(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133405
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、アリ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシの防除及び忌避
(51)【国際特許分類】
A01N 31/06 20060101AFI20170515BHJP
A01N 35/06 20060101ALI20170515BHJP
A01N 37/36 20060101ALI20170515BHJP
A01N 37/42 20060101ALI20170515BHJP
A01N 43/08 20060101ALI20170515BHJP
A01N 43/16 20060101ALI20170515BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20170515BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20170515BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20170515BHJP
A01M 29/12 20110101ALI20170515BHJP
【FI】
A01N31/06
A01N35/06
A01N37/36
A01N37/42
A01N43/08 H
A01N43/16 B
A01P7/04
A01P17/00
A01M1/20 A
A01M29/12
【請求項の数】23
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2015-510251(P2015-510251)
(86)(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公表番号】特表2015-515980(P2015-515980A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】US2013000123
(87)【国際公開番号】WO2013165479
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2015年2月9日
(31)【優先権主張番号】61/687,917
(32)【優先日】2012年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501439507
【氏名又は名称】ベドウキアン リサーチ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】ベドウキアン、ロバート、エイチ.
【審査官】
山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−48203(JP,A)
【文献】
特開平2−131405(JP,A)
【文献】
特開平4−164079(JP,A)
【文献】
特開平5−178706(JP,A)
【文献】
特開平7−138102(JP,A)
【文献】
特開2002−356404(JP,A)
【文献】
特開2005−162730(JP,A)
【文献】
特表2007−502860(JP,A)
【文献】
特表2009−542789(JP,A)
【文献】
米国特許第5118711(US,A)
【文献】
国際公開第2012/047608(WO,A1)
【文献】
特開2013−126960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
A01M 1/00−1/24
A01M 29/00−29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する
活性防除薬剤であっ
て、抑制有効量の構造(I)、
【化1】
(式中、
Rは−OH、=O、−OC(O)R
4、−OR
6及び−(OR
6)
2からなる群から選択され、各R
6は独立に、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され、R
4は0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり;
XはOであり、
各Zは独立に、(CH)及び(CH
2)からなる群から選択され;
yは1及び2から選択される数字であり;
R
1はH並びに0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
2はH並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
3はH、0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基、−(CH
2)
nOH、−C(O)OR
5、−CH
2C(O)OR
7、−CH
2C(O)R
8、−C(O)NR
9R
10及び−CH
2C(O)NR
11R
12からなる群から選択され、R
5、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は独立に、H並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され且つnは2〜12の整数であり;R
7は、H並びに0〜3個の二重結合及び2〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
環構造中の2位と3位との間の結合は単又は二重結合であり得、但し、X=Oである場合、環構造中の2位と3位との間の結合は単結合でしかあり得ず;且つ
Rが=Oであり、X=CH
2且つyが1である場合に、前記構造(I)の化合物が13〜20個の炭素原子を含有するのを除いて、前記構造(I)の化合物は11〜20個の炭素原子を含有し、
但し、XがOである場合、Rは=Oでしかあり得ず、Zは(CH)であり、R
1はHであり、R
3はHであり、R
2は0〜3個の二重結合及び8〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基である;)
の化合物の少なくとも1
種を含む
活性防除薬剤。
【請求項2】
前記構造(I)の化合物が前記化合物中に12〜16個の炭素原子を有する、請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項3】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する
活性防除薬剤であっ
て、抑制有効量の構造(I)、
【化1】
(式中、
Rは−OH、=O、−OC(O)R
4、−OR
6及び−(OR
6)
2からなる群から選択され、各R
6は独立に、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され、R
4は0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり;
