特許第6133092号(P6133092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133092
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】撮影用光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20170515BHJP
   G03B 5/00 20060101ALI20170515BHJP
   G02B 7/08 20060101ALI20170515BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   G02B7/04 E
   G03B5/00 J
   G02B7/08 A
   H04N5/225 D
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-60276(P2013-60276)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-186131(P2014-186131A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−232617(JP,A)
【文献】 特開平06−030326(JP,A)
【文献】 特開2011−085666(JP,A)
【文献】 特開2012−037593(JP,A)
【文献】 特開2012−008379(JP,A)
【文献】 特開2008−058391(JP,A)
【文献】 特開昭62−084437(JP,A)
【文献】 特開2011−065140(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0154614(US,A1)
【文献】 特開2010−078842(JP,A)
【文献】 特開2011−257506(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0119785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/08
G03B 5/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置において、
レンズを保持する可動体と、前記可動体を移動可能に保持する固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記レンズの光軸方向へ駆動するオートフォーカス機構と、前記固定体に対して前記レンズの光軸が傾くように前記可動体を揺動させて振れを補正する振れ補正機構とを備え、
前記固定体は、前記可動体、前記オートフォーカス機構および前記振れ補正機構の外周側を覆うとともに少なくとも前記撮影用光学装置の外周面を構成するケース体を備え、
前記ケース体は、前記撮影用光学装置の被写体側の端面を構成する被写体側端面部を備え、
前記オートフォーカス機構は、前記可動体または前記固定体に固定されるオートフォーカス用磁石と、前記オートフォーカス用磁石が固定されていない前記可動体または前記固定体に固定されるオートフォーカス用コイルとを備え、
前記振れ補正機構は、前記可動体に固定される複数の振れ補正用磁石と、複数の前記振れ補正用磁石のそれぞれに前記光軸方向で対向配置される振れ補正用コイルとしての複数のコイル部を一体で有するシート状コイルとを備え、
前記シート状コイルは、前記被写体側端面部に固定され、
前記オートフォーカス機構と前記振れ補正機構とは、前記可動体よりも外周側に、かつ、前記光軸方向で重なるように配置され
前記オートフォーカス機構は、前記振れ補正機構よりも反被写体側に配置されていることを特徴とする撮影用光学装置。
【請求項2】
前記可動体に固定される可動体固定部と、前記固定体に固定される固定体固定部と、前記可動体固定部と前記固定体固定部とを繋ぐ腕部とを有する板バネを備え、
前記光軸方向において、前記振れ補正機構は、前記板バネよりも被写体側に配置され、前記オートフォーカス機構は、前記板バネよりも反被写体側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の撮影用光学装置。
【請求項3】
前記撮影用光学装置は、前記光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、
前記光軸方向から見たときの前記撮影用光学装置の四辺の少なくともいずれかに沿うように、前記オートフォーカス用磁石または前記振れ補正用磁石のいずれか一方が配置され、前記光軸方向から見たときの前記撮影用光学装置の四隅の少なくともいずれかに、前記オートフォーカス用磁石または前記振れ補正用磁石のいずれか他方が配置され、
前記光軸方向から見たときに、前記オートフォーカス用磁石と前記振れ補正用磁石とが重なっていないことを特徴とする請求項1または2記載の撮影用光学装置。
【請求項4】
前記振れ補正用コイルは、略四角形の枠状に巻回されて形成され、
前記振れ補正用磁石では、被写体側の端面の磁極と反被写体側の端面の磁極とが異なる磁極となるように着磁され、
略四角形の枠状に巻回される前記振れ補正用コイルの四辺の全てと、前記振れ補正用磁石の被写体側の端面とが対向していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮影用光学装置。
【請求項5】
前記振れ補正用コイルは、略三角形の枠状に巻回されて形成され、
