特許第6133032号(P6133032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133032
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ラス網止め具
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20170515BHJP
   E04F 13/04 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   E04B1/70 D
   E04F13/04 108B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-213263(P2012-213263)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-66093(P2014-66093A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390025612
【氏名又は名称】富士川建材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】森岡 春生
(72)【発明者】
【氏名】井上 清
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 秀典
(72)【発明者】
【氏名】大原 信二
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−133693(JP,A)
【文献】 実開昭58−179342(JP,U)
【文献】 実開昭51−102221(JP,U)
【文献】 実開昭56−135039(JP,U)
【文献】 実開昭59−124243(JP,U)
【文献】 実開昭51−064529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/70
E04F 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱の外面側に断熱材が配置される外張断熱壁に設けられるラス網を係止するラス網止め具であって、ビス又は釘が挿通されるパイプ状を有し、上記断熱材に入れられて上記柱に至るスペーサーと、非回転操作で上記ラス網に差し込まれる係止具と、を備えており、上記スペーサーおよび当該スペーサーの手前端に設けられた上記係止具がビス又は釘によって上記柱に固定されることを特徴とするラス網止め具。
【請求項2】
請求項1に記載のラス網止め具において、上記係止具の上記内側部と外側部とは繋ぎ部位により繋がれており、上記ビス又は釘の打ち込みによって上記内側部と外側部とが近接して上記ラス網を圧接固定することを特徴とするラス網止め具。
【請求項3】
請求項2に記載のラス網止め具において、上記繋ぎ部位に上記ビス又は釘の横からの係合のためのカット部が形成されていることを特徴とするラス網止め具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のラス網止め具において、上記繋ぎ部位は折り返しによる湾曲形状を有し、湾曲面が上記外側部より外側に出ていないことを特徴とするラス網止め具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のラス網止め具において、上記係止具の外側部は平坦形状を有することを特徴とするラス網止め具。
【請求項6】
請求項1に記載のラス網止め具において、上記係止具の上記内側部と外側部とは繋がれており、上記内側部と外側部との間の部分で上記ラス網を下から受けて支持することを特徴とするラス網止め具。
【請求項7】
請求項1に記載のラス網止め具において、上記係止具の上記内側部と外側部とは繋がれており、折り曲げにより上記内側部と外側部とが上記ラス網を挟んで対向することを特徴とするラス網止め具。
【請求項8】
パイプ状のスペーサーと、上記スペーサーの一端側に位置し、ラス網を挟む内側部と外側部とを有する係止具と、上記係止具および上記スペーサーを貫通するように設けられるビス又は釘と、上記スペーサーの周囲に設けられたリング状の止水材と、を備えることを特徴とするラス網止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、湿式の外張断熱壁を構築するときに用いるラス網を支持するためのラス網止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
