(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸気口と排気口が形成された外装体の内側に配設され、回転軸に配設されて前記吸気口から前記排気口へ気体を移送する気体移送機構に設けられた回転体に対向し、少なくとも一部に放射率を向上することにより熱伝導率が低下する表面処理が施された固定部材であって、
前記固定部材は、少なくとも一つの他の部材と接触する接触面に前記表面処理が施されておらず、
前記気体移送機構は、ねじ溝式ポンプ部を備え、
前記固定部材として、ねじ溝スペーサを備え、前記ねじ溝スペーサは、前記回転体との対向面の少なくとも一部に前記表面処理が施されていないことを特徴とする固定部材。
【背景技術】
【0002】
各種ある真空ポンプのうち、高真空の環境を実現するために多用されるものにターボ分子ポンプやねじ溝式ポンプがある。
ターボ分子ポンプやねじ溝式ポンプなどの真空ポンプを用いて排気処理を行うことで内部が真空に保たれる真空装置には、半導体製造装置用のチャンバ、電子顕微鏡の測定室、表面分析装置、微細加工装置などがある。
この高真空の環境を実現する真空ポンプは、吸気口及び排気口を備えた外装体を形成するケーシングを備えている。そして、このケーシングの内部には、当該真空ポンプに排気機能を発揮させる構造物が収納されている。この排気機能を発揮させる構造物は、大きく分けて、回転自在に軸支された回転部(ロータ部)とケーシングに対して固定された固定部(ステータ部)から構成されている。
ターボ分子ポンプの場合、回転部は、回転軸及びこの回転軸に固定されている回転体からなり、回転体には、放射状に設けられたロータ翼(動翼)が多段に配設されている。また、固定部には、ロータ翼に対して互い違いにステータ翼(静翼)が多段に配設されている。
また、回転軸を高速回転させるためのモータが設けられており、このモータの働きにより回転軸が高速回転すると、ロータ翼とステータ翼との相互作用により気体が吸気口から吸引され、排気口から排出されるようになっている。
【0003】
こうした真空ポンプでは、通常、高速回転する円筒形の回転部は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属で製造されてきたが、近年、性能向上(特に、より高速に回転させること)を目的として、金属材料よりも軽量且つ強度のある繊維強化複合材料(繊維強化プラスチック材、Fiber Reinforced Plastics。以後、FRP材とする)で製造される場合がある。
なお、この場合にFRP材に用いられる繊維は、アラミド繊維(AFRP)、ボロン繊維(BFRP)、ガラス繊維(GFRP)や炭素繊維(CFRP)、ポリエチレン繊維(DFRP)などがある。
【0004】
ところで、こうした真空ポンプでは、高速で回転する回転翼などの回転部が、プロセスガスの排気によって、100℃を超えて150℃以上の高温になる場合がある。
このようにロータ部が高温になった状態で高速回転を継続させると、クリープ現象によるロータ部の耐久性が問題になる。
そのため、ロータ部からの放熱を高めること、即ち、ロータ部からの熱放射およびロータ部に対向する固定部表面の熱吸収を促進させることが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、熱輻射による放熱性は向上するが、回転部(ロータ部)と固定部において、表面処理層が設けられた部材と、それに隣接する部材との熱伝導が悪くなってしまうという課題があった。
また、特許文献2の構成では、回転体を軽量化且つ高強度化することはできるが、ネジ溝ポンプ部の円筒ロータの構成材料であるFRPは、ターボ分子ポンプ部のロータの構成材料であるアルミニウム合金に比べて熱伝導率が低く、温度分布が発生し易い傾向にある。ガスとの摩擦が大きい排気口に近いネジ溝ポンプ部の円筒ロータ下端部周辺が前述の摩擦熱で高温化するため、その熱が籠もって、ネジ溝ポンプ部の円筒ロータはターボ分子ポンプ部のロータよりも温度が高くなり、前述の耐久性が問題になるという課題があった。
