特許第6133315号(P6133315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133315ガス噴射バルブをテストする方法及びこの方法を実行するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133315
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ガス噴射バルブをテストする方法及びこの方法を実行するシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/06 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   G01M3/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-540347(P2014-540347)
(86)(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公表番号】特表2014-532884(P2014-532884A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2012004592
(87)【国際公開番号】WO2013068090
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年7月1日
(31)【優先権主張番号】PA201100877
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514098849
【氏名又は名称】イーオーピー マリーネ ア−・エス
【氏名又は名称原語表記】IOP MARINE A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ベント コートスン
【審査官】 萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−009991(JP,A)
【文献】 特開平04−370365(JP,A)
【文献】 特表2000−504389(JP,A)
【文献】 特表2006−514290(JP,A)
【文献】 特開平05−072075(JP,A)
【文献】 特開平07−119585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00 − 3/40
F02M 39/00 −71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のガス噴射バルブをテストする方法であって、
前記バルブは、第1のチャンバ(2)及び第2のチャンバ(3)を有するホルダ(1)に収容され、前記バルブのバルブ噴霧ノズルは前記第1のチャンバに位置し、
前記バルブは、その閉弁状態において、バルブシート及びバルブガスケット(13a,13b)の封止性を確認すべく、圧力下で、不燃性のテストガスの影響下にあり、
前記バルブに前記テストガスが入り込むのを防ぐべく、前記ホルダ(1)の頂部(27)の開口部(21a)を通じて、シーリングオイルが、前記テストガスの圧力より高い圧力で供給され、
前記バルブを開弁させるために、前記頂部(27)の別の開口部(4a)を通じて、コントロールオイルが、前記バルブのピストンの空洞に供給され、
ガスの供給中にバルブシートから逃げ出すガスは、第1のガス排出チューブ(20a)を通じて検出され、前記第1のガス排出チューブ(20a)は、前記第1のチャンバ(2)から、液体が入った第1のコンテナ(28)へとつなげられており、
バルブガスケット(13a,13b)の封止性の悪化のために、ガスの供給中に逃げ出すガスは、前記バルブに接続される第2のガス排出チューブ(19a)を通じて検出され、ここで前記第2のガス排出チューブ(19a)は、液体が入った第2のコンテナ(29)につなげられている、
方法。
【請求項2】
バルブガスケット(13a,13b)の封止性の悪化のために、ガスの供給中に逃げ出すガスは、液体が入った前記第2のコンテナ(29)に繋がる前記第2のガス排出チューブ(19a)を通じて検出されるのとは別に、前記バルブ内のチャネル(16,17)を通じても検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
圧力下で不燃性のテストガスの影響下におくことにより、内燃機関のガス噴射バルブをテストするシステムであって、
前記バルブを収容するホルダ(1)を有し、前記ホルダは第1のチャンバ(2)と第2のチャンバ(3)とを備え、
前記システムはまた、
前記バルブを前記テストガスの影響下におくべく、前記ホルダ(1)に圧力下でテストガスを供給するユニットと、
前記バルブに前記テストガスが入り込むのを防ぐべく、前記バルブに、シーリングオイルを、前記ホルダの頂部(27)の開口部(21a)を通じて、前記テストガスの圧力より高い圧力で供給するユニット(32)と、
