリンゲンシスデルタ内毒素など)を発現するように遺伝的に形質転換された植物の使用を含んでいてもよい。そのような態様では、外因的に適用される無脊椎動物病害虫防除化合物の効果は、発現される毒素タンパク質と相乗的であってもよい。
【0229】
したがって、方法は、AHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤の組合せを用いることができ、殺虫剤及び/又は殺真菌剤及び/又は肥料などのような他の農薬の使用をさらに含んでいてもよい。そのような組み合わせられた処理の使用は、さらなる雑草種に対する活性のスペクトルを広げ、任意の抵抗性のバイオタイプの増殖を抑制することができる。
【0230】
本発明は、望ましくない植生を駆除する又は雑草をコントロールするための方法であって、本発明による抵抗性の植物の種子を、播種の前及び/又は前発芽(pregermination)の後に、AHAS阻害性除草剤と接触させるステップを含む方法を提供する。方法は、たとえば、あるフィールドの土中に又は温室の鉢植え培地(potting medium)中に種子を播種するステップをさらに含むことができる。方法は、望ましくない植生を駆除する又は種子のすぐ近くの雑草をコントロールする際に特定の使用を見出す。
【0231】
望ましくない植生のコントロールは、雑草を死滅させること及び/又は他の場合には雑草の正常な成長を遅らせる若しくは阻害することを意味するものとして理解される。雑草は、最も広い意味では、それらが望まれない位置に成長するそれらの植物すべてを意味するものとして理解される。
【0232】
本発明の雑草は、たとえば、双子葉及び単子葉の雑草を含む。双子葉の雑草は、属:シロガラシ属、マメグンバイナズナ属、ヤエムグラ属、ハコベ属、シカギク属、ローマカツミレ属、ガリンソガ属、アカザ属、イラクサ属、キオン属、ヒユ属、スベリヒユ属、オナモミ属、セイヨウヒルガオ属、サツマイモ属、タデ属、ツノクサネム属、ブタクサ属、アザミ属、ヒレアザミ属、ノゲシ属、ナス属、イヌガラシ属、キカシグサ属、アゼナ属、オドリコソウ属、クワガタソウ属、イチビ属、エメクス属(Emex)、チョウセンアサガオ属、スミレ属、チシマオドリコソウ属、ケシ属、ヤグルマギク属、ジャジクソウ属、キンポウゲ属、及びタンポポ属の雑草を含むが、これらに限定されない。単子葉の雑草は、属:ヒエ属、セタリア属、キビ属、メヒシバ属、アワガエリ属、イチゴツナギ属、ウシノケグサ属、オヒシバ属、ビロードキビ属、ドクムギ属、スズメノチャヒキ属、カラスムギ属、カヤツリグサ属、モロコシ属、カモジグサ属、ギョウギシバ属、ミズアオイ属、フィムブリスチスリス属(Fimbristyslis)、オモダカ属、ハリイ属、ホタルイ属、スズメノヒエ属、カモノハシ属、フェノクレア属(Sphenoclea)、ダクティロクテニウム属(Dactyloctenium)、コヌカグサ属、スズメノテッポウ属、及びアペラ属(Apera)の雑草を含むが、これらに限定されない。
【0233】
加えて、本発明の雑草は、たとえば、望ましくない位置で成長している作物を含むことができる。たとえば、主にダイズ植物を含むフィールド中にある自生のトウモロコシ植物は、トウモロコシ植物がダイズ植物のフィールド中で望まれない場合は、雑草と考えることができる。
【0234】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、冠詞の文法上の1つ又は1つを超える(つまり少なくとも1つの)目的語を指すために本明細書で使用される。例として、「エレメント」は、1つ又は複数のエレメントを意味する。
【0235】
本明細書で使用されるように、単語「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などのような変形は、述べられるエレメント、完全体、若しくはステップ又はエレメント、完全体、若しくはステップの群の包含を意味するが、任意の他のエレメント、完全体、若しくはステップ又はエレメント、完全体、若しくはステップの群の除外を意味しないことが理解されるであろう。
