特許第6133067号(P6133067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133067スプール連結具及びこれを備えたスプール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133067
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】スプール連結具及びこれを備えたスプール
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/06 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A01K97/06 502
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-13318(P2013-13318)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-143934(P2014-143934A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505430975
【氏名又は名称】株式会社ヤシマ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】大軒 興二
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−321078(JP,A)
【文献】 特開2002−153190(JP,A)
【文献】 特開2004−321125(JP,A)
【文献】 実公昭39−016467(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール本体(2)が筒状の胴部(7)と、その胴部(7)の両端部からそれぞれ径方向外側へ延設した一対のフランジ部(8・9)とを備えており、この胴部(7)の周囲で両フランジ部(8・9)間に捲回部(10)が形成してあるスプール(1)を、これと互いに隣接するスプール(1)へ連結するスプール連結具であって、
上記の胴部(7)内でこの胴部(7)の内方に形成してある支持壁(11)に装着され、
上記の一方のフランジ部(8)の側方の外側空間に臨む第1端面(22)と、他方のフランジ部(9)の側方の外側空間に臨む第2端面(23)とを備え、
上記の第1端面(22)と第2端面(23)のうちの、一方の端面(22)に連結用凹部(24)を備えるとともに、隣接するスプール(1)に装着されたスプール連結具(21)の連結用凹部(24)へ係合可能な連結用係止部(25)が他方の端面(23)に突設してあるスプール連結具において、上記の両端面(22・23)間は、上記のスプール本体(2)の厚さとほぼ等しい長さを備えることを特徴とする、スプール連結具。
【請求項2】
上記の連結用係止部(25)は、上記の他方の端面(23)からの突出寸法が2mm以下である、請求項1に記載のスプール連結具。
【請求項3】
上記の第1端面(22)と第2端面(23)のうちのいずれか一方の端面側に、糸を挟持できる挟持部(20)を備える、請求項1または請求項2に記載のスプール連結具。
【請求項4】
スプール本体(2)が筒状の胴部(7)と、その胴部(7)の両端部からそれぞれ径方向外側へ延設した一対のフランジ部(8・9)とを備えており、この胴部(7)の周囲で両フランジ部(8・9)間に捲回部(10)が形成してあるスプールであって、
上記のスプール本体(2)は、上記の胴部(7)内で径方向内側へ延設された支持壁(11)を備えており、
請求項1から3のいずれかに記載のスプール連結具(21)が上記の支持壁(11)に装着されていることを特徴とする、スプール。
【請求項5】
上記の支持壁(11)は厚さ方向に貫通した貫通孔(13)を備えており、この貫通孔(13)に上記のスプール連結具(21)が装着してある、請求項4に記載のスプール。
【請求項6】
上記の捲回部(10)に巻き付ける糸(26)が釣糸である、請求項4または請求項5に記載のスプール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプール連結具とこれを備えたスプールに関し、複数のスプールを互いに連結できるうえ、汎用のスプールに容易に適用でき、しかもスプールの側面から連結具が大きく突出することがない、スプール連結具及びこれを用いたスプールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に釣人は、釣場において、その時々の状況に応じて種々の釣糸を使い分けることが多い。このような場合には、号数、柄、材質等の異なる釣糸をそれぞれ巻き付けた複数のスプールが携帯される。しかしながら、ポケットや道具入れの中にバラバラのスプールを入れていたのでは嵩張ってしまうし、適当なスプールを選び出すのに時間がかかる。