(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133171
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】袋詰め包装方法及び袋詰め包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 43/46 20060101AFI20170515BHJP
B65B 1/12 20060101ALI20170515BHJP
B65B 1/32 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
B65B43/46 A
B65B1/12
B65B1/32
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-175395(P2013-175395)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-44598(P2015-44598A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴博
(72)【発明者】
【氏名】滝口 真彦
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−095453(JP,A)
【文献】
特許第4011567(JP,B2)
【文献】
特開2009−298417(JP,A)
【文献】
特開2008−222294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00−43/62
B65B 1/00− 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げて保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装方法において、
前記袋の移送方向において前記袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設定された所定の間欠停止位置に移送されてきて停止した前記袋の口部を、前記所定の間欠停止位置に設けられたチャックで挟持し、前記左右一対のグリッパによる袋の挟持を開放する掴み替え工程と、
前記袋を挟持したチャックを所定の距離だけ上昇又は下降させ、前記袋の高さ位置を変更する袋高さ位置変更工程と、
前記高さ位置を変更された袋の両側縁部を前記左右一対のグリッパで挟持し、前記チャックによる袋の挟持を開放する掴み戻し工程と、
予め定められた設定値に基づいて、又は前記設定値と袋の移送方向で前記所定の間欠停止位置より上流側に配置された検出センサからの検出信号に基づいて算出された算出値とに基づいて、前記所定の距離を決定する移動距離決定工程と、
を含むことを特徴とする袋詰め包装方法。
【請求項2】
請求項1記載の袋詰め包装方法において、前記所定の間欠停止位置は被包装物充填工程位置であり、前記被包装物充填工程位置へ移送されてきた前記袋に被包装物を充填することを特徴とする、袋詰め包装方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の袋詰め包装方法において、前記決定された所定の距離が零の場合、前記掴み替え工程と袋高さ位置変更工程と掴み戻し工程とを実施しないことを特徴とする、袋詰め包装方法。
【請求項4】
袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げて保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装方法において、
袋の移送方向において、袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設定された被包装物充填工程位置に移送されてきて停止した前記袋の口部を、前記被包装物充填工程位置に設けられた左右一対のチャックで挟持し、前記左右一対のグリッパによる袋の挟持を開放する掴み替え工程と、
予め定められた上昇距離だけ前記袋を挟持したチャックを上昇させる袋上昇工程と、
予め定められた設定値に基づいて、又は、前記設定値と袋の移送方向で前記所定の間欠停止位置より上流側に配置された検出センサからの検出信号に基づいて算出された算出値とに基づいて決定される下降距離だけ、前記左右一対のチャックを下降させる袋下降工程と、
前記袋下降工程に合わせて前記袋内へ被包装物を充填する被包装物充填工程と、
前記下降された袋の両側縁部を左右一対のグリッパで再度挟持し、前記チャックによる袋の挟持を開放する掴み戻し工程とを備え、
前記掴み戻された袋の高さ位置が、袋が掴み替えられた時と異なるように制御することを特徴とする、袋詰め包装方法。
【請求項5】
請求項4記載の袋詰め包装方法において、前記被包装物充填工程において、オーガ式充填装置により被包装物の充填を行いながら、前記一対のチャックに連結された計量器により前記袋内に充填された被包装物を計量し、該計量値が予め定められた目標値に達した時点で被包装物の充填を終了することを特徴とする、袋詰め包装方法。
【請求項6】
袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げて保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装機において、
前記袋の移送方向において前記袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設定された所定の間欠停止位置に設けられ、前記袋の口部を挟持可能で、昇降自在に構成されたチャックを備える袋掴み替え装置と、制御装置とを備え、
前記制御装置は、予め該制御装置に入力された設定値に基づいて、又は前記設定値と袋の移送方向で前記所定の間欠停止位置より上流側に配置された検出センサからの検出信号に基づいて算出された算出値とに基づいて、前記チャックによる袋の挟持及び解放、前記所定の間欠停止位置における前記グリッパによる袋の挟持及び解放、前記チャックの昇降動作及び昇降量を制御することを特徴とする、袋詰め包装機。