【0236】
以下の例は、例証のために提供され、限定のために提供されるものではない。
【0237】
例1−突然変異AHAS配列の調製
突然変異配列を作り出す前に、セイヨウアブラナAHAS I及びIIIについての完全なコード配列を、それぞれ、BnALS3(5’CTAACCATGGCGGCGGCAAC(配列番号1))及びBnALSOR2(5’−AGTCTGGGAACAAACCAAAAGCAGTACA(配列番号2))及びBnALSOR3(5’ −CGTCTGGGAACAACCAAAAGTAGTACAA(配列番号3))を使用して増幅し、クローニングし、比較の目的のための参照配列として役立つように、系統BN−02(図3及び4)、系統97(AHAS III中にS653Nを有するBN−02、図3及び3)、並びにBN−11から配列決定した。
【0238】
1A.遺伝子修復オリゴヌクレオチド(GRON)設計
得られたAHAS III核酸配列に基づいて、一連の遺伝子修復オリゴヌクレオチド(GRON、表1中に示される)を、シロイヌナズナ属AHASについてのアミノ酸ナンバリングに基づく、コードAHAS IIIタンパク質中の位置122に対応するアラニンからトレオニンへのアミノ酸置換をもたらす、AHASコード領域中への核酸突然変異を特異的に導入するために設計した。GRONは、AHAS III中にGCTからACTへのヌクレオチド変化を導入するために設計した。AHAS III核酸配列のみが、これらのGRON配列を使用するこの変化のために標的とされる。
【表1】
【0239】
変換する塩基を太字で示す。V=CY3;H=3’DMT dC CPG。
【0240】
1B.細胞培養作業説明
1B.1 春キャノーラ系統97のAHAS III遺伝子中のA122T突然変異を標的とする遺伝子修復オリゴヌクレオチド(GRON)導入実験
キャノーラ系統97は、BN−02として知られているアブラナ属栽培品種の半数体小胞子由来小植物由来の葉プロトプラストを使用して、前のRapid Trait Development System(商標)(Cibus LLC、San Diego、CA、「RTDS(商標)」)実験に由来した。系統97は、AHAS IIIタンパク質中のアミノ酸位置653に対応する位置に突然変異を含有する。突然変異は、AGTからAATへのコドン変化によってコードされ、セリンからアスパラギンへの置換をもたらし、これは、イマゼタピルに対する耐性をもたらす。同じ遺伝子中のA122T突然変異の付加は、単一突然変異と比較して、大幅に増強されたImi耐性をもたらした。
【0241】
RTDS(商標)実験は、系統97のAHAS III遺伝子中にさらなる突然変異を導入することを目的として行った。系統97を、0.5及び0.2μM Imiを用いて選択したプロトプラスト由来カルスから再生した。A122T;S653N二重突然変異を、10μM Imiの濃度で選択した。実験に使用したプロトコールを、1B.2〜1B.6部に記載する。
【0242】
1B.2 葉プロトプラストの単離のための材料の増殖
小胞子由来胚に由来する半数体苗条を、インビトロで無菌条件下で増殖した。さし木を2〜4週間ごとに継代し、40〜45mlの容量のRS培地(Dovzhenko A.、2001)を含有するペトリ皿(90mm×20mm)中で培養した。皿は、Microporeテープ(3M Company)を用いて密閉した。若葉を切り取り、プロトプラスト単離のために使用した。
【0243】
1B.3 プロトプラスト単離及び精製
2〜3週齢インビトロ苗条由来の約600mgの葉組織を、5mL 培地B(Pelletier et al.,1983)を有するペトリ皿中に小刀を用いて小さな細片に切り、pHを5.8に調整した。1時間後に、培地Bは、0.5%Cellulase YC及び0.75%Macerozyme R10(両方ともKarlan Research Products、Cottonwood、Arizonaからのもの)、1g/Lウシ血清アルブミン、並びに1g/L 2−モルホリノエタンスルホン酸が溶解している培地Bから成る、12mlのフィルター滅菌酵素溶液と交換した。酵素溶液は、真空浸透し、続いて、酵素溶液中に葉片を有する皿は、暗中、25℃で16〜18時間、インキュベートした。プロトプラスト精製は、イオジキサノール密度勾配を使用して行った。密度勾配遠心分離後に、精製プロトプラストを有するバンドを、約5mL W5培地と一緒に取り出した。プロトプラスト収量を、血球計数器を使用して決定し、プロトプラストは、4℃で2時間、保存した。
