(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
錠剤シートを搬送する方向に連続している錠剤収容部の列および当該方向とは垂直な方向に連続している錠剤収容部の列とをそれぞれ複数列有する錠剤シートに封入されている錠剤を供給する錠剤供給装置であって、
前記複数列の前記錠剤シートを搬送する方向に連続している錠剤収容部の列から1錠ずつの錠剤取出を順次行う第1の取出手段と、
前記複数列の前記垂直な方向に連続している錠剤収容部の列から1錠ずつの錠剤取出を順次行う第2の取出手段と、
前記複数列の錠剤収容部を有する錠剤シートからの1錠ずつの錠剤の取り出しを、前記第1の取出手段で行うか、あるいは前記第2の取出手段で行うかをユーザが選択可能な画面を表示する画面表示手段と、
を備えることを特徴とする錠剤供給装置。
前記画面表示手段は、複数枚の前記錠剤シートが前記錠剤供給装置に投入され、1枚ずつ前記錠剤シートが搬送されて錠剤が取り出される場合に、1錠ずつの錠剤の取り出しを行う最終の錠剤シートの錠剤取出を、前記第1の取出手段で行うか、あるいは前記第2の取出手段で行うかをユーザが選択可能な前記画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の錠剤供給装置。
前記残数判定手段によって、前記残数が前記錠剤封入数の半分以下であると判定された場合に前記第1の取出手段が1錠ずつの錠剤取出を順次行うことを特徴とする請求項7に記載の錠剤供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の錠剤供給システムの一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、錠剤供給装置10と、錠剤供給装置10から供給された錠剤を包装する包装装置5を含む錠剤供給システム(分包システム)を示す図である。
【0015】
図1において、錠剤取出ユニット1は、錠剤シートから錠剤を取り出すユニットである。錠剤シートは、一般的にPTPシートと呼ばれており、錠剤シートのことをPTPシートとも言う。
【0016】
錠剤供給装置10には複数の錠剤取出ユニット1が収納されている。錠剤取出ユニット1は、本発明の錠剤取出し装置の適用例である。錠剤取出ユニット1は、幅方向(左右方向)に6つ並べられ、この6つの錠剤取出ユニット1からなる組が上下に3段に配置されている。すなわち、錠剤取出ユニット1は、左右6列、上下3段に配列されている。なお、本実施形態では、錠剤供給装置10は複数の錠剤取出ユニット1を備えているが、錠剤取出ユニット1の数は1つでもよい。
【0017】
包装装置5は、錠剤供給装置10の錠剤取出ユニット1から供給された錠剤を包装する装置である。散薬投入部103には、分包される散薬が投入される。散薬投入部103に投入された散薬は、投薬1回分に分けて、分けられた1回分の散薬が後述するメインホッパー505に入れられ、1回分ずつに分包される。
【0018】
錠剤供給装置10は、1つまたは複数の錠剤取出ユニット1の他に、錠剤取出ユニット1で取り出された錠剤を供給する錠剤供給ユニット400を備えている。錠剤供給装置10は、錠剤取出ユニット1により錠剤シート(PTPシート)から錠剤を取り出して、錠剤供給ユニット400の供給経路を経て、包装装置5に供給する。
【0019】
図2は、錠剤供給装置10を正面側から見て拡大して示した図である。
図2において、投入口203は、錠剤シートを錠剤取出ユニット1に投入する部分である。また、LCD操作パネル104は、処方データの入力、処理の選択を促す画面を表示する。
【0020】
図3は、錠剤取出ユニット1の内部構造を示す斜視図である。なお、
図3は、錠剤取出ユニット1が、2つ並んでいる状態を示している。
【0021】
それぞれの錠剤取出ユニット1は、錠剤シート51を搬送する搬送機構と、搬送機構により搬送された錠剤シート51が載置される載置台と、載置台上の錠剤シート51の錠剤収容部を押圧して錠剤を取り出す押出し機構とを有している。
【0022】
錠剤シート51は、錠剤を収容する錠剤収容部を有するシート本体の下面に、アルミニウム等からなる金属箔などを用いた封止シートを設けることによって錠剤が錠剤収容部に密封されたものである。錠剤シート51は、シート部上に凸状の錠剤収容部が幅方向に間隔をおいて2列に並んだ形態である。各列をなす複数の錠剤収容部は錠剤シート51の長さ方向に沿って並んでいる。
【0023】
なお、本実施形態では、シート部上に錠剤収容部が2列に並んだ形態の錠剤シートを扱う錠剤供給装置について説明している。しかし、錠剤シート51としては、シート部上に錠剤収容部が2列に並んだ形態のものに限らず、錠剤収容部が錠剤シート51の長さ方向に1列に並んだ形態や、錠剤収容部が幅方向に間隔をおいて3列以上の複数列有して並んだ(複数列連続的に有する)形態も可能であり、本発明はこのような形態の錠剤シートの場合でも適用可能である。
【0024】
図4は、錠剤取出ユニット1の内部構造を示す断面図であり、錠剤シートの投入口203に錠剤シートをセットし、錠剤シートを除包位置(錠剤の取出位置)まで搬送した状態を示す図である。
【0025】
錠剤取出ユニット1は、錠剤シートを搬送する錠剤シート搬送機構と、錠剤シートが載置される載置台18と、錠剤シートから錠剤を取り出す錠剤取出機構(押出し機構)とを備えている。
【0026】
錠剤シート搬送機構は、錠剤シート51を進行方向に向け搬送するものであって、進行方向に互いに間隔をおいて設けられた下部ローラ39と、進行方向に互いに間隔をおいて設けられた上部ローラとを備えている。
【0027】
下部ローラ39は、駆動源により回転駆動可能であり、錠剤シート51の下面に当接して錠剤シート51に進行方法への力を加えることができる。上部ローラは、駆動源により回転駆動可能であり、錠剤シート51のシート部の上面に当接して錠剤シート51に進行方向への力を加えることができる。上部ローラの幅方向の配置位置は、2列の錠剤収容部の間に相当する位置であるため、上部ローラは錠剤収容部52に当接することはない。