前記振れ補正用磁石は、略平板状に形成されるとともに、前記レンズの径方向と前記振れ補正用磁石の厚さ方向とが略一致するように配置され、
前記振れ補正用磁石は、前記レンズの径方向における内側面の磁極と、前記レンズの径方向における外側面の磁極とが異なる磁極となるように着磁され、
略三角形の枠状に巻回される前記振れ補正用コイルの一辺と、前記振れ補正用磁石の被写体側の端面とが対向していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮影用光学装置。
【請求項6】
前記シート状コイルには、前記コイル部と外部機器とを電気的に接続するための帯状の外部接続部が形成され
前記外部接続部は、前記ケース体の反被写体側の端面まで引き回されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の撮影用光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュールと、カメラモジュールを揺動させることで、撮像素子上に結像される光学像の振れを補正する振れ補正装置とを備える撮影用光学装置が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。特許文献1および2に記載の撮影用光学装置では、カメラモジュールには、レンズを光軸方向へ移動させるレンズ駆動機構が内蔵されている。また、特許文献1および2に記載の撮影用光学装置では、振れ補正装置は、振れ補正用の磁石(振れ補正用磁石)と、振れ補正用のコイル(振れ補正用コイル)とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の撮影用光学装置では、4個の振れ補正用コイルがコイル基板に一体で形成されている。このコイル基板は、カメラモジュールの外周面に固定される内枠の、反被写体側の端面に固定されている。また、この撮影用光学装置では、平板状の振れ補正用磁石が、内枠を揺動可能に保持する外枠に固定されている。振れ補正用磁石は、コイル基板よりも反被写体側に配置されており、振れ補正用磁石とコイル基板とは、光軸方向で対向している。
【0004】
特許文献2に記載の撮影用光学装置では、振れ補正用磁石がカメラモジュールの外周面に固定されている。振れ補正用コイルは、撮影用光学装置の外周面を構成するケース体の内側面に固定されており、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとは、光軸方向に直交する方向で対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−78842号公報
【特許文献2】特開2011−257506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に記載の撮影用光学装置では、振れを補正するために、レンズ駆動機構が内蔵されたカメラモジュールの全体を揺動させている。したがって、この撮影用光学装置では、カメラモジュールを適切に揺動させて適切な振れ補正を行うために、振れ補正装置の駆動力を高める必要がある。振れ補正装置の駆動力を高めるためには、振れ補正用磁石および振れ補正用コイルを大型化すれば良いが、振れ補正用磁石および振れ補正用コイルが大型化すると、撮影用光学装置が大型化してしまう。
【0007】
そこで、本発明の課題は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置において、適切な振れ補正を行うことが可能であっても、小型化することが可能な撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の撮影用光学装置は、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置において、レンズを保持する可動体と、可動体を移動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体をレンズの光軸方向へ駆動するオートフォーカス機構と、固定体に対してレンズの光軸が傾くように可動体を揺動させて振れを補正する振れ補正機構とを備え、固定体は、可動体、オートフォーカス機構および振れ補正機構の外周側を覆うとともに少なくとも撮影用光学装置の外周面を構成するケース体を備え、ケース体は、撮影用光学装置の被写体側の端面を構成する被写体側端面部を備え、オートフォーカス機構は、可動体または固定体に固定されるオートフォーカス用磁石と、オートフォーカス用磁石が固定されていない可動体または固定体に固定されるオートフォーカス用コイルとを備え、振れ補正機構は、可動体に固定される複数の振れ補正用磁石と、複数の振れ補正用磁石のそれぞれに光軸方向で対向配置される振れ補正用コイルとしての複数のコイル部を一体で有するシート状コイルとを備え、シート状コイルは、被写体側端面部に固定され、オートフォーカス機構と振れ補正機構とは、可動体よりも外周側に、かつ、光軸方向で重なるように配置され、オートフォーカス機構は、振れ補正機構よりも反被写体側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の撮影用光学装置では、オートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルのいずれか一方が固定される可動体に、振れ補正用磁石が固定されるとともに、オートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルのいずれか他方が固定される固定体に、振れ補正用コイルが固定されており、振れ補正機構は、オートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルの一方のみが固定される可動体を揺動させて振れを補正している。