特許第6133170号(P6133170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133170
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】エアシャワー装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20170515BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   F24F7/06 C
   B01D46/00 F
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-175101(P2013-175101)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-45418(P2015-45418A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉井 泰生
(72)【発明者】
【氏名】矢田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朋行
(72)【発明者】
【氏名】松田 宏
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−304208(JP,A)
【文献】 特開2004−069204(JP,A)
【文献】 特開2004−082028(JP,A)
【文献】 特開2012−100718(JP,A)
【文献】 特開2006−010121(JP,A)
【文献】 特開2009−174806(JP,A)
【文献】 特開2011−080745(JP,A)
【文献】 米国特許第04790080(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアシャワー室と、
該エアシャワー室の両壁面に配置したエアジェットノズルと、
前記エアシャワー室の一方の壁面に、ファンと、該ファンから送られる空気を濾過するフィルタと、前記ファンの下側に配置したプレフィルタと、該プレフィルタの下側に配置した塵埃捕集部とを備え、
前記エアシャワー室の他方の壁面に、スリット型ノズルを配置し
前記スリット型ノズルは、細長いスリット形状の開口部を有し、風向板によりエアシャワー室内の中央付近にエアを吹き付けるように形成したことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアシャワー装置において、
前記スリット型ノズルは、エアシャワー室内の両側の壁面のいずれか一方または双方に配置したことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項3】
請求項1記載のエアシャワー装置において、
前記塵埃捕集部は、その開口部にダンパーを設け、開閉可能としたことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項4】
請求項1記載のエアシャワー装置において、
前記塵埃捕集部は、引き出し可能な捕集箱とし、その捕集箱に粘着シートを配置したことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項5】
エアシャワー室と、
該エアシャワー室の両壁面に配置したエアジェットノズルと、
前記エアシャワー室の一方の壁面に、ファンと、該ファンから送られる空気を濾過するフィルタと、前記ファンの下側に配置したプレフィルタと、該プレフィルタの下側に配置した塵埃捕集部とを備え、
前記エアシャワー室の他方の壁面に、溶液をミストにし、該ミストをエアシャワー室内に吹き出すミストノズルを配置し
前記溶液は、薄めたアルコール(エタノール)または薄めた中性洗剤であることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項6】
エアシャワー室と、
該エアシャワー室の両壁面に配置したエアジェットノズルと、
前記エアシャワー室の一方の壁面に、ファンと、該ファンから送られる空気を濾過するフィルタと、前記ファンの下側に配置したプレフィルタと、該プレフィルタの下側に配置した塵埃捕集部とを備え、
前記エアシャワー室の他方の壁面に、水を温め、ぬるま湯をミストにし、該ミストをエアシャワー室内に吹き出すミストノズルを配置したことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項7】
請求項5または6記載のエアシャワー装置において、
前記エアシャワー室内にミストを吹き出し、その後温風を吹き出すことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項8】
エアシャワー室と、