【0028】
このような構成により、下部ローラ39と上部ローラは、錠剤シート51のシート部を上下から挟み込んで錠剤シート51を進行方向に搬送できる。また、下部ローラ39と上部ローラは逆回転することにより、錠剤シート51を進行方向とは逆の方向にも搬送できる。
【0029】
導入シュート24は、載置台の下側に設けられており、錠剤シート51から取り出された錠剤を、後述する錠剤導入路401(
図5参照)に導くものである。すなわち、導入シュート24は、載置台の下側に排出口を有しており、錠剤シート51から取り出された錠剤はその排出口を通り、後述する錠剤導入路401に落ちていく。なお、この導入シュート24は、錠剤取出しホッパーとも言う。
【0030】
押出し機構(錠剤取出機構)は、錠剤収容部の中央付近を押圧する内側押圧体83と、中央付近よりも外側の部分を押圧する外側押圧体84とを備えている。内側押圧体83と外側押圧体84とが独立して動作することで錠剤シートの錠剤収容部を押圧して、錠剤シートから錠剤を取り出す。
【0031】
押出し機構は、内側押圧体83よりも先に外側押圧体84により錠剤収容部を押圧させる。内側押圧体83の先端は、ほとんどの錠剤シート51の錠剤収容部よりも面積が狭いので、内側押圧体83は錠剤を取り出す場合(下降した場合)に、錠剤シートに開いた穴から先端が突き出る。
【0032】
外側押圧体84の先端は、ほとんどの錠剤シート51の錠剤収容部よりも面積が広いので、錠剤を取り出す場合(下降した場合)に、錠剤シート51に開いた穴から先端が突き出ない。つまり、錠剤シート51の錠剤収容部を押し潰すためのものである。
【0033】
錠剤取出機構(押出し機構)は、外側押圧体84を昇降させる第1昇降機構と、内側押圧体83を昇降させる第2昇降機構とを有する。
【0034】
第1昇降機構は、外側押圧体84が取り付けられた第1昇降体93と、回転駆動して第1昇降体93を昇降させるカム94と、第1昇降体93を上昇方向に付勢する付勢部材(ばね)とを備えている。
【0035】
第1昇降体93は、前後方向にわたって延在する柱状体であり、前端部に外側押圧体84が取り付けられている。カム94は、外側押圧体84の昇降動作を考慮して設計された形状の板状体であり、駆動機構によって回転駆動する軸部に固定されている。
【0036】
カム94は、第1昇降体93の上面側に設けられ、軸部の回転に伴って回転駆動され、第1昇降体93を押圧することによって外側押圧体84の高さ位置を調整する(外側押圧体84の昇降動作を行う)ことができる。第1昇降機構は、カムの回転動作のタイミング、カムの形状、軸部に対するカムの固定位置などの設定によって、外側押圧体84の昇降動作のタイミングや変位量を任意に設定できる。
【0037】
第2昇降機構は、内側押圧体83が取り付けられた第2昇降体98と、回転駆動して第2昇降体98を昇降させるカム99と、第2昇降体98を上昇方向に付勢する付勢部材(ばね)とを備えている。
【0038】
第2昇降体98は、前後方向にわたって延在する柱状体であり、前端部に内側押圧体83が取り付けられている。カム99は、第2昇降体98の上面側に設けられ、軸部の回転に伴って回転駆動され、第2昇降体98を押圧して内側押圧体83の高さ位置を調整する(内側押圧体83の昇降動作を行う)ことができる。第2昇降機構は、カム99の回転動作のタイミング、カムの形状、軸部に対するカムの固定位置などの設定によって、内側押圧体83の昇降動作のタイミングや変位量を任意に設定できる。
【0039】
このため、カム94とカム99は、それぞれ第1昇降体と第2昇降体に対して互いに独立に動作可能であり、内側押圧体83と外側押圧体84は、互いに独立に昇降動作させることができる。
【0040】
錠剤取出機構における2つのカムの回転動作のタイミング等は、錠剤位置検出機構の検出部からの信号に基づいて定めることができる。具体的には、検出された錠剤収容部の位置に合わせて内側押圧体83と外側押圧体84を動作させることができる。
【0041】
錠剤取出ユニット1は、錠剤シートの錠剤収容部の押圧をする前に、押圧される錠剤収容部の長さと位置を検出する検出機構17をさらに有している。錠剤供給装置は、検出機構17により検出された錠剤収容部の長さに基づいて後述する所定の距離を算出する。
【0042】
また、錠剤供給装置10は、検出機構17により検知された錠剤シートの錠剤収容部の位置に基づいて、押圧される位置までの搬送距離を算出する。搬送機構(下部ローラ39、上部ローラ)は、この算出された搬送距離により載置台18上の錠剤収容部が押圧される位置まで錠剤シートを搬送する。
【0043】
なお、押出し機構は、後述する錠剤が取り出されたか否かを検知する検知機構により錠剤が取り出されたことが検知されない場合には、錠剤収容部の押圧を継続(リトライ)する。このとき、搬送機構は、錠剤収容部の押圧を継続する前に載置台18上の押圧される位置から、前述した錠剤収容部の長さに基づいて算出された所定の距離だけ錠剤シート51を前方または後方に搬送し、押出し機構が、錠剤収容部の押圧を継続(リトライ)する。
【0044】
ここで、錠剤取出ユニット1は、押出し機構により載置台18上の錠剤シート51の錠剤収容部を押圧する速度を変更させる変更機構をさらに有している。そして、押出し機構は、より高速に変更された速度で錠剤収容部の押圧を継続(リトライ)する。
【0045】
図5は、錠剤供給装置10の内部構造を示す、錠剤供給装置を背面側(裏側)から見た斜視図である。
【0046】
錠剤供給装置10は、押圧により錠剤収容部から錠剤が取り出されたか否かを判定するべく、取り出された錠剤を検知する検知機構(光学センサ204)を有している。
【0047】
具体的には、光学センサ(ビームセンサ)204は、落下物を検知するセンサである。除包された錠剤が導入シュート24内を落下する際、除包された錠剤がビームセンサ上を通過し、ビームセンサを遮光する。このビームセンサが遮光された状態をON状態とし、遮光されていない状態をOFF状態とする。このON/OFF状態を検出して落下物の有無の判定を行う。錠剤落下検出機構は、光学センサ204と落下錠剤カウンタとを備えて構成されている。