【0244】
1B.4 遺伝子修復オリゴヌクレオチド(GRON)導入
プロトプラスト懸濁液を、等容量の冷培地W5と混合し、50mL遠心分離管に移入し、臨床用遠心機の最下の設定(約50xg)で10分間、遠心分離した。上清を、取り出し、TM培地(Klaus,S.2003)と交換し、プロトプラスト密度を5×10/mLに調整した。それぞれ2.5×10プロトプラストを含有する500μLの一定分量を、50mL遠心分離管の中に分配した。GRON(たとえばBnALS1122/C/41/5’Cy3/3’idC;表1を参照されたい)を、ポリエチレングリコール(PEG)とそれを混合し、氷上の回転子上でそれを混合することによってプロトプラストに送達した。約12〜300μgのGRONを、500μL処理容量当たりに使用する。次いで、プロトプラストを、遠心沈澱法を使用して収集し、暗中、4℃で一晩保存した。
【0245】
1B.5 アルギン酸カルシウム中へのプロトプラストの包埋
次いで、プロトプラストを、Dovzhenko (2001)中に記載される方法に基づいて、ゲル(たとえばアガロース、アルギネート(alignate))中に包埋した。ゲル基質中へのプロトプラストの包埋が、プロトプラスト生存を増強し、プロトプラスト由来細胞の分裂頻度を増加させることを示した。PEG−GRON処理の1日後に、1つの処理サンプルに由来するプロトプラストを、50mL遠心分離管に移入し、室温にした。チューブを、臨床用遠心機を用いて最下の設定(約50xg)で10分間、遠心分離した。ペレットは、2.75mL培地B中に再懸濁し(塩化カルシウム二水和物濃度は131mg/Lまで低減した)、V字形60mL試薬洗面器中で同じ低減カルシウム培地B中でアルギン酸ナトリウムの2.8%(w/v)溶液の2.75mLと混合した。プロトプラストアルジネート懸濁液は、多チャンネルピペットを用いて採取し(より広い開口部を提供するためにあらかじめ切った先端を使用して)、40μL一定分量を、50mL Ca−A培地の中に滴下した。
【0246】
1B.6 プロトプラスト培養及びImi耐性カルスの選択
イミダゾリノン耐性カルスは、Pelletier et al.(1983)Mol.Gen.Genet.191:244−250によって記載されるものに類似する培地中でのアルジネートビーズの連続的な継代培養を使用して選択した(表2を参照されたい)。選択は、10μM Imiの濃度で、REG/GRON処理の1週間後に始めた。培地への除草剤の付加は、即時の効果を有していなかった。最初に、イミダゾリノンなしの初期培養フェーズの間に形成されたすべてのミクロコロニーは、成長し続けたが、除草剤を追加しなかった防除よりも遅かった。選択の開始の1〜2週間後に、大多数のコロニーの成長は、遅くなった又は停止した。
【0247】
細胞及びミクロコロニーは、50mMクエン酸ナトリウムを含有する培地を用いて30〜45分間、それらを処理することによってプロトプラストの包埋の3週間後にアルジネートから放出される。放出に際して、ほとんどのコロニーは、死滅していた又は死細胞の外層で覆われた、緑がかった中心点から成った。凝固選択培地Eへの移入後に、なお生細胞を含有していた大多数のマイクロカルスは、成長を停止し、褐色を帯びたようになった。個々のカルスの限りある成長が続いたが、非耐性カルスはすべて、最終的に褐色になった。凝固選択培地への移入の2〜3週間後に(時々、より早期に)、活発に成長しているカルスが、褐色を帯びた細胞及びマイクロカルスのバックグラウンド中に現われた。
【表2】
【0248】