また、気体を媒介させて温度を下げたり、空間に放射するなどして熱を下げる方法がある。しかし、真空ポンプに流すガスの種類によっては気体の温度を下げることができない場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、表面からの熱輻射を促進し、更に隣接する部材への熱伝導も促進させた固定部材、及び当該固定部材を内包する真空ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明では、吸気口と排気口が形成された外装体の内側に配設され、回転軸に配設されて前記吸気口から前記排気口へ気体を移送する気体移送機構に設けられた回転体に対向し、少なくとも一部に放射率を向上することにより熱伝導率が低下する表面処理が施された固定部材であって、前記固定部材は、少なくとも一つの他の部材と接触する接触面に前記表面処理が施されて
おらず、前記気体移送機構は、ねじ溝式ポンプ部を備え、前記固定部材として、ねじ溝スペーサを備え、前記ねじ溝スペーサは、前記回転体との対向面の少なくとも一部に前記表面処理が施されていないことを特徴とする固定部材を提供する。
請求項2記載の発明では、前記気体移送機構は、
更にターボ分子ポンプ部を備え、前記固定部材
として、固定翼スペーサ
を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の固定部材を提供する。
請求項3記載の発明では、前記気体移送機構は、
更にターボ分子ポンプ部を備え、前記固定部材
として、固定翼
を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の固定部材を提供する。
請求項4記載の発明では、前記外装体と、前記回転軸と、前記回転体と、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の固定部材と、を備えることを特徴とする真空ポンプを提供する。
請求項5記載の発明では、前記回転体は、繊維強化複合材料で製造された円筒体が接合されることを特徴とする請求項
4に記載の真空ポンプを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面からの熱輻射を促進し、更に隣接する部材への熱伝導も促進させた固定部材、及び当該固定部材を内包する真空ポンプを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(i)実施形態の概要
(a)真空ポンプのうち、ねじ溝式ポンプ部を有するねじ溝式ポンプ及び複合型ターボ分子ポンプでは、ねじ溝スペーサは熱容量の大きな部材として、ロータ部から輻射される熱を受け、その熱を熱輻射や熱伝導により外部へ放出しており、ロータ部の温度を低下させる働きを有している。
そこで、本発明の実施形態の真空ポンプでは、ロータ部の放熱を高める目的で、ねじ溝スペーサからベース及び固定翼スペーサ側へ効率的に熱を逃がすために、ねじ溝スペーサの所定の部分に対して表面処理除去加工を施す。より詳しくは、当該ベース及び当該固定翼スペーサとねじ溝スペーサとが接触する接触部分の表面処理を除去する。
(b)また、本発明の実施形態の真空ポンプでは、上述した表面処理除去加工と仕上げ加工を同時に行う構成にする。
【0013】
(ii)実施形態の詳細
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1〜
図4を参照して詳細に説明する。
なお、本第1、第2、及び第3実施形態では、真空ポンプの一例として、ターボ分子ポンプ部とねじ溝式ポンプ部を備え、FRPを用いて製造された円筒形回転体が配設された、いわゆる複合型のターボ分子ポンプを用いて説明する。
なお、本発明は、ターボ分子ポンプ部又はねじ溝式ポンプ部の、どちらか一方のみを有する真空ポンプや、ねじ溝が回転体側に設けられた真空ポンプに適用しても良い。
【0014】
(ii−1)第1実施形態
(表面処理除去加工が施されたねじ溝スペーサ)
図1は、本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプ1の概略構成例を示した図である。
なお、
図1は、ターボ分子ポンプ1の軸線方向の断面図を示している。