【0048】
押出し機構は、光学センサ204により、取り出された錠剤が検知されない場合には、前述したように錠剤収容部の押圧を継続(リトライ)し、取り出された錠剤が検知された場合には錠剤収容部の押圧を継続(リトライ)しない。
【0049】
錠剤導入路401は、導入シュート24と導通しており、錠剤シートから取り出され落下した錠剤を導入シュート24から第1集積ホッパー402(
図6参照)に中継する。
【0050】
図6は、錠剤供給ユニット400の内部構造を示す斜視図である。
【0051】
第1集積ホッパー402は、錠剤取出ユニット1により、錠剤シートから取り出された錠剤が導入シュート24を落下して通り、そして、導入シュート24から錠剤導入路401を通り、該錠剤が集積される部分である。すなわち、錠剤導入路401は、第1集積ホッパー402と直接、連通している。
【0052】
第2集積ホッパー501は、第1集積ホッパー402で集積された錠剤をさらに集積する。すなわち、第2集積ホッパー501は、第1集積ホッパー402と連通している。そのため、第1集積ホッパー402に落ちてきた錠剤50は、第2集積ホッパー501に落ちて集積される。
【0053】
第1の送り出し機構502は、第2集積ホッパー501に集積された錠剤50を第3集積ホッパー503に移動させる。第3集積ホッパー503は、第1の送り出し機構502により送り出(移動)された錠剤を集積する。
【0054】
第2の送り出し機構504は、第3集積ホッパー503に集積された錠剤をメインホッパー505に移動させる。メインホッパー505は、第2の送り出し機構504により送り出(移動)された錠剤(1回分)を集積し、包装シート(分包紙)の中に集積した錠剤を投入する。
【0055】
ここで、第1集積ホッパー402は、本発明の第1の供給部の適用例であり、第2集積ホッパー501、第3集積ホッパー503は、本発明の供給部の適用例である。また、各供給部は、錠剤取出し装置から、重力方向に向けて配置されている。
【0056】
図7は、包装ユニット701の内部構造を示す図であり、
図8は、
図7に示す包装ユニット701の内部構造の一部(703,704,705)を拡大した図である。
図7、
図8に示される包装ユニットにより、投薬1回分の錠剤が分包される。
【0057】
図7、
図8において、包装ユニット701は、包装装置5内のユニットである。ロール紙送出機構702は、包装シートが連なるロール紙(分包紙がロール状になっている紙)を包装機構に送り出す。
【0058】
包装機構703,704は、メインホッパー505内に集積された錠剤(1回分の錠剤803)を包装シートの中に投入し、この包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された錠剤を、包装シートの中に封入する。すなわち、包装機構703,704で、包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された錠剤を、包装シートの中に封入する。
【0059】
分断機構705は、連なるロール紙を1包毎の包装シート(1つの包み802)に分断するための分断用ミシン目801を形成する。プリンタ706は、包装シートに、日付、患者データ、エラー情報を印字する(印字機構)。
【0060】
図9は、錠剤取出ユニット1の内部構造を示す斜視図である。
図9において、カバー901は、錠剤シートの投入口203のカバーである。カバー901を開けることにより、錠剤シート51を投入口203に入れることが出来るようになる。
【0061】
図10は、錠剤供給装置10を正面から見た図である。
図10において、錠剤取出ユニット1により錠剤シートから取り出された錠剤は、導入シュート24を通り、そして、錠剤導入路401を通り、第1集積ホッパー402に落ちていく。
【0062】
図11は、錠剤供給装置10を横(正面から見て右側)から見た図である。
【0063】
図10でも説明したが、錠剤取出ユニット1により錠剤シートから取り出された錠剤は、導入シュート24、錠剤導入路401を通り、第1集積ホッパー402内に落ちてくる。そして、第1集積ホッパー402を通った錠剤は、第2集積ホッパー501を通り、第1の送り出し機構502に送られる。第1の送り出し機構は、第1の中継ユニットである。そして、第1の送り出し機構502は、錠剤を第3集積ホッパー503に送り、第3集積ホッパー503は、第2の送り出し機構504に錠剤を送る。第2の送り出し機構504は、第2の中継ユニットである。第2の送り出し機構504は、第2の送り出し機構504に送られた錠剤を、メインホッパー505に送る。
【0064】
図12は、
図10に示した錠剤供給装置10の一部を抜粋した図である。すなわち、
図10に示す錠剤取出ユニット1を2段分削除した図が、
図12である。
【0065】
図12に示す点線の矢印1201は、錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤の移動経路を示している。また、第1集積ホッパー402の左側の導管、及び真ん中の導管の幅は、直径が78mmである。
【0066】
図13は、錠剤供給装置10の内部を横(正面から見て右側)から見た図である。
図13に示す点線の矢印1201は、錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤の移動経路を示している。
【0067】
最上段の錠剤取出ユニット1の導入シュート24の出口から、第1の傾斜部1401までの距離は、約460mmであり、中段の錠剤取出ユニット1の導入シュート24の出口から、第1の傾斜部1401までの距離は、約265mmである。また、第1集積ホッパー402の長さは、約362mmである。すなわち、最下段の錠剤取出ユニット1の導入シュート24の出口から、第2集積ホッパー501までの距離は、約362mmである。
【0068】
