(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の基板と、前記一対の基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された種類毎に色が異なり且つ少なくとも2種類が同極性に帯電された複数種類の粒子群と、を有する表示媒体に対して、
前記複数種類の粒子群のうち何れかの予め定めた粒子群の色を単色で表示する場合、全ての前記予め定めた粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧未満の電圧であって、前記複数種類の粒子群のうち前記予め定めた粒子群とは異なる粒子群の色と混色が発生しない電界を発生させる電圧を前記基板間に印加する印加手段を備え、
全ての前記予め定めた粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧が、前記予め定めた粒子群とは異なる粒子群の移動開始電圧よりも大きい
表示媒体の駆動装置。
一対の基板と、前記一対の基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された種類毎に色が異なり且つ少なくとも2種類が同極性に帯電された複数種類の粒子群と、を有する表示媒体に対して、電圧を前記基板間に印加する印加手段を備えた表示媒体の駆動装置であって、
前記複数種類の粒子群の各々において、各粒子群の全ての粒子が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する全粒子移動電圧が定められており、
前記複数種類の粒子群のうち何れかの予め定めた粒子群の色を単色で表示する場合、前記印加手段は、前記全粒子移動電圧が前記予め定めた粒子群の全粒子移動電圧より大きい所定の粒子群であって、前記所定の粒子群の移動開始電圧が、前記予め定めた粒子群の移動開始電圧より大きく且つ前記予め定めた粒子群の全粒子移動電圧より小さい前記所定の粒子群の移動開始電圧より小さく前記予め定めた粒子群の移動開始電圧以上の電圧を前記基板間に印加する、
表示媒体の駆動装置。
前記印加手段は、前記複数種類の粒子群のうち2種類以上の粒子群の色の混色を表示する場合、全ての当該2種類以上の粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧を前記基板間に印加する
請求項1又は請求項2記載の表示媒体の駆動装置。
前記印加手段は、前記何れかの予め定めた粒子群の次に、全ての粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧が大きい前記粒子群を単色で表示させる場合に、当該粒子群の色と前記何れかの予め定めた粒子群の色との混色を表示する電界を発生させる電圧を印加した後、全ての前記何れかの予め定めた粒子群が前記一対の基板のうち背面基板側へ移動する電圧以上の電圧を、前記混色を表示する電界を発生させる電圧とは逆極性で印加する
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置。
一対の基板と、前記一対の基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された色が異なり且つ同極性に帯電された複数種類の粒子群と、を有する表示媒体と、
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置と、
を備えた表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数種類の粒子群のうち何れかの予め定めた粒子群の色を単色で表示する場合に、混色を防止することができる表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明の表示媒体の駆動装置は、一対の基板と、前記一対の基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された種類毎に色が異なり且つ少なくとも2種類が同極性に帯電された複数種類の粒子群と、を有する表示媒体に対して、前記複数種類の粒子群のうち何れかの予め定めた粒子群の色を単色で表示する場合、
全ての前記予め定めた粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧未満の電圧であって、前記複数種類の粒子群のうち前記予め定めた粒子群とは異なる粒子群の色と混色が発生しない電界を発生させる電圧を前記基板間に印加する印加手段を備え
、全ての前記予め定めた粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧が、前記予め定めた粒子群とは異なる粒子群の移動開始電圧よりも大きい。
【0007】
請求項2記載の発明は、一対の基板と、前記一対の基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された種類毎に色が異なり且つ少なくとも2種類が同極性に帯電された複数種類の粒子群と、を有する表示媒体に対して、前記複数種類の粒子群のうち何れかの予め定めた粒子群の色を単色で表示する場合、当該
予め定めた粒子群の次に