そこで従来、複数のスプールをコンパクトに携帯するため、スプール同士をその側面で互いに連結することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来のスプールは、一方のフランジ部の外側面よりも外側に環状のフックを備えるとともに、他方のフランジ部側の側面に凹部を備えており、この凹部内に環状の突起を備えている。そして上記の凹部内に、隣接するスプールのフックを挿入し、上記の突起に、その隣接するスプールのフックを係止することでスプール同士が互いに連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−024100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の従来技術では、既存のスプールや汎用のスプールでは互いに連結することができず、スプール自体に環状のフックと突起を形成した専用のスプールを製作しなければならないので、安価に実施できない問題がある。また上記のフックは、円筒状の胴部の一端から径方向外側へ延設したフランジ部の側面に形成されるため、大径に形成され、他物がこのフックに引っ掛かり易い問題もある。
【0006】
本発明の技術的課題は上記の問題点を解消し、複数のスプールを互いに連結できるうえ、汎用のスプールにも容易に適用でき、しかもスプールの側面から連結具が大きく突出することがない、スプール連結具とこれを用いたスプールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するために、例えば本発明の実施の形態を示す図1から図6に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明1はスプール連結具に関し、スプール本体(2)が筒状の胴部(7)と、その胴部(7)の両端部からそれぞれ径方向外側へ延設した一対のフランジ部(8・9)とを備えており、この胴部(7)の周囲で両フランジ部(8・9)間に捲回部(10)が形成してあるスプール(1)を、これと互いに隣接するスプール(1)へ連結するスプール連結具であって、上記の胴部(7)内でこの胴部(7)の内方に形成してある支持壁(11)に装着され、上記の一方のフランジ部(8)の側方の外側空間に臨む第1端面(22)と、他方のフランジ部(9)の側方の外側空間に臨む第2端面(23)とを備え、上記の第1端面(22)と第2端面(23)のうちの、一方の端面(22)に連結用凹部(24)を備えるとともに、隣接するスプール(1)に装着されたスプール連結具(21)の連結用凹部(24)へ係合可能な連結用係止部(25)が他方の端面(23)に突設してあることを特徴とする。
【0008】
また本発明2はスプールに関し、スプール本体(2)が筒状の胴部(7)と、その胴部(7)の両端部からそれぞれ径方向外側へ延設した一対のフランジ部(8・9)とを備えており、この胴部(7)の周囲で両フランジ部(8・9)間に捲回部(10)が形成してあるスプールであって、上記のスプール本体(2)は、上記の胴部(7)内で径方向内側へ延設された支持壁(11)を備えており、本発明1のスプール連結具(21)が上記の支持壁(11)に装着されていることを特徴とする。
【0009】
上記のスプールは、上記のスプール連結具の連結用係止部を、隣接するスプールに装着されたスプール連結具の連結用凹部へ係合させることにより、その隣接するスプールと互いに連結される。
【0010】
上記のスプール連結具は、上記の支持壁に装着されておればよく、この支持壁やこれに装着される連結具は、特定の形状、構造等のものに限定されない。しかし、一般にスプールは、生産工場等で捲回部に糸を巻き付けできるように、上記の胴部内に径方向内側へ支持壁が延設してあり、この支持壁に巻取り軸嵌合孔が貫通形成してある。従ってこの支持壁を用いることにより、本発明の上記のスプール連結具は、既存のスプールや汎用のスプールに容易に適用される。
特に、上記の巻取り軸嵌合孔は支持壁を厚さ方向に貫通形成されているので、この嵌合穴である貫通孔に上記のスプール連結具を装着すると、支持壁へ簡単に装着することができて好ましい。
【0011】
上記のスプール連結具は、スプール本体の胴部内で支持壁に装着されるので、スプール本体の外側面よりも外側へ大きく突出することがない。
このスプール連結具は特定の大きさに限定されないが、上記の両端面間が上記のスプール本体の厚さとほぼ等しい長さを備えると、互いに隣接するスプールの連結具の端面同士が近接して対面するので、上記の連結用係止部を端面から過剰に突設させる必要がなく、好ましい。なお、上記のスプール本体の厚さとほぼ等しい長さとは、例えばスプール本体の厚さ±1mm程度をいうが、スプール本体の厚さと同じ長さであるかこれよりも短い長さであると、スプール本体の外側面よりも外側へ突出することがなく、より好ましい。
【0012】
