(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133435
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】携帯デバイスの外部制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04B 5/02 20060101AFI20170515BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20170515BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20170515BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
H04B5/02
H04N5/225 F
H04M1/00 U
H04B1/59
【請求項の数】48
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-547096(P2015-547096)
(86)(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公表番号】特表2016-509382(P2016-509382A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】FI2012051240
(87)【国際公開番号】WO2014091059
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】カリ ユハニ
【審査官】
後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−066495(JP,A)
【文献】
特開2006−013844(JP,A)
【文献】
特開2002−218300(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/058724(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B5/00−5/02
H04B 1/59
H04M 1/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを備え、近接通信プロトコルに従って近接デバイスと無線通信するように構成される近接通信回路と;
不要なときに前記近接通信回路を無効にするように構成される省電力回路と;
前記近接通信回路の電源がオフのとき、電磁信号によって前記アンテナに生じる電圧を検出するように構成される検出器と;
を備える装置であって、
前記電圧の検出は、電磁信号が近接通信プロトコルに準拠しているかとは無関係であり、
前記検出器は更に、前記検出された電圧に応じてイベントをトリガーするように構成される、
装置。
【請求項2】
前記装置は更にカメラユニットを備え、前記イベントは前記カメラユニットに対して命令を出すことである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記命令は撮像命令である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記命令はオートフォーカスロック命令である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は更にカメラユニットを備え、前記イベントは前記カメラユニットの電源を入れることである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記電磁信号は規則波形を有する、請求項1から5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記近接通信回路は近距離無線通信回路である、請求項1から6の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記近接通信回路は無線周波数識別回路である、請求項1から6の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記検出器は更に、2つ以上の異なる電源レベルから前記検出された電圧に対応するものを決定し、前記決定された電圧レベルに応じて、2つ以上のイベントの中から1つをトリガーするように構成される、請求項1から8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記検出器は更に、前記電磁信号の変動によって前記アンテナに生じる複数の異なる電圧からなる所定のシーケンスを決定し、前記所定のシーケンスの決定のみに応じて、前記イベントのトリガーを可能にするように構成される、請求項1から9の何れかに記載の装置。
【請求項11】
前記検出器は更に、前記電磁信号の周波数を検出し、2つ以上の異なる周波数から前記検出された周波数に対応するものを決定し、前記決定された周波数に応じて、2つ以上のイベントの中から1つをトリガーするように構成される、請求項1から10の何れかに記載の装置。