そのため、本発明では、上述の特許文献1および2に記載された撮影用光学装置のように、レンズ駆動機構が内蔵されたカメラモジュールの全体を揺動させる場合と比較して、振れ補正機構に要求される駆動力を小さくすることが可能になり、その結果、適切な振れ補正を行うための振れ補正機構の駆動力を確保しつつ、振れ補正用磁石および振れ補正用コイルを小型化することが可能になる。したがって、本発明では、適切な振れ補正を行うことが可能であっても、撮影用光学装置を小型化することが可能になる。特に本発明では、オートフォーカス機構と振れ補正機構とが光軸方向で重なるように配置されているため、光軸方向に直交する方向において、撮影用光学装置を小型化することが可能になる。また、本発明では、ケース体は、撮影用光学装置の被写体側の端面を構成する被写体側端面部を備え、振れ補正用コイルとしての複数のコイル部を一体で有するシート状コイルは、被写体側端面部に固定され、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとは、光軸方向で対向している。上述の特許文献2に記載の撮影用光学装置のように、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが光軸方向に直交する方向で対向している場合には、固定体に対して可動体が傾いた状態で、オートフォーカス機構が作用して可動体が光軸方向へ移動すると、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが干渉して、可動体が動作不良を起こすおそれがある。これに対して、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが光軸方向で対向している場合には、固定体に対して可動体が傾いた状態で、オートフォーカス機構が作用して可動体が光軸方向へ移動しても、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとの干渉を防止することが可能になる。また、本発明では、振れ補正機構は、複数の振れ補正用磁石のそれぞれに対向配置される振れ補正用コイルとしての複数のコイル部を一体で有するシート状コイルを備えている。たとえば、振れ補正用コイルが空芯状に巻回された空芯コイルによって構成されている場合には、振れ補正用コイルを構成する導線の半田付け作業が必要となるが、本発明では、導線の半田付け作業が不要になる。したがって、撮影用光学装置の組立を簡素化することが可能になる。また、半田付け作業の不良に起因する撮影用光学装置の不具合の発生を防止することが可能になる。また、たとえば、振れ補正用コイルが空芯コイルによって構成されている場合には、撮影用光学装置に衝撃が加わったときに、振れ補正用コイルが脱落するおそれがあるが、本発明では、撮影用光学装置に衝撃が加わったときに、振れ補正用コイルとしてのコイル部が脱落することはない。
【0010】
本発明において、撮影用光学装置は、可動体に固定される可動体固定部と、固定体に固定される固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ腕部とを有する板バネを備え、光軸方向において、振れ補正機構は、板バネよりも被写体側に配置され、オートフォーカス機構は、板バネよりも反被写体側に配置されていることが好ましい。
【0011】
このように構成すると、可動体に固定される振れ補正用磁石または振れ補正用コイルの光軸方向のずれ、および、可動体に固定されるオートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルの光軸方向のずれを、板バネの可動体固定部を用いて防止することが可能になる。したがって、可動体に固定される振れ補正用磁石または振れ補正用コイルの光軸方向のずれや、可動体に固定されるオートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルの光軸方向のずれを防止するための特別な構造を可動体に設けなくても、可動体に固定される振れ補正用磁石または振れ補正用コイルの光軸方向のずれや、可動体に固定されるオートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルの光軸方向のずれを防止することが可能になる。また、可動体に固定される振れ補正用磁石または振れ補正用コイルと、可動体に固定されるオートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルとを、板バネの可動体固定部に固定することが可能になる。したがって、可動体に固定される振れ補正用磁石または振れ補正用コイルと、可動体に固定されるオートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルとを固定するための特別な構造を可動体に設けなくても、可動体に固定される振れ補正用磁石または振れ補正用コイルと、可動体に固定されるオートフォーカス用磁石またはオートフォーカス用コイルとを板バネの可動体固定部を介して、可動体に固定することが可能になる。その結果、可動体の構成を簡素化することが可能になる。
【0012】
