(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液回収容器とを含む透析液回路と、前記透析液容器を起点とし、または、前記排液回収容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、前記送液手段による送液量を設定する送液量設定手段とを有し、患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収するよう作動するように制御部で制御する自動腹膜透析装置であって、
筐体部と、
前記腹膜透析液の送液による前記患者の腹膜透析治療の際に、前記腹膜透析治療に関する警報が発生した時には、前記警報に対処するための手順を示す操作ガイド情報を記憶している記憶媒体を装着する装着部と、
前記筐体部に設けられている表示部と、
前記筐体部に設けられ、前記記録媒体から前記操作ガイド情報を読み出して、前記表示部に表示させる制御部と
を備え、
前記筐体部には、前記操作ガイド情報と同じ最低限必要な操作ガイド情報を記憶している記憶部が、設けられ、
前記筐体部の前記記憶部には、前記患者が前記警報に対処可能な前記必要最低限の操作ガイド情報と、より詳細な操作手順を示す画像データとを、記憶しており、前記記憶媒体では、前記筐体部の前記記憶部に記憶されている前記警報に対処可能な前記必要最低限の操作ガイド情報と同じ内容のバックアップ用の警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報と、前記筐体部の前記記憶部に記憶されている前記より詳細な操作手順を示す画像データと同じ内容のバックアップ用のより詳細な操作手順を示す画像データとを、別々に記憶しておく領域に分けてあり、前記制御部は、前記自動腹膜透析装置の起動時の度に、前記記憶媒体の前記バックアップ用の前記警報に対処可能な前記操作ガイド情報と、前記バックアップ用の前記より詳細な操作手順を示す画像データとを、読み出して前記表示部に表示させる構成としたことを特徴とする自動腹膜透析装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1と
図2は、本発明の自動腹膜透析装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。
図1は、自動腹膜透析装置1のカセット装着部100の蓋部材を閉じた状態を示し、
図2は、自動腹膜透析装置1のカセット装着部100の蓋部材を開けた状態を示す斜視図である。
図3は、自動腹膜透析装置1の下筐体部3と、カセット100の好ましい例を示す斜視図である。
【0018】
図1と
図2に示す自動腹膜透析装置1は、筐体部1Aを有し、筐体部1Aは、上筐体部2と下筐体部3を有している。カセット100を未装着の場合には自動腹膜透析装置1の重量は9kgであり、軽量である。上筐体部2と下筐体部3は、それぞれ例えばプラスチックにより作られている箱型の部材である。上筐体部2は、前面部4と、上面部5と、左右の側面部6,7と、背面部8を有し、下筐体部3の上部を覆っている。
上筐体部2の前面部4の形状は、使用者である腹膜透析患者の使用を考慮している。腹膜透析患者が、前面部4の表示部10に表示された情報内容を見易くし、しかも開始スイッチ11と停止スイッチ12が操作し易いようにするために、前面部4は垂直線に対して角度θで斜めに傾斜して形成されている。前面部4の中央部には、表示部10が配置され、表示部10の左右位置に開始スイッチ11と停止スイッチ12が配置されている。
【0019】
この表示部10は、タッチパネル式の入力画面を有している。表示部10は、腹膜透析患者等の使用者に情報内容を視覚的に報知したり必要な腹膜透析条件を入力したり、腹膜透析条件の確認できる。表示部10は、腹膜透析患者が、直接指で接触することにより、各種腹膜透析条件を直接指で入力できる。腹膜透析患者が、表示部10の画面を直接指で接触することにより、自動腹膜透析装置1の動作状態を報知できる。ここで、自動腹膜透析装置1の動作状態とは、例えば、後で説明する腹膜透析液を送液する患者に応じて設定された各種の腹膜透析モードに基づいて腹腔に腹膜透析液を注入する注入処理や、逆に腹腔から腹膜透析液を排液する排液処理の実施中の様子や、腹膜透析処理の終了等の状態等である。
表示部10は、警報が発生した場合にその警報に対処するための操作ガイド情報等を表示でき、腹膜透析患者が、表示部10の画面を直接指で接触することにより、警報に対処して直接操作してこの警報を解消することができる。
【0020】
表示部10は、腹膜透析患者が指でタッチ操作して各種の操作を直接入力可能なカラー液晶表示装置や、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置等を採用できる。表示部10の画面上には、例えば比較的サイズの大きく操作し易い複数のタッチ操作式のアイコン10A〜10Fが設けられている。これらのアイコンとしては、例えば操作を前の状態に戻すための「戻る」アイコン10Aや、「確認」アイコン10B、腹膜透析条件設定用のアイコン10C〜10F等が設けられている。
【0021】
図1と
図2に示す前面部4は傾斜部分4A〜4Dを有し、傾斜部分4A〜4Dは表示部10の周囲に形成されている。従って、表示部10は、前面部4の表面からやや窪んだ位置に配置されている。
図1と
図2の例では、上側の傾斜部分4Aには、アイコン10D〜10Fに対処する位置に、指標突起部9D〜9Fが形成されている。同様にして、下側の傾斜部分4Cには、アイコンでありタッチパネル機能を有する10A〜10Cに対処する位置に、指標突起部9A〜9Cが形成されている。
【0022】
ところで、これらの指標突起部9A〜9Fは、アイコン10A〜10Fがそれぞれ表示部10の画面上のどの位置にあるかを示すものである。指標突起部9A〜9Fは、例えば、腹膜透析患者が弱視や目が見えない状態であっても、腹膜透析患者は、これらの指標突起部9A〜9Fに触れることで、表示部10の画面上のアイコン10A〜10Fの位置を、正確に確認できるようになっている。このため、送液対象患者の選択ミスを防ぐことができる。
なお、
図1と
図2に示す指標突起部9A〜9Fは、例えば直方体形状の突起であるが、これに限らず他の形状を採用しても良い。また、指標突起部9A〜9Fは、このような単純な形状に代えて、各アイコン10A〜10Fの内容を示す「点字」を採用しても良い。
【0023】
図1と
図2に示すように、前面部4には、表示部10の右の位置に、開始スイッチ11が配置され、表示部10の左の位置に、停止スイッチ12が配置されている。これらの開始スイッチ11と停止スイッチ12は、特に重要なスイッチであるので、表示部10の画面には設けずに、後で説明するように、腹膜透析患者が直接機械的に操作してクリック感を感じ取ることができるように、別途大きいサイズに形成している。開始スイッチ11はパイロットランプ11Lを有し、停止スイッチ12はパイロットランプ12Lを有している。
【0024】
図2に示す下筐体部3の下部の前面側には、カセット装着部20を備えている。このカセット装着部20には、
図3に示す平板状のカセット100を手動で着脱自在に装着できる。下筐体部3は、左側面部22と、右側面部23と、背面部24と、底面部25を有する。
図1から
図3に示すように、カセット装着部20は、前面側にはほぼ長方形状の開閉可能な蓋部材21を有している。この蓋部材21は、両側のヒンジ26,26を用いてR方向に開閉することで、カセット装着部20の内部を露出させることができる。
図3に示すカセット100の詳しい構造は、後で説明する。
【0025】
図2に示すように、カセット装着部20は、本体部30と、第1ラッチ31と、第2ラッチ32と、シェード33を有している。本体部30とシェード33は例えば金属製の部材である。第1ラッチ31と第2ラッチ32は、
図3に示すカセット100をカセット装着部20内に案内したり、カセット装着部20内から取り出す際の案内を行う。このように、第1ラッチ31と第2ラッチ32は
図3に示すプラスチック製のカセット100に直接接触してカセット100の動きをガイドする機能を有しているので、カセット100側に傷を付けないようにするために、プラスチックにより作られている。
【0026】
次に、
図4〜
図6を参照して、カセット100の構造例を説明する。
図4は、カセット100の上面図であり、
図5は、カセット100の背面図である。
図6は、カセット100の内部構造を示す斜視図である。なお、
図6では、第1筐体部101は全体を図示しているが、第2筐体部102は紙面の都合上、下部しか図示していない。
図4に示すように、カセット100は、プラスチック製の第1筐体部101と第2筐体部102と、ポンプ部103と、加温部104A,104Bと、チューブ流路の切換部105とを有している。
【0027】
図5と
