特許第6133401号(P6133401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133401
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】切削インサートの切り屑制御構造
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/22 20060101AFI20170515BHJP
   B23C 5/20 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B23B27/22
   B23C5/20
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-506348(P2015-506348)
(86)(22)【出願日】2013年3月20日
(65)【公表番号】特表2015-516889(P2015-516889A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】IL2013050267
(87)【国際公開番号】WO2013156992
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年2月3日
(31)【優先権主張番号】13/448,793
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ベンジャミン
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−508684(JP,A)
【文献】 実開昭59−097803(JP,U)
【文献】 特開平02−131804(JP,A)
【文献】 特開2010−069614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/22
B23C 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する上端面および下端面(26、28)、およびそれらの間に延在する第1および第2の側面(30A、30B)と、
前方向(DF)および後方向(DR)を規定する二等分線(B)を有する切削コーナー(24A)であって、切削インサート(20)の前記上端面(26)と前記第1および第2の側面(30A、30B)との間の交点に形成された切削コーナー(24A)
前記切削コーナー(24A)に配置された切り屑制御構造(22)と、を含む切削インサート(20)であって、前記切り屑制御構造が、
前記上端面(26)から上方向に延在し、かつまた前記二等分線(B)の対向する両側に長く延在する細長い面(34)を含み、
前記細長い面(34)は、第1および第2の先端部(38、40)、およびそれらの間に延在する細長い中央部分(42)を含み
前記第1の先端部(38)は、前記二等分線(B)よりも前記第1の側面(30A)に近く
記第2の先端部(40)は、前記二等分線(B)よりも前記第2の側面(30B)に近
前記細長い面(34)の長手方向の延在部に沿って取った断面視では、前記細長い面(34)が、前記二等分線(B)に一致する最上領域(46)を有する、上方に延在する凸状部分(36)を含む、切削インサート(20)。
【請求項2】
上面図において、前記細長い面(34)が、前記二等分線(B)に対して垂直な方向に、長く延在する、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項3】
前記細長い面(34)が前記二等分線(B)の周りで対称である、請求項1または2に記載の切削インサート(20)。
【請求項4】
上面において、前記細長い面(34)が凹面状に湾曲している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項5】
記上端面(26)と前記第1および第2の側面(30A、30B)のそれぞれとの間の前記交点に形成された切れ刃(44)をさらに、請求項1〜4のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項6】
前記切り屑制御構造(22)が、前記細長い面(34)から後方に延在する下降面(50)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項7】
上面において、前記細長い面(34)および前記下降面(50)の外縁が、仮想上の三角形(T)の3つの辺に沿って存在する、請求項6に記載の切削インサート(20)。
【請求項8】
心アイランド(54)をさらに含み、前記中心アイランドは
アイランド傾斜面(58)に囲まれた、隆起したアイランド上面(56)であって、前記中心アイランド(54)は、前記切削コーナー(24A)の方に向いた細長いノーズ部分(60)を有する、隆起したアイランド上面(56)と、
前記ノーズ部分(60)から前記下降面(50)の方向に延在する稜部(62)と、を含む、請求項6に記載の切削インサート(20)。
【請求項9】
前記稜部(62)が、前記下降面(50)に重なり、かつそれを、首部分(65)でつながれた2つの三角形部分(64)に分割している、請求項8に記載の切削インサート(20)。