XはO又はCH
2であり、
各Zは独立に、(CH)及び(CH
2)からなる群から選択され;
yは1及び2から選択される数字であり;
R
1はH並びに0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
2はH並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
3はH、0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基、−(CH
2)
nOH、−C(O)OR
5、−CH
2C(O)OR
7、−CH
2C(O)R
8、−C(O)NR
9R
10及び−CH
2C(O)NR
11R
12からなる群から選択され、R
5、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は独立に、H並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され且つnは2〜12の整数であり;R
7は、H並びに0〜3個の二重結合及び2〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
環構造中の2位と3位との間の結合は単又は二重結合であり得、但し、X=Oである場合、環構造中の2位と3位との間の結合は単結合でしかあり得ず;且つ
Rが=Oであり、X=CH
2且つyが1である場合に、前記構造(I)の化合物が13〜20個の炭素原子を含有するのを除いて、前記構造(I)の化合物は11〜20個の炭素原子を含有する)
の化合物の少なくとも1
種を含む
活性防除薬剤であって、
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物が、
Rが−OH及び=Oからなる群から選択され、XがCH
2であり、yが1又は2であり、各Zが(CH)及び(CH
2)からなる群から選択され、前記環中の2位と3位との間の前記結合が単結合であり、R
1及びR
2の一方がH又は−CH
3であり、R
1及びR
2の他方が11〜15個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含有するヒドロカルビル基であり、且つR
3がHである
化合物である、
活性防除薬剤。
【請求項4】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する
活性防除薬剤であっ
て、抑制有効量の構造(I)、
【化1】
(式中、
Rは−OH、=O、−OC(O)R
4、−OR
6及び−(OR
6)
2からなる群から選択され、各R
6は独立に、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され、R
4は0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり;
XはO又はCH
2であり、
各Zは独立に、(CH)及び(CH
2)からなる群から選択され;
yは1及び2から選択される数字であり;
R
1はH並びに0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
2はH並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
3はH、0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基、−(CH
2)
nOH、−C(O)OR
5、−CH
2C(O)OR
7、−CH
2C(O)R
8、−C(O)NR
9R
10及び−CH
2C(O)NR
11R
12からなる群から選択され、R
5、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は独立に、H並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され且つnは2〜12の整数であり;R
7は、H並びに0〜3個の二重結合及び2〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
環構造中の2位と3位との間の結合は単又は二重結合であり得、但し、X=Oである場合、環構造中の2位と3位との間の結合は単結合でしかあり得ず;且つ
Rが=Oであり、X=CH
2且つyが1である場合に、前記構造(I)の化合物が13〜20個の炭素原子を含有するのを除いて、前記構造(I)の化合物は11〜20個の炭素原子を含有する)
の化合物の少なくとも1
種を含む
活性防除薬剤であって、
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物が、
Rが−OH及び=Oからなる群から選択され、XがCH
2であり、yが1又は2であり、各Zが(CH)及び(CH
2)から選択され、前記環中の2位と3位との間の前記結合が単又は二重結合であり、R
1及びR
2の一方がHであり、R
1及びR
2の他方が9〜15個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含有するヒドロカルビル基であり、且つR
3が−C(O)OR
5及び−CH
2C(O)R
8からなる群から選択され、R
5及びR
8がそれぞれ、1〜6個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基から選択される
化合物である、
活性防除薬剤。
【請求項5】
Rが=Oであり、yが1であり、前記環中の2位と3位との間の前記結合が単結合であり、且つR5が−CH3である、請求項4に記載の活性防除薬剤。
【請求項6】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する
活性防除薬剤であっ
て、抑制有効量の構造(I)、
【化1】
(式中、
Rは−OH、=O、−OC(O)R
4、−OR
6及び−(OR
6)
2からなる群から選択され、各R
6は独立に、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され、R
4は0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり;
XはO又はCH
2であり、
各Zは独立に、(CH)及び(CH
2)からなる群から選択され;
yは1及び2から選択される数字であり;
R
1はH並びに0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
2はH並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
3はH、0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基、−(CH
2)
nOH、−C(O)OR
5、−CH
2C(O)OR
7、−CH
2C(O)R
8、−C(O)NR
9R
10及び−CH
2C(O)NR
11R
12からなる群から選択され、R