図6に示すように、第1筐体部101は、パネル部106と枠部107と開口部108と延長部109を有している。同様にして、
図4に示すように、第2筐体部102は、パネル部110と枠部111と開口部112と延長部113を有している。パネル部106とパネル部110は重なり合う部分であり、枠部107と枠部111は重なり合う部分であり、延長部109と延長部113は重なり合う部分である。
【0028】
図4に示すように、第1筐体部101と第2筐体部102は、4か所の連結部分114と、3か所の連結部分115により、着脱可能に相互に固定でき、第1筐体部101と第2筐体部102は、必要に応じて繰り返して再利用可能である。4か所の連結部分114は、枠部107と枠部111に設けられ、3か所の連結部分115は、カセット100の挿入後端部100N側に設けられている。
【0029】
図5と
図6に示す3か所の連結部分115は、
図6に示すようにはめ込み突起115Aとはめ込み凹部115Bを有しており、第2筐体部102側にははめ込み突起115Aが形成されている。第1筐体部101側にははめ込み凹部115Bが形成され、はめ込み突起115Aがはめ込み凹部115Bに対して着脱可能にはめ込まれるようになっている。
また、
図4に示す4か所の連結部分114は、はめ込み突起114Aとはめ込み凹部114Bを有しており、第2筐体部102側にははめ込み突起114Aが形成されている。第1体部101にははめ込み凹部114Bが形成され、はめ込み突起114Aがはめ込み凹部114Bに対して着脱可能にはめ込まれるようになっている。
【0030】
図6に示すように、2点鎖線で示すポンプ部103が、第1筐体部101のパネル部106と、第2筐体部102のパネル部110との間に、挟まれるようにして固定されている。このポンプ部103は、後述するように腹膜透析液を送液するための駆動力を発揮する駆動部であり、ポンプ部103としては、後述するようにダイヤフラムポンプや間欠ポンプ等が使用される。ダイヤフラムポンプとは、フランジ部材により密閉状態で収容され、空気圧で加圧又は減圧される構造のものを指す。これにより、ダイヤフラムポンプは、腹膜透析液を送液するために、加圧すると収縮し、減圧すると膨張する。
【0031】
図6に示すように、チューブ流路の切換部105は、第1筐体部101のパネル部106と、第2筐体部102のパネル部110との間であって、ポンプ部103の横の位置に、挟まれるようにして固定されている。
図6に示すチューブ流路の切換部105は、カセット100内に配置された透析液流路の途中部分を、
図1に示す自動腹膜透析装置1の上筐体部2内に配置されたクランプにより押さえることにより、腹膜透析液の流路を切替えて、送液処理用又は排液処理用の流路を切替える。
【0032】
図6に示すチューブ流路の切換部105は、フィルム状に薄く形成され、流路105A〜105Gを有している。一方と他方の透析液の加温部104A,104Bは、フィルム状に形成され、開口部108,112内において着脱可能に配置されている。一方と他方の透析液の加温部104A,104Bには、それぞれ透析液を通すための流路120が、ほぼS字型に連続して形成されている。
図4と
図5に示すように、一方のフィルム状の加温部104Aは、第1筐体部101の枠部107の複数の突起107N、107Mを用いて、開口部108に対処して着脱可能に保持されている。同様にして、
図4に示すように、他方のフィルム状の加温部104Bは、第2筐体部102の枠部111の複数の突起111N、111Mを用いて、開口部112に対処して着脱可能に保持されている。
【0033】
一方と他方の加温部104A,104Bは、互いに重ねるようにして開口部108,112内において固定されて、一方と他方の加温部104A,104Bの流路120内を通る腹膜透析液は、後で説明する電気ヒータと伝熱部材(例えばアルミニウム部材)を用いて加温できるようになっている。ヒータは、送液処理用の流路120を挟み込むように上面ヒータ及び下面ヒータを含むことで、効率的に腹膜透析患者の腹腔の温度になるように腹膜透析液を加温することができる。
【0034】
図6に示すように、一方の加温部104Aの注入液処理用の流路120は、接続部120R,120Tを有し、他方の加温部104Bの排液処理用の流路120は、接続部120F,120Vを有している。接続部120Fと接続部120Tは、パイプ120Kにより接続されている。接続部120Rは、流路105F、105Gに接続されている。接続部120Vは、流路105E,105Gに接続されている。流路105A〜105Dは、流路105G、105Eに接続されている。各流路105A〜105Dは、チューブ131〜134にそれぞれ接続されている。また流路105Gはポンプ部103に接続されている。
【0035】
その他に、
図4に示すように、第2筐体部102のパネル部110には、複数の開口105Sと溝部120Cが形成されている、
図1に示す上筐体部2の内部の下部には、複数のクランプ部材(図示せず)が設けられている。これらのクランプ部材は、開口105Sや溝部120Cを通じて対処する流路105A〜105Dを適宜押すことで、腹膜透析液が通ることができる流路の切り換えを行うことができる。
チューブ131〜134が接続される接続対象例を、
図3と
図4を参照して説明する。例えば、チューブ131は、腹膜透析患者MMに対して接続され、腹腔MMRに対して腹膜透析液を送液したり、腹腔MMRから腹膜透析液を排液するのに用いられる。
チューブ132は、腹膜透析液の注液ラインであり、腹膜透析液の追加送液用の送液バッグ138に接続されている。チューブ133は、腹膜透析液の注液ラインであり、複数の腹膜透析液の送液用の送液バッグ139に接続されている。チューブ134は、排液ラインであり、排液タンク140に接続されている。
【0036】
図7は、
図1に示す自動腹膜透析装置1の背面側を示す斜視図である。
図7に示すように、上筐体部2の右側の側面部7には、保守用記憶カードMDを挿入して装着するための第1装着部500が設けられている。この保守用記憶カードMDは、自動腹膜透析装置1の点検保守を行うサービスエンジニアが管理する情報記録媒体である。また、上筐体部2の背面部8には、患者用記憶カードMCを挿入して装着するための第2装着部600が設けられている。患者用記憶カードMCは、腹膜透析患者に関する情報が記録されている情報記録媒体である。第1装着部500と第2装着部600は、
図1と
図2にも示している。
なお、保守用記憶カードMDと患者用記憶カードMCとしては、例えば情報を記憶できる小型のカード型の記録媒体であり、例えばSD型メモリカードであり、フラッシュメモリーカードである。しかし、保守用記憶カードMDと患者用記憶カードMCとしては、これに限定されない。
【0037】
図7に示す第1装着部500は、側面部7のやや後ろの位置に設けられている。第1装着部500は、例えば細長いスロット501と、蓋部材502と、固定用のねじ503を有する。上筐体部2の右側の側面部7には、長方形状の凹部7Aが形成されている。この凹部7A内には、スロット501が水平方向に沿って設けられている。スロット501の付近には、保守用記憶カードMDに記憶されている情報をやり取りするための読み取り書き込み装置504が配置されている。
図7に示すこれらの固定用のねじ503は、特殊なねじ頭を有するので、サービスエンジニア(保守管理者)が所有している特殊な工具を用いないと取り外すことができないようになっている。このため、蓋部材502と固定用のねじ503は、第1装着部500のスロット501に装着されている記憶媒体である保守用記憶カードMDが、サービスエンジニアだけしか取り出せないように保護するための記録媒体保護構造部509を構成している。
【0038】
図7に示す保守用記憶カードMDは、このスロット501内に着脱可能に装着することができる。保守用記憶カードMDがスロット501内に装着された後は、蓋部材502が凹部7A内にはめ込まれて、2本のねじ503が凹部7A内のナット部7Bにねじ込まれる。従って、蓋部材502は、保守用記憶カードMDが取り出せないように覆い隠すことができる。
これにより、サービスエンジニアが、自動腹膜透析装置1を保守点検する際に、サービスエンジニアは、工具を使用して2本のねじ503を取り除くことで、スロット501から保守用記憶カードMDを取り出せ、あるいは保守用記憶カードMDをスロット501にX1方向に沿って装着することができる。
【0039】
このように保守用記憶カードMDを保護する構造を採用することにより、サービスエンジニアだけが保守用記憶カードMDにアクセスできるが、腹膜透析患者(ユーザ)は保守用記憶カードMDにはアクセスできないようになっている。
このようにして、サービスエンジニアによる自動腹膜透析装置1の保守の容易性と、腹膜透析患者が自動腹膜透析装置1を用いて通常の腹膜透析治療を行う際の安全性を確保している。
【0040】
一方、