前記バルブを開弁させるために、前記頂部(27)の別の開口部(4a)を通じて、前記バルブのピストンの空洞にコントロールオイルを供給するユニット(31)と、
バルブシートからのテストガスの漏れを、第1のガス排出チューブ(20a)に接続される、液体が入った第1のコンテナ(28)を観察することによってテストすると共に、バルブガスケット(13a,13b)からのテストガスの漏れを、第2のガス排出チューブ(19a)に接続される、液体が入った第2のコンテナ(29)を観察することによってテストするユニットと、
を有する、システム。
【請求項4】
ガスの供給中にバルブガスケット(13a,13b)から逃げ出すガスは、前記バルブ内のチャネル(16,17)から逃げる、請求項3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のガス噴射バルブをテストする方法及びシステムに関する。
【発明の背景】
【0002】
WO98/24014は、圧縮空気を用いて燃料噴射弁をテストする方法を開示している。しかし、このようなシステムは、内燃機関のガス噴射バルブをテストするには十分ではない。これは、わずかな漏れであっても許容することができず、そのような漏れであっても爆発を生じるかもしれないからである。
【0003】
内燃機関のガス噴射バルブをテストする既存のシステムは存在する。しかし、そのようなシステムで満足できるものではない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、ガス噴射バルブをテストする方法を提供することであり、非常に小さな漏れであっても検出することが可能な方法を提供することである。この方法はまた、簡単なものであるべきである。
【0005】
本発明に従う上述のタイプの方法は、バルブが、第1のチャンバ及び第2のチャンバを有するホルダに収容され、前記バルブのバルブ噴霧ノズルは前記第1のチャンバに位置し、前記バルブは、その閉弁状態において、バルブシート及びバルブガスケットの封止性を確認すべく、圧力下で不燃性のテストガスの影響下にあり ガスの供給中にバルブシートから逃げ出すガスは、ガス排出チューブを通じて最終的には個別に検出され、前記ガス排出チューブは、前記第1のチャンバから液体が入った別個のコンテナへとつなげられており、バルブガスケットの封止性の悪化のために、ガスの供給中に逃げ出すガスは、前記バルブに接続されるガス排出チューブを通じて最終的には個別に検出され、ここで前記ガス排出チューブは、液体が入った第2のコンテナにつなげられていることを特徴とする。
【0006】
本発明に従う実施形態のうち、特に有利な実施形態においては、バルブガスケットの封止性の悪化のためにガスの供給中に逃げ出すガスは、液体が入ったコンテナに繋がるガス排出チューブに接続するチャネルとは別に、バルブ内のチャネルにおいても別個に検出されうる。
【0007】
本発明はまた、内燃機関のガス噴射バルブをテストするシステムにも関する。このシステムは、前記バルブを収容するホルダを有し、前記ホルダは第1のチャンバと第2のチャンバとを備え、前記システムはまた、前記バルブにシーリングオイルを供給するためのユニットと、前記バルブにコントロールオイルを供給するためのユニットと、前記ホルダにテストガスを供給するためのユニットと、バルブシートからの漏れやバルブガスケットからの漏れをテストするためのユニットであって、がある場合にバルブからの漏れや滲みを観察することによりテストするユニットとを有する、システム。これらのために、ガス噴射バルブをテストするための非常に簡単なシステムを得ることができる。
【0008】
本発明に従う実施形態のうち、特に有利な実施形態においては、ガスの供給中にバルブシートから逃げ出すガスは、液体が入った独立のコンテナに繋がるガス排出チューブにおいて、個別に検出されうる。
【0009】
バルブガスケットの封止性の悪化のためにガスの供給中に逃げ出すガスは、バルブ内のチャネルを通じて、また、液体が入ったコンテナに繋がるガス排出チューブにおいて、個別に検出されうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の図面を参照して本発明を説明する。
図1】ガス噴射バルブをテストする、本発明に従うシステムの全体を描いたものである。
図2】ガス噴射バルブのホルダを描いたものである。
図3図3a及び3bは、それぞれホルダの縦方向に沿った異なる断面を描いたものである。
【発明の詳細説明】
【0011】
内燃機関のガス噴射バルブは、ガスの漏れがないか定期的に検査されなければならない。これは、ガスの漏れが危険なガス爆発をもたらす可能性があるからである。
【0012】