5、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は独立に、H並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され且つnは2〜12の整数であり;R
7は、H並びに0〜3個の二重結合及び2〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
環構造中の2位と3位との間の結合は単又は二重結合であり得、但し、X=Oである場合、環構造中の2位と3位との間の結合は単結合でしかあり得ず;且つ
Rが=Oであり、X=CH
2且つyが1である場合に、前記構造(I)の化合物が13〜20個の炭素原子を含有するのを除いて、前記構造(I)の化合物は11〜20個の炭素原子を含有する)
の化合物の少なくとも1
種を含む
活性防除薬剤であって、
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物が、
Rが=Oであり、XがOであり、yが1又は2であり、各Zが(CH)及び(CH
2)からなる群から選択され、前記環の2位と3位との間の前記結合が単又は二重結合であり、R
1及びR
2の一方がHであり、R
1及びR
2の他方が9〜15個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含有するヒドロカルビル基であり、且つR
3が−C(O)OR
5及び−CH
2C(O)R
8からなる群から選択され、R
5及びR
8がそれぞれ、1〜6個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基から選択され、且つ前記構造(I)の化合物中の炭素原子の総数が11〜17個である
化合物である、
活性防除薬剤。
【請求項7】
前記環の2位と3位との間の前記結合が単結合であり、R5が3〜5個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基から選択される、請求項6に記載の活性防除薬剤。
【請求項8】
前記環の2位と3位との間の前記結合が単結合であり、R5が−CH3である、請求項6に記載の活性防除薬剤。
【請求項9】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する
活性防除薬剤であっ
て、抑制有効量の構造(I)、
【化1】
(式中、
Rは−OH、=O、−OC(O)R
4、−OR
6及び−(OR
6)
2からなる群から選択され、各R
6は独立に、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され、R
4は0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり;
XはO又はCH
2であり、
各Zは独立に、(CH)及び(CH
2)からなる群から選択され;
yは1及び2から選択される数字であり;
R
1はH並びに0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
2はH並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
R
3はH、0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基、−(CH
2)
nOH、−C(O)OR
5、−CH
2C(O)OR
7、−CH
2C(O)R
8、−C(O)NR
9R
10及び−CH
2C(O)NR
11R
12からなる群から選択され、R
5、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は独立に、H並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され且つnは2〜12の整数であり;R
7は、H並びに0〜3個の二重結合及び2〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基からなる群から選択され;
環構造中の2位と3位との間の結合は単又は二重結合であり得、但し、X=Oである場合、環構造中の2位と3位との間の結合は単結合でしかあり得ず;且つ
Rが=Oであり、X=CH
2且つyが1である場合に、前記構造(I)の化合物が13〜20個の炭素原子を含有するのを除いて、前記構造(I)の化合物は11〜20個の炭素原子を含有する)
の化合物の少なくとも1
種を含む
活性防除薬剤であって、
構造(I)の少なくとも1種の化合物が、
Rが=Oであり、XがOであり、yが1又は2であり、各Zが(CH)及び(CH
2)から選択され、前記環中の2位と3位との間の前記結合が単結合であり、R
1が8〜13個の炭素原子を含有するアルキル基であり、R
2がH又は−CH
3からなる群から選択され、R
3がHである
化合物である、
活性防除薬剤。
【請求項10】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する活性防除薬剤であって、抑制有効量の、
【化1-3】
【化1-4】
【化1-7】
【化1-5】
【化1-6】
【化1-8】
【化1-9】
【化1-12】
【化1-11】
及び
【化1-10】
からなる群から選択される
化合物の少なくとも1種を含む、
活性防除薬剤。
【請求項11】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する活性防除薬剤であって、抑制有効量の、
【化1-31】
【化1-32】
【化1-33】
【化1-34】
【化1-35】
【化1-36】
【化1-37】
及び
【化1-38】
からなる群から選択される
化合物の少なくとも1種を含む、
活性防除薬剤。
【請求項12】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する活性防除薬剤であって、抑制有効量の、
【化1-13】
【化1-14】
【化1-15】
【化1-16】
【化1-17】
及び
【化1-18】
からなる群から選択される
化合物の少なくとも1種を含む、
活性防除薬剤。
【請求項13】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する活性防除薬剤であって、抑制有効量の、
【化1-19】
【化1-20】
【化1-21】
【化1-22】
【化1-23】
【化1-26】
【化1-24】
【化1-27】
【化1-25】
からなる郡から選択される
化合物の少なくとも1種を含む、
活性防除薬剤。
【請求項14】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する活性防除薬剤であって、抑制有効量の、
【化1-29】
【化1-28】
【化1-30】
からなる郡から選択される
化合物の少なくとも1種を含む、
活性防除薬剤。
【請求項15】
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物が衣類若しくは織物の表面に施用される又は衣類若しくは織物に含浸させられる、請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項16】
