(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133240
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】子供用折畳み椅子
(51)【国際特許分類】
A47D 1/02 20060101AFI20170515BHJP
A47C 4/04 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
A47D1/02
A47C4/04 B
A47C4/04 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-126891(P2014-126891)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-5493(P2016-5493A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134800
【氏名又は名称】株式会社ナナミ
(74)【代理人】
【識別番号】100092923
【弁理士】
【氏名又は名称】石垣 達彦
(72)【発明者】
【氏名】名波 久司郎
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−017501(JP,A)
【文献】
実開昭54−148549(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3156595(JP,U)
【文献】
米国特許第01738339(US,A)
【文献】
特開2011−234989(JP,A)
【文献】
実公昭29−003153(JP,Y1)
【文献】
実開昭50−096009(JP,U)
【文献】
特開2005−052602(JP,A)
【文献】
特開平10−272030(JP,A)
【文献】
特開2000−135148(JP,A)
【文献】
実開昭56−097061(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 1/02
A47C 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前脚の上端に設けた後向き折り曲げ部の外側に、左右一対の後脚の上端に設けた上向き折り曲げ部を枢着し、前記左右一対の前脚の後向き折り曲げ部を背凭れにより連結し、この後向き折り曲げ部より上方に突出した前記左右一対の後脚の上向き折り曲げ部の上端に、前側にテーブルを取付けた支持フレームの左右両端を前後に回動自在に軸着すると共に、該支持フレームの基部を、前記後向き折り曲げ部上に形成した水平保持部に保持させ、左右一対の前脚と後脚間に配設した座板の後端を、左右の後脚を連結した連結杆上に保持させると共に、蝶番の軸が前側になるように蝶着し、座板の前端を左右の前脚を連結した連結杆上に保持させると共に、座板の左右両側に形成した前後方向の長溝内に、前脚から突出した連結ピンを摺動自在に嵌入したことを特徴とする子供用折畳み椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳みが可能な子供用椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実開昭54−148548号公報には、左右一対の前脚及び後脚の上部を交差させて枢着し、前脚及び後脚間には座板を配設してその後端を左右の後脚に軸着すると共に前端を左右の前脚を連結した支持板上に支持させ、且つ座板の左右両側と前脚の中間部とを左右一対の連結リンクにより連結し、後部上方に伸びた左右の前脚間を背凭れにより連結し、テーブルの左右両側を保持した支持フレームの後端を前記後脚と前脚との枢軸を利用して前後に回動自在に軸着し、使用時に天板が水平に保持されるように、支持フレームの中間部を前脚に設けた支持部材上に支持させた子供用椅子が開示されている。
【0003】
実登第3036986号公報には、左右一対の前脚及び後脚の上部を交差させて枢着し、前脚及び後脚間には座板を配設してその後端を左右の後脚に軸着すると共に前端を左右の前脚を連結した支持板上に支持させ、且つ座板の左右両側と前脚の中間部とを左右一対の連結リンクにより連結し、後部上方に伸びた左右の前脚間を背凭れにより連結し、テーブルを保持した左右の支持フレームは、後端を左右の後脚に軸着すると共に、使用時に天板が水平に保持されるように、支持フレームの中間部を前脚の上端に載置させた子供用椅子が開示されている。