上記の連結用係止部は、上記の連結用凹部へ係合できればよく、スプール連結具の上記の他方の端面からの突出寸法は特定の値に限定されない。しかしこの突出寸法は、十分な係合力を発揮できる範囲で、短いほど他物との接触を防止できるので好ましく、例えば上記の他方の端面からの突出寸法が2mm以下であると好ましく、1.5mm以下であるとより好ましい。
【0013】
上記の連結用係止具は、互いに隣接するスプールを連結できればよく、特定の構造や形状のものに限定されないが、この連結用係止具が糸を挟持できる挟持部を備えていると、連結具と糸止め具とを備えるスプールの部品点数を少なくできるうえ、このスプール連結具の挟持部に係止された糸の端部が、連結された隣接するスプールで覆われるので、この挟持部や糸の端部が他物と接触することを防止でき、糸が挟持部から外れることを確実に防止できて好ましい。
【0014】
なお、上記の糸は特定の用途のものに限定されないが、特にこの糸が釣糸であると、糸止め操作が容易で確実に糸端部を保持できる利点が良好に発揮されて好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
(1)本発明のスプールは、上記のスプール連結具の連結用係止部を、隣接するスプールに装着されたスプール連結具の連結用凹部へ係合させることにより、その隣接するスプールと互いに連結することができる。
【0016】
(2)スプールは通常、胴部内に上記の支持壁を備えており、本発明のスプール連結具はこの支持壁に装着されておればよいので、既存のスプールや汎用のスプールに容易に適用でき、安価に実施することができる。
【0017】
(3)上記のスプール連結具は、スプール本体の胴部内で支持壁に装着されるので、スプール本体の外側面よりも外側へ大きく突出することがない。このため、この連結具に他物が引っ掛かる虞を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態を示す、スプールを分解した一部破断斜視図である。
図2】本発明の実施形態の、スプールの断面図である。
図3】本発明の実施形態の、スプールの要部の拡大断面図である。
図4】本発明の実施形態の、揺動部を揺動姿勢に切替えた状態のスプールの要部の拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態の、複数のスプールを連結した状態の断面図である。
図6】本発明の実施形態の変形例を示す、スプールの要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明を具体的に説明する。
図1に示すように、このスプール(1)はスプール本体(2)と、これに装着されるスプール連結具(21)とを備えており、このスプール連結具(21)により、互いに隣接するスプール(1)同士を連結することができる。このスプール連結具(21)は糸止め機構を兼ねており、固定部材(3)と、この固定部材(3)に固定される円盤状の揺動部(4)とを備えており、この揺動部(4)は挟持本体(5)とガイド部(6)とを備えている。
【0020】
図1図2に示すように、上記のスプール本体(2)は筒状の胴部(7)と、その胴部(7)の両端部からそれぞれ径方向外側へ延設した一対のフランジ部(8・9)とを備えている。そしてこの胴部(7)の周囲で、両フランジ部(8・9)間に捲回部(10)が形成してあり、この捲回部(10)に釣糸などの長尺体が巻き付けられる。
【0021】
図2図3に示すように、上記のスプール本体(2)は、上記の胴部(7)の一方の端部側である第1フランジ部(8)側に、径方向内側へ延設された支持壁(11)を備えており、この胴部(7)内の胴内空間(12)は、他方の端部側である第2フランジ部(9)側が外部空間に開放されている。
上記の支持壁(11)には、上記の捲回部(10)へ糸を巻き付ける際に、巻取り軸へ外嵌するための貫通孔(13)が透設してある。この貫通孔(13)を介して、上記の胴内空間(12)が第1フランジ部(8)側の外部空間と連通している。
【0022】
上記のスプール連結具(21)は上記の貫通孔(13)に装着してある。即ち、上記の固定部材(3)はこの貫通孔(13)に挿入されており、この固定部材(3)の周面に形成した固定爪(14)で、上記の支持壁(11)に確りと固定してある。この固定部材(3)には、支持壁(11)に対し直交方向へ胴内空間(12)に延びる支柱部(15)が一体に形成してある。この支柱部(15)は先端が開口した筒状に形成してあり、この支柱部(15)の先端部、即ち、支持壁(11)とは反対側の端部に、上記の揺動部(4)が付設してある。従ってこの揺動部(4)は、上記の支柱部(15)を介して固定部材(3)に付設されている。
【0023】
上記の揺動部(4)を構成する上記の挟持本体(5)は、支柱部(15)の中心軸(16)に対し直交方向に配置されており、上記のガイド部(6)はこの挟持本体(5)に沿って配置されている。従って上記の揺動部(4)は、上記の支柱部(15)の中心軸(16)に対し直交方向に配置されており、図3に示すように、外力を受けない復帰姿勢(R)では上記の胴内空間(12)内に収容されている。この揺動部(4)は支柱部(15)近傍を中心に揺動可能であり、図4に示すように、周縁部に外力を受けると揺動して、周縁部の一部が胴内空間(12)の外側へ進出した揺動姿勢(S)に切り替わる。
