【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、独立請求項に記載された方法および装置によって上記の必要性が対処される。従属請求項には、さらなる実施形態が画定されている。
【0007】
一実施形態により、地理的地図の景観テクスチャを生成する方法が提供される。本方法によれば、少なくとも1つのハンドヘルドカメラによって取り込まれた複数の画像が取得される。さらに、各画像について付加的データが取得され、これには、画像を取り込む時のカメラの地理的位置、画像を取り込む時のカメラの特性を表す内部カメラ配向データ、画像を取り込む時のカメラの配向を表す外部カメラ配向データ、および画像を取り込む時のカメラの気圧高度が含まれる。その付加的データは、たとえば、取り込まれた画像とともに付加的データが保存されるデジタル画像ファイルから取得されてもよい。
【0008】
本方法によれば、画像を取り込む時のカメラの地理的位置における地表面を基準としたカメラの地表高が気圧高度および地理的位置に基づいて確定される。その気圧高度および地理的位置を使用することによって地表高が正確な様式で測定される場合があり、たとえば高さ解像度は1m未満となり、0.5m未満の測定さえも可能である。次に、地表高データ、内部カメラ配向データ、および外部カメラ配向データに基づき、各画像を変形(distort)させることによって、その画像が取り込まれた地理的位置の地表面上への投影が得られる。このようにして変形後の画像は地表面を表す場合があり、その方法は垂直の航空写真と同様である。しかし、たとえば地表面に近い画像を取り込むことによって、航空写真を大幅に上回る解像度を得ることができる。
【0009】
本方法によれば、次に変形画像が位置合わせされ、その位置合わせされた変形画像から景観テクスチャが生成される。景観テクスチャの生成における変形画像を位置合わせすることは、その位置合わせされた画像の重なり合った部分を平均化する処理も含んでもよい。さらに、たとえばナビゲーションシステムで使用されるようなデジタルの地理的地図のテクスチャ処理にそれを利用するように、景観テクスチャは適切なフォーマットで保存されてもよい。いくつかの実施形態では、各画像について画像を取り込む時間も取得されてもよく、また、異なる画像を取り込む時間を考慮に入れて景観テクスチャが生成されてもよい。このようにして、たとえば時刻に応じて、または季節に応じて景観テクスチャを変化させることが可能になる。たとえば、日中と夜または冬と夏で異なる景観テクスチャを使用してもよい。
【0010】
1つの実施形態によれば、外部カメラ配向データは、水平面に対するカメラの光学軸の配向を表す第一の角度および水平面内のカメラの光学軸のコンパス方位を表す第二の角度を含む。このようにして、画像を取り込む斜角を考慮に入れて取り込まれた画像を効率的に変形してもよく、また、変形された画像を相互に対して、および地理的地図内の構造物に対して効率的に位置合わせしてもよい。いくつかの実施形態によれば、外部カメラ配向データは、光学軸を中心とするカメラの傾きを表す第三の角度も含んでもよい。このようにして、カメラのイメージセンサーは、画像取り込む時に水平方向と完全に位置合わせする必要がないため、使用できる画像の数を増加することができ、かつ画像を取り込む間の要求条件を緩和することができる。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、内部カメラ配向データは、焦点距離、カメラ定数、および/または画像主点の位置を含む。このようにして、変形画像の生成プロセスに画像を取り込む時の撮像特性を正確に考慮に入れてもよい。いくつかの実施形態において、光学収差などの非理想的なカメラの撮像特性も内部カメラ配向データに取り入れてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、各画像について、取り込まれた画像の座標からの投影の画像点座標を計算するための変換規則を得ることも含んでもよい。この変換規則は、地理的位置、外部カメラ配向データ、内部カメラ配向データ、および地表高に基づいて作成されてもよい。カメラに関する既知または測定結果の光学収差などの追加パラメータも考慮に入れられてもよい。いくつかの実施形態において、この変換規則は、画像について取得された前述の付加的データに基づいて計算されてもよい。いくつかの実施形態において、取り込まれた画像とともに変換規則またはその部分も保存されてもよく、すなわち付加的データの一部としてもよい。
【0013】
ネットワークインタフェースを介して複数のハンドヘルドカメラから画像を取得してもよい。このようにして、景観テクスチャの生成に利用可能な画像の数が大幅に増加する場合がある。具体的には、複数の使用者をネットワーク実装された景観テクスチャ生成プロセスに寄与する場合がある「クラウドワーキング」プロセスに基づいて景観テクスチャを生成することが可能になる。
【0014】