図21は、胴縁101を用いた湿式の外張断熱壁100の内部構造を示した説明図である。柱102の内壁側の面に石膏ボード103が配置されており、上記柱102の外壁側の面に断熱材104が配置されている。上記石膏ボード103と上記断熱材104との間に空気層105が形成され、この空気層105によって外壁の断熱効果が高められる。上記断熱材104の外側面には胴縁101が設けられている。そして、上記胴縁101の外側面にラス網106が取り付けられており、このラス網106の裏面側(紙部側)に上記胴縁101の厚さの奥行き幅で通気層107が形成されている。さらに、上記ラス網106の表面側にモルタル108が塗布され、このモルタル108上に仕上げ材109が取り付けられる。
【0003】
上記胴縁101を用いた上記外壁構造では、上記通気層107において縦方向の通気は確保できるが横方向に通気を行うことはできない。
【0004】
特許文献1には、上記胴縁101を用いないことで横方向の通気を確保する外壁構造に用いるラス網取付金具が開示されている。この外壁構造では、下地板上に、多数の窪み部を有する通気型枠シートが配置される。そして、上記ラス網取付金具は上記窪み部に嵌められた状態でステープルによって上記下地板に固定される。さらに、上記通気型枠シート上にラス網が配置される。上記ラス網は上記ラス網取付金具に形成されているフック部に係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−137324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された外壁構造は、横方向にも通気を確保できるものの、外張断熱壁を構築できてはいない。
【0007】
この発明は、上記の事情に鑑み、断熱材の表側に形成される通気層において横方向にも通気を確保できる外張断熱壁を構築するのに好適なラス網止め具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のラス網止め具は、上記の課題を解決するために、パイプ状のスペーサーと、上記スペーサーの一端側に位置し、ラス網を挟む内側部と外側部とを有する係止具と、上記係止具および上記スペーサーを貫通するように設けられるビス又は釘と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記スペーサーの長さを外張断熱壁の柱の外側に配置する断熱材の厚みよりも長くしておくことにより、このスペーサーを上記断熱材に突き刺して当該スペーサーの奥端を上記柱に当てた状態において、手前端となる一端側を上記断熱材から突き出させることができる。また、上記係止具および上記スペーサーを貫通する上記ビス又は釘を上記柱(間柱を含む)に固定することで、上記スペーサーの一端側に位置する上記係止具は上記断熱材から離間して状態で固定され、上記断熱材とラス網との間に通気層を形成することになる。上記ラス網止め具は上記柱の縦方向に間隔をおいて点在して設ければよいので、上記通気層において横方向にも通気を確保することができる。
【0010】
上記ラス網止め具において、上記係止具の上記内側部と外側部とは繋ぎ部位により繋がれており、上記ビス又は釘の打ち込みによって上記内側部と外側部とが近接して上記ラス網を圧接固定するようにしてもよい。これによれば、上記ラス網の動きを制限して適切にモルタル塗り等が行えることになる。
【0011】
上記繋ぎ部位に上記ビス又は釘の横からの係合のためのカット部が形成されていてもよい。これによれば、上記スペーサーと上記係止具と上記ビス又は釘の装着手順の自由度が向上するとともに、上記スペーサーと上記係止具との位置合わせにおいて厳密さは要求されない利点等が得られる。
【0012】
上記繋ぎ部位は折り返しによる湾曲形状を有し、湾曲面が上記外側部より外側に出ないようにしてもよい。これによれば、上記係止具の繋ぎ部位がラス網の表側で飛び出す程度が軽減され、適切にモルタル塗り等が行えることになる。
【0013】
上記係止具の外側部は平坦形状を有していてもよい。これによれば、上記係止具の外側部がラス網の表側で飛び出す程度が軽減され、適切にモルタル塗り等が行えることになる。
【0014】
上記係止具の上記内側部と外側部とは繋がれており、上記内側部と外側部との間の部分で上記ラス網を下から受けて支持するようにしてもよい。
【0015】
上記係止具の上記内側部と外側部とは繋がれており、折り曲げにより上記内側部と外側部とが上記ラス網を挟んで対向するようにしてもよい。
【0016】