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物がワイプ、ローション、クリーム、油又はスプレーの形態で皮膚に施用される、請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項17】
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物がクレンジング製品に施用される、請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項18】
前記昆虫がDEET(登録商標)(N,N−ジエチル−m−トルアミド)及びp−メンタン−3,8−ジオールから選択される化合物と組み合わせて前記構造(I)の化合物の少なくとも1種と接触させられる、請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項19】
ダニと前記構造(I)の少なくとも1種の化合物の前記接触がダニに毒性をもたらす、請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項20】
ゴキブリと前記構造(I)の少なくとも1種の化合物の前記接触が前記ゴキブリに毒性をもたらす、請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項21】
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物が11〜17個の炭素原子を含有する、前記昆虫の毒性を得るための請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項22】
前記構造(I)の少なくとも1種の化合物が11〜14個の炭素原子を含有する、前記昆虫の毒性を得るための請求項1に記載の活性防除薬剤。
【請求項23】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシからなる群から選択される昆虫の1種又は複数を防除又は忌避する活性防除薬剤であって、抑制有効量の、
メチルアプリトーン、プロピルジヒドロジャスモネート、γ−ドデカラクトン、γ−トリデカラクトン、γ−テトラデカラクトン、γメチルドデカラクトン及びγメチルトリデカラクトン、3−メチル−5−ペンチル−2−シクロヘキセノン、3−メチル−5−ペンチル−2−シクロヘキセノール及び3−メチル−5−ヘプチル−2−シクロヘキセノンから選択される化合物の少なくとも1種を含む、活性防除薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、アリ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシを防除及び忌避するための薬剤として使用される化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの生活の開始から昆虫及び他の有害生物が人類を苦しめ、このような昆虫及び有害生物を防除、忌避又は根絶しようとする目的で多種多様な防除薬剤及び殺虫剤及び殺有害生物剤が使用されていることが知られている。しかしながら、これらの薬剤のほとんどが施用するのが困難である、又はヒトと環境の両方に危険を引き起こす。DDTは、第二次世界大戦中及びその後に一般的に使用されたが、安全性の観点から禁止された。多くの現在使用されている化学殺虫剤に共通の成分は、最も安全な殺虫剤であると考えられているが、ヒトの目、皮膚及び呼吸器系を刺激することが知られているピレトリンである。さらに、ピレトリンは水生生物に特に有害であることが知られている。
【0003】
DEET(登録商標)、すなわち、N,N−ジエチル−m−トルアミドは、種々の昆虫及び有害生物に対して広く使用されているが、ひどい悪臭を持つ特徴があり、その効果はさほど持続せず、且つプラスチックを溶解する。さらに、DEET(登録商標)の使用に関するいくつかの安全性の問題が提起されており、いくつかの政府が製剤に使用され得る活性成分の量を制限している。DEET(登録商標)は蒸発し易く、有効性を維持するために有効投与量よりも高い量で製剤化される必要があるので、活性成分の量が制限されていること自体がさらなる課題を提起している。さらに、多くの昆虫及び有害生物は、広範な使用のためにDEET(登録商標)に対する耐性ができてきている。
【0004】
このため、施用区域にさらされ得る人々、植物及び他の動物に非毒性である昆虫又は有害生物忌避製剤を提供する必要性が存在する。別の必要性は、持続性効果を備え、それによって処理区域への頻繁な再施用の必要性を制限する有害生物又は昆虫防除製剤に対するものである。さらなる必要性は、特定の有害生物又は昆虫に有害であり得るが、ヒトに有害でなく、且つ環境に望ましくない効果を及ぼさない、このような有害生物又は昆虫防除製剤に対するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、アリ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシの防除及び忌避は、これらの昆虫を構造(I)、
【化1】
(式中、
Rは−OH、=O、−OC(O)R
4、−OR
6及び−(OR
6)
2から選択され、各R
6は独立に、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され、R
4は0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり;
XはO又はCH
2であり、但し、XがOである場合、Rは=Oでしかあり得ず;
各Zは独立に、(CH)及び(CH
2)から選択され;
yは1及び2から選択される数字であり;
R
1はH或いは0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択され;
R
2はH並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択され;
R
3はH、0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基、−(CH
2)
nOH、−C(O)OR
5、−CH
2C(O)OR
7、−CH
2C(O)R
8、−C(O)NR
9R
10及び−CH
2C(O)NR
11R
12から選択され、R
5、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は独立に、H並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択され且つnは1〜12のn整数であり;
環構造中の2位と3位との間の結合は単又は二重結合であり得;且つ
Rが=Oであり、X=CH
2且つyが1である場合に、構造(I)の化合物が13〜20個の炭素原子を含有するのを除いて、構造(I)の化合物は11〜20個の炭素原子を含有する)
