特許第6133049号(P6133049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133049カムによって作動するクラッチ機構を備える、自己保持式医療用装置制御ハンドル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133049
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】カムによって作動するクラッチ機構を備える、自己保持式医療用装置制御ハンドル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-273239(P2012-273239)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-123649(P2013-123649A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】13/327,448
(32)【優先日】2011年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ブイ・セルキー
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−045719(JP,A)
【文献】 特開2007−181689(JP,A)
【文献】 特開平06−292728(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0272975(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0165484(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0082584(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02289408(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより操作される少なくとも1つの第1機構、及び前記第1機構を操作するための少なくとも1つの第1牽引部材を有する医療用装置のための制御ハンドルであって、前記制御ハンドルは、
ハウジングと、
第1作動アセンブリと、を備え、前記作動アセンブリは、
第1作動装置、
第1回転軸を画定する長さを有するシャフトであって、前記第1作動装置が、前記シャフト上部に載置され、かつ前記第1回転軸に対して略垂直な面と平行に延在する、シャフト、
前記シャフト上に載置され、かつこれに回転連結された滑車アームであって、前記滑車アームは、前記シャフトの回転で前記第1牽引部材を作動させるように適合される、滑車アーム、
係合及び係合解除のために構成されたクラッチ機構であって、前記クラッチ機構は摩擦ディスク及び摩擦誘導面を有し、前記摩擦ディスクは、前記シャフト上に載置され、かつこれに回転連結され、前記摩擦ディスクは係合中に前記摩擦誘導面と接触し、係合解除中は前記摩擦誘導面と接触しない、クラッチ機構、を含み、
前記シャフトは、前記第1作動装置が前記クラッチ機構の係合解除のために前記面と平行でない位置に旋回されるときに、前記第1作動装置の旋回操作に基づき前記シャフトの長さに沿っ並進運動、前記クラッチ機構の係合解除中には、前記第1作動装置の回転操作に基づき回転運動する、制御ハンドル。
【請求項2】
前記第1作動装置が、第1係合面及び第2係合面を提供するカム部分を有し、前記第1係合面は、前記第1作動装置が前記面と平行に延在しているときに前記ハウジングに設けられた軸受の外側表面と当接し、前記第2係合面は、前記第1作動装置が前記面と平行でない位置にあるときに前記軸受の前記外側表面と当接する、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項3】
前記第1係合面が略平坦であり、前記第2係合面が湾曲している、請求項2に記載の制御ハンドル。
【請求項4】
前記第1作動装置が、旋回軸を中心に旋回可能であり、前記第1係合面と前記旋回軸との間の第1分離距離が、前記第2係合面と前記旋回軸との間の第2分離距離よりも小さい、請求項3に記載の制御ハンドル。
【請求項5】
前記シャフトが、前記第1作動装置の旋回に応答して、第1位置と第2位置との間で前記シャフトの長さに沿っ並進する、請求項4に記載の制御ハンドル。
【請求項6】
前記摩擦ディスクを付勢し、前記摩擦誘導面に接触させるよう適合される付勢部材を更に備える、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項7】
前記クラッチ機構が、前記摩擦誘導面と共に構成されるクラッチハウジングを含む、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項8】
前記付勢部材が、前記シャフト上に載置された圧縮荷重ワッシャである、請求項6に記載の制御ハンドル。
【請求項9】
前記シャフトが外端を有し、前記第1作動装置は、前記第1作動装置が上に旋回載置される前記外端を受容する拡大貫通穴を有する、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項10】
前記医療用装置は、第2牽引部材を用いてユーザーにより操作される第2機構を有し、前記制御ハンドルは、第2回転軸を有する第2作動アセンブリを更に含み、前記第1及び第2回転軸は、軸方向に位置合わせされるが、回転可能に独立しており、前記第2作動アセンブリは、
第2作動装置、
前記第2作動装置に回転連結され、前記第2回転軸を画定する、第2シャフト、
前記第2シャフト上の平歯車構成、及び
前記平歯車構成の回転に応答する並進運動のために、前記平歯車構成に応答し、前記第2牽引部材の近位端が内部に固定されるラックを含む、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項11】
前記第2作動アセンブリが、前記第2シャフト上に載置される圧縮荷重ワッシャを更に含み、前記圧縮荷重ワッシャは、前記第2回転軸が延在する方向において、前記第2作動装置と前記平歯車構成との間に位置し、前記第2作動装置の回転に応答して前記平歯車構成が回転するように、前記圧縮荷重ワッシャは前記平歯車構成を付勢する、請求項10に記載の制御ハンドル。
【請求項12】
請求項1に記載の制御ハンドルを備え、マッピング及び/又はアブレーションのために適合された医療用装置であるカテーテル。
【請求項13】
前記第1作動装置が、第1係合面及び第2係合面を提供するカム部分を有し、前記第1係合面は、前記第1作動装置が前記面と平行に延在しているときに前記ハウジングに設けられた軸受の外側表面と当接し、前記第2係合面は、前記第1作動装置が前記面と平行でない位置にあるときに前記軸受の前記外側表面と当接する、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記第1係合面が略平坦であり、前記第2係合面が湾曲している、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記第1作動装置が、旋回軸を中心に旋回可能であり、前記第1係合面と前記旋回軸との間の第1分離距離が、前記第2係合面と前記旋回軸との間の第2分離距離よりも小さい、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記シャフトが、前記第1作動装置の旋回に応答して、第1位置と第2位置との間で前記シャフトの長さに沿っ並進する、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記摩擦ディスクを前記摩擦誘導面と接触するよう付勢する、付勢部材を更に備える、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記クラッチ機構が、前記摩擦誘導面と共に構成されるクラッチハウジングを含む、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記付勢部材が、前記シャフト上に載置された圧縮荷重ワッシャである、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記カテーテルは、第2牽引部材、及び、前記第2牽引部材を用いてユーザーにより操作される第2機構を有し、前記制御ハンドルは、第2回転軸を有する第2作動アセンブリを更に含み、前記第1及び第2回転軸は、軸方向に位置合わせされるが、回転可能に独立しており、前記第2作動アセンブリは、