各段の錠剤取出ユニット1で、錠剤シートから錠剤が取り出されると、錠剤は、導入シュート24を通り、導入シュート24の出口から、錠剤導入路401を通り、そして、第1集積ホッパー402に入り、第2集積ホッパー501に集積される。この時、錠剤供給装置10全体の分包時間を短縮させることを考慮すると、導入シュート24(錠剤取り出しホッパー)の出口から、まっすぐ下に垂直落下させ、第2集積ホッパー501下部に収めることが考えられる。
【0069】
しかしながら、最上段の錠剤取出ユニット1で取り出された錠剤を、導入シュート24(錠剤取り出しホッパー)の出口から、第2集積ホッパー下部まで、まっすぐ下に垂直落下させると、約876mmもあるため、錠剤が割れたり、欠けたりして破損してしまう可能性が高くなる。また、錠剤シートから取り出される薬が、カプセルの場合は凹んだりして変形をしてしまう可能性が高くなる。
【0070】
このように、本実施形態の錠剤供給装置10は、錠剤取出ユニット1を複数積み上げて使用できるようになっているため、特に最上段の錠剤取出ユニット1から錠剤が落下する場合には、導入シュート24(錠剤取り出しホッパー)の出口から第2集積ホッパーまでの距離が非常に長くなる。そして、錠剤シートから取り出される錠剤、又はカプセルが、破損してしまう可能性が高くなってしまう。
【0071】
そこで、第1集積ホッパー402の上部に、分包時間を余りロスしない程度に錠剤をバウンドさせる第1の傾斜部1401を設ける。すなわち、第1集積ホッパー402の上部の一部をオフセットさせる。本実施形態では、重力方向から約32°の傾斜を有する第1の傾斜部1401としている。
【0072】
また、第2集積ホッパー501においても、第1集積ホッパー402から第2集積ホッパー501の下部にダイレクトに錠剤が到達しないように、第2集積ホッパー501にも分包時間を余りロスしない程度に錠剤をバウンドさせる第2の傾斜部1402を設けている。本実施形態においては、第2の傾斜部1402は、水平方向より約40°の傾斜としている。
【0073】
ここで、本実施形態では、第1の傾斜部1401、第2の傾斜部1402の角度を、それぞれ約32°、約40°としているが、これは一例であり、落下してくる錠剤がバウンドして(落下スピードを落として)、その後の経路に移動可能な角度(次の供給部に落下により供給可能な角度の傾斜)であれば、どのような角度であってもよい。
【0074】
このように、第1集積ホッパー402に、第1の傾斜部1401を備え、第2集積ホッパー501に第2の傾斜部1402を備えることにより、錠剤取出ユニット1の導入シュート24(錠剤取り出しホッパー)出口から、第2集積ホッパー501の下部までダイレクトに錠剤を落下させず、錠剤の落下向きを変えつつ錠剤が破損、変形しない程度のクッションを与えることができる。その結果、落下してくる錠剤が第2集積ホッパー501の下部に到達した時の衝撃を和らげることができ、錠剤が破損、変形する可能性を低減させることが出来るようになる。
【0075】
なお、第1の傾斜部1401、第2の傾斜部1402に、ゴムなどの衝撃を吸収する材料(衝撃吸収材)を更に設けることにより、錠剤の衝撃をさらに抑えることも可能である。
【0076】
図14は縦方向(シートの搬送方向)に切断された錠剤シートの斜視図である。
【0077】
調剤薬局によっては、錠剤の在庫管理時や、処方時に錠剤を容易に数えられるようにするため、錠剤シートの内いくつか錠剤を使ったシートを、縦(錠剤シート長手方向)に切断して在庫するところがある。
図14ではシートに8錠残っている錠剤シートを縦に錠剤収容部の列が1列になるように切断して、5錠と3錠に分けている。
【0078】
図15は切断されていない錠剤シートと切断された錠剤シートの斜視図である。
【0079】
縦に錠剤シートを切断して在庫管理をすると、錠剤数は、
図15のように10錠X10枚+5錠X3枚+3錠X1枚=118錠、と在庫を数え易い。また、錠剤シートの錠剤を一包化しないで処方する場合にも、迅速に数え易く、短時間で患者に薬を処方し提供することが出来る。
【0080】
次に、
図16は、錠剤取出ユニット1で錠剤シート51から錠剤の取出しを順次行う順序を説明する図である。
【0081】
錠剤取出ユニット1で錠剤を取り出す順番は、基本的に、錠剤シート51の前から1列目左側ポケット→1列目右側ポケット→2列目左→2列目右→,…,→5列目右である。この順序で錠剤を取り出す場合、シートに5錠を残す場合は、
図16のような状態で5錠が残る。しかし、錠剤シート51を縦に切断し錠剤収容列を縦に1列にして在庫する薬局においては、このような錠剤50の残し方は好ましくない。なぜなら、このような在庫シートを縦に切断すると、2錠と3錠のシートが出来るだけで、前述のように数え易いシートにはならないからである。
【0082】
従って、錠剤シート51を縦に切断し錠剤収容列を縦に1列にして在庫する薬局においては、
図17のように錠剤シートの前から1列目左→2列目左→,…,→5列目左→1列目右→2列名右,…,→5列目右の順序で錠剤50を取り出す方が望ましい。そして、5錠を残す場合は、シートの左側の5錠を取り出して、終了することが望ましい。
【0083】
図18は錠剤シート51と内側押圧体83との位置を示す模式図である。
【0084】
錠剤を取り出す順序が
図16のように、1列目左→1列目右→2列目左→2列目右→,…,→5列目右になっているのは、次の理由である。
【0085】
錠剤取出ユニット1の錠剤取出部(内側押圧体83、外側押圧体84)は、錠剤取出ユニット1個につき、2個備えられているので、1列目左側の錠剤を取り出してから、1列目右側の錠剤50を取り出す時は、錠剤シート51を搬送しなくて良い。1列目右側の錠剤50を取り出してから、2列目左側の錠剤50を取り出す時に、錠剤シート51を搬送する。同様に2列目左側の錠剤50を取り出してから、2列目右側の錠剤50を取り出す時は、錠剤シート51を搬送しなくて良い。よって1シートの錠剤10個を全て取り出す時は、1列目左側の錠剤を取り出してから、5列目右側の錠剤を取り出すまでに、錠剤シートを4回搬送するだけで良い。
【0086】