上記係止具の上記内側部と外側部とが分離されており、上記内側部が上記スペーサーの上記一端側に固定されていてもよい。この構成において、上記分離された上記外側部の周囲に鉤爪が形成されていてもよい。
【0017】
上記スペーサーの周囲にリング状の止水材が設けられていてもよい。これによれば、外張断熱壁の断熱材に差し込まれた上記スペーサーの外周面と上記断熱材と間から結露水などがしみ込んでいくのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のラス網止め具であれば、断熱材の表側に形成される通気層において横方向にも通気を確保できる外張断熱壁を容易に構築できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態のラス網止め具を示した説明図である。
図2図1のラス網止め具を用いた外張断熱壁を示した説明図である。
図3】同図(A)は図1のラス網止め具のスペーサーを示した平面図であり、同図(B)は上記ラス網止め具の係止金具を示した斜視図であり、同図(C)は上記ラス網止め具のビスを示した斜視図である。
図4】同図(A)(B)は図1のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図5】同図(A)(B)は図1のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図6】同図(A)(B)は図1のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図7】同図(A)(B)は図1のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図8】本発明のラス網止め具で用いる係止金具の他の例を示した斜視図である。
図9】本発明のラス網止め具で用いる係止金具の他の例を示した斜視図である。
図10】本発明のラス網止め具で用いる係止金具の他の例を示した斜視図である。
図11図9のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図12】本発明のラス網止め具で用いる係止金具の他の例を示した斜視図である。
図13図12のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図14】本発明のラス網止め具で用いる係止金具の他の例を示した図であり、同図(B)は平面図、同図(A)は同B−B断面、同図(C)は同A−A断面図である。
図15図14のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図16】係止金具の他の例を示した斜視図である。
図17図16の係止金具の分解図である。
図18図16のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図19】他の構成例のラス網止め具の取り付けを示した説明図である。
図20図1のラス網止め具を用いた外張断熱壁を示した説明図である。
図21】従来の胴縁を用いた外張断熱壁を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この発明の実施形態に係るラス網止め具1は、所定の長さを有した例えば円筒形状のパイプからなるスペーサー2と、上記スペーサー2の一端側に位置する係止金具3と、上記係止金具3および上記スペーサー2を貫通するように設けられるビス4と、を備える。
【0021】
図2および図20は、上記ラス網止め具1を用いた外張断熱壁5を示している。なお、図20では、上記ラス網止め具1とラス網54との係合状態の図示は省略している。上記外張断熱壁5における柱51の外側の面には、厚さが例えば30mm程度の断熱材52が配置されている。上記断熱材52の外側面には遮熱透湿防水シートが貼り付けられている。上記断熱材52と上記柱51の裏面に配置される石膏ボード50との間に空気層58が形成される。上記断熱材52の外側面上(遮熱透湿防水シート上)であって上記柱51の正面から外れた位置(柱間、間柱間)に断面H形の補助スペーサー53がその長手方向を縦にして配置されている。この補助スペーサー53はその一方のフランジ部に設けられた両面粘着テープなどによって上記断熱材52に接着される。上記補助スペーサー53のウェブ部には貫通穴53aが多数形成されており、当該補助スペーサー53を上記のように配置しても上記断熱材52の外側面上に形成された通気層59において横方向にも通気が確保される。上記補助スペーサー53は例えば高さが15mm程度、幅が14mm程度、長さは短いもので50mm程度とされる。上記補助スペーサー53の表側にラス網54が配置される。
【0022】