第2作動装置、
前記第2作動装置に回転連結され、前記第2回転軸を画定する、第2シャフト、
前記第2シャフト上の平歯車構成、及び
前記平歯車構成の回転に応答する並進運動のために、前記平歯車構成に応答し、前記第2牽引部材の近位端が内部に固定される、ラックを含む、請求項12に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置のための制御ハンドルに関し、詳細には複数の滑車ワイヤを制御する複数の機構を有する制御ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療行為で一般的に用いられている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られ部位を除去するために用いられる。心房細動は、一般的な持続性心不整脈であり、脳卒中の主な原因である。この病状は、異常な心房組織基質内で伝播するリエントラント型ウェーブレットによってウェーブレット遮断するために、様々な方法が開発されており、外科的又はカテーテル媒介心房切開が含まれる。病状を治療する前に、まず、ウェーブレットの位置を判定しなければならない。そのような判定を行うために、様々な技術が提案されており、構造の内周周囲の肺静脈、環状静脈洞、又は他の管状構造内の活性を測定するように適合されたマッピングアセンブリを備えるカテーテルの使用が含まれる。そのようなマッピングアセンブリの1つとして、カテーテル本体に対してほぼ横断方向、かつその遠位側に位置し、所定の外周を有するほぼ円形の主領域と、主領域の遠位側に位置するほぼまっすぐな遠位領域とからなる管状構造を有するものがある。この管状構造は、少なくともマッピングアセンブリの主要領域を覆う非導電性カバーを備える。形状記憶を有する支持部材は、少なくともマッピングアセンブリの主要領域内に配置される。複数の電極対(それぞれ2つの環電極を含む)は、マッピングアセンブリの概ね円形の主要領域によって担持される。
【0003】
使用中、電極カテーテルは、主要静脈又は動脈、例えば、大腿動脈に位置付けられている誘導シース内に挿入され、かつ心室内に誘導される。心室内で、カテーテルは、誘導シースの遠位端を通過して伸展し、マッピングアセンブリを暴露させる。カテーテルは、カテーテルの遠位側部分の偏向などの動作を介して操作され、これによりマッピングアセンブリは心室の管状領域に配置される。カテーテルの正確な位置及び配向、並びにマッピングアセンブリの構成を制御する能力は、非常に重要であり、カテーテルの有用性が主にこれにより決まる。
【0004】
可動型カテーテルは、一般的に公知である。例えば、米国特許第Re 34,502号は、その遠位端にピストンチャンバを有するハウジングを備える、制御ハンドルを有するカテーテルについて記述している。ピストンは、ピストンチャンバ内に載置され、縦方向移動が与えられる。細長いカテーテル本体の近位端は、ピストンに付着される。滑車ワイヤがハウジングに取り付けられ、ピストンを通り、カテーテル本体を通ってカテーテル本体の遠位端の先端部分内へと延びている。滑車ワイヤの遠位端は、カテーテルの先端部分内に固定される。この配置では、ハウジングに対するピストンの縦方向動作は、カテーテルの先端部分の偏向をもたらす。
【0005】
米国再発行特許第RE 34,502号に述べられる設計は、1本の滑車ワイヤを有するカテーテルに一般的に限定される。2方向の偏向が望ましい場合には、1本よりも多い滑車ワイヤが必要となる。更に、マッピングアセンブリを収縮させるなどの更なる制御が望ましい場合には、追加の滑車ワイヤが必要となる。更に、滑車ワイヤを作動させる機構は、この機構が、ユーザーによる連続的な制御を必要とすることなく、カテーテルの偏向及び/又はマッピングアセンブリの収縮を維持できるように自己保持であることが望ましい。したがって、ハンズフリー状態で使用できる複数の滑車ワイヤを動かすことができる制御ハンドルのニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、医療装置の制御ハンドルに関する。医療用装置、特に電気生理カテーテルの作動する構成要素が増えて装置がより複雑化するのに従って、制御ハンドルが複数の滑車ワイヤを独立して制御する必要が生じている。本発明の制御ハンドルは、医療用装置の機構の操作時に、少なくとも1つの滑車部材を作動するために第1作動アセンブリを利用し、医療用装置の他の機構の操作時に他の滑車部材の作動ために第2作動アセンブリを利用し、第1及び第2アセンブリは、互いに回転連結されることなく、共通の回転軸を画定する。
【0007】
一実施形態では、第1作動アセンブリは、シャフト、及び第1作動装置、滑車アーム、並びにクラッチ機構を有し、それぞれシャフト上に載置され、かつシャフトと回転連結され、滑車アームは少なくとも1つの滑車部材上で作動するように適合される。シャフトの端部において、又はシャフトの端部付近に載置されて、第1作動装置は、シャフトに対して略垂直である面に延び、ここではシャフトはユーザーによって、面から外とへ旋回され、回転される。クラッチ機構は摩擦ディスクを含み、これもまた、シャフト上に載置され、第1作動装置を、制御ハンドル内部の摩擦誘導面との摩擦接触を通じて、シャフトを中心とした回転に耐えることによって自己保持にする。有利なことに、シャフトは、クラッチ機構を係合解除するために、作動装置が面から外へ旋回したときに、摩擦ディスクを摩擦誘導面との接触から解除する並進運動と、作動装置が回転したときに、滑車部材を作動する回転運動に適合される。少なくとも1つの滑車部材は、ユーザーが第1機構(例えば、第1機構を操作することによって中間区域の偏向)を調節することができるように、制御ハンドルから医療用装置の第1機構まで延びる。
【0008】
より詳細な実施形態では、第1作動装置は2つのカム表面を備えるカム部分を有する拡大ノブであり、ここでは1つのカム表面は、一方向でシャフトを並進させ、摩擦ディスクを移動させて摩擦誘導面との接触から外し、これによってシャフトの回転を可能にし、滑車アームが滑車部材を作動させることを可能にすることによって、クラッチ機構を係合解除し、他方のカム面は、シャフトを反対方向に並進させることによって、摩擦ディスクを摩擦誘導面と接触させ、これによってシャフトの回転に抵抗する。ユーザーによって能動的に係合解除されるまで、クラッチ機構が係合して第1作動装置を自己保持にするように、圧縮荷重ワッシャは、シャフト上に載置され、アセンブリに予め負荷を与える。
【0009】
他の実施形態では、制御ハンドルは第2滑車部材、第2シャフトを有する第2作動アセンブリ、第2シャフト上に載置され、これに回転連結される第2作動装置、及び第2シャフトの回転に応答する並進部材を含み、第2作動装置がユーザーによって回転されたときに、第2滑車部材の近位端は、作動のために並進部材に固定される。より詳細な実施形態では、第2シャフトは平歯車構成を有し、これは回転時に並進部材上のラック形成に作用し、並進部材を移動させる。第2シャフトの回転軸は、空間を節約する手段として、第1作動アセンブリの回転軸と軸線が位置合わせされているが、シャフトは互いに回転可能に独立している。ユーザーが第2機構、例えば螺旋部分を有する遠位アセンブリを、第2作動装置を操作することによって調整することができるように、第2滑車部材は制御ハンドルから、医療用装置内の第2機構まで延びる。第2作動装置はまた、第2シャフト上に載置された圧縮荷重ワッシャによって自己保持である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のこれらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮し、以下の詳細な説明を参照することによってより充分な理解がなされるであろう。選択した構造及び特徴は、残りの構造及び特徴を見やすくするために、図面によっては示されていない点を理解されたい。