図7に示す第2装着部600は、スロット601を有している。このスロット601には、腹膜透析患者が自動腹膜透析装置1を用いて腹膜透析治療を行う時に、患者用記憶カードMCを容易にしかも着脱可能に装着できる。このスロット601は、背面部8の凹部8A内に設けられている。第2装着部600の付近には、患者用記憶カードMCに記憶されている個々の患者に関する情報をやり取りするための読み取り書き込み装置604が配置されている。
この第2装着部600は、第1装着部500とは異なり、蓋部材は設けられておらず、上筐体部2の背面部8において露出している。これにより、腹膜透析患者は、腹膜透析治療の際に、患者用記憶カードMCをY1方向に沿って第2装着部600のスロット601に容易に挿入でき、あるいはスロット601からY1方向とは反対方向に容易に取り外すことができる。読み取り書き込み装置504、604は、制御部に接続されている。
【0041】
ここで、
図7に示す上述した患者用記憶カードMCと、保守用記憶カードMDについて、さらに説明する。
まず、
図7に示す患者用記憶カードMCについて説明する。
患者用記憶カードMCは、患者に関する情報を記憶するための記憶媒体である。腹膜透析患者が自動腹膜透析装置1を用いて腹膜透析治療を行う際に、腹膜透析患者がこの患者用記憶カードMCを、第2装着部600のスロット601に挿入することで、患者用記憶カードMC内の患者に関する情報を読み取り書き込み装置604が読み取ることができるようになっている。例えば、患者用記憶カードMCには、腹膜透析の処方情報,患者情報(腹膜機能:残腎Kt/V、PD・Kt/V(腹膜透析によるKt/V)、PET試験に基づくCr・D/P(血清中のクレアチニン濃度Pと腹膜透析排液中のクレアチニン濃度Dとの比)等を含む)が記憶されている。
上記腹膜透析の処方情報には、治療パターン(NPD/CCPDと、タイダール(TPD))、初期排液量(mL)、注液量(mL)、貯留時間(分)、最終注液量(mL)、最終濃度変更、透析時間、総透析液量(mL)、総除水量(mL)、サイクル数、初期注液量(mL)、タイダール量(mL)、タイダール除水量(mL),使用される腹膜透析液の種類等がある。
NPDとは、夜間に行う腹膜透析のことで、NPDでは、昼間は、透析液を腹膜内に滞留させない。すなわち、NPDでは、注液から治療を開始し、排液で治療を終了する(後述する初期排液および最終注液を行わない)。
また、CCPDとは、連続腹膜透析のことで、CCPDでは、排液から治療を開始し、注液で治療を終了する(後述する初期排液および最終注液を行う)。
また、タイダールとは、排液の際、腹膜内に透析液を一部残存させ、この状態で、次のサイクルの注液を行う腹膜透析である。コンディショニングとは、導入初期のコンディショニングのため、腹膜透析液の送液、排液のみを行うものである。
初期排液とは、排液から治療を開始する場合の最初の排液である。初期排液量とは、排液から治療を開始する場合の最初の予測排液量である。注液量とは、各サイクルで注入される透析液量である。貯留時間とは、各サイクルで注入された透析液が、腹膜内に滞留している時間である。但し、注液に要する時間(注液時間)および排液に要する時間(排液時間)は、それぞれ含まれない。
また、最終注液とは、注液で治療を終了する場合の最後の注液である。最終注液量とは、注液で治療を終了する場合の最後の注液量である。最終濃度変更とは、最終注液において、各サイクルで使用される透析液と異なる濃度の透析液を使用することを意味する。透析時間とは、1回の治療に要する時間である。但し、最終注液および初期排液が行われる場合には、これら最終注液時間および初期排液時間が含まれる。総透析液量とは、1回の治療に使用する透析液の総量である。但し、最終注液が行われる場合には、その最終注液量が含まれる。総除水量とは、タイダールの場合の予測される除水の総量である。但し、初期排液量と最終注液量とから算出される除水量は含まれない。サイクル数とは、注液、貯留、排液を1回のサイクルとしたときの1回の治療におけるサイクルの回数である。但し、初期排液および最終注液は含まれない。初期注液量とは、タイダールの場合の初回に注入される透析液量である。タイダール量とは、タイダールの場合の2回目以降の各サイクルで注入される透析液量である。タイダール除水量とは、タイダールの場合の各サイクルでの予測除水量である。
【0042】
次に、
図7に示す保守用記憶カードMDについて、説明する。
保守用記憶カードMDは、すでに説明したように、自動腹膜透析装置1を用いて腹膜透析治療を行う際に用いられることから、常に第1装着部500のスロット501内に装着されている。しかも、保守用記憶カードMDがスロット501内に装着された状態では、蓋部材502が凹部7A内にはめ込まれて、2本のねじ503により固定されている。従って、サービスエンジニア以外の腹膜透析患者は、安全にために、保守用記憶カードMDを取り出せないようになっている。そして、サービスエンジニアが、自動腹膜透析装置1を保守点検する際には、工具を使用して2本のねじ503を取り除くことで、スロット501から保守用記憶カードMDを取り出すことができる。
【0043】
図8は、自動腹膜透析装置1と、制御ユニット280と、保守用記憶カードMDの構成例を示している。
図8に示す制御ユニット280は、自動腹膜透析装置1内に配置されているハードウェア構成であり、制御ユニット280は、制御部200と、ROM(読み出し専用メモリ)290と、RAM(ランダムアクセスメモリ)291を有している。
この制御部200は、自動腹膜透析装置1全体の動作の判断・制御をおこなうもので、マイクロコンピュータなどのCPU(中央処理装置)を有している。ROM290は、CPUにより実行される自動腹膜透析装置1の全体の制御プログラムや各種データを記憶する。具体的には、ROM290は、例えば注液ライン(腹膜ライン)の閉塞等の警報発生時に、その対処のために、最低限必要な操作ガイド情報310と、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、より詳細な操作手順の画像データ330や、その他に運用データ、プログラム等を有している。
【0044】
ここで、上記の最低限必要な操作ガイド情報310とは、腹膜透析患者が、自動腹膜透析装置1を用いて腹膜透析治療を行う際に、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、表示部10において必要最小限の操作ガイドを行うために表示する情報である。この最低限必要な操作ガイド情報310が有れば、この最低限必要な操作ガイド情報310を表示部に表示して展開していくことで、腹膜透析患者は、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題を解消して、安全に電源オフまで操作できるようにするための情報である。
【0045】
図8に示すように、最低限必要な操作ガイド情報310は、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、必要最小限の操作手順の文字情報データ320を少なくとも有していて、より詳しくガイドする必要がある場合に用いる操作手順の画像データ321を有するものである。
すなわち、「最低限必要なガイド情報」とは、当該自動腹膜透析装置が、表示部を有していて、この装置が「画像情報」と「文字情報」により、操作ガイド情報を表示しようとする場合においては、ガイド情報の内容に応じて、特に画像情報を表示しなくても、ユーザが文字情報による説明画面だけで、操作可能であると推定できる場合には、当該文字情報だけを表示することを内容とする情報である。これにより、記憶データの容量を抑制し、記憶手段の負担を極力減らしたり、表示スピードを向上させたりすることができる。
ここで、必要最小限の操作手順の文字情報データ320とは、腹膜透析患者が、自動腹膜透析装置1を用いて腹膜透析治療を行う際に、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、表示部10において必要最小限の操作手順を、文字で表示する例えば警報メッセージや警報の表示である。また、必要最小限の操作手順の画像データ321とは、腹膜透析患者が、自動腹膜透析装置1を用いて腹膜透析治療を行う際に、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、表示部10において必要最小限の操作手順を示すための絵図、例えば画像で示される操作ボタンである。
【0046】
このように、最低限必要な操作ガイド情報310は、文字で表示する例えば警報メッセージや警報の表示と、操作ボタンだけで、何とか安全に電源オフまで操作できるガイド表示である。
これに対して、より詳細な操作手順の画像データ330とは、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、表示部10においてより詳細な操作手順を、より具体的な説明の絵図(画像)で表示するための情報である。
