特許第6133105号(P6133105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133105
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】替芯ケース
(51)【国際特許分類】
   B43K 19/14 20060101AFI20170515BHJP
   B65D 83/02 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B43K19/14
   B65D83/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-79844(P2013-79844)
(22)【出願日】2013年4月5日
(65)【公開番号】特開2014-201017(P2014-201017A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 祥一
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−91431(JP,A)
【文献】 特開2007−50655(JP,A)
【文献】 特開2001−310590(JP,A)
【文献】 実公昭39−22881(JP,Y1)
【文献】 特開2003−146381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 19/14
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 83/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に開口部が形成され内部に複数本の替芯が収容可能なケース本体と、前記ケース本体の前記開口部に装着され、芯排出口を有する蓋取付部材と、前記蓋取付部材に対してスライド可能に取り付けられた蓋体とが備えられ、前記蓋取付部材に対して前記蓋体をスライドさせることによって、前記芯排出口を開閉可能に構成した替芯ケースであって、
前記蓋体には、前記蓋取付部材の表面側に位置するスライド操作部と、当該スライド操作部と一体成型されて前記蓋取付部材の裏面側に突出し、蓋体のスライド方向に伸びる脚部とが備えられ、
前記脚部には、稜線を中央にして左右に傾斜面がそれぞれ形成されると共に、前記稜線が前記ケース本体の長手方向に直交する方向に形成され、前記蓋体が下向きとなる姿勢を採ったときに、ケース本体内に収容された替芯が、前記稜線を境にしてケース本体内で振り分けられるように構成したことを特徴とする替芯ケース。
【請求項2】
前記蓋体は、前記蓋取付部材に形成されたスリット内を移動する頸部を介して、蓋取付部材の表面側に位置する前記スライド操作部と、前記頸部を介して蓋取付部材の裏面側に突出する前記脚部と、前記頸部を介して前記蓋取付部材の裏面側に接する摺接部とが一体に成型され、前記摺接部によって、前記蓋取付部材からの蓋体の離脱を阻止するように構成したことを特徴とする請求項1に記載された替芯ケース。
【請求項3】
前記蓋取付部材の裏面側には、前記スリットに沿って複数の凹部が形成され、前記蓋体における脚部の先端部には蓋取付部材に形成された前記凹部に向かう凸部が形成され、当該凸部が前記複数の凹部に選択的に係合することで、前記蓋取付部材に対する前記蓋体のスライド位置が選択可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載された替芯ケース。
【請求項4】
前記蓋体のスライド方向に伸びる脚部のばね作用により、前記蓋体のスライド動作にクリック作用が与えられていることを特徴とする請求項3に記載された替芯ケース。
【請求項5】
前記蓋取付部材に形成された前記スリットの切り込み終端部が前記芯排出口を構成し、前記蓋取付部材に対する前記蓋体のスライド位置に応じて、前記芯排出口の開口度合いが調整可能に構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載された替芯ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャープペンシル用の替芯を収容する替芯ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