本発明において、撮影用光学装置は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、光軸方向から見たときの撮影用光学装置の四辺の少なくともいずれかに沿うように、オートフォーカス用磁石または振れ補正用磁石のいずれか一方が配置され、光軸方向から見たときの撮影用光学装置の四隅の少なくともいずれかに、オートフォーカス用磁石または振れ補正用磁石のいずれか他方が配置され、光軸方向から見たときに、オートフォーカス用磁石と振れ補正用磁石とが重なっていないことが好ましい。このように構成すると、オートフォーカス用磁石から発生する磁力と、振れ補正用磁石から発生する磁力との干渉を抑制することが可能になる。したがって、オートフォーカス機構の駆動力および振れ補正機構の駆動力を確保することが可能になる。
【0014】
本発明において、振れ補正用コイルは、略四角形の枠状に巻回されて形成され、振れ補正用磁石では、被写体側の端面の磁極と反被写体側の端面の磁極とが異なる磁極となるように着磁され、略四角形の枠状に巻回される振れ補正用コイルの四辺の全てと、振れ補正用磁石の被写体側の端面とが対向していることが好ましい。このように構成すると、略四角形の枠状に巻回される振れ補正用コイルを有効利用して、振れ補正機構の駆動力を高めることが可能になる。
【0015】
本発明において、振れ補正用コイルは、略三角形の枠状に巻回されて形成され、振れ補正用磁石は、略平板状に形成されるとともに、レンズの径方向と振れ補正用磁石の厚さ方向とが略一致するように配置され、振れ補正用磁石は、レンズの径方向における内側面の磁極と、レンズの径方向における外側面の磁極とが異なる磁極となるように着磁され、略三角形の枠状に巻回される振れ補正用コイルの一辺と、振れ補正用磁石の被写体側の端面とが対向していても良い。
【0017】
本発明において、たとえば、シート状コイルには、コイル部と外部機器とを電気的に接続するための帯状の外部接続部が形成され、外部接続部は、ケース体の反被写体側の端面まで引き回されている。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する撮影用光学装置において、適切な振れ補正を行うことが可能であっても、撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置の断面図である。
図2図1に示す撮影用光学装置の分解斜視図である。
図3図1に示す撮影用光学装置からケース体を取り外した状態の斜視図である。
図4図2に示す振れ補正用磁石およびシート状コイルを他の方向から示す分解斜視図である。
図5】本発明の他の実施の形態にかかる振れ補正用磁石およびシート状コイルを反被写体側から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(撮影用光学装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の断面図である。図2は、図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。図3は、図1に示す撮影用光学装置1からケース体12を取り外した状態の斜視図である。図4は、図2に示す振れ補正用磁石20およびシート状コイル22を他の方向から示す分解斜視図である。以下の説明では、図1に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、光学像のピント合わせを自動で行うためのオートフォーカス機能と光学像の振れを補正するための振れ補正機能とを備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態の撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0023】
撮影用光学装置1は、撮像素子上に光学像を結像させるためのレンズと、このレンズを保持する可動体2と、可動体2を移動可能に保持する固定体3と、固定体3に対して可動体2を光軸方向へ駆動するオートフォーカス機構4と、固定体3に対して光軸Lが傾くように可動体2を揺動させて振れを補正する振れ補正機構5とを備えている。可動体2は、光軸方向における可動体2の略中心に配置される板バネ7と、可動体2の下端側に配置される板バネ8とを介して固定体3に移動可能に保持されている。具体的には、可動体2は、固定体3に対する光軸方向への移動と揺動とが可能になるように、板バネ7、8を介して固定体3に保持されている。すなわち、可動体2と固定体3とは、板バネ7、8によって繋がれている。
【0024】
なお、本形態では、上下方向は、可動体2が揺動していないときの可動体2の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、撮影用光学装置1の下端側に撮像素子(図示省略)が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0025】
可動体2は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ10と、レンズホルダ10を保持するスリーブ11とを備えている。固定体3は、撮影用光学装置1の4つの側面(外周面)を構成するケース体12と、撮影用光学装置1の反被写体側の端面を構成するベース部材13とを備えている。
【0026】
レンズホルダ10は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ10の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ11は、略筒状に形成されている。たとえば、スリーブ11は、光軸方向から見たときの内周面の形状が円形状となり、光軸方向から見たときの外周面の形状が略正八角形状となる略筒状に形成されている。スリーブ11の内周面には、レンズホルダ10の外周面が固定されている。なお、複数のレンズは、スリーブ11に直接、固定されても良い。