【0024】
上記の挟持本体(5)は、周縁部が上記の支持壁(11)側へ湾曲している円盤状に形成してある。この挟持本体(5)の上記のガイド部(6)と対面する側面には、環状の凹部(17)が形成してあり、これとは反対側の側面の中央部に、上記の支柱部(15)側へ延びる支軸(18)が突設してある。この支軸(18)が上記の支柱部(15)内へ挿入され、これによりこの挟持本体(5)が支柱部(15)に確りと固定される。
【0025】
一方、上記のガイド部(6)は環状に形成してあり、上記の挟持本体(5)と対面する側面に環状凸部(19)が形成してある。この環状凸部(19)を上記の挟持本体(5)の環状凹部(17)に係合させることで、ガイド部(6)が挟持本体(5)に固定されている。この挟持本体(5)とガイド部(6)は、周縁部では互いに離隔しているが中央部側は互いに密着しており、この密着する挟持本体(5)とガイド部(6)との間に挟持部(20)が、揺動部(4)の周縁部に沿って形成されている。
【0026】
上記のスプール連結具(21)は、上記の固定部材(3)が上記の第1フランジ部(8)の側方の外側空間に臨む第1端面(22)を備えており、上記のガイド部(6)が上記の第2フランジ部(9)の側方の外側空間に臨む第2端面(23)を備えている。そして、上記の第1端面(22)に連結用凹部(24)が形成してあり、上記の第2端面(23)に連結用係止部(25)が突設してある。
【0027】
上記の第1端面(22)と第2端面(23)との間の寸法は、上記のスプール本体(2)の厚さとほぼ等しく、具体的には、スプール本体(2)の厚さと同じ寸法か、これよりも僅かに短い寸法に、例えば1mm程度以下の範囲内で短い寸法に設定してあり、上記の復帰姿勢(R)では、両端面(22・23)とも上記の胴内空間(12)内に収容されている。ただし、上記の第2端面(23)に突設された上記の連結用係止部(25)は、胴内空間(12)からスプール本体(2)の側方へ突出した状態となっている。
【0028】
上記の連結用凹部(24)は、隣接するスプール本体(2)に装着されたスプール連結具(21)の連結用係止部(25)が係合できる深さに形成されておればよく、特定の寸法や形状のものに限定されない。一方、上記の連結用係止部(25)は、上記の第2端面(23)からの突出寸法が2mm以下であると他物と接触する虞を低減できるので好ましく、1.5mm以下であるとより好ましい。
【0029】
次に、上記のスプール(1)における糸止め操作について説明する。
上述のように、上記の揺動部(4)は、外力を受けない状態では図3に示す復帰姿勢(R)となっており、上記の胴内空間(12)内に収容されている。
【0030】
上記の揺動部(4)は、中央部が支軸(18)を介して支柱部(15)に支持されており、支柱部(15)近傍を中心に揺動可能である。このため、上記の復帰姿勢(R)の揺動部(4)の周縁部の一部に支持壁(11)側への押圧力(F)を加えると、上記の支軸(18)や支柱部(15)などが弾性変形し、図4に示すように、揺動部(4)は上記の揺動姿勢(S)に切り替わる。この状態で、上記の捲回部(10)に巻き付けられた糸(26)の端部近傍を、スプール本体(2)の第2フランジ部(9)側の側面に沿って移動させる。これにより、この糸(26)は、上記のガイド部(6)によりこのガイド部(6)と上記の挟持本体(5)との間の挟持部(20)へ案内され、確りと挟持される。
【0031】
そして上記の糸(26)が挟持部(20)に挟持されたのち、上記の押圧力(F)を除去すると、上記の揺動部(4)が上記の支軸(18)や支柱部(15)などの弾性復元力により、図3に示す復帰姿勢(R)に切り替わる。この復帰姿勢(R)では上記の揺動部(4)が胴内空間(12)内に収容されているので、上記の挟持部(20)やこれに挟持された糸(26)もその胴内空間(12)内に収容され、他物と接触する虞が低減される。
【0032】
次に、上記のスプール(1)における連結操作について説明する。
このスプール(1)は、スプール本体(2)の支持壁(11)に上記のスプール連結具(21)が装着されており、このスプール連結具(21)の第1端面(22)に連結用凹部(24)が形成してあり、第2端面(23)に連結用係止部(25)がスプール本体(2)の側方へ突設してある。この連結用係止部(25)を、隣接するスプール本体(2)に装着されたスプール連結具(21)の連結用凹部(24)へ係合させることで、図5に示すように、互いに隣接するスプール(1)同士が連結される。
【0033】
上記のスプール連結具(21)は上記の揺動部(4)に挟持部(20)を備えるので、この挟持部(20)に挟持された糸(26)は、互いに隣接しているスプール(1)間に配置されることとなる。従って、この挟持部(20)やこれに挟持された糸(26)の端部が、連結された隣接するスプール(1)で覆われるので、他物と接触することが防止され、糸(26)が挟持部(20)から外れることが確実に防止される。