【請求項12】
所定の作動時間後に前記イベントをトリガーすることを無効するように構成されるタイマーを更に備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記作動時間は5分間である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記作動時間は、前記イベントをトリガーするときに再開される、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記検出器は、前記アンテナを除く前記近接通信回路を迂回するように構成される、請求項1から14の何れかに記載の装置。
【請求項16】
前記検出器は比較器を備える、請求項1から15の何れかに記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、イベントをトリガーするために前記検出器と並列に接続される、ユーザが利用可能なスイッチを備え、
前記検出器はダイオードを備え、前記ダイオードは、前記ユーザが利用可能なスイッチによって生成された信号が前記アンテナに伝達するのを抑制するように構成される、
請求項1から16の何れかに記載の装置。
【請求項18】
ユーザ命令を検出するように構成されるユーザ入力と、送信機とを備え、前記送信機が、外部装置でイベントをトリガーするために、前記ユーザ入力による前記ユーザ命令の検出に応じて、前記外部装置の近接通信回路に電磁信号を送信し、かつ前記電磁信号を規則波形で送信するように構成されるデバイスであって、
前記デバイスは機械式コネクタを更に備え、前記機械式コネクタは、前記デバイスを前記外部装置に装着するように構成される、デバイス。
【請求項19】
前記ユーザ入力は、複数の異なる種類のユーザ命令を受け取るように構成され、前記送信機は、対象とする前記ユーザ命令の種類を示す出力レベルで前記電磁信号の送信を行うように構成される、
請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
ユーザ命令を検出するように構成されるユーザ入力と、送信機とを備え、前記送信機が、外部装置でイベントをトリガーするために、前記ユーザ入力による前記ユーザ命令の検出に応じて、前記外部装置の近接通信回路に電磁信号を送信し、かつ前記電磁信号を規則波形で送信するように構成されるデバイスであって、
前記ユーザ入力は、複数の異なる種類のユーザ命令を受け取るように構成され、前記送信機は、対象とする前記ユーザ命令の種類を示す周波数で前記電磁信号の送信を行うように構成される、
デバイス。
【請求項21】
前記電磁信号は、第1のユーザ命令に対して、前記外部装置の通信回路における特定の周波数範囲で送信され、第2のユーザ命令に対して、前記特定の周波数範囲以外で送信される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記送信機は更に、振幅及び周波数のうち少なくとも1つが変化する複数の異なる電磁信号からなる所定のシーケンスを送信するように構成される、請求項18から21の何れかに記載のデバイス。
【請求項23】
ユーザ命令を検出するように構成されるユーザ入力と、送信機とを備え、前記送信機が、外部装置でイベントをトリガーするために、前記ユーザ入力による前記ユーザ命令の検出に応じて、前記外部装置の近接通信回路に電磁信号を送信し、かつ前記電磁信号を規則波形で送信するように構成されるデバイスであって、
前記デバイスは装着識別子を更に備え、前記装着識別子は、前記デバイスが前記装置に物理的に装着されたかを識別するように構成され、前記送信機は、前記デバイスが前記装置に物理的に装着されたという識別に応じて、所定のシーケンスを送信するように構成される、デバイス。
【請求項24】
前記規則波形は正弦波である、請求項18から23の何れかに記載のデバイス。
【請求項25】
前記規則波形は矩形波である、請求項18から23の何れかに記載のデバイス。
【請求項26】
アンテナを備える近接通信回路によって、近接通信プロトコルに従い近接デバイスと無線通信することと;
不要なときに前記近接通信回路を無効にすることと;
前記近接通信回路の無効のとき、電磁信号によって前記アンテナに生じる電圧を検出することであって、
前記電圧の検出は、電磁信号が近接通信プロトコルに準拠しているかとは無関係である、前記検出することと;
前記検出された電圧に応じてイベントをトリガーすることと
を含む、方法。
【請求項27】
前記イベントはカメラユニットに対して命令を出すことである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記命令は撮像命令である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記命令はオートフォーカスロック命令である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記イベントはカメラユニットの電源を入れることである、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記電磁信号は規則波形を有する、請求項26から30の何れかに記載の方法。