RAM291は、ROM290と連携してワークエリアとして測定データや、後で説明する最低限必要な操作ガイド情報1310やより詳細な操作手順の画像データ1330を一時的に記憶できる。
【0047】
なお、
図8では、自動腹膜透析装置1は、外部コンピュータ1000に、ケーブル1001を用いて着脱可能に接続できる。サービスエンジニアが自動腹膜透析装置1の保守点検作業を行う際に、この外部コンピュータ1000を自動腹膜透析装置1の制御ユニット280にケーブル1001を用いて接続することにより、保守に必要な番号表示情報更新コマンドMFを送ることができる。
【0048】
一方、
図8に示す保守用記憶カードMDは、アップデートデータ410と、保守記録データ420と、例えば注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、最低限必要な操作ガイド情報1310と、より詳細な操作手順の画像データ1330を記憶している。
保守用記憶カードMDは、アップデートデータ410と保守記録データ420を、基本的に必要時のみ保存しており、腹膜透析治療時には削除されている。アップデートデータ410は、ソフトウエアの変更に用いられる。アップデートデータ410は、自動腹膜透析装置1のアップデート時に制御部200からROM290に送られる。保守記録データ420は、腹膜透析患者毎の動作履歴や事象ログを記録しており、サービスエンジニアが自動腹膜透析装置1を保守する時に制御部200からRAM291に送られる。
【0049】
図8の保守用記憶カードMDに記憶されている最小限の操作ガイド情報1310は、ROM290に記憶されている最低限必要な操作ガイド情報310と同じデータである。最小限の操作ガイド情報1310は、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、必要最小限の操作手順の文字情報データ1320と、必要最小限の操作手順の画像データ1321を有する。
同様にして、保守用記憶カードMDに記憶されているより詳細な操作手順の画像データ1330は、ROM290に記憶されているより詳細な操作手順の画像データ330と同じデータである。
【0050】
これにより、保守用記憶カードMDに記憶されている最小限の操作ガイド情報1310と、より詳細な操作手順の画像データ1330は、ROM290に記憶されている最低限必要な操作ガイド情報310とより詳細な操作手順の画像データ330のバックアップ情報として用いることができる。
保守用記憶カードMDには、最小限の操作ガイド情報1310とより詳細な操作手順の画像データ1330が、常時記憶して保存されている。保守用記憶カードMDの最小限の操作ガイド情報1310とより詳細な操作手順の画像データ1330は、自動腹膜透析装置1の起動時毎に、RAM291に取り込んで、制御部200に展開するようになっている。
【0051】
上述したように、最低限必要な操作ガイド情報310,1310は、腹膜透析患者が腹膜透析治療に、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題に対処して何とか電源オフまでに持っていけるようにするための操作手順を、警報メッセージや,エラーコードと共に表示させるための重要データである。これに対して、より詳細な操作手順の画像データ330、1330は、腹膜透析患者が腹膜透析治療に、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のための操作手順を、腹膜透析患者に対して、絵図で表示させるための低重要データである。
例えば、ROM290の記憶容量を低く抑えて、制御ユニット280の低コスト化を図りたい場合には、ROM290内には、より詳細な操作手順の画像データ330を常時保存しないようにする。そして、自動腹膜透析装置1を起動毎に、保守用記憶カードMDから最低限必要な操作ガイド情報1310とより詳細な操作手順の画像データ1330をRAM291内に展開すれば、制御部200は、表示部10に、より詳細な操作手順の画像データ1330の絵図を表示することができる。
【0052】
次に、
図9と
図10を参照して、
図1と
図2に示す自動腹膜透析装置1の機能ブロックを説明する。
図9は、自動腹膜透析装置1の機能を示すブロック図であり、
図10は、自動腹膜透析装置1の電気的な接続例を示すブロック図である。
まず、
図9を参照すると、自動腹膜透析装置1は、マイクロコンピュータなどのCPU(中央処理装置)とCPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMとワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMなどを備える制御部200と、ポンプ駆動部201と、クランプ制御部202と、加温制御部203と、クランプ部204を有している。
図9のカセット100は、自動腹膜透析装置1のカセット装着部20(
図2と
図3を参照)内に着脱可能に装着されるのであるが、カセット100内には、既に
図4〜
図6を参照して説明したように、チューブ流路の切換部105と、ポンプ部103と、送液の加温部104A,104Bを内蔵している。
【0053】
図9に示す自動腹膜透析装置1に設けられたクランプ部204は、カセット100側のチューブ流路の切換部105に配置されている各チューブ131〜134の流路105A〜105D(
図6を参照)を選択的に押さえることで、腹膜透析液の流れる流路を切り換えることができる。このため、チューブ流路の切換部105は、腹膜透析液を腹膜透析患者MMの腹腔MMR側に送液したり、いったん腹腔MMRに貯留された透析液を腹腔MMR側から排液することになる。
カセット100がカセット装着部20内に装着されると、ポンプ駆動部201は、制御部200の指令によりポンプ部103の動作を制御する。クランプ制御部202は、制御部200の指令によりクランプ部204の各クランプ部材の動作を制御する。加温制御部203は、制御部200の指令により送液の加温部104A,104Bの動作を制御する。
【0054】
次に、
図10を参照すると、制御部200は、表示部10と、開始スイッチ11と、停止スイッチ12と、ポンプ駆動部201と、クランプ制御部202と、加温制御部203と、カセット使用済検出部220に電気的に接続されている。これらの各要素は、電源回路部213から電源供給を受ける。
図10には、
図8に示す制御ユニット280が図示されており、制御ユニット280はROM290とRAM291と制御部200により構成されている。
図1と
図2に示す表示部10と開始スイッチ11と停止スイッチ12は、
図10に示す操作部を構成している。カセット使用済検出部220は、
図3に示すようにカット100がカセット装着部20に装着されると、その装着されたカセット100が既に使用済みであるか、あるいは新品であるかを検出して、制御部200に通知する。読み取り書き込み装置504、604は、制御部200に接続されている。
【0055】
図11は、カセット100がカセット装着部20のカセット挿入用の空間部SP内に装着される様子を示す斜視図である。
図11(A)に示すように、蓋部材21を開けて、カセット装着部20を開放し、カセット100を腹膜透析患者の指Fにより挿入方向SSに押し始める。この状態では、シャッタ28はY1方向には移動しておらず、開口部27を閉じている。
図11(B)から
図11(C)では、さらにカセット100が挿入方向SSに押されると、カセット100の延長部109,113が、シャッタ28の突き当て面部28AをY1方向に押す。シャッタ28はY1方向に押されて開口部27が開く。これにより、カセット100の延長部109,113からチューブ131〜134は、この開口部27から自動腹膜透析装置1の側方に導出することができる。
【0056】
次に、
図12を参照して、自動腹膜透析装置1の加減圧回路450について説明する。
図12に示す加減圧回路450は、ポンプ駆動部201、第1フィルタ451、バルブ452、陽圧タンク453、バルブ454、陰圧タンク455、バルブ456、第2フィルタ457、バルブ458、圧力センサ459〜462、ポンプチャンバー部463を有している。各バルブ453,456,458は、大気開放部464を有する。圧力センサ459,461は加減圧回路450の保護用のセンサであり、圧力センサ460,462は加減圧回路450の制御用のセンサである。
【0057】
図12に示すポンプ駆動部201の出口部には、フィルタ451が接続され、このフィルタ451にはバルブ452を介して陽圧タンク453に接続されている。陽圧タンク453はバルブ454を介して陰圧タンク455に接続され、陰圧タンク455はバルブ456を介してポンプ駆動部201の入り口側に接続されている。