【0027】
ケース体12は、磁性材料で形成されている。このケース体12は、底部12aと筒部12bとを有する底付きの略四角筒状(略有底四角筒状)に形成されている。底部12aは、上側に配置されており、撮影用光学装置1の被写体側の端面を構成している。本形態の底部12aは、撮影用光学装置1の被写体側の端面を構成する被写体側端面部である。底部12aの中心には、円形の貫通孔12cが形成されている。ケース体12は、可動体2、オートフォーカス機構4および振れ補正機構5の外周側を覆っている。
【0028】
ベース部材13は、樹脂材料で形成されるとともに、略正方形の平板状に形成されている。このベース部材13は、ケース体12の筒部12bの下端に固定されている。ベース部材13の中心には、貫通孔13aが形成されている。貫通孔13aの中には、近赤外光をカットするIRカットフィルタ(図示省略)が固定されている。
【0029】
オートフォーカス機構4は、可動体2の外周面(具体的には、スリーブ11の外周面)に固定されるオートフォーカス用コイル16と、オートフォーカス用コイル16の外周面に所定の隙間を介して対向する4個のオートフォーカス用磁石17とを備えている。オートフォーカス用コイル16は、スリーブ11の外周面に沿って巻回されている。また、オートフォーカス用コイル16は、スリーブ11の下端側に固定されている。
【0030】
オートフォーカス用磁石17は、略長方形の平板状に形成されている。4個のオートフォーカス用磁石17は、ケース体12の筒部12bの内周面に固定されている。具体的には、4個のオートフォーカス用磁石17のそれぞれは、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる撮影用光学装置1の四辺のそれぞれに沿うように、筒部12bを構成する4つの側面部の内側面のそれぞれに固定されている。また、筒部12bの左右の側面部に固定されるオートフォーカス用磁石17は、左右方向とその厚さ方向とが一致するように固定され、筒部12bの前後の側面部に固定されるオートフォーカス用磁石17は、前後方向とその厚さ方向とが一致するように固定されている。また、筒部12bの左右の側面部に固定されるオートフォーカス用磁石17は、この左右の側面部の前後方向の中心とオートフォーカス用磁石17の前後方向の中心とが略一致するように固定され、筒部12bの前後の側面部に固定されるオートフォーカス用磁石17は、この前後の側面部の左右方向の中心とオートフォーカス用磁石17の左右方向の中心とが略一致するように固定されている。
【0031】
筒部12bの左右の側面部に固定されるオートフォーカス用磁石17は、オートフォーカス用磁石17の左右の側面の磁極が互いに異なる磁極となるように着磁され、筒部12bの前後の側面部に固定されるオートフォーカス用磁石17は、オートフォーカス用磁石17の前後の側面の磁極が互いに異なる磁極となるように着磁されている。また、4個のオートフォーカス用磁石17は、オートフォーカス用コイル16との対向面に形成される磁極がいずれも同じ磁極となるように着磁されている。
【0032】
振れ補正機構5は、図4に示すように、4個の振れ補正用磁石20と、4個の振れ補正用磁石20のそれぞれに対向配置される振れ補正用コイルとしての4個のコイル部21を一体で有するシート状コイル22とを備えている。シート状コイル22は、微細な銅配線からなる4個のコイル部21がプリント基板23上に形成されることによって構成されたFPコイルである。本形態のプリント基板23は、フレキシブルプリント基板(FPC)である。なお、プリント基板23は、リジッド基板であっても良い。
【0033】
プリント基板23は、正方形状に形成されている。プリント基板23の中心には、円形の貫通孔23aが形成されている。貫通孔23aの内径は、ケース体12の底部12aに形成される貫通孔12cの内径と略等しくなっている。コイル部21は、略長方形または略正方形の枠状に巻回されて形成されている。4個のコイル部21は、プリント基板23の四隅のそれぞれに形成されている。
【0034】
シート状コイル22は、ケース体12の底部12aの下面に固定されている。具体的には、撮影用光学装置1の四隅とシート状コイル22の四隅とが一致するように、シート状コイル22が底部12aの下面に固定されており、4個のコイル部21のそれぞれは、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四隅のそれぞれに配置されている。また、4個のコイル部21は、底部12aの下面に沿うように配置されている。略長方形または略正方形の枠状に巻回されて形成されるコイル部21の四辺は、前後方向および左右方向に対して約45°傾いている。
【0035】
プリント基板23には、4個のコイル部21と外部機器(図示省略)とを電気的に接続するための外部接続部23bが形成されている。外部接続部23bは帯状に形成されている。この外部接続部23bは、シート状コイル22が固定されるケース体12の上端側からケース体12の下端面まで引き回されている。なお、図4では、外部接続部23bの図示を省略している。
【0036】
