特許第6133270号(P6133270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133270薬剤カートリッジのためのブリスター包装
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133270
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】薬剤カートリッジのためのブリスター包装
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/03 20060101AFI20170515BHJP
   B65D 75/34 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A61J1/03 370
   B65D75/34
【請求項の数】16
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-502878(P2014-502878)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-519347(P2014-519347A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】US2012031695
(87)【国際公開番号】WO2012135765
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】61/470,982
(32)【優先日】2011年4月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503208552
【氏名又は名称】マンカインド コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バーギー、マイケル エス
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−538105(JP,A)
【文献】 特表2007−505661(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0217199(US,A1)
【文献】 米国特許第5868774(US,A)
【文献】 実開昭55−156085(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/03
B65D 75/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリスター基部シートを備えるブリスター包装であって、
ジケトピペラジン及び活性成分を含む医薬製剤を収容する薬剤カートリッジを収容するように構成され、投薬前配置及び投与配置を有するように構成され、容器を収容するように構成されたドーム構造及びカートリッジの蓋又は上部を収容するように構成されたシェルフを備える空間と、内面と、外面と、を有する1又は2以上の空洞と
前記ブリスター包装に接着された蓋と、
を備え、
前記シェルフは、前記投薬前配置において前記カートリッジを保持するように、及び前記カートリッジが前記投与配置に到達しないように前記ドーム構造で構成された外面において刻み目を備える、
ことを特徴とするブリスター包装。
【請求項2】
前記シェルフは、前記空洞の前記内面においてカートリッジ上部保持機構を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項3】
前記シェルフは、前記ドーム構造から伸長し、前記1又は2以上の空洞の実質的に平坦な端部を形成し、前記1又は2以上の空洞の前記内面においてカートリッジ保持機構を形成する刻み目又は凹部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のブリスター包装。
【請求項4】
又は上部は、前記容器を覆う、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項5】
ジケトピペラジンは、下記式で表される化合物である、
【化1】
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項6】
前記活性成分は、ペプチド、タンパク質、低分子又は核酸である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項7】
前記活性成分は、インスリン、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、オキシトシン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、スマトリプタン、神経伝達物質アゴニスト、神経伝達物質アンタゴニスト分子、ペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、副甲状腺ホルモン、デオキシリボヌクレアーゼI、及びこれらの活性フラグメント又はこれらのアナログからなる群より選択される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項8】
前記ブリスター基部シートは、ポリ塩化ビニル及びACLARより選択される少なくとも3層を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項9】
前記ACLARの層は、約230μmから約720μmの厚さを有する前記ブリスター基部シートの中間層を形成する、
ことを特徴とする請求項8に記載のブリスター包装。
【請求項10】
前記蓋は、アルミニウム、プラスチックポリマー又はコポリマーから選択される1又は2以上の層を備えるホイルを備える、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項11】
前記蓋は、約10μmから75μmの厚さを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項12】
前記ブリスター基部シートは、約100μmよりも厚い厚さを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のブリスター包装。
【請求項13】
医薬製剤を収容する1又は2以上のカートリッジを収納するよう構成されたブリスター包装を製造する方法であって、
フィルムを、ジケトピペラジン及び活性成分を含む医薬製剤を収容する薬剤カートリッジを収容するように構成され、投薬前配置及び投与配置を有するように構成され、容器を収容するように構成されたドーム構造並びにカートリッジの蓋又は上部を収容するように構成され、前記投薬前配置において前記カートリッジを保持するように、及び前記カートリッジが前記投与配置に到達しないように前記ドーム構造で構成された外面において刻み目を備えるシェルフを備える空間と、内面と、外面と、を有する1又は2以上の空洞を備えるブリスター基部シートに接着することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
ジケトピペラジンは、下記式で表される化合物である、
【化2】
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記活性成分は、ペプチド、タンパク質、低分子又は核酸である、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記活性成分は、インスリン、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、オキシトシン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、スマトリプタン、神経伝達物質アゴニスト、神経伝達物質アンタゴニスト分子、ペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、副甲状腺ホルモン、デオキシリボヌクレアーゼI、及びこれらの活性フラグメント又はこれらのアナログから選択される、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬剤注入の成形されたカードリッジ又はカプセルのためのブリスター包装が開示される。
【背景技術】
【0002】
ブリスター包装システムは、カプセル、錠剤、粉末及び液体といった製薬業での薬物製品を保護するために用いられ得る。一般に、ブリスターパックは、空洞又は開放ブリスターを有する硬いブリスター基部シートと、カバーシート又は蓋と、からなる。パックにおける各ブリスターは通常、粉末、カプセル又は錠剤の形態での薬物製品を収容する。
【0003】