シャープペンシル用の替芯ケースは、多数の替芯を収容可能な細長い箱型形状のケース本体と、このケース本体の長手方向端部におけるケース開口部が開閉可能となるように、ケース本体に対してスライド可能に取り付けられた蓋体とにより構成された形態が一般的に採用されている。
【0003】
前記した構成の替芯ケースにおいては、シャープペンシルへの替芯の補給に際して、替芯の取り出し量が調整できるように構成されていることが望ましく、特許文献1には、蓋体のスライド位置に応じてケース本体から取り出す芯の量が調節可能な替芯ケースの構成が開示されている。また、前記蓋体のスライド位置もクリック感をもって位置決めされるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−91431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の替芯ケースにおいては、ケース本体から替芯を取り出す際に、芯排出口が若干下向きとなるように替芯ケースを反転させた姿勢がとられる。
このときケース本体内に収容された多くの替芯が、重力により前記した芯排出口部分に集中し、結局は替芯同志が芯排出口において詰まり、芯の円滑な排出作用が疎外されるという現象が発生する。
【0006】
前記した特許文献1には、ケース本体の開口部をスライドして開閉する蓋体と一体に、蓋体のスライド方向に直交するように柱状体が蓋体と一体に形成され、前記柱状体によってケース本体内における替芯の収容位置を前記柱状体によって制御するようにした構成が開示されている。
しかし、この柱状体は前記蓋体のスライド操作により、ケース本体内の替芯が折損するのを防ぐために設けられており、ケース本体から替芯を取り出す際の芯の円滑な排出作用を助ける効果は期待できない。
【0007】
この発明は、替芯ケースからの芯の取り出しに際して、前記したようにケース本体内に収容された多くの替芯が芯排出口に集中し、芯同志が詰まり合うという問題を解消しようとするものであり、替芯の円滑な排出作用を期待することができる替芯ケースを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る替芯ケースは、一部に開口部が形成され内部に複数本の替芯が収容可能なケース本体と、前記ケース本体の前記開口部に装着され、芯排出口を有する蓋取付部材と、前記蓋取付部材に対してスライド可能に取り付けられた蓋体とが備えられ、前記蓋取付部材に対して前記蓋体をスライドさせることによって、前記芯排出口を開閉可能に構成した替芯ケースであって、前記蓋体には、前記蓋取付部材の表面側に位置するスライド操作部と、当該スライド操作部と一体成型されて前記蓋取付部材の裏面側に突出し、蓋体のスライド方向に伸びる脚部とが備えられ、前記脚部には、稜線を中央にして左右に傾斜面がそれぞれ形成されると共に、前記稜線が前記ケース本体の長手方向に直交する方向に形成され、前記蓋体が下向きとなる姿勢を採ったときに、ケース本体内に収容された替芯が、前記稜線を境にしてケース本体内で振り分けられるように構成したことを特徴とする。
【0009】
この場合、好ましい形態においては、前記蓋体は、前記蓋取付部材に形成されたスリット内を移動する頸部を介して、蓋取付部材の表面側に位置する前記スライド操作部と、前記頸部を介して蓋取付部材の裏面側に突出する前記脚部と、前記頸部を介して前記蓋取付部材の裏面側に接する摺接部とが一体に成型され、前記摺接部によって、前記蓋取付部材からの蓋体の離脱を阻止するように構成される。
【0010】
加えて、前記蓋取付部材の裏面側には、前記スリットに沿って複数の凹部が形成され、前記蓋体における脚部の先端部には蓋取付部材に形成された前記凹部に向かう凸部が形成され、当該凸部が前記複数の凹部に選択的に係合することで、前記蓋取付部材に対する前記蓋体のスライド位置が選択可能に構成されていることが望ましい。
【0011】
この場合、より望ましくは、前記蓋体のスライド方向に伸びる脚部のばね作用により、前記蓋体のスライド動作にクリック作用が与えられた構成が採用される。
【0012】
また好ましくは、前記蓋取付部材に形成された前記スリットの切り込み終端部が前記芯排出口を構成し、前記蓋取付部材に対する前記蓋体のスライド位置に応じて、前記芯排出口の開口度合いが調整可能にされた構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