【請求項32】
前記近接通信回路は近距離無線通信回路である、請求項26から31の何れかに記載の方法。
【請求項33】
前記近接通信回路は無線周波数識別回路である、請求項26から31の何れかに記載の方法。
【請求項34】
2つ以上の異なる電源レベルから前記検出された電圧に対応するものを決定することと、前記決定された電圧レベルに応じて、2つ以上のイベントの中から1つをトリガーすることとを更に含む、請求項26から33の何れかに記載の方法。
【請求項35】
前記電磁信号の変動によって前記アンテナに生じる複数の異なる電圧からなる所定のシーケンスを決定することと、前記所定のシーケンスの決定のみに応じて、前記イベントのトリガーを可能にすることとを更に含む、請求項26から34の何れかに記載の方法。
【請求項36】
前記電磁信号の周波数を検出することと;
2つ以上の異なる周波数から前記検出された周波数に対応するものを決定することと;
前記決定された周波数に応じて、2つ以上のイベントの中から1つをトリガーすることと
を更に含む、請求項26から35の何れかに記載の方法。
【請求項37】
所定の作動時間後に前記イベントをトリガーすることを無効することを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記作動時間は5分間である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記イベントをトリガーするときに前記作動時間を再開することを更に含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記アンテナでの電圧の検出に対して、前記アンテナを除く前記近接通信回路を迂回することを更に含む、請求項26から35の何れかに記載の方法。
【請求項41】
ユーザ命令を検出することと;
外部装置でイベントをトリガーするために、前記ユーザ命令の検出に応じて、前記外部装置の近接通信回路に電磁信号を送信することと;
を含む方法であって、複数の異なる種類のユーザ命令を受け取ることと、対象とする前記ユーザ命令の種類を示す周波数で前記電磁信号を送信することとを更に含み、前記電磁信号は規則波形で送信される、方法。
【請求項42】
対象とする前記ユーザ命令の種類を示す出力レベルで前記電磁信号を送信することを更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記電磁信号は、第1のユーザ命令に対して、前記外部装置の通信回路における特定の周波数範囲で送信され、第2のユーザ命令に対して、前記特定の周波数範囲以外で送信される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記送信機は更に、振幅及び周波数のうち少なくとも1つが変化する複数の異なる電磁信号からなる所定のシーケンスを送信するように構成される、請求項41から43の何れかに記載の方法。
【請求項45】
近接通信プロトコルに従って近接デバイスと無線通信する近接通信手段であって、前記近接通信手段はアンテナ手段を備える、前記近接通信手段と;
不要なときに前記近接通信回路を無効にする省電力手段と;
前記近接通信回路の電源がオフのとき、電磁信号によって前記アンテナに生じる電圧を検出する検出手段と;
を備える装置であって、
前記電圧の検出は、電磁信号が近接通信プロトコルに準拠しているかとは無関係であり、
前記検出手段は更に、前記検出された電圧に応じてイベントをトリガーするものでもある、
装置。
【請求項46】
ユーザ命令を検出するユーザ入力手段と;
送信手段と;
を備えるデバイスであって、
前記送信手段は、外部装置でイベントをトリガーするために、前記ユーザ入力手段による前記ユーザ命令の検出に応じて、前記外部装置の近接通信回路に電磁信号を送信し、かつ前記電磁信号を規則波形で送信するものであり、
さらに前記デバイスは、複数の異なる種類のユーザ命令を受け取る手段と、対象とする前記ユーザ命令の種類を示す周波数で前記電磁信号を送信する手段とを備える、
デバイス。
【請求項47】
請求項1から17、及び45の何れかに記載の装置と、請求項18から25、及び46の何れかに記載のデバイスとを含む、システム。
【請求項48】
請求項26から40の何れかに記載の方法と、請求項41から44の何れかに記載の方法とを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に携帯デバイスの外部制御に関し、限定するものではないが具体的には、物理的に装着される付属装置による携帯デバイスの外部制御に関する。
【0002】
携帯電話のような携帯デバイスは通常カメラユニットを備える。こうした携帯デバイスはほぼ何時何処でも写真を撮ることができて便利であるが、それは、ユーザが事実上常に携帯電話を持っているためだからである。
【0003】