1B.7 AHAS III遺伝子中にA122T;S653N二重突然変異を含有するプロトプラスト由来Imi耐性カルスからの植物の再生
凝固選択培地上で発達させ、標的突然変異を有することを確証したImi耐性カルス(下記の例1Cを参照されたい)を、発達を加速するために除草剤なしの培地Eに移入した。個々のカルス系統は、それらの成長速度及び形態が変動した。一般に、苗条再生に向けた発達は、次のもののステップに続く。
【0249】
未分化の緑色のカルス−>濃緑色のエリアを有するカルス−>根の発達−>苗条原基の発達−>過水状態の(透化(vitrified))葉を有する発育不良の苗条の発達。
【0250】
個々のカルス系統の発達は、変動するが、培地E又はNAAのより低い濃度を有する改変した培地E上の連続継代培養及び増殖を通して、苗条形成イベントを得る機会が増加した。
【0251】
一度、苗条が培地E上で形成され、3〜4枚の葉を形成したら、それらをRS培地(Dovzhenko,2001)に移入した。この培地上で、次第に、新しく形成された苗条及び葉組織が、発達し、これらは、形態学的に「正常」(つまり非過水状態)であった。続いて、標準プロトコールを、小植物の耐性強化及び温室への移入のために使用した。
【0252】
1C.分子スクリーニング
イマゼタピルに対する耐性を示すカルス由来のゲノムDNAを、導入A122T突然変異の存在についてスクリーニングした。ゲノムDNAは、Edwards et al.(1991)Nucleic Acids Research 19(6):1349の手順を使用して抽出した。AHAS I及びIIIがいかなるイントロンをも含有していないので、ゲノムDNAからのPCRは、可能であった。遺伝子特異的(GS)プライマーBnALS3(5’−CTAACCATGGCGGCGGCAAC(配列番号1))及びBnALS9(5’ −CCCATCAACGTACTCGCACCA(配列番号6))を、AHAS III中のA122位置を含有する領域を増幅するために使用した。結果として生じる増幅産物の精製及び定量に続いて、結果として生じる増幅産物は、対立遺伝子特異的(AS)PCR反応のために鋳型として使用した。3つのプライマーミックス(BnALSOF5(5’ −GTCAATGTCGCACCTGAAAAAACCGACA(配列番号7))、BnALSOR8(5’ −GCTAACCCGCTGACGAGGTTGGTAGCT(配列番号8))、及びBnALSIR2A(5’ −AAGGCTTGGTGGATCTCCATGGACGT(配列番号9))−Master−mix 40)を、A122T突然変異の存在を検出するために使用した。内部プライマー(BnALS1R2A)は、ACT(トレオニン)コドンが存在する場合のみそれがアニールし、産物を形成して、BnALSOF5と対になるように設計した。
【0253】
遺伝子特異的PCRを、AS−PCRスクリーニングにおいて使用したものと同じゲノムDNA鋳型を使用して、A122T変化を示す、すべてのカルスについて繰り返した。今回は、増幅産物は、1%TrisアセテートEDTAゲルからゲル精製し、変化を確証するためにA122領域に対して配列決定した。確認に際して、無関係なゲノムDNAサンプルをカルス組織から調製し、A122領域をもう一度、配列決定した。
【0254】
一度、所与のカルス系統由来の2つの無関係なサンプルをA122T突然変異の存在について確証したら、AHAS遺伝子I及びIIIを、任意の他の意図しない単一ヌクレオチド多型(SNP)をチェックするためにそれらの全体を配列決定した。完全長遺伝子を、BnALSOR2(5’−AGTCTGGGAACAAACCAAAAGCAGTACA(配列番号2))(遺伝子IIIについて)及びBnALSOR3(5’−CGTCTGGGAACAACCAAAAGTAGTACAA(配列番号3))(遺伝子Iについて)と共にBnALS3(5’−CTAACCATGGCGGCGGCAAC(配列番号1))を使用して増幅し、TopoPCR2.1(Invitrogen)の中にクローニングした。それぞれの遺伝子の4つのクローンを、PCRエラーと純粋なSNPを区別するために配列決定した。