図1】本発明のカテーテルの一実施形態の平面図。
図2A】第1の直径に沿った、カテーテル本体と中間部分の連結部の一実施形態の側断面図。
図2B】第1の直径にほぼ垂直な第2の直径に沿った、図2Aの連結部の実施形態の側断面図。
図3図2A及び2Bの中間部分の端部断面図。
図4】遠位アセンブリの一実施形態の側面図。
図5】5−5線に沿った、図4の遠位アセンブリのほぼまっすぐな近位端部の端部断面図。
図6】軸方向に位置合わせされているが、互いに回転可能に独立している第1作動アセンブリ及び第2作動アセンブリを示す、図1の制御ハンドルの透視図。
図7A】線7−7に沿った、係合したクラッチ機構を有する、図1の制御ハンドルの端部断面図。
図7B】係合解除されたクラッチ機構を有する、図7Aの制御ハンドルの端部断面図。
図8A】第1作動部材、例えば偏向ノブの実施形態の側面斜視図。
図8B図8Aの偏向ノブの別の側面斜視図。
図9A】滑車アームの一実施形態の頂部斜視図。
図9B図9Aの滑車アームの端部斜視図。
図10】カム作動シャフトの実施形態の側面斜視図。
図11A】クラッチハウジングの実施形態の側面斜視図。
図11B図11Aのクラッチハウジングの別の側面斜視図。
図12】圧縮荷重ワッシャの実施形態の側面斜視図。
図13】軸方向のスラスト軸受の実施形態の側面斜視図。
図14】ラジアル軸受の実施形態の側面斜視図。
図15】滑車の一実施形態の側面斜視図。
図16】スリーブ軸受の実施形態の側面斜視図。
図17A】中間形態、右偏向形態、及び左偏向形態にある制御ハンドルの実施形態の概略図。
図17B】中間形態、右偏向形態、及び左偏向形態にある制御ハンドルの実施形態の概略図。
図17C】中間形態、右偏向形態、及び左偏向形態にある制御ハンドルの実施形態の概略図。
図18A】回転トラックを備えて形成された外側表面を有するラジアル軸受の実施形態の側面斜視図。
図18B図18Aのラジアル軸受の内側表面の側面斜視図。
図19】部分的なスプラインシャフトの代替的実施形態の側面斜視図。
図20】第2作動部材、例えば収縮ワイヤダイアルの実施形態の側面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、医療装置の構成要素の少なくとも2つの独立した動作又は操作を行うための滑車ワイヤなどの少なくとも2個の引張り滑車部材を備えた医療装置とともに使用するための制御ハンドル10に関する。この制御ハンドルは、例えば、心臓を初めとする組織のマッピング及び/又はアブレーション用に構成された電気生理(EP)カテーテル10など、様々な任意の医療機器とともに使用することができ、この一実施形態は図1に示される。有利な点として、第1のアクチュエータが医療装置の1つの構成を操作するために使用され、第2のアクチュエータが医療装置の別の構成を操作するために使用される。
【0012】
図1のカテーテル10は、細長いカテーテル本体12、細長いカテーテル本体12の遠位端にある偏向可能な中間部分14、及び、中間部分14の遠位端に位置する、例えば、螺旋形状を有する遠位アセンブリ17を有する先端部分15を含む。図1及び6に示される実施形態では、カテーテルとともに使用することができる制御ハンドル16は、制御ハンドル16からカテーテル本体12及び中間部分14を通って延びる少なくとも1本の滑車ワイヤ(2本の滑車ワイヤでない場合)を作動させて中間部分を1方向又は2方向に偏向させるように構成された、例えば、2方向偏向ノブ50のような第1のアクチュエータを有している。本発明の1つの構成に基づけば、制御ハンドルは、中間部分14から延びる更なる別の(又は第3の)滑車ワイヤを作動させることによって遠位アセンブリ17の独立した操作又は調節を行う、例えば、遠位アセンブリの螺旋形状を収縮させるための、第1のアクチュエータ50と反対側に位置する、例えば、ダイアル52のような第2のアクチュエータを有している。各アクチュエータは、他方のアクチュエータ又はその滑車ワイヤに影響することなく、別々に、かつ独立して作動させることができる。
【0013】
図2A及び2Bを参照すると、カテーテル本体12は、1本の中央又は軸方向管腔18を有している。カテーテル本体12は、可撓性すなわち折曲可能であるが、その長さに沿っては実質上、非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の適当な構造のものであってよく、任意の適当な材料で形成することができる。一実施形態では、カテーテル本体12は、ポリウレタン又はPEBAXで形成された外壁22を有する。外壁22は、カテーテル本体12の捻り剛性を高めるために包埋されたステンレス鋼などの編組メッシュを有しており、このため制御ハンドル16が回転させられるとカテーテル10の先端部分がこれに対応して回転する。
【0014】
カテーテル本体12の外径はさほど重要ではないが、好ましくは約2.67mm(8フレンチ)以下である。同様に、外壁22の厚さもさほど重要ではない。外壁22の内側表面は、任意の適当な材料、好ましくはポリイミドで形成することができる補強管20で裏打ちされている。補強管20は、カテーテル本体12の近位端において外壁22に対して定位置に保持される。第1の接着剤接合部23は、速乾性接着剤、例えば、Super Glue(登録商標)により補強管20の遠位端と外壁22の末端との間に形成される。その後、第2の接着剤接合部25が、より遅乾性ではあるがより強力な接着剤、例えば、ポリウレタンを使用して補強管20の近位端と外壁22の近位端との間に形成される。
【0015】
補強管20は、編組された外壁22とともに高い捻れ安定性を与えると同時にカテーテルの壁厚を最小化することで単一の管腔の直径を最大化する。補強管20の外径は、外壁22の内径とほぼ同じか、又はそれよりもわずかに小さい。ポリイミド管材は、極めて薄い壁にすることができる一方で極めて優れた剛性を与えることから好適である。これにより、強度及び剛性を犠牲にすることなく中央管腔18の直径が最大化される。ポリイミド材料は、折曲される際に捻れる傾向があるため、通常は補強管には使用されない。しかしながら、特にステンレス鋼製の編組メッシュを有するポリウレタン、PEBAX又は他の同様の材料の外壁22と組み合わせると、ポリイミド補強管20が折曲される際に捻れる傾向は、カテーテルが使用される用途に関しては本質的に取り除かれる。
【0016】
一実施形態では、外壁22は、約2.34mm(0.092インチ)の外径及び約1.60mm(0.063インチ)の内径を有し、ポリイミド補強管20は、約1.56mm(0.0615インチ)の外径及び約1.32mm(0.052インチ)の内径を有する。
【0017】
図2A、2B及び3に示されるように、中間部分14は、複数の管腔、例えば、第1の管腔30、第2の管腔31、第3の管腔32、及び第4の管腔33を有する管材19のより短い部分を有している。管材19は、カテーテル本体12よりも可撓性の高い適当な非毒性材料で形成することが好ましい。管材19に適した材料は、編組ステンレス鋼などのメッシュが包埋された編組ポリウレタンである。カテーテル本体12の外径と同様、中間部分14の外径は約2.67mm(8フレンチ)以下であることが好ましい。管腔のサイズはさほど重要ではない。一実施形態では、中間区域は、約2.34mm(7フレンチ(0.092インチ))の外径を有し、各管腔は約0.55mm(0.022インチ)の直径を有する概ね同じサイズであるか、又は選択された管腔が約0.91mm(0.036インチ)のわずかに大きな直径を有してもよい。
【0018】
カテーテル本体12を中間部分14に取り付ける手段が、図2A及び2Bに示されている。中間部分14の近位端は、ポリイミド強化材20の外側表面を受容する内側カウンターボア24を有している。中間部分14とカテーテル本体12とは接着剤29などによって取り付けられている。
【0019】
図2A及び2Bに示されるように、例えば、リードワイヤ及び複数の滑車ワイヤ、並びに任意の他のワイヤ又はケーブルなどの異なる構成要素が、カテーテル本体12の単一の管腔18を通して延びる。カテーテル本体12に対する滑車ワイヤの長手方向の運動によって、ユーザーが制御ハンドルを介してカテーテルの様々な部品を制御することが可能である。上記に述べたように、一実施形態では、中間部分14を偏向させるための第1及び第2の滑車ワイヤ42、及び、先端部分15の遠位アセンブリ17を操作及び調節するための第3の滑車ワイヤ35が設けられる。