の化合物の少なくとも1種と接触させることにより得られる。本発明はまた、構造(I)の化合物の光学異性体、ジアステレオマー及びエナンチオマーも含む。したがって、立体化学が明示的に定義されていない全ての立体中心で、全ての可能なエピマーが想起される。
【0006】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、アリ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシを防除するために、構造(I)の化合物が使用され得る。構造(I)の化合物は、ダニ及びゴキブリに毒性であることが分かっており、これらの他の昆虫が生息していることが分かっている又は疑われる区域又は環境に化合物を施用することにより該昆虫をうまく死滅させるために使用され得る。毒性を得る目的のために、構造(I)の化合物が11〜17個の炭素原子を含有することが好ましく、11〜14個の炭素原子を含有することがより好ましい。構造(I)の化合物は、例えば、溶液、油、クリーム、ローション、エアロゾルなどとして任意の適当な製剤で使用され得る。製剤は、クレンジング製品、ワイプ等の形態で使用され、皮膚又は無生物表面のいずれかに施用され得る。本発明の化合物は、持続性があり、頻繁な再施用を要しない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、アリ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシの防除及び忌避は、これらの昆虫を構造(I)、
【化1】
(式中、
Rは−OH、=O、−OC(O)R
4、−OR
6及び−(OR
6)
2から選択され、各R
6は独立に、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基から選択され、R
4は0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり;
XはO又はCH
2であり、但し、XがOである場合、Rは=Oでしかあり得ず;
各Zは独立に、(CH)及び(CH
2)から選択され;
yは1及び2から選択される数字であり;
R
1はH或いは0〜2個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択され;
R
2はH並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択され;
R
3はH、0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基、−(CH
2)
nOH、−C(O)OR
5、−CH
2C(O)OR
7、−CH
2C(O)R
8、−C(O)NR
9R
10及び−CH
2C(O)NR
11R
12から選択され、R
5、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は独立に、H並びに0〜3個の二重結合及び1〜15個の炭素原子を有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択され且つnは1〜12のn整数であり;
環構造中の2位と3位との間の結合は単又は二重結合であり得;且つ
Rが=Oであり、X=CH
2且つyが1である場合に、構造(I)の化合物が13〜20個の炭素原子を含有するのを除いて、構造(I)の化合物は11〜20個の炭素原子を含有する)
の化合物の少なくとも1種と接触させることにより得られる。本発明はまた、指定構造の光学異性体、ジアステレオマー及びエナンチオマーも含む。したがって、立体化学が明示的に定義されていない全ての立体中心で、全ての可能なエピマーが想起される。毒性を得る目的のために、構造(I)の化合物が11〜17個の炭素原子を含有することが好ましく、11〜14個の炭素原子を含有することがより好ましい。
【0008】
防除及び忌避化合物の好ましい群は、
Rが−OH及び=Oから選択され、XがCH
2であり、yが1又は2であり、各Zが(CH)及び(CH
2)から選択され、環中の2位と3位との間の結合が単結合であり、R
1及びR
2の一方がH又は−CH
3であり、R
1及びR
2の他方が9〜15個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり、且つR
3がHである
構造(I)の化合物である。
【0009】
防除及び忌避化合物の別の好ましい群は、
Rが−OH及び=O、より好ましくは=Oから選択され、XがCH
2であり、yが1又は2、より好ましくは1であり、各Zが(CH)及び(CH
2)から選択され、環中の2位と3位との間の結合が単又は二重結合、より好ましくは単結合であり、R
1及びR
2の一方がHであり、R
1及びR
2の他方が9〜15個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり、且つR
3が−C(O)OR
5及び−CH
2C(O)R
8から選択され、R
5及びR
8がそれぞれ、1〜6個の炭素原子、より好ましくは3〜5個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択され、さらにより好ましくは−CH
3である
構造(I)の化合物である。
【0010】
防除及び忌避化合物の別の好ましい群は、
Rが=Oであり、XがOであり、yが1又は2であり、各Zが(CH)及び(CH
2)から選択され、環の2位と3位との間の結合が単又は二重結合、より好ましくは単結合であり、R
1及びR
2の一方がHであり、R
1及びR
2の他方が9〜15個の炭素原子及び0〜3個の二重結合を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり、且つR
3が−C(O)OR
5及び−CH
2C(O)R
8から選択され、R
5及びR
7がそれぞれ、1〜6個の炭素原子、より好ましくは3〜5個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基から選択され、さらにより好ましくは−CH
3であり、且つ構造(I)の化合物中の炭素原子の総数が11〜17個、より好ましくは11〜14個の総炭素原子である
構造(I)の化合物である。
【0011】
防除及び忌避化合物の別の好ましい群は、
Rが=Oであり、XがOであり、yが1又は2であり、各Zが(CH)及び(CH
2)から選択され、環中の2位と3位との間の結合が単結合であり、R
1が5〜13個の炭素原子を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和アルキル基であり、R
2がH又は−CH
3であり、R
3がHであり、より好ましくは構造(I)の化合物が11〜14個の総炭素原子を含有するようにR
1が5〜10個の炭素原子のアルキル基である
構造(I)の化合物である。
【0012】
構造(I)の活性化合物は、例えば、それだけに限らないが、溶液、油、クリーム、ローション、シャンプー、エアロゾルなどの任意の適当な剤形に製剤化され得る。忌避製剤として使用される活性化合物の製剤を製造するために、それだけに限らないが、アルコール、エステル及び石油蒸留物などの伝統的な不活性担体が使用され得るだろう。別のシリーズの担体は、それだけに限らないが、Olestra(登録商標)群の油、ミリスチン酸イソプロピル及びスクアランを含む生分解性油を含む。