該エアシャワー室の両壁面に配置したエアジェットノズルと、
前記エアシャワー室の一方の壁面に、ファンと、該ファンから送られる空気を濾過するフィルタと、前記ファンの下側に配置したプレフィルタと、該プレフィルタの下側に配置した塵埃捕集部とを備え、
前記エアシャワー室の他方の壁面に、スリット型ノズルを床面近傍の高さ位置に配置し、ほぼ水平方向にエアを吹き出すことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項9】
請求項記載のエアシャワー装置において、
前記スリット型ノズルを配置する空間にファンを設置したことを特徴とするエアシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体や精密機械又は食品等を高清浄度の雰囲気で製造又は加工を行うクリーンルーム若しくは作業室の出入り口、或いはクリーンルームと作業室とを繋ぐ通路に配設され、クリーンルームや作業室への塵埃の流入を防止するのに使用されるエアシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なエアシャワー装置は、ファン等で加圧されたエアジェット気流によって人体に付着している塵埃を吹き飛ばし、人体から除去された塵埃をエアシャワー室の側面に設置されたフィルタにより捕集し、空気を循環させている。このようなエアシャワー装置において、エアジェット気流により吹き飛ばされた塵埃はほとんどが捕集されるが、中には毛髪などが床面に落下し捕集されない場合があった。そのためエアシャワー室内の床面に落下した毛髪を含めた塵埃を、クリーンルーム内に持ち込まないようにこまめに床清掃をする必要があった。
【0003】
また、この問題を解決するため床下吸い込み方式(グレーチング方式)などの構造があるが、部品点数が多くなり高価格となっていた。また、設置する建屋にてグレーチングケースを埋め込むためのハツリ作業が発生し、作業時間も多く必要となっていた。また、特許文献1(特開2011−80745号公報)には、エアシャワー装置において、除菌、消臭を行うために衛生水を微粒化して拡散させて、被除菌体、消臭体の必要な箇所には衛生水を噴霧することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−80745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、エアシャワー装置において、衛生水を微粒化して被除菌体・消臭体に向けて噴出して除菌、消臭を行う際に、衛生水を十分に微粒化して拡散させて被除菌体・消臭体の必要箇所に衛生水を噴霧するエアシャワー装置、処理効果、処理時の体感が良好な除菌・消臭方法及び被除菌体・消臭体に衛生水を噴霧後、衣服に着いた衛生水の乾燥もできる除菌・消臭方法を提供し、衛生水を吹き出す衛生水ノズル8を、空気を噴出するエアジェットノズル7の噴出口端面と衛生水ノズル8の噴射口端面とが所定位置関係となるようにエアジェットノズル7の内部に設けたエアシャワー装置A及びエアシャワー装置Aを使用し、エアジェットノズル7から所定距離離間した被除菌体・消臭体を処理する除菌・消臭方法及び被除菌体・消臭体に対して微粒化衛生水を含むエアジェットを吹き付ける工程、微粒化衛生水を含まないエアジェットを吹き付ける工程を含む除菌・消臭方法のエアシャワー装置が記載され、また、アルコールを含む液体に溶解させた衛生水を衛生水ノズルから噴射することが記載されている。
【0006】
本発明の目的は、エアジェット気流により人体から吹き飛ばされた塵埃で特に捕集されにくい毛髪を採集する構成を有したエアシャワー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、エアシャワー室と、該エアシャワー室の両壁面に配置したエアジェットノズルと、前記エアシャワー室の一方の壁面に、ファンと、該ファンから送られる空気を濾過するフィルタと、前記ファンの下側に配置したプレフィルタと、該プレフィルタの下側に配置した塵埃捕集部とを備え、前記エアシャワー室の他方の壁面に、スリット側ノズルを配置し、前記スリット型ノズルは、細長いスリット形状の開口部を有し、風向板によりエアシャワー室内の中央付近にエアを吹き付けるように形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエアシャワー装置のエアシャワー室内の床面に、エアジェット気流により吹き飛ばされた塵埃、特に毛髪が落下しても室内の空気中においても捕集することができるため、こまめに床面を清掃することが不要となる。またグレーチング方式等の構造と比較しても部品点数は従来のエアシャワー構造と殆ど変わらず構成することが出来るため安価である。また設置する建屋での作業も無くなり作業時間も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施例1のエアシャワー装置の正面図を示す。