【0020】
単一管腔のカテーテル12は、単一の管腔18本体によってカテーテル10を回転させる際に先端部の高い制御性が与えられることから複数管腔の本体よりも好ましい場合がある。単一の管腔18は、構成要素をこれに挿通してカテーテル本体の内部において自由に浮動することを可能とする。このような構成要素が複数の管腔の内部に拘束されると、ハンドル16を回転させる際にこれらの構成要素にエネルギーが蓄積し、例えば、ハンドルが解放される場合にカテーテル本体12が逆方向に回転するか、又は湾曲部を回り込んで曲げられる場合に裏返ってしまう傾向が生じるが、これらはいずれも望ましくない性能特性である。
【0021】
更に図3に示されるように、1本の偏向滑車ワイヤ42が、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、中間部分14の第2の管腔31内へと延びている。別の偏向滑車ワイヤ42が、中央管腔18を通り中間部分14の第4の管腔33内に延びている。これに関し、平面内で2方向の偏向を行うためには管腔31、33は偏心した、互いに正反対の位置になければならない。偏向滑車ワイヤ42の遠位端は、当業者には理解されるように、T字アンカー(図示なし)を用いることによって、中間部分14の遠位端の近くの管材19の壁に固定される。中間部分14では、偏向滑車ワイヤ42はそれぞれ、中間部分14が偏向させられる際に偏向滑車ワイヤ42が中間部分14の管材19の壁に食い込むことを防止する、例えば、Teflon(登録商標)などのプラスチック製シース81を通って延びている。
【0022】
図2Bに示されるように、偏向滑車ワイヤ42を包囲する関係にある圧縮コイル44が、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の近位端へと延びている。圧縮コイル44は、例えば、ステンレス鋼などの任意の適当な金属で形成される。圧縮コイル44は、可撓性、すなわち折曲性を与えるが圧縮には耐えるようにそれ自身に緊密に巻かれている。圧縮コイル44の内径は、好ましくは、滑車ワイヤ42の直径よりもわずかに大きい。例えば、滑車ワイヤ42が約0.18mm(0.007インチ)の直径を有する場合、圧縮コイル44は約0.20mm(0.008インチ)の内径を有することが好ましい。滑車ワイヤ42にコーティングされたTeflon(登録商標)によって、滑車ワイヤ42は圧縮コイル44の内部で自由に摺動することができる。圧縮コイル44の外側表面は、可撓性の非導電性シース27によって被覆されることによって、圧縮コイル44とリードワイヤ及びケーブルなどの他の要素との接触が防止される。一実施形態では、非導電性シースはポリイミド管材で形成される。
【0023】
各圧縮コイル44は、それらの近位端においては接着剤接合部51によってカテーテル本体12内の補強管20の近位端に固定され(図2B)、それらの遠位端においては接着剤接合部49によって第2の管腔31及び第4の管腔33内の中間領域14の近位端付近に固定される(図2B)。
【0024】
図4を参照すると、中間部分14の遠位端には遠位アセンブリ17が配置されている。遠位アセンブリ17は、ほぼまっすぐな近位端側領域38及びほぼ円形の主領域39を含む。近位領域38は中間区分14に取り付けられ、主要領域39は、マッピング及び/又はアブレーションのために複数の電極を保持する。図5の実施形態では、遠位アセンブリ17は管材61を含む。遠位アセンブリ上に支持される形状記憶部材54及び電極用のリード線40が、管材61の管腔を通り、中間部分14及びカテーテル本体12内に延びている。
【0025】
開示される実施形態では、第3の滑車ワイヤ、すなわち収縮滑車ワイヤ35が、例えば、心臓の円形領域又は管状領域をマッピング又はアブレーションする際に、ほぼ円形の主領域39を収縮させることによって、その直径を変化又は減少させるために設けられる。収縮ワイヤ35は、以下に更に述べるように、制御ハンドル16内に固定された近位端を有する。収縮ワイヤ35は、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、中間部分14の第3管腔32を通り(図3)、遠位アセンブリ17内へと延びる(図5)。
【0026】
第3の圧縮コイル46が、カテーテル本体12及び収縮ワイヤ35を包囲する中間部分シャフト14内に配置されている(図2A)。第3の圧縮コイル46は、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の第3の管腔32の遠位端の近くにまで延びている。第3の圧縮コイル46は、ステンレス鋼などの任意の適当な金属で形成され、可撓性、すなわち折曲性を与えるが圧縮には耐えるようにそれ自身に緊密に巻かれている。第3の圧縮コイル46の内径は、収縮ワイヤ35の直径よりもわずかに大きいことが好ましい。圧縮コイル46の外側表面は、例えば、ポリイミド管材で形成された可撓性の非導電性シース68によって被覆されている。第3の圧縮コイル46は、好ましくは正方形又は長方形の断面を有するワイヤで形成され、これにより円形の断面積を有するワイヤで形成された圧縮コイルよりも圧縮性が小さくなる。その結果、第3の圧縮コイル46は、収縮ワイヤ35が遠位アセンブリ17を収縮させるように操作されて遠位アセンブリ17がより多くの圧縮を吸収する際に、カテーテル本体12、特に中間部分14が偏向することを防止する。
【0027】
第3の圧縮コイル46は、その近位端において近位端側の接着剤接合部50によってカテーテル本体12の強化管20に固定され、中間部分14には遠位端側の接着剤接合部によって固定される。
【0028】
カテーテル10の全体を通じて、接着剤接合部はポリウレタン接着剤などからなりうる点は理解されるであろう。接着剤は、管材の壁に形成された穴からシリンジなどによって塗布することができる。そのような穴は、針が永久的な孔を形成するために十分に加熱されるチューブ壁を穿孔する、例えば、針等によって形成されてよい。次いで、糊は、チューブ材内の部品周辺でウィッキングして、構成要素の全周囲の周りに糊接合部を形成するように、孔を通して導入される。
【0029】
遠位アセンブリ17の環電極に付着したリードワイヤ40は、中間部分14の第1管腔30(図2A)を通り、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、制御ハンドル16を通って延在し、環電極から受信した情報を受信及び表示するための適切なモニター又は他のデバイスに連結される連結装置(図示なし)内の近位端で終端する。カテーテル本体12の中央管腔18、制御ハンドル16及び中間部分14の近位端を通って伸びるリードワイヤ40の部分は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製できる保護シース63内に封入される。
【0030】
電磁位置センサ(図示されていない)が遠位アセンブリ17の内部又はその近く、例えば、中間部分14の遠位端の内部に取り付けされる。センサケーブル36が、センサから、中間部分の管腔30内(電極導線ワイヤ40に沿って)、カテーテル本体12の中央管腔18内、更に制御ハンドル内へと延び、ここで適当なコネクタ(図示されていない)で終端する。
【0031】
図6及び7Aに示される実施形態では、制御ハンドル16は、滑車ワイヤ42の対によって中間区分14を2方向に偏向させるための偏向ノブ50を含む、自己保持のカム作動偏向制御アセンブリ13を含む。各滑車ワイヤ42は、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の適当な金属で形成される。各滑車ワイヤは、Teflon(登録商標)コーティングなどの低摩擦コーティングを有することが好ましい。各滑車ワイヤは、約0.15mm(0.006インチ)〜約0.30mm(0.012インチ)の範囲の直径を有することが好ましい。両方の滑車ワイヤが同じの直径を有することが好ましい。平板な滑車ワイヤを丸い滑車ワイヤの代わりに使用することもできる。その断面の寸法は、丸い滑車ワイヤと同等の引張強度を与えるようなものでなければならない。
【0032】