【0255】
ゲノムDNAは、スクリーニングしたカルスから再生した植物組織からBio−sprint機械(Qiagen)を使用して抽出し、突然変異の存在を確証するために再びスクリーニングした。遺伝子特異的PCR(GS−PCR)は、それらの存在を確証するために、遺伝子IIIにおいて、系統97バックグラウンド植物と共に、A122T(BnALS3(5’−CTAACCATGGCGGCGGCAAC(配列番号1))及びBnALS9(5’−CCCATCAACGTACTCGCACCA(配列番号6))並びにS653N(BnALS10(5’−GAGGCTTTCGCTAGCAGGGCTCAA(配列番号10))及びBnALSOR2(5’−AGTCTGGGAACAAACCAAAAGCAGTACA(配列番号2)))配列を含有する領域を増幅するためのプライマーを使用して行った。
【0256】
A122T突然変異及びS653N突然変異の両方の存在が、AHAS III遺伝子を配列決定することによって確証された合計18のカルス系統を同定した。これらのカルス系統のうちの12個は、苗条を再生した。1つの系統を除いては、二重突然変異体系統は、AHAS III中のA122T及びS653Nの両方の突然変異についてホモ接合性であった(つまり半数体又はホモ接合性二倍体)。最も進んだ系統(BnCL131A1)は、数グラムの種子を作出した。植物当たりの収量は、二倍体植物に匹敵し、これは、選択/再生の間のあるポイントで、自発的な二倍体化が生じたことを意味する。この系統の花粉を、2つの冬ナタネ(WOSR)栽培品種、BN−11及びBN−19の子房を受精させるために使用した。加えて、BnCL131A1系統由来の種子を、受託番号PTA−9279としてATCCに寄託した。さらなる2つの系統、共に、AHAS III中にA122T及びS653Nの突然変異をコードする突然変異誘発AHAS核酸分子を含有するBnCL140B3及びBnCL140C7もまた、それぞれ、受託番号PTA−9402及びPTA−9403として寄託した。
【0257】
AHAS III配列中にA122T突然変異のみを含有する他のアブラナ属系統もまた同定した。この系統、BnCL120C7の種子もまた、受託番号PTA−9278としてATCCに寄託した。
【0258】
例2:セイヨウアブラナ植物抽出物及び全植物由来のAHAS酵素活性
系統BN02(野生型)、PM1/PM2(2つの突然変異遺伝子、たとえば米国特許第7,355,098号を参照されたい)、BnCL131A1(AHAS III A122T S653N二重突然変異体)、及びBnCL120C7(AHAS III A122T単一突然変異)についての植物を、収穫する前に3〜4葉期まで種子から成長させた。細胞抽出物を、100〜0.78μMの範囲のimazamoxの不在又は8つの階段希釈の存在下において、Singh et al.,(1988 「アセトヒドロキシ酸シンターゼのアッセイ(Assay of Acetohydroxyacid Synthase.)」 Analytical Biochemistry 171,173−179.)に従ってAHAS活性について三通りアッセイした。活性を、非阻害(imazamoxなし)活性の百分率として表現する(図1)。図1中に示すグラフは、3つの栽培日からのそれぞれのimazamox濃度に対する非阻害結果の平均パーセントを表し、それぞれ、合計7つの無関係な抽出アッセイについて2〜3回、再現している。誤差バーは、平均値の±2標準誤差を表す。
【0259】
加えて、二重突然変異体を含有するセイヨウアブラナ植物(3〜4葉期)を、野生型植物と比較して、imazamoxを用いる処理に対する反応について分析した。系統BN02(野生型)及びBnCL131A1(AHAS III A122T:S653N二重突然変異体)を、葉面散布によって、0.5%容量/容量Mergeを補足した210g ai/ha imazamoxを用いて処理した又は比較として、噴霧しないままとした。処理植物を、処理の3(3)数週間後に評価した。結果を図2に示す。図2は、植物BN02(上列)及びBnCL131A1(下列)についての結果を提供する。図2から分かるように、野生型BN−02植物は、imazamoxの210g ai/haの適用に対してほとんど非耐性であったが、BnCL131A1系統は、そのような適用に対してほとんど完全に耐性であった。