振れ補正用磁石20は、略直方体状に形成されている。この振れ補正用磁石20は、スリーブ11の上端側の外周面および/または板バネ7を構成する後述の可動体固定部の上面に固定されている。4個の振れ補正用磁石20のそれぞれは、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四隅のそれぞれに配置されている。また、振れ補正用磁石20は、互いに平行な振れ補正用磁石20の2つの側面が光軸方向と直交するように、かつ、振れ補正用磁石20の残りの4つの側面が前後方向および左右方向に対して約45°傾くように配置されている。
【0037】
4個の振れ補正用磁石20は、シート状コイル22の下側に配置されており、4個の振れ補正用磁石20のそれぞれは、4個のコイル部21のそれぞれと光軸方向で対向している。本形態では、略長方形または略正方形の枠状に巻回されて形成されるコイル部21の四辺の全ての下面と振れ補正用磁石20の上側面とが光軸方向で対向するように、振れ補正用磁石20とコイル部21とが配置されている。振れ補正用磁石20は、その上側面の磁極とその下側面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。
【0038】
板バネ7は、光軸方向におけるスリーブ11の略中心に固定される可動体固定部と、光軸方向におけるケース体12の中間位置に固定される固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ腕部とを備えている。同様に、板バネ8は、スリーブ11の下端側に固定される可動体固定部と、ケース体12の下端側および/またはベース部材13の上面に固定される固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ腕部とを備えている。本形態では、板バネ7、8の固定体固定部に対して腕部が撓むことで、可動体固定部に固定された可動体2の光軸方向への移動と揺動とが可能になる。なお、図2図3等では、形状が簡略化された板バネ7、8が図示されており、可動体固定部、固定体固定部および腕部の図示は省略されている。
【0039】
オートフォーカス機構4を構成するオートフォーカス用コイル16とオートフォーカス用磁石17とは、光軸方向において、板バネ7と板バネ8との間に配置されている。すなわち、オートフォーカス用コイル16とオートフォーカス用磁石17とは、板バネ7よりも反被写体側であって、かつ、板バネ8よりも被写体側に配置されている。また、振れ補正機構5を構成する振れ補正用磁石20とシート状コイル22とは、光軸方向において、板バネ7よりも被写体側に配置されている。
【0040】
また、オートフォーカス機構4と振れ補正機構5とは、スリーブ11よりも外周側であって、かつ、ケース体12よりも内周側に配置されている。また、オートフォーカス機構4と振れ補正機構5とは、図1図3に示すように、光軸方向で重なるように配置されている。ただし、4個のオートフォーカス用磁石17のそれぞれは、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四辺のそれぞれに沿うように配置され、4個の振れ補正用磁石20のそれぞれは、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四隅のそれぞれに配置されており、光軸方向から見たときに、オートフォーカス用磁石17と振れ補正用磁石20とは重なっていない。
【0041】
以上のように構成された撮影用光学装置1では、オートフォーカス用コイル16に電流が供給されると、可動体2とともにレンズが光軸方向へ移動する。また、撮影用光学装置1では、たとえば、撮影用光学装置1の所定位置に取り付けられるジャイロスコープ(図示省略)で可動体2の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープでの検出結果に基づいて、コイル部21に電流が供給される。コイル部21に電流が供給されると、固定体3に対して可動体2が光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、オートフォーカス用コイル16が固定されるスリーブ11に振れ補正用磁石20が固定されるとともに、オートフォーカス用磁石17が固定されるケース体12にシート状コイル22が固定されており、振れ補正機構5は、オートフォーカス用コイル16が固定される可動体2を揺動させて振れを補正している。そのため、本形態では、上述の特許文献1および2に記載された撮影用光学装置のように、レンズ駆動機構が内蔵されたカメラモジュールの全体を揺動させる場合と比較して、振れ補正機構5に要求される駆動力を小さくすることが可能になり、その結果、適切な振れ補正を行うための振れ補正機構5の駆動力を確保しつつ、振れ補正用磁石20およびシート状コイル22に形成されるコイル部21を小型化することが可能になる。したがって、本形態では、適切な振れ補正を行うことが可能であっても、撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0043】
特に本形態では、オートフォーカス機構4と振れ補正機構5とが光軸方向で重なるように配置されているため、前後左右方向において、撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。たとえば、オートフォーカス機能は有するが、振れ補正機能を有しない撮影用光学装置と同程度まで、前後左右方向において、撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0044】