、全ての粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧が大きい粒子群の移動開始電圧未満の電圧を前記基板間に印加する印加手段を備え
、全ての前記予め定めた粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧が、前記移動開始電圧よりも大きい。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記印加手段は、前記複数種類の粒子群のうち2種類以上の粒子群の色の混色を表示する場合、
全ての当該2種類以上の粒子群
が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧を前記基板間に印加する。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記印加手段は、前記何れかの予め定めた粒子群の次に
、全ての粒子群が前記一対の基板のうち表示基板側へ移動する電圧が大きい前記粒子群を単色で表示させる場合に、当該粒子群の色と前記何れかの予め定めた粒子群の色との混色を表示する電界を発生させる電圧を印加した後、
全ての前記何れかの予め定めた粒子群
が前記一対の基板のうち背面基板側へ移動する電圧以上の電圧を、前記混色を表示する電界を発生させる電圧とは逆極性で印加する。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記表示媒体は、前記一対の基板間に封入され、前記複数種類の粒子群の色と異なる分散媒を備える。
【0011】
請求項6記載の発明の表示媒体の駆動装プログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置を構成する印加手段として機能させる。
【0012】
請求項7記載の発明の表示装置は、一対の基板と、前記一対の基板間に形成された電界に応じて前記基板間を移動するように前記基板間に封入された色が異なり且つ同極性に帯電された複数種類の粒子群と、を有する表示媒体と、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2、6、7の発明によれば、複数種類の粒子群のうち何れかの予め定めた粒子群の色を単色で表示する場合に、予め定めた粒子群の色を飽和濃度で表示するための電圧を印加する場合と比較して、混色を防止することができる、という効果を有する。
【0014】
請求項3の発明によれば、複数種類の粒子群のうち2種類以上の粒子群の混色を表示する場合に、当該2種類以上の粒子群の色の各々を飽和濃度で表示するための電圧未満の電圧を印加する場合と比較して、混色の表示濃度を高くすることができる、という効果を有する。
【0015】
請求項4の発明によれば、飽和濃度で表示するための電圧が最も低い粒子群以外の粒子群の色を単色で表示する場合に、当該粒子群の色を飽和濃度で表示するための電圧を印加する場合と比較して、混色を防止することができる、という効果を有する。
【0016】
請求項5の発明によれば、表示基板と背面基板との基板間を空間にした場合と比較して、粒子の泳動性を高めることができる、という効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。作用・機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。また、説明を簡易化するために、適宜1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0019】
また、赤色の粒子を赤粒子R、赤と補色の関係にあるシアン色の粒子をシアン粒子Cと記し、各粒子とその粒子群は同じ記号(符号)によって示す。
【0020】
図1(A)は、本実施形態に係る表示装置を概略的に示している。この表示装置100は、表示媒体10と、表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。駆動装置20は、表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に電圧を印加する電圧印加部30と、表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。なお、表示側電極3及び背面側電極4は、表示基板1及び背面基板2に設けず、外部電極としてもよい。
【0021】
表示媒体10は、画像表示面とされる、透光性を有する表示基板1と、非表示面とされる背面基板2と、が間隙を持って対向して配置されている。また、これら一対の基板1、2間を定められた間隔に保持すると共に、当該基板間を複数のセルに区画する間隙部材5が設けられている。
【0022】
上記セルとは、背面側電極4が設けられた背面基板2と、表示側電極3が設けられた表示基板1と、間隙部材5と、によって囲まれた領域を示している。セル中には、例えば絶縁性液体で構成された分散媒6と、分散媒6中に分散された第1粒子群11、第2粒子群12、及び白色粒子群13が封入されている。これら粒子群や分散媒6を封入するセルは、粒子の表示面内の偏りを生じさせないものであればこの形状に限定されず、例えばマイクロカプセルに封入されたものであっても構わない。
【0023】