図1B図1Aのエアシャワー装置の室内の右壁面の斜視図を示す。
図1C図1Aのエアシャワー装置の室内の左壁面の斜視図を示す。
図1D】実施例1のエア吹き出し部を両側に配置したエアシャワー装置の正面図を示す。
図2A】本発明の実施例2のエアシャワー装置の正面図を示す。
図2B】実施例2のぬるま湯や溶液などのミストを吹き出す構成の斜視図を示す。
図2C】薄いアルコールなどの溶液のミストを発生する正面図を示す。
図2D】ぬるま湯のミストを発生する正面図を示す。
図3A】本発明の実施例3のエアシャワー装置の正面図を示す。
図3B】実施例3のエア吹き出し部を配置した右壁面の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1Aは、本発明の実施例1のエアシャワー装置の正面図で、縦断面を示している。
図1Aにおいて、10はエアシャワー装置、11はエアシャワー装置10のエアシャワー室、12は作業者、13はファンで、ファンを駆動するモータは図示していない。14はファン13より吹き出された空気を清浄化するHEPAフィルタ、15はエアシャワー室11内へエアジェット気流を吹き出すエアジェットノズルで、エアシャワー室11の左右の壁面及び天井面の壁部に複数個配置されている。16はエアジェットノズルからエアシャワー室11内へ吹き出されたエアジェット気流、17は作業者から吹き飛ばされた塵埃や毛髪が捕集される経路を示す矢印、18はエアシャワー室11内の入口側から奥側の出口側まで床面の中央部に向けて吹き出すスリット型ノズル、20は塵埃捕集部、22は塵埃を捕集するプレフィルタである。
【0011】
図1Aにおいて、エアシャワー装置の動作について説明する。作業者12は、防塵服を身につけてエアシャワー室11のドアを開け、エアシャワー室11内に入ると、作業者12を検知してエアジェットノズル15より清浄空気のエアジェット気流16が一斉に高速で作業者に向かって10〜15秒間吹き出され、作業者12に付着している塵埃や毛髪などを吹き飛ばす。
エアジェットノズル15は、エアシャワー室11内の左右の側壁面にそれぞれ6〜10個程度整列して配置され、天井壁面にも3〜4程度配置されており、作業者12の全身に対しエアジェット気流16を吹き付けるようにしている。また、作業者12は身体を回転させたりして、付着した塵埃がより多く除去できるようにしている。
【0012】
エアジェットノズル15から吹き出されたエアジェット気流16は、作業者に付着した塵埃や毛髪などと一緒にエアシャワー室内を舞い、下降して矢印17のように左壁の本体ケース23内の塵埃捕集部20へ向かい、プレフィルタ22を介してファン13により送り出され循環する。エアシャワー室内の塵埃や毛髪は、ファン13の下部に配置されたプレフィルタ22で濾過され、塵埃や毛髪は塵埃捕集部20で捕集される。また、エアジェットノズル15とは別にファン13と反対側の本体ケース24の中央より下側にスリット型ノズル18を設置し、このスリット型ノズル18よりエアシャワー室11内の床面の中央付近に向けて空気を吹き出して下向きの気流19を発生させる。この下向きの気流19により床面近傍に漂っている塵埃や毛髪を塵埃捕集部20へ送り出したり、床面に落下した塵埃や毛髪を捕集部20へ送り出したりしている。
【0013】
下向きの気流19により塵埃捕集部20へ送り出された塵埃や毛髪はプレフィルタ22で濾過され、塵埃捕集部20で捕集される。また、スリット型ノズル18は図1Bにその構成を示すが、右壁面のエアジェットノズルの位置の下側に入口から出口にかけて細長い開口部を有し、
壁面の裏側には風向板を配置して下向きの空気の流れを発生するように形成する。
【0014】
図1Bは、エアシャワー装置10のエアシャワー室12内の右壁面部の斜視図である。図1Bにおいて、右壁面にはエアジェットノズル15を垂直方向に3列にそれぞれ3個、2個、3個と整列して配置し、エアジェットノズル15の下側にスリット型ノズル18を配置している。スリット型ノズル18は、入口から出口まで連なる細長いスリット状の開口部を有し、吹き出す気流19が床面の中央付近に向かって吹き出すように斜め下方向に風向板を向けて傾斜して配置する。また、スリット型ノズル18の空気は、ファン13より天井部を介して送られてくる清浄空気を使用する。また、図示していないがスリット型ノズル18用のファンを別に配置してもよい。
【0015】
次に、塵埃捕集部20の構造について、図1Cを用いて説明する。図1Cにおいて、(a)は塵埃捕集部20を有したエアシャワー装置の左壁面の斜視図を示し、(b)は塵埃捕集部20の部品を引き出した斜視図を示す。図1C(a)はエアシャワー室内の左壁面の上部に、右壁面と対称にエアジェットノズル15を縦方向に3列、それぞれ3個、2個、3個と整列して配置し、最も下側には塵埃捕集部20を配置し、その入口には開口部201を形成している。