さらなる実施形態によれば、ハンドヘルド装置が提供される。本ハンドヘルド装置は、景観テクスチャを生成するための上記の方法で使用される画像を与えるように構成されてもよく、カメラ、衛星測位装置、複数の方位センサー、気圧高度センサー、およびカメラによって取り込まれた画像を付加的データとともに保存するためのメモリを備える。これらの付加的データには、画像を取り込む時のカメラの特性を表す内部カメラ配向データ、衛星測位装置によって測定された画像を取り込む時のカメラの地理的位置、方位センサーによって測定された画像を取り込む時の外部カメラ配向データ、および気圧高度センサーによって測定された画像を取り込む時のカメラの気圧高度が含まれる。したがって、上述の方法で使用されるこの付加的データを本ハンドヘルド装置によって測定し、取り込まれた画像とともに保存することができる。その保存は、たとえば、取り込まれた画像を付加的データとともにデジタル画像ファイルに保存することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、上述の処理の一部も本ハンドヘルド装置内で達成されてもよい。この処理には、たとえば、変換規則またはその部分を決定すること、および/または地表高を判定することが含まれ、また任意選択的には、地表面の投影を得るために取り込まれた画像を変形させることも含まれる。
【0015】
いくつかの実施形態において、本ハンドヘルド装置は、景観テクスチャをそれから生成する装置に取り込まれた画像を提供するためのインタフェースも備えてもよい。このインタフェースは、たとえば、複数のハンドヘルド装置から取り込まれた画像および関連の付加的データを収集することができるネットワークインタフェースとして実装されてもよい。本ハンドヘルド装置は、たとえば、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、または携帯型コンピュータ装置であってよい。方位センサーは、たとえば、加速度センサーおよび/またはジャイロセンサーを含んでもよく、また、コンパス方位センサーも含んでもよい。
【0016】
さらなる実施形態によれば、地理的地図の景観テクスチャを与えるための装置が提供される。本装置は、景観テクスチャを与える上述の方法を実行するように構成されてもよく、少なくとも1つのハンドヘルドカメラによって取り込まれた複数の画像を取得するためのインタフェース、およびプロセッサを備える。このプロセッサは、各画像について、画像を取り込む時のカメラの地理的位置、画像を取り込む時のカメラの特性を表す内部カメラ配向データ、画像を取り込む時のカメラの配向を表す外部カメラ配向データ、および画像を取り込む時のカメラの気圧高度を取得するように構成される。このプロセッサは、画像を取り込む時のカメラの気圧高度および地理的位置に基づいて、画像を取り込む時のカメラの地理的位置における地表面からのカメラの地表高を判定するようにさらに構成される。また、このプロセッサは、画像が取り込まれた地理的位置における地表面への投影を得るために地表高データに基づいて各画像を変形させるように構成される。さらに、このプロセッサは、変形された画像を位置合わせして、その位置合わせされた変形画像から景観テクスチャを生成するように構成される。この装置のインタフェースは、複数のハンドヘルドカメラから画像を取得するように構成されたネットワークインタフェースであってよい。
【0017】
図面に関連した以下の実施形態に関する詳細な説明により、本発明のさらなる実施形態および特徴とともに、それに付随する利点が明らかになるであろう。
【0018】
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
地理的地図の景観テクスチャを提供する方法であって、
少なくとも1つのハンドヘルドカメラ(20)によって取り込まれた複数の画像を取得することと、
上記画像の各々について、
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の地理的位置、
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の特性を表す内部カメラ配向データ、
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の配向を表す外部カメラ配向データ、および
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の気圧高度を取得することと、
上記気圧高度および上記地理的位置に基づいて、上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の地理的位置における地表面からの上記カメラの地表高を判定することと、
上記地表高、上記内部カメラ配向データ、および上記外部カメラ配向データに基づいて、上記画像が取り込まれた上記地理的位置における上記地表面への投影を得るために上記画像の各々を変形させることと、
上記変形された画像を位置合わせすることと、
上記変形および位置合わせされた画像から景観テクスチャを生成することを含む、方法。
(項目2)
上記外部カメラ配向データは、水平面(PH)に対する上記カメラ(20)の光学軸(A)の配向を表す第一の角度、および上記水平面内の上記カメラ(20)の上記光学軸(A)のコンパス方位を表す第二の角度を含む、
上記項目に記載の方法。
(項目3)
上記外部カメラ配向データは、上記光学軸(A)を中心とする上記カメラ(20)の傾きを表す第三の角度を含む、
上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
上記内部カメラ配向データは、焦点距離、カメラ定数、および/または画像主点の位置を含む、
上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