【請求項10】
前記稜部(62)が前記二等分線(B)に沿って延在する、請求項9に記載の切削インサート(20)。
【請求項11】
前記アイランド傾斜面(58)が、前記稜部(62)から前記隆起したアイランド上面(56)まで、前記インサートの後方向に延在する細長いリブ部(66)を含む、請求項8に記載の切削インサート(20)。
【請求項12】
前記リブ部(66)が前記二等分線(B)に沿って延在する、請求項11に記載の切削インサート(20)。
【請求項13】
断面では、前記稜部(62)および前記リブ部(66)が、その前記交点に鈍角の外角(α)を形成する、請求項12に記載の切削インサート(20)。
【請求項14】
前記リブ部(66)が、リブ部のピーク(68)を含み、および、上方向(DU)に関して、前記中心アイランド(54)上の中心アイランド最下点(70)は、前記リブ部のピーク(68)よりも高い位置にある、請求項11に記載の切削インサート(20)。
【請求項15】
記上端面(26)と前記第1および第2の側面(30A、30B)との交点に沿って延在するランド(72)と、前記細長い面(34)の前記第1の先端部(38)との間に配置された第1の凹部(76)、および前記ランド(72)と前記細長い面(34)の前記第2の先端部(40)との間に配置された第2の凹部(78)をさらに含む、請求項14に記載の切削インサート(20)。
【請求項16】
前記ランド(72)が、前記第1および第2の凹部(76、78)の少なくとも一方に隣接して最小ランド幅(WML)を有する、請求項15に記載の切削インサート(20)。
【請求項17】
前記細長い面(34)の延在部に対して長手方向に垂直に取った断面では、前記細長い面(34)が、上方に延在する凸状部分(36)を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【請求項18】
前記細長い面(34)が、細長い面の最上領域(46)をさらに含み、前記最上領域は、上方向(DU)に関して、前記上端面(26)と前記第1および第2の側面(30A、30B)との間の交点に沿って延在するランド(72)の刃先点(48)よりも低い、請求項5に記載の切削インサート(20)。
【請求項19】
切り屑制御構造(22)は前記二等分線(B)の周りで対称である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の切削インサート(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[001]本出願の主題は、切削インサート用の切り屑制御構造に関する。そのような構造は、とりわけ、旋削作業用に構成されたインサートに形成され得る。特に、そのような構造は、仕上げ旋削作業用に構成されたインサートに形成され得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[002]切削インサートは、金属加工作業から生じる金属切り屑の流れを制御する、および/またはそれら金属切り屑の形状およびサイズを制御するための切り屑制御構造を備えることができる。
【0003】
[003]そのような切り屑制御構造は、通常、インサートの切れ刃の近くに配置された凹部および/または突起からなる。凹部および/または突起が接触すると、特定の形状の金属切り屑が形成され、その後、そこから排出され得る。
【0004】
[004]様々な切り屑制御構造が米国特許第5,147,159号、米国特許第5,193,947号、米国特許第5,743,681号、米国特許第6,234,726号および米国特許出願公開第2005/0019111A1号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005]本出願の主題の目的は、切削インサート用の改良型の切り屑制御構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
[006]本出願の主題によれば、切削コーナーの二等分線の対向する両側に長く延在する少なくとも1つの細長い面を含む切り屑制御構造が形成された切削コーナーを含む切削インサートが提供される。
【0007】
[007]例えば、そのような切削インサートは、
対向する上端面および下端面、およびそれらの間に延在する第1および第2の側面;および
二等分線を有し、かつ切削インサートの上端面と第1および第2の側面との交点に形成された切削コーナー、および
切削コーナーに配置された切り屑制御構造
を含むことができ、
切り屑制御構造は、上端面から上方向に延在しかつまた二等分線の対向する両側に長く延在する細長い面を含み;
細長い面は、第1および第2の先端部、およびそれらの間に延在する細長い中央部分を含み;
第1の先端部は、二等分線によりも第1の側面に近く、および第2の先端部は、二等分線によりも第2の側面に近い。
【0008】
[008]切り屑制御構造は、旋削用の切削インサートに、特に仕上げ作業を実行するのに好都合であることが分かった。しかしながら、そのような切り屑制御構造は、場合により、他のタイプの作業、例えば、フライス削りなどにも好都合であり得る。
【0009】