これが、錠剤を取り出す順序が1列目左→2列目左→,…,→5列目左→1列目右→2列目右,…,→5列目右であると、1列目左側の錠剤50を取り出してから5列目左側の錠剤を取り出すまでに、錠剤シート51を4回搬送し、5列目の錠剤位置から錠剤列4列分を後退搬送させ1列目右を錠剤取出位置に戻さなくてはならない。そしてさらに、1列目右側の錠剤50を取り出してから5列目右側の錠剤を取り出すまでに、錠剤シートを4回搬送しなくてはならず、搬送時間が余分にかかってしまう。100錠取り出す場合は、10錠入りのシート10枚のそれぞれについて搬送時間が増えるので、余分に費やす時間が増大してしまう。
【0087】
そこで、投入されているシートのうち、錠剤を取り出すべき最終シートか否かを判断し、その後、取り出すべき最終シートに収容されている錠剤数と、錠剤取出し装置がこれから取り出すべき錠剤数を考慮して、錠剤取出順序を錠剤シート51の搬送方向に向かって取出す(縦列方向に錠剤を取り出す)よう処理を変更する。つまり、錠剤取出ユニット1の錠剤投入口にセットされた錠剤シート51のうち、最後に錠剤が取り出されるシート(最上部にセットされるシート)のみ、錠剤を取り出す順序を変更する。
【0088】
例えば、10錠入りシートを5枚錠剤取出ユニットの錠剤投入口にセットし、45錠をシートから取り出して分包する場合、セットされたシートのうち、1〜4枚目は、錠剤取出順序を1列目左→1列目右→2列目左→2列目右→,…,→5列目右の順序で取り出す。最後のシートの錠剤取出順序は1列目左→2列目左→,…,→5列目左とし、右列5錠を残す。
【0089】
このように取り出そうとする錠剤数が錠剤シートの錠剤封入数以下となる最終のシートのみ、錠剤シートから錠剤を取り出す順序を変えることにより、錠剤シートを縦に切断し錠剤収容列を縦1列にして在庫する薬局において望ましい、錠剤シートへの錠剤の残し方を提供することが出来る。そして、取出順序を変えても、取り出しのための搬送時間の増大は最少に抑えられる。
【0090】
図19は
図16のように1錠ずつ横に除包する場合の錠剤取り出し動作を示す制御フローチャートである。複数枚の錠剤シート51が重なって投入口203に投入された場合、1枚ずつ錠剤シート51が搬送されて錠剤50が取り出される。
【0091】
ここで
図19のS701〜S712の処理は、
図16に示すように左列ポケット(1錠)と右列ポケット(1錠)を交互に1錠ずつ順次除包する例であり、例えば10錠入りのシートで、除包すべき残りの数が11錠以上の時であり、10錠のシートは全ての錠剤ポケットが除包されてから、空の錠剤シートが錠剤シートの回収部に排出される。
【0092】
ここでは、全ての錠剤ポケットから除包するので錠剤シートを搬送する方向に対して垂直な方向に連続している錠剤ポケットの列から1錠ずつの錠剤取出を順次行う(第2の取出手段)。
【0093】
この時1枚の錠剤シート51から全ての錠剤50が取り出される設定条件(例えば3枚の10錠シートから合計30錠の取り出し)では、
図16に示した順序で1錠ずつ取り出した方が、シート搬送機構に無駄な動きがなく、早く錠剤取り出しを完了できる。一方、錠剤シート51に端数の錠剤が残る場合には、錠剤の在庫の管理を考慮して、後述するように錠剤の取り出しを縦方向に行う。
【0094】
ここで、本実施形態の錠剤供給システムの制御系における記憶部(錠剤数記憶部)は、
図21に示すような、それぞれの錠剤取出ユニット1についての錠剤数のデータベースを記憶している。本実施形態の錠剤供給システムでは、調剤する患者一人当たりに必要な錠剤シートを錠剤供給ユニット1に供給する。そのため、例えば
図21の例では、A、Bという記号で錠剤の種類を表した場合、ある患者にAという錠剤を25錠、Bという錠剤を25錠処方する場合を示している。
【0095】
この場合、1シートあたりAという錠剤が10錠収容された錠剤シート51が第1の錠剤供給ユニットに複数枚セットされ、1シートあたりBという錠剤が10錠収容された錠剤シートが第2の錠剤供給ユニットに複数枚セットされる。
【0096】
そして、錠剤数のデータベースには、第1及び第2の錠剤供給ユニットにセットされた錠剤シート1枚当たりの錠剤数(本例の場合は10錠)と1列当たりの錠剤数(本例の場合は2錠)、と錠剤シート51から取り出すべき錠剤の総数(本例の場合は25錠)が記憶されている。また、制御部は錠剤の取り出しが行われるにつれて減少していく、これから取り出すべき錠剤の数をリアルタイムに検出している。制御部は同時にこの残りの取り出すべき錠剤数から現在錠剤を取り出している錠剤シートが最終の錠剤シートか否かを判定する。
【0097】
ここで上記の錠剤取出順序について、
図19のフローチャートを用いてさらに詳しく説明する。
【0098】
S701では、
図21のような値が記憶されているデータベースから錠剤シートの1シート当たりに封入されている錠剤の数を読み出す。
【0099】
S702では、
図21のような値が記憶されているデータベースから最新の取り出し残り数、すなわち、あと何錠の錠剤を取り出さなければならないかという数を読み出す。
【0100】
S703では、錠剤を取り出すべき最終シートか否かを判定する。
【0101】
具体的には、
図21を参照して既に説明したように、(a)最新の取り出し残り数、(b)処方設定データにて設定されたシート当たりの錠剤数、が分かれば、制御部は最終シートか否かを判定することができる。
【0102】
なお、最新の取り出し残り数の代わりに、所定数(錠剤取出しユニット1が除包処理開始から終了までに取り出すべき錠剤全数や最新の錠剤取出し処理開始から現在までの取出しに成功した取り出し済数等)を用いても、最終シートか否かを判定できる。所定数とシート上の錠剤数から、除算により錠剤を取出すべきシートの枚数が決定され、取出しに成功した錠剤数から、錠剤の取出しに成功した錠剤は何枚目に格納されているかがわかる。ここで取出すべきシート枚数と現在除包動作を行うシート枚数が等しい場合、最終シートと判断する。
【0103】
フローチャートの説明に戻り、S703で、現在の錠剤シートが最終シートと判断された場合は、S713(