カメラ付き携帯デバイスはごく一般的なものであるが、通常、その主な用途は写真撮影以外にもある。こうした携帯デバイスは携行性を高めるために通常よりも薄くて軽い作りになっているが、こうした作りがカメラ使用の妨げになることもある。デジタル技術の発展により、カメラのフォームファクタはこれまでとは全く異なるものが可能になっているが、実際のカメラは、何十年も前の前時代的な形のままで作られている。多くのカメラは、その右手側の端に自然なグリップを強調し、シャッターレリーズのような最も重要なボタンをグリップ上でユーザの指の近くに配置するようにしている。こうしたカメラのボタン配置は、人間工学的な理由だけでなく、意図しない画像のぶれに繋がるカメラの手ぶれを抑えるためにも重要である。
【0004】
ある特定ブランドの携帯電話用として、グリップとシャッターレリーズ位置を改善する様々な付属品もある。通常、こうした付属品は携帯電話に装着して専用ドックコネクタに接続される。これによりユーザは、使い易い場所にあるシャッターレリーズを押下すると、携帯電話のカメラユニットにシャッター命令を与えることができる。
【0005】
本出願は、携帯デバイスの外部制御に対して、現存する解決手段における特定の問題に取り組むこと、及び/又は新しい技術的解決手段を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の種々の例示的態様は特許請求の範囲に提示されている。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、出願当初の請求項1に記載の装置が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、出願当初の請求項18に記載のデバイスが提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、出願当初の請求項27に記載の方法が提供される。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、出願当初の請求項42に記載の方法が提供される。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、出願当初の請求項47に記載の装置が提供される。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、出願当初の請求項48に記載のデバイスが提供される。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、出願当初の請求項49に記載のシステムが提供される。
【0014】
本発明の第8の態様によれば、出願当初の請求項50に記載のプロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の例示的実施形態をより完全に理解するために、添付図面と合わせて参照する詳細な説明について記述する。
【0016】
【
図1】本発明の例示的実施形態に従うシステムのアーキテクチャの概要を示す。
【0017】
【
図2】本発明の例示的実施形態に従う、
図1に示した装置の複数の要素に関するブロック図を示す。
【0018】
【
図3】本発明の例示的実施形態に従う装置における複数の要素に関するブロック図を示す。
【0019】
【
図4】例示的実施形態に従う、命令伝送を許可する例示的シーケンスを示す。
【0020】
【0021】
【
図6】例示的実施形態に従って示されたアンテナに送信される電磁信号の別々の状態例を示す。
【
図7】例示的実施形態に従って示されたアンテナに送信される電磁信号の別々の状態例を示す。
【0022】
本発明のある例示的実施形態とその可能性のある利点は、添付の
図1から
図7を参照して理解されよう。
【0023】
図1は、本発明の例示的実施形態に従うシステムのアーキテクチャの概要を示す。このシステムには装置100とデバイス200がある。装置100は例えば、携帯電話やカメラ、携帯情報端末、ゲームコンソール、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ナビゲーション装置等の携帯装置である。以降では便宜上、実施例として携帯電話を用いる。デバイス200は例えば、追加グリップ等の付属装置である。
【0024】
装置100はシャッターレリーズ110とカメラユニット120を備える。カメラユニットは裏面に光学部品を備え、
図1では破線で示されている。また、オートフォーカス回路や処理回路、ソフトウェアも備える(但し、何れも図示せず)。例示的実施形態によっては、装置100は更に、タッチスクリーン等のディスプレイ130や1つ又は複数のボタン140のセット、カメラ取付ねじを受けるねじ山150を備える。例示的実施形態によっては、装置100は更に、デバイス200が装置100に装着されたかを検出するように構成されるデバイスセンサ160を備える。デバイスセンサ160は例えば、リードセンサやマイクロスイッチ、又は装置100の接点を短絡させる回路を用いて実装することができる。
【0025】