【請求項7】
請求項6記載の袋詰め包装機において、前記チャックは袋の上部両側縁部を挟持可能な左右一対のチャックにより構成され、
前記袋詰め包装機はさらに、前記所定の間欠停止位置に設けられ、袋内へ被包装物を充填する被包装物充填装置を備えていることを特徴とする、袋詰め包装機。
【請求項8】
請求項6又は7記載の袋詰め包装機において、前記昇降量が零の場合には、前記制御装置は、前記チャックによる袋の挟持及び該チャックの昇降動作並びに前記所定の間欠停止位置におけるグリッパによる袋の解放を行わないように制御することを特徴とする、袋詰め包装機。
【請求項9】
袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げ状に保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装機において、
袋の移送方向において袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設定された所定の間欠停止位置である被包装物充填工程位置に設けられ、前記袋の上部両側縁部を挟持可能で、昇降自在に構成された一対のチャックを備えた掴み替え装置と、
前記被包装物充填工程位置に配置され、前記袋内へ被包装物を充填する被包装物充填装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記被包装物充填工程位置に移送されてきて停止した前記袋の口部を、前記左右一対のチャックで挟持し、前記左右一対のグリッパによる袋の挟持を開放する掴み替え工程と、
予め定められた上昇距離だけ前記袋を挟持したチャックを上昇させる袋上昇工程と、
予め定められた設定値に基づいて、又は、前記設定値と袋の移送方向で前記所定の間欠停止位置より上流側に配置された検出センサからの検出信号に基づいて算出された算出値とに基づいて決定される下降距離だけ、前記左右一対のチャックを下降させる袋下降工程と、
前記袋下降工程に合わせて前記袋内へ被包装物を充填する被包装物充填工程と、
前記下降された袋の両側縁部を左右一対のグリッパで再度挟持し、前記チャックによる袋の挟持を開放する掴み戻し工程とを実施させ、
前記掴み戻された袋の高さ位置が、袋が掴み替えられた時と異なるように制御することを特徴とする、袋詰め包装機。
【請求項10】
請求項9記載の袋詰め包装機において、
前記掴み替え装置は、前記左右一対のチャックに連結され、被包装物の充填中に袋内へ充填された被包装物の重量を計量する計量器を備え、
前記被包装物充填装置はオーガ式充填装置であり、
前記制御装置は、前記計量器による計量値が予め設定された目標値に達したときに被包装物の充填を終了するように制御することを特徴とする、袋詰め包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、袋の口部が上向きとなるように吊り下げ状態で保持し、その状態でそのグリッパを所定の軌道に沿って間欠的に移動しながら、袋に対して順次所定の包装処理を施す袋詰め包装方法及び袋詰め包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013−95453号には、上記のような袋詰め包装機(以下「包装機」という。)が開示され、その包装機では、所定の間欠停止位置の一つである被包装物充填工程(ステーションIV)において、グリッパにより挟持された袋をチャックで掴み替え、袋をチャックとともに上昇させた後、袋内へ被包装物を充填しながら袋を徐々に下降させるとともに、袋内に充填された被包装物の重量を計量し、被包装物の充填終了後にチャックに保持された袋をグリッパで再度掴み戻す構成となっている。
【0003】
ところで、上記のような従来の包装機では以下のような問題点があった。
【0004】
第1はシール幅又はシール位置の変更に伴う問題点である。すなわち、一台の包装機を使用して複数種類の製品の包装を行うことが一般的に行われており、その場合、同じタイプの平袋を使う場合でも、製品によってシール幅或いはシール位置を変更する場合がある。
図1にシール幅を変更する場合を示す。図中左側の袋B1のシールS1の幅がb1であるのに対して、右側の袋B2のシールS2の幅をb2に変更する場合である。この場合には、シール装置の熱板HPの位置はそのままにして、グリッパGが挟持する袋の高さ方向での位置を変更する。すなわち、袋を貯留するコンベアマガジン(図示せず)上に設けた、袋の先端縁部が当接して袋の取出し位置を決めるストッパの位置を変更し、その位置から同じ構成の取出し装置(吸盤)を用いて袋を取り出すことにより袋の高さ位置をH1からH2に変更し、グリッパGに対する袋の高さ位置をh1だけ変更する。これによりシール幅がb1からb2に変更される。従来は上記のごとくストッパの位置を変更して対応していたが、包装製品の種類が多い場合、その作業は煩雑になり、生産性の低下は避けられない。
【0005】
第2は袋の供給位置のずれによる問題である。すなわち、袋がグリッパに対して所望の高さ位置からずれた位置で供給される場合である。これは、コンベアマガジン上に設定した袋取出し位置に袋を正確に位置決めできなかった場合、コンベアマガジンから袋を取出す際或いは取出した袋をグリッパに引き渡す際に袋がずれた場合などに起こり、グリッパに対して所定の高さ位置で袋を供給できず、後工程での各種包装処理に支障を来す。
【0006】
第3は、平袋を使用する包装と、チャック付袋を使用する包装とに兼用する包装機の場合である。
図2を参照して説明する。平袋B3の場合、袋口を開く開口装置の吸盤Cは袋口の縁部近く、シール予定部S3辺りに吸着するようにされる。一方、一般的なチャック付袋B4の場合、そのチャック部CHはシール予定部S4より下方で、袋口縁部から所定の距離だけ下方に離れて設けられる。従って、チャック付袋B4をグリッパGに供給するときには、平袋B3の場合は高さがH3となるように供給するのに対して、チャック付袋B4の場合には高さがH4となるように供給し、グリッパGに対する高さ方向での袋の位置を平袋B3の場合よりh2だけ高くなるように設定し、吸盤Cがチャック部CHに吸着するようにする必要がある。それと同時に、シール装置HPの高さ位置もh3だけ高くなるようにその位置を変更する必要がある。(シール幅b3がシール幅b4に等しければh2とh3とは等しくなる。)従って作業が煩雑になり、生産性の低下が避けられない。