第1粒子群11と第2粒子群12は、色が異なり且つ同一極性に帯電され、一対の電極3、4間に予め定めた閾値電界以上の電界を発生させる電圧を印加することにより、第1粒子群11及び第2粒子群12がそれぞれ単独で泳動する特性を有している。一方、白色粒子群13は、第1粒子群11、第2粒子群12よりも帯電量が少なく、第1粒子群11、第2粒子群12が何れか一方の電極側まで移動する電界を発生させる電圧が電極間に印加されても、何れの電極側まで移動しない粒子群である。
【0024】
なお、白色粒子群13を用いるのではなく、分散媒6に着色剤を混合することで、白色を表示させてもよい。あるいは、第1粒子群11や第2粒子群12が通過可能な白色部材を用いてもよく、この白色部材は、不織布や多孔質体、あるいは第1粒子群11や第2粒子群12の粒子径より十分に大きな粒子径の多数の白色粒子を封入してもよい。
【0025】
本実施形態では、第1粒子11は、シアンの色彩を有する正帯電の電気泳動粒子(シアン粒子C)であり、第2粒子12は、シアンの補色である赤の色彩を有する正帯電の電気泳動粒子(赤粒子R)である場合について説明するが、これに限定されない。各粒子の色や粒径は適宜設定すればよい。また、以下の説明で印加する電圧の電圧値も一例であって、これに限定されず、各粒子の帯電極性、粒径、応答性、電極間の距離等に応じて適宜設定すればよい。
【0026】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に表示させる色に応じた電圧を印加することにより、粒子群11、12を泳動させ、それぞれの帯電極性に応じて表示基板1、背面基板2の何れか一方に引き付ける。
【0027】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されている。また、電圧印加部30は、制御部40に信号授受されるように接続されている。
【0028】
制御部40は、
図1(B)に示すように、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成であり、I/O40Eには電圧印加部30が接続されている。この場合、後述する各色の表示に必要な電圧の印加を電圧印加部30に指示する処理をコンピュータ40に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ40Dに書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで実行させる。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0029】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極3及び背面側電極4に印加する。
【0030】
本実施形態では、一例として表示側電極3を接地し、背面側電極4に電圧を印加する場合について説明する。
【0031】
図2には、本実施形態に係る表示装置100において、正に帯電されたシアン粒子C、正に帯電された赤粒子Rを表示基板1側、背面基板2側に移動させるために必要な印加電圧の特性を示した。
図2では、シアン粒子Cの印加電圧特性を特性50C、赤粒子Rの印加電圧特性を特性50Rで表わしている。また、
図2は、表示側電極3をグランド(0V)として背面側電極4に印加された電圧と、各粒子群による表示濃度との関係を示したものである。
【0032】
図2に示すように、背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動開始する電界を発生させるための移動開始電圧(閾値電圧)は+Vcであり、表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動開始する電界を発生させるための移動開始電圧(閾値電圧)は−Vcである。ここで、移動開始電圧とは、背面基板2又は表示基板1側に存在する粒子群が、対向する基板に向かって移動を開始する電界を発生させるための電圧のことをいう。従って、+Vc以上の電圧を印加することで背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動し、−Vc以下の電圧を印加することで表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動する。
【0033】
そして、背面基板2側から表示基板1側へ移動させるシアン粒子Cの粒子量は、例えば印加する電圧のパルス幅(電圧印加時間)を同一にした場合には、印加する電圧の電圧値を変えることで制御される(電圧値変調)。例えば、背面基板2側から表示基板1側へ移動させるシアン粒子Cの粒子量を制御する場合、印加する電圧のパルス幅は同一で、電圧値を+Vc以上の任意の電圧値とすることにより、その電圧値に応じた粒子量のシアン粒子Cを表示基板1側へ移動させられ、表示基板1側に位置したシアン粒子Cの粒子量に従ってC色が表示される。これにより、シアン粒子Cの階調表示が制御される。表示基板1側のシアン粒子Cを背面基板2側へ移動させる場合の粒子量についても同様である。
【0034】
