(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車運搬船の貨物スペース(カーホールド)などの格納空間に設置される消火装置として、高膨張泡消火装置が知られている。高膨張泡消火装置は、界面活性剤や水(清水または海水)を含む混合溶液(発泡剤)を放射ノズルから発泡ネットに向けて放出するとともに空気を供給することにより、混合溶液の体積の700倍〜1000倍に発泡した泡を発生させ、この泡で燃焼火炎を包み込み、窒息効果により消火するものである。
【0003】
高膨張泡消火装置は、ハロゲンガスやCO2ガスを用いた消火装置に比べて安全性が高く環境にも優しいことから、船舶の貨物スペース、機関室内などの火災に対する消火装置として多用されつつある。
【0004】
そして、このような高膨張泡消火装置に用いられる発泡器としては、従来、円筒状に形成された本体部(胴体)と、当該本体部の先端に設けられた円錐台状の発泡ネットと、当該本体部内に設けられ、発泡ネットに向かって発泡剤を放射する放射ノズルとを備えたものが提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発泡器にあっては、円筒状の本体部及び円錐台状の発泡ネットが、船舶の貨物スペースにおいて大きな空間を占有し、積荷の積載量を減少させてしまうという問題があった。
【0007】
それゆえ本発明は、発泡器の省スペース化により、当該発泡器が設置される空間の有効利用を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の発泡器は、所定区画に設置される高膨張泡消火装置の一部を構成する発泡器であって、
矩形筒状の側壁を有し、該側壁の軸線方向の一端が空気を供給する送風ダクトに接続可能である本体部と、
該本体部に設けられた発泡メッシュと、
該本体部の内部に設けられ、前記発泡メッシュに向けて発泡剤を放射する放射ノズルと、を備え
、
前記本体部は、前記側壁の軸線方向の他端を閉鎖する底壁を有し、
前記発泡メッシュが、前記側壁に設けた開口を覆うように設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の発泡器にあっては、前記発泡メッシュが平板状であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の発泡器にあっては、前記発泡メッシュが、前記本体部に対して、ヒンジ部を介して開閉可能に設けられていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の発泡器にあっては、
所定区画に設置される高膨張泡消火装置の一部を構成する発泡器であって、
矩形筒状の側壁を有し、該側壁の軸線方向の一端が空気を供給する送風ダクトに接続可能である本体部と、
該本体部に設けられた発泡メッシュと、
該本体部の内部に設けられ、前記発泡メッシュに向けて発泡剤を放射する放射ノズルと、を備え、
前記本体部は、前記側壁の軸線方向の他端が開放され、
前記発泡メッシュが、前記側壁に設けた開口を覆うように設けられており、
前記本体部の内部に、前記送風ダクトから供給される空気の流路を変更可能なダンパユニットが設けられていること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発泡器の省スペース化により、当該発泡器が設置される空間を有効に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る発泡器の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1発泡器を送風ダクトに取付けた様子を示す側面図であり、(b)は、従来の発泡器を送風ダクトに取付けた様子を示す側面図である。
【
図3】本発明に係る発泡器の第2実施形態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る発泡器の第3実施形態を示す斜視図である。
【
図5】(a)は、本発明に係る発泡器の第4実施形態を示す側面図であり、(b)は正面図である。
【