ターボ分子ポンプ1のケーシング2は、略円筒状の形状をしており、ケーシング2の下部(排気口6側)に設けられたベース3と共にターボ分子ポンプ1の外装体を構成している。そして、この外装体の内部には、ターボ分子ポンプ1に排気機能を発揮させる構造物である気体移送機構が収納されている。
この気体移送機構は、大きく分けて、回転自在に軸支された回転部(ロータ部)と外装体に対して固定された固定部から構成されている。
また、図示しないが、ターボ分子ポンプ1の外装体の外部には、ターボ分子ポンプ1の動作を制御する制御装置が専用線を介して接続されている。
【0015】
ケーシング2の端部には、当該ターボ分子ポンプ1へ気体を導入するための吸気口4が形成されている。また、ケーシング2の吸気口4側の端面には、外周側へ張り出したフランジ部5が形成されている。
また、ベース3には、当該ターボ分子ポンプ1から気体を排気するための排気口6が形成されている。
【0016】
回転部は、回転軸であるシャフト7、このシャフト7に配設されたロータ8、ロータ8に設けられた複数枚の回転翼9、排気口6側(ねじ溝式ポンプ部)に設けられた円筒形回転体10などから構成されている。なお、シャフト7及びロータ8によってロータ部が構成されている。
各回転翼9は、シャフト7の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してシャフト7から放射状に伸びたブレードからなる。
また、円筒形回転体10は、ロータ8の回転軸線と同心の円筒形状をした円筒部材からなる。
【0017】
シャフト7の軸線方向中程には、シャフト7を高速回転させるためのモータ部20が設けられ、ステータコラム80に内包されている。
更に、シャフト7のモータ部20に対して吸気口4側、および排気口6側には、シャフト7をラジアル方向(径方向)に非接触で軸支するための径方向磁気軸受装置30、31、シャフト7の下端には、シャフト7を軸線方向(アキシャル方向)に非接触で軸支するための軸方向磁気軸受装置40が設けられている。
【0018】
外装体の内周側には、固定部が形成されている。この固定部は、吸気口4側(ターボ分子ポンプ部)に設けられた複数枚の固定翼50と、ケーシング2の内周面に設けられたねじ溝スペーサ70などから構成されている。
各固定翼50は、シャフト7の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して外装体の内周面からシャフト7に向かって伸びたブレードから構成されている。
各段の固定翼50は、円筒形状をした固定翼スペーサ60により互いに隔てられて固定されている。
ターボ分子ポンプ部では、固定翼50と、回転翼9とが互い違いに配置され、軸線方向に複数段形成されている。
【0019】
ねじ溝スペーサ70には、円筒形回転体10との対向面にらせん溝が形成されている。
ねじ溝スペーサ70は、所定のクリアランスを隔てて円筒形回転体10の外周面に対面しており、円筒形回転体10が高速回転すると、ターボ分子ポンプ1で圧縮されたガスが円筒形回転体10の回転に伴ってねじ溝(らせん溝)にガイドされながら排気口6側へ送出されるようになっている。即ち、ねじ溝は、ガスを輸送する流路となっている。ねじ溝スペーサ70と円筒形回転体10が所定のクリアランスを隔てて対向することにより、ねじ溝でガスを移送する気体移送機構を構成している。
なお、ガスが吸気口4側へ逆流する力を低減させるために、このクリアランスは小さければ小さいほど良い。
ねじ溝スペーサ70に形成されたらせん溝の方向は、らせん溝内をロータ8の回転方向にガスが輸送された場合、排気口6に向かう方向である。
また、らせん溝の深さは、排気口6に近づくにつれて浅くなるようになっており、らせん溝を輸送されるガスは排気口6に近づくにつれて圧縮されるようになっている。このように、吸気口4から吸引されたガスは、ターボ分子ポンプ部で圧縮された後、ねじ溝式ポンプ部で更に圧縮されて排気口6から排出される。
このように構成されたターボ分子ポンプ1により、ターボ分子ポンプ1に配設される真空室(図示しない)内の真空排気処理を行うようになっている。
【0020】
