【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
実験用に使用する排水として、フッ化カリウムを純水に溶解し、2,500mg/Lのフッ素イオンを含む水溶液を800g作製した(仮想排水)。
次に、上記排水に、塩化カルシウムを8.6mg/L添加し、pHが7.5〜9.0になるよう水酸化ナトリウムを添加しながら攪拌してフッ素を不溶化した。
この操作により、フッ素水溶液は、ミクロフロックを含む上澄み液と沈殿物に分離した。
この時点で、上澄み液のフッ素濃度は10mg/Lであった。
【0033】
<水浄化剤>
次に、長朔黄麻(中国の長沙市産)と高分子凝集剤(ポリアミン)の質量比が5:5である造粒物を下記に示す製造方法により作製し、造粒物1を得、かかる造粒物1を水浄化剤1として使用した。
<<水浄化剤の製造方法>>
長朔黄麻の粉末と高分子凝集剤とを合わせた固形分の質量に対し3倍の質量の水を加えて得られた混練物(長朔黄麻の粉末+高分子凝集剤+水=30kg)を、プラネタリーミキサー(株式会社愛工舎製作所製、混合機ACM−110、容量110L)に入れ、回転数80rpm、15分混合の条件にてシェアをかけ混練した。
得られた混練物をプレス機(コマツ産機株式会社製 45tプレス機)を用いてローラーによる延伸を施し、厚さ10mm程度のシート状の成形物を作製した。
この成形物を、多段階熱風式乾燥機(株式会社七洋製作所製、ラック式オーブン装置)を用いて、120℃で3時間、さらに150℃で2時間乾燥させた。
次に乾燥させたシートを気流式超微粉砕機(増幸産業株式会社製 セレンミラー)を用いてメジアン径が400μmになるよう粉砕した。
尚、メジアン径は、マスターサイザー2000(マルバーン インスツルメント製)により測定した。
このようにして、造粒物1を得、水浄化剤1とした。
上記で得られた造粒物1の水分量を、上述した方法で測定したところ、10質量%であった。
【0034】
次に、上記で得られた水浄化剤1を水に溶かし、0.1質量%水溶液の分散液を作製した。この分散液を、上記ミクロフロックを含む上澄み液と沈殿物からなる排水に対して、攪拌しながら、3mL/分間の速度で滴下した。この際、上記排水中の固形分に対して5mg/Lになるように水浄化剤を添加した。ここで、「固形分」の測定方法は、排水中のスラリー濃度を水分計にて計測し、逆算することにより、求めることができる。
滴下後、1分間撹拌を維持した後、撹拌停止後1分毎にフッ素イオン濃度を測定し、4mg/L以下になるまでに要した時間を測定した。
ここで、イオン濃度は、ラムダ(Λ)9000(共立理化学研究所製)により測定した。
尚、測定結果は、6時間以内が実用上合格レベルであり、更に時間が短いほど良好な結果であることを表している。
実施例1の評価結果を表1−1に示す。尚、表1−1において、PAMはポリアクリルアミドを表す(表1−2〜表1−6においても同様)。
【0035】
(実施例2)
実施例1において、粉砕した粉末を分級機(株式会社ダルトン製 振動ふるい機)を用い、粒子径が200μm未満ものは、ふるいにかけ取り除いた(カットした)。
それ以外は、実施例1と同様にして、造粒物2を作製した。
造粒物2からなる水浄化剤2を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例2の評価結果を表1−1に示す。
【0036】
(実施例3)
実施例1において、粉砕した粉末を分級機(株式会社ダルトン製 振動ふるい機)を用い、粒子径が850μmより大きいものは、ふるいにかけ取り除いた(カットした)。
それ以外は、実施例1と同様にして、造粒物3を作製した。
造粒物3からなる水浄化剤3を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例3の評価結果を表1−1に示す。
【0037】
(実施例4)
実施例1において、粉砕した粉末を分級機(株式会社ダルトン製 振動ふるい機)を用い、粒子径が250μm未満のものと850μmより大きいものは、ふるいにかけ取り除いた(カットした)。粒子径が250μm以上850μm以下の範囲に入るもののみ使用するようにし、それ以外は、実施例1と同様にして、造粒物4を作製した。
造粒物4からなる水浄化剤4を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例4の評価結果を表1−1に示す。