上記画像の各々について、上記取り込まれた画像の座標から上記投影の画像点座標を計算するための変換規則を得ることを含む、
上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
上記画像の各々について、上記画像を取り込む時間を取得することと、
上記画像の取り込む時間を考慮に入れて上記景観テクスチャを生成することを含む、
上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
ネットワークインタフェースを介して複数のハンドヘルドカメラから上記画像を取得することを含む、
上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
上記位置合わせされた画像の重なり合った部分を平均化することを含む、
上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
ハンドヘルド装置(10)であって、
カメラ(20)と、
衛星測位装置(30)と、
複数の方位センサー(42、44)と、
気圧高度センサー(46)と、
上記カメラ(20)によって取り込まれた画像とともに、
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の特性を表す内部カメラ配向データ、
−上記衛星測位装置(30)によって測定された上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の地理的位置、
−上記方位センサー(42、44)によって測定された上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の外部カメラ配向データ、および
−上記気圧高度センサー(46)によって測定された上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の気圧高度を保存するためのメモリ(50)を備える、ハンドヘルド装置(10)。
(項目10)
上記取り込まれた画像を、それから景観テクスチャを生成するための装置に提供するためのインタフェース(80)をさらに備える、
上記項目に記載のハンドヘルド装置(10)。
(項目11)
上記方位センサー(42、44)はコンパス方位センサー(44)を備える、
上記項目のいずれかに記載のハンドヘルド装置(10)。
(項目12)
上記方位センサー(42、44)は、加速度センサー(42)および/またはジャイロセンサー(42)を備える、
上記項目のいずれかに記載のハンドヘルド装置(10)。
(項目13)
地理的地図の景観テクスチャを提供するための装置(100)であって、
少なくとも1つのハンドヘルドカメラ(20)によって取り込まれた複数の画像を取得するためのインタフェース(120)と、
プロセッサ(150)を備え、
上記プロセッサ(150)は、上記画像の各々について、
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の地理的位置、
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の特性を表す内部カメラ配向データ、
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の配向を表す外部カメラ配向データ、および
−上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の気圧高度を取得し、
上記気圧高度および上記地理的位置に基づいて、上記画像を取り込む時の上記カメラ(20)の上記地理的位置における地表面からの上記カメラ(20)の地表高を判定し、
上記地表高データに基づいて、上記画像が取り込まれた上記地理的位置における上記地表面への投影を得るために上記画像の各々を変形させ、
上記変形された画像を位置合わせし、
上記変形および位置合わせされた画像から上記景観テクスチャを生成するように構成される、装置(100)。
(項目14)
上記インタフェース(120)は、複数のハンドヘルドカメラ(20)から上記画像を取得するように構成されたネットワークインタフェースである、
上記項目に記載の装置。
(項目15)
上記プロセッサは、項目1から項目8までのいずれか1項によって定義された方法の一連のステップを実行するように構成される、
上記項目のいずれかに記載の装置。
【0019】
(摘要)
地理的地図の景観テクスチャを生成する目的で、カメラを備える1つ以上のハンドヘルド装置(10)によって取り込まれた複数の画像が取得される。さらに、取り込まれた各画像に関連する付加的データが取得される。これらの付加的データは、画像を取り込む時のカメラの地理的位置、画像を取り込む時のカメラの特性を表す内部カメラ配向データ(たとえば焦点距離、カメラ定数および/または画像主点の位置)、画像を取り込む時のカメラの配向を表す外部カメラ配向データ(たとえば水平面(PH)に対するカメラの光学軸(A)の配向を表す角度(Ф))、および画像を取り込む時のカメラの気圧高度を含む。その気圧高度および地理的位置に基づいて、地表面(G)からのカメラの地表高(H)が判定される。その地表高(H)、内部カメラ配向データおよび外部カメラ配向データに基づいて、地表面(G)への投影を得るように、各画像を変形する。次に、その変形された画像が位置合わせされ、その変形された画像から景観テクスチャが生成される。