バルブ454には、別のフィルタ457が接続されており、バルブ454はこのフィルタ457を通じて、ポンプチャンバー部463に接続されている。ポンプチャンバー部463は、固定部470と可動部471とスプリング472を有しており、スプリング472は固定部470と可動部471の間に配置されている。可動部471はスプリング472の力に抗して固定部470に対して動くことができる。可動部471はカセット100側のポンプ部103のダイヤフラム103Dに密着される。
【0058】
ポンプ駆動部201が動作すると、陽圧タンク453からの陽圧と陰圧タンク456からの陰圧により、ポンプチャンバー部463の可動部471はスプリング472の力に抗して固定部470に対して移動することで、カセット100側のポンプ部103のダイヤフラム103Dを矢印Z方向に移動して、腹膜透析液を腹腔MMBに足して吐き出したり、吸引することができる。
図12に示すバルブ454は、ポンプチャンバー部463を陽圧タンク453と陰圧タンク455に対して交互に切り換えるための切り換え用のバルブである。
【0059】
図9に示す制御部200の制御により、クランプ部204が、カセット100側のチューブ流路の切換部105に配置されている各チューブ131〜134の流路105A〜105D(
図6を参照)をプログラムされた順序で選択的に押さえることで、腹膜透析液の流れる流路を切り換えることができる。これにより、腹膜透析液を腹膜透析患者の腹腔MMR側に送液したり、いったん腹腔MMRに貯留された透析液を腹腔MMR側から排液させることができることになる。
図12に戻ると、空気回路450には、2か所にフィルタ451とフィルタ457が配置され、配管631Hと配管632Hを用いてフィルタ材634に空気を通過させることで、フィルタ451のフィルタ材634とフィルタ457のフィルタ材634は、例えばブロンズ焼結フィルタ材であり、空気中の5μm以上の塵埃を除去することができるので、加減圧回路450において塵埃による詰まり現象を防ぐことができる。
【0060】
図13から
図18は、腹膜透析患者が、上述した自動腹膜透析装置1を用いて、腹膜透析治療を行っている際に、例えば、発生した種々の警報の1つの例として、注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、表示部10が表示できる対処手順を示す表示例を示している。
この注液ラインとは、例えば
図4に示すチューブ133であり、この注液ラインとしてのチューブ133は、複数の腹膜透析液の送液用の送液バッグ139に接続されている。
【0061】
ここで、表示部10に表示される表示例を説明する。例えば、
図13(B)を参照する。
図13(B)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「これから、警報の原因をチェックしてみましょう。原因を取り除けば、開始スイッチで再開できます。」701と、警報の種類表示番号情報NFとしての「010」702、が表示されている。警報の種類表示番号情報NFは、警報の種類を示すエラーコード番号である。
【0062】
このエラーコード番号は、例えば「010」等と表示し、警報に対処する問題に対処するための処理が終了するまでは、表示部10には、常に表示されるようになっている。これにより、腹膜透析患者は、表示部10に表示されている警報の種類表示番号情報NFとしての「010」702を目視で確認することで、問題の種類が目視でき、問題が終了したかどうかを判断することができる。
これらの情報700,701,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図13(B)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネルボタン」703が表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703は、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。さらに、
図13(B)に示す表示部10には、看護師の絵
図800が表示されている。この看護師の絵
図800は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。
【0063】
次に、上述した自動腹膜透析装置1による透析治療の手順例を説明する。
図3に示すように、腹膜透析患者は自動腹膜透析装置1の蓋部材21を開けてカセット装着部20を開放して、カセット100を挿入方向SS(Y1方向)に沿ってカセット装着部20内に装着する。そして、腹膜透析患者は、
図3に示す蓋部材21を閉めて
図1に示す状態にする。なお、
図4に示すカセット100の各チューブ131〜134は、腹膜透析患者の腹腔MMR、バッグ138,139、そして排液バッグ140に対して、それぞれ予め接続されている。
腹膜透析患者は、その腹膜透析患者の情報が記憶されている
図8に示す患者用記憶カードMCを第2装着部00のスロット601に装着することで、その腹膜透析患者の患者情報が、
図8の制御部200を通じてRAM280に取り込まれる。これにより、自動腹膜透析装置1は、その腹膜透析患者の患者情報に基づいて腹膜透析治療を行うことができる。
【0064】
サービスエンジニアが、
図8に示す第1装着部500のスロット501に、保守用記憶カードMDを装着すると、外部コンピュータ1000からの番号表示更新コマンドMFが送信された場合のみ、保守用記憶カードMDからは制御部200に対して、最低限必要な操作ガイド情報1310と、より詳細な操作手順の画像データ1330が転送される。この転送をする際に、外部コンピュータ1000は、決められたデータ(文字種、データ長)であることを確認する。もし、転送される最低限必要な操作ガイド情報1310と、より詳細な操作手順の画像データ1330が、決められたデータでなければ、採用しない。つまり、保守用記憶カードMDにデータがあるだけでは、表示部10には反映されない。この番号表示更新コマンドMFにより、コールセンターを呼ぶ必要がある時点(例えば、
図13〜
図16の画面で、「次へ」のタッチパネルボタンの押圧するまでの時間(秒)が大きいと制御部200が判断したばあい)でコールセンターの電話番号が、表示部10に表示できる。ただし、このコールセンターの電話番号は、表示部10の画面下に常に表示させておくことも可能である。
【0065】
蓋部材502は、保守用記憶カードMDが取り出せないように覆い隠している。このように保守用記憶カードMDを保護する構造を採用することにより、サービスエンジニアだけが保守用記憶カードMDにアクセスできるが、腹膜透析患者(ユーザ)は保守用記憶カードMDにはアクセスできない。このため、サービスエンジニアによる自動腹膜透析装置1の保守の容易性と、腹膜透析患者が自動腹膜透析装置1を用いて通常の腹膜透析治療を行う際の安全性を確保している。
【0066】
図10の制御部200は、腹膜透析患者用の患者情報の腹膜処方情報内容を得て、腹膜透析動作を開始することができる。
ところで、腹膜透析患者が自動腹膜透析装置1を用いて通常の腹膜透析治療を行っている際に、注液ラインである例えば
図4に示すチューブ133等に閉塞が生じて腹膜透析液の注液できなくなる問題が発生した場合を、
図13から
図18を参照して説明する。
腹膜透析患者が、上述した自動腹膜透析装置1を用いて、腹膜透析治療を行っている際に、例えば注液ラインの閉塞等の問題が発生して警報が発生した時に、その警報が発生した問題の対処のために、
図13から
図18は、表示部10が表示できる対処手順を、順番に示している。
【0067】
まず、
図13(A)に示すように、表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「停止スイッチを押して警報音を止めてください。」691と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702、が表示される。これらの情報700,691,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。
しかも、
図13(A)に示す表示部10には、「自動腹膜透析装置1の停止スイッチ12を指で押すこと」を示す絵
図790が表示されている。この絵
図790は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。腹膜透析患者が停止スイッチ12を押すと、
図13(A)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図13(B)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0068】
次に、