前記した構成の替芯ケースによると、スライド操作により芯排出口を開閉可能にする蓋体には、ケース本体内に突出する脚部が一体に成形される。この脚部には稜線を中央にして左右に傾斜面がそれぞれ形成されると共に、前記稜線の少なくとも一部はケース本体の長手方向に直交する方向に形成される。これにより、替芯ケースから芯を取り出すために、前記蓋体が下向きとなる姿勢を採った場合、ケース本体内に収容された替芯が、前記稜線を境にしてケース本体内で振り分けられる。
【0014】
したがって、替芯ケースからの芯の取り出しに際して、ケース本体内に収容された多くの替芯が芯排出口に集中するのを防ぐことができ、芯排出口において芯同志が詰まり合うという問題を解消することができる。これにより、替芯の円滑な排出作用を期待することができる替芯ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明に係る替芯ケースの外観構成を示した斜視図である。
図2図1に示す状態の替芯ケースを裏面側から見た背面図である。
図3図2におけるa−a線より矢印方向に見た断面図である。
図4図2におけるb−b線より矢印方向に見た断面図である。
図5図2におけるc−c線より矢印方向に見た断面図である。
図6】ケース本体の中央断面図である。
図7】ケース本体の開口部を手前にした正面図である。
図8】ケース本体の開口部を斜め上方から見た斜視図である。
図9】蓋取付部材の斜視図である。
図10】蓋取付部材をスリットの切り込み始端部側から見た正面図である。
図11】蓋取付部材のスリットを中央にした断面図である。
図12】蓋取付部材の底面図である。
図13】蓋体の斜視図である。
図14図13に示す蓋体を上下反転した状態の斜視図である。
図15】蓋体の側面図である。
図16】蓋体の底面図である。
図17】蓋体の中央断面図である。
図18】蓋体を閉じた状態における替芯ケースの上面図、正面図および中央断面図である。
図19】蓋体を一段開いた状態における替芯ケースの上面図、正面図および中央断面図である。
図20】蓋体を二段開いた状態における替芯ケースの上面図、正面図および中央断面図である。
図21】蓋取付部材に対する蓋体のスライド状況を順を追って説明する断面図である。
図22】替芯をケースから取り出す状態を示した替芯ケースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る替芯ケースについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1および図2に替芯ケース1の外観構成を正面側から見た斜視図および裏面側から見た背面図で示しており、図3図5に替芯ケース1の要部を断面図で示している。
これらの図に示すとおり、この替芯ケース1は全体に細長く形成されると共に、その長手方向に直交する横断面が楕円形状になされている。そして、多数の替芯が収容可能なケース本体11は、その下底部が閉塞されて上端部に開口部12が形成され、この開口部12に蓋取付部材21が内接した状態で取り付けられている。
【0017】
また、図1に示されているように前記蓋取付部材21に形成されたスリット24を利用して、蓋体31が蓋取付部材21に対してスライド可能に取り付けられている。なお蓋体31の上面におけるスライド操作部32には、蓋体のスライド方向に直交するようにして、滑り止め突起33がストライプ状に成形されている。
【0018】
前記ケース本体11は、透明もしくは半透明の樹脂素材により成形されており、図6図8に示すように、その開口部12は若干薄肉状に成形されて、前記蓋取付部材21が装着される内壁面が形成されている。
また横断面が楕円形状になされたケース本体11内における長径方向の一方には、前記蓋取付部材21に形成された後述するスリットの切り込み始端部が相対的に挿入される柱状体13が、ケース本体の長手方向に沿って形成されている。
【0019】
また、ケース本体11内における前記柱状体13に対向する長径方向の他方には、ケース本体11の長手方向に沿って、細長い平面部14が形成されると共に、ケース本体11の内底部付近には前記した細長い平面部14を挟むようにして、両側に傾斜面を備えた一対の対向する壁面部15が形成されている。なおこの実施の形態においては、対向する壁面部15の間隔は、2mmに設定されている。