【0038】
(実施例5)
実施例4において、高分子凝集剤としてポリアクリルアミド(PAM)を使用した以外は、実施例4と同様にして、造粒物5を作製した。
造粒物5からなる水浄化剤5を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例5の評価結果を表1−1に示す。
【0039】
(実施例6)
実施例5において、長朔黄麻として、「中黄麻4号」を使用した以外は、実施例5と同様にして、造粒物6を作製した。
造粒物6からなる水浄化剤6を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例6の評価結果を表1−2に示す。
【0040】
(実施例7)
実施例6において、造粒物を湿熱下で保存し、造粒物の水分量が16質量%になるよう調整した以外は、実施例6と同様にして、造粒物7を作製した。
造粒物7からなる水浄化剤7を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例7の評価結果を表1−2に示す。
【0041】
(実施例8)
実施例6において、造粒物を湿熱下で保存し、造粒物の水分量が20質量%になるよう調整した以外は、実施例6と同様にして、造粒物8を作製した。
造粒物8からなる水浄化剤8を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例8の評価結果を表2−2に示す。
【0042】
(実施例9)
実施例6において、造粒物を湿熱下で保存し、造粒物の水分量が5質量%になるよう調整した以外は、実施例6と同様にして、造粒物9を作製した。
造粒物9からなる水浄化剤9を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例9の評価結果を表2−2に示す。
【0043】
(実施例10)
実施例6において、「中黄麻4号」と高分子凝集剤との質量比を90:10に変更した以外は、実施例6と同様にして、造粒物10を作製した。
造粒物10からなる水浄化剤10を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例10の評価結果を表1−2に示す。
【0044】
(実施例11)
実施例6において、「中黄麻4号」と高分子凝集剤との質量比を70:30に変更した以外は、実施例6と同様にして、造粒物11を作製した。
造粒物11からなる水浄化剤11を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例11の評価結果を表1−3に示す。
【0045】
(実施例12)
実施例6において、「中黄麻4号」と高分子凝集剤との質量比を30:70に変更した以外は、実施例6と同様にして、造粒物12を作製した。
造粒物12からなる水浄化剤12を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例12の評価結果を表1−3に示す。
【0046】
(実施例13)
実施例6において、「中黄麻4号」と高分子凝集剤との質量比を10:90に変更した以外は、実施例6と同様にして、造粒物13を作製した。
造粒物13からなる水浄化剤13を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例13の評価結果を表1−3に示す。
【0047】
(実施例14)
実施例6において、「中黄麻4号」の添加量が、前記ミクロフロックを含有する排水の固形分に対し2mg/Lとした以外は、実施例6と同様にして、造粒物14を作製した。
造粒物14からなる水浄化剤14を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例14の評価結果を表1−3に示す。
【0048】
(実施例15)
実施例6において、「中黄麻4号」の添加量が、前記ミクロフロックを含有する排水の固形分に対し1mg/Lとした以外は、実施例6と同様にして、造粒物15を作製した。
造粒物15からなる水浄化剤15を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例15の評価結果を表1−3に示す。
【0049】
(実施例16)
実験用に使用する排水として、硫酸ニッケル六水和物を純水に溶解し、50mg/Lのニッケルイオンを含む水溶液を800g作製した(仮想排水)。