【0007】
特許第4011567号には空袋供給部において、その空袋の移送中に位置ずれを検出し、その検出信号に基づいて位置ずれを補正したのち、この空袋をグリッパに供給する構成が開示されている。しかしこの構成では、コンベアマガジン上の袋取出し位置における袋の位置決め不良や、コンベアマガジンから袋を取出す際の位置ずれに対しては効果があるものの、取出した袋をグリッパに受け渡す際に生じる位置ずれに対しては効果がない。また、この特許に開示された包装袋供給装置は、コンベアマガジン上の袋取出し位置における袋の位置決め不良に伴う袋の位置ずれの補正を目的としているので、上記第1と第3の問題点を解決できる構成となっていない。
【0008】
特開2009−298417号に開示された包装機では、グリッパに把持された袋の高さ位置を検出し、その検出信号に基づいて袋口をシールするシール部材の高さ位置を変更制御するようにしている。この構成であれば、第1乃至第3の問題点をある程度解決できるものの、実施例に開示されているように、シール装置のフレームや、シール部材の開閉駆動機構を含むシール装置のほぼ全体を昇降させる構成とせざるを得ず、その昇降機構を強固なものとする必要があるため、結果として、構造の複雑化や、装置の大型化、及びコストアップが避けられない。また、シール幅を広くする場合や、袋口縁部から離れた位置にシールを行う場合、シール部材の高さ位置を下げる方向に制御することとなるが、下げ過ぎるとグリッパとの干渉を招くので、その下げ代には限界がある。従って、そのような場合は、コンベアマガジン上に設定した袋取出し位置を変更せざるを得ず、従来と同様、包装製品袋の種類が多い場合、その作業が煩雑になり、生産性の低下は避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−95453号公報
【特許文献2】特許第4011567号公報
【特許文献3】特開2009−298417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、従来に比して、シール幅やシール位置の変更が容易に行える袋詰め包装方法及び袋詰め包装機を提供することを目的とする。また、袋の供給位置のずれも補正できる袋詰め包装方法及び袋詰め包装機を提供することもその目的とする。さらに、平袋とチャック付き等特殊袋の包装に兼用する場合でも、シール幅或いはシール位置変更、さらには袋供給位置ずれの補正を行える袋詰め包装方法及び袋詰め包装機を提供することも本願発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本願の第1の発明は、以下の袋詰め包装方法を提供する。すなわちその方法は、袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げて保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装方法であり、所定の間欠停止位置に移送されてきて停止した前記袋の口部を、前記所定の間欠停止位置に設けられたチャックで挟持し、前記左右一対のグリッパによる袋の挟持を開放する掴み替え工程と、前記袋を挟持したチャックを所定の距離だけ上昇又は下降させ、前記袋の高さ位置を変更する袋高さ位置変更工程と、前記高さ位置を変更された袋の両側縁部を前記左右一対のグリッパで挟持し、前記チャックによる袋の挟持を開放する掴み戻し工程と、予め定められた設定値に基づいて、又は袋の移送方向で前記所定の間欠停止位置より上流側に配置された検出センサからの検出信号に基づいて算出された算出値に基づいて、或いは前記設定値と前記算出値とに基づいて、前記所定の距離を決定する移動距離決定工程とを含んでいる。
さらに、上記の袋詰め包装方法において、前記所定の間欠停止位置は、前記袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設けられた被包装物充填工程位置であり、前記被包装物充填工程位置へ移送されてきた前記袋に被包装物を充填する構成とすることができる。
さらに上記の袋詰め包装方法において、前記決定された所定の距離が零の場合、前記掴み替え工程と袋高さ位置変更工程と掴み戻し工程とを実施しないように構成することができる。
上記課題を解決するために本願の第2の発明は、以下の袋詰め包装方法を提供する。その袋詰め包装方法は、袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げて保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装方法であり、袋の移送方向において、袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設定された被包装物充填工程位置に移送されてきて停止した前記袋の口部を、前記被包装物充填工程位置に設けられた左右一対のチャックで挟持し、前記左右一対のグリッパによる袋の挟持を開放する掴み替え工程と、予め定められた上昇距離だけ前記袋を挟持したチャックを上昇させる袋上昇工程と、予め定められた設定値に基づいて、又は、袋の移送方向で前記被包装物充填工程位置より上流側に設けられた検出センサからの信号に基づき算出された算出値に基づいて、或いは、前記設定値と前記算出値とに基づいて決定される下降距離だけ、前記左右一対のチャックを下降させる袋下降工程と、前記袋下降工程に合わせて前記袋内へ被包装物を充填する被包装物充填工程と、前記下降された袋の両側縁部を左右一対のグリッパで再度挟持し、前記チャックによる袋の挟持を開放する掴み戻し工程とを備え、前記掴み戻された袋の高さ位置が、袋が掴み替えられた時と異なるように制御する。