図6】本発明に係る発泡器の第5実施形態を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る発泡器の第6実施形態を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る発泡器の第7実施形態を示す斜視図である。
【
図9】(a)は、
図8の発泡器において発泡メッシュを折畳んだ状態を示す側面図であり、(b)は、発泡メッシュを展開した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る発泡器の一実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる発泡器1を示している。本実施形態の発泡器1は、矩形筒状(角筒状)の側壁2aを有する本体部2と、本体部2に設けられた発泡メッシュ3と、発泡メッシュ3に向かって発泡剤を放射する放射ノズル4と、を備える。なお、以下の説明において、側壁2aの中心軸線Cの延在方向(軸線方向)と平行な方向を上下方向(高さ方向)とし、本体部2の横断面(中心軸線Cに垂直な断面)が形成する長方形の長辺に平行な方向を左右方向(幅方向)、短辺に平行な方向を前後方向(奥行方向)として説明する。
【0018】
図1に示すように、本体部2は、側壁2aの上端(軸線方向の一端)が開放され、下端(軸線方向の他端)が底壁2bにより閉鎖されている。側壁2aの上端には、後述する送風ダクト6に接続するためのフランジ2cが外側に向けて突設されている。なお、本体部2の左右方向の幅W、前後方向の奥行D、上下方向の高さH等の各寸法は特に限定されるものではないが、例えば、幅Wを1000〜2000mm、奥行Dを500mm〜1000mm、高さHを1000〜3500mm程度とすることができ、幅W及び奥行Dは、送風ダクト6の幅及び奥行に対応した形状とすることが望ましい。
【0019】
本実施形態において発泡メッシュ3は、多数の孔が形成された平板状の金属製パンチングプレートであり、本体部2の前方側の側壁2a(側面)に形成された開口を覆うようにボルト接合により固定されている。なお、発泡メッシュ3は、放射ノズル4から放射された発泡剤を貫通させる多数の孔を有していれば材料や厚さは特に限定されない。また、平板状に限らず、立体的な形状に加工したものを用いることも可能である。また、発泡メッシュ3は、前方側に限らず、左右側又は後方側の側壁2aに設けてもよいし、1箇所に限らず、複数個所に設けてもよい。
【0020】
本実施形態において放射ノズル4は、本体部2の内部で発泡メッシュ3の後方に設けられ、その延在方向が発泡メッシュ3の内面に直交するよう配置されている。本実施形態では、発泡剤を供給するための外部配管Pに接続される配管フランジ4bから、本体部2の側壁2aを貫通して左右方向に延びる横方向配管4cと、横方向配管4cから上下方向にそれぞれ分岐して延びる4本の縦方向配管4dとを備え、それぞれの縦方向配管4dに対して上下に2か所ずつ放射ノズル4が設けられている。外部配管Pは、図示は省略するが消火液と水の混合溶液(発泡剤)を製造する混合溶液製造設備や、火災が発生している消火対象箇所に発泡剤を分配する分配設備(タンク、ポンプ、弁、計装等を含む)等に接続されている。なお、放射ノズル4の数や配置は、発泡メッシュ3の面積や形状に合わせて適宜変更することが可能であるが、好適には、放射口4aから放射した発泡剤が、発泡メッシュ3の内面全体にわたって均等に吹付けられるよう配置されていることが望ましい。また、配管フランジ4bの位置は、特に限定されるものではなく、流路を構成する配管の様々な位置に設定可能である。
【0021】
ここで、本実施形態の発泡器1は、高膨張泡消火装置の一部を構成するものであり、例えば、自動車運搬船における自動車の貨物スペースに設置することができる。自動車運搬船における貨物スペースは多層状に区画されており、それぞれの区画には換気用の送風手段が設けられている。
図2(a)には、区画S4を換気するための送風機5及び送風ダクト6が示されている。当該送風ダクト6の下端部に本実施形態の発泡器1を設置することで、通常時には換気用として使用している送風機5及び送風ダクト6を、火災発生時には、高膨張泡消火装置における泡発泡用空気の送風手段として利用することができる。なお、本実施形態において送風ダクト6は、発泡器1の本体部2と横断面が同一矩形状の角筒としているが、これに限定されるものではなく、横断面が円形や他の形状の筒状であってもよい。