【0013】
製剤がエアロゾルとして使用される場合、噴霧剤を添加することが好ましい。適当な噴霧剤は、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素及びこれらの組み合わせを含む。
【0014】
上記製剤は、任意の従来手段、例えば、一つの活性化合物又は複数の活性化合物を1種又は複数の他の上記成分と混合することによって調製され得る。さらに、構造(I)の活性成分は、それだけに限らないが、N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET(登録商標))及びp−メンタン−3,8−ジオール(PMD)を含む既存の活性忌避剤又は毒物とブレンドされ得る。
【0015】
構造(I)の化合物の代表的な例は、それだけに限らないが、
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【化1-5】
【化1-6】
【化1-7】
【化1-8】
【化1-9】
【化1-10】
【化1-11】
【化1-12】
【化1-13】
【化1-14】
【化1-15】
【化1-16】
【化1-17】
【化1-18】
【化1-19】
【化1-20】
【化1-21】
【化1-22】
【化1-23】
【化1-24】
【化1-25】
【化1-26】
【化1-27】
【化1-28】
【化1-29】
【化1-30】
【化1-31】
【化1-32】
【化1-33】
【化1-34】
【化1-35】
【化1-36】
【化1-37】
【化1-38】
を含む。
【0016】
構造(I)の特に好ましい化合物は、メチルアプリトーン、メチルジヒドロジャスモネート、プロピルジヒドロジャスモネート、γ−ドデカラクトン、γ−トリデカラクトン、γ−テトラデカラクトン、γメチルドデカラクトン、γメチルトリデカラクトン、3−メチル−5−ペンチル−2−シクロヘキセノン、3−メチル−5−ペンチル−2−シクロヘキセノール及び3−メチル−5−ヘプチル−2−シクロヘキセノンを含む。
【0017】
本発明の活性防除薬剤は、刺咬性ハエ、イエバエ、ダニ、アリ、ノミ、ヌカカ、ゴキブリ、クモ及びカメムシに対する有効な防除薬剤である。刺咬性ハエは、それだけに限らないが、スナバエ、サシバエ、メクラアブ、ウマバエ、ブユ及びヌカカを含む。イエバエは、それだけに限らないが、一般的なイエバエ及び小イエバエを含む。ダニの例は、それだけに限らないが、シカダニ、一つ星ダニ(lone star tick)及びクリイロコイタマダニを含む。アリは、それだけに限らないが、オオアリ、弾丸アリ、ジャックジャンパーアリ、ファラオアリ及びアカヒアリを含む。ゴキブリは、それだけに限らないが、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、東洋ゴキブリ及び熱帯ゴキブリを含む。クモは、それだけに限らないが、クロゴケグモなどのクモの巣を張るクモを含む。カメムシは、それだけに限らないが、クサギカメムシ、ミナミアオカメムシ、アシアカカメムシ、ハーレクインバグ及びナガムギカスミカメを含む。
【0018】
任意の防除又は忌避製剤に利用される構造(I)の活性化合物の量は、使用される製剤の種類及び製剤が使用される昆虫又は有害生物に依存するが、一般的に、不活性担体中、約1質量%〜約30質量%に及ぶ。
【0019】
構造(I)の活性防除化合物は、衣類若しくは織物の表面に施用される又は衣類若しくは織物に含浸させられ得る。活性材料の量は約0.025g/ft
2〜約3.6g/ft
2となり得る。構造(I)の化合物がダニ用の毒物として使用される場合、化合物は、ダニに対する毒作用が望まれる区域又は環境の約0.025g/ft
2〜約4.79g/ft
2をもたらすように区域又は環境に施用される。
【0020】
本発明は、それだけに限らないが、以下の実施例によって示される。
【0021】
一般的にJ.Med.Entomol.43(6)、1248〜1252(2006)に記載されているような以下の手順によって、スナバエに対する防除が確認された。ショートパンツを着用したボランティアが着席した。皮膚マーキングテンプレート及び水で落ちるインクマーカーを使用して、K&Dモジュールの6つのセルの3cm×4cm床開口部により表される皮膚領域が、ボランティアの各脚の外、上及び内腿位置に描かれた。6つの処理セル長方形がそれぞれランダムなブロックを表し、各ボランティアが2本の腿の各々の上に3つのブロックを有していた。スナバエ(P.papatasi)に対する全ての処理が、イソプロピルアルコール/10%又は5%の化合物の処理/ulイソプロピルアルコールの55ulで、対象の皮膚の4cm×5cm長方形領域(そのため、処理により覆われる皮膚の領域は、テンプレートマークを全ての方向で0.5cm超えた)上に分注された。わずかに大きな領域を処理することが、各K&Dモジュールの下部領域が処理された皮膚のみを含有することを保証した。イソプロピルアルコールのみで処理された皮膚は対照として取り扱った。全ての試験で、K&Dモジュールの隣接セルに、10匹のスナバエが供給された。スナバエが装入されたK&Dモジュールが処理された皮膚領域上に配置され、その領域の上のK&Dモジュールのトラップドアが開かれた。皮膚暴露5分後に、トラップドアが閉められた。スナバエ咬傷の数が各セルについて記録された。この試験のデータが表1に提示されている。刺咬%は、100%とみなされる対照についての刺咬と比べた%である。
【表1】
10%の濃度では、試験された全ての化合物で完全な忌避がある。5%では、メチルジヒドロジャスモネート及びメチルジヒドロジャスモレートがまだスナバエの100%を忌避したが、メチルアプリトーン及びメチルアプリトールはそれぞれ90.1%及び87.5%を忌避した。
【0022】
本発明の化合物のサシバエを防除又は忌避する有効性を証明するために、以下の試験プロトコルが使用された。5連の100匹の性混合サシバエがそれぞれ遮蔽ケージに入れられた。サシバエが5つの加温血液充填膜壁に接近するようにケージが置かれた。膜は、全てイソプロピルアルコール中7%及び15%のメチルジヒドロジャスモネート、γ−ドデカラクトン、メチルアプリトーン若しくはDEET(登録商標)、又は対照としてのイソプロピルアルコールで処理された。各連で忌避剤の位置回転をして5連が試験された。サシバエの新しいバッチが各連に使用された。したがって、各試験試料が5つのウェル(well、縦穴)の各々で試験され、いかなる位置的偏りも排除されることを可能にした。各ウェルをプロービングしているサシバエの数が、2分間隔で20分間記録された。各ウェル上プローブの総数が、20分の観察期間の最後に数えられ、平均忌避百分率が各化合物について計算された。各処理膜上のプローブの平均数を比較するために分散の分析が行われた。対照についてのプローブの数が100%ベースラインとみなされ、試験化合物についての百分率は、対照プローブの数と比べた試験化合物についてのプローブの数に関する%である。結果は表2に示される。
【表2】