上記第2の発明において、さらに、前記被包装物充填工程において、オーガ式充填装置により被包装物の充填を行いながら、前記一対のチャックに連結された計量器により前記袋内に充填された被包装物を計量し、該計量値が予め定められた目標値に達した時点で被包装物の充填を終了するように構成することができる。
上記課題を解決するために本願の第3の発明は、以下の袋詰め包装機を提供する。その袋詰め包装機は、袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げて保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装機であり、所定の間欠停止位置に設けられ、前記袋の口部を挟持可能で、昇降自在に構成されたチャックを備える袋掴み替え装置と、制御装置とを備え、前記制御装置は、予め該制御装置に入力された設定値に基づいて、又は袋の移送方向で前記所定の間欠停止位置より上流側に設けられた検出センサからの信号に基づき算出した算出値に基づいて、或いは前記設定値と前記算出値とに基づいて、前記チャックによる袋の挟持及び解放、前記所定の間欠停止位置における前記グリッパによる袋の挟持及び解放、前記チャックの昇降動作及び昇降量を制御する。
上記第3の発明においてさらに、前記所定の間欠停止位置は、袋の移送方向において、袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設定され、前記チャックは袋の上部両側縁部を挟持可能な左右一対のチャックにより構成され、前記袋詰め包装機はさらに、前記所定の間欠停止位置に設けられ、袋内へ被包装物を充填する被包装物充填装置を備えている構成とすることができる。
さらに、前記昇降量が零の場合には、前記制御装置は、前記チャックによる袋の挟持及び該チャックの昇降動作及び前記所定の間欠停止位置におけるグリッパによる袋の解放を行わないように制御するように構成することができる。
さらに本願の第4の発明は、以下の袋詰め包装機を提供する。その袋詰め包装機は、袋の両側縁部を左右一対のグリッパで挟持し、前記袋をその口部が上向きになるように吊り下げ状に保持した状態で前記袋を所定の軌道に沿って間欠的に移送し、その移送過程において所定の包装処理工程を順次施す袋詰め包装機であり、袋の移送方向において袋の袋口を開口する開口工程位置より下流側に設定された所定の間欠停止位置である被包装物充填工程位置に設けられ、前記袋の上部両側縁部を挟持可能で、昇降自在に構成された一対のチャックを備えた掴み替え装置と、前記被包装物充填工程位置に配置され、前記袋内へ被包装物を充填する被包装物充填装置と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記被包装物充填工程位置に移送されてきて停止した前記袋の口部を、前記左右一対のチャックで挟持し、前記左右一対のグリッパによる袋の挟持を開放する掴み替え工程と、予め定められた上昇距離だけ前記袋を挟持したチャックを上昇させる袋上昇工程と、予め定められた設定値に基づいて、又は、袋の移送方向で前記被包装物充填工程位置より上流側に設けられた検出センサからの信号に基づき算出された算出値に基づいて、或いは、前記設定値と前記算出値に基づいて決定される下降距離だけ、前記左右一対のチャックを下降させる袋下降工程と、前記袋下降工程に合わせて前記袋内へ被包装物を充填する被包装物充填工程と、
前記下降された袋の両側縁部を左右一対のグリッパで再度挟持し、前記チャックによる袋の挟持を開放する掴み戻し工程とを実施させ、前記掴み戻された袋の高さ位置が、袋が掴み替えられた時と異なるように制御する。
上記第4の発明において、さらに、前記掴み替え装置は、前記左右一対のチャックに連結され、被包装物の充填中に袋内へ充填された被包装物の重量を計量する計量器を備え、前記被包装物充填装置はオーガ式充填装置とし、前記制御装置は、前記計量器による計量値が予め設定された目標値に達したときに被包装物の充填を終了するように制御するように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記第1と第3の発明によれば、予め制御装置へ各包装袋に対応して所望の値を入力しておくだけで、チャックによる袋の掴み替えと、チャックの昇降による袋高さ位置の変更が行われるので、シール幅やシール位置の変更が従来に比して簡単な操作で行え、生産性を向上できる。また、袋の移送方向で掴み替え工程位置より上流側に袋高さ検出装置を配置しておけば、その検出装置からの信号に基づいて制御装置が補正値を算出して、その補正値に基づいてチャックによる袋の掴み替えと、チャックの昇降による袋高さ位置の補正が行われるため、袋の供給位置のずれを自動的に補正でき、確実かつ安定した包装処理が可能となる。
上記第2と第4の発明によれば、上記第1と第3の発明による効果に加えてさらに以下のような効果が得られる。すなわち、袋口開口工程位置より下流側である被包装物充填工程位置において、チャックによる袋の掴み替えと、チャックの昇降による袋高さ位置の変更を行うので、平袋からチャック付袋に、或いはチャック付袋から平袋へ変更する際に、グリッパに対する袋の供給位置を変更する作業が必要ではあるが、シール用の熱板の高さ位置を変更する必要はなく、従来に比して変更作業の容易化が図れ、生産性の向上が図れる。また、被包装物の充填を行いながら袋高さ位置の変更を行うため、効率的な包装が可能となる。さらに、第2、第4の発明のように、被包装物充填装置の一部として機能する掴み替え装置を用いて袋高さの変更を行うことで、袋高さ位置の変更を行うための格別な構成を新たに設ける必要がなく、構造の簡単化とコストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来の袋詰め包装機で平袋のシール幅を変更する例を示す図である。
【
図2】従来の包装機でチャック付袋に熱板の位置を変更してシールする例を示す図である。
【
