特許第6133086号(P6133086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133086
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170515BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20170515BHJP
【FI】
   F21S8/10 381
   F21S8/10 410
   F21Y101:00
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-55133(P2013-55133)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-182886(P2014-182886A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
(72)【発明者】
【氏名】守屋 広明
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−84607(JP,U)
【文献】 実開平2−47711(JP,U)
【文献】 特開平11−120805(JP,A)
【文献】 特開2000−173318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0007756(US,A1)
【文献】 米国特許第6280064(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−19/00
F21V 1/00−15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、少なくとも光源と、該光源からの光が到達しないダミー部を有するリフレクタを収容して成る車両用灯具において、
前記リフレクタのダミー部にスリット状の複数の孔を車幅方向に沿って適当な間隔で形成し、これらの孔の大きさを車幅方向外側に向かって漸次大きく設定するとともに、前記光源からの光の出射方向において、前記リフレクタの少なくともダミー部を前記ハウジングと略同位置に配置したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、少なくとも光源と、該光源からの光が到達しないダミー部を有するリフレクタを収容して成る車両用灯具において、
前記リフレクタのダミー部にスリット状の複数の孔を車幅方向に沿って適当な間隔で形成し、これらの孔の大きさを車幅方向外側に向かって漸次大きく設定するとともに、前記光源からの光の出射方向において、前記リフレクタの少なくともダミー部を前記ハウジングの後方に配置したことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部として使用しないダミー部を有するリフレクタを備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の前部左右に配置されるヘッドランプやポジションランプ等の車両用灯具は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、少なくとも光源と、該光源からの光を反射させるリフレクタを収容して構成されている。
【0003】
ところで、斯かる車両用灯具には、車体のデザインの関係から、リフレクタに発光部として使用しないダミー部(光源からの光が到達しない無効部)を設けたものがある。このような車両用灯具において、アウタレンズが透明である場合には、リフレクタは外部から素通し状態で視認されるため、消灯時の美観を整える目的で、ダミー部についても発光部と同様のダミー反射面が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
而して、ハウジングは黒色樹脂にて成形されることが多く、リフレクタの反射面には反射処理として銀色のアルミ蒸着が施されているため、非点灯時にリフレクタのダミー部を銀色から黒色へと徐々に移り変わるグラデーションとして見せることが行われているが、その方法には以下の2つの方法がある。
【0005】
即ち、アウタレンズにレンズカットを施してハウジングの色(黒色)を拾って色の変化をグラデーションとして見せる方法と、リフレクタのダミー反射面にハウジングの色(黒色)と同色の塗装を交互に施して色の変化をグラデーションとして見せる方法の2方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−173318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前者の方法には、アウタレンズにレンズカットを施すために、車両用灯具全体のデザインが崩れたり、デザインが制限を受ける等の問題がある。
【0008】
又、後者の方法では、リフレクタの反射面(アルミ蒸着面)にマスキングを交互に施して塗装を行う必要があるため、コストアップの原因になるという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、デザインに制限を受けたりデザインの基調を崩すことなく、簡単な構成で非点灯時のリフレクタの色の変化をグラデーションとして見せることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、少なくとも光源と、該光源からの光が到達しないダミー部を有するリフレクタを収容して成る車両用灯具において、前記リフレクタのダミー部にスリット状の複数の孔を車幅方向に沿って適当な間隔で形成し、これらの孔の大きさを車幅方向外側に向かって漸次大きく設定するとともに、前記光源からの光の出射方向において、前記リフレクタの少なくともダミー部を前記ハウジングと略同位置に配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、少なくとも光源と、該光源からの光が到達しないダミー部を有するリフレクタを収容して成る車両用灯具において、前記リフレクタのダミー部にスリット状の複数の孔を車幅方向に沿って適当な間隔で形成し、これらの孔の大きさを車幅方向外側に向かって漸次大きく設定するとともに、前記光源からの光の出射方向において、前記リフレクタの少なくともダミー部を前記ハウジングの後方に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両用灯具の非点灯時において、リフレクタのダミー部に形成された複数のスリット状の孔を通過した光がハウジングの色(黒色)を拾うため、リフレクタのダミー部にはハウジングの色(黒色)とリフレクタの反射面の色(アルミ蒸着の銀色)とが交互に映し出されて色のグラデーションが表現される。この場合、スリット状の複数の孔の大きさを車幅方向外側に向かって漸次大きく設定したため、リフレクタの反射面の色(銀色)からハウジングの色(黒色)への移り変わりをさりげなく行うことができ、リフレクタとその周辺部品であるハウジングとの色の繋がりを違和感なく自然な形で行うことができる。又、車両用灯具の点灯時においては、リフレクタのダミー部に形成されたスリット状の複数の孔によって高い点灯フィーリングが全幅に亘って保たれる。