図13(B)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「これから、警報の原因をチェックしてみましょう。原因を取り除けば、開始スイッチで再開できます。」701と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702、が表示されている。これらの情報700,701,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図13(B)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネルボタン」703が表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703は、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図13(B)に示す表示部10には、「看護師」の絵
図800が表示されている。この絵
図800は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報701の対処内容を理解して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703をタッチすると、
図13(B)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図14(A)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0069】
図14(A)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「青いクランプのついたチューブを確認してください。」711と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702、が表示されている。これらの情報700,711,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図14(A)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネルボタン」703Aが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Aは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図14(A)に示す表示部10には、自動腹膜透析装置とバッグを示す絵
図801が表示されている。この絵
図801は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報711の対処内容を確認して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Aをタッチすると、
図14(A)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図14(B)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0070】
図14(B)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「チューブに、つぶれや、ねじれがあるときは、直してください。」721と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702と、文字情報「完了したら」721A、が表示されている。これらの情報700,721,702,721Aは、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320.1320に含まれている。しかも、
図14(B)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネルボタン」703Bが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Bは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図14(B)に示す表示部10には、チューブを示す絵
図802が表示されている。この絵
図802は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報721の対処内容を確認して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Bをタッチすると、
図14(B)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図15(A)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0071】
次に、
図15(A)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「透析液と接続したチューブの青いクランプを確認してください。」731と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702が表示されている。これらの情報700,731,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図15(A)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネルボタン」703Cが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Cは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図15(A)に示す表示部10には、自動腹膜透析装置とバッグを示す絵
図803が表示されている。この絵
図803は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報731の対処内容を確認して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Cをタッチすると、
図15(A)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図15(B)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0072】
次に、
図15(B)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「透析液と接続したチューブの青いクランプが閉じているときは開けてください。」741と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702と、文字情報「完了したら」741A、が表示されている。これらの情報700,741,702,741Aは、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図15(B)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネルボタン」703Dが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Dは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図15(B)に示す表示部10には、チューブとそのクリップを示す絵
図804が表示されている。この絵
図804は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報741の対処内容を実行して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Dをタッチすると、
図15(B)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図16(A)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0073】
次に、
図16(A)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「接続した透析液クリップチップを確認してください。」751と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702が表示されている。これらの情報700,751,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図16(A)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Eが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Eは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図16(A)に示す表示部10には、自動腹膜透析装置とバッグを示す絵