デバイス200は、1つ又は複数のボタンを伴うユーザ入力210を備える。これらのボタンは、1つ又は複数の異なる種類のユーザ指示を受け取るように構成される。デバイス200は更に送信機220を備える。この送信機は電磁信号222を送信し、装置100の近接通信回路の近接アンテナに送る電圧を発生するように構成される(
図2を参照)。デバイス200は更に、バッテリ230等の電源も備える。デバイス200は非常に簡易な構造にすることができる。例えば、ユーザ入力210が行われると送信機が一定の波信号の送信を開始し、ユーザ入力210の作動が終わると送信を停止するような構造にすることができる。例示的実施形態の一部で要求されるより洗練された動作を可能にするために、デバイス200は更にプロセッサ240とメモリ250、ソフトウェア260を備えることもできる。プロセッサとメモリは別々に描かれているが、集積回路のような共通回路でも作成可能であることに留意されたい。これは、本出願の多種多様な信号要素に対しても同様である。こうした要素は自由に組み合わせてもよく、所望すれば2つ以上の別々の要素に分けることもできる。また、全ての要素が必ずしも必要というわけでもない。例えば、プロセッサ240がタイマーとして動作してもよく、別個のタイマーを備えることもできる。さらに、デバイス200を装置100に対して確実に装着するために、ねじ270を備えることもできる。あるいは、デバイス200は、装置100に装着するためのスナップ装着部材や磁石、粘着テープ、係止形状及び部材を備えることもできる。例示的実施形態によっては、装置200は更に、デバイス200が装置100に装着されるときを感知し、それに応じて装置100に給電するように構成される装置センサ280を備える。
【0026】
図2は、装置100の複数の要素に関するブロック図を示す。装置100はアンテナ160と近接通信送受信機165、アンテナ電圧検出器170、プロセッサ175、メモリ180、ソフトウェア185、ユーザインタフェース190を備える。ユーザインタフェースは例えば、ディスプレイ130とシャッターレリーズ110、1つ又は複数のボタン140を備える。装置100は更に、バッテリ197等の電源とタイマー197も備える。
【0027】
本出願において近接通信は、近距離無線通信(near field communication)又は無線周波数識別通信(radio frequency identification communication)を意味する。近接通信送受信機165は、動的デバイスでも静的デバイスでもよい。すなわち、電源195からの給電で動作してもよく、近接通信信号から受け取った電力で動作してもよい。本出願において、近接通信送受信機165のアンテナ160は、実際に送受信機165を用いなくても検出器170と共に用いることもできる。すなわち、送受信機の電源が入っているかどうかに関わらず、電磁信号222によってアンテナ160に電圧が生じる。実際には、装置100全体のスイッチがオフになっていても電磁信号222によってアンテナ160に電圧が生じることもある。また、検出器170が近接通信送受信機165を迂回することもできる。アンテナ160に生じる電圧は、受信した電磁信号222の振幅、及び受信電磁信号の周波数に対するアンテナの感度に依存する。ある例示的実施形態において、検出器170は、アンテナ160での電圧によって自動的に検出器がイベントをトリガーするような簡易な部品で組み立てられている。装置100が電源オフ状態にある場合、このイベントによって電源をオンにすることができる。装置100の電源が入っている場合、このイベントによってカメラアプリケーションを起動し、カメラユニットの電源をオンにする又はカメラユニットを有効にすることができる。例示的実施形態によっては、カメラユニットの中の電力駆動コンポーネントの一部又は全ての電源をオフにすることによって、カメラユニットを無効にすることもできる。カメラアプリケーションが既に起動している場合、また例示的実施形態によっては起動していない場合でも、イベントによってカメラユニット120で写真を撮ったり、カメラユニットのオートフォーカスをロックしたりすることができる。撮像及びオートフォーカスをロックする命令は、通常、ユーザが装置100を使って直接カメラユニットに出すことができる命令の例である。しかし、デバイス200と装置100が動作できるように構成されていれば、デバイス200を用いて命令を出すこともできる。
【0028】