また、滑車ワイヤの全体又は一部を引張り繊維によって置き換えることもよい。繊維は、高分子密度ポリエチレン(例えば、Spectra(商標)又はDyneema(商標))、紡糸パラアラミド繊維ポリマー(例えば、Kevlar(商標))、溶融紡糸液晶ポリマー繊維ロープ(例えば、Vectran(商標))、高強度セラミック繊維(例えば、Nextel(商標))などの実質的に、2480〜3200MPa(412〜463ksi)の範囲の最大引張り強度を、好ましくは有する高弾性率の繊維材料とすることができる。本明細書において「繊維」(fiber)なる用語は、引張り繊維が織られた又は編まれた構造体でありうるという点で、複数形の繊維(fibers)と互換可能に使用される。いずれの場合においても、これらの材料は可撓性を有する傾向にあり、カテーテルを偏向する際により大きく動かすため、プーリなどと巻回関係に係合させるのに使用される場合に適当な耐久性を与えるものである。更に、これらの材料は実質的に非伸縮性であることから、制御ハンドルの操作に対する反応性が高く、また非磁性であることからMRIではほぼ透明に見える。材料は低密度であるため、X線機器ではほぼ透明となる。短絡を防止するために材料を非電導性とすることもできる。例えば、Vectran(商標)は、高い強度、高い耐摩耗性を有し、電気絶縁体、非磁性であり、ポリマーであり、更に持続的な負荷条件下での伸び率が低い。したがって、本明細書において使用するところの「ワイヤ」なる用語は、ワイヤ、引張り繊維、又は、ワイヤ部分と引張り繊維部分とからなる引張り部材でありうると理解される。
【0033】
図1に示されるように、制御ハンドル16は、任意の好適な剛性材料で作製することが可能な、概ね細長いハンドルハウジングを含む。ハウジングは、一体構造であってもよく、又は2個の対向する半部16a、16bが接着剤、超音波溶接、又は他の適当な手段によって接合されたものであってもよい。偏向制御、すなわち方向転換アセンブリ13は、使用者によるノブ50の操作に応答して中間区域14の2方向の偏向をもたらす。方向転換アセンブリは、その構成要素に対してほぼ中心となる回転軸60を有する。軸60は、制御ハンドルの長手方向軸64に対してほぼ垂直である。
【0034】
例示の実施形態では、方向転換アセンブリ13は、ハンドルハウジング16aの外に載置される第1制御ノブ50(図8A及び8B)と、制御ハンドル16内部のクラッチ機構54と、制御ハンドル16内の滑車アーム62(図9A及び9B)と、制御ハンドル16を通じて横断方向に延びる、クラッチ作動シャフト58(図11)とを含み、滑車アーム62及びクラッチ機構54はシャフト58上に載置される。クラッチ機構は、シャフト及びクラッチハウジング56(図11A及び11B)に回転連結される摩擦ディスク57を含み、これは、シャフト及びクラッチハウジングが互いに接触するときに、摩擦ディスクで摩擦トルクを生じさせる2つ摩擦誘導面をもたらす。クラッチ機構はまた、摩擦ディスク57のための支持ワッシャ59と、ユーザーによる偏向設定が、ユーザーが連続的にノブ50を保持する必要なく維持されるように、ノブ50を自己保持にさせる圧縮荷重ワッシャ61(図12)と、を含む。
【0035】
本発明の特徴によると、シャフト58は、ユーザーによりノブ50に適用された力に応じた移動のために適合される。開示の実施形態では、ノブ50の旋回は、クラッチ機構を係合解除する並進運動をシャフトに付与し、ノブ50の回転は、滑車アームを作動して滑車機構42に作用させる回転運動をシャフトに付与する。
【0036】
図10の例示の実施形態では、クラッチ作動シャフト58は、2つの端部66a、66bを有する略円筒形の本体65、及び制御ハンドル16の幅より小さい所定の長さを有する。図7Aに示されるように、第1端部66aは、第1端部66aが、ラジアル軸受スリーブ71によって裏打ちされているハンドルハウジング半部16aにおいて、穴70を通じて外側に延びるとき、ハンドルハウジングの半部16aによって支持される。第1端部66aは、ノブ50が第1端部66a上に載置されているハンドルハウジングの半部16aの外側に、軸方向のスラスト軸受73(図13)を通じて更に延びる。ノブは、y軸に沿って延びるシャフト58に対して略垂直なx/y面84(図6)に延びる。
【0037】
図7Aに示されるように、制御ハンドル16の内部で、シャフト58はクラッチハウジング56(これは、クラッチハウジング56とは別の構成要素であってもよく、又はそうでなくてもよいラジアル軸受69(図14)によって裏打ちされている)の中心穴68を通じて延びる。シャフトの第2端部66bは、対向するハウジングの半部16bに向かって延びる。したがって、シャフト58は、制御ハンドルの長手方向軸64に対して垂直である回転軸60を画定する。
【0038】
図10の実施形態に例示されているように、上にノブ50が載置されているシャフト58の第1端部66aは、2つの対向する平坦な表面76を備える、より薄い断面75を形成する2つの外側に刻み目付きの部分を有する。2つの平坦な表面76の間のシャフト本体65の長さに対して横断方向に、より薄い断面75に沿って延びるのは、旋回ピン78(図6)によるノブの載置用の第1貫通孔77である。第1貫通孔77は、シャフト本体65に沿って長手方向へと延びる、より長い直径を備える細長い又は楕円形の断面を有する。第1貫通孔77と連通するのは、第1貫通孔77と、シャフト本体の隣接する端面81との間に長手方向に延びる部分的な穴79である。部分的な穴79は、穴77における旋回ピン78の位置を調節するための調節止めねじ81(図6)を受容する。支持ワッシャ59(例えばろう付けされたワッシャ)は、それがシャフトに軸方向に、かつ回転固定されるように、シャフト本体65に固定される。接着剤等によってワッシャ59に固定されて、摩擦ディスク57はまた、シャフト58に軸方向に、かつ回転固定される。摩擦ディスク57は、任意の摩擦誘導材料、例えば、セラミック化合物のマトリックスを含む、有機若しくは半金属配合物、鉱物繊維、及び約0.45〜0.55の範囲の摩擦係数をもたらす銅繊維の成形シートから作製することができる。
【0039】
図7Aを参照すると、支持ディスク59の外側には、圧縮荷重ワッシャ61(例えば皿ばね(図12))である。摩擦ディスク57の直ぐ内側は、クラッチハウジング56である。図11A及び11Bの例示の実施形態では、ハウジング56は、摩擦ディスク57に面する、より大きな円形凹部83と連通する中心穴68と、支持ディスク59と、圧縮荷重ワッシャ61を備えるブロック本体53を有する。ラジアル軸受69で裏打ちされて、中心穴68は、クラッチハウジング56が上に載置されているシャフト58を受容する。凹部83はしかしながら、制御ハンドルハウジング16aの内側表面115にクラッチハウジング56を固定するためのネジ留め74を受容する凹部83を包囲する周辺領域において、複数の穴67をブロック本体53が有するときに、内側キャビティ113を形成するように概ね閉じられている。凹部83は、摩擦ディスク57の概ね同様な直径よりもわずかに大きな直径を備えて寸法決めされ、ディスク59及びワッシャ61を支持しながら、これらの構成要素にクリアランスを提供する。以下に更に説明されるように、クラッチが係合解除されたときに、キャビティ113の範囲内で、回転軸60に沿って、摩擦ディスク57が凹部83の内側表面117との接触から離れて移動されるクリアランスを設けるように、凹部83は、クラッチハウジング56の厚さよりも小さいが、これらの構成要素の組み合わされた厚さよりも大きい、y軸に沿った軸方向深さを有する。
【0040】
更に、シャフト58の第2端部66b(図10)の方には、滑車アーム62をシャフト本体65に軸方向にかつ回転連結する圧力嵌め接続ピン83によって、滑車アーム62を載置するための貫通穴82がある。ラジアル軸受119(図16)は、滑車アーム62の中心穴121を裏打ちしてもよい。滑車123(図15)は、中心穴121を挟んで互いに対向する対応貫通穴125を占有する。
【0041】