上記表に示されるように、全ての処理された膜が、対照に対して忌避した。メチルアプリトーン、メチルジヒドロジャスモネート及びγ−ドデカラクトンはそれぞれ、同じ濃度でDEET(登録商標)よりも優れて忌避した。
【0023】
サシバエに対する本発明者らの忌避剤の有効性を証明するためにヒト試験も行われた。相乗効果を証明するために、パラ−メンタン−3,8−ジオール(PMD)と組み合わせた構造(I)の化合物を用いた試験も行われた。1つの忌避剤をヒト対象の片腕に施用し、腕を50匹のサシバエを含有するケージに挿入することによって、1日当たり2つの昆虫忌避剤が試験された。暴露期間は、最初に確認される咬傷が被られるまで、30分間隔毎で5分間であった。最初の咬傷が確認されるまで、全てのセッション中に咬傷及びプローブが記録された。
【0024】
サシバエは周囲温度、相対湿度及び光周期で飼育された。50匹のハエの群がケージから吸引され、ハエを2つの試験ケージに放つために使用される遮蔽蓋のついた16オンスカップに放たれた。試験対象は、処理用に測定され、印をつけられた各前腕上の250cm
2の領域を有していた。処理領域の上及び下の隣接領域は、Elastikon(登録商標)サージカルテープで固定された弾性包帯で保護された。
【0025】
施用量は全ての忌避剤について0.65ml〜1ml/250cm
2の間であった。使用される忌避剤の実際の量は、250cm
2処理領域の完全な被覆をもたらす量に基づいた。忌避剤は、マイクロピペット又は注射器−針のいずれかを使用して施用された。次いで、忌避剤は手袋をした指で処理領域上に均一に広げられた。各試験対象の前腕は、最初の暴露の約30分前に風乾させられた。試験コーディネーター又は技術者が、試験対象の体を衣服の袖にこすりつけないよう注意して、試験対象が腕を試験ケージに挿入するのを援助した。処理された両腕がケージに挿入され、1ケージ当たり、2人の対象(4本の腕)が存在した。試験対象は、処理された前腕を試験ケージ中のハエに5分間暴露させた。次いで、試験コーディネーター又は技術者からの援助で、対象は腕をケージから取り出した。腕の忌避剤がもはや有効でない(「ブレークダウン」)ことが決定されるまで又は8時間が経過するまでのいずれか早い方まで、各腕の暴露が30分毎に反復された。
【0026】
ブレークダウンは最初の確認された咬傷が認められると生じる。確認された咬傷は、咬傷に同じ暴露期間又は次の続く暴露期間で第2の咬傷が続くと生じる。第2の咬傷は、確認する咬傷となり、ブレークダウン時間は第1の咬傷の時とみなされる。確認された咬傷が生じると、その腕で試験が中断される。以下の表3の結果は、2人の異なる試験対象での2回の試験の平均である。化合物はイソプロピルアルコールで希釈された。
【表3】
【0027】
上記表に示されるように、本発明者らの材料はPMDなどの既知の忌避剤と組み合わせられると相乗効果を示す。
【0028】
イエバエに対する本発明者らの化合物の有効性を証明するために、3連の50匹のイエバエが1×1×1フィート遮蔽ケージに放たれた。各ケージの底に、茶色クラフト紙が並べられ、4つの等しい4分の1区に分けられた。各4分の1区は、間に合わせの濾紙食品トレーを収容した。4枚の濾紙のうちの2枚が忌避剤で処理され、2枚がイソプロパノールで処理された。対照ケージは、イソプロパノールのみの4枚の濾紙で処理された濾紙を含有していた。1つの4分の1区当たりの濾紙上に静止しているハエの数が30分毎に合計6時間記録された。位置的偏りを排除するためにケージが回転された。以下の表4は、試験された化合物の全体的忌避を示している。試験試料の各々はイソプロピルアルコールで希釈された。
【表4】
【0029】
クリイロコイタマダニに対する防除が以下のプロトコルで確認された。1’’×3’’の濾紙条片が試験試料の各々1mlで処理されたアルミ箔のシート上に置かれ、乾燥させられた。各処理条片の端は同じ寸法の未処理濾紙条片にホッチキスで留められた。ホッチキスで留められた条片は、処理された半分が金属クリップによって水平ガラス棒に付着されて、トレーの上の垂直位置に吊るされた。条片が垂直に配置されると、処理されていない半分が下げられた。性混合されたクリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)は供給業者から購入された。各処理レジメン用の5連の5匹のダニに加えて、対照用の追加の5連が使用された。試験場所に輸送されたダニは、試験に使用される前に「輸送ストレス」に順応するため少なくとも1日が与えられた。緩慢又は瀕死に見えるダニ標本は使用されなかった。適当なダニが容器から取り出され、試験条片の自由端上で探索を許された。これらのダニがいったん条片上に存在したら、これらのダニは条片を這い上がるので、処理紙と接触するまで観察された。ダニがいったん処理ゾーンと接触して、方向転換した、さらに進むことなく停止した又は落下した場合、ダニは忌避されたと分類される。ダニが一時的に停止した後もなお、処理条片を這い上がり続けた場合には、そのダニは忌避されていないと分類された。処理領域に達した後に応答するダニのために1連当たり1分の最大観察時間が許されたが、試験中、より長い時間が必要とされた場合、試験コーディネーターの裁量で最大観察時間が調整されたかもしれない。観察時間の最後で、忌避されたダニの数が記録された。該当する場合、経時的に連続する連で影響を受けた又は忌避されたダニの数の増加が生じたかどうかなどの、ダニの挙動が記録された。各処理パラメータの完了後、排気ファンをつけ、チャンバーに続くドアを開けることによって、試験チャンバーが5分間換気された。ダニは1回のみ使用された。各挙動カテゴリーを示すダニの平均数が計算され、対照連と比較された。
【0030】
表5で以下に示されるように、この試験プロトコルでは、忌避剤を用いない対照はダニの0%を忌避した。γ−ドデカラクトン、メチルアプリトーン及びメチルジヒドロジャスモネートはそれぞれ、ダニの100%を忌避した。
【表5】
*PMD=p−メンタン−3,8−ジオール
【0031】
また、クリイロコイタマダニに対する6つの試験試料を評価するために第2の忌避アッセイが使用された。5連の5匹のダニが、未処理濾紙の垂直条片上で探索する機会を与えられ、次いで、6種の候補忌避剤又はDEET(登録商標)のうちの1つで処理された濾紙の第2の垂直条片に向かって上方に動くのを許された。対照の状況では、第2の条片がイソプロパノールで処理された。次いで、これらのダニが、忌避剤との接触に応じて引き起こされる方向又は挙動の変化について観察された。ダニは忌避された又は忌避されていないのいずれかとして記録された。化合物はイソプロピルアルコールで希釈された。忌避されたダニの百分率が表6で以下に示されている。
【表6】
【0032】