電磁信号222は、近接通信送受信機165が対応する近接通信に準拠する必要はない。これにより、デバイス200の構造要件及び機能要件を格段に下げることができる。しかし、電磁ノイズによってアンテナ160に電圧が生じ、その結果望ましくないときにイベントをトリガーしてしまう可能性もある。このため、種々の例示的実施形態において次の手段が提供される:a)装置のユーザが検出器170を有効及び無効にできるようにすること;b)検出器170が有効である間、及び/又は、ユーザインタフェース190による命令の時点で制限時間(例えば、5分間の作動時間)を設けること;c)電磁信号222によって所定のシーケンスが与えられているかをプロセッサ175で調べ、それまでの間は検出器170がイベントをトリガーしないようにすること(例えば、イベントはプロセッサ175を通じてトリガーされるが、シーケンスが検出されない限り、プロセッサはイベントを通過させない);d)プロセッサ175が検出器170に、所定の作動時間において、シーケンス検出の時点で、又はその作動時間に検出された直前の電磁信号の検出の時点で、イベントをトリガーできるようにすること;e)装置100のユーザから音声命令を受け取ること;f)デバイスセンサ160がデバイス200の装着を検出しないときは検出器170を無効にしておくこと;又はg)前記事項の任意の組合せ。例えば、音声命令は容易に検出可能な発声でもよく、音声認識によって認識される単語ででもよい。一部の例示的シーケンスは
図4に示されている。
【0029】
次に、
図3の例示的実施形態を用いて検出器170の構造を検討する。
図3には、カメラ回路のアンテナ160とシャッターレリーズ110、シャッター入出力320、及び近接通信ユニット310が示されている。近接通信ユニットは例えば、適合するソフトウェアを伴う集積回路である。検出器170は、例えば近接通信ユニット310によって制御されるダイオード172と抵抗174、スイッチ176を備える。ダイオード172には二つの機能がある。第1の機能は、シャッターレリーズ110がアンテナ160に影響を及ぼすのを実際に防止することである。第2の機能は、ダイオード172に順電圧がかかることである。すなわち、ダイオード172が電圧を例えば0.7Vまで落とし、これによって、無線ノイズのために(実際に存在しないときでも)電磁信号222の誤検出を引き起こす確率を減らすことができる。
【0030】
検出器170は更に比較器(図示せず)を備えてもよい。または、単に適切な抵抗174を使って、設定した閾値を超える電圧だけがイベントをトリガーできるようにすることもできる。ある例示的実施形態において、検出器170は、例えばシャッターレリーズ命令をトリガーする制御可能スイッチとして動作するように構成されるトランジスタを備える。検出器170がトリガーする電圧レベルは、例えば1つ又は複数の抵抗を使って調節可能である。例示的実施形態によっては、別々の種類のイベントをトリガーしたり、複数の特定の電圧又は電圧範囲を検出したりするために、検出器170が例えば、別々の出力に対してトリガー信号を出す2個以上のトランジスタを備える。検出器170は非常に簡易な構造で、例えば、1個又は2個のトランジスタ、場合によっては1個又は複数の抵抗のような静的コンポーネントも含めて作ることができる。
【0031】
装置100は更に、例えば電源をオフすることによって近接通信ユニット310を無効にする省電力回路を備える。例示的実施形態によっては、省電力回路は、制御スイッチ330とプロセッサ340のような制御要素で形成される。
図3では、アナログ/デジタル(A/D)変換器350が検出器170の出力とプロセッサ340を通信できるように接続し、それによって、プロセッサ340は検出器170によって与えられる出力信号を検出することができる。プロセッサ340は装置100の他の機能を制御できてもよいが、必ずしも必要というわけではない。例えば、プロセッサ340は、近接通信ユニット310の一部又は全てのロジックを伴う共通の特定用途向け集積回路(ASIC)に形成することができる。この場合、プロセッサ340は、近接通信ユニット310の有効・無効といったユーザの選択を反映するコントローラからの入力を受け取らなくてはならない。こうして、プロセッサ340は、近接通信ユニット310を無効にすべき又は有効にすべきときを検出し、それに応じて近接通信ユニット310と電源の接続を切ったり繋げたりすることができる。
【0032】
代替の例示的実施形態では、省電力回路は、A/D変換器とプロセッサの代替としてアナログ電子回路から、又はアナログ電子回路を伴って形成される。アナログ電子回路は、近接通信ユニット310に命令が出されたことを検知し、それに応じて作動時間中に近接通信ユニット310へ給電し続けるように構成される。こうしたアナログ電子回路は通常のコンポーネントとトポロジーを用いて形成することができ、例えば、簡易な遅延回路を形成する1つ又は複数のコンデンサ、トランジスタ及び抵抗を用いて形成することができる。遅延回路は、制御スイッチ330が作動時間中は導通状態に維持し、信号が近接通信ユニット310に来る度に作動時間を再開するように構成することができる。
【0033】
ある例示的実施形態において、装置100は、アンテナ160で生じる十分な大きさの電圧に応じて電源をオンにするように構成される。こうした実施形態では、装置は、検出器170の出力を装置の電源スイッチ(図示せず)に直接送るか、別の電子コンポーネントを通じて送るように構成されてもよい。
【0034】
近接通信ユニット310の通常動作では、アンテナ160で電圧が生じる。こうした電圧が高過ぎて電磁信号222の誤検出を引き起こす可能性がある場合、選択的に検出器170を無効にするためにスイッチ176を設けることができる。誤検出が発生しそうなとき、あるいは発生したときにスイッチ176を開放することによって、選択的に検出器170を無効にすることができる。スイッチ176がない場合、(