[009]上述の記載は概要であること、および下記で説明する特徴は、本出願の主題に、いずれかの組み合わせで適用可能とし得る、例えば、以下の特徴のいずれかは、切削インサートまたは切り屑制御構造に適用可能とし得ることを理解される。
【0010】
[0010]細長い面は、二等分線に対して垂直な方向に、長く延在し得る。
【0011】
[0011]上面図において、細長い面は、凹面状に湾曲させることができる。
【0012】
[0012]細長い面の延在部に対して長手方向に垂直に取った断面図では、細長い面は、上方に延在する凸状部分を含み得る。
【0013】
[0013]細長い面の延在部の長手方向に沿って取った断面図では、細長い面は、上方に延在する凸状部分を含み得る。
【0014】
[0014]切り屑制御構造は、二等分線の周りで対称とし得る。
【0015】
[0015]切り屑制御構造は、細長い面から後方に延在する下降面を含み得る。
【0016】
[0016]上面図において、下降面は2つの湾曲部分を含み得る。
【0017】
[0017]上面図において、細長い面の外縁および下降面は、仮想上の三角形の3つの辺に沿って存在し得る。
【0018】
[0018]切削インサートは中心アイランドを含み得る。
【0019】
[0019]中心アイランドは、アイランド傾斜面に囲まれた、隆起したアイランド上面を含み得る。
【0020】
[0020]中心アイランドは、切削コーナーの方に向けられた細長いノーズ部分を含み得る。
【0021】
[0021]ノーズ部分から下降面の方向に稜部が延在し得る。
【0022】
[0022]稜部は、下降面に重なり、かつそれを、首部分でつながれた2つの三角形部分に分割し得る。
【0023】
[0023]稜部は二等分線に沿って延在し得る。
【0024】
[0024]稜部は二等分線の周りで対称とし得る。
【0025】
[0025]アイランド傾斜面は、細長いリブ部を含み得る。
【0026】
[0026]リブ部は、稜部から、隆起したアイランド上面まで延在し得る。
【0027】
[0027]リブ部は二等分線に沿って延在し得る。
【0028】
[0028]リブ部は二等分線の周りで対称とし得る。
【0029】
[0029]断面図では、稜部およびリブ部は、その交点で、鈍角の外角を形成する。
【0030】
[0030]リブ部は、リブ部のピークを含み得る。
【0031】
[0031]中心アイランドの中心アイランド最下点は、上方向に関して、リブ部のピークよりも高い位置に配置され得る。
【0032】
[0032]切削インサートは、上端面と第1および第2の側面のそれぞれとの間の交点に形成された切れ刃を含み得る。
【0033】
[0033]第1の先端部は、二等分線によりも切れ刃の関連部分に近いとし得る。
【0034】
[0034]第2の先端部は、二等分線によりも切れ刃の関連部分に近いとし得る。
【0035】
[0035]中央部分は、切削コーナーから、第1および第2の先端部よりもさらに後方に離間し得る。
【0036】
[0036]切削インサートは、上端面と第1および第2の側面との交点に沿って延在するランドと、細長い面の第1の先端部との間に配置された第1の凹部、およびランドと細長い面の第2の先端部との間に配置された第2の凹部を含み得る。
【0037】
[0037]ランドは、第1および第2の凹部の少なくとも一方に隣接して最小ランド幅を含み得る。
【0038】
[0038]細長い面は、上方向に関して、ランドの刃先点よりも低いとし得る、細長い面の最上領域を含み得る。
【0039】
[0039]切削インサートは、ランドと細長い面との間に延在する切り屑偏向面を含み得る。
【0040】
図面の簡単な説明
[0040]本出願をより良く理解し、および本出願を実際に実施し得る方法を示すために、ここで添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】切削インサートの斜視図である。
図2図1の切削インサートの上面図である。
図3図1および図2の切削インサートの側面図である。
図4図1〜3の切削インサートの切削コーナーの拡大図である。
図5図4の切削コーナーの別の拡大図である。
図6図5の線VI−VIに沿って取った断面図である。
図7図5の二等分線Bに沿って延在する線VII−VIIに沿って取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[0041]説明を単純かつ明白にするために、図面に示す要素は、必ずしも縮尺通りではないことが認められる。例えば、いくつかの要素の寸法は、明白にするために、他の要素に対して拡大されていてもよく、またはいくつかの物理的構成要素は、1つの機能ブロックまたは要素に含まれていてもよい。適当であると考えられる場合、複数の図面で参照符号を繰り返し使用して、対応するまたは類似の要素を示し得る。
【0043】
発明の詳細な説明
[0042]以下の説明では、本出願の主題の様々な態様を説明する。説明のために、特定の構造および詳細を十分に詳述して、本出願の主題の十分な理解をもたらす。しかしながら、当業者にはまた、本出願の主題は、本明細書で示した特定の構造および詳細がなくても、実施できることが明白である。
【0044】