【0034】
上記の実施形態で説明したスプール連結具及びこれを備えたスプールは、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部の寸法や形状、構造、配置などをこの実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0035】
例えば上記の実施形態では、スプール連結具が固定部材とこれに装着される揺動部とを備える場合について説明した。しかし本発明のスプール連結具は、全体が一体に形成されたものであってもよく、或いは任意の部分に分けて形成されたものを互いに組み付けたものであってもよい。
【0036】
また上記の実施形態では、支持壁に確りと固定されたスプール連結具が、揺動部を備えた糸止め機構を兼ねる場合について説明した。しかし本発明のスプール連結具は、例えば図6に示す変形例のように、スプール連結具(21)を支持壁(11)の直交方向へ進退可能に装着し、このスプール連結具(21)に形成した挟持部(20)が胴内空間(12)から外側へ出没するように構成したものであってもよい。
【0037】
即ちこの変形例では、上記のスプール連結具(21)が挟持本体(5)とこれに装着したガイド部(6)とを備えており、この挟持本体(5)が支持壁(11)に形成された貫通孔(13)に、支持壁(11)の直交方向へ進退可能に装着してある。この挟持本体(5)とガイド部(6)との間に挟持部(20)が形成してある。この挟持本体(5)が備える第1端面(22)には、上記の実施形態と同様の連結用凹部(24)が形成してあり、上記のガイド部(6)が備える第1端面(22)には連結用係止部(25)が突設してある。図6の実線に示す後退姿勢では、スプール連結具(21)の第2端面(23)に突設された連結用係止部(25)のみが胴内空間(12)の外側に配置されている。
【0038】
このスプール連結具(21)を支持壁(11)の直交方向へ移動させると、仮想線に示す進出姿勢に切り替わり、上記の挟持部(20)が胴内空間(12)の外側へ出た状態となる。そしてこの挟持部(20)に図示しない糸を挟持させたのち、スプール連結具(21)を反対側へ押し込むと上記の後退姿勢に切り替わり、上記の挟持部(20)が胴内空間(12)に収容される。この後退姿勢のスプール連結具(21)の上記の連結用凹部(24)へ、隣接するスプールに装着されているスプール連結具の連結用係止部を係合させることで、隣接するスプール同士が互いに連結される。このときスプール連結具(21)が後退姿勢を保持されるように、上記の挟持本体(5)の外周面と上記の貫通孔(13)の内面との間には姿勢保持手段(27)が形成してある。その他の構成は上記の実施形態と同様であり、同様に作用する。
【0039】
上記の実施形態や変形例では、挟持本体とガイド部との間に挟持部が形成されている場合について説明した。しかし本発明では糸を挟持できる溝で挟持部を構成するなど、任意の糸止め機構を採用したものであってもよく、さらには、本発明のスプール連結具は糸止め機構を兼ね備えない場合であってもよい。
【0040】
また上記の実施形態では、スプール連結具の両端面のうち、支持壁側の第1端面に連結用凹部を形成し、これとは反対側の第2端面に連結用係止部を形成してある場合について説明した。しかし本発明のスプール連結具は、支持壁側の第1端面に連結用係止部を形成し、これとは反対側の第2端面に連結用凹部を形成したものであってもよい。
【0041】
また上記の実施形態では、両端面が胴内空間に収容されるように上記のスプール連結具を支持壁に装着し、連結用係止部を胴内空間の外側へ突出させてある場合について説明した。しかし本発明のスプール連結具は、連結用凹部を形成した一方の端面を胴内空間の外側へ僅かに突出させるとともに、他の端面に突設した連結用係止部を胴内空間に収容したものであってもよい。
上記の捲回部に巻き付けられる糸は、釣糸以外の糸やテープなど、他の長尺体であってもよいことは、いうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のスプールは、糸止め操作が容易で確実に糸端部を保持できるうえ、汎用のスプールにも容易に適用でき、しかも耐久性に優れるので、特に、釣糸用スプールとして有用であるが、他の糸を巻き付けるためのスプールとしても有用である。
【符号の説明】
【0043】
1…スプール
2…スプール本体
3…固定部材
4…揺動部
5…挟持本体
6…ガイド部
7…胴部
8…第1フランジ部
9…第2フランジ部
10…捲回部
11…支持壁
12…胴内空間
13…貫通孔
14…固定爪
15…支柱部
16…支柱部(15)の中心軸
17…環状凹部
18…支軸
19…環状凸部
20…挟持部
21…スプール連結具
22…第1端面
23…第2端面
24…連結用凹部
25…連結用係止部
26…糸
27…姿勢保持手段
F…押圧力
R…復帰姿勢
S…揺動姿勢
図1
図2
図3
図4
図5
図6