次に、上記排水に、pHが8.5〜10.0になるよう水酸化ナトリウムを添加しながら攪拌して、ニッケルを不溶化した。
この時点で、該排水の上澄み液のイオン濃度は2mg/Lであった。
また、「所要時間」は、イオン濃度が1mg/L以下になるまでに要した時間を測定した。
それ以外は、実施例6と同様の操作を行い、造粒物6からなる水浄化剤6を使用して、水浄化剤の特性を評価した。実施例16の評価結果を表1−4に示す。
【0050】
(実施例17)
実験用に使用する排水として、塩化第二鉄・六水和物を純水に溶解し、200mg/Lの鉄イオンを含む水溶液を800g作製した(仮想廃液)。
次に、上記排水に、pHが6.5〜9.0になるよう水酸化ナトリウムを添加しながら攪拌して、鉄を不溶化した。
この時点で、該排水の上澄み液のイオン濃度は2mg/Lであった。
また、「所要時間」は、イオン濃度が1mg/L以下になるまでに要した時間を測定した。
それ以外は、実施例6と同様の操作を行い、造粒物6からなる水浄化剤6を使用して、水浄化剤の特性を評価した。実施例17の評価結果を表1−4に示す。
【0051】
(実施例18)
実験用に使用する排水として、硫酸銅・五水和物を純水に溶解し、100mg/Lの銅イオンを含む水溶液を800g作製した(仮想廃液)。
次に、上記排水に、pHが7.0〜8.0になるよう水酸化ナトリウムを添加しながら攪拌して、銅を不溶化した。
この時点で、該排水の上澄み液のイオン濃度は2mg/Lであった。
また、「所要時間」は、イオン濃度が1mg/L以下になるまでに要した時間を測定した。
それ以外は、実施例6と同様の操作を行い、造粒物6からなる水浄化剤6を使用して、水浄化剤の特性を評価した。実施例18の評価結果を表1−4に示す。
【0052】
(実施例19)
実験用に使用する排水として、硝酸亜鉛・六水和物を純水に溶解し、100mg/Lの亜鉛イオンを含む水溶液を800g作製した(仮想廃液)。
次に、上記排水に、pHが.9.0〜9.5になるよう水酸化ナトリウムを添加しながら攪拌して、亜鉛を不溶化した。
この時点で、該排水の上澄み液のイオン濃度は5mg/Lであった。
また、「所要時間」は、イオン濃度が3mg/L以下になるまでに要した時間を測定した。
それ以外は、実施例6と同様の操作を行い、造粒物6からなる水浄化剤6を使用して、水浄化剤の特性を評価した。実施例19の評価結果を表1−4に示す。
【0053】
(実施例20)
実験用に使用する排水として、二クロム酸カリウムを純水に溶解し、100mg/Lのクロムイオンを含む水溶液を800g作製した(仮想廃液)。
次に、上記排水に、pHが6.0〜7.5になるよう水酸化ナトリウムを添加しながら攪拌して、クロムを不溶化した。
この時点で、該排水の上澄み液のイオン濃度は5mg/Lであった。
また、「所要時間」は、イオン濃度が3mg/L以下になるまでに要した時間を測定した。
それ以外は、実施例6と同様の操作を行い、造粒物6からなる水浄化剤6を使用して、水浄化剤の特性を評価した。実施例20の評価結果を表1−4に示す。
【0054】
(実施例21)
実験用に使用する排水として、三酸化二ヒ素を純水に溶解し、10mg/Lのヒ素イオンを含む水溶液を800g作製した(仮想廃液)。
次に、上記排水に、塩化第二鉄を65mg/L、塩化カルシウムを354mg/L添加し、次に、pHが8.0〜9.5になるよう水酸化ナトリウムを添加しながら攪拌して、ヒ素を不溶化した。
この時点で、該排水の上澄み液のイオン濃度は0.05mg/Lであった。
また、「所要時間」は、イオン濃度が0.01mg/L以下になるまでに要した時間を測定した。
それ以外は、実施例6と同様の操作を行い、造粒物6からなる水浄化剤6を使用して、水浄化剤の特性を評価した。実施例21の評価結果を表1−5に示す。
【0055】
(実施例22)
実施例5において、長朔黄麻として、「中黄麻1号」を使用した以外は、実施例5と同様にして、造粒物22を作製した。
造粒物22からなる水浄化剤22を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例22の評価結果を表1−5に示す。
【0056】
(実施例23)
実施例5において、長朔黄麻として、「中黄麻3号」を使用した以外は、実施例5と同様にして、造粒物23を作製した。