【0022】
以下に、発泡器1の作動についてより詳細に説明する。通常時(非火災発生時)において、送風機5によって取り込まれた船外の空気は、送風ダクト6を介して発泡器1の内部を通過し、発泡メッシュ3を通して区画S4に向けて送出される。これにより、発泡器1を設けた区画S4が換気されることとなる。
【0023】
そして、区画S4にて火災が発生した場合には、各放射ノズル4の放射口4aから発泡剤を発泡メッシュ3に向けて放射し、送風ダクト6を介して供給される空気を利用して発泡メッシュ3で発生した泡を区画S4に送り出し、窒息消火させる。
【0024】
ここで、
図2(b)は、円筒状の本体部2'と円錐台形の発泡メッシュ3'を備えた従来形状の発泡器1'を比較のために示したものである。なお、発泡器1'と送風ダクト6の間には、空気の流路(風路)を変更可能なダンパユニット7が設けられており、通常時には、ダンパユニット7の側面に設けられた換気口を通して区画S3の換気を行い、火災発生時には、ダンパユニット7内で風路を切換え、発泡器1’で形成した泡を区画S4に供給する。
図2(b)に示すように、円筒状の本体部2'及び円錐台形の発泡メッシュ3'を備える発泡器1'は、
図2(a)に示す本発明の発泡器1に比べて、区画S4において大きな空間を占有しており、その分だけ区画S4に収容する貨物の積載量が減少してしまう。
【0025】
これに対して、本実施形態の発泡器1にあっては、本体部2の側壁2aを矩形筒状とし、また、平板状の発泡メッシュ3を当該側壁2aの開口に設けたことにより、
図2(b)に示す従来の発泡器1'に比べて、区画S4内における占有空間が小さくなる。すなわち、発泡器1を省スペース化したことにより、区画S4の内部空間を有効に利用することが可能となり、本例のように貨物スペースに適用した場合には、貨物の積載量を増大させることができる。特に、格納空間が多数の区画に分けられている自動車運搬船等においては、多数の発泡器1が設置されるため、それぞれの発泡器1を省スペース化することにより、船舶全体として貨物スペースの積載能力を格段に向上させることができる。
【0026】
また、本実施形態の発泡器1にあっては、本体部2の側壁2aに発泡メッシュ3を設ける構成としたことにより、本体部2の底壁2b側に発泡メッシュ3を設ける場合に比べて、発泡メッシュ3の面積を確保し易くなる。その結果、発泡メッシュ3を平坦な板状としても、所望の量の泡を発生させるために十分な面積を確保することができるので、例えば
図2(b)に示すような円錐台状等の立体的な形状の発泡メッシュ3を形成する場合に比べて、発泡メッシュ3の製造が容易となる。
【0027】
また、本実施形態の発泡器1にあっては、発泡メッシュ3の内面に対して放射ノズル4の軸線が垂直となるよう配置したことにより、発泡メッシュ3の内面に垂直に発泡剤を放射することができるので、発泡効率を高めることができる。
【0028】
また、本実施形態の発泡器1にあっては、
図2(b)に示すような風路を切換えるダンパユニット7を使用していないため、区画S4の上段の区画S3も含めたさらなる空間の有効利用が可能となる。
【0029】
さらに、本実施形態の発泡器1にあっては、通常時における換気の際にも発泡メッシュ3を介して空気を区画S4に送り出す構成としたことにより、外気に含まれる比較的大きな塵埃が区画S4内に流入し難くなり、区画S4内に収容された自動車等の貨物が当該塵埃によって傷付いたり、汚れたりする虞を低減することができる。
【0030】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上述の第1実施形態と同一または対応する構成については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0031】