【0015】
そして、以上の効果はリフレクタのダミー部にスリット状の孔を形成するだけの簡単な構成によって実現されるため、コストダウンが図られる。又、インナレンズ等へのレンズカットが不要となるため、車両用灯具のデザインの基調が崩れたり、デザインが制限されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る車両用灯具の平断面図である。
図2図1の要部拡大詳細図である。
図3】本発明に係る車両用灯具のリフレクタの斜視図である。
図4】本発明の他の実施の形態を示す車両用灯具要部の平断面図である。
図5】本発明の他の実施の形態を示す車両用灯具要部の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係る車両用灯具の平断面図、図2図1の要部拡大詳細図、図3は同車両用灯具のリフレクタの斜視図であり、本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両の前部左右に配置されるポジションランプである。尚、左右のポジションランプ1の構成は左右対称であって、その基本構成は左右で同じであるため、以下、一方の構成についてのみ説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係るポジションランプ1は、ハウジング2とその開口部を覆うインナレンズ3とアウタレンズ4によって画成される灯室5内に、光源であるバルブ6と、該バルブ6からの光を反射させるリフレクタ7を収容して構成されている。
【0020】
上記ハウジング2は、例えば光不透過性の黒色樹脂によって車幅方向(図1の左右方向)に細長いボックス状に一体成形されており、その開口部を覆う前記インナレンズ3とアウタレンズ4は透明な素通しの樹脂によって車幅方向に細長い円弧曲面状に一体成形されている。
【0021】
図3に示すように、前記リフレクタ7の車幅方向内側部分には、前記バルブ6が貫通するための円孔8が形成されている。そして、リフレクタ7には、山形形状に屈曲成形された縦方向に長い複数の短冊状の反射面7a,7bが幅方向に沿って形成されており、これらの反射面7a,7bはバルブ6からの光が到達する発光部を構成している。又、リフレクタ7の幅方向外側はバルブ6からの光が到達しないダミー部を構成しており、このダミー部には、バルブ6からの光が通過する縦方向に長いスリット状の複数の孔7cが車幅方向に沿って適当な間隔で形成されている。尚、反射面7a,7bには反射処理として銀色のアルミ蒸着が施されている。
【0022】
而して、本実施の形態では、リフレクタ7のダミー部には縦方向に長いスリット状の複数の孔7cが車幅方向に沿って適当な間隔で形成されており、これらの孔7cの大きさ(幅寸法)は車幅方向外側に向かって(図1図3の右方から左方に向かって)漸次大きく設定されている。
【0023】
而して、ポジションランプ1の非点灯時においては、図2に実線矢印にて示すようにリフレクタ7のダミー部に形成された複数のスリット状の孔7cを通過した光L1がハウジング2に到達し、該ハウジング2の内面で反射してハウジング2の黒色を拾い、図2に破線矢印にて示すように孔7cを通過しない光L2は反射面7bにて反射してアルミ蒸着の色である銀色を拾うため、リフレクタ7のダミー部にはハウジングの黒色とリフレクタ7の反射面7bの銀色とが交互に映し出されて色のグラデーションが表現される。この場合、前述のようにスリット状の複数の孔7cの大きさを車幅方向外側に向かって漸次大きく設定したため、リフレクタ7の反射面7bの銀色からハウジング2の黒色への色の移り変わりがさりげなく行われ、リフレクタ7とその周辺部品であるハウジング2との色の繋がりが違和感なく自然な形で行われる。尚、ポジションランプ1の点灯時においては、リフレクタ7のダミー部に形成されたスリット状の複数の孔7cによって高い点灯フィーリングが全幅に亘って保たれる。
【0024】
そして、以上の効果はリフレクタ7のダミー部にスリット状の孔7cを形成するだけの簡単な構成によって実現されるため、コストダウンが図られる。又、インナレンズ3等へのレンズカットが不要となるため、ポジションランプ1のデザインの基調が崩れたり、デザインが制限されることがない。
【0025】
ところで、以上の実施の形態では、リフレクタ7のダミー部をハウジング2の前方に配置したが、図4の平断面図に示すようにハウジング2の背面に凹部2aと凸部2bを交互に複数形成し、凸部2bをリフレクタ7のダミー部に形成された孔7cに嵌め込んでハウジング2の凸部2bとリフレクタ7のダミー部(反射面7b)とが前後方向において略同位置に配置されるようにしても良い。或いは、図5に示すように、ハウジング2の凸部2bをリフレクタ7の孔7cに貫通させ、リフレクタ7のダミー部(反射面7b)をハウジング2の凸部2bの後方に配置するようにしても良い。
【0026】
尚、以上は本発明をポジションランプに対して適用して形態について説明したが、本発明は、リフレクタにダミー部を有する他の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 ポジションランプ(車両用灯具)
2 ハウジング
2a ハウジングの凹部
2b ハウジングの凸部
3 インナレンズ
4 アウタレンズ
5 灯室
6 バルブ(光源)
7 リフレクタ
7a,7b リフレクタの反射面
7c リフレクタの孔
8 リフレクタの円孔
L1,L2 光
図1
図2
図3
図4
図5