造粒物23からなる水浄化剤23を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例23の評価結果を表1−5に示す。
【0057】
(実施例24)
実施例5において、長朔黄麻として、「中紅麻」を使用した以外は、実施例5と同様にして、造粒物24を作製した。
造粒物24からなる水浄化剤24を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例24の評価結果を表1−5に示す。
【0058】
(実施例25)
実施例6において、シートを粉砕する際、メジアン径が300μmになるよう粉砕し、その粉砕により得られた粉砕物をふるいによる分級を行わずそのまま造粒物25として使用した以外は、実施例6と同様にして実験を行った。
実施例25で使用した造粒物25は、上記実施例1の造粒物1と同様、粉砕後の分級工程は行っておらず、ふるいによるカットは行わなかった。
造粒物25からなる水浄化剤25を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例25の評価結果を表1−5に示す。
【0059】
(実施例26)
実施例25において、シートを粉砕する際、メジアン径が800μmになるよう粉砕して、造粒物26を作製した以外は、実施例25と同様にして実験を行った。
造粒物26からなる水浄化剤26を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。実施例26の評価結果を表1−5に示す。
【0060】
(比較例1)
実施例6において、造粒物を使用せず、高分子凝集剤のみ使用した以外は、実施例6と同様にして、実験を行った。比較例1における高分子凝集剤の添加量は5mg/Lであり、高分子凝集剤の水分量は10質量%であった。
比較例1の比較用水浄化剤1を使用して、実施例1と同様にして、水浄化特性を評価した。比較例1の評価結果を表1−6に示す。
【0061】
(比較例2)
実施例6において、造粒物を使用せず、長朔黄麻の粉末と高分子凝集剤とをそれぞれ単体で使用した以外は、実施例6と同様にして、実験を行った。比較例2における長朔黄麻と高分子凝集剤とを合計した添加量は5mg/Lであり、長朔黄麻と高分子凝集剤とを合わせた混合物の水分量は10質量%であった。
比較例2の比較用水浄化剤2を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。比較例2の評価結果を表1−6に示す。
【0062】
(比較例3)
実施例6において、不溶化処理を行わなかった以外は、実施例6と同様にして、実験を行った。
実施例1と同様にして、比較例3における水浄化剤の特性を評価した。比較例3の評価結果を表1−6に示す。
【0063】
(比較例4)
実施例25において、シートを粉砕する際、メジアン径が200μmになるよう粉砕して、比較用造粒物4を作製した以外は、実施例25と同様にして実験を行った。
比較用造粒物4からなる比較用水浄化剤4を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。比較例4の評価結果を表1−6に示す。
【0064】
(比較例5)
実施例25において、シートを粉砕する際、メジアン径が900μmになるよう粉砕して、比較用造粒物5を作製した以外は、実施例25と同様にして実験を行った。
比較用造粒物5からなる比較用水浄化剤5を使用して、実施例1と同様にして、水浄化剤の特性を評価した。比較例5の評価結果を表1−6に示す。
尚、比較例5は、再現性に問題があった。測定結果が得られる場合と、自動供給機フィーダーに詰まりが生じ自動供給できなくなり測定ができない場合があった。そこで、表1−6には、自動供給機フィーダーに詰まりがなく、最後まで実験でき測定に至った時に得られた結果を記載した。
【0065】
【表1-1】
【0066】
【表1-2】
【0067】
【表1-3】
【0068】
【表1-4】
【0069】
【表1-5】
【0070】
【表1-6】
【0071】
以上、実施例1から26の結果から、本発明の水浄化剤は、短時間で所望の濃度以下まで無機イオン濃度を減少させることできる、水浄化性能に優れた水浄化剤であることが確認できた。また、本発明の水浄化剤は、流動性がよく、自動供給機や定量器などにおいて、つまりを生じることのない自動化システム装置に好適に使用し得る水浄化剤である。