また、図1C(b)は、塵埃捕集部20の部品を引き出した状態の斜視図を示し、21は塵埃捕集部20内に配置した塵埃捕集箱で、211は取手、22は塵埃捕集部20の上部に配置するプレフィルタである。塵埃捕集箱21は、プレフィルタ22から落下した塵埃や毛髪などを捕集するもので、取手211を中央手前側に配置し、塵埃捕集部20より引き出せるようにし、捕集箱21を清掃できるようにしている。
【0016】
また、プレフィルタ22は取り外し可能とし、交換できるようにしている。また、図示していないが、塵埃捕集部20の開口部201にダンパーを配置し、ファン13の駆動により開閉できるようにする。このような構成により、ファン13が停止した場合、塵埃捕集部20に溜まった塵埃がエアシャワー室11内に戻ることを防止できる。また、図1C(b)に示した塵埃捕集箱21の内側の表面に粘着シートを配置し、塵埃を粘着シートに接着し、塵埃編集部20からエアシャワー室へ戻らないようにすることを可能である。
【0017】
図1Dは、エアシャワー室内の両側壁面で同じ高さの位置にスリット型ノズル18を配置し、両側の壁面方向から床面中央付近に向けて、気流19、40を発生させる構成の正面図を示す。
このように、両方向から床面に向かって空気を吹き付けるため、床面に落下した塵埃や毛髪は、床面にくっつき難くなり、塵埃捕集部20へ送られ、捕集効率が向上する。
【0018】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2の構成について、図2A図2Dを用いて説明する。図2Aにおいて、図1Aと共通する部分は同じ名称とし、説明を省略する。図1Aと異なる点は、本体ケース24の下側にエアシャワー室11内の床面中央部に向かって吹き出すミストノズル25を配置し、気流26のように吹き出す構成とした点である。
【0019】
次に、図2Aに示したミストノズル装置25について、図2Bを用いて説明する。
本発明の実施例2は、エアシャワー装置10のエアシャワー室11内に作業者12に付着した塵埃や毛髪がエアジェット気流16により吹き飛ばされ、床面に落下し、特に床面にくっ付いて取れにくい毛髪について捕集できる構成にした。一般的に、毛髪の平均的な太さは0.07〜0.08mmであり、頭髪はおよそ10万本、1日に0.34〜0.4mm成長し、寿命は2〜6年といわれ、そして、1日に抜ける毛髪の本数は50〜100本くらいあるといわれている。
【0020】
エアシャワー装置10において、作業者12の毛髪に整髪料などを全く付けず、乾燥していると、一般の塵埃と同じようにプレフィルタ22で捕集できるが、毛髪に整髪料を付けると床面などにくっ付いてエアを吹き付けても外れにくいということがあった。毛髪に付ける整髪料は、固形ワックス、液状油、及び合成高分子などの種類があり、これらを配合して作られている。従って、整髪料はぬるいお湯、薄めたアルコール及び薄めた中性洗剤などで溶ける性質がある。本発明の実施例は、これらを使って毛髪の整髪料を溶かす構成に関し、説明する。図2Bに示したミストノズル装置25において、50はケーシング、27は所定の幅で送風可能な貫流ファン、28は貫流ファン27を駆動するモータ、29は貫流ファン27からの空気の流れの方向、30はミストを吹き出す開口部、31はミストの空気の流れの方向、39はヒータ、26はミストノズル装置の開口部38から吹き出される空気の流れの方向を示している。
【0021】
また、図2B(b)は、ミストを発生する装置を示す。図2B(b)において、30はミストを吹き出す開口部、32はミストの通路、33は水や溶液を充填して溜め、ミストを発生するミスト発生部、35は水や溶液を給水する給水管、36は水や溶液を排水する排水管である。
【0022】
図2Bにおいて、ケーシング50内に配置された貫流ファン27がモータ28により回転駆動すると、ケーシング50の上部からの空気が複数の羽根を有した貫流ファン27に取り込まれ、矢印29のように吹き出される。ここで、ケーシング50内の部品が分かり易くするために、図2B(a)においてケーシングの上部をカットしている。貫流ファン27より吹き出された空気で、ミストをエアシャワー室11内に送り込むように、ケーシング50の下側よりミストを供給し、ミストを吹き出す開口部30より送る。このような構成で、ミストをケーシング50の開口部38よりエアシャワー室11内の床面中央部に向けて矢印26のように吹き出す。水や溶液のミストを吹き出した後、ヒータ39を加熱し、温風をエアシャワー室11内に送る。
【0023】
このような構成により、エアシャワー室内の床面に落下した整髪料などが付いた毛髪は、水(ぬるま湯)や溶液(薄めたアルコール、薄めた中性洗剤など)により整髪料が溶け、温風により乾燥する。このようにすると、整髪料が取れ乾燥した毛髪は、ファン13の吸引力により塵埃捕集部20へ送られ、プレフィルタ22で捕集される。