さらに図5に示されているように、前記ケース本体11の開口部12に近い周側壁の一部には、前記蓋取付部材21を保持するための嵌合用の窓孔16が形成されている。
【0020】
図9図12は、前記した蓋取付部材21の単体構成を示したものである。この蓋取付部材21は、前記したケース本体11の開口部12の内壁面に内接した状態で取り付けられる楕円形状の筒体部22と、この筒体部22と一体に成形されて、ケース本体11の開口部12の端縁に接する楕円形状の鍔部23が備えられている。
そして、蓋取付部材21にはケース本体11に接する周縁部を切り込み始端部としたスリット24が形成されている。
【0021】
すなわちこのスリット24は、楕円形状の前記鍔部23および筒体部22における長径方向の端部を切り込み始端部24aにすると共に、切り込み終端部24bは長径方向の他端部直近に至る位置に形成されている。
この蓋取付部材21に形成された前記スリット24は、後で説明するとおり前記蓋体31をスライド可能に取り付ける機能を果たすと共に、前記切り込み終端部24bは後で説明するとおり替芯の排出口の機能も果たす。
【0022】
前記蓋取付部材21の裏面側、すなわち前記鍔部23のケース本体11側に向く面には、図11および図12に示されているように、前記したスリット24の両側に沿って複数の凹部25が連続して形成されている。この凹部25は、蓋取付部材21に対して後述する蓋体31をスライド可能に装着した場合に、この蓋体31のスライド方向の位置決めの機能を果たす。
なおこの実施の形態においては、前記凹部25は前記スリット24の両側に沿ってそれぞれ3か所に形成されており、図11および図12における符号25は、中央の凹部を指している。
【0023】
図3および図11に示されているように、前記蓋取付部材21における筒体部22の内周面、すなわち楕円形状の筒体部22の長径方向の端部には、段差部26が形成されている。この段差部26の高低差の寸法(高さ寸法)は、ケース本体11内に収容される替芯の直径よりも小さくなされていることが望ましく、この実施の形態においては、前記段差部26の高低差の寸法は、0.3mmに設定されている。
前記段差部26は、替芯ケース1から替芯を排出する場合に、ケース本体内に収容された少なくとも1本の替芯の端部を係止する作用を果たすものであり、この作用の詳細は後述する。
【0024】
そして図11に示すように、前記段差部26に係止される替芯の長手方向の延長線上に、前記したスリット24の切り込み終端部24bが位置しており、前記したとおりこの実施の形態においては、前記蓋体31をスライド動作させたときに、前記スリット24の切り込み終端部24bが、芯排出口(切り込み終端部24bと同一符号で示す。)を兼ねるように構成されている。
【0025】
また、図10および図12に示されているように、蓋取付部材21における筒体部22の外側面には突起22aが形成されている。この突起22aにはテーパー状の斜面が形成されており、前記したケース本体11の開口部12に、この蓋取付部材21の前記筒体部22を装着したとき、前記突起22aがケース本体11側に形成された前記窓孔16に内側から挿入されて嵌合される。これにより、ケース本体11に対して蓋取付部材21が取り付けられる。
【0026】
図13図17は、いずれも前記した蓋体31の単体構成を示したものである。
この蓋体31は、前記したとおり楕円形状に成形されたスライド操作部32を備え、このスライド操作部32の裏面に対して直角に起立するように、薄板状に成形された頸部34が形成されている。そして頸部34に対してその両外側に張り出すように前記蓋取付部材21の裏面側に接する摺接部35が一体に成形されている。
すなわち、前記頸部34は前記した蓋取付部材24に形成されたスリット24内に挿入されることで、蓋体31は蓋取付部材24にスライド可能に取り付けられ、前記頸部34の両外側に突出する摺接部35が蓋取付部材24の裏面側に接することで、蓋体31は前記蓋取付部材24からの離脱が阻止されるように作用する。
【0027】
前記蓋体31には、前記した蓋取付部材21にスライド可能に取り付けられた状態において、蓋取付部材21の裏面側に突出し、蓋体31のスライド方向に伸びる脚部36が、前記頸部34に対して一体に成型されている。