図22の画面)に進み、最終シートではないと判断された場合は、S704に進む。
【0104】
S704では、錠剤取出しユニット1が、錠剤シート51を
図16に示す錠剤ポケットの間隔の1列分だけ搬送する。
【0105】
S705では、錠剤取出しユニット1が左側ポケットの除包動作を行う。
【0106】
S706では、錠剤供給装置は、S705の動作の結果、1個の錠剤を光学センサ204が検知(取り出し成功)出来たか否かを判断する。検知が成功した場合はS707に進み、検知失敗の場合はS705に戻ってリトライする。
【0107】
S707では、所定の時間内に錠剤ポケットから錠剤の取り出しが成功したと判断し、錠剤取出しユニット1で取り出された錠剤数の合計、1枚のシートから取出した錠剤数を管理するそれぞれのカウント値を1個分インクリメントし、1包に必要な残り錠剤数を管理するカウント値を1個分デクリメント(減算)する。
【0108】
S708では、光学センサ204が検知した1つの錠剤取出しユニット毎の合計の錠剤数のカウント最新データ(
図21)を記憶部で管理し、錠剤供給装置の制御部は、カウントデータを所定数(錠剤取出しユニット1が除包処理開始から終了までに取り出すべき錠剤数(
図21参照))と比較することで、除包動作が完了した(残数が0個)か否かを判断する。完了したと判断した場合には除包処理を終了し、錠剤シートを排出ユニットに排出する。除包動作が完了していない場合には、S709に進む。
【0109】
S709では、錠剤シートを1列分送らずに錠剤取出しユニット1が右側ポケットの除包動作(通常時)を行う。
【0110】
S710では、錠剤供給装置は、S709の動作により1個の錠剤が取り出され、1個の錠剤を光学センサ204が検知(取り出し成功)出来たか否かを判断する。検知が成功した場合はS711に進み、検知失敗の場合はS709に戻ってリトライする。
【0111】
S711では、所定の時間内に錠剤ポケットから錠剤の取り出しが成功したと判断し、錠剤取出しユニット1において取り出された錠剤数の合計、1枚のシートから取出した錠剤数を管理するそれぞれのカウント値を1個分インクリメントし、1包に必要な残り錠剤数を管理するカウント値を1個分デクリメント(減算)する。
【0112】
S712では、光学センサ204が検知した1つの錠剤取出しユニット毎の合計の錠剤数のカウント最新データ(
図21)を記憶部で管理し、錠剤供給装置の制御部は、カウントデータを所定数(錠剤取出しユニット1が除包処理開始から終了までに取り出すべき錠剤数(
図21参照))と比較することで、除包動作が完了した(残数が0個)か否かを判断する。完了したと判断した場合には除包処理を終了し、錠剤シートを排出ユニットに排出する。除包動作が完了していない場合には、S701に戻り、S701〜S712を残数が0になるまで繰り返す。
【0113】
一方、S701で除包すべき最終シートと判断され(最終シート特定)、S713に進んだ場合には、
図22に示すようなユーザ選択画面を表示する。
【0114】
S714では、
図22に示すようなユーザ選択画面で「はい」が選択されたか否かを判断する。S714で「いいえ」が選択された場合には、S704に戻り、「はい」が選択された場合には、
図20のS801に進む。
【0115】
図20は、S703において最終の錠剤シートから取り出しすると判定された後の、
図24のように1錠ずつ縦に除包できると判断するまで従来通りの動作を行い、その後、1錠ずつ縦に除包する場合の制御フローチャートである。
【0116】
ここで
図20のS801〜S806の処理は、
図17に示すように左列ポケット(1錠)の列のみを連続して1錠ずつ順次除包する例であり、例えば10錠のシートで、除包すべき残りの数が1錠〜5錠の時であり、10錠入りのシートは一部の錠剤ポケットが除包されてから、半端な錠剤シートが錠剤シートの回収部に排出される。
【0117】
ここでは、錠剤シートを搬送する方向に連続している錠剤収容部の列から1錠ずつの錠剤取出を順次行う(第1の取出手段)。
【0118】
また、
図20のS807〜S816の処理は、
図24に示すように、始めにまず左列ポケット(1錠)と右列ポケット(1錠)を交互に1錠ずつ順次除包してから、除包すべき残りの数がシートの封入数を行数で割った値以下になったと判断されるときから、左列ポケット(1錠)の列のみを連続して1錠ずつ順次除包する処理(
図20のS801〜S806)に切り替わる例であり、例えば10錠入りのシートで、除包すべき残りの数が6錠〜9錠の時であり、この時も10錠入りのシートは一部の錠剤ポケットが除包されてから、半端な錠剤シートが錠剤シートの回収部に排出される。
【0119】
なお、上述した実施形態では、錠剤シートを搬送する方向に連続している錠剤収容部の列から1錠ずつの錠剤取出を順次行う第1の取出手段と、錠剤シートを搬送する方向に対して垂直な方向に連続している錠剤ポケットの列から1錠ずつの錠剤取出を順次行う第2の取出手段とが、除包すべき残りの錠剤数に従って切り替わる処理を説明したが、例えばユーザが第1の取出手段または第2の取出手段のいずれかを選択可能な手動切替のスイッチ機能(選択ボタン等)を複数の錠剤取出ユニット別に設けることで、除包すべき残りの錠剤数に関わらず、それぞれの錠剤取出ユニット毎にユーザ所望の取り出し手段を手動で選んで切り替えることも可能となる。
【0120】
また、例えば10錠入りの錠剤シートで、除包すべき残りの数が10錠の時は、
図20のS807〜S816の処理で、左列ポケット(1錠)と右列ポケット(1錠)を交互に1錠ずつ順次除包することで10錠のシートは全ての錠剤ポケットが除包されてから、空の錠剤シートが錠剤シートの回収部に排出される。
【0121】
複数枚の錠剤シートが重なって投入口に投入された場合、1枚ずつ錠剤シートが搬送されて錠剤が取り出される。この時1枚の錠剤シートから全ての錠剤が取り出されない設定条件(例えば3枚の10錠シートから合計25錠の取り出し)では最終シート(3枚目)は半端な数の錠剤(5錠)が未使用で残る。この時、最終シート(3枚目)に関しては
図17に示した順序で縦に1錠ずつ取り出した方が、錠剤シートの未使用数を数え易い。