上記スペーサー2の長さは、上記断熱材52の厚さ寸法に上記補助スペーサー53の高さを加えた長さ程度とされる。上記スペーサー2は、上記ラス網54の力受けとなる例えば力骨54aの少し下側に打ち込まれ、当該ラス網54の紙部を破り、上記断熱材52を貫通して上記柱51に達するように設けられている。上記スペーサー2の本体部2aの外周にはリング状の止水材2dが設けられている。この止水材2dは上記断熱材52の外側面(遮熱透湿防水シート)と接触するように、上記断熱材52の厚みを考慮した位置に巻かれている。
【0023】
上記ビス4によって上記スペーサー2に上記係止金具3が連結されている。上記係止金具3の内側部3aは、上記力骨54aの少し下側において上記ラス網54の網目箇所から当該ラス網54の紙部を破って当該ラス網54の内側(裏側)に配置されている。上記係止金具3の外側部3bは、上記ラス網54の外側(表側)に位置している。すなわち、上記係止金具3は、上記内側部3aと外側部3bとによって上記ラス網54および上記力骨54aを挟み込むようにセットされている。そして、上記スペーサー2に差し込まれた上記ビス4が上記柱51にねじ込まれている。このねじ込みによって、上記係止金具3の内側部3aと外側部3bとが近接して上記ラス網54が圧接固定され、上記ラス網54が上記ラス網止め具1を介して上記柱51に固定されている。上記ラス網止め具1は柱の縦方向に所定間隔で複数設けられる。
【0024】
上記ラス網54にはモルタル55が塗布されている。このモルタル55の塗布によって上記ラス網54の紙部は後方へ押しやられようとするが、上記補助スペーサー53が設けられているので、上記紙部の後方移動は制限される。同様に、上記ラス網止め具1が設けられた箇所においても、上記係止金具3の内側部3aは上記紙部を破って当該ラス網54の内側に位置しているので、上記紙部の後方移動は制限される。上塗りモルタル55上には仕上げ材56が設けられている。
【0025】
図3(A)、(B)、(C)は、上記スペーサー2と、上記係止金具3と、上記ビス4をそれぞれ拡大して示している。上記スペーサー2は樹脂(ポリアセタールなど)からなる。上記スペーサー2の本体部2aの奥端には厚肉のリブ部2bが形成されており、手前端には厚肉のリブ部2cが形成されている。また、上記スペーサー2の本体部2aの周囲に巻かれる上記止水材2dとしては、例えば独立発泡型の発泡材からなる止水テープが用いられる。また、上記止水材2dは、上記リブ部2b、2cの形成箇所の外径と等しい外径を形成するような厚さ(例えば1mm程度)を有する。なお、上記本体部2aの厚さを厚くすることによって上記リブ部の形成を省略し得る。また、上記スペーサー2を金属で形成してもよく、この場合にもリブ部を省略し得る。また、上記スペーサー2は角筒状でもよい。上記止水材2dを配置する位置にリブを形成しておいてもよく、その場合に上記リブが上記止水材2dを配置する位置の目安になる。他のリブの凸量と上記止水材2dを配置したリブの上記止水材2dを含む凸量とを同じにしておくのがよい。
【0026】
上記係止金具3の内側部3aの先端は、上記ラス網54の紙部を破りやすいように、先鋭に形成されている。上記係止金具3の内側部3aは、上記外側部3bよりも長く形成されている。上記係止金具3の内側部3aの先端側は、上記外側部3bに近づく方向に折り曲げられており、上記係止金具3の内側部3aと外側部3bとが近接して上記ラス網54を圧接固定する時に、上記ラス網54の紙部を裏面から受け止めるようになっている。一方、上記内側部3aの先鋭とされる部位は上記紙部から遠のく方向に曲げられており、上記係止金具3の内側部3aと外側部3bとが近接して上記ラス網54を圧接固定する時に、上記先鋭とされる部位が上記紙部を破かないようになっている。
【0027】
上記係止金具3の上記外側部3bは平坦形状を有する。また、上記内側部3aと外側部3bとは繋ぎ部位3cによって一体的に繋がれている。この繋ぎ部位3cは折り返しによる湾曲形状を有し湾曲面が上記外側部3bより外側に出ないようになっている。また、上記繋ぎ部位3cには、上記ビス4の横からの係合を可能にするカット部3dが形成されている。
【0028】
上記ビス4は例えば90mmの長さを有する。また、上記ビス4の頭部は例えばなべ頭とされる。
【0029】
図4(A)および図4(B)に示すように、上記係止金具3の上記内側部3aを上記ラス網54の紙部を破って裏側に挿入する。そして、上記係止金具3の内側部3aと外側部3bとの間に力骨54aを位置させる。上記係止金具3が装着される箇所には柱51が位置している。
【0030】