吸入のためのドラッグデリバリーシステムは、疾患の治療に対する気道及び肺への乾燥粉末製剤のデリバリーのためのカートリッジを含み得る。カートリッジに含まれる薬物製剤は、乾燥粉末吸入システムで用いられ得、それは、安全かつ持続的な態様で薬物成分を送達する。カートリッジデリバリーシステムで肺内吸入に用いられる薬物製剤は、しかしながら、例えば水分への暴露による分解に感受性が高い。このように、粉末製剤を収容するカートリッジは、物理的なダメージ及び環境要因からカートリッジ及び製剤を保護するように改良された包装デザインからの恩恵を受け得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第D613849号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0308392号明細書(米国特許出願番号第12/484,137号)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、吸入器での使用のための医薬製剤を収容するカートリッジを保護するためのブリスター包装が開示される。一例において、乾燥粉末吸入システムで使用されるカートリッジは、特許文献1及び特許文献2において開示される。ブリスター包装は、医薬製剤を収容し、保護し、分配し、及び/又は医薬製剤の安定性を改善するようにデザインされ得る。一実施態様において、製剤は、糖尿病といった全身性及び内分泌系の疾患を含む疾患の治療に対する肺内送達のためにデザインされ得る。ブリスター包装は、使用されるマテリアルの巻き上がりに対抗する構造的な硬さを提供することができ、水分、光及び/又はほこりといった環境的要因へのバリアを作ることもでき;患者に投与される薬物の用量の分配を促進することができる。一実施態様において、ブリスター包装は、使用前の薬物製品の配送、出荷及び/又は保管の間、医薬製剤を含むカートリッジを保護するための高い水分のバリアを提供し得る。
【0006】
一実施態様において、ブリスター包装は、一列に配置された又は配列された、均一のポケット状のウェル、カップ状のユニット構造、及び/又は空洞である、複数のブリスターを備える;ここで、ブリスター包装の各ユニットは、医薬製剤を収容する薬剤カートリッジ又はカプセルの構造に対応してマッチするように構成される。一実施態様において、各ブリスターのウェルは、対応するカートリッジを収納し得る。他の実施態様において、ブリスター包装は、1又は2以上の不規則に成形された空洞又はブリスターのウェルを備え得、各空洞又はブリスターのウェルは、上部、底部の部分、外面、内面、及び空間を備える。底部の部分は、実質的に円形の端部又はドームを有する外面、及び実質的に平坦な端部、又はドームの領域から伸長するシェルフを備え得る。一実施態様において、実施的に平坦な端部は、内面においてシェルフ又はカートリッジ保持機構を形成する刻み目又は凹部を有し得、空間の領域は、カップ状の容器を備えるカートリッジを収納するように構成され得る。他の実施態様において、ブリスター包装は、隣接するブリスターのウェルと接触しているスペーサー又は未処理の基部マテリアルのセグメントによって互いに分離されている複数の単一ユニットのブリスターウェルを備える。この実施態様において、ブリスター包装は、分配を促進するように、ブリスターユニットを分けるための、各ブリスターユニットを取り囲むミシン目又は分割ラインを有し得る。
【0007】
一実施態様において、ブリスター包装は、列ごとの1又は2以上のブリスターウェル、ブリスター包装ごとの1又は2以上の列を備える。ブリスターの列において2又は3以上のブリスターウェルを備える態様において、各ブリスターウェルは、他のものと隣接し得、各ブリスターウェルの内部容積又は空間は、すべてのブリスターウェルと連通し得る。あるいは、互いに隣接する1以上のブリスターウェルを有するいくつかの実施態様において、各ブリスターウェルは、各ウェルの容積及び/又は空間が隣接するブリスターウェル、他のブリスターウェルのいくつか又はすべてと連通しないように、分離され得る。一実施態様において、ブリスターパックは、1又は2以上のブリスターウェルの列を備え得、ブリスターの各列は、ミシン目のラインにより分離され得、又はブリスターウェルの列に沿って又はブリスター包装の各ユニットを取り囲むラインに沿って配置され得る。
【0008】
一実施態様は、熱成形基部積層体及び蓋マテリアルからなる成形された空洞を有する基部構造体又はマテリアルからなるブリスターを備え、それは、熱で活性化されたシーラントを有する柔軟性強化アルミニウムホイルを含む。基部マテリアル及び/又は構造体は、1層又は2層以上の熱成形プラスチックを備え得、それには、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及び/又はフルオロポリマーが含まれ、例えば、ACLAR(登録商標)(Honeywell International Inc.,NJ)といったポリクロロトリフルオロエチレン(PCTEF)である。本発明において開示される実施態様のいくつかの側面において、ブリスター包装は、積層された合成物を含む基部マテリアルを備え得る。一実施態様において、積層された合成物は、ACLAR層及び/又は同等の熱成形特性を有するマテリアルといった、ポリ塩化ビニル及びフルオロポリマーから選択される少なくとも3層を備え得る。一実施態様において、積層された合成物は、ポリ塩化ビニル又はポリエチレンテレフタレート(PET)の第一の層、ポリ塩化ビニル又はPETの第二の層、及びACLARを含むフルオロポリマーの層を備える3層の膜構造からなり得、フルオロポリマーの層は積層された合成物の中間層を構成する。他の実施態様において、ブリスター基部シートは、PETに付着して結合されたPCTFEといったフルオロポリマーを備え得る。
【0009】
いくつかの実施態様において、基部マテリアルを形成する積層された合成物は、種々の厚さを有するように作られ得、その厚さは、製剤に要する水分バリアの程度に依存し得る。一実施態様において、ブリスター基部シートの積層された合成物の厚さは、約230μmから約720μmの範囲であり得る。他の実施態様において、積層された合成物のブリスター基部シートは、およそ360μmから約610μmの厚さであり得る。この実施態様において、基部積層体で作られたブリスター包装は、100μm超の厚さを有する、適切な硬さ及び水分バリア保護を有するブリスターとなる。
【0010】
特定の実施態様において、ブリスター包装は、1又は2以上の空洞及びカバー又は蓋を備え得る。空洞の各々は、乾燥粉末吸入器に適合するように構成され得るカートリッジを保持するように構成され、カートリッジは、肺内送達のための製剤を含み得る。製剤は、これに限定されるものではないが、低分子、タンパク質、ペプチド、核酸分子又はこれらの組み合わせを含む活性成分を含み得る。この実施態様及び他の実施態様において、カートリッジは、例えば糖尿病の治療のための製剤を含み得、該製剤中の活性成分は、これに限定されるものではないが、インスリン、GLP−1、これらの活性フラグメント、これらのアナログ、又はこれらの組み合わせを含むペプチドより選択され得る。他の実施態様において、活性成分は、肺内ルートにより送達され得るいかなるペプチド又は活性剤からも選択され得、それには、インスリン、オキシトシン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、グルカゴン様ペプチド1、スマトリプタン、ペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、副甲状腺ホルモン、神経伝達物質アゴニスト及びアンタゴニスト、デオキシリボヌクレアーゼI、これらの活性フラグメント、これらのアナログ、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0011】
ブリスター包装は、単回投与及び/又は複数回投与に対して提供され得、2日又は3日以上の、医薬製剤の毎日の投与が含まれ、又は複数のブリスターの組み合わせが、必要により、毎週又は毎月提供され得る。
【0012】
さらなる態様において、ブリスター包装は、ジケトピペラジンを含む吸入可能な乾燥粉末組成物を含む疾患の治療のための製剤を有するカートリッジを備え得る。一実施態様において、ジケトピペラジンは、式3,6−ビス(4−X−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジンを有し得、Xは、スクシニル、グルタリル、マレイル、及びフマリルからなる群より選択される。一実施態様において、乾燥粉末組成物は、ジケトピペラジン塩を含み得、ジケトピペラジン塩は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リチウム、セシウム及びカルシウムを含む無機塩であり得る。他の実施態様において、ジケトピペラジンは、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンを含む有機塩であり得る。さらに他の態様において、ジケトピペラジンが3,6−ビス(4−フマリル−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジン又はその塩であり、薬学的に許容可能な媒剤又は賦形剤を含み又は含まない乾燥粉末組成物が提供される。ブリスター包装はまた、これに限定されるものではないが、ラクトース、デキストラン、アミノ酸、及びこれらの同様物を含む、薬学的に許容可能な媒剤及び/又は賦形剤を有する製剤を有するカートリッジを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書で開示されるブリスター包装の態様の斜視図である。