図3を考慮すると)その場所は直結されている。
【0035】
アンテナ160から検出器170への入力として、サンプル波形(正弦波)が描かれている。ダイオード172や、抵抗174等の可能な他の経路によって電圧が降下すると、振幅も若干小さくなる。また、ダイオード172はサンプル波形のうちダイオードの順バイアスを超える部分のみを通過させるため、一連のピーク部分は残される。こうしたダイオード172の位置によって、ダイオード172は近接通信ユニット310の通常動作を妨げない。こうした信号がシャッター入出力の実装に合わない場合、検出器170の出力を均すためにコンデンサを使用することもできる。例えば、グランドと検出器170の出力の間にコンデンサを接続してもよい。
【0036】
図4は、ある例示的実施形態に従う、デバイス200から装置100への命令の伝送を許可する例示的シーケンスを示す。これらのシーケンスは、送信機220の出力信号を制限するのに適用される電力エンベロープ(power envelope)を示している。実際の信号形態は、矩形波や三角波、正弦波等の単純な規則波形を有することができる。
図4の下にある2つのシーケンスでは、電磁信号222の振幅が2つの異なるレベルの間のみで変化している。例えば、デバイス200が装置100に取り付けされたときにアンテナ160で生じる電圧は、5Vと10Vの間で変化してもよい。
図4の上に向かって隣接する次の2つのシーケンスでは、電磁信号222の振幅が3つの異なるレベルの間で変化している。それぞれのレベルが等間隔である必要がないことに留意すべきである。最後の(
図4最上部の)シーケンスは、目盛0と2の間を10分の1単位で丸めた正弦曲線に従って、更に細かい粒度で描かれている。このシーケンスは、インパルスステップのない純粋な正弦波でもある。命令伝送の許可によって、インターフェース信号がアンテナ160で電圧変動を引き起こす場合に、意図しないイベントのトリガーを防止することができる。
【0037】
図3は命令の存在又は命令の不在のみを検出できる検出器を示している。しかしシャッター入出力320は、長く続く電磁信号222を短いものと区別し動作するように構成することができる。例えば、最初に検出器170で信号が受け取られると、現在の設定で写真を撮り、更にその信号が特定の閾値時間を越えて続く場合は、撮影した写真をカメラ回路から何処にも送らずに棄てつつ、オートフォーカスは現在の設定のままでロックしておくように動作させることもできる。一方、検出器が電圧レベル等に基づいて2種類以上の異なる命令を区別するように構成される場合、その検出器はそれぞれに対応するイベントをトリガーすることができる。
【0038】
図6は、電磁信号222の2つの異なる状態の例を示す。これらの状態はそれぞれに対応する別々の電圧をアンテナ160に生じさせる。ここで、電圧は例えば5Vと10V(ピーク・ピーク電圧)であり、それぞれ第1の状態と第2の状態に対応する。周波数は両方の状態とも同じで、例えば13.56 MHzでもよい。一方、
図7は、周波数が異なる電磁信号222の2つの異なる状態である第3の状態と第4の状態を示す。この図では、後者である第4の状態が前者である第3の状態よりも周波数が20%高くなっている。こうした差によって、2つの状態の周波数がアンテナ160の共鳴周波数に近ければ、アンテナ160は、それらの状態のうち他方と比べて明らかに高い電圧を持つ状態の方を受信するようになる。一方、アンテナ160で生じる電圧が両方で同じでもよい。例示的実施形態によっては、検出器170は、電圧の代わりに周波数に基づいて、又は電圧と周波数の両方に基づいて、所定の電磁信号222を検出するように構成される。この目的のために、検出器170は、周波数変調検出器や周波数弁別器を備えることもできる。
【0039】
電磁信号222は、
図6及び7の第1から第4の状態で示されるような2つ以上の異なる部分を含むことができる。これらの部分は、振幅や周波数、波形等の何れかが異なっていてもよい。
【0040】
ある例示的実施形態では、種々の命令の発行に関して、ユーザ入力210は複数のボタン、及び/又はホイールやジョイスティック等の多方向コントローラを含む。また、1つ又は複数のボタンは、例えば多くのカメラにあるシャッターレリーズボタンから分かるように、2つの異なる作動ステージを持つこともできる。
【0041】
図5は、ある例示的実施形態に従うプロセスを示す。
図5は、装置100とデバイス200に起きる主要イベントの一部を2つの隣接する時間軸に示している。
【0042】