本発明の化合物のダニに対する毒性(死亡率)について試験するために以下のプロトコルが使用された。各処理について5連の5匹のイヌダニが存在した。5連の5匹のダニはいかなる処理も受けず、対照として働いた。濾紙条片がアルミ箔のシート上に置かれ、試験試料の各々の十分量が紙を完全に浸すよう施用された。次いで、紙が巻かれ、ガラスシェルバイアルの側面の線に関してガラスシェルバイアルの内側に置かれた。次いで、同様に試験試料に浸された小型ペーパーディスクがバイアルの底に置かれた。次いで、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)が、内側に試験試料のいくらかが塗られたアルミ箔で覆われたバイアルに導入された。ダニは、試験の持続期間中、バイアルにとどまり、試験試料に常に暴露された。換気のために箔を通る小型の孔があけられた。各対照連は、処理されていないことを除いて上に概説されるのと同じ手順に供された。対照は、試験の持続期間、試験連と同じ領域に配置された。死亡率の観察は24時間でなされた。ダニは、生きている(正常に動くことができる)、瀕死の状態である(瀕死の状態であると分類されるダニはいくらかの運動を示すが、協調して這うことができない、若しくは仰向けに置かれると立ち直ることができない)又は死んでいる(物理的刺激後に運動がない)として分類された。全ての死んでいるダニが、動くことができないことを確認するためにプロービング又は動揺によって確認された。肉眼で見える運動を示すいずれのダニも瀕死の状態であると記録された。24時間で、ダニ死亡率は、対照については0%、γ−ドデカラクトンについては100%、メチルアプリトーンについては100%且つメチルジヒドロジャスモネートについては76%であった。集計結果については表7を参照されたい。
【表7】
【0033】
以下のプロトコルを使用してファラオアリが試験された。ポスターボードの17’’×23’’長方形シートの側面が、6’’円内の領域を除いて、試験試料又はアセトンを噴霧された。処理ポスターボードは乾燥させられた。5匹の働きアリが6’’未処理円の中心に配置され、処理表面上へ円の外側を歩き回ることを許された。処理−未処理界面でのアリの挙動が、解放後5分間記録された。試験化合物はアセトンで希釈された。
【表8】
【0034】
以下のプロトコルを使用して本発明の化合物のチャバネゴキブリを防除又は忌避する有効性が証明された。1個の食物ペレットがそれぞれ、忌避材料の1つで処理された紙正方形(ステーション)に置かれた。材料はアセトン中50%に希釈され、純粋なアセトンステーションも使用された。両ステーションがアリーナの同じ側に置かれた。ゴキブリは、2日間飢餓状態にされ、次いでアリーナに放たれた。ゴキブリはいずれかの食物ペレットを食物とする選択肢を与えられた。アセトン処理ステーション及び未処理ステーションを用いた対照アリーナも使用された。アリーナ内のゴキブリの分布が30分間隔で4時間にわたって記録された。未処理ステーション上のゴキブリの数対ステーション上のゴキブリの総数によって4時間での忌避が計算された。忌避は、食物を食べなかったゴキブリを除外している。表9はこれらの結果を示している。
【表9】
【0035】
さらに、以下のプロトコルの下で、強制暴露試験によって毒性が確認された。濾紙円が試験化合物で処理された。ゴキブリが処理円に放たれ、ペーパーディスク上に置かれた倒立プラスチックシリンダーで覆われた。ゴキブリは24時間基板上に残され、死亡率について確認された。
【表10】
【0036】
以下のプロトコルを使用してクロゴケグモに対する防除が確認された。試験試料で処理された一半分及びイソプロパノールで処理された他半分の2つのカード用紙チューブシェルターを含有する1つの試験容器が調製された。クモがチューブの中心に導入された。次いで、クモはシェルターの一端に動く選択肢を与えられた。翌日、クモの位置が記録され、未処理半シェルターを含有するシェルターの結果と比較された。
【0037】
試験の日に、2つのシェルターの1つに、2オンスポンプスプレーボトルを使用して、試験試料溶液が噴霧された。クモが大概接触する表面のみが処理された。そのため、末端ディスクを含むシェルターチューブの1つの内側のみに(クモはシェルターの外側部分に接近することができない)噴霧された。製品の総量が秤量及び記録された。処理表面が、最小で1/2時間又は臭いによって溶媒が検出され得なくなるまで乾燥させられた。この時、シェルターチューブが組み立てられた。
【0038】
短いチューブを形成するために、カード用紙チューブシェルターが手紙半分の大きさのシート(5 1/2’’×8 1/2’’)の紙を丸め、テープ止めして構築された。各々の一端がカード用紙の円で覆われた一方、他端が後で他の半シートの開口端にテープ止めされ、1つの長いチューブを形成した。各紙円は観察のために中心にあけられた孔を有し、円は透明なプラスチック包装及びテープ並びに/又は輪ゴムで固定された。溶媒処理半分が、耐溶剤インクの鉛筆又はペンで内及び外壁に「C」と標識された。最終的なチューブシェルターを形成する前に、いったん2つのチューブがテープ止めされたら、孔がクモを導入するためにチューブの上部及び接合部に対応するように、半円孔が各シートの周縁部の1つに刻まれた。
【0039】
各試験試料についてこのように25のアリーナが調製された。5連の5匹のクモが存在した。追加の25の対照アリーナも調製された。対照アリーナは、噴霧されるべき領域がイソプロパノールのみを噴霧されたことを除いて同様に調製された。
【0040】
5匹のクモの連が各試験製剤及び対照について選択された。標本は全体的な健康状態について視覚的に調査された。試験開始前に非応答性のクモ又は非協調的運動を示した標本は除かれた。クモは、軟性鉗子を使用して又は画家用筆で少し機嫌をとって保持バイアルに直接移された。クモの共食い性癖のために、各バイアルはクモ1匹のみを含有した。そこで、クモは試験の時間まで収容された。
【0041】
試験開始時、クモは、1アリーナ当たりクモ1匹のみで、シェルターチューブの上部の開口部を通して中央に直接入れられ、開口部が覆われた。この導入後、クモが試験試料への暴露から大きな動揺又は病的状態の徴候を示すかどうかを観察するために、クモの運動が短時間監視された。クモは24時間放置され、その時間後、アリーナ内のクモの位置が記録された。試験忌避剤で処理されたシェルターの内側に存在するクモは耐性があるとみなされた。
【0042】
分布結果が表11で以下に要約される。
【表11】
【0043】
クサギカメムシ(BMSB)に対する本発明者らの材料の忌避を証明するために、それぞれ2枚の半円濾紙(処理されている1枚及び処理されていない1枚)を用いて5連アリーナが設定された。処理された半円濾紙は、未処理半分半円濾紙の隣の各試験アリーナの底に置かれた。試験アリーナの底を完全に覆うために2枚の半円濾紙が並べられた。両方がアセトンで処理されていることを除いて同様に対照アリーナも設定された。次いで、5連の5匹のBMSBが処理アリーナと対照アリーナの両方に導入された。BMSBをアリーナの中心に放つことによって、BMSBは処理対未処理基質(又は未処理対対照アリーナの未処理)の選択肢を与えられた。BMSBの忌避は処理24時間後に記録された。結果は以下の表12において要約されている。
【表12】
【0044】
本発明がその具体的な実施形態に関して本明細書で記載されているが、本明細書に開示される発明概念の精神及び範囲から逸脱することなく、変更、修正及び変形がなされ得ることが認識されるだろう。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に入る全てのこのような変更、修正及び変形を包含することが意図されている。