図2】包装内のブリスターの列の均一な配列を図示する、図1のブリスター包装の第一の側面図である。
図3図2の反対側からのブリスターの列を示す、図1のブリスター包装の態様の第二の側面図である。
図4】包装内のブリスター機構を示す、図1のブリスター包装の態様の底面図である。
図5】蓋を示す、図1のブリスター包装の態様の上面の図である。
図6】3つのブリスターの列並びにドームの領域及びそれらの刻み目又はカートリッジ保持特性を図示する構成を示す、図1のブリスター包装の態様の前面図である。
図7図1のブリスター包装の態様の背面図である。
図8図1で示される平面8−8のブリスターの列の断面図である。
図9】ブリスターウェルの中心点を横切る平面9−9のブリスター包装の縦断面図である。
図10】本明細書で記載されるブリスター包装の上面図である。
図11A】本明細書で記載される穴を開けるシールの背面図である。
図11B】本明細書で記載される剥離可能なシールの図である。
図12】本明細書で開示されるブリスター包装の態様の典型的な水蒸気透過率(WVTR)を示す実験から得られたデータのグラフ図である。
図13】本明細書で記載されるブリスター包装の上面図である。
図14】PVC−ACLAR−PVCマテリアルの三層から形成されたブリスター包装の厚さのプロファイルの図である。
図15】PVC−ACLARマテリアルの二層から形成されたブリスター包装の厚さのプロファイルの図である。
図16】CoPETG−ACLARマテリアルの二層から形成されたブリスター包装の厚さのプロファイルの図である。
図17図14−16のグラフに対する標準偏差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、例示されるに過ぎず、図1−17に記載される図面に限定されるものではない。
【0015】
本明細書において、肺内送達のための医薬製剤を含有するカートリッジ又はカプセルを保護するように構成されたブリスター包装が開示される。
【0016】
図1は、本明細書で記載されるブリスター包装100の典型的な態様の等角図を表す。ブリスター包装100は、1又は2以上の列106、106’、106’’、106’’’、106’’’’等において配列された複数の成形された空洞104、104’、104’’、104’’’、104’’’’等を有するブリスターカード又はブリスター基部シート102を備える。一実施態様において、3つのドーム108は、各列106において存在し得る。空洞104は、第一の実質的に円形の端部又はドーム108及びいくぶんか平坦な領域の構造又はシェルフ110を備え得、当該シェルフはドーム108から突き出て、その突き出たところにカードリッジ蓋保持機構112を形成して、当該機構は空洞の外面において刻み目又はくぼみを形成している。ドーム108は、単位用量カートリッジ容器又はカップを収容するように構成され得、シェルフ110は、カートリッジ収容配置又は投薬前(pre−dosing)配置においてカートリッジの蓋又は上部アセンブリのセクションを収容し保持するように構成され得る。このブリスター包装内に包装され得る医薬カートリッジは、例えば、米国特許第D613849号明細書及びUS2009/038390において示されるものであり得る(これらの開示は、カートリッジに関してこれらが開示するすべてに対して全体において本明細書に取り込まれる)。
【0017】
カートリッジ蓋保持機構又はシェルフは、所定の位置においてカートリッジの蓋114を保持し、及び/又は複数のカートリッジブリスターにおけるカートリッジが隣接するカートリッジに接触しないようにし得る。一実施態様において、本発明のブリスターユニットにおいて格納されたカートリッジは、収容配置又は投薬前(pre−dosing)配置におけるカートリッジの蓋及び容器を備え、カートリッジの容器は、ブリスターユニットのドームに適合され、ブリスターのシェルフに適合された蓋により保持されている。この態様において、カートリッジの容器は、動かないようにされ、収容配置において維持されている。
【0018】
図1はまた、各々3つの空洞104を備える各々の5つの列106を備えるブリスター包装100を図示する。この態様は、1日3回服用する患者に適し得る。いくつかの実施態様において、毎食の投与は、糖尿病に限定されないようなコンディションの患者に対するインスリン又は他の薬剤の所定の吸入投与であり得る。他の態様は、治療される疾患に依存して用いられ得る。
【0019】
他の態様は、各列において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15の空洞を有し得る。ブリスター包装はさらに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15の列を備え得る。
【0020】
図1に図示されるブリスター包装100は、対向する包装のブリスターが輸送中に外装の大きさを低減することにおいて他の包装の2つの列106の間に挿入し得るように、一方のブリスター包装と入れ子となるように構成され得る。ブリスター包装100は、包装サイズを低減するように、後方又は上方に回転させられた一方のブリスター包装と組み合わされ得る。他の手段が、包装の大きさ、容積等を低減するために想定され得る。
【0021】
本明細書の実施態様において、ブリスターは、包装される特定のカートリッジの大きさに合うように構成され得る。ブリスター包装における列の大きさはまた、列ごとのブリスターウェルの数及びブリスターの大きさといった要因に依存して変化し得る。一実施態様において、各々のブリスターウェル又は空洞104は、長さにおいて約1cmより長く、ドーム108の高さにおいて1cmよりも高く、幅において1cmより大きくてもよい。一実施態様において、空洞104の大きさは、幅において約1.5cmであり、長さにおいて約2.5cmであり、高さにおいて約1.5cmであってもよく;ブリスター包装内の列106は各々、長さにおいて約6cmであり、幅において約3.5cmであってもよい。この実施態様及び他の実施態様において、空洞104は、ブリスター包装のブリスターの列又はセグメント内の中央に構成され得る。
【0022】
図2及び図3は各々、図1で図示されたブリスター包装100の反対側の側面図を示す。図2及び図3において、ブリスター包装100内の列106の均一な配置が図示される。図2及び図3はまた、全体的に実質的に延長された形状であり得るものを有するドーム108とシェルフ110との形状を示す。空洞104は、ドーム構造から側面に沿って伸長する平面の端部又はシェルフを有し得る。図2及び図3はまた、ブリスターウェル又は空洞104を形成するブリスター基部シート102を図示し、蓋114は、空洞104をシールすることが示される。
【0023】
図4は、図1で図示されるブリスター包装100の底面図であり、ブリスター包装100内で構造化された空洞104を示す。この実施態様において、ブリスター包装100は、列106間のスペース116を有するよう構成された列106を備える。一実施態様において、第一のブリスター包装のドーム108は、第二のブリスター包装の列106間のスペース116においてフィットし、第一のブリスター包装のシェルフ110は第二のブリスター包装のシェルフ110に当接し得る。
【0024】
図5は、図1に図示されたブリスター包装100の上面図であり、ブリスター包装100の蓋114のシーリングを図示している。蓋114は、蓋114がブリスター基部シート102の平坦な表面に付くように、結合され、又はシールされ得る。蓋144が付き得るブリスター基部シートの一部分は、空洞104間のスペース116及び各々の空洞開口部の上部である。このようにブリスター基部シート102に蓋114が付くことで、ブリスター包装100が閉まることができ、空洞104内に1又は2以上のカートリッジを封入することができる。一実施態様において、蓋114は、ブリスター基部シート102全体を覆い、空洞104を取り囲む領域においてブリスター基部シートと接着する単一のシートであり得る。
【0025】
いくつかの実施態様において、蓋114は、ブリスター基部シート102の底面のすべてと面一となっているブリスター基部シート102の背面部分に接着され得る。他の実施態様において、蓋114は、ブリスター基部シート102の底面に接着し得るが、ブリスター基部シート102よりも小さい。さらなる他の実施態様において、蓋114は、ブリスター基部シート102の底面よりも大きく、ブリスター基部シート102の端部を囲むように配置され得る。