図3】本願発明の第1の実施の形態に係る袋詰め包装機の概略の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図3のステーションIVに袋が移送されてきて停止した状態を示す被包装物充填装置の斜視図である。
【
図5】ステーションIVにおける被包装物充填装置の斜視図であり、一対のチャックによる袋の掴み替えが行われ、一対のグリッパが離反位置に移動した状態を示している。
【
図6】ステーションIVにおける被包装物充填装置の斜視図であり、チャックが上昇端位置まで上昇した状態を示している。
【
図7】ステーションIVにおける被包装物充填装置の斜視図であり、チャックが下降中の状態を示している。
【
図8】ステーションIVにおける被包装物充填装置の斜視図であり、チャックが下降端位置まで下降した状態を示している。
【
図9】ステーションIVにおける被包装物充填装置の斜視図であり、袋の掴み戻しが行われ、グリッパが接近位置で袋を挟持し、チャックが開放された状態を示している。
【
図10】本発明の第1の実施の形態において、平袋を使用した包装で、掴み替え装置により袋の高さ位置が変更される状態を示している。
【
図11】本発明の第1の実施の形態において、チャック付袋を使用した包装で、掴み替え装置により袋の高さ位置が変更される状態を示し、平袋の場合と比較して示している。
【
図12】本願発明の第2の実施の形態に係る袋詰め包装機の概略の構成を示す斜視図である。
【
図13】第2の実施の形態で使用する掴み替え装置を示す図で、チャックが初期位置において開いており、袋がステーションVIに移送されてきて停止した状態を示す。
【
図14】ステーションVIにおける掴み替え装置を示し、チャックによる袋の掴み替えが行われた状態を示す。
【
図15】ステーションVIにおける掴み替え装置を示し、チャックが上昇した状態を示す。
【
図16】ステーションVIにおける掴み替え装置を示し、グリッパによる掴み戻しが行われた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本願発明の第1の実施形態について説明する。まず
図3を用いて、本願発明の第1の実施の形態に係る袋詰め包装機(以下単に包装機)1の全体構成と各包装処理工程の概要を説明する。
図3は包装機1の概略構成図である。
【0015】
包装機1は円形の回転テーブル2と、その外周部に円周方向所定の間隔で複数組取り付けられた左右一対のグリッパ4とを備えており、このグリッパ4で包装袋(以下単に袋)6の両側縁部を吊り下げ状態で把持する。回転テーブル2は図示しないインデックスユニット及びメインモータに連結され、回転テーブル2の回転に合わせて袋6が間欠移送される。また、一対のグリッパ4は互いに接離自在に構成され、互いに接近させることにより袋6の袋口を開口させ、離反させることにより袋口を緊張させることができる。なお、本実施の形態では袋6の移送軌道が円弧状となっているが、直線,レーストラック等、他の形状であってもよい。
【0016】
包装機1による包装処理工程について説明する。図において回転テーブル2の外周部に沿って付されたローマ数字は、各種包装処理を行うための位置すなわちステーションを示している。ステーションIでは、コンベアマガジン7から順次供給される袋6の両側縁部をグリッパ4によって把持し、袋6をその口部を上向きにして垂直状態で保持する。コンベアマガジン7には袋6を位置決めするストッパ(図示せず)が設けられ、袋6はグリッパ4に対してそのストッパの位置に対応する所定の高さとなるように供給される。この状態で移送されてくる袋6の外面に対し、ステーションIIで印字器8によって製造日等が印字される。このステーションIIには、印字器8のほかに、袋6の高さ位置を検出する袋高さ検出装置9と、袋6に印刷されたバーコードを読み取る製品袋読み取り装置10とが設けられている。袋高さ検出装置9により、グリッパ4に供給された袋6の高さ方向でのずれが検出される。また、製品袋読み取り装置10により、供給された袋の種別(製品の種別)が読み取られる。袋高さ検出装置9と製品袋読み取り装置10とはいずれも制御装置40に接続されており、それらの検出信号は制御装置40へ送られる。これらについては再度後述する。
【0017】
ステーションIIIで、一対のグリッパ4を互いに接近させながら吸盤対12によって袋6の袋口が開口され、開口ガイド14で開口状態が保持される。ステーションIVには被包装物充填装置16が配置されており、開口状態の袋6に対しオーガ式充填装置18によって被包装物が充填される。被包装物充填装置16は、前述のオーガ式充填装置18と、移送されてきた袋6をグリッパ4から掴み替えて計量する掴み替え計量装置28(
図4参照)とを備えており、制御装置40によって制御される。この被包装物充填装置16ついても後述する。
【0018】
ステーションVにおいて昇降自在なエアー噴射ノズル42で袋口内面のシール予定部を清掃する。ステーションVIでは図示しない不活性ガス源に繋がれたガス吹込ノズル44を袋6内へ挿入した後、左右一対のグリッパ4を互いに離反させて袋口を緊張させ、ガス吹込ノズル44から不活性ガスを噴射して袋6内の空気をガスに置換する。ステーションVII,VIIIではそれぞれ一対の熱板46,48を用いて袋口の第1シール工程,第2シール工程が行われ、ステーションIXでは一対の冷却板50を用いて袋口を冷却し、被包装物を内包した完成品として袋6をシュート52へ放出する。ステーションXは予備である。なお、この包装機1は以下の説明から明らかになるように、袋口のシール位置或いはシール幅が異なる複数種類の製品の袋詰めを行うことができるように構成されている。また、平袋とチャック付袋のいずれのタイプの袋にも対応できる構成になっている。
【0019】
図4を参照して、被包装物充填装置16についてより詳細に説明する。
図4はステーションIVにおける被包装物充填装置16の斜視図であり、袋6がステーションIVに移送されてきた直後の状態を示している。なお、
図4乃至9において一部内部構造を破線で示す。
【0020】