【0024】
2Cは、ミストを発生する装置の概略図で、これについて説明する。図2Cにおいて、ミストを発生するミスト発生部33には、整髪料を溶かす薄めたアルコール(エタノール)や薄めた中性洗剤(シャンプーも含む)などの溶液を充填し、この容器の底部に超音波振動子34を設置している。この超音波振動子34を駆動することにより薄めたアルコールや薄めた中性洗剤のミストを発生することができる。
【0025】
また、図2Dは、ぬるま湯のミストを発生するミスト発生装置の概略図である。図2Dにおいて、ぬるま湯のミストを発生する装置33は、装置の容器内にヒータ37を配置し、給水管35、排水管36を備えた構成になっている。このような構成により、ミスト発生装置の容器に水を充填し、ヒータ37に電流を流し、ぬるま湯(およそ36℃〜45℃)になったら超音波振動子34を駆動し、ミストを発生させる。そして、このぬるま湯のミストをエアシャワー室内に送り、床面に落下した毛髪に付着させ、毛髪の整髪料を溶かす。その後、ヒータ39の温風により毛髪を乾燥させ、捕集する。
【0026】
図2C図2Dのミスト製造装置において、図示していないが、ファンを設け、薄めたアルコールや中性洗剤のミスト、及びぬるま湯のミストをケーシング26内に吹き出すことも可能である。以上の実施例2の構成によれば、エアシャワー装置のエアジェット気流により吹き飛ばされ、床面に落下し、捕集されない毛髪の整髪料を溶かし、乾燥させたため容易に捕集することができる。
【0027】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について、図3A,図3Bを用いて説明する。図3Aは、実施例3のエアシャワー装置の正面からみた縦断面図を示し、図3Bは塵埃や毛髪で特に毛髪を捕集するエアシャワー装置10の右壁面下部の構成の斜視図を示す。図3Aにおいて、図1Aと共通する部分は同じ名称とし、説明を省略する。図1Aと異なる点は、エアシャワー装置10の本体ケース24の最下部のスリット型ノズル44を風向板を用いてエアシャワー室内の床面より僅か上方に配置し、スリット型ノズル44より吹き出される気流45が床面上をなめるように水平方向に吹き出される構成とした点である。また、スリット型ノズル44からの吹き出し気流の圧力を増加させるためにファン41を配置し、ファン41の下部にはスリット型ノズル44用の空間43を配置している。また、図3Bに示すようにスリット型ノズル44を有する空間43の上部にファン41を配置し、ファン41はプロペラファン、シロッコファン、貫流ファンなどがあり、上方より下方へ清浄空気を送っている。
【0028】
このような構成すると、作業者によりエアジェット気流16で吹き飛ばされた塵埃や毛髪で、塵埃は当然ながら特に毛髪が著しく捕集できることを実験により確認した。次に、本発明の毛髪の捕集について実験した結果を説明する。実験は、従来のエアシャワー装置、図3Aに示した実施例3のエアシャワー装置について実施した。実験内容は、エアシャワー室内の作業者に毛髪を10本付着し、エアジェット気流を作業者に吹き付け、エアシャワー室内に残留した毛髪及びプレフィルタで捕集した毛髪の本数を数え、これを5回ずつ行なった。その結果、プレフィルタでの毛髪の捕集本数をみると、従来のエアシャワー装置が平均値6.6本、本発明の実施例3のエアシャワー装置が平均値8.7本であった。また、エアシャワー室内の床面残留本数は、従来のエアシャワー装置が平均値3.4本、本発明の実施例3のエアシャワー装置が平均値1.3本であった。この結果より、従来のエアシャワー装置より実施例3のエアシャワー装置の方がより毛髪を捕集しているといえる。
【0029】
また、実施例1〜3に説明した塵埃特に毛髪を捕集する方式は、作業者がエアシャワー室内にいるとき動作させても良く、エアシャワー室から退室した後で動作させ、毛髪を捕集することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
10‥エアシャワー装置
11‥エアシャワー室
13‥ファン
14‥HEPAフィルタ
15‥エアジェットノズル
16‥エアジェット気流
18‥スリット型ノズル
19,40‥下向きの気流
20‥塵埃捕集部
201‥塵埃捕集部開口部
21‥塵埃捕集箱
211‥取手
22‥プレフィルタ
26‥開口部38から吹き出される空気の流れの方向
27‥貫流ファン
28‥モータ
29‥貫流ファン27からの空気の流れの方向
30‥ミストを吹き出す開口部
31‥ミストの空気の流れの方向
32‥ミストの通路
33‥ミスト発生部
35‥給水管
36‥排水管
38‥ミストノズル装置の開口部
39‥ヒータ
41‥ファン
43‥スリット型ノズルを有する空間
44‥スリット型ノズル
50‥ケーシング
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B