【0026】
図6及び図7は各々、図1に図示されるブリスター包装100の前面図及び背面図であり、3つの組み合わされた空洞104を含む列106を備えるブリスター包装100を示している。空洞104の各セクションは、ドーム108及び刻み目又はカートリッジ保持機構112を有する側面シェルフ110を備え得、ブリスターの列は、蓋114でシールされる。
【0027】
図8は、図1の平面8−8において示された空洞の列の横断面を図示している。図8は、3つの相互連結された空洞の内部及び列内での相互の関係を図示している。この図は、列106の内部容積118又は空間を図示している。図8はまた、構成層を示すブリスター基部シート102の態様の図を示す。この実施態様において、ブリスター基部シート102は、第一の層120、第二の層122及び第三の層124を含む三層のフィルム積層体を備える。三層の各々は、互いに接着して結合され得る。他の実施態様において、三層超又は三層未満の層が用いられ得る。例えば、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層、又は10層の層が用いられ得る。一実施態様において、用いられる層の数は、シールされた包装(ブリスター基部シート及び蓋)の中への水の侵入を実質的に防ぐのに必要な数又は厚さであり得る。
【0028】
一実施態様において、ブリスター基部シート102は、熱成形プラスチックを用いて製造され得る。所定の実施態様において、ブリスター基部シート102は、ACLAR(登録商標)といった、ポリエステル、ポリ塩化ビニル及び/又はフルオロポリマーを含む熱成形プラスチックの1層又は2層以上の層を備えるフィルムから成形された熱成形積層体であり得る。他の実施態様において、ブリスター包装100は、ポリ塩化ビニル層、PET及びフルオロポリマー層から選択される少なくとも3層(少なくとも1層はフルオロポリマーである)を備える積層合成物を含む。この実施態様の一側面において、ブリスター基部シート102は、フルオロポリマー層及び2層のポリ塩化ビニル層で形成され得る。一実施態様において、第一の層120はポリ塩化ビニルであり、第二の層122はフルオロポリマー層であり、及び第三の層124はポリ塩化ビニルであり得る。このような実施態様において、第一の層120及び第三の層124(両方ともポリ塩化ビニル層である)は、各空洞104の内面126及び外面128を形成している。
【0029】
ブリスター基部シート102を形成するように単独で又は上記と組み合わせで用いられ得る他のポリマーは、ポリ(L−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グルコール酸)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカルボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカルボネート)、ポリ(イミノカルボネート)、コポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンのコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、エチレン−co−ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ビニルハロゲン化物ポリマー及びコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル)、ポリビニリデンハロゲン化物(例えば、ポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族化合物(例えば、ポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテート)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ポリアミド(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム)、ポリカルボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、セロファン、及びカルボキシメチルセルロースを含み得る。
【0030】
ブリスター基部シート102は、透明、部分的に透明、又は不透明であってもよい。部分的に透明である場合、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%光を通すマテリアルを含む。不透明なマテリアルは、実質的に光を通さず、光に感受性のある家庭用医薬品に有用であり得る。
【0031】
ブリスター基部シートを形成する前の積層体マテリアルの厚さは、約10μm、約25μm、約50μm、約75μm、約100μm、約125μm、約150μm、約175μm、約200μm、約225μm、約250μm、約275μm、約300μm、約325μm、約350μm、約375μm、約400μm、約425μm、約450μm、約475μm、約500μm、約525μm、約550μm、約575μm、約600μm、約625μm、約650μm、約675μm、約700μm、約725μm、約750μm、約775μm、約800μm、約825μm、約850μm、約875μm、約900μm、約925μm、約950μm、約975μm、約1000μm、約1025μm、約1050μm、約1075μm、約1100μm、約1125μm、約1150μm、約1175μm若しくは約1200μm、又はこれらの値の範囲内若しくはこれらの値の間のいかなる厚さであってもよい。いくつかの態様において、全体の厚さは、約100μmから約750μmの間の範囲の厚さであり得る。
【0032】
積層体マテリアルにおける各層は、厚さを有し、すべての層のトータルの厚さは、積層体マテリアルのトータルの厚さを表し得る。各層は、約10μm、約25μm、約50μm、約75μm、約100μm、約125μm、約150μm、約175μm、約200μm、約225μm、約250μm、約275μm、約300μm、約325μm、約350μm、約375μm、約400μm、約425μm、約450μm、約475μm、約500μm、約525μm、約550μm、約575μm、約600μm、約625μm、約650μm、約675μm、約700μm、約725μm、約750μm、約775μm、約800μm、約825μm、約850μm、約875μm、約900μm、約925μm、約950μm、約975μm、約1000μm、約1025μm、約1050μm、約1075μm、約1100μm、約1125μm、約1150μm、約1175μm又はこれらの値の範囲内若しくはこれらの値の間のいかなる厚さであってもよい。ACLARが用いられる態様において、その層の厚さは、約230μmから約720μmの間の範囲の厚さであり得る。
【0033】
ブリスター基部シート102の構造は、積層体のカーリングに耐える構造的硬直性をも提供する一方で、医薬製剤の安定性を向上させ得る、欠かせない蒸気及び/又は水分のバリアを提供し得る。前述の通り、シールされたブリスター基部シート及び蓋の組み合わせは、シールされた包装の中への水の侵入を実質的に防ぎ得る。積層体マテリアルのカーリングは、本明細書に開示される大きさの吸入カートリッジを収容するのに要する大きさ及び長さで製造される場合に従来のブリスターが有する課題である。
【0034】
図8におけるブリスター包装100は、1層又は2層以上のマテリアルの層を含むフィルム又はシートで形成され得る上部又は蓋114をさらに備え得る。蓋114の製造に適するマテリアルは、これに限定されるものではないが、アルミニウム、銅及び/又はポリマー若しくはコポリマーといったホイルマテリアルを含み得る。ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び/又はグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)といったポリエステルを含み得る。用いられ得る他のポリマーは、ポリ(L−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グルコール酸)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカルボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカルボネート)、ポリ(イミノカルボネート)、コポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンのコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、エチレン−co−ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ビニルハロゲン化物ポリマー及びコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル)、ポリビニリデンハロゲン化物(例えば、ポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族化合物(例えば、ポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテート)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ポリアミド(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム)、ポリカルボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、セロファン、及びカルボキシメチルセルロースを含む。