図1は、ガス噴射バルブをテストする.本発明に従うシステムを描いたものである。このシステムはバルブホルダ1を備える。バルブホルダ1には、テストガスやシーリングオイル、コントロールオイルが供給される。バルブホルダ1、及び、バルブホルダ1に収容されたガス噴射バルブは、斜視図として図2に、断面図として図3a及び3bに、それぞれ描かれている。図3aに描かれるバルブホルダ1は、下部の第1チャンバ2および上部の第2チャンバ3を有する。ホルダに収容されたバルブは、長手方向に連続する開口部を有する本体を有している。バルブ噴霧ノズル11は、内側に入るカラーを有するカップリング8により、本体の下部に搭載される。バルブ噴霧ノズル11は細長い開口部を有し、これは、上記本体内で、本体の通口に接続されている。本体の通口内にはスピンドルガイド12が存在し、これは、開口部4aを通じて供給される、コントロールオイルにより持ち上げられていてもよい。コントロールオイルはおよそ300気圧の圧力下にある。開口部4aを通じて供給されるコントロールオイルは縦方向の通路5を通って空洞へと導かれる。この空洞の頂部はボディ6のようなピストンによって区切られている。ボディ6は、上記コントロールオイルが供給されることにより、上部の圧縮スプリング7に抗して押圧される。すると、スプリング7に連結されたスピンドルガイド12が持ち上げられ、ガス噴射バルブが開く。コントロールオイルの供給は、図1に描かれるように、スライディングバルブ25によって制御される。図にはまた、ホルダ1の側面に開口部9が示されている。この開口部9は、ガスコンテナからのテストガスを供給するためのものである。テストガスは通常N2を含む。他のテストガスを用いてもよい。テストガスは、本体を囲む空洞10を通り、斜めに下るチャネル10aを通って、スピンドルガイド12の下部に導かれる。環状の空洞10の上下には、環状のガスケット13a及び13bが設けられており、それによって、環状の空洞10から圧縮ガスが意図せずに漏れることが防止される。これらのガスケットは、例えば、テフロン製である。
【0013】
ガスケット13aや13bが漏れやすくなっていると、チャネル16や17、開口部19からテストガスが逃げ出る。バルブシート14や噴霧バルブ11からガスが漏れると、それは開口部20から逃げていく。
【0014】
上部チャンバ3、下部チャンバ2、頂部27からなる部分は、スプリング7と共に、ボルト40を用いて、フランジ38および39に一緒に固定される。
【0015】
ホルダ1におけるバルブの配置は、エンジンに配置されている状態に一致しており、特に、2ストロークエンジンに配置されている状態に一致している。バルブ噴霧ノズル11の下部は、エンジンに搭載されているときには、束縛を受けずにエンジン内に突き出る。
【0016】
図1は、ガス噴射バルブをテストするシステムの全体を描いたものである。このシステムは、二つのチャンバを有するバルブホルダ1と、テストガスの圧力より高い圧力(例えば340気圧)で、タンク26からシーリングオイルを供給するライン21とを有する。シーリングオイルは、この供給源から開口部21aへと供給される。シーリングオイルの役割は、ガスが、その高圧のために、バルブ内へ入らないようにすることである。
【0017】
コントロールオイルが、タンク26から頂部27の開口部4aへとライン4を通って(例えば300気圧で)供給される。コントロールオイルの供給は、電気的に制御されるスライディングバルブ25によって制御される。開口部24aからの、シーリングオイルおよびコントロールオイルの戻り流は、ライン24を通ってタンク26へと導かれる。ここでオイルは、空気圧ポンプ31,32により、ホルダ1へと戻される。図にはいくつかの圧力計も描かれている。
【0018】
この実施形態の特に有利な点は、ガスライン中のコンプレッサ34によって、ガスの圧力が約300気圧にも高められることである。このコンプレッサ34はまた、同時に、コントロールオイルの圧力をほぼ同じ値まで上昇させるために使用されてもよい。
【0019】
開口部20からのガス漏れは、液体コンテナ28中の液体中に入れられているホース20aによって検出される。ガス漏れの結果は、コンテナ28中の液体中のガスの泡を検出することにより、検出されうる。これは非常に感度の高い方法であると同時に、極めて簡単な検出方法でもある。
【0020】
ガスケット13aや13bの封止性が悪化しることに起因する、横開口部19からのガス漏れは、開口部19に接続されると共に液体コンテナ29中の液体中に入れられているホース19aを用いて検出される。ガス漏れの結果は、コンテナ29中の液体中のガスの泡を検出することにより、検出されうる。これもまた極めて感度の高い方法であると同時に、非常に簡単な検出方法でもある。
【0021】
本発明に従うシステムの特に有利な点は、漏れが生じている位置を特定できることである。
【0022】
必要な圧力をかけているにも関わらず、コントロールオイルが流動できない場合は、高圧(300気圧)で、窒素と共にシーリングオイルの小滴が漏れてしまうことがある。オイルの小滴が酸素に接すると、高圧により、局所的に燃え上がってしまう結果をもたらしかねない。これは、ガス噴射バルブの開口部をテストする前に、低い圧力で、窒素を使用して、酸素のためのバルブ噴射弁をクリーニングすることにより、避けられるかもしれない。
図1
図2
図3