【0122】
S801では、最新の錠剤残数と錠剤シートの1シートにセットされた錠剤封入数(例えば10錠)とから、錠剤取出しユニット1がこれから取り出すべき残りの錠剤数がシート上に格納されている錠剤数(例えば10錠)を行数(本例の場合、2錠)で割った値以下(例えば半分以下である5錠以下)であるか否かを判定する(残数判定)。ここで、行数(本例の場合、2錠)で割った値以下であった場合、縦方向に左側列のみ除包処理が行えると判断し、S802に進む。また、行数(本例の場合、2錠)で割った値より多かった場合は、S807に進む。このステップにより、動作開始直後、1シート目から縦方向に除包処理を行うか否かをチェックすることができる。
【0123】
S802では、錠剤取出しユニット1が、錠剤シートを、
図16に示す錠剤ポケット間隔の1列分だけ搬送する。
【0124】
S803では、錠剤取出しユニット1が左側ポケットへ除包動作を行う。
【0125】
S804では、錠剤供給装置の制御部は、S803を実行した結果、1個の錠剤を光学センサ204が検知(取り出し成功)出来たか否かを判断する。検知失敗の場合はS803に戻ってリトライする。検知に成功した場合はS805に進む。
【0126】
S805では、所定の時間内に錠剤ポケットから錠剤の取り出しが成功したと判断し、錠剤取出しユニット1において取り出された錠剤数の合計、1枚のシートから取出した錠剤数を管理するそれぞれのカウント値を1個分インクリメントし、1包に必要な残り錠剤数を管理するカウント値を1個分デクリメント(減算)する。
【0127】
S806では、光学センサ204が検知した1つの錠剤取出しユニット毎の合計の錠剤数のカウント最新データ(
図21)を記憶部で管理し、錠剤供給装置の制御部は、カウントデータを所定数(錠剤取出しユニット1が除包処理開始から終了までに取り出すべき錠剤数(
図21参照))と比較することで、除包動作が完了した(残数が0個)か否かを判断する。完了したと判断した場合には除包処理を終了し、錠剤シートを排出ユニットに排出する。除包動作が完了していない場合には、S802に戻り、S802〜S806を残数が0になるまで繰り返す。これは、左列のみの縦除包のループである。
【0128】
S807では、錠剤取出しユニットが、錠剤シートを、
図16に示す錠剤ポケット間隔の1列分だけ搬送する。
【0129】
S808では、錠剤取出しユニット1が左側ポケットへ除包動作を行う。
【0130】
S809では、錠剤供給装置の制御部は、S808を実行した結果、1個の錠剤を光学センサ204が検知(取り出し成功)出来たか否かを判断する。検知失敗の場合はS808に戻ってリトライする。
【0131】
S810では、所定の時間内に錠剤ポケットから錠剤の取り出しが成功したと判断し、錠剤取出しユニット1において取り出された錠剤数の合計、1枚のシートから取出した錠剤数を管理するそれぞれのカウント値を1個分インクリメントし、1包に必要な残り錠剤数を管理するカウント値を1個分デクリメント(減算)する。
【0132】
S811では、光学センサ204が検知した1つの錠剤取出しユニット毎の合計の錠剤数のカウント最新データ(
図21)を記憶部で管理し、錠剤供給装置の制御部は、カウントデータを所定数(錠剤取出しユニット1が除包処理開始から終了までに取り出すべき錠剤数(
図21参照))と比較することで、除包動作が完了した(残数が0個)か否かを判断する。完了したと判断した場合には除包処理を終了し、状態シートを排出ユニットに排出する。除包動作が完了していない場合には、S812に進む。
【0133】
S812では、錠剤取出しユニット1が右側ポケットへ除包動作を行う。
【0134】
S813では、錠剤供給装置の制御部は、S812の結果により、1個の錠剤を光学センサが検知(取り出し成功)出来たか否かを判断する。検知失敗の場合はS812に戻ってリトライする。
【0135】
S814では、所定の時間内に錠剤ポケットから錠剤の取り出しが成功したと判断し、錠剤取出しユニット1において取り出された錠剤数の合計、1枚のシートから取出した錠剤数を管理するそれぞれのカウント値を1個分インクリメントし、1包に必要な残り錠剤数を管理するカウント値を1個分デクリメント(減算)する。
【0136】
S815では、光学センサ204が検知した1つの錠剤取出しユニット毎の合計の錠剤数のカウント最新データ(
図21)を記憶部で管理し、錠剤供給装置の制御部は、カウントデータを所定数(錠剤取出しユニット1が除包処理開始から終了までに取り出すべき錠剤数(
図21参照))と比較することで、除包動作が完了した(残数が0個)か否かを判断する。完了したと判断した場合には除包処理を終了し、錠剤シートを排出ユニットに排出する。除包動作が完了していない場合には、S816に進む。
【0137】
S816では、最新の錠剤残数と錠剤シートの1シートにセットされた錠剤封入数(例えば10錠)とから、錠剤取出しユニット1がこれから取り出すべき残りの錠剤数がシート上に格納されている錠剤数(例えば10錠)の行数(本例の場合、2錠)で割った値以下(例えば半分の5錠以下)であるか否かを判定する(残数判定)。ここで、行数(本例の場合、2錠)で割った値以下であった場合、縦方向に左側列のみ除包処理が行えると判断し、S802に進む。また、行数(本例の場合、2錠)で割った値より多かった場合は、S807に戻る。このステップにより、
図24のように、除包動作の途中からでも縦方向に左側列のみ除包処理が行える。
【0138】
図21は、既に説明したように、指定された錠剤取出しユニット1が取出し動作を行う処方データであり、これらのデータは、除包処理開始から終了するまでの間、記憶部(RAM2503)にて管理する。ここでいう所定錠剤数とは、
図22の画面で「はい」ボタン2401が押された場合に、分包の開始から終了までに指定された錠剤取出しユニット1が取り出すべき錠剤数を表す。
【0139】
図21のシート当たりの錠剤封入数とは、除包する錠剤シートに何錠分の錠剤ポケットがあるのかをユーザが設定して登録した値である。なおシート当たりの錠剤封入数は、一般的に10錠入りまたは14錠入りが多い。