【0035】
図8における蓋114は、2層のフィルムを備える。しかしながら、他の実施態様において、蓋114は、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層、又は10層の層を含み得る。一実施態様において、用いられる層の数は、シールされた包装の中への水の侵入を実質的に防ぐのに要する数又は全体の厚さであり得る。蓋114の全体の厚さは、約5μm〜100μm、約10μm〜約75μm、又は約20μm〜約50μmであり得る。蓋114を成形するのに用いられる各マテリアルの層は、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、若しくは約95μm又はこれらの値の範囲内若しくはこれらの値の間のいかなる厚さであってもよい。一実施態様において、蓋114は、約30μmと約150μmとの間の厚さであり得る。他の実施態様において、蓋114は、約30μmの厚さであり、柔軟性強化アルミニウムホイルの外層130、下塗り及びラッカーの上層、並びにヒートシールされたポリマーコーティングの内層132より製造され得る。柔軟性強化アルミニウムホイルは、破裂及び引き裂きに耐え得、包装に対して耐久性レベルを提供し得る。
【0036】
図9は、ブリスターの5つの列と、列106の各々における横方向の(traversing)ドーム108と、を備えるブリスター包装100の長手方向の横断面を図示している。この図において、ポリマーマテリアルの単層134のみがブリスター基部シート102を形成するために用いられているが、前述のように、複数の層が用いられてもよい。蓋114は、外層130及び内層132の両方を含む。しかしながら、前述のように、複数の層又はそれより少ない層が蓋114を形成するのに用いられてもよい。
【0037】
図9で図示されるような一実施態様において、カートリッジ136は、空洞104内にフィットするように成形される。乾燥粉末の医薬が収容され得る、カートリッジ136のカップ部138は、ドーム108内にフィットし得、カートリッジ136の上部140は、シェルフ110及びカートリッジ蓋保持機構112の組み合わせに載ることができる。しかしながら、いかなるカートリッジも、本明細書に記載されるようなブリスター包装内にフィットすることができる。ブリスター基部シートは、付加的な及び/又は異なるカートリッジにフィットするようにカスタマイズされ得る。
【0038】
図10は、カートリッジが独立した空洞142内に収容され得る態様を図示している。ここで、ブリスター基部シート144は、列106における各々の空洞142、142’、142’’の間で蓋114と接触することができる。このように、チャンネル146は、ブリスター基部シート及び蓋マテリアルが互いに結合され得る各々の隣接する空洞142間で形成され得る。前述のように、各空洞は、ドーム108、シェルフ110、及びカートリッジ蓋保持機構112をさらに備え得る。
【0039】
加えて、図10において、ブリスター基部シート144におけるミシン目148が、持ち歩く際の容積を減らすために、ブリスター包装100の列を引き離す能力を患者に与えるために備えられ得る。いくつかの実施態様におけるように、1日3回投与が所定の場合、単にブリスター包装から1列を引き離すことは、1日当たりの薬剤の量に対して有用な機構であり得る。他の実施態様において、ミシン目は、ブリスター基部シート144の各空洞が個々に取り除かれるように備えられ得る。
【0040】
蓋114とブリスター基部シート144との間の接着は、個別の必要性に依存して変化し得る。一実施態様において、蓋114とブリスター基部シート144(図9参照)との間の接着は、ホイルが空洞の内容物にアクセスするために破られなければならないように、永久的であり得る。図11Aに図示されるように、蓋114は、ブリスター基部シート144における特定の空洞104から個々のカートリッジが取り除かれるように突き破られ150得る。ブリスター基部シート102を備える他の態様において(図4)、蓋114は、複数の、例えば3つのカートリッジが現れるように、突き破られ得る。
【0041】
他の実施態様において、蓋114とブリスター基部シート102との間の接着は、ホイルが空洞の内容物にアクセスするために剥がされ得るように、半永久的であり得る。図11Bにおいて図示されるように、蓋114は、ブリスター基部シート144における特定の空洞104から個々のカートリッジが取り除かれるように剥がされ152得る。ブリスター基部シート102を備える他の態様において(図4)、蓋114は、複数の、例えば3つのカートリッジが現れるように、剥がされ得る。いくつかの実施態様において、剥がしミシン目154が、列106を超えて剥がした後、蓋が剥がしミシン目154で引き離され、捨てられ得るように、備えられ得る。
【0042】
他の実施態様において、市販のブリスター熱成形機器において、オートメーション化された一直線上の態様で、本明細書で開示されるブリスター包装を製造する方法が本明細書において開示される。該方法は、基部マテリアル又はシート及び蓋フィルムを供給することと、ロール形態で機器に基部マテリアル及び蓋フィルムを投入することと、機器において基部マテリアル及び蓋フィルムを処理することと、を含み得る。プロセスは、製造上の推奨に従って行われ得る。一実施態様において、基部マテリアルは、約120℃から約150℃、若しくは約120℃から約135℃の範囲の温度の熱;並びに/又は例えば、10サイクル/分と30サイクル/分との間、若しくは約12サイクル/分から約25サイクル/分の既定サイクルで、ブリスターの空洞若しくはウェルを形成するように構成された空気圧及び機械的プラグを用いて成形される成形工程に入れられる。一実施態様において、空気圧は、約4barから約7bar、又は約5barから約6barに設定され得る。用いられる熱、空気圧、及び機械的プラグは、作られるブリスターウェルの大きさ及び用いられる基部マテリアルに依存する。カートリッジ製品は、ブリスターの空洞に自動的に入れられ、その後、蓋のストックがかぶせられる。成形され満たされた基部マテリアル及び蓋がともに、加熱された道具が蓋におけるシーラント層の活性化をもたらすシーリング工程に送られて、シールされたブリスター包装が作られる。シーリングの後、成形され満たされたブリスターのウェブ(web)がミシン目工程に送られ、その後、最終的なブリスター包装を作るダイカット工程に送られる。
【0043】
一実施態様において、ブリスター包装は、15の薬剤を満たしたカートリッジを収容するようにデザインされ得る。このような実施態様において、薬剤を満たしたカートリッジは、5列×3で配置され得る。他の実施態様において、ブリスター包装は、21の薬剤を満たしたカートリッジを収容するようにデザインされ得る。このような実施態様において、薬剤を満たしたカートリッジは、7列×3で配置され得る。ブリスター包装で用いられ得るカートリッジは、肺内送達を意図した医薬製剤に用いられ得る。いくつかの実施態様において、カートリッジにおいて収容され得る医薬製剤は、具体的には、ペプチド及びタンパク質並びに分解に感受性のある他の薬剤を含む、生物製剤の送達に用いられ得る。いくつかの実施態様において、ブリスターにおけるカートリッジは、米国特許第7,794,754号明細書;米国特許第7,799,344号明細書;米国特許第7.803,404号明細書;米国特許第6,444,226号明細書;米国特許第6,555,127号明細書;米国特許第6,440,463号明細書;米国特許第6,428,771号明細書;米国特許第6,071,497号明細書;米国特許第5,352,461号明細書及び米国特許第5,503,852号明細書;並びに米国特許出願第12/813839号(US2010/317574)号明細書及び国際公開第2010/144789号に開示されているようなジケトピペラジンを含む製剤を収容する(これらの開示は、ジケトピペラジン及び医薬製剤について含むすべての全体において本明細書に取り込まれる)。典型的なジケトピペラジンは、フマリル(ジケトピペラジン(ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジン;FDKP)を含む。FDKPは、肺内投与のために用いられる一つのジケトピペラジンであり、以下の式を有する。