また、背面基板2側の赤粒子Rが表示基板1側へ移動開始する電界を発生させるための移動開始電圧(閾値電圧)は+Vrであり、表示基板1側の赤粒子Rが背面基板2側へ移動開始する移動開始電圧は−Vrである。従って、+Vr以上の電圧を印加することで背面基板2側の赤粒子Rが表示基板1側へ移動し、−Vr以下の電圧を印加することで表示基板1側の赤粒子Rが背面基板2側へ移動する。なお、
図2に示すように、|Vc|>|Vr|であり、赤粒子Rの移動開始電圧(閾値電圧)の電圧値の絶対値よりもシアン粒子Cの移動開始電圧(閾値電圧)の電圧値の絶対値の方が大きい。粒子の移動開始電圧(閾値電圧)は、例えば、粒子材料や粒子の表面被覆材料、添加剤、粒子径、粒子の表面形状、表面積などを変えて、粒子の帯電量を制御することで、基板表面への付着力や、電界から受ける静電力を制御することで調整できる。あるいは、粒子表面材料や、基板表面材料の帯電により生ずる静電引力や、ファンデルワールス力などを利用して調整することもできる。
【0035】
そして、背面基板2側から表示基板1側へ移動させる赤粒子Rの粒子量、表示基板1側から背面基板2側へ移動させる赤粒子Rの粒子量は、前述したシアン粒子Cの場合と同様に、例えば印加する電圧のパルス幅を同一にした場合には、印加する電圧の電圧値によって制御される。
【0036】
なお、印加する電圧の電圧値を同一にして、パルス幅を変えることで移動する粒子の粒子量を制御し、階調表示を制御するようにしてもよい(パルス幅変調)。例えば、背面基板2側から表示基板1側へ移動させるシアン粒子Cの粒子量を制御する場合において、印加する電圧の電圧値を+Vc以上の予め定めた電圧値とした場合、そのパルス幅が長くなるに従って表示基板1側へ移動するシアン粒子Cの粒子量が多くなる。従って、電圧値を固定にして、パルス幅を階調に応じた長さのパルス幅とすることにより、シアン粒子Cの階調表示が制御される。本実施形態では、一例として、電圧値変調により、移動する粒子の粒子量を制御する場合について説明する。
【0037】
ところで、通常の粒子は、粒子径や形状の分布を有したり、材料組成のばらつきなどにより帯電量が全ての粒子で均一ではなく、
図2に示すように、全ての赤粒子Rが表示基板1側へ移動する電圧、すなわち赤を飽和濃度で表示するための電界を発生させる飽和電圧+Vr2は、シアン粒子Cの移動開始電圧+Vcよりも大きくなることがある。このため、背面基板2側に全てのシアン粒子C及び赤粒子Rを移動させた状態(白表示状態)から、赤を単色の飽和濃度で表示させるべく飽和電圧+Vr2を印加した場合、一部のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動してしまうため混色が発生してしまい、赤表示が劣化する場合がある。
【0038】
そこで、本実施形態では、赤を単色で表示する場合、飽和電圧+Vr2未満の電圧であって、シアンとの混色が発生しない範囲の電圧、すなわちシアン粒子Cの移動開始電圧+Vc未満の電圧を印加する。これにより、一部の赤粒子Rが背面基板2側に残るものの、一部のシアン粒子Cが表示基板1側に移動するのが抑制され、混色が発生するのが抑制される。
【0039】
次に、本実施形態の作用として、制御部40のCPU40Aで実行される制御について
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、ステップS10では、表示媒体100に表示させるべき画像の画像情報を例えばI/O40Eを介して図示しない外部装置から取得する。
【0041】
ステップ12では、
図4に示すようにリセット電圧−VRを印加するように電圧印加部30に指示する。ここでは、リセット電圧−VRは、全てのシアン粒子C及び赤粒子Rを背面基板2側へ移動させるための電圧である。すなわち、
図4に示すように、リセット電圧−VRは、シアン粒子Cが飽和濃度となる電界を生じさせる電圧−Vc2よりも低い電圧(電圧値の絶対値が高い電圧)である。このため、リセット用電圧−VRが背面側電極4に印加されると、背面基板2側へ全てのシアン粒子C及び赤粒子Rが移動して付着する。これにより、
図5(A)に示すように、表示基板1側からは白色粒子13による白色が表示される。なお、
図5では、電極及び間隙部材の図示は省略している。
図7、9においても同様である。
【0042】
ステップS14では、取得した画像情報に基づいて、背面側電極4に印加すべき表示色電圧を決定し、電圧印加部30に指示する。電圧印加部30は、制御部40から指示された表示色電圧を背面側電極4に印加する。
【0043】
この表示色電圧は、表示媒体100に表示すべき色の階調に応じた電圧である。例えば赤単色の階調表示を行う場合には、
図4に示すように、表示色電圧は、赤粒子Rの移動開始電圧である+Vrよりも高く、且つ、シアン粒子Cと混色が発生しない電圧である+Vc未満の電圧+V1である。そして、+V1の電圧値は、表示すべき赤色の階調(濃度)に応じた電圧値である。なお、電圧値は同一で、パルス幅によって階調制御してもよい。
【0044】
従って、赤色を例えば最大階調で表示する場合であっても、表示色電圧+V1は、シアン粒子Cと混色が発生しない電圧+Vc未満の電圧であるので、
図5(B)に示すように、一部の赤粒子Rは背面基板2側に残るものの、全てのシアン粒子Cは背面基板2側に残ったままとなるので、赤色表示が劣化するのが抑えられる。
【0045】
また、シアンと赤の2次色である黒色の表示を行う場合には、