図5(A)および図5(B)に示すように、上記係止金具3を少し押し上げて、上記繋ぎ部位3cのあたりに上記力骨54aを位置させる。そして、上記係止金具3の下方位置に上記スペーサー2をセットし、このスペーサー2内に上記ビス4を差し込む。
【0031】
図6(A)および図6(B)に示すように、上記ビス4を電動ドライバー60で回し、上記スペーサー2を押し込んでその奥端を上記柱51に当てる。そして、上記電動ドライバー60を逆回転させて上記ビス4の頭部を15mm程度浮かせる。
【0032】
図7(A)および図7(B)に示すように、上記ビス4の浮き上がった頭部の下に上記係止金具3のカット部3dを用いて上記繋ぎ部位3cの箇所に上記ビス4を横からスライドさせて係合させる。このとき、上記外側部3bの先端と上記力骨54aとの距離が5mm以上確保されるようにする。この状態を維持確保しながら、上記電動ドライバー60によって上記ビス4を本締めする。
【0033】
このように、ラス網止め具1は、上記パイプ状のスペーサー2と、上記スペーサー2の一端側に位置し、ラス網54を挟む内側部3aと外側部3bとを有する係止金具3と、上記係止金具3および上記スペーサー2を貫通するように設けられるビス4と、を備えている。上記スペーサー2の長さを上記柱51の外側に配置する上記断熱材52の厚みよりも長くしておくことにより、このスペーサー2を上記断熱材52に突き刺して当該スペーサー2の奥端を上記柱51に当てた状態において、手前端となる一端側を上記断熱材52から突き出させることができる。また、上記係止金具3および上記スペーサー2を貫通する上記ビス4を上記柱51に固定することで、上記スペーサー2の一端側に位置する上記係止金具3は上記断熱材52から離間して固定され、上記断熱材52とラス網54との間に通気層59を形成することになる。上記ラス網止め具1は上記柱51の縦方向に間隔をおいて点在して設ければよいので、上記通気層59において横方向にも通気を確保できる。
【0034】
上記ラス網止め具1においては、上記スペーサー2の周囲にリング状の止水材2dが設けられているので、上記断熱材52に差し込まれた上記スペーサー2の外周面と上記断熱材52(遮熱透湿防水シート)と間から結露水などがしみ込んでいくのを防止することができる。
【0035】
上記ラス網止め具1においては、上記内側部3aと外側部3bとが上記繋ぎ部位3cにより繋がれており、上記ビス4の締め込みによって上記内側部3aと外側部3bとが近接して上記ラス網54を圧接固定するので、上記ラス網54の動きを制限して適切にモルタル塗り等が行えることになる。
【0036】
上記ラス網止め具1においては、上記ビス4の横からの係合のためのカット部3dが形成されているので、上記スペーサー2と上記係止金具3と上記ビス4の装着手順の自由度が向上するとともに、上記スペーサー2と上記係止金具4との位置合わせにおいて厳密さは要求されない利点が得られる。
【0037】
上記ラス網止め具1においては、上記係止金具3の外側部3bは平坦形状を有しているので、上記ビス4で締め付けた状態において、上記係止金具3の外側部3bがラス網54の表側で飛び出す程度が軽減され、適切にモルタル塗り等が行えることになる。
【0038】
上記ラス網止め具1においては、上記繋ぎ部位3cは折り返しによる湾曲形状を有し、湾曲面が上記外側部3bより外側に出ないようにしているので、上記ビス4で締め付けた状態において、上記係止金具3の繋ぎ部位3cがラス網54の表側で飛び出す程度が軽減され、適切にモルタル塗り等が行えることになる。
【0039】
また、上記ラス網止め具1による上記ラス網54の係止固定においては、胴縁等に対するラス網の直付けとはならず、上記柱51から上記スペーサー2の長さ分、距離をおいた位置でモルタル壁をフレキシブルに支持することになり、このモルタル壁の移動が許容される。これにより、地震等によってモルタル壁にひび割れが入るのを低減することができる。また、外壁構築の手順としては、上記断熱材52の配置の後に胴縁を配置していくのではなく、上記断熱材52の配置の後にラス網54を仮止めして上記ラス網止め具1を装着していく手順となり、作業が簡単迅速に行えるようになる。また、上記スペーサー2の長さを変えて通気層59の厚みを調整できる。
【0040】
図8に示された係止金具31は、外側部3bが平坦でない形状を有しており、また、湾曲する繋ぎ部位3cは、湾曲面が外側部3bより外側に出てしまうようになっている。このような係止金具31を用いた場合でも、上記ビス4の締め込みによって上記内側部3aと外側部3bとが近接して上記ラス網54を圧接固定できるので、上記ラス網54の移動を制限して適切にモルタル塗り等が行えることになる。また、上記ビス4の横からの係合のためのカット部3dが形成されているので、上記スペーサー2と上記係止金具3と上記ビス4の装着手順の自由度が向上する。