【0004】
上記従来の子供用椅子は、使用状態において、テーブルの支持フレームを後側に回動させた後、背凭れを持ち上げながら、座板の前端を上方に回動させることにより、前脚と後脚を閉じて折畳み状態とし、またこの折畳み状態において、背凭れを持ち上げながら、座板の前端を下方に回動させることにより前脚と後脚を展開した後、テーブルの支持フレームを前側に回動させて使用状態とするものである。
【0005】
このように上記子供用椅子は、片方の手で背凭れを支えながら他方の手で座板を回動させることにより、全体を折畳んだり展開して使用状態にしなければならないので、多数の椅子を扱う保育園等にあっては極めて不便であった。また座板を操作する際に連結リンクと座板の間、或いは連結リンクと前脚との間に手指を挟む虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】公開実用新案昭54−148548号公報
【特許文献2】登録実用新案第3013962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡単に折畳み及び展開ができる子供用折畳み椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る請求項1の子供用折畳み椅子は、左右一対の前脚の上端に設けた後向き折り曲げ部の外側に、左右一対の後脚の上端に設けた上向き折り曲げ部を枢着し、前記左右一対の前脚の後向き折り曲げ部を背凭れにより連結し、この後向き折り曲げ部より上方に突出した前記左右一対の後脚の上向き折り曲げ部の上端に、前側にテーブルを取付けた支持フレームの左右両端を前後に回動自在に軸着すると共に、該支持フレームの基部を、前記後向き折り曲げ部上に形成した水平保持部に保持させ、左右一対の前脚と後脚間に配設した座板の後端を、左右の後脚を連結した
連結杆上に保持させると共に、蝶番の軸が前側になるように蝶着し、
座板の前端を左右の前脚を連結した連結杆上に保持させると共に、座板の左右両側に形成した前後方向の長溝内に、前脚から突出した連結ピンを摺動自在に嵌入したことを特徴としている。
【0009】
本発明に係る請求項1の子供用折畳み椅子は、前脚と後脚が開き、テーブルと座板が水平に開いた使用状態において、テーブルの支持フレームを後側に回動した後、背凭れを片手で持ち上げると、前脚と後脚が枢軸を中心として内側に回動し、これに伴なって座板も上面を前側にして折畳まり、更に支持フレームも後向き折り曲げ部へ軸着した軸を中心として内側に回動し、全体が重なった折畳み状態となる。この折畳み状態において、支持フレームに支持されたテーブルの端部を床面に接地させたまま、座板を手前に引くと前後の脚が開き、座板が水平に展開する。そこでテーブルの支持フレームを前側に回動すると、支持フレームの基部が前脚の後向き折り曲げ部上に形成した水平保持部に支持され、テーブルが水平に保持された使用状態となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る請求項1の子供用折畳み椅子は、上記したように背凭れを片手で持ち上げることにより、使用状態から折畳み状態に、折畳み状態から使用状態に容易に変換することができるので、多数の椅子を扱う保育園等にあっては極めて便利である。
【0011】
また後脚の上向き屈曲部に軸着された支持フレームの基部が前後に長い水平保持部に支持されるため、誤ってテーブルの前寄りに大きな荷重が加えられることがあっても、支持フレームの軸着部が損傷することがない。
【0012】
更に座板の後端を左右の後脚を連結した
連結杆上に保持させると共に、蝶番の軸が前側になるように蝶着し、座板の前端を左右の前脚を連結した連結杆上に保持させると共に、座板の左右両側に形成した前後方向の長溝内に前脚から突出さ
せた連結ピンを摺動自在に嵌入することにより、従来のような連結リンクを省略したから、取扱い時に手指を挟む虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る子供用折畳み椅子の施実形態における展開状態の斜視図である。
【
図2】同上施実形態における折畳み状態の斜視図である。
【
図3】同上実施形態における展開状態の正面図である。
【
図4】同上実施形態における展開状態の側面図である。