【0260】
二重突然変異体を含有するセイヨウアブラナ植物もまた、イミダゾリノン除草剤適用による植物傷害について試験した。系統BN02(野生型)、BnCL131A1(AHAS III A122T:S653N二重突然変異体)、BnCL 120C7(AHAS III A122T単一突然変異)、BnCL97(AHAS III S653N単一突然変異)、PM1/PM2(市販の2つの遺伝子比較)、PM1(AHAS I S653N単一突然変異)、及びPM2(AHAS III W574L単一突然変異)のセイヨウアブラナ植物を、3〜4葉期まで種子から成長させ、次いで、噴霧しないままとした又は0.5%容量/容量Mergeを補足した35、70、若しくは210g ai/ha imazamoxを噴霧した。除草剤傷害を、0〜9の段階を使用して、系統当たり8〜24の植物に対する処理の2週間後(DAT)に評価した。ここで、0は傷害なしとし、9は植物死とする。結果を、下記の表3において、平均傷害±平均値の1標準誤差として示す。示す結果は、BnCL97以外のすべての系統についての2つの無関係な植え付け及び噴霧を包含する。表はまた、平均値の±1標準誤差についての値をも示す。
【表3】
【0261】
例3:Imazamoxを用いて処理したセイヨウアブラナ植物についての除草剤傷害評価
Imazamoxを用いて処理したセイヨウアブラナ植物についての除草剤傷害評価。系統BN02(野生型)、BnCL131A1(AHAS III A122T S653N二重突然変異体;BnCL131A1.0及びBnCL131A1.18)の2つの系統、PM1/PM2(市販の2つの遺伝子比較:AHAS I S653N&AHAS III W574L)の植物を、3〜4葉期まで種子から成長させ、次いで、噴霧しないままとした又は0.5%容量/容量Mergeを補足した35、70、若しくは210g ai/ha imazamoxを噴霧した。除草剤傷害を、系統当たり12個の植物について噴霧の2週間後に評価した。結果を、下記の表4において、平均傷害±平均値の1標準誤差として示す。結果は、すべての系統についての植え付け及び噴霧を包含し、平均値の±2標準誤差について値もまた、提供する。
【表4】
【0262】
例4 フィールド試験セイヨウアブラナ植物のImazamox除草剤傷害評価
春ナタネ系統由来のセイヨウアブラナ植物:BN−02(野生型)、BN−T(野生型)、BN−02バックグラウンド遺伝子型のBnCL 131 A 1(AHAS III A122T S653N二重突然変異体)、BN−02バックグラウンド遺伝子型のBnCL120C7(BnAHASIII A122T)、BN−02バックグラウンド遺伝子型のBnCL97(BnAHASIII S653N)、BN−TバックグラウンドのPM1/PM2(2つの遺伝子比較:AHAS I S653N&AHAS III W574L)、BN−TバックグラウンドのPM1(1つの遺伝子比較:AHAS IS653N)、及びBN−TバックグラウンドのPM2(1つの遺伝子比較:AHAS III W574L)を、Minot、North Dakotaの近くの場所でフィールド試験した。系統は、5m長の単一列試験区中で栽培し、2つの因子分割試験区計画中に配置し、3回の繰り返し及び4つの処理(0g ai/ha imazamox、50g ai/ha imazamox、100g ai/ha imazamox、及び200g ai/ha imazamox)を行った。植物に、上記に言及したimazamox処理を2〜4葉期に噴霧した。imazamox製品(Beyond 120g/L LC+0.25%(容量/容量)非イオン界面活性剤)を、エーカー当たり20ガロン(又は200リットル/ha)中に希釈し、トラクターに搭載されたブームを使用して適用した。