【0044】
【化1】
【0045】
FDKPは、酸への溶解性が低い一方で、中性又は塩基性のpHには容易に溶解するため、有用な微粒子マトリックスを提供する。これらの特性により、FDKPは、結晶化し、結晶は酸性コンディション下で自己集合して微粒子を形成することができ、肺に到達でき、良好に天然のバリアをほぼ通過する約0.5ミクロンと約10ミクロンとの間の直径を有する肺内送達に適した微粒子となる。肺内送達のための製剤を収容するカートリッジは、米国特許第7,820,676号明細書に開示されるようなジケトピペラジンの塩を含み、カートリッジへの使用のための他の製剤もまた、本発明のブリスター包装にパッケージされ得る。
【0046】
一実施態様において、各ブリスターにおけるカートリッジを収容するブリスター包装を組み立てる方法が開示される。一実施態様において、カートリッジは、米国特許第D613849号明細書及び米国特許出願第12/484,137号明細書(US2009/0308392)に各々図示され記載されるような容器又はカップ及び蓋又は上部を備える2つのパートの(前述されたような)カートリッジであり得る。カートリッジはさらに、収容配置又は投薬前(pre−dosing)配置及び投与配置を備え得る。その実施態様において、該方法は、2つの注入成形部からなるカートリッジを提供することと(ここで、各々のカートリッジは、蓋及びカップを備える);医薬製剤でカップを満たすことと;カップの上にカートリッジの蓋を置くことと、薬剤粉末がカップ内においてシールされるように、カップへの上部を輸送配置又は収容配置にしまい込むことと、を含む。この実施態様及び他の実施態様において、ブリスター包装は、投薬配置の中へのカートリッジカップの時期尚早な移動を避けながらカートリッジが輸送されるようにデザインされる。
【0047】
したがって、ブリスター包装は、ブリスターの空洞内のカートリッジの移動を避けるようにデザインされ得、それは、ブリスターウェル内に各カートリッジを包み、またそれらが互いに接触しないようにする、一連の閉じこめ形成(formed−in)機構を形成することにより成し遂げられる。この実施態様及び他の実施態様において、ブリスター包装100は、ブリスター又は空洞104の各々が、シェルフ領域110(収容配置におけるカートリッジの蓋がシェルフ領域110に載ることができる)を備えるように、構成され得、それによって、カップが順にドーム108又はブリスターの円形の空間に保持され、物理的な衝撃から薬剤製品が保護される。この実施態様において、ブリスターにおけるカートリッジカップは、ドーム状の機構によりすべての面において取り囲まれ得、カートリッジがブリスター包装内にある間、カップが投薬ポジションにスライドすることは不可能である。
【0048】
一実施態様において、ブリスター包装100はまた、製品の輸送及び保存の間、分配された包装のサイズを低減するように、一方のブリスター包装からブリスターが入れ子となるようにデザイン及び構成され得る。一実施態様において、該方法は、反対側のブリスターにおけるブリスターシェルフ領域110の底面が接触するように、一対のブリスター包装の互いの空洞が向き合ってともにまとめられ得るように、一つのブリスター包装100の向きを変え、ひっくり返すことを含む。この配置は、ブリスター包装が単に積み重ねられた場合のものに対して、より小さい容積での一対のブリスター包装の一体的なオーバーラップ包装を可能にし得る。一実施態様において、医薬包装は、本明細書に記載されるような1又は2以上のブリスター包装を備え得、ブリスター包装は、オーバーラップされたホイルに同封され、オーバーラップされたホイルは、柔軟性強化アルミニウムマテリアルを含む。
【0049】
典型的な実施態様において、ブリスター包装100は、5日間の供給に対して1日3回用いられ得る。このようなブリスター包装は、列106ごとに3つの薬剤が満たされたカートリッジ136を保持するようデザインされた5つの熱成形された空洞104からなる。3つのカートリッジの各空洞104は、すべての4つの側面にシールを形成する約5ミリメーター伸長する領域を有し得、シール加工は、さらにすべてシール領域を増加するようにローレット加工され得る。
【0050】
上述のようなミシン目は、各セクションが隣接するセクションから分離され得るように、セクションを含むブリスターユニット又は列106の各々の間に施され得る。例えば1、2、3又は4以上のカートリッジの個々の空洞104は、ポケット又は小物入れ(purse)において個別に持ち運ばれ得る。この態様において、エンドユーザーは、特定の投薬イベントに必要な分の薬剤製品のみを持ち運ぶことができる。一実施態様において、カートリッジを取り除くために、ユーザーは、親指又は指でブリスターのドームを押して、カートリッジが柔軟なホイルの蓋を突き破るようにする。ブリスターの除去方法は通常、押し出し(push through)と称される。注意深く行えば、一つのカートリッジが、他の2つを動かすことなく、例えば3つの隣接する容積(volume)を有する1つの空洞から取り除かれ得る。他の構成が、患者が一定期間必要とする、送達されるべき薬剤及び投薬の回数に依存して作られ得る。
【0051】
いくつかの実施態様において、処理されたブリスター包装は、空洞を通じて再現性のある厚い積層厚さを有し得る。いくつかの実施態様において、標準偏差は、約0.004mmと約0.023mmとの間であり得る。
【0052】
他の実施態様において、ひとたびシールすると、本明細書で記載されるブリスター包装は、約1週間、約1カ月、約6カ月、約1年、約2年、約3年、約4年又は約5年の期間、すべての水分の侵入に実質的に耐えることができる。例えば、約0.05g未満、約0.02g未満、約0.01g未満、約0.001g未満又は約0.0001g未満の水でもシールされたブリスター包装又は薬剤に入る経路を作るかもしれない。他の実施態様において、本明細書に記載されたブリスター包装は、冷蔵の温度で、例えば4℃で保存された場合の水の透過に耐え得る。
【0053】
いくつかの実施態様において、水蒸気の透過率は、1日あたりの包装において水約0.005g未満であり得る。他の実施態様において、水透過率は、1日あたりの包装において水約0.003g、0.002g、0.001g、0.0005g、0.00005g、0.00001g又は0.000005g未満であり得る。一実施態様において、水透過率は、1日あたりの包装において水約4.0×10−5g未満である。
【0054】
水蒸気透過率はまた、保存温度により影響を受け得る。本明細書に記載されたブリスター包装は、約10℃と約35℃との間、約15℃と約30℃との間、約20℃と約25℃との間の温度で保存された場合の水の透過に耐え得る。一実施態様において、本明細書に記載されたブリスター包装は、室温で保存された場合の水の透過に耐え得る。
【0055】
一実施態様において、ブリスター包装がシールされるばかりでなく、ブリスター包装内のカートリッジもまた薬剤を含むシールされた容器を有し得る。いくつかの実施態様において、該医薬は、本明細書で記載されるような乾燥粉末である。いくつかの実施態様において、この乾燥粉末は、約1週間、約1カ月、約6カ月、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年又は約10年の期間、実質的にすべての水の侵入に耐え得る。
【実施例】
【0056】
(実施例1)
ブリスター包装アセンブリの製造
基部マテリアル又はシートのロールと、蓋フィルムと、を、市販の熱成形機(Pharmworks TF−2X)に接続して提供する。基部マテリアルは、米国のKlockner Pentaplastにより製造された2層のポリ塩化ビニル層の間のフルオロポリマー層からなる。基部マテリアルを、約12−25サイクル/分(cpm)からの速度で形成工程に入れ、図面において規定されたブリスターを作るのに要する寸法で特にデザインされた熱、空気圧及び機械的プラグの組み合わせを用いて成形した。本実施例において、ブリスターウェルを形成するプラスチックを軟化するための温度は、約130℃から約150℃の範囲であり得る。医薬製剤を含むカートリッジは、ブリスターの空洞に自動的に入れられ、その後、柔軟性強化アルミニウムホイル(Alcan)からなる蓋ストックをこのアセンブリにかぶせる。成形され満たされた基部マテリアルと蓋とをともに、約150℃から約170℃の範囲の温度に熱せられた道具と圧力とが蓋におけるシーラント層の活性化をもたらすシーリング工程送られてシールされたブリスターを作る。シーリング工程の後、成形され満たされたブリスターのウェブ(web)は、ミシン目を入れる工程に送られ、その後、最終的に、最終のブリスター包装を作るダイカット工程に送られる。
【0057】
(実施例2)
ブリスター包装の水蒸気透過率