前述の通り、被包装物充填装置16はオーガ式充填装置18と掴み替え計量装置28とから構成される。オーガ式充填装置18は被包装物たる例えば粉体(図示せず)を貯留する漏斗状のタンク20を有しており、そのタンク20の下端には吐出口24を有するノズル22が設けられている。タンク20内には図示しないサーボモータにより駆動されるオーガスクリュー26が吐出口24まで達するよう配置され、これを回転させることにより、タンク20内に貯留された被包装物を回転した角度に応じた量だけ吐出口24から吐出させる。
【0021】
掴み替え計量装置28は袋6をグリッパ4から掴み替え、被包装物を充填しながら計量するための装置であり、支持部材30,昇降部材32,計量器34,チャック38から構成される。支持部材30は包装機1の機台(図示せず)に立設されて垂直方向に伸びる柱状の部材であり、この支持部材30の側面に昇降部材32が昇降自在に設けられている。昇降部材32の支持部材30と反対側の端部には袋6内の被包装物の重量を測るための計量器34が設けられ、計量器34の昇降部材32と反対側の端部にプレート状のチャック支持部材36を介して左右一対からなる両開きタイプのチャック38が取り付けられており、計量器34とチャック38が昇降部材32と一体となって昇降動作するようになっている。
図4において、昇降部材32(及び計量器34,チャック38)は初期位置に位置しており、チャック38はステーションIVに移送されてきた袋6のグリッパ4よりも上側の両側縁部を挟持できる位置に配置される。この初期位置において、掴み替え計量装置28はチャック38を開いた状態(開放状態)で袋6が移送されてくるのを待ち構える。
【0022】
図4から
図9を参照して、被包装物充填装置16による袋6の掴み替え工程,袋上昇工程,充填工程,掴み戻し工程について説明する。まずは、
図4,5を参照して掴み替え工程について説明する。
図5は
図4同様ステーションIVにおける被包装物充填装置16の斜視図であり、チャック38による袋6の掴み替えが行われ、一対のグリッパ4が離反位置に移動した状態を示している。
【0023】
前述の通り、チャック38は開放状態で待機している(
図4)。そして、ステーションIVに袋6が移送されてくると、チャック38を閉じて、袋6のグリッパ4よりも上側の両側縁部を挟持する。チャック38で袋6を挟持したら、次にグリッパ4を開放し、グリッパ4からチャック38へ袋6の掴み替えを行う。そして、掴み替え後、
図5に示す通り左右一対のグリッパ4を互いに離反させて、袋6の幅方向において袋6と干渉しない位置(離反位置)に移動させる。なお、掴み替え後も袋6はチャック38により開口状態が保持されている。
【0024】
次に、
図6を参照して、袋上昇工程について説明する。
図6はステーションIVにおける被包装物充填装置16の斜視図であり、チャック38が上昇端位置まで上昇した状態を示している。
【0025】
前述の袋6の掴み替え工程が完了すると、昇降部材32とともにチャック38を上昇移動させる。袋6は開口状態にあるため、袋6を上昇させると、袋6の真上に配置されたタンク20のノズル22が袋6内に入り込む。チャック38の上昇動作は、使用する製品袋に対して予め定められた上昇距離だけ上昇するものであり、この上昇距離は、いずれの製品袋の場合であっても、停止したノズル22の吐出口24と袋6の底部との間に、この後行われる被包装物の充填に支障のない間隔が得られるように設定されている。また、被包装物が粉体の場合であっても、充填落差が小さくて、充填落差に起因する粉体の舞い上がりが生じないようにすることが望ましい。このときのチャック38の位置を上昇端位置と称する。
【0026】
続いて、
図7,8を参照して、充填工程について説明する。
図7、8は共にステーションIVにおける被包装物充填装置16の斜視図であり、前者は一対のチャック38が下降中の状態を、後者はチャック38が下降端位置まで下降した状態を示している。
【0027】
チャック38が上昇端位置に達すると、オーガスクリュー26を回転させて袋6への被包装物(粉体)の充填が開始される。そして、充填が開始されるとチャック38が下降し始める(
図7)。このチャック38の下降は被包装物の(単位時間当たりの)充填量に対応するよう行われ、ノズル22の吐出口24と袋6内の被充填物の最上部との距離が略一定に保たれるのが望ましい。これによって、充填中終始粉体の舞い上がりを防止することができる。また、被包装物が粘性物や固形物の場合には、跳ね返りや袋底着地時の衝撃などの充填落差に起因する問題を防止できる。前述の通りチャック38は計量器34に連結されており、計量器34による計量値が目標充填量に達した時点で充填は終了する。充填終了後、チャック38は下降端位置まで下降し、下降動作が終了する(
図8)。
【0028】
この下降動作において、どれだけの距離をチャック38が下降するかは一定ではない。すなわち、製品袋の種類、或いは袋高さ位置検出装置9により検出される、グリッパ4に対する袋6の位置ずれなどによって異なる。以下、これについて説明する。
【0029】
製品袋すなわち包装に使用される袋はその製品によって異なり、その製品袋によってその袋の袋口に施されるシールの位置、シール幅などの条件が異なり、それらについてのデータが各製品袋に対応した形で予め制御装置40に入力されている。すなわち、シール装置の熱板46、48、冷却板50の位置を移動しないことを前提として、製品袋によってそのシール位置、シール幅が異なり、前述の上昇端位置からどれだけの距離下方へ移動する必要があるかが制御装置40に入力され、或いは算出されるようになっている。これらのデータは包装される製品が異なるたびにオペレータによって制御装置40の制御盤を使って入力することもでき、或いは予め制御装置40に入力されているデータからオペレータが使用される製品袋に合わせて選択することもできるが、本実施の形態では、袋6に印刷されたバーコードを読み取る製品袋読み取り装置10が設けられており、この製品袋読み取り装置10によって現在使用されている袋6がどの製品袋であるかが識別され、その製品袋を示す信号が制御装置40に送られ、予め制御装置40に入力されていた各種製品袋に対応するデータの中から該当する製品袋のデータが選択されて使用される。すなわち、製品袋がたとえば平袋の場合には、製品袋の種類が異なっても、前述したコンベアマガジン7のストッパ(図示せず)の位置は変更しないので、すべての袋6はその先端縁(本実施の形態では口部端縁)が一定の位置に位置決めされる。従って、すべての袋はその製品袋の種類を問わず、グリッパ4に対してその袋口縁部の高さ位置が同じになるように供給される。そして前述のとおり、上昇工程においてチャック38は各製品袋に対して決められた上昇距離だけ上昇するので、そこから各製品袋ごとに予め決められた距離だけ下降すれば、その製品袋に与えられたシール位置、シール幅でのシールが行われる位置へ下降することとなる。