本形態では、光軸方向において、振れ補正用磁石20が板バネ7よりも被写体側に配置されている。そのため、本形態では、スリーブ11に固定される振れ補正用磁石20の下側へのずれを板バネ7の可動体固定部を用いて防止することが可能になる。したがって、振れ補正用磁石20の下側へのずれを防止するための特別な構造をスリーブ11に設けなくても、振れ補正用磁石20の下側へのずれを防止することが可能になる。また、本形態では、振れ補正用磁石20が板バネ7よりも被写体側に配置されているため、振れ補正用磁石20の下面を板バネ7の可動体固定部の上面に固定することも可能になる。したがって、振れ補正用磁石20を固定するための特別な構造をスリーブ11に設けなくても、振れ補正用磁石20を板バネ7の可動体固定部を介して、スリーブ11に固定することが可能になる。このように、本形態では、振れ補正用磁石20の下側へのずれを防止するための特別な構造や振れ補正用磁石20を固定するための特別な構造をスリーブ11に設けなくても良くなるため、スリーブ11の構成を簡素化することが可能になる。
【0045】
なお、本形態では、光軸方向において、オートフォーカス用コイル16が板バネ7よりも反被写体側であって、かつ、板バネ8よりも被写体側に配置されているため、スリーブ11に固定されるオートフォーカス用コイル16の光軸方向のずれを板バネ7の可動体固定部および板バネ8の可動体固定部を用いて防止することが可能になる。したがって、オートフォーカス用コイル16の光軸方向のずれを防止するための特別な構造をスリーブ11に設けなくても、オートフォーカス用コイル16の光軸方向のずれを防止することが可能になる。また、本形態では、オートフォーカス用コイル16が板バネ7よりも反被写体側であって、かつ、板バネ8よりも被写体側に配置されているため、オートフォーカス用コイル16の上端面を板バネ7の可動体固定部の下面に固定し、オートフォーカス用コイル16の下端面を板バネ8の可動体固定部の上面に固定することも可能になる。したがって、オートフォーカス用コイル16を固定するための特別な構造をスリーブ11に設けなくても、オートフォーカス用コイル16を板バネ7の可動体固定部および板バネ8の可動体固定部を介して、スリーブ11に固定することが可能になる。このように、本形態では、オートフォーカス用コイル16の光軸方向のずれを防止するための特別な構造やオートフォーカス用コイル16を固定するための特別な構造をスリーブ11に設けなくても良くなるため、スリーブ11の構成を簡素化することが可能になる。
【0046】
本形態では、4個のオートフォーカス用磁石17のそれぞれは、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四辺のそれぞれに沿うように配置され、4個の振れ補正用磁石20のそれぞれは、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四隅のそれぞれに配置されており、光軸方向から見たときに、オートフォーカス用磁石17と振れ補正用磁石20とは重なっていない。そのため、本形態では、オートフォーカス用磁石17から発生する磁力と、振れ補正用磁石20から発生する磁力との干渉を抑制することが可能になる。したがって、本形態では、オートフォーカス機構4の駆動力および振れ補正機構5の駆動力を確保することが可能になる。
【0047】
本形態では、4個のコイル部21がシート状コイル22に一体で形成されている。そのため、たとえば、振れ補正用磁石20に対向配置される振れ補正用コイルが空芯コイルによって構成されている場合には、振れ補正用コイルを構成する導線の半田付け作業が必要となるが、本形態では、導線の半田付け作業が不要になる。したがって、撮影用光学装置1の組立を簡素化することが可能になる。また、半田付け作業の不良に起因する撮影用光学装置1の不具合の発生を防止することが可能になる。また、たとえば、振れ補正用コイルが空芯コイルによって構成されている場合には、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときに、振れ補正用コイルが脱落するおそれがあるが、本形態では、撮影用光学装置1に衝撃が加わったときに、コイル部21がプリント基板23から脱落することはない。
【0048】
本形態では、振れ補正用磁石20とコイル部21とが光軸方向で対向している。上述の特許文献2に記載の撮影用光学装置のように、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが光軸方向に直交する方向で対向している場合には、固定体に対して可動体が傾いた状態で、オートフォーカス機構が作用して可動体が光軸方向へ移動すると、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが干渉して、可動体が動作不良を起こすおそれがあるが、本形態では、振れ補正用磁石20とコイル部21とが光軸方向で対向しているため、固定体3に対して可動体2が傾いた状態で、オートフォーカス機構4が作用して可動体2が光軸方向へ移動しても、振れ補正用磁石20とシート状コイル22との干渉を防止することが可能になる。
【0049】
また、本形態のように4個のコイル部21がシート状コイル22に一体で形成されている場合、上述の特許文献2に記載の撮影用光学装置のように、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが光軸方向に直交する方向で対向していると、シート状コイル22をケース体12の筒部12bの内周面に沿って折り曲げる必要があるが、本形態では、振れ補正用磁石20とコイル部21とが光軸方向で対向しているため、底部12aに固定されるシート状コイル22を折り曲げる必要がない。したがって、本形態では、シート状コイル22の構成を簡素化することが可能になる。