さらに前記脚部36の先端部側は、前記蓋体31の裏面側に向かう肉厚部36aになされ、この肉厚部36aの先端部に楔状の凸部38が形成されている。
【0028】
一方、前記脚部36にはその肉厚部36aも含めて、スライド方向に沿って稜線39,39aが形成されており、この稜線39,39aを中央にして、脚部36,36aには左右に傾斜面41,41aがそれぞれ形成されている。
なお、この実施の形態においては、前記稜線を中央にした左右の傾斜面が交差する角度は140度に設定されている。また、前記稜線のうち脚部36の肉厚部36aに形成された稜線39aは、替芯ケース1として組み上げたときに、前記ケース本体11の長手方向にほぼ直交する方向に形成されている。
【0029】
以上説明したケース本体11、蓋取付部材21、蓋体31からなる替芯ケース1は、これを組み上げるには、先ず蓋取付部材21に形成された前記スリット24の切り込み始端部24aに、前記蓋体31における薄板状の頸部34を挿入する。そして、互いに楕円形状に成形された蓋取付部材21の前記鍔部23と、蓋体31の前記スライド操作部32が上下に重なるように設定した状態で、蓋取付部材21の前記筒体部22を、ケース本体11における開口部12に軸方向に挿入する。
【0030】
この操作により、蓋取付部材21の筒体部22に形成された嵌合用突起22aが、ケース本体11の開口部12の近傍に形成された嵌合用窓孔16に内側から嵌合する。これにより、ケース本体11に対して蓋取付部材21が取り付けられる。
この時、図4に示すように、蓋取付部材21に形成されたスリット24の切り込み始端部24aに対して、ケース本体11内に形成された前記柱状体13の端部が相対的に挿入される。これにより、蓋取付部材21に形成された前記スリット24は、ケース本体11側の柱状体13により所定の幅間隔が確保され、前記スリット24を内側にした変形は阻止される。
【0031】
したがって、ケース本体11に蓋取付部材21が装着された後は、前記したケース本体11側の嵌合用窓孔16と、蓋取付部材21側の嵌合用突起22aの作用により、両者は強固に結合され、また両者間においてガタツキが発生するなどの問題も解消される。
そして、蓋取付部材21にスライド可能に取り付けられた蓋体31は、頸部34に一体成形された摺接部35の作用により、蓋取付部材21からの離脱は阻止される。
しかも、蓋取付部材21に形成されたスリット24は、前記した柱状体13により、所定の幅間隔が確保されるので、蓋体31の円滑なスライド操作を保証することができる。
【0032】
図18図20は替芯ケース1における蓋体31のスライド状況を示したものであり、図21はその要部を順を追って説明するものである。
図18は蓋体31が閉じられた状態を示しており、この状態においては図21(A)に示すように、脚部36の肉厚部36aに形成された楔状の凸部38が、蓋取付部材21の裏面に形成されたスライド方向の奥側の凹部25に係合している。
【0033】
図19は蓋体31をスライドさせて、蓋体31を一段開いた状態を示しており、この状態においては図21(B)に示すように、前記楔状の凸部38が、蓋取付部材21に形成されたスライド方向の中央の凹部25に係合する。
この状態においては、図19に示すように、スライド操作部32の移動により蓋取付部材21に形成されたスリット24の切り込み終端部24bが露出されると共に、図21(B)に示すように、肉厚部36aが若干中央部寄りに移動する。これにより、替芯ケース1には小口の芯排出口24bが形成される。
【0034】
図20は蓋体31をさらにスライドさせて、蓋体31を二段開いた状態を示しており、この状態においては図21(C)に示すように、前記楔状の凸部38が、蓋取付部材21に形成されたスライド方向の手前の凹部25に係合する。
この状態においては、図20に示すように、スライド操作部32のさらなる移動により蓋取付部材21に形成されたスリット24の切り込み終端部24bの露出度合いが大きくなると共に、図21(C)に示すように、肉厚部36aがより中央部寄りに移動する。これにより、替芯ケース1には大口の芯排出口24bが形成される。
【0035】
前記した蓋体31のスライド動作が行われる替芯ケース1においては、蓋体31と一体成形された楔状の凸部38を支持する脚部36には、この凸部38を蓋取付部材21側の凹部25に向かって押し付けるばね作用が付与されており、これにより、前記蓋体31のスライド動作にクリック作用が与えられ、同時に蓋体31のスライド方向の位置決めも果たすように作用する。