【0140】
図21の1列の錠剤数とは、除包する錠剤シートには、錠剤シートを搬送する方向に対して垂直な方向に何列分の錠剤ポケットがあるのかをユーザが設定して登録した値である。一般的に2列または3列が多い。
【0141】
図21の錠剤取出すべき総数とは、除包する錠剤シートには、除包するために指定された錠剤取出ユニットから合計何錠の錠剤を除包するのかをユーザが設定して登録した値である。例えば各分包紙1包あたりに2錠ずつが分包されたものを14日分処方が必要な場合には、2錠×14日分として28錠が登録される。
【0142】
図21の錠剤取出すべき残り数とは、例えばS702、S708、S712、S801、S806、S811、S812、S818において読みだされる、最新の残りの数である。落下センサ204が錠剤を検知し、1錠ずつの取り出しに成功する度にこの残りの数が減っていく。この錠剤取出すべき残り数が0になった時に、指定された錠剤取出ユニットにおける必要な除包が完了したと判断して、取り出し動作を終了することができる。
【0143】
図21の最終シート取り出し中かとは、最終シートの除包中かを識別するフラグであり、
図20のフローチャート時にはON(はい)状態となり、
図19のフローチャート時にはOFF(いいえ)状態となる。
【0144】
また、
図22の画面で「いいえ」ボタン2402が押された場合、従来の除包処理を行うため、1包の錠剤数を所定錠剤数として扱う。
【0145】
図22は、分包を開始する前に、ユーザの選択により、指定された錠剤取出しユニット1が錠剤シートから錠剤を取出す場合、最終シートから縦に錠剤取出し処理を行うか否かを選択する画面であり、
図1のLCD操作パネル104に表示される。2401は、「はい」ボタンであり、このボタンをユーザが押した場合、最終シートの場合に、縦に錠剤取出し処理を行う。2402は、「いいえ」ボタンであり、このボタンをユーザが押した場合、従来の錠剤取出し処理を行う。
【0146】
上記の実施形態によれば、錠剤シートの錠剤全てを処方に使用する場合は、錠剤取り出し時間の短縮のため、錠剤シートの一方から順に、錠剤を横手方向の錠剤列1列を取り出した後、次の横手方向の錠剤列1列…の順序で錠剤取り出しを行う。そして、錠剤シートの錠剤全てを処方に使用せず、錠剤シートに錠剤を残す場合には、錠剤シートの一方から、縦(長手)方向に錠剤を順次取り出し、1列を取り出した後、次の縦方向1列を取り出す順序で錠剤を取り出す。
【0147】
よって、錠剤シートに錠剤を残す場合には、錠剤が錠剤シートの長手方向に残るようになるので、錠剤シートを長手方向に切断して在庫する調剤薬局においては好ましい錠剤の残り方になる。
【0148】
また、そのように錠剤を残す錠剤の取り出し順序としても、錠剤を取り出す際に掛かる余分な時間の増大が最小限に抑えられる。
【0149】
図23は、本実施形態において制御を実行するための錠剤供給装置10または分包装置5の制御部のハードウエア構成を示した図である。
【0150】
CPU2501は、システムバス2504に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM2502あるいは外部メモリ2511には、CPU2501の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0151】
RAM2503は、CPU2501の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU2501は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM2502あるいは外部メモリ2511からRAM2503にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0152】
入力コントローラ2505は、キーボード(KB)2509や不図示のマウス等のポインティングデバイス等からの入力を制御する。ビデオコントローラ2506は、表示部2510への表示を制御する。なお、表示部2510はCRTだけでなく、液晶ディスプレイ等の他の表示器であってもよい。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。また表示部は指やペン等にてユーザが表示画面内の対象位置を指定するタッチパネル機能を含むものであってもよい。
【0153】
メモリコントローラ2507は、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ2511へのアクセスを制御する。
【0154】
通信I/Fコントローラ2508は、ネットワーク(通信回線)2を介して外部装置と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0155】
なお、CPU2501は、例えばRAM2503内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT上での表示を可能としている。また、CPU2501は、CRT上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0156】
本発明を実現するための後述する各種プログラムは、外部メモリ2511に記録されており、必要に応じてRAM2503にロードされることによりCPU2501によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられるデータファイル及びデータテーブル等も、外部メモリ2511または記憶部に格納されている。
【0157】
また、本発明におけるプログラムは、フローチャートの処理を制御部が実行可能なプグラムであり、本発明の記憶媒体はフローチャートの処理方法を実行可能なプログラムとして記憶している。
【0158】
図24は、既に説明したように、1錠ずつ縦に除包できると判断するまで従来通りの動作を行い、その後、縦に左列のみ除包動作を行う場合の順序を表す。