ステップ510で、ユーザはデバイス200を装置100に装着する。次にデバイスセンサ160は検出器170を起動し(520)、装置センサ160は装置100を起動する(530)。デバイス200から装置100に命令を出せるセッションの間、作動時間(カウントダウンタイマー)を開始する(540)。これは、装置100の近接通信回路のアンテナ160を用いて無線で行われる。次にデバイス200は、ユーザ入力210で出されたユーザ命令を検出する(550)。次にデバイス200は、作動時間が終了しているかを調べる(560)。終了している場合、デバイス200は許可シーケンスを送信し(570)、作動時間(カウントダウンタイマー)を開始する(540)。装置100は、許可シーケンス(570)を検出し(572)、作動時間の監視を開始する。例示的実施形態によっては、装置100及び/又はデバイス200は、作動時間の終了時刻を適切に調節して、僅かに異なる瞬間にも対応するように構成される。
【0043】
作動時間の経過中に装置100に送信する命令がデバイス200にある場合、デバイス200は、対応する電磁信号222を装置100に送信する(574)。
【0044】
装置100は電磁信号222を受信し、作動時間が経過中であるかを調べる(580)。経過中でない場合、装置は電磁信号222を拒否又は無視する。それ以外の場合、装置は対象とする命令を決定し、別の選択肢があれば対応するイベントをトリガーする(590)。
【0045】
ある時点で、ユーザはデバイス200を取り外したとする(592)。すると、ステップ594でデバイスセンサは検出器170の機能を、ステップ596で装置センサはデバイス200の機能をそれぞれ停止する。
【0046】
本出願で開示された1つ又は複数の例示的実施形態における技術的効果は、近接通信に対応する装置に対して、近接通信回路のアンテナを通じて外部デバイスから命令を出すことができることである。そして、近接通信回路が電源を切られる等によってその一部又は全てが無効化されているときであっても、こうした技術的効果は損なわれない。ただしこのことは、以降に記載する特許請求の範囲や解釈、適用を如何様にも限定するものではない。本出願で開示された1つ又は複数の例示的実施形態における別の技術的効果は、非常に簡易な外部デバイスによって命令を出すことができることである。これは、無線信号を変調したり、何らかの情報を入力したりする必要がなく、規則波形でも命令の標示情報を伝達するのに利用できるからである。本出願で開示された1つ又は複数の例示的実施形態におけるまた別の技術的効果は、例えばオペレーティングシステムの制約によりユニバーサル・シリアル・バスのような通常のデータ通信回路を通じた制御を受け取ることができない装置に対して、外部制御を提供することができることである。本出願で開示された1つ又は複数の例示的実施形態における更にまた別の技術的効果は、アンテナに生じる電圧が装置の電源スイッチの効果をシミュレートするように構成される実施形態において、外部デバイスが装置全体の電源を入れられることである。
【0047】
本発明の実施形態は、ソフトウェアやハードウェア、アプリケーションロジック、又はこれらの組合せとして実装することができる。ある例示的実施形態においては、アプリケーションロジック、ソフトウェア、または命令セットは、種々の標準的なコンピュータ可読媒体の何れかに保持される。本出願の文脈において「コンピュータ可読媒体」は触ることが可能なメディアや手段であって、命令を実行するコンピュータのようなシステムや装置、デバイスによって又はそれと共に使用される命令を、含むことや格納すること、通信すること、伝達すること、送信することのいずれかが可能な如何なるメディアや手段であってもよい。上記コンピュータの例には、
図2に関連して説明され描かれているコンピュータがある。コンピュータ可読媒体はコンピュータ可読記憶媒体を備えてもよい。それは、コンピュータのような、命令を実行するシステムや装置、デバイスによってまたはそれと共に使用される命令を含むか格納しうる、如何なる媒体や手段であってもよい。
【0048】
ある例示的実施形態では、アンテナを備える近接通信回路によって、近接通信プロトコルに従い近接デバイスと無線通信する方法及び装置が提供される。近接通信回路は、必要なければ無効化される。電磁出力信号によってアンテナに生じる電圧は、近接通信回路が無効であるときに検出される。この電圧の検出は、電磁信号が近接通信プロトコルに準拠しているかとは無関係である。イベントは、検出電圧に応じてトリガーされる。これに対応して、ある例示的実施形態では、この装置を外部から制御する方法及びデバイスも提供される。ここで、ユーザ命令が検出され、そのユーザ命令に応じて、イベントをトリガーするために装置に電磁信号が送信される。電磁信号は規則波形を有する。
【0049】
必要に応じて、本出願で開示した様々な機能が異なる順序で、及び/又は同時に実行されてもよい。さらに必要に応じて、前述の機能の1つ又は複数がオプションであったり、統合されていたりしてもよい。
【0050】
本発明の様々な態様が独立請求項に記載されているが、前述の実施形態からの特定事項の他の組合せ、及び/又は独立請求項の特定事項を備える従属請求項を、請求項に明記された単なる組合せとは別に、本発明の他の態様が備えてもよい。
【0051】
本発明の例示的実施形態が上のように説明されてきたが、これらの記述を限定的な意味で理解すべきでないことにも留意されたい。むしろ、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形や修正を行うことができる。