【0030】
また、本実施の形態では、袋高さ検出装置9により検出されるグリッパに対する袋6の位置ずれ量もチャック38の下降量を決定する際に使用される。前述のとおり、通常グリッパ4に供給される袋6はコンベアマガジン7上でストッパにより位置決めされた上でグリッパに供給されるので、グリッパに対する高さ位置は一定になるはずである。しかし、従来技術に関連して説明したとおり、位置決め時の位置決め不良、コンベアマガジンから袋を取出す際或いはグリッパに受け渡す際のずれなどにより、グリッパに対して所定の高さ位置からずれた状態で供給されてしまう場合が起こりうる。このずれをそのままにして袋口をシールした場合には、所望のシール位置或いはシール幅でのシールが行えないこととなる。そこで本実施の形態では、袋高さ検出装置9によってそのずれを検出し、その信号を制御装置40に送り、その信号に基づき、制御装置40によりそのずれを補正するための補正量を算出し、それを先の製品袋独自のデータに基づく数値に加算して下降量を決定するようにしている。
【0031】
最後に、
図9を参照して袋6の掴み戻し工程について説明する。
図9はステーションIVにおける被包装物充填装置16の斜視図であり、グリッパ4が接近位置で袋6を挟持し、チャック38が開放されて、袋6の掴み戻しが行われた状態を示している。
【0032】
袋6の掴み戻し工程は、掴み替え工程と逆の手順となっている。すなわち、被包装物が充填された袋6を挟持したチャック38が前述の決定された下降量だけ下降した状態で、開放状態の一対のグリッパ4を接近位置に移動させて、再び袋6の両側縁部を挟持させた後、チャック38を開放し、袋6をチャック38からグリッパ4へ掴み戻す。この掴み戻し工程終了後、チャック38は初期位置へ戻り、被包装物が充填された袋6はグリッパ4により次工程へ間欠移送されるとともに、新たな袋6が前工程から移送され、以後同様の工程が実施される。
【0033】
本実施形態によれば、先ず使用している製品袋に対して予め決められた所定の距離だけチャック38(袋6)を上昇させ、その位置から使用している包装袋特有の下降量と、グリッパ4対する袋の位置ずれ量を用いて下降量を決定しているので、その製品袋に求められているシール位置及びシール幅でシールを行うことができる。すなわち、従来のようにシールの条件が変わるごとにコンベアマガジン7のストッパの位置を変える必要がなくなり、作業効率が格段に向上する。これを
図10に示す。なお、各符号は、従来例との比較をし易くするために、
図1,2で使用した符号と同種の符号を使用する。袋B5は図中左の図に示される高さH11の位置でグリッパGにより挟持されて被包装物充填ステーションIVへ移送されてくるが、そこでの処理が済んだ時には図中右側に示されるように距離h10だけ高くなったH12の位置でグリッパGにより掴み戻されており、その状態でシールステーションVIIに移送されるので、熱板HPにより、所望のシール位置で所望のシール幅b5のシールを施されることができる。
【0034】
次に製品袋がチャック付袋の場合について説明する。従来技術に関連して説明したとおり、チャック付袋の場合には開口ステーションで適切な袋口の開口処理を行うためには、グリッパに対して平袋の場合に比してより高い位置となるように供給しなければならない。これを行うために、本実施の形態では、平袋の包装処理からチャック付袋を使用しての包装に切り換える際に、コンベアマガジンのストッパの位置を変え、平袋の場合より所望の距離だけ高い位置でグリッパに供給されるようにする。しかし、袋をコンベアマガジンから取出し吸盤で取出し、移送吸盤に引渡し、この移送吸盤からグリッパに引き渡す構成を採用している場合などは、その移送吸盤のストロークを変更することによって袋の高さ位置を変えてグリッパに供給することも可能である。このように、平袋からチャック付袋に変えた時には、グリッパに供給する袋の高さを変える処理は必要であるが、本発明においては以下に説明される通り、従来必要とされた、シールを行うための熱板の位置を変更する必要はない。
【0035】
図11はこのチャック付袋を使用する場合の一例を示しており、平袋の場合と比較する形で示している。なお、ここでも各符号は、従来例との比較をし易くするために、
図1,2で使用した符号と同種の符号を使用する。図中左の図は平袋B5の製品袋を使用した包装で、高さがH13で、袋口から幅がb5のシールを行った状態を示している。そして、図中真ん中の図は、チャック付の袋B6が袋口開口ステーションに移送された状態を示しており、開口吸盤Cがそのチャック部CHに吸着できるように、平袋B5の場合よりh13だけ高いH14の位置となっている。そして、図中右側に示されるように、充填工程において平袋B5の場合と同じ高さH13の位置へ下降して、グリッパGによって袋B6の先とは異なる部位で挟持されて掴み戻されている。従って、同じ位置に保持された熱板によって、平袋B5の場合と同じシール位置、シール幅でシール処理が施されるようになっている。なお、ここでは、説明を分りやすくするために、平袋B5とチャック付袋B6とは同じシール位置、シール幅でシールされる場合を説明しているが、平袋B5のシール条件と異なるシール条件でチャック付袋B6がシールされる場合には、チャック付袋B6は当然その条件に適合した高さ位置でグリッパにより掴み戻されることとなり、図中右の図とは異なる位置となる。
【0036】