図3は、本発明の第2実施形態としての発泡器20を示している。本実施形態の発泡器20は、本体部2に対して発泡メッシュ23を開閉可能に設けている。すなわち、矩形の発泡メッシュ23の一辺をヒンジ部23aとして側壁2aに接続することで、当該ヒンジ部23aを支点に回動可能な構成としている。これにより、発泡メッシュ23を開くことで、発泡メッシュ3の内面及び放射ノズル4を含めた本体部2内の点検、洗浄が容易となるため、発泡メッシュ3の目詰まりによる発泡性能の低下や換気性能の低下等を防止することができる。なお、本実施形態においても第1実施形態と同様に、発泡器20を省スペース化したことにより、所定区画内の空間を有効に利用することができるという効果を得ることができる。また、本実施形態では、発泡メッシュ3の左右の一方側の一辺をヒンジ部23aとしたが、他方側の一辺、又は上下何れかの一辺をヒンジ部とすることも可能である。
【0032】
図4は、本発明の第3実施形態としての発泡器30を示すものである。発泡器30は、第1実施形態の発泡器1を左右対称となるよう2つ並べて配置し、発泡器1の約2倍の幅を有する筒状の接続部材31に接続した構成としている。消火すべき区画S1〜S4の容積が大きい場合など、幅の大きな送風ダクト6に発泡器30を接続して用いることで、泡の発生量を増大させ、消火能力を高めることができる。本実施形態においても第1実施形態と同様に、発泡器30を省スペース化したことにより、所定区画内の空間を有効に利用することができるという効果を得ることができる。なお、本実施形態では接続部材31を介して送風ダクト6に接続する構成としたが、幅の大きな送風ダクト6に対して直接、第1実施形態の発泡器1を2つ並べて接続してもよい。
【0033】
図5(a)、(b)は、本発明の第4実施形態としての発泡器40を示すものである。発泡器40は、第3実施形態の発泡器30と同様に、第1実施形態の発泡器1を左右対称となるよう2つ並べて配置し、発泡器1の約2倍の幅を有する筒状の接続部材41に、風路を変更可能なダンパユニット42を設けたものである。ダンパユニット42は、伸縮自在のエアシリンダー42aと、当該エアシリンダー42aで駆動する開閉板42bとを備える。通常時においては、開閉板42bによって、本体部2内から発泡メッシュ3へと向かう風路を閉鎖するとともに、接続部材41の側壁に設けた換気口41aを開放して、当該換気口41aから空気を送り出す。火災発生時には、開閉板42bによって換気口41aを閉鎖するとともに、発泡メッシュ3への風路を開放して、発泡メッシュ3を介した泡の供給を行うことができる。これによれば、通常時の換気の際には送風ダクト6からの空気が発泡メッシュ3を通過しないため、発泡メッシュ3の目詰まりや汚れの発生を抑制することができる。なお、本実施形態においても第1実施形態と同様に、発泡器40を省スペース化したことにより、所定区画内の空間を有効に利用することができるという効果を得ることができる。
【0034】
図6(a)、(b)は、本発明の第5実施形態としての発泡器50を示すものである。発泡器50は、本体部2の下端が開放されており、通常時の換気の際には、当該下端開口2dを介して、送風ダクト6からの空気を送出する構成としている。また、本体部2の内部には、風路を切換えるダンパユニットとしての開閉板51が設けられている。開閉板51は、発泡メッシュ3と同様の面積を有する矩形板状の部材であり、下方側の一辺をヒンジ部51aとして、側壁2aの内面にヒンジ部51aを支点に回動可能に接続されている。なお、開閉板51の駆動機構は特に限定されるものではないが、例えばエアシリンダー(図示省略)等により駆動する構成とすることができる。開閉板51は、通常時には
図6(a)に示すように発泡メッシュ3の内面に隣接して配置され発泡メッシュ3への風路を塞ぐ。この状態では、送風ダクト6からの空気は本体部2内を通過して下端開口2dから送出される。また、火災発生時には、
図6(b)に示すようにヒンジ部51aを支点として後方側に回動する構成としており、
図6(b)に示す状態では、下端開口2dへの風路が閉鎖され、発泡メッシュ3へ向けて空気が流れることとなる。放射ノズル4は、本体部2内で、開閉板51の動作を妨げないよう配置されている。すなわち、