【
図6】同上実施形態の折畳み順序を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る請求項1及び2の子供用折畳み椅子の実施形態を
図1〜
図6を参照して詳細に説明する。
【0015】
符号1は上端に後向き折り曲げ部1aを設けた左右一対の前脚であり、一対の後向き折り曲げ部1aの後端を背凭れ2により連結し、一対の前脚1の中間部を連結杆3により連結している。
【0016】
符号4は上端に上向き折り曲げ部4aを設けた左右一対の後脚であり、一対の上向き折り曲げ部4bを前記後向き折り曲げ部1aの外側に重ね、各前脚1と後脚4の下端が前後に開閉し得るように支軸5により枢着し、一対の後脚4の中間部を連結杆6により連結している。
【0017】
符号7は左右一対の前脚1と左右一対の後脚4との間に挿入され、連結杆3と連結杆6とに載置した座板7であり、その後端を連結杆6に、
蝶番8の軸8aが前側になるように蝶着し、前寄り両側に刻設した前後方向の長溝9に、前脚の内側より突出した連結ピン10を摺動自在に嵌合している。
【0018】
符号11は左右一対のアーム11a と、その先端を連結したアーム11b とにより形成されたテーブル12の支持フレームであり、その左右両アーム11aの後端を、後向き折り曲げ部1aより上方へ突出した上向き折り曲げ部4aの上端に、前後に回動し得るように支軸13により軸着し、この支持フレーム11を前側に回動させたとき、支持フレーム11における左右のアーム11a の基部が後向き折り曲げ部1aの上面に形成された前後に長い水平保持部14上に保持されてテーブル12が水平状態で安定するように形成している。尚、上記支持フレーム11における左右両アーム11a の内側に長溝15を設け、この長溝15にテーブル12の下面より突設した突片16を前後に摺動自在に嵌合している。
【0019】
尚、符号17は一端を連結杆6に、他端を支持フレーム11に接続し、中間部に着脱可能の連結具18を設けたベルトである。
このベルト17は、展開時は座板7からの子供の脱落防止用として、折畳み時は前脚1、後脚4及び支持フレーム11の結束用として使用する。また、符号19は支持フレーム11の前端と、テーブル12の前端下面に対設した着脱具である。
【0020】
本発明に係る子供用折畳み椅子は、
図6の(1)に示す展開状態において、
図6の(2)に示すようにテーブル12の支持フレーム11を後側に回動した後、背凭れ2を片手で持ち上げると、
図6の(3)に示すように前脚1と後脚4が枢軸5を支点として互いに内側に回動し、これに伴なって座板7も蝶番8の
軸8aを支点として上面が表側の状態で折畳まり、更に支持フレーム11も支軸13を中心として内側に回動し、
図6の(4)に示すように全体が折畳み状態となる。この折畳み状態において、支持フレーム11に支持されたテーブル12の端部を床面に接地させたまま、背凭れ2を手前に引くと
図6の(3)(2)に示すように前後の脚1,4が開き、座板7が水平に展開する。そこでテーブル12の支持フレーム11を前側に回動すれば、
図6の(1)に示すように支持フレーム11の左右両アーム11a が水平保持部14上に保持され、テーブル12が水平に保持された使用状態となる。
【0021】
上記実施形態の子供用折畳み椅子は、背凭れ2を片手で操作して全体の展開及び折畳みができるので取扱いが容易である。また座板7は後端を後脚4の連結杆6に
、蝶番8の軸8aが前側になるように蝶着し、前端部両側の長溝9への前脚1における連結ピン10の摺動自在の嵌合により、前後脚1,4の開閉に伴なって座板7も展開したり折畳んだりするように構成したから、従来のような金属製の連結リンクは不要であり、従って手指を挟む心配がない。
【0022】
展開状態にあっては、テーブル12を取付けた支持フレーム11の基部が、前脚の後向き折り曲げ部上に全長に亘って形成した水平保持部14に保持されているため、テーブル12上に大きな荷重が加えられることがあってもテーブル12は水平に且つ安定した状態が保たれ、また支持フレーム11の軸着部への負担が軽減され、損傷する虞がない。
【符号の説明】
【0023】
1 前 脚
1a 後向き折り曲げ部
2 背凭れ
3 連結杆
4 後 脚
4a 上向きの折り曲げ部
5 支 軸
6 連結杆
7 座 板
8 蝶 番
9 長 溝
10 連結ピン
11 支持フレーム
12 テーブル
13 支 軸
14 水平保持部
15 長 溝
16 突 片