実施例1で製造されたブリスター包装の水蒸気透過率を検証した。ポリ塩化ビニルの外層及び内層並びにACLARの中間層ならなる三層の積層体のブリスター基部シートと柔軟性強化ホイルの蓋とを備えるシールされたブリスター包装は、三層の積層体のブリスター基部シートのブリスター基部シートとゲージ厚において同様なPETの単一層からなり、柔軟性強化ホイルの蓋を有するブリスター基部シートから作られたブリスター包装と比較した。各々のブリスター包装は、ブリスター包装の基部を通して、29ゲージ(0.33mm×13mm)の針を備えるシリンジを用いて3mL(3つのブリスターの各々において1mL)の水を注入した。水を注入した後、基部マテリアルの穴を、迅速に硬化するエポキシ粘着剤を用いてふさいだ。包装を通過する水蒸気を、シールされたガラス容器中の該包装上にクリーンな乾燥窒素ガスの流れを通し、窒素ガスによりピックアップされた水分の量を計測することにより、一定期間分析した。包装を透過してシールされたジャー(jar)に放出された水蒸気の測定を、Mocon Permatran装置において、実験開始時と一定期間後に行い、分析した。
【0058】
図12は、ブリスター包装の典型的な水蒸気透過率(WVTR)を示す実験由来のデータを図示したグラフであり、縦軸には1日あたりの水分量(グラム)が示され、横軸には試験された時点が示される。曲線A(ACLARを含む三層の積層体のブリスター基部シート)及び曲線B(PETのブリスター基部シート)は、実験結果を表している。データは、試験器具を空気パージした時点から短時間経過後、WVTRは、試験開始6日後には、水蒸気透過率が安定的でありほとんど検出不可能なレベルに迅速に安定化することを示す。これは、包装の完全性が経時的に許容可能であることを示す。図12の曲線Bで示される従来のPET積層体を用いて作られたブリスター由来の比較データは、このマテリアルが包装を通した水分透過を防ぐのに効果的ではないことを示す。曲線Aの初期ピークは実験開始時のジャー(jar)内(空気中)に存在する水蒸気であり、排出に約12時間要することも、図12において示され得る。
【0059】
(実施例3)
ブリスター基部シートの空洞の均一性
これらの実験において、3つの異なるブリスター基部シート積層体を、ブリスター基部シートを作るための120℃から125℃の範囲に設定された温度、1分あたり12−25サイクルで155℃と165℃との間で設定するシーリング温度、及び約6barの空気圧を用いて、実施例1で記載されるのと同様に製造した。ブリスター基部シートにおける空洞の厚さを、図13で示されるような種々の位置で測定して、ブリスター又は空洞の完全性及び均一性を評価した。
【0060】
図14は、横断線に沿って図13において列挙された異なる位置での厚さを示したグラフである。ここでいうブリスター基部シートは、PVC−ACLAR−PVCの三層積層体(7.5mil−3.0mil−7.5mil;0.19mm−0.07mm−0.19mm)で形成されている。ブリスター基部シートにおいて最も薄い箇所は、ドームの頂点であり(約0.175mmから約0.075mm)、最も厚い箇所は、シェルフである(約0.275mmから約0.225mm)。
【0061】
図15は、横断線に沿って図13において列挙された異なる位置での厚さを示したグラフである。ここでいうブリスター基部シートは、PVC−ACLARの二層積層体(15mil−4.0mil;0.38mm−0.10mm)で形成されている。ブリスター基部シートにおいて最も薄い箇所は、ドームの頂点であり(約0.187mmから約0.125mm)、最も厚い箇所は、シェルフである(約0.225mmから約0.275mm)。
【0062】
図16は、横断線に沿って図13において列挙された異なる位置での厚さを示したグラフである。ここでいうブリスター基部シートは、CoPETG−ACLARの二層積層体(12mil−4.0mil;0.30mm−0.10mm)で形成されている。ブリスター基部シートにおいて最も薄い箇所は、ドームの頂点であり(約0.125mmから約0.165mm)、最も厚い箇所は、シェルフである(約0.200mmから約0.275mm)。
【0063】
図14−16での種々の測定の標準偏差は、図17のグラフに図示される。図14−17のグラフに基づいて、本技術分野における当業者により、処理されたブリスター基部シートの厚さが、約0.004mmと約0.023mmとの間の標準偏差で再現可能であることが理解され得る。同じサンプルにおける雑音に対する信号(signal to noise)は、約0.020から約0.135の範囲であり得る。
【0064】
(実施例4)
水蒸気の浸透
ホイルでオーバーラップ包装したブリスター基部シートを、水蒸気の浸透特性及び適切にタイトな包装を形成する能力のために選択した。
【0065】
ブリスター包装マテリアルの水蒸気浸透特性のサプライヤ(supplier)の詳細は、37.8℃/90%RHでASTM F1249により測定した場合、積層された基板フィルムに対して0.058g水/m/日未満、積層された蓋に対して0.010g水/m/日未満、及び積層されたオーバーラップ包装に対して0.010g水/m/日未満であり得る。
【0066】
ブリスター基部シート及びホイルオーバーラップ包装からなるシールされたアセンブリを、変調赤外センサーを用いる、プラスチックフィルム及びシートを通じた水蒸気透過率のためのASTM法F1249標準試験法により個々に試験した。ブリスター基部シートサンプルを、各々のブリスター片に1ccの水を注入し、シリンジにより作られた開口部に不浸透性のエポキシ樹脂を載せることで調製した。これにより、ブリスターカード内に水のリザーバーが形成された。入れ子にしたブリスター包装を収容するホイルオーバーラップ包装は、オーバーラップ内に1ccの水を注入し、シリンジにより作られた開口部に不浸透性のエポキシ樹脂を載せることで調製した。浸透特性は、Mocon Permatran装置のチャンバーにサンプルを置き、乾燥空気によりチャンバーのヘッドスペースをフラッシングすることで評価した。漏れ出た水蒸気は、シールされたテストサンプルを通して拡散及び浸透し得、チャンバーのヘッドスペース内のガスと混ざり合い、赤外センサーに運ばれる。赤外センサーは、水蒸気により吸収された赤外エネルギーのフラクションを測定し、電気的シグナルであって、当該シグナルの振幅が水蒸気濃度と釣り合うところのシグナルを作り出す。テストサンプルにより作られた電気的シグナルの振幅はその後、公知の水蒸気透過率を有する測定用フィルムの測定により作られたシグナルと比較される。この情報はその後、水分が試験されるマテリアルを透過する割合を算出するために用いられる。試験は、25℃/100%RHで行った。
【0067】
外層としてPVC層によって挟まれたACLARの三層の積層体層を有する、本明細書において記載されるシールされたブリスター基部シートは、約0.00004g水/ブリスター包装/日の水分浸透率を示し、シールされた集合したオーバーラップ包装の水分浸透率は、約0.040g水/オーバーラップ包装/日である。これらの低い値は、医薬製剤を収容するカートリッジに対して包装の構成が適していることを示す。包装の構成は、水分含量に対するTI粉末を試験することで長期間の安定性試験の間、実際に確認されてきた。データは、いずれのコンディション(5℃又は25℃/60%RH)においても安定して水分含量の識別可能な変化は見られず、TECHNOSPHERE(登録商標)(マンカインド コーポレイション、CA)のインスリンを有するホイルオーバーラップ包装の構造を備えるブリスターカードの使用に対する適合性が確認された。
【0068】
本発明は特定の実施の形態に関して特定して示し、記載しているが、記載の変形例および他の特徴・機能またはその代替となるものが、多くの他の異なるシステムまたは用途を以て望ましく組み合わされていてもよいということは、もちろん認められるだろう。当業者により続いて作られ得る、現在においてはまだ不測の予期されていない様々な代替、変形、変化または改善においても、次の請求の範囲により包含されるべきであることも意図される。
【0069】
特定しない限り、本明細書および請求の範囲において用いられる、成分の量、分子量のような特性、および反応条件を表している全ての数字は、“約”の用語にて、全ての場合において変形されるものとして理解される。従って、明白に否定していない限り、明細書および添付の請求の範囲において用いられている数値パラメーターは、本発明により得られると考えられる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、そして請求の範囲の観点への均等論の適用を制限しようとするものではないものとして、それぞれの数値パラメーターは、少なくとも、報告された重要な数値を鑑み、そして通常の丸め法を適用することにより解釈されるべきである。
【0070】