図17A〜17Cに例示されるように、滑車ワイヤ42は制御ハンドルの遠位端のポートを通じて制御ハンドル16に入る。滑車ワイヤは、スリット開口部127(図9B)を通じて滑車アーム62に入り、各ワイヤは、スリット開口部127を通じて滑車アームが出る前に約180°にわたってそれぞれの滑車123の周囲に巻回、すなわち巻き付けられる。滑車部材42それぞれの近位端は、制御ハンドル16に対して固定された停止部147に固定される。一方向においてノブ50を回転することによって、滑車アーム62は、シャフト58によって滑車部材42上で引く方向において、その方向において中間区域14を偏向させる面上で回転される。同様な滑車アームは米国特許第7377906号に記述されており、この開示全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0042】
本発明の特徴によると、クラッチ機構が係合する際に、摩擦ディスク57とクラッチハウジング56との間に、これらが互いに接触するときに生じる摩擦トルクは、シャフト58の回転に抵抗し、滑車アーム62が上に固定して載置されることによって、ノブ50を自己保持にするように機能する。したがって、ノブが面84内に残っている状態での、回転軸60を中心とした偏向ノブ50の回転は、係合時にクラッチ機構54によって有利に抵抗される。クラッチ機構を係合解除するために、ノブ50は、以下に詳細に記載されるように、面84から外へ旋回される。
【0043】
図8A及び8Bの例示に実施形態では、ノブ50は、2つの中央カム部分86、拡大端部88を備える2つの端部87、外側に面する表面89、内側に面する表面90、及び2つの側面92を備える細長い本体85を有する。本体85は、シャフト58の第1端部66a上の中央カム部分86で載置され、細長い本体85が面84(図6)を画定するように、シャフトに対して垂直に位置付けられる。拡大端部87は、(1)ノブ50を「面外」に旋回して、クラッチ機構54を解除すること、及び(2)ノブ50を半径方向に旋回し、同時に、カテーテルの二方向の偏向のために滑車アーム62を「面外」に回転させること、を含む、ユーザーの親指及び指によって操作されるノブ50のために適合される。
【0044】
ノブ50の旋回操作は、ノブ50の2つの中央カム部分86を含む。中央カム部分の間には、シャフト58の第1端部66aを受容する、外側に面する表面89と内側に面する表面90との間に延びる貫通開口部94がある。図6で良く分かるように、シャフト58の楕円形の貫通開口部77と位置合わせされているのは、より小さな、かつ円形の貫通孔95であり、これはノブ50が面84内で、及び面84から外へ旋回するための旋回軸199を提供するときに、旋回ピン78を受容するためにノブ50の側面92を通じて延びる。とりわけ、ノブ50が、面84から外に旋回し、クラッチ機構54を係合解除するときに、端部66aが貫通孔94において操作するための空間を有するように、シャフト58の第1端部66aを受容する貫通開口部94は、第1端部66aよりも実質的に大きくなっている。部分的に軸方向の孔79における止めねじ80は、ノブ50における旋回の遊びの量を調節するために、貫通孔77において、旋回ピン78の横方向の位置を調節するために使用される。
【0045】
図8Aで最も良く分かるように、ノブの中央カム部分86はそれぞれ、内側に面する表面90から突出するカム突出部97で形成される。カム突出部97はそれぞれ、シャフト58の直径よりもわずかに大きい長さLを備える略平坦な接触面99と、この平坦な接触面99の対向する面上に2つの湾曲した表面、すなわち「円形角部」100を有する。これらの角部100は有利なことに、貫通孔77までのそれらの距離、及び/又はそれを中心にノブ50が旋回する旋回ピン78に関して、平坦な接触面99とは異なる。したがって、面84から外に旋回するノブ50は、軸方向のスラスト軸受73の外側表面101に対するカム突出部97の係合を、平坦な表面99から、いずれかの角部100に変更する。カム係合におけるこの変更は、以下に更に詳細に説明されるように、クラッチ機構を係合解除するために、制御ハウジングに対して軸方向にシャフト58を並進させる。
【0046】
図7A及び7Bを参照して、クラッチ機構54はハウジング56、摩擦ディスク57、支持ワッシャ59、及び圧縮荷重ディスク61を含み、これらはそれぞれ、シャフト58上に載置され、シャフト58に軸方向にかつ回転連結される。ハウジングの半部16aの内側表面115に対しててこ入れしながら、圧縮荷重ディスク61は、シャフト58の回転に対して摩擦トルクを生じさせるときに、クラッチハウジング56の凹部83の内側表面117に対して、それを圧縮させることによって、摩擦ディスク57を事前に搭載する。したがって、「面内」の偏向ノブ50によって(図7A)、ノブは回転に抵抗し、有利なことに、クラッチ機構54がユーザーによって係合解除されるまで、カテーテルの所望の偏向のためにユーザーによって設定されたように、x/z面84内の任意の半径方向の位置に留まる。
【0047】
クラッチ機構54を係合解除するために、ユーザーは、2つの拡大端部87(図7B)のいずれかの上でノブ50を内側に押すことによって、面84から外にノブ50を旋回させる。ノブ50がこの方法で旋回されると、軸方向のスラスト軸受73の外側表面101に対するカム係合面は、カム突出部97の平坦な表面99から、ユーザーによって押圧される拡大された端部87により近い下部角部100の上方若しくは下方セットまで変わる。この変化は、軸方向のスラスト軸受73上の係合面と、旋回軸96(図6)との間の分離距離を、距離R1から、距離R2まで増加させ、これは旋回ピン78/旋回軸96を外側に移動させ、シャフト58を外側に並進させる。クラッチ機構54の摩擦ディスク57(支持ワッシャ59及び圧縮荷重ワッシャ61と共に)がシャフト58上に固定されるため、摩擦ディスク57もまた外側に並進され、クラッチハウジング56の凹部表面117との摩擦接触から外に移動される。このため、クラッチ機構54が係合解除され、ノブ50を介してシャフト58がユーザーによって自由に回転されるようにする。このように、ノブ50の回転は、ノブ50が面84から外に旋回されたときにのみ、クラッチ機構の係合解除によって促進される。
【0048】
軸方向のスラスト軸受は、制御ハンドルの半部16aの一体部分であってもよいということが理解される。例えば、制御ハウジングが30%のガラスが充填されたポリカーボネート材料で作製された場合、それは約10〜15体積%のTeflon(登録商標)を含んで、ノブ50の回転中にカム突出部97と外側のハンドルハウジング表面との間の静的及び動的接触摩擦を低減してもよい。更に、玉軸受け型の軸方向のスラスト軸受は、カム突出部97と外側ハンドルハウジング表面との間に配置された(ハンドル表面の摩耗を低減するために)よりコストの低い金属ワッシャによって交換されてもよく、ここでハンドルハウジングは、摩擦改質剤(例えば、teflon、シリコン、及び/又はカーボンファイバー)と共に、ポリマー配合物から射出成形され、作動中にノブ50の、均一で粘着しないスリップ作動をもたらす。
【0049】
圧縮荷重ワッシャ61は、ハウジングの半部16aに対して押圧され、これと同時にクラッチ機構54は係合解除されるために、クラッチ機構は、再係合に向かって、圧縮荷重ワッシャ61によって付勢される。すなわち、いったんユーザーがノブ50の旋回を解除すると、圧縮荷重ワッシャ61は、その最初の形状に跳ね返るため、これによってシャフト58を自動的に内側に並進させ、摩擦ディスク57を押し戻し、その凹部表面117と摩擦接触させる。この並進は、ノブ50をその面84(図7A)に引き戻し、ここでは、軸方向のスラスト軸受73とのカム係合面は、平坦な表面99に戻る。再び、クラッチ機構54が係合され、ノブ50が回転に抵抗する。
【0050】
それぞれの偏向滑車ワイヤ42がその滑車123の周囲で繰り返し行いうる折り曲げサイクルのため、制御ハンドル内部の各滑車ワイヤの部分、特に滑車の周囲の部分は、応力及び歪みに対する耐久性が高い、上記に述べたような引張り繊維部分から形成することができる。このため、圧着コネクタ129(図17A〜17C)が、第1及び第2の遠位滑車ワイヤ区分42Dのそれぞれの近位端を、対応する近位引張繊維部分42Pのそれぞれの遠位端に連結するために設けられている。
【0051】