上記の実施の形態においては、袋の掴み替え、袋高さ変更、袋の掴み戻しは被包装物充填工程位置で行われたが、これらの動作は、これらの動作のみを行う袋高さ変更工程位置として設定することも可能である。従って、この袋高さ位置変更工程位置を袋口開口工程位置より上流側の間欠位置に設定した場合、或いは被包装物充填工程位置より下流側に設定した場合には、袋口が閉じているので、チャックは必ずしも上記のような左右一対設ける必要はなく、例えば、後述する第2の実施の形態で使用するような袋口縁部を所定の長さ範囲で挟持する一個のチャックとしてもよい。
また、上記の実施の形態においては、チャックが上昇するときに使用している製品袋に応じて決められた所定の距離だけ上方へ移動され、その後に、それぞれの製品袋特有の距離及び袋高さ検出装置で検出された袋位置のずれ量に基づいて決定された距離だけ下方へ移動させられる。従って、掴み戻された時の袋の高さ位置は通常袋が掴み替えられる前の高さ位置と異なる。しかし、例外的に掴み戻された時の袋の高さが掴み替えられる前の時の高さと同じになる場合があり得る。それは、例えば所定の上昇距離として、ある特定の製品袋に対して事前に設定された下降距離と同じ距離が設定され、さらにグリッパに対するその袋のずれ量が零の場合である。
さらに、上記の実施の形態では、予め各製品袋に対応して制御装置に入力された各製品袋についてのデータと、袋高さ検出装置9で検出された袋の位置ずれとの両方のデータに基づいて袋の下降距離を決定しているが、それらのいずれか一方のみを用いて下降距離を決定して制御する実施の形態も可能である。
【0037】
次に
図12以下を参照して本願発明の第2の実施の形態について説明する。この実施の形態では、第1の実施の形態においてガス置換、袋口緊張工程を実施したステーションVIに掴み替え装置61が設けられている。すなわち、給袋工程(ステーションI)、印字工程(ステーションII)、袋口開口工程(ステーションIII)、被包装物充填工程(ステーションIV)、袋口内面シール予定部清掃工程(ステーションV)、第1シール工程(ステーションVII)、第2シール工程(ステーションVIII)、冷却、排出工程(ステーションIX)は第1の実施の形態と同じであり、同じ部材には同じ符号を使用している。この実施の形態でも、印字工程であるステーションIIに袋高さ検出装置9と製品袋読み取り装置10が配置されている。以下、袋6の高さ位置をどのように変更するかについて説明する。
【0038】
袋口内面シール予定部清掃工程であるステーションVと第1シール工程であるステーションVIIとの間のステーションVIには掴み替え装置61が配置されている。この掴み替え装置61は、袋6をグリッパ4から掴み替えるための装置であり、以下に
図13を参照してその構成を説明する。掴み替え装置61は、支持部材63,昇降部材65,チャック支持部材67、及びチャック69とを備えている。支持部材63は包装機60の機台(図示せず)に立設されて垂直方向に伸びる柱状の部材であり、この支持部材63の側面に昇降部材65が昇降自在に設けられている。昇降部材65の支持部材63と反対側の端部にはチャック支持部材67が取付けられ、そのチャック支持部材67の下面側には垂直面内で開閉する2枚のプレート状のチャック板71からなる両開きタイプのチャック69が取付けられており、昇降部材65と一体となって昇降動作するようになっている。
図13において、昇降部材65(及びチャック69)は所定の初期位置に位置し、チャック69はステーションVIに移送されてくる袋6のグリッパ4よりも上側に位置し、袋6の上側縁部を挟持できる位置に配置されている。そして掴み替え装置61はチャック69を水平に開いた状態(開放状態)で袋6が移送されてくるのを待ち構えている。
【0039】
ステーションVIに、被包装物を充填された袋6が両側縁部を一対のグリッパ4によって挟持され、その袋口が開いた状態で移送されてきて停止する。そしてまずグリッパ4が互いに遠ざかり、袋口を緊張させる(
図13)。次いでチャック69のチャック板71が互いに向かって閉じて、袋6の上側縁部をその縁部に沿って挟持する。そしてグリッパ4が開き、これによりチャック69による袋6の掴み替えが行われたこととなる(掴み替え工程、
図14)。
【0040】
次に昇降部材65が所定の距離だけ上方へ移動する。この移動量は、予め制御装置(図示せず)に入力され、製品袋読み取り装置10により読み取られた袋6の製品袋の種別に対応したデータと、袋高さ検出装置9により読み取られた袋6の位置ずれ量とを用いて制御装置によって決定される距離だけ上昇する。これにより、袋6はその製品袋種別に与えられたシール条件に対応した位置へ移動したこととなる(袋高さ変更工程、
図15)。そしてこの位置で袋6は再度その両側縁部をグリッパ4により挟持され、チャック69が開いて袋6の掴み戻しがされる(掴み戻し工程、
図16)。この後袋6は次の工程である第1シール工程を行うステーションVIIへ移動し、チャック69は昇降部材65とともに初期位置へと下降する。
【0041】
なお、上記の実施の形態では、チャック69は上方へ移動するようになっているが、実施の形態によっては下方へ移動し、或いは製品袋の種別によってはある場合には上昇し、ある場合には下降するように構成することも可能である。
また、上記の実施の形態においては、製品袋の種別に応じて決められた移動量及び袋高さ検出装置9で検出された袋の位置ずれ量により移動量が決定されるが、移動量が零となる場合が起こり得る。すなわち袋口をシールするための熱板の位置が、ある製品袋のシール位置、シール幅に対応した位置に一致していて、さらに袋の位置ずれ量が零の場合である。この場合にはこのままの高さ位置においてその製品袋に所望されるシール位置、シール幅でシールされるので、その袋は高さ位置を変更する必要がない。その場合には、袋の掴み替え工程と、袋高さ変更工程と、掴み戻し工程を実施しないように制御する。
また、上記の実施の形態では予め各製品袋に対応して制御装置に入力された各製品袋についてのデータと、袋高さ検出装置で検出された袋の位置ずれとの両方のデータに基づいて袋の上昇距離を決定しているが、第1の実施の形態の場合と同様に、それらのいずれか一方のみを用いて上昇距離を決定して制御する実施の形態も可能である。