本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、ねじ溝スペーサ70に、放射率の高い(即ち、熱吸収率の高い)ニッケル酸化被膜処理やアルマイト処理(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜)等の表面処理が施される。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態に係るねじ溝スペーサ70のねじ溝式ポンプ部の拡大図である。
ねじ溝スペーサ70に上述した処理を施すと、熱の吸収は高くなる一方、熱伝導については当該表面処理を施す前の熱伝導よりも低くなり、ベース3や固定翼スペーサ60へ、ねじ溝スペーサ70の熱が伝導しにくくなる。
そこで、本発明の第1実施形態に係わるターボ分子ポンプ1では、ねじ溝スペーサ70の熱を効率よく吸収する(即ち、ねじ溝スペーサ70の熱を効率よく逃がす)ために、ねじ溝スペーサ70におけるベース3と接触している接触面A1及び固定翼50と接触している接触面A2の表面処理を除去する表面処理除去加工を施し、もともとの母材を露出させる。
上述した構成により、本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、ねじ溝スペーサ70の熱を効率よく逃がすことができるので、効率よくロータ(円筒形回転体10)からの放熱を高めることが可能になる。
【0022】
本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、ねじ溝スペーサ70の製造段階において、以下に記載した工程(イ)又は工程(ロ)で行う。
(イ)粗加工→仕上げ加工→マスキング処理→表面処理
(ロ)粗加工→仕上げ加工→表面処理→表面処理除去加工
なお、工程(イ)では、粗加工でねじ溝スペーサ70にほぼ近い形を成型し、更に精度が必要な部分に仕上げ加工を施して精度を出す。そして、表面処理が不要な部分にマスキング処理を施しておき、表面処理を施す。
一方、工程(ロ)であれば、粗加工などでねじ溝スペーサ70にほぼ近い形を成型し、更に精度が必要な部分に仕上げ加工を施して精度を出す。そして、マスキング処理をしない代わりに、表面処理を施した後に、上述した接触面A1及び接触面A2及び接触面A3に表面処理除去加工を施す。
【0023】
(第1実施形態の変形例)
本発明の第1実施形態の変形例では、ねじ溝スペーサ70の製造段階において、以下の工程(ハ)で行う。
(ハ)粗加工→表面処理→仕上げ加工(表面処理除去加工を同時に行う)
つまり、工程(ハ)では、粗加工後に表面処理を施し、その後に仕上げ加工(寸法精度を出すための加工)を行う。つまり、本発明の第1実施形態の変形例では、ねじ溝スペーサ70に対して表面処理を全面に施してしまった後に、仕上げ加工と表面処理除去加工とを同時に行う。
なお、工程(ハ)にすると、ねじ溝スペーサ70における円筒形回転体10と対向する対向面B(
図2)も表面処理が除去される場合がある。対向面Bの表面処理が除去される理由は、対向する円筒形回転体とのクリアランスを考慮し、仕上げ加工によって寸法精度が必要となる部分だからである。
対向面Bの表面処理が除去される場合、もし仮に、何らかの原因により円筒部分(円筒形回転体)がねじ溝スペーサに接触するような時、対向面Bでの表面加工が剥がれてパーティクル(細かい粒子の塵)になり、真空ポンプを経由して真空装置に飛散してしまうのを防ぐことができる。
上述した構成により、本発明の第1実施形態の変形例に係るターボ分子ポンプ1では、マスキング処理が不要になって加工工程を1つ少なくすることができるので、製造工程におけるコストダウンを実現することが可能になる。
【0024】
(ii−2)第2実施形態
(表面処理除去加工が施された固定翼スペーサ)
図3は、本発明の第2実施形態に係る固定翼50及び固定翼スペーサ60の拡大図である。
上述した本発明の第1実施形態では、ターボ分子ポンプ1のねじ溝式ポンプ部のねじ溝スペーサ70について表面処理除去加工を施す構成とした。
本発明の第2実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、更に、高速で回転する回転翼9からの熱を効率よく吸収する(即ち、効率よく逃がす)ために、回転翼9と対向する固定翼50と接触している固定翼スペーサ60の接触面Cに対して、表面処理を除去する表面処理除去加工を施し、もともとの母材を露出させる。