図6及び7Aを参照して、他方のハウジングの半部16bに概ね収容されているのは、第2滑車ワイヤ作動アセンブリ110であり、これは部分的に外側のスプラインを備えるシャフト112、外側スプラインと連結している内側スプラインによってシャフト112に回転連結されている平歯車114、シャフト112の回転に応答する並進部材116、圧縮荷重ワッシャ118、及び作動ダイアル52を含む。平歯車114は、図19に示されるように単一構成要素として溝が付けられたシャフト112と一体の平歯車構成として形成されてもよいということが理解される。平歯車とシャフトの組み合わせは、製造コストを低減するために、単一片の射出成形設計であってもよい。シャフト及び歯車は、射出成形された粉末金属から作製されてもよく又はシャフトは金属(例えば真鍮合金260又はステンレス鋼)であってもよく、プラスチックの平歯車は金属シャフト上にインサート成形されてもよい。シャフト112は長手方向軸の孔120を有する。内側端部において、穴は、第1作動アセンブリ13のクラッチ作動シャフト58の第2端部66bを受容する。シャフト58及び112が、互いに独立して回転できるように、並びに第2端部66bが、必要に応じてシャフト112から外に並進できるように、第2端部66bは、孔120に対して直径においてわずかに小さく寸法決めされる。したがって、第1作動アセンブリのシャフト58と、第2作動アセンブリのシャフト112との間には厳格な回転連結は存在しないが、それらは軸方向に位置合わせされる。
【0052】
開示される実施形態では、並進部材は、ラック116との係合において、平歯車114(又は、本明細書で同じ意味で用いられる平歯車構成)の下に位置付けられたラック116であり、これによって、平歯車114の回転は、制御ハンドル16の長手方向軸64における並進運動(矢印131)をラック116に付与する。ラック116は、上昇した隆起部、又は制御ハンドルハウジングの半部16bの内側表面124に形成されるトラック122上に位置する。トラック122は、長手方向に沿ってラック116の動作をガイドする。一方向におけるダイアル52の回転は、遠位に並進するラックとなり、反対方向における回転は、近位に並進するラックとなるということが理解される。第3滑車部材35の近位端はラック116に、ラックの並進運動が、カテーテルの他の機能を操作するとき(例えば遠位アセンブリのらせん形体を締め付ける)第3滑車部材を作動するように固定される。
【0053】
図7Aで最もよく示されるように、作動ダイアル52は、シャフト112の外側端部130上に載置され、これは制御ハンドルハウジングの半部16bにおける貫通孔132を通じて延びる。貫通孔132は、ラジアル軸受119(図18A及び18B)で裏打ちされ、これはハウジングの半部16bの一部として一体成形されてもよい。その点において、ハウジングの半部のいずれか、又はその両方は、様々なワッシャが圧縮されるときに、長期間の荷重状態において、恒久的な変形のリスクを最小限にするために、繊維ガラス(例えば、約30体積%の繊維ガラス)を有するプラスチック材料で作製されてもよい。軸受119は、長期間の圧縮負荷下における、ハンドルハウジングの恒久的な変形、又は「クリープ」を防ぐために、焼結金属スリーブ軸受であってもよい。
【0054】
図20の例示の実施形態では、作動ダイアル52は、円形断面を備えるディスク形状を有する。シャフト112の外端130は、作動ダイアル52の中央部分孔136に受容される。互いに反対に位置する2本の径方向横通孔150が、ダイアル52の中央部分通孔136と連通している。ダイアル52とシャフト112との回転可能な連結においてシャフト112と摩擦接触するように各通孔150には止めネジ152が挿入されている。作動ダイアル52には、シャフト112と平行な偏心通孔156が形成されている。この孔156は、ベアリング119の外に面する表面143に形成されたC字状溝160(図18A)と連通している。圧入ピン162が、その端部が溝160に受容され溝に沿って動くようにして通孔156に挿入されている。溝の両端部164は、遠位アセンブリ17を調節するための第3の滑車ワイヤ35の最大及び最小移動範囲を設定するダイアル52の回転運動の大きさを限定するうえで、ピン162の係止要素として機能する。溝160は、制御ハンドルの半部16bの一部として一体成形することができる点は理解されるであろう。
【0055】
第2ロック押さえネジ168によって、ダイアル52は第2のシャフト112に固定される。押さえネジ168もまた、シャフト112上の構成要素の軸方向の圧縮の調節、特に圧縮荷重ワッシャ118を可能にすることによって、ダイアル52を自己保持にする漸増的な摩擦調節手段を提供する。ネジ168は、より大きな孔136と連通し、これと軸方向に位置合わせされるダイアル52の中央孔138を受容する。ネジ168は、内部の孔120を通じてシャフト112に係合する。シャフト112上に載置された保持リング170(図7A)は、平歯車114に対してシャフト112を固定する。保持リング170は、第2アセンブリを定位置に固定し、また軸受119に対して圧縮ワッシャ118を事前に搭載して、ダイアル52を自己保持にする。
【0056】
使用時には、適当な案内シースをその遠位端が所望の位置に配置された状態で患者の体内に挿入する。本発明とともに使用するのに適した案内シースの一例として、バイオサイエンス・ウェブスター社(Biosense Webster, Inc.)(カリフォルニア州ダイヤモンドバー)より市販されるPreface(商標)Braiding Guiding Sheathが挙げられる。シースの遠位端は、例えば、心房などの心室のうちの1つの内部に案内される。本発明の一実施形態に基づくカテーテルは、その遠位端が案内シースの遠位端から延出するまで案内シースを通じて送られる。カテーテルが誘導シースを通じて送られる際、遠位アセンブリ17はシースを通り抜けるようにまっすぐにされる。カテーテルの末端が所望の位置に配置された時点で、誘導シースが近位端方向に引かれると、偏向可能な中間部分14及び遠位アセンブリ17がシースの外側に延出し、遠位アセンブリ17は形状記憶により最初の形状に戻る。
【0057】
偏向ノブ50が「面内」にある状態で、クラッチ機構は、偏向ノブ50が回転に抵抗するように係合される。しかしながら、偏向ノブ50を「面外」に旋回することによって中間区域14を偏向するために、ノブ50が回転されて滑車アーム62を作動するように、ユーザーはクラッチ機構54を係合解除する。偏向ノブ50を一方向に回すと、中間部分14はその方向に偏向する。偏向ノブ50を反対方向に回すと、中間部分14は反対方向に偏向する。所望の偏向が達成されたとき、ユーザーはノブ50を解放し、これは「面内」に容易に戻り、クラッチ機構は、ノブを自己保持するよう、再度係合されている。
【0058】
ユーザーは次いで、概ね円形の主要領域を締め付け、減少させるため一方向に、又は緩め増加させるために反対方向にダイアル52を回転することによって、遠位アセンブリ17の概ね円形の主要領域39を調節する。ダイアル52を操作することにより、ほぼ円形の主領域39は、肺静脈又は他の環状構造に適合するように調節される。開示された実施形態では、一方向においてダイアルを回転させることによって、収縮ワイヤ35は、概ね円形の領域39の直径を締め付け減少させるために近位に引かれ、ダイアルを他方に回転させることによって、第3滑車又は収縮ワイヤ35は、緩められ、概ね円形の領域39をその最初の直径まで解放される。ほぼ円形の主領域の外周の好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは、少なくとも約70%、更により好ましくは、少なくとも約80%が、管状領域の内周に接触する。所望される場合、外周は達成され、ユーザーは、これもまた自己保持であるダイアル52を解放する。ほぼ円形の部分39上に電極が円形に配列されていることにより、管状構造の外周における電気的活動を測定することが可能であり、これにより各電極の間で異所性拍動を特定することできる。円形の主領域は肺静脈又は他の管状構造の直径とほぼ一致した直径を有するため、ほぼ円形の主領域39のサイズによって、肺静脈又は心臓若しくは心臓近傍の他の管状構造の直径に沿った電気的活動の測定が可能となる。シャフト58及び112は回転連結されないため、それぞれのシャフトは互いから独立して回転され、したがって個々の作動アセンブリは互いから独立して機能することができる。
【0059】