【0041】
図9に示された係止金具32は、内側部3aと外側部3bとが繋がれており、上記内側部3aと外側部3bとの間の部分で上記ラス網54を下から受けて支持することができる。上記係止金具32は、上記ラス網54の紙部を突き刺せるようにはなっていない。また、カット部3dは有さず、ビス挿通穴3eを有している。
【0042】
図10に示された係止金具33は、内側部3aと外側部3bとが繋がれており、上記内側部3aと外側部3bとの間の部分で上記ラス網54を下から受けて支持することができる。上記係止金具33は、上記ラス網54の紙部を突き刺せるようにはなっていない。また、カット部3dは有さず、ビス挿通穴3eを有している。
【0043】
上記係止金具32、33を用いた場合でも、図11に示すように、上記スペーサー2と上記ビス4との組み合わせで上記ラス網54を支持することができる。そして、上記係止金具32を用いたラス網止め具1についても点在して設けることができので、上記通気層59において横方向にも通気を確保することができる。
【0044】
図12および図13に示された係止金具34は、内側部3aと外側部3bとが繋がれており、折り曲げにより上記内側部3aと外側部3bとが上記ラス網54を挟んで対向するようになっている。上記係止金具34にはビス挿通穴3eおよび長穴3fが形成されており、上記の折り曲げにより、上記外側部3b上の上記長穴3fがビス挿通穴3eに重なり、この状態で上記ビス4を挿通することができる。上記係止金具34を用いた場合でも、上記スペーサー2と上記ビス4との組み合わせで上記ラス網54を結束して支持することができる。そして、上記係止金具34を用いたラス網止め具1についても点在して設けることができので、上記通気層59において横方向にも通気を確保することができる。
【0045】
図14に示された係止金具35は、内側部3aと外側部3bとが繋がれており、上記内側部3aと外側部3bとの間の部分で上記ラス網54を下から受けて支持することができる。上記係止金具35は、上記ラス網54の紙部を突き刺せるようにはなっていない。また、カット部3dは有さず、ビス挿通穴3eを有している。さらに、上記係止金具35は、内側部3aを2片、外側部3bを2片有する。
【0046】
上記係止金具35を用いた場合でも、図15に示すように、上記スペーサー2と上記ビス4との組み合わせで上記ラス網54を支持することができる。そして、上記係止金具35を用いたラス網止め具1についても点在して設けることができので、上記通気層59において横方向にも通気を確保することができる。
【0047】
図16および図17に示された係止金具36は、内側部3aと外側部3bとが分離されており、上記内側部3aが上記スペーサー2の一端側に固定されている。上記内側部3aと外側部3bは円形を有しており、上記内側部3aよりも外側部3bの方が大きくされている。また、上記分離された上記外側部3bの周囲の例えば2カ所に鉤爪3gが形成されている。上記鉤爪3gは上記内側部3aの側に突出し、さらに接線方向に90°折れ曲がって形成されている。
【0048】
上記係止金具36を用いた場合でも、図18に示すように、上記スペーサー2と上記ビス4との組み合わせで上記ラス網54を支持することができる。そして、上記係止金具36を用いたラス網止め具1についても点在して設けることができので、上記通気層59において横方向にも通気を確保することができる。
【0049】
図19に示された係止金具37は、上記係止金具36と同様、内側部3aと外側部3bとが分離されたものであるが、外側部3bが四角形状を有しており、大きな鉤爪3gを有している。
【0050】
なお、上記係止金具31〜37に用いられるスペーサー2においても、止水材2dが設けられたものを用いることができる。また、ビス4に代えて釘を用いることも可能である。
【0051】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 ラス網止め具
2 スペーサー
2d 止水材2d
3 係止金具
3a 内側部
3b 外側部
3c 繋ぎ部位
3d カット部
31〜37 係止金具
4 ビス
5 外張断熱壁
50 石膏ボード
51 柱
52 断熱材
53 補助スペーサ
54 ラス網
54a 力骨
55 モルタル
図1
図2
図3
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図5
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