図805が表示されている。この絵
図805は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報751の対処内容を確認して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Eをタッチすると、
図16(A)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図16(B)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0074】
次に、
図16(B)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「クリップチップが折れていないときは、折ってください。」761と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702と、文字情報「完了したら」761A、が表示されている。これらの情報700,761,702,761Aは、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図16(B)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネルボタン」703Fが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Fは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図16(B)に示す表示部10には、バッグのクリップチップを示す絵
図806が表示されている。この絵
図806は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報761の対処内容を実行して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Fをタッチすると、
図16(B)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図17(A)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0075】
次に、
図17(A)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「接続した透析液の数と総量を確認してください。」771と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702が表示されている。これらの情報700,771,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図17(A)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Gが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Gは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図17(A)に示す表示部10には、自動腹膜透析装置とバッグを示す絵
図807が表示されている。この絵
図807は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報771の対処内容を確認して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Gをタッチすると、
図17(A)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図17(B)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0076】
次に、
図17(B)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「透析液が足りないときは、透析液を追加接続してください。」781と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702と、文字情報「完了したら」781A、が表示されている。これらの情報700,781,702,781Aは、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図17(B)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Hが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Hは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図17(B)に示す表示部10には、自動腹膜透析装置と追加バッグを示す絵
図808が表示されている。この絵
図808は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報781の対処内容を実行して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Hをタッチすると、
図17(B)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図18(A)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0077】
次に、
図18(A)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「警報原因の確認がおわりました。」791と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702が表示されている。これらの情報700,791,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図18(A)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「確定:タッチパネル操作ボタン」703Kと、ダウン操作ボタン730と、アップ操作ボタン740が表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「次へ:タッチパネル操作ボタン」703Kと、ダウン操作ボタン730と、アップ操作ボタン740は、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図18(A)に示す表示部10には、看護師を示す絵
図800と、「治療をはじめる、治療をやめる、パスして次の動作に移る、治療設定を確認する各欄と、注液の回数の表示欄」を示す絵
図809が表示されている。この絵
図800,809は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が警報メッセージ文字情報791の対処内容を確認して、腹膜透析患者がタッチパネル操作ボタン703Kをタッチすると、
図18(A)の表示部10が表示している対処内容は、自動的に
図18(B)に示す表示部10が表示している対処内容に変わる。
【0078】
最後に、
図18(B)に示す表示部10には、警報メッセージ文字情報「注液ライン閉塞」700と、警報メッセージ文字情報「開始スイッチを押すと治療を再開します。」792と、警報の種類表示番号情報(エラーコード)NFとしての「010」702、が表示されている。これらの情報700,792,702は、
図8に示す必要最小限の操作手順の文字情報データ320,1320に含まれている。しかも、
図18(B)に示す表示部10には、必要最小限の操作手順を示す画像データ「戻る:タッチパネル操作ボタン」703Lが表示されている。この必要最小限の操作手順を示す画像データ「戻る:タッチパネル操作ボタン」703Lは、
図8に示す必要最小限の操作手順を示す画像データ321,1321に含まれている。
また、
図18(B)に示す表示部10には、「自動腹膜透析装置の開始スイッチ」を示す絵
図810が表示されている。この絵
図810は、
図8に示すより詳細な操作手順の画像データ330,1330に含まれている。そして、腹膜透析患者が自動腹膜透析装置1の開始スイッチ11を押して、
図18(B)の必要最小限の操作手順を示す画像データ「戻る:タッチパネル操作ボタン」703Lをタッチすると、
図18(B)の表示部10が表示している最終の対処内容は、自動的に
図1に示す通常の表示内容に復帰する。
【0079】
ところで、
図13から
図18に示す表示部10に表示されている操作手順画面から次の操作手順画面に移れない場合には、通知手段、例えば