上記の説明文は、現時点における本発明の好ましい実施形態に基づいて示したものである。当業者であれば、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく、本願に述べた構造の改変及び変更を実施することが可能であることは認識されるところであろう。例えば、第3の滑車ワイヤがガイドワイヤ又は針などの別の構成要素を前進及び後退させるようにカテーテルを構成することができる。当業者によれば理解されるとおり、図面は必ずしも一定の縮尺ではない。したがって、上記の説明文は、本願に述べられ、以下の添付図面に示される厳密な構造のみに関係したものとして読み取るべきではなく、むしろ、以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる「特許請求の範囲」と符合し、かつそれらを補助するものとして読み取るべきである。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) ユーザーにより操作される少なくとも1つの第1機構、及び前記第1機構を操作するための少なくとも1つの第1牽引部材を有する医療用装置のための制御ハンドルであって、前記制御ハンドルは、
ハウジングと、
第1作動アセンブリと、を備え、前記作動アセンブリは、
第1作動装置、
第1回転軸を画定する長さを有するシャフトであって、前記第1作動装置が、前記シャフト上部に載置され、かつこれに対して略垂直な面に延びるよう適合される、シャフト、
前記シャフト上に載置され、かつこれに回転連結された滑車アームであって、前記滑車アームは、前記シャフトの回転で前記第1牽引部材を作動させるように適合される、滑車アーム、
係合及び係合解除のために構成されたクラッチ機構であって、前記クラッチ機構は摩擦ディスク及び摩擦誘導面を有し、前記摩擦ディスクは、前記シャフト上に載置され、かつこれに回転連結され、前記摩擦ディスクは係合中に前記摩擦誘導面と接触し、係合解除中は前記摩擦誘導面と接触しない、クラッチ機構、を含み、
前記シャフトは、前記第1作動装置が前記クラッチ機構の係合解除のために前記面から外へ旋回されるときに、前記第1作動装置によって与えられたその長さに沿った並進運動のために適合され、前記クラッチ機構の係合解除中には、前記第1作動装置によって与えられた回転運動のために適合される、制御ハンドル。
(2) 前記第1作動装置が、第1係合面及び第2係合面を提供するカム部分を有し、前記第1係合面は、前記第1作動装置が前記面内にあるときに作動され、前記第2係合面は、前記第1作動装置が前記面外にあるときに作動される、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(3) 前記第1係合面が略平坦であり、前記第2係合面が湾曲している、実施態様2に記載の制御ハンドル。
(4) 前記第1作動装置が、旋回軸を中心に旋回可能であり、前記第1係合面と前記旋回軸との間の第1分離距離が、前記第2係合面と前記旋回軸との間の第2分離距離よりも小さい、実施態様3に記載の制御ハンドル。
(5) 前記シャフトが、前記第1作動装置の旋回に応答して、第1位置と第2位置との間のその長さに沿った並進のために適合される、実施態様4に記載の制御ハンドル。
(6) 前記摩擦ディスクを付勢し、前記摩擦誘導面に接触させるよう適合される付勢部材を更に備える、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(7) 前記クラッチ機構が、前記摩擦誘導面と共に構成されるクラッチハウジングを含む、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(8) 前記付勢部材が、前記シャフト上に載置された圧縮荷重ワッシャである、実施態様6に記載の制御ハンドル。
(9) 前記シャフトが外端を有し、前記第1作動装置は、前記第1作動装置が上に旋回載置される前記外端を受容する拡大貫通穴を有する、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(10) 前記医療用装置は、第2牽引部材を用いてユーザーにより操作される第2機構を有し、前記制御ハンドルは、第2回転軸を有する第2作動アセンブリを更に含み、前記第1及び第2回転軸は、軸方向に位置合わせされるが、回転可能に独立しており、前記第2作動アセンブリは、
第2作動装置、
前記第2作動装置に回転連結され、前記第2回転軸を画定する、第2シャフト、
前記シャフト上の平歯車構成、及び
前記平歯車構成の回転に応答する並進運動のために、前記平歯車構成に応答し、前記第2牽引部材の近位端が内部に固定されるラックを含む、実施態様1に記載の制御ハンドル。
【0061】
(11) 前記第2作動アセンブリが、前記第2シャフト上に載置される圧縮荷重ワッシャを更に含み、前記第2作動装置を自己保持状態にするための摩擦トルクを生じさせる、実施態様10に記載の制御ハンドル。
(12) マッピング及び/又はアブレーションのために適合されたカテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体に遠位の中間偏向可能区分と、
前記カテーテル本体に近位の制御ハンドルと、
前記制御ハンドルと前記中間偏向可能区分との間に延びる少なくとも1つの第1牽引部材と、を備え、
前記制御ハンドルは、
長手方向を画定するハウジングと、
第1作動アセンブリであって、前記第1作動アセンブリは、第1作動装置、摩擦ディスク及び摩擦誘導面を有し、前記摩擦ディスクはクラッチ係合中に前記摩擦誘導面と接触し、クラッチ係合解除中は前記摩擦誘導面と接触しない、クラッチ機構、前記第1牽引部材を作動するように適合される滑車アーム、並びに前記長手方向に対して略垂直な第1回転軸を画定するシャフトであって、前記第1作動装置が、前記シャフトの端部に載置され、かつ前記長手方向に略垂直な面に延びるよう適合される、シャフトを含む、第1作動アセンブリと、を含み、
前記滑車アーム及び前記摩擦ディスクは、前記シャフト上に載置され、前記第1作動装置によって前記シャフトに付与された回転及び並進運動のために前記シャフトに連結され、前記第1作動装置は、前記クラッチ機構を係合解除するために、前記面から外への旋回のために適合され、かつ前記クラッチ機構の係合解除中に、少なくとも第1牽引部材を介して前記第1機構を操作するための半径方向の回転のために適合される、カテーテル。
(13) 前記第1作動装置が、第1係合面及び第2係合面を提供するカム部分を有し、前記第1係合面は、前記第1作動装置が前記面内にあるときに作動され、前記第2係合面は、前記第1作動装置が前記面外にあるときに作動される、実施態様12に記載のカテーテル。
(14) 前記第1係合面が略平坦であり、前記第2係合面が湾曲している、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) 前記第1作動装置が、旋回軸を中心に旋回可能であり、前記第1係合面と前記旋回軸との間の第1分離距離が、前記第2係合面と前記旋回軸との間の第2分離距離よりも小さい、実施態様12に記載のカテーテル。
(16) 前記シャフトが、前記第1作動装置の旋回に応答して、第1位置と第2位置との間のその長さに沿った並進のために適合される、実施態様13に記載のカテーテル。
(17) 前記摩擦ディスクを前記摩擦誘導面と接触するよう付勢する、付勢部材を更に備える、実施態様12に記載のカテーテル。
(18) 前記クラッチ機構が、前記摩擦誘導面と共に構成されるクラッチハウジングを含む、実施態様12に記載のカテーテル。
(19) 前記付勢部材が、前記シャフト上に載置された圧縮荷重ワッシャである、実施態様17に記載のカテーテル。
(20) 前記カテーテルが、前記中間偏向可能区分に遠位の遠位アセンブリと、前記制御ハンドルと前記遠位アセンブリとの間に延びる第2牽引部材とを更に含み、前記制御ハンドルは、第2回転軸を有する第2作動アセンブリを更に含み、前記第1及び第2回転軸は、軸方向に位置合わせされるが、回転可能に独立しており、前記第2作動アセンブリは、
第2作動装置、
前記第2作動装置に回転連結され、前記第2回転軸を画定する、第2シャフト、
前記シャフト上の平歯車構成、及び
前記平歯車構成の回転に応答する並進運動のために、前記平歯車構成に応答し、前記第2牽引部材の近位端が内部に固定される、ラックを含む、実施態様12に記載のカテーテル。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19
図20