[0043]初めに図1および図2に注目すると、切り屑制御構造22を備える切削インサート20が示されている。切削インサート20上の切り屑制御構造22は、とりわけ、旋削、面削り(facing)、およびならい削り(profiling)作業における仕上げ削りに好適である。切り屑制御構造22は、被加工物での切削の深さが浅い必要がある作業に特に好適である。例えば、切削の深さは、一般に、約4mm未満とし得る。理論上は、切り屑制御構造22は、鋼製の被加工物に使用するのに特に好適とし得るが、他の材料で作製された被加工物で使用するのにも好適である。
【0045】
[0044]切削インサート20は、二等分線Bを有する切削コーナー24Aを含む。二等分線Bは、前後方向D、D図5)を規定する。図面から、前方向Dは、インサートの「外側」に向く方向にある(インサートの中心から離れる)一方、後方向Dは、インサートの「内側」に向く方向にある(インサートの中心に向かう)ことが理解される。
【0046】
[0045]切削インサート20は、対向する上端面26および下端面28を含み、それらの間に第1の側面30Aおよび第2の側面30Bが延在する。切削コーナー24Aは、切削インサート20の上端面26と第1および第2の側面30A、30Bとの間の交点に形成される。二等分線Bは、上端面26の上面図では、切削コーナー24Aにおいて、第1の側面30Aと第2の側面30Bとの間に形成された角度を二等分する。
【0047】
[0046]この非限定的な例では、図1の上端面26の上面図に示すように、切削インサート20は、第1、第2、第3および第4の側面30A、30B、30C、30Dを含み、これら側面は、切削コーナー24Aにおいて、さらに第2、第3および第4の切削コーナー24B、24C、24Dにおいてそれぞれ接続されている。より正確には、そのような図では、側面30A、30B、30C、30Dは、平行四辺形を形成し、さらにより正確には、菱形を形成する。しかしながら、以下説明する切り屑制御構造22はまた、異なる数の側面を含む、すなわち、そのような図では、少なくとも1つの切削コーナーを含む他の形状の切削インサート上に形成し得ることが理解される。
【0048】
[0047]この非限定的な例では、切削インサート20は、その中心(図2)にクランピング孔32が配置されて形成され、このクランピング孔は、上端面および下端面26、28に開口し、かつそこを通してクランピング部材(図示せず)を収容するように構成されていることにも気づく。インサートホルダにインサートを締結する代替的な方法、例えばクランピングジョーを用いることができるため、そのようなインサートは、クランピング孔を欠いていることも、異なる形状のクランピング孔を含むこともあり得ることが理解される。
【0049】
[0048]上端面および下端面26、28を通って中心軸Cが延在する。この非限定的な例では、中心軸Cはクランピング孔32と同軸であり、および第1、第2、第3および第4の側面30A、30B、30C、30Dの各々は、中心軸Cに対して平行に延在し得る。以下、高さについて述べると、高さは、中心軸Cに対して平行な方向に測定可能である。さらに、図3に示すように、中心軸Cは、上方向Dおよび下方向Dを規定する。
【0050】
[0049]この非限定的な例では、切削インサート20は二面を有し、その8個のコーナーの各々が、同一の切り屑制御構造22で形成されている。上端面および下端面26、28は、中心軸Cに対して垂直でありかつ第1および第2の側面30A、30Bを通って延びる鏡映面Mの周りで鏡面対称とし得る。本出願の主題による切削インサート20は、そのような切り屑制御構造22、および切り屑制御構造を全く欠き得るか、または異なる切り屑制御構造で形成され得る他の切削コーナーを備える1つ以上の切削コーナーを含み得ることも理解される。
【0051】
[0050]ここで図4および図5の上端面26の上面図を参照すると、切り屑制御構造22は、切削コーナー24Aに配置され、かつ、場合により図7に最もよく示すように、上端面26から上方に延在する細長い面34を含む。より正確には、細長い面34は、切削コーナー24Aから離れて延在する。さらに、細長い面34は、二等分線Bの対向する両側に長く延在する。より正確には、細長い面34は、二等分線Bを横断する方向に、および二等分線Bの対向する両側に、長く延在し得る。細長い面34の設計は、切り屑を、切削領域からの切り屑の除去に有益とし得るサイズおよび形状に制御する、またはそのような切り屑を生み出すように構成される。この非限定的な例では、切り屑制御構造22は、正確に1つの細長い面34を含むことに留意されたい。
【0052】
[0051]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、上面図では、細長い面34は、二等分線Bに対して垂直な方向に、長く延在し得る。細長い面34は、二等分線Bの周りで対称とし得る。
【0053】
[0052]ここで図7を参照すると、さらに、本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、細長い面34の延在部に対して長手方向に垂直に取った断面図では、細長い面34は、上方に延在する凸状部分36を含む。さらに、ここで図6を参照すると、細長い面34の延在部の長手方向に沿って取った断面図では、細長い面34は、上方に延在する凸状部分36を含む。
【0054】