図10に示すスピーカ296による音声警報とブザー297の警報音により、「コールセンターへ連絡する旨」を、腹膜透析患者に通知することができる。これにより、腹膜透析患者は、コールセンターに電話をして、コールセンターの係員からアドバイスを受けながら、表示部10に表示されている操作手順から次の操作手順に確実に移ることができる。
コールセンターの電話番号は、例えば
図16(A)に示す表示部10の操作手順画面から
図16(B)に示す表示部10の操作手順画面に移れない場合には、
図16(A)に例示するように、制御部200は、表示部10には、コールセンター番号880を表示する。これにより、腹膜透析患者に対して問い合わせをするように促すことができる。なお、このコールセンター番号880は、表示部10の画面に常時表示するようにしても良い。これにより、腹膜透析患者が、問題の対処を行う際に、安心感を与える。
【0080】
なお、腹膜透析患者(もしくは保護者)が
図1に示す停止スイッチ12を押すか、自動腹膜透析装置1において腹膜透析制御が自動的に終了すれば、これが1回の腹膜透析治療とみなす。1回の腹膜透析治療が終了すると、カセット100は、衛生上の観点から、1回の透析治療のみで廃棄する。ただし、
図6に示すカセット100の第1筐体部101と第2筐体部102だけは、透析回路部を取り外した後に、環境への配慮から必要に応じて再利用することは可能であり、透析回路部は完全に廃棄して再使用はしない。
【0081】
ところで、本発明の実施形態の自動腹膜透析装置1では、
図7に示す注液バッグ138,139内の腹膜透析液は、通常、主成分として電解液を含むぶどう糖液が使用される。自動腹膜透析装置1では、所定温度に加温された腹膜透析液が腹膜透析患者の腹腔へ送られる。腹腔内に貯留された腹膜透析液は、腹膜の浸透圧を利用して体内の老廃物を腹膜液内に取り込み、水分とともに排液として排液タンク140に廃棄される。
【0082】
このような腹膜透析治療は、腹腔内に腹膜透析液を所定量送液し、所定時間貯留し、その後排液を行うようにしており、この送液、貯留、排液で1サイクルとしている。このような手法を前提として、腹膜透析治療を行う処方には、大きく分けて2つのタイプがある。
その1つは、腹膜透析液の腹腔内での1サイクル内の各貯留時間を固定時間とし、透析時間で調整するもの(Aタイプ)である。他の1つは、透析時間全体(例えば4サイクル)を固定時間として、それに合うように、各サイクルにおける貯留期間を調整するもの(Bタイプ)である。
本発明の自動腹膜透析装置1は、いずれのタイプの腹膜透析治療処方にも使用することができる。
【0083】
上述した本発明の実施形態の自動腹膜透析装置1は、筐体部1Aと、腹膜透析液の送液による患者の腹膜透析治療の際に、腹膜透析治療に関する警報が発生した時には、警報に対処するための手順を示す最低限必要な操作ガイド情報を記憶している記憶媒体MDを装着する装着部500と、筐体部1Aに設けられている表示部10と、筐体部1あに設けられ、記録媒体から最低限必要な操作ガイド情報を読み出して、表示部10に表示させる制御部200と、を備えている。
これにより、表示部には、患者の腹膜透析治療の際に、腹膜透析治療に関する警報が発生した時には、警報に対処するための手順を示す最低限必要な操作ガイド情報が、記録媒体から読み出して表示部に表示できる。このため、腹膜透析治療を続行できないよう警報が発生した場合には、腹膜透析患者が自動腹膜透析装置においてこの警報に対処して、問題を解消することができる。
【0084】
筐体部1Aには、記憶媒体MDの最低限必要な操作ガイド情報と同じ最低限必要な操作ガイド情報を記憶している記憶部(ROM)290が、設けられている。これにより、記憶媒体MDには、筐体部の記憶部290に記憶されている最低限必要な操作ガイド情報と同じ最低限必要な操作ガイド情報が記憶されているので、記憶媒体の要最小限の操作ガイド情報は、筐体部の記憶部に記憶されている最低限必要な操作ガイド情報のバックアップとして用いることができる。
【0085】
筐体部の記憶部290には、患者が警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報と、より詳細な操作手順を示す画像データとを、記憶しており、記憶媒体では、筐体部の記憶部290に記憶されている警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報と同じ内容のバックアップ用の警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報と、筐体部の記憶部290に記憶されているより詳細な操作手順を示す画像データと同じ内容のバックアップ用のより詳細な操作手順を示す画像データとを、別々に記憶しておく領域に分けてあり、制御部200は、自動腹膜透析装置1の起動時の度に、記憶媒体MDのバックアップ用の警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報と、バックアップ用のより詳細な操作手順を示す画像データとを、読み出して表示部10に表示させる構成である。
【0086】
これにより、制御部は、自動腹膜透析装置の起動時の度に、記憶媒体のバックアップ用の警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報と、バックアップ用のより詳細な操作手順を示す画像データとを、読み出して表示部に表示させるので、必要最低限の操作ガイド情報と、より詳細な操作手順を示す画像データと、の両方の情報を、表示部に表示させることができる。
このため、筐体部の記憶部に記憶されている必要最低限の操作ガイド情報とより詳細な操作手順を示す画像データの状態の良否に係わらず、腹膜透析患者は、表示部に表示された問題を解消するのに必要最低限の操作ガイド情報を参照して問題を解消することができる。しかも、腹膜透析患者は、表示部に評された問題を解消するのにより詳細な操作手順を示す画像データを参照することで、さらに視覚的に判り易く問題を解消することができる。
【0087】
警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報は、警報メッセージ、操作ボタン、エラーコードを含み、より詳細な操作手順を示す画像データは、操作手順を具体的に示す絵図である。これにより、腹膜透析患者は、必要最低限の操作ガイド情報の警報メッセージ、操作ボタン、エラーコードを利用することで問題を解消することができ、より詳細な操作手順を示す画像データの絵図によりさらに視覚的に判り易く問題を解消することができる。
【0088】
より詳細な操作手順を示す画像データは、筐体部の記憶部290には、予め記憶されておらず、制御部200は、自動腹膜透析装置1の起動時の度に、記憶媒体のバックアップ用の警報に対処可能な必要最低限の操作ガイド情報と、バックアップ用のより詳細な操作手順を示す画像データとを、読み出して表示部に表示させる構成である。これにより、より詳細な操作手順を示す画像データは、筐体部の記憶部には、予め記憶されていないので、記憶容量の小さい筐体部の記憶部を用いることができる。このため、自動腹膜透析装置の低コスト化が図れる。
【0089】
表示部には、コールセンターの電話番号880が表示され、制御部は、表示部10に表示されている操作手順から次の操作手順に移れない場合には、コールセンターへ連絡する旨を、通知手段296,297により患者に対して通知する。これにより、通知手段による通知により、患者はコールセンターに確実に連絡することができ、スムーズな問題の解消が図れ、腹膜透析治療を継続することができる。
【0090】
装着部に装着されている記憶媒体が取り出せないように保護する記録媒体保護構造部509を有している。これにより、患者は記録媒体にはアクセスできず、サービス要員が記録媒体へアクセスすることができるので、自動腹膜透析装置の使用上の安全性を確保できる。
【0091】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
本発明の実施形態では、腹膜透析患者が自動腹膜透析装置1を用いて腹膜透析治療を行っている際に、腹膜透析患者が、自宅等で腹膜透析治療を行っている際に、警報が発生する対処すべき事態としては、注液ラインの閉塞を例に説明している。しかし、これに限らず、本発明の実施形態は、警報が発生する事態としては、腹膜ラインの閉塞、排液不良、注液不良、排液ラインの閉塞、排液量不足、停電、気泡検知、エアリーク異常、システム異常、外気温低下、注液温度異常、液漏れ異常、バッテリ電圧低下等の問題にも適用できる。
本発明の自動腹膜透析装置は、治療パターン、1回の送液量、1回の排液量、透析を行う時間、透析を終了する総透析量を処方として設定し動作する。透析の処方は表示部10に表示することができる。透析処方の設定は表示部10を使って、腹膜透析患者等の操作者が設定・変更することができる。