【0050】
本形態では、略長方形または略正方形の枠状に巻回されて形成されるコイル部21の四辺の全てと振れ補正用磁石20の上側面とが光軸方向で対向するように、振れ補正用磁石20とコイル部21とが配置されている。そのため、本形態では、略長方形または略正方形の枠状に巻回されるコイル部21を有効利用して、振れ補正機構5の駆動力を高めることが可能になる。
【0051】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0052】
上述した形態では、コイル部21は、略長方形または略正方形の枠状に巻回されて形成されている。この他にもたとえば、コイル部21は、略三角形の枠状に巻回されて形成されても良い。この場合には、たとえば、図5に示すように、コイル部21は、略直角二等辺三角形の枠状に形成され、コイル部21の直角に折れ曲がる部分がプリント基板23の角部と一致するように配置される。また、この場合には、振れ補正用磁石20は、略平板状に形成されるとともに、レンズの径方向と振れ補正用磁石20の厚さ方向とが略一致するように配置される。具体的には、振れ補正用磁石20の厚さ方向が前後方向および左右方向に対して約45°傾くように、振れ補正用磁石20がスリーブ11に固定される。また、この場合には、振れ補正用磁石20は、レンズの径方向における内側面の磁極とレンズの径方向における外側面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されており、略直角二等辺三角形の枠状に形成されるコイル部21の斜辺部分と、振れ補正用磁石20の被写体側の端面とが対向する。
【0053】
上述した形態では、4個のコイル部21を一体で有するシート状コイル22が振れ補正用磁石20に対向配置されている。この他にもたとえば、シート状コイル22に代えて、空芯状に巻回された空芯コイルが振れ補正用磁石20に対向配置されても良い。また、上述した形態では、振れ補正用磁石20とコイル部21とが光軸方向で対向しているが、振れ補正用磁石20とコイル部21とが、前後方向、左右方向で対向していても良い。
【0054】
上述した形態では、オートフォーカス用コイル16がスリーブ11に固定され、オートフォーカス用磁石17がケース体12に固定されている。この他にもたとえば、オートフォーカス用コイル16がケース体12に固定され、オートフォーカス用磁石17がスリーブ11に固定されても良い。また、上述した形態では、振れ補正用磁石20がスリーブ11に固定され、シート状コイル22がケース体12に固定されているが、振れ補正用磁石20がケース体12に固定され、シート状コイル22がスリーブ11に固定されても良い。
【0055】
上述した形態では、略長方形の平板状に形成されるオートフォーカス用磁石17が、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる撮影用光学装置1の四辺のそれぞれに沿うように配置されている。この他にもたとえば、光軸方向から見たときの形状が略等脚台形状となる略四角柱状に形成されたオートフォーカス用磁石17が、撮影用光学装置1の四隅に配置されても良い。この場合には、振れ補正用磁石20は、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四辺のそれぞれに沿うように配置されても良い。また、上述した形態では、オートフォーカス用コイル16は、スリーブ11の外周面に巻回されているが、オートフォーカス用コイル16は、略長方形状に巻回された空芯コイルであっても良い。この場合には、たとえば、空芯状の4個のオートフォーカス用コイル16がスリーブ11の外周面に固定される。
【0056】
上述した形態では、振れ補正用磁石20とシート状コイル22とは、板バネ7よりも上側に配置されているが、振れ補正用磁石20とシート状コイル22とは、板バネ7より下側に配置されても良い。また、上述した形態では、振れ補正機構5は、オートフォーカス機構4よりも上側に配置されているが、振れ補正機構5は、オートフォーカス機構4より下側に配置されても良い。
【0057】
上述した形態では、撮影用光学装置1の四隅のそれぞれに振れ補正用磁石20が配置されている。この他にもたとえば、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の一方の対角線上の角部の1箇所と、撮影用光学装置1の他方の対角線上の角部の1箇所との2箇所に振れ補正用磁石20が配置されても良い。また、光軸方向から見たときの撮影用光学装置1の四辺に沿うように振れ補正用磁石20が配置される場合には、左右の辺の一方と前後の辺の一方との2箇所に振れ補正用磁石20が配置されても良い。また、上述した形態において、振れ補正用磁石20の下側に、シート状コイル22を追加で配置して、振れ補正機構5の駆動力を高めても良い。
【0058】
上述した形態では、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状がその他の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 撮影用光学装置
2 可動体
3 固定体
4 オートフォーカス機構
5 振れ補正機構
7 板バネ
12 ケース体
12a 底部(被写体側端面部)
16 オートフォーカス用コイル
17 オートフォーカス用磁石
20 振れ補正用磁石
21 コイル部(振れ補正用コイル)
22 シート状コイル
23b 外部接続部
L 光軸
Z 光軸方向
Z1 被写体側
Z2 反被写体側
図1
図2
図3
図4
図5