[0053]細長い面34は、第1の先端部38および第2の先端部40を含み、それらの間に細長い中央部分42が延在し得る。先端部38、40は、細長い面34の最も離間した領域または端部である。上面図では、細長い面34は凹面状に湾曲させることができる。より正確には、図5に注目すると、そのような曲率によって、中央部分42を、後方向Dに関して、切削コーナー24Aから第1および第2の先端部38、40よりも後方に離間させ得る。上端面26と第1および第2の側面30A、30Bのそれぞれとの間の交点に切れ刃44が形成され得る。第1の先端部38は、二等分線Bによりも切れ刃44の関連部分に近いとし得る。第2の先端部40は、二等分線Bによりも切れ刃44の関連部分に近いとし得る。換言すると、第1の先端部38は、二等分線Bによりも第1の側面30Aに近いとし得る。同様に、第2の先端部40は、二等分線Bによりも第2の側面30Bに近いとし得る。細長い面34は、さらに細長い面の最上領域46を含み、この最上領域は、上方向Dに関して、上端面26と第1および第2の側面30A、30Bとの間の交点に沿って延在するランド72上の刃先点48よりも低いとし得る。
【0055】
[0054]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、切り屑制御構造22は、細長い面34から後方に延在する下降面50を含み得る。上面図では、下降面50は、2つの湾曲部分52を含み得る。2つの湾曲部分52は同一の形状とし得る。図4を参照すると、上面図では、細長い面34の外縁および下降面50は、仮想上の三角形Tの3つの辺に沿って存在し得る。仮想上の三角形Tは、二等分線Bの周りで対称とし得る。
【0056】
[0055]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、切削インサート20は中心アイランド54を含み得る。中心アイランド54は、アイランド傾斜面58によって囲まれ得る隆起したアイランド上面56を含み得る。中心アイランド54は、切削コーナー24Aの方に向けられた細長いノーズ部分60を含み得る。隆起したアイランド上面56の目的は、切削インサート20を工具ホルダ(図示せず)に装着するための剛体面を提供することである。
【0057】
[0056]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、ノーズ部分60から下降面50の方向に稜部62が延在し得る。稜部62は、金属加工作業によって生じた切り屑(図示せず)を破断するように構成し得る。稜部62は、下降面50に重なり、かつこれを、首部分65でつながれた2つの三角形部分64に分ける。稜部62は二等分線Bに沿って延在し得る。稜部62は二等分線Bの周りで対称とし得る。アイランド傾斜面58は、稜部62から、隆起したアイランド上面56まで延在する細長いリブ部66を含み得る。リブ部66は、金属加工作業によって生じた切り屑(図示せず)を破断するように構成し得る。リブ部66は二等分線Bに沿って延在し得る。
【0058】
[0057]縦断面図では、稜部62およびリブ部66は、その交点に鈍角の外角αを形成し得る。さらに、リブ部66は、リブ部のピーク68を含み得る。リブ部は、2つの直線部分を含み得る。上方向Dに関して、中心アイランド54上の中心アイランド最下点70は、リブ部のピーク68よりも高いところに位置し得る。
【0059】
[0058]切削インサート20は、上端面26と第1および第2の側面30A、30Bとの間の交点に沿って延在するランド72を含み得る。ランド72の目的は、切れ刃44を強くすることである。ランド72と細長い面34との間には、切り屑偏向面74が延在し得る。
【0060】
[0059]切削インサート20は、ランド72と細長い面34の第1の先端部38との間に配置された第1の凹部76、およびランド72と細長い面34の第2の先端部40との間に配置された第2の凹部78を含み得る。ランド72は、第1の凹部76および/または第2の凹部78に隣接して最小ランド幅WMLを有し得る。
【0061】
[0060]切り屑制御構造22は二等分線Bの周りで対称とし得る。二等分線Bの周りで対称であることに考えられる利点は、切削インサート20を左利き用の構成または右利き用の構成のどちらで使用するかに関わらず、切削インサート20が等しい切り屑制御品質を有し得ることである。
【0062】
[0061]本出願の主題の特徴は、切り屑制御構造22が、切削領域からの除去に有益な形状およびサイズを有する切り屑を生じることであることに留意されたい。これにより、除去されていない切り屑によって切削インサート20の切れ刃44が損傷される可能性を低下させる。
【0063】
[0062]そのような応用は、追加的な特徴または構成部品がなくても、上述の構成を用いて達成され得る。
【0064】
[0063]本出願の主題をある程度詳細に説明したが、以下の特許請求の範囲にあるような本出願の主題の趣旨または範囲から逸脱せずに、様々な代替形態および修正形態をなし得ることを理解されたい。例えば、上述の例示的な範囲、値、および要素の位置は、旋削インサートに、特に仕上げに好都合な構成であることが分かったが、異なるタイプの作業および/または被加工物材料に対し、他の範囲、値、および要素の位置も実行可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7