図6(a)、(b)に示すように、左右方向に延びる横方向配管4cが本体部2の上部側に配置され、横方向配管4cから分岐して延びる2本の縦方向配管4dが、左右の側壁2aに沿うように隣接配置されている。本実施形態の発泡器50にあっては、本体部2の内部に開閉板51を設けて風路を変更する構成としたことにより、
図2(b)に示すように本体部2の外部にダンパユニット7を設ける場合に比べて所定区画内の空間を有効に利用することができる。また、通常時の換気の際には送風ダクト6からの空気が発泡メッシュ3を通過しないため、発泡メッシュ3の目詰まりや汚れの発生を抑制することができる。なお、本実施形態においても第1実施形態と同様に、発泡器50を省スペース化したことにより、所定区画内の空間を有効に利用することができるという効果を得ることができる。なお、上記第3実施形態のように、発泡器50を左右対称となるよう2つ並べて配置し、発泡器50の約2倍の幅を有する筒状の接続部材に接続した構成とすることも可能である。
【0035】
図7は、本発明の第6実施形態としての発泡器60を示すものである。発泡器60は、本体部2の下端開口2dに発泡メッシュ63を設けている。
図7に示すように、発泡メッシュ63は、矩形の下端開口2dに接合される矩形の基部から、下方に向けて先細りとなり、先端部が湾曲した立体形状に形成されたものであるが、特に限定されるものではない。放射ノズル4は、本体部2の内部で、発泡メッシュ63の上方に設けられている。本実施形態においても第1実施形態と同様に、発泡器60を省スペース化したことにより、所定区画内の空間を有効に利用することができるという効果を得ることができる。なお、発泡メッシュ63は、本体部2に固定する構成としてもよいし、破線で示すように開閉可能な構成としてもよく、これによれば、第2実施形態と同様に、発泡メッシュ63を開いての本体部2内の点検、洗浄が容易となるため、発泡メッシュ3の目詰まりによる発泡性能の低下や換気性能の低下等を防止することができる。また、上記第3実施形態のように、発泡器60を左右対称となるよう2つ並べて配置し、発泡器60の約2倍の幅を有する筒状の接続部材に接続した構成とすることも可能であり、さらに、上記第4実施形態のような、風路を切換えるダンパユニットを発泡メッシュ63と送風ダクト6の間に設けて、通常時と火災発生時で風路を切換える構成としてもよい。
【0036】
図8は、本発明の第7実施形態としての発泡器70を示すものである。発泡器70は、本体部2の内部に設けられた折畳み式の発泡メッシュ73を備える。発泡メッシュ73は、パンチングプレート等で構成される矩形平板状の2枚のメッシュ部材73aを対向配置し、メッシュ部材73aの下方側の一辺をヒンジ部73bとして相互に回動可能に接続したものである。通常時においては、
図9(a)に示すように発泡メッシュ73は折畳まれて後方側の側壁2aに沿って配置されており、火災発生時には、エアシリンダー71等を利用して
図9(b)に示すように発泡メッシュ73を展開し、放射ノズル4から発泡剤を放射することで、発泡メッシュ3で形成した泡を送風ダクト6からの空気を利用して下端開口2dを介して供給することができる。本実施形態の発泡器70にあっては、通常時の換気の際には送風ダクト6からの空気が発泡メッシュ3を通過しないため、発泡メッシュ3の目詰まりや汚れの発生を抑制することができる。なお、本実施形態においても第1実施形態と同様に、発泡器70を省スペース化したことにより、所定区画内の空間を有効に利用することができるという効果を得ることができ、風路を切換えるダンパユニットも不要である。また、上記第3実施形態のように、発泡器70を左右対称となるよう2つ並べて配置し、発泡器70の約2倍の幅を有する筒状の接続部材に接続した構成とすることも可能である。
【0037】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、第1実施形態における発泡メッシュ3と、送風ダクト6との間に換気口を有するダンパユニットを設けて、通常時と火災発生時で風路を切換え可能な構成としても良い。また、本発明の発泡器は、自動車運搬船に限らず、例えばフェリー等その他の車両積載区域およびロールオン・ロールオフ区域を有する船舶、コンテナ運搬船およびオフショア浮体式構造物等に用いることも可能であり、また、貨物スペースに限らず、例えば機関室等に用いることも可能である。