図6に示すように、表示色電圧は、全てのシアン粒子C及び赤粒子Rが表示基板1側へ移動する電圧+Vc2よりも高い電圧+V3である。従って、黒色を表示する場合は、
図7に示すように、全てのシアン粒子C及び赤粒子Rが表示基板1側へ移動し、シアン及び赤が飽和濃度で表示されるので、黒色の濃度が低下するのが抑えられる。2種類以上の粒子を用いたカラー表示で、混色を防止するためには、各色の粒子量を少なくして、電圧に応じた表示特性の重なり部分を少なくすることも有効であるが、その場合には、2次色の彩度が低くなったり、十分な粒子量がないため、階調数が少なくなったりすることがあるが、本実施形態によれば、そのような課題を解決できる。
【0046】
また特に、補色による2次色や、後述する3色の粒子による3次色である黒色を表示する場合には、粒子量のバランスが崩れたり、粒子の偏りを生じたりすると、表示された黒色が、表示面に多く分布した粒子の色を帯びて見えてしまう。例えば、赤粒子やマゼンタ粒子が多く分布した領域では赤味を帯びた黒となってしまい、表示の品質が低下する。本実施形態によれば、2次色、3次色の色バランスが無彩色からやや偏ったとしても、粒子量が十分にあれば濃度が高くなり、視感度的には十分な黒として認識され、表示の品質が高くなる。
【0047】
また、本実施形態では、混色を良好に表示するために粒子を透明に近いものにする、あるいは粒子径を小さくすることが望ましい。これにより、3粒子以上の色を用いる場合には、2次色の彩度を高くすることが可能になる。また、各粒子の飽和濃度未満で各粒子の表示彩度を十分に高くするには、粒子に含まれる色材の量や、分散性を十分に高くする。これにより、粒子の発色性が高くなる。
【0048】
また、シアン単色の階調表示を行う場合には、
図7に示す黒表示の状態から、階調に応じた粒子量のシアン粒子Cを表示基板1側に残し、その他のシアン粒子C及び全ての赤粒子Rを背面基板2側に移動させる。従って、シアン単色の階調表示を行う場合には、
図8に示すように、全ての赤粒子Rを背面基板2側へ移動させるための電圧−Vr2よりも低い電圧−V2を背面側電極4に印加する。そして、−V2の電圧値は、表示すべきシアン色の階調(濃度)に応じた電圧値である。なお、電圧値は同一で、パルス幅によって階調制御してもよい。
【0049】
従って、シアン色を例えば最大階調で表示する場合であっても、表示色電圧−V2は、赤粒子Rと混色が発生しない電圧−Vr2未満の電圧であるので、
図9に示すように、一部のシアン粒子Cは背面基板2側に移動するものの、全ての赤粒子Rは背面基板2側に移動するので、シアン色表示が劣化するのが抑えられる。
【0050】
以上、本実施形態に係る表示装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0051】
例えば、泳動しない粒子群として白色粒子群を用いた場合について説明したが、これに限らず、第1粒子群11及び第2粒子群12と異なる色であれば、例えば黒色の粒子群を用いてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、泳動する着色粒子群として同極性の2種類の色の粒子群を用いた場合について説明したが、同極性の3種類以上の色(例えばシアン、マゼンタ、イエロー等)の粒子群を用いてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、シアン粒子Cと赤粒子Rの粒径が同一の場合について説明したが、粒径が異なる複数種類の粒子群を用いてもよい。
【0054】
特に、
図10(A)、(B)に示すように(動作は
図5に示す実施形態と同様)、粒子の移動開始電圧(閾値電圧)を異ならせるために粒子群の粒子径を異ならせると、粒径の大きい粒子ほど帯電量が大きくなり、移動開始電圧(閾値電圧)が小さくなると共に、表示のための電界から受ける静電力が大きいため、表裏の基板間の移動速度も速くなる。このため、閾値の重なりから生じる混色の程度が小さくなり、表示色の彩度がより高くなると共に、総じて表示に要する時間が短くなる。この場合、粒径の大きい粒子は透明性を有する方が、2次色の彩度が高くなるのでより好ましい。
【0055】
ちなみに、本実施形態において移動開始電圧(閾値電圧)の測定は、測定対象の色の粒子群を封入した表示媒体10に対して様々な電圧を印加し、分光器によって測定対象の粒子群の色の波長の反射光の強度、すなわち濃度を測定することにより行う。例えばシアンの波長は約500nmなので、シアン粒子Cの濃度と印加電圧との関係を測定する場合は、この波長の反射光の強度を分光器によって測定する。また、赤粒子Rの波長は約650nmなので、赤粒子Rの濃度と印加電圧との関係を測定する場合は、この波長の反射光の強度を分光器によって測定する。そして、最大濃度に対して例えば5%以下の濃度(反射光の強度)が測定される電圧を移動開始電圧(閾値電圧)として規定し、最大濃度に対して例えば95%以上の濃度を飽和濃度と規定し、飽和濃度が測定される電圧を飽和電圧と規定する。
【0056】
また、本実施形態では、基板間に分散媒を封入した構成の表示媒体を用いた場合について説明したが、基板間を空間(気体)とした表示媒体を用いてもよい。
【0057】
なお、本実施形態で説明した表示装置20の構成(
図1参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。