上述した構成により、本発明の第2実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、更に効率よくロータ(回転翼9)からの放熱を高めることが可能になる。
【0025】
(ii−3)第3実施形態
(表面処理除去加工が施された固定翼)
本発明の第3実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、回転翼9からの熱を効率よく吸収するために、回転翼9と対向する固定翼50が、固定翼スペーサ60と接触している接触面Dに対して、表面処理を除去する表面処理除去加工を施す構成とした。
上述した構成により、本発明の第3実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、更に効率よくロータ(回転翼9)からの放熱を高めることが可能になる。
【0026】
(ii−4)第4実施形態
(ねじ溝式ポンプにおける実施例)
図4は、本発明の第4実施形態に係るねじ溝式ポンプ100の概略構成例を示した図である。
なお、
図4は、ねじ溝式ポンプ100の軸線方向の断面図を示している。
第4実施形態では、真空ポンプの一例としてねじ溝式ポンプを用いて説明する。なお、上述した第1〜第3実施形態と同じ構成については説明を省略する。
ねじ溝スペーサ70aには、FRPを用いて製造された円筒形回転体10aとの対向面にらせん溝が形成されている。
ねじ溝スペーサ70aは、所定のクリアランスを隔てて円筒形回転体10aの外周面に対面しており、円筒形回転体10aが高速回転すると、ガスが円筒形回転体10aの回転に伴ってねじ溝(らせん溝)にガイドされながら排気口6側へ送出されるようになっている。即ち、ねじ溝は、ガスを輸送する流路となっている。ねじ溝スペーサ70aと円筒形回転体10aが所定のクリアランスを隔てて対向することにより、ねじ溝でガスを移送する気体移送機構を構成している。
なお、ガスが吸気口4側へ逆流する力を低減させるために、このクリアランスは小さければ小さいほど良い。
ねじ溝スペーサ70aに形成されたらせん溝の方向は、らせん溝内をロータ8の回転方向にガスが輸送された場合、排気口6に向かう方向である。
また、らせん溝の深さは、排気口6に近づくにつれて浅くなるようになっており、らせん溝を輸送されるガスは排気口6に近づくにつれて圧縮されて排気口6から排出される。
このように構成されたねじ溝式ポンプ100により、ねじ溝式ポンプ100に配設される真空室(図示しない)内の真空排気処理を行うようになっている。
【0027】
本発明の第4実施形態に係るねじ溝式ポンプ100では、ねじ溝スペーサ70aに、放射率の高い(即ち、熱吸収率の高い)ニッケル酸化被膜処理やアルマイト処理(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜)等の表面処理が施される。
【0028】
ねじ溝スペーサ70aに上述した処理を施すと、熱の吸収は高くなる一方、熱伝導については当該表面処理を施す前の熱伝導よりも低くなり、ベース3やケーシング2aへ、ねじ溝スペーサ70aの熱が伝導しにくくなる。
そこで、本発明の第4実施形態に係わるねじ溝式ポンプ100では、ねじ溝スペーサ70aの熱を効率よく吸収する(即ち、ねじ溝スペーサ70aの熱を効率よく逃がす)ために、ねじ溝スペーサ70aにおけるベース3と接触している接触面A1及びケーシング2aと接触している接触面A2の表面処理を除去する表面処理除去加工を施し、もともとの母材を露出させる。
上述した構成により、本発明の第4実施形態に係るねじ溝式ポンプ100では、ねじ溝スペーサ70aの熱を効率よく逃がすことができるので、効率よくロータ(円筒形回転体10a)からの放熱を高めることが可能になる。
【0029】
第2実施形態から第4実施形態の製造工程については、上述した第1実施形態の変形例で示したものと同じ為、省略する。
【0030】
表面処理除去加工を施す箇所については、実施例で示したA1〜A3又はC又はDに限らず、部材が接触する部分に施すことができる。また必要に応じ、どちらか一方の部材にのみ表面処理除去加工を施すなど任意に設定可能である。