【0036】
ところで、この種の替芯ケース1におけるケース本体11は、前記したとおり樹脂素材により成形されており、周知のとおり静電気の発生度合いが高い。したがって、替芯ケース1から替芯を取り出そうとしたときに、静電気の影響を受けて、その操作が阻害されるという問題が発生し得る。
図22は、前記した静電気による操作上の問題点を解消し得るこの発明に係る替芯ケース1について説明するものであり、これは図19に示したように、蓋体31を一段開いた状態で示している。
【0037】
替芯ケース1から替芯を取り出す場合には、一般的に図22に示したように、芯排出口24bが下向きとなる姿勢がとられる。
この場合、前記芯排出口24bの直近には、すでに説明したとおり段差部26が形成されており、この段差部26の高さ寸法は、前記したとおり0.3mmに設定されている。またすでに説明したとおり、ケース本体11内の内底部には、細長い平面部14を挟むようにして、両側に傾斜面を備えた一対の対向する壁面部15が形成されており、この壁面部15の間隔は、2mmに設定されている。
【0038】
前記替芯ケース1に収容される替芯は、現状の規格においては、直径が0.5mm,0.7mm,0.9mmのいずれかであり、したがって替芯ケース1が図22に示した姿勢をとった時には、前記した段差部26に係止されて、2本または3本の替芯L1が、細長い平面部14に沿って平行して並ぶことになる。
この状態で、芯排出口24bを下向きに傾けると、段差部26によって係止された替芯L1の上を滑って、他の替芯L2が芯排出口24bから排出されることになる。
【0039】
この場合、前記替芯L1およびL2は同一素材であるために、静電気により互いに吸着する作用は発生せず、したがって前記替芯L2は静電気の影響を受けることなく、円滑に芯排出口24bから排出される。
なお、前記した段差部26の高さ寸法は、0.3mmに設定されているので、替芯ケース1に収容された替芯の最後の1本も、段差部26の影響をそれ程受けることなく芯排出口24bから取り出すことができる。
【0040】
さらに前記した替芯ケース1においては、すでに説明したとおり蓋体31に形成された脚部36には、その肉厚部36aも含めて、スライド方向に沿って稜線39,39aが形成されており、この稜線39,39aを中央にして、左右に傾斜面41,41aがそれぞれ形成されている。加えて、前記脚部36の肉厚部36aに形成された稜線39aは、前記ケース本体11の長手方向にほぼ直交する方向に形成されている。
したがって、前記蓋体31が下向きとなる姿勢を採ったときに、ケース本体内11に収容された替芯は、前記稜線39,39aを境にしてケース本体内11で振り分けられるように作用する。
【0041】
これにより、替芯を取り出そうとした時、ケース本体11内に収容された大多数の替芯が、芯排出口24b付近に集中し、替芯が詰まり状態になるのを効果的に避けることができる。特にこの実施の形態においては、図22に示されるように脚部36の稜線39は、芯排出口24bに向かって若干下向きに形成されている。
これに対して肉厚部36aに形成された稜線39aはケース本体11の長手方向にほぼ直交するように形成されており、この稜線39aの形態により、替芯が芯排出口24b付近に集中するのを効果的に阻止することができ、より円滑な替芯の取り出し操作を実現することができる。
【0042】
以上説明したこの発明に係る替芯ケースは、前記した課題を解決するための手段の欄に記載の構成を備えた点に特徴を有し、これにより前記した発明の効果の欄に記載したとおりの独自の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 替芯ケース
11 ケース本体
12 開口部
13 柱状体
14 平面部
15 壁面部
16 嵌合用窓孔
21 蓋取付部材
22 筒体部
22a 嵌合用突起
23 鍔部
24 スリット
24a 切り込み始端部
24b 切り込み終端部(芯排出口)
25 凹部
26 段差部
31 蓋体
32 スライド操作部
33 滑り止め突起
34 頸部
35 摺接部
36 脚部
36a 肉厚部
38 凸部
39,39a 稜線
41,41a 傾斜面
L1,L2 替芯
図1
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