【0263】
除草剤傷害を、0〜100%の段階を使用して、試験区ベース当たり、処理の15日後(DAT)に評価した。ここで、0は傷害なしとし、100%は完全な植物死とした。傷害評価は、ANOVAを使用して統計的に分析した。結果を表5に示す。
【表5】
【0264】
二重突然変異体系統、BnCL131A1(BN−02)(AHAS III A122T、S653N)は、個々の突然変異系統BnCL97(BN−02)(AHASIII S653N)及びBNCL120C7(BN−02)(AHASIII A122T)の合計よりも非常に高い除草剤耐性を示した。imazamoxの200g ai/haでの二重突然変異体系統(A122T+S653N)によって示された耐性の量は、62%である(100%〜38%の作物傷害)。200g ai/haでのA122T単一突然変異体によって示された耐性の量は、20%である(100%〜80%の作物傷害)。200g ai/haでの単一突然変異体S653Nによって示された耐性の量は、17%である(100%〜83%の作物傷害)。もし耐性が相加的であれば、S653N突然変異とA122T突然変異を組み合わせて、期待される耐性は、37%となるであろう。それどころか、二重突然変異体の観察された耐性は、62%であった。そのため、二重突然変異体系統BNCL131A1(BN−02)において観察された除草剤耐性のレベルは、2つの単一突然変異体系統、BNCL97(BN−02)及びBNCL120C7(BN−02)において観察されたものに対して相乗的である。
【0265】
例5 積み重ねられたAHAS形質を含有するアブラナ属植物及びImazamox除草剤傷害評価
積み重ねられたAHAS阻害剤抵抗性の核酸分子を含有するセイヨウアブラナ植物を、CLB−1(AHASLIA−A122(At)TS653(At)N)についてホモ接合性のAHAS阻害剤抵抗性の系統をAHASLIAW574(At)L(PM2)+AHASLIC−S653(At)N(PM1)についてホモ接合性のAHAS阻害剤抵抗性の系統と交雑させることによって、従来の育種方法論によって得た。
【0266】
手交雑雑種は、2つのIMI耐性春セイヨウアブラナの親系統:「BnCL131A1」(AゲノムIMI耐性突然変異AHASLIA−A122(At)T−S653(At)Nについてホモ接合性)及び「PM1PM2」(AゲノムAHAS阻害剤耐性の突然変異AHASLIAW574(At)L(PM2)及びCゲノムAHAS阻害剤耐性の突然変異AHASLI CS653(At)N(PM1)についてホモ接合性)の間で温室中で生産した。結果として生じるヘテロ接合性手交雑雑種系統、「PM1 PM2/BnCL 131 A 1」(積み重ねられた突然変異:AHASLI AA122(At)T−S653(At)N、AHASLIA−W574(At)L(PM2)、AHASLIC−S653(At)N(PM1)についてヘテロ接合性)をそれぞれがたった1つのAHAS阻害剤耐性の突然変異(ホモ接合性又はヘテロ接合性)及びいくつかの春セイヨウアブラナの比較を含有する系統と一緒にフィールド試験した。
【0267】
3つの繰り返し実験を、Simcoe、North Dakotaにおいて行い、無作為化分割ブロック計画を使用した。実験は、5つの異なるイミダゾリノン除草剤処理量下での異なるエントリーの薬害パーセント(作物傷害%)を測定するために計画した。植物に、100リットル/haの容量で2〜4葉期に噴霧した。使用したイミダゾリノン除草剤量は、以下の通りとした(Imazamox=BEYOND(商標)120g/I LC(BAS72001H);NIS=INDUCE(商標)90(90%非イオン界面活性剤;Helena Chemical Co.、Collierville(TN))。
【表6】
【0268】
手交雑雑種系統、PM1PM2/BnCL131A1は、3つのヘテロ接合性AHAS阻害剤耐性の突然変異対立遺伝子を含有した:
AHASLIA−A122(At)T−S653(At)N
AHASL1A−W574(At)L
AHASL1C−S653(At)N。
【0269】
比較系統BnCL131A1(He)は、1つのヘテロ接合性AHAS阻害剤耐性の突然変異対立遺伝子を含有した:AHASLIA−A122(At)T−S653(At)N。
【0270】
比較系統PM2(AHASLIA−PM2)は、1つのホモ接合性AHAS阻害剤耐性の突然変異対立遺伝子を含有した:
AHASL1A−W574(At)L。
【0271】
比較系統PM1(AHASLIC−PM1)は、1つのホモ接合性AHAS阻害剤耐性の突然変異対立遺伝子を含有した:
AHASLIC−S653(At)N。
【0272】
作物傷害評価は、処理の18日後に、0〜100%の段階で、薬害のレベル(作物傷害パーセント)について実験においてそれぞれの試験区を評価することによってフィールド中で決定した。それらの統計的有意差(ANOVA)と共に3回の反復にわたるそれぞれのエントリーについての平均値を表6に示す(Ho=ホモ接合性;He=ヘテロ接合性)。表6に示すそれぞれの値は、3回の反復の平均値である。
【表7】
【0273】
結果
薬害パーセント(作物傷害%)評価は、除草剤耐性パーセント(表7)を得るために、100%からそれぞれの系統についての作物傷害評価パーセント(表6)を引き算することによって除草剤耐性評価に置き換えた(Ho=ホモ接合性;He=ヘテロ接合性)。
【表8】

【表9】
【0274】
PM1PM2/BNCL131A1中の3つのヘテロ接合性突然変異を積み重ねることが相加的又は相乗的な除草剤耐性効果をもたらしたかどうかを理解するために、BnCL131A1(He)、PM1(AHASL1C−PM1)、及びPM2(AHASL1 A−PM2)について観察された平均除草剤耐性を加算して、期待される除草剤耐性パーセントを得た(表7)。この実験中で使用したPM1及びPM2の系統がAHAS阻害剤耐性の突然変異についてホモ接合性であることに注目されたい。他の比較系統は、ヘテロ接合性IMI耐性PM1系統及びヘテロ接合性IMI耐性PM2系統であったであろうが、この材料が入手可能ではなかったので、それらのホモ接合性相当物を使用した。従来の研究から、ヘテロ接合性IMI耐性の突然変異を含有する系統は、ホモ接合性AHAS阻害剤耐性の突然変異を含有する系統よりも、常に、イミダゾリノン除草剤処理に耐性ではなかったことが示された(データ示さず)。imazamoxの140g ai/haでの3つの別個の系統(BnCL131A1(He)+PM1(AHASL1C−PM1)+PM2(AHASL1A−PM2))についての期待される添加剤除草剤耐性パーセントは、45%であったのに対して、PM1PM1/BnCL131A1系統(ヘテロ接合性の状態で3つの突然変異をすべて含有する)の観察された除草剤耐性パーセントは、78.3%であった。同様の結果は、210g ai/haのより高度な処理量について観察され、ここで、期待される添加剤除草剤耐性パーセントが55%であったのに対して、PM1PM2/BnCL131A1について観察された除草剤耐性パーセントは、85%であった(表7)。
【0275】
結論として、ヘテロ接合性AHAS阻害剤耐性の突然変異を有する積み重ねられた系統、PM1PM2/BnCL131A1は、相乗的な除草剤耐性効果を示し、イミダゾリノン除草剤に対する予期しない高レベルの耐性をもたらし、単一ホモ接合性AHAS阻害剤耐性の突然変異で観察されたものよりも著しく高い耐性をもたらした。
【0276】
前述の発明は、理解の明瞭さの目的のために、図及び例によっていくらか詳細に記載したが、ある種の変更及び改変が、添付された請求項の範囲内で実施することができることは明らかであろう。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図3-6】
図4-1】
図4-2】
図5
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]