本発明を記載する文章において(特に、次の請求の範囲の文章において)使用されている“a”、“an”、“the(前記、当該)”および同様の言及は、当該箇所において指定しない限り、または文章により明白に否定しない限り、単数のものと複数のものとの両方を含有するよう用いられている。ここにおける値の範囲の記述は、単に、範囲内のそれぞれの別れた値を個々という簡易な方法として扱うことを意図している。他に指定しない限り、ここでの個々の記述と同様に、それぞれの個々の値は明細書に組み込まれる。ここに記載の全ての方法は、当該箇所において指定しない限り、または文章により明白に否定しない限り、任意の適当な順序において実施することができる。いずれの、および全ての実施例、またはここに適用されている例示的な用語(例えば、“のような、等”)の使用は、単に、より明瞭に本発明を解説しようとすることを意図しているのであって、要求しない限り本発明の観点において制限を課すものではない。明細書におけるいずれの言語も、本発明の実施に対し必須の要求されていない任意の要素を示しているように解釈すべきではない。
【0071】
ここに記載された代替の構成要素の群(グループ)および実施の形態は、限定するものとしては解釈されるべきではない。それぞれの群の構成要素は、個々に、または他の群の構成要素もしくは他のここに見出されている要素との任意の組み合わせにおいて、参照とされ、請求の範囲としてもよい。群の1つまたは複数の構成要素は、利便性および/または特許性の理由のために群において含まれ得ること、またはそこから削除され得ることが予想される。何らかのそのような含有または削除が起きる場合、明細書は修正された群を含むものとみなされ、従って、添付された請求の範囲において使用された全てのマーカッシュ群の記述を充足する。
【0072】
この発明の特定の実施の形態は、本発明を実施するために本発明者が知る最良の形態を含めてここに記載されている。もちろん、これらの記載された実施の形態を元とした変形は、前述の記載を読んだ上で、当該技術分野の通常の技術を持つ者には明瞭となるだろう。本発明者は、当業者が適用にあたりそのような変形を採用することを予期し、本発明がここに具体的に記載されていない方法で実施することを意図する。従って、この発明は、適用される法律により認められるように添付の請求の範囲において記述されている本発明の主題の全ての変形および均等なものを含む。さらに、全ての可能な変形において、上述の構成要素の任意の組み合わせが、当該箇所において指摘されない限り、または文章により明瞭に否定されない限り、本発明に包含される。
【0073】
さらに、本明細書では、多数の参照を特許および刊行物について行った。上述の引例および刊行物のそれぞれは、個々に、それらの全体において、参照によりここに組み込まれる。
【0074】
最後に、ここに記載した実施の形態は本発明の原理の説明であることを理解されるべきである。採用され得る他の変形は本発明の観点内におけるものである。そのため、限定されることはないが、例を挙げると、本発明の代替の構成は、ここに教示されているものに従って行うことができる。従って、本発明は、ここに示され記載されたような正確なものに限定はされない。
【0075】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮特許出願61/470,982(出願日2011年4月1日)に基づ
く優先権主張の利益を有する。この出願は、本明細書に参照により取り込まれる。
(付記)
(付記1)
ブリスター包装であって、
医薬製剤を収容するカートリッジを保持するように構成された、空間と、ドーム構造と、シェルフと、を有する1又は2以上の空洞を備えるブリスター基部シートと、
前記ブリスター包装に接着された蓋と、
を備え、
前記1又は2以上の空洞は、外面及び内面を有する、
ことを特徴とするブリスター包装。
(付記2)
前記シェルフは、前記空洞の前記内面においてカートリッジ上部保持機構を形成する、 ことを特徴とする付記1に記載のブリスター包装。
(付記3)
前記シェルフは、前記ドーム構造から伸長し、前記1又は2以上の空洞の実質的に平坦な端部を形成し、前記1又は2以上の空洞の前記内面においてカートリッジ保持機構を形成する刻み目又は凹部を有する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のブリスター包装。
(付記4)
前記空間の領域は、容器と、前記容器を覆う蓋又は上部と、を有する医薬製剤カートリッジを収容するように構成される、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記5)
活性成分を含む医薬製剤を含むカートリッジをさらに備える、付記1乃至4のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記6)
前記医薬製剤は、ジケトピペラジンを含む、
ことを特徴とする付記5に記載のブリスター包装。
(付記7)
ジケトピペラジンは、ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジンである、
ことを特徴とする付記5に記載のブリスター包装。
(付記8)
前記活性成分は、ペプチド、タンパク質、低分子又は核酸である、
ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記9)
前記活性成分は、インスリン、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、オキシトシン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、スマトリプタン、ペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、副甲状腺ホルモン、デオキシリボヌクレアーゼI、及びこれらの活性フラグメント又はこれらのアナログからなる群より選択される、
ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記10)
前記ブリスター基部シートは、ポリ塩化ビニル及びACLARより選択される少なくとも3層を備える、
ことを特徴とする付記1乃至9のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記11)
前記ACLARの層は、約230μmから約720μmの厚さを有する前記ブリスター基部シートの中間層を形成する、
ことを特徴とする付記10に記載のブリスター包装。
(付記12)
前記蓋は、アルミニウム、プラスチックポリマー又はコポリマーから選択される1又は2以上の層を備えるホイルを備える、
ことを特徴とする付記1乃至11のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記13)
前記蓋は、約10μmから75μmの厚さを有する、
ことを特徴とする付記1乃至12のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記14)
前記ブリスター基部シートは、100μmよりも厚い厚さを有する、
ことを特徴とする付記1乃至13のいずれか1つに記載のブリスター包装。
(付記15)
医薬製剤を収容するカートリッジのためのブリスター包装を製造する方法であって、
フィルムをブリスター基部シートに接着することを含み、
空洞は、ポリ塩化ビニル及びACLARより選択される少なくとも3層を備えるブリスター基部シートで成形され、
容器及び上部を備えるカートリッジは、前記フィルムが前記ブリスター基部シートに接着されるときに前記空洞の中にあり、
前記ブリスター基部シートは、前記空洞を互いに分けるように任意にミシン目が入れられる、
ことを特徴とする方法。
(付記16)
前記カートリッジは、活性成分を含む医薬製剤を備える、
ことを特徴とする付記15に記載の方法。
(付記17)
前記医薬製剤は、ジケトピペラジンを含む、
ことを特徴とする付記16に記載の方法。
(付記18)
ジケトピペラジンは、ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジンである、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記19)
前記活性成分は、ペプチド、タンパク質、低分子又は核酸である、
ことを特徴とする付記16乃至18のいずれか1つに記載の方法。
(付記20)
前記活性成分は、インスリン、グルカゴン様ペプチド1、グルカゴン、オキシトシン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、スマトリプタン、ペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、副甲状腺ホルモン、デオキシリボヌクレアーゼI、及びこれらの活性フラグメント又はこれらのアナログからなる群より選択される、
ことを特徴とする付記16乃至18のいずれか1つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17