特許第6133445号(P6133445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133445
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】口腔内速崩壊性固形製剤用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/32 20060101AFI20170515BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20170515BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170515BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20170515BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20170515BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20170515BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A61K47/32
   A61K47/26
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K47/02
   A61K47/04
   A61K47/38
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-559959(P2015-559959)
(86)(22)【出願日】2015年1月28日
(86)【国際出願番号】JP2015052289
(87)【国際公開番号】WO2015115453
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-15518(P2014-15518)
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390031093
【氏名又は名称】テイカ製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】島谷 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】川岸 貴博
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2001/64190(WO,A1)
【文献】 特開2000−119175(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/38593(WO,A2)
【文献】 特開2014−224086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/32
A61K 9/20
A61K 9/16
A61K 47/02
A61K 47/04
A61K 47/26
A61K 47/38
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリビニルアルコール
(b)タンニン酸
を含む口腔内速崩壊性固形製剤用組成物。
【請求項2】
固形製剤が錠剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が造粒物の形態をとる請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)成分のポリビニルアルコールの平均重合度が200〜2500であり、ケン化度が85〜89モル%である請求項1〜3の何れかに記載の組成物。
【請求項5】
(a)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.001〜60質量%である請求項1〜4の何れかに記載の組成物。
【請求項6】
(b)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.001〜60質量%である請求項1〜5の何れかに記載の組成物。
【請求項7】
さらに、賦形剤を含む請求項1〜6の何れかに記載の組成物。
【請求項8】
賦形剤がマンニトール、および乳糖水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の組成物を含む固形製剤。
【請求項10】
固形製剤が錠剤である請求項9に記載の固形製剤。
【請求項11】
さらに、結合剤、および/又は崩壊剤を含有する請求項10に記載の固形製剤。
【請求項12】
結合剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、および結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の固形製剤。
【請求項13】
崩壊剤がクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである請求項11又は12に記載の固形製剤。
【請求項14】
日本薬局方に規定される崩壊試験により測定される崩壊時間が30秒以内である請求項9〜13の何れかに記載の固形製剤。
【請求項15】
(A)項1〜8の何れかに記載の組成物、若しくは
(B)項1〜8の何れかに記載の組成物、及び添加剤、並びに/又は医薬有効成分の混合物を圧縮成型する口腔内速崩壊性固形製剤の製造方法。
【請求項16】
固形製剤が錠剤である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
圧縮成型時の打錠圧が100〜1500kgf/cmである請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
添加剤が、結合剤、および/又は崩壊剤である請求項15〜17の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の唾液又は少量の水の存在下において速やかに、かつ良好に崩壊する口腔内速崩壊性固形製剤用の組成物、この組成物を含む口腔内速崩壊性固形製剤、および口腔内速崩壊性固形製剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
経口固形製剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が一般的に知られている。しかしながら、これらの剤形で取り扱い性が良く、かつ服用し易いものは少ない。例えば、錠剤およびカプセル剤は、その形状が大きくなるに従い飲み込み難くなるという問題があり、また、顆粒剤および散剤は、服用時にむせるという問題や歯の間に入り込むという問題がある。更に、これらの剤形はいずれも服用時に水を必要とし、緊急時や、重症患者が寝ながらにして服用することは困難であるという問題もある。
【0003】
水なしで服用できる剤形としては、錠剤を噛み砕いて服用するチュアブル錠が知られているが、現在提供されているものは崩壊性が悪く、咀嚼力の弱い老人や小児が服用することは困難であるという問題がある。
【0004】
従って、水なしでも容易に服用することができ、また手軽に何時、何処でも随時服用することのできる口腔内速崩壊性錠剤の開発が要望されている。
【0005】
このような口腔内速崩壊性錠剤を製造する技術としては、活性成分および糖類を寒天水溶液に懸濁させたものを鋳型(PTP包装用樹脂フィルムシート)に充填した後、ゼリー状に固化させ、更に減圧乾燥又は通風乾燥する方法や(特許文献1)、薬剤、水溶性結合剤、および水溶性賦形剤を含む乾燥状態の錠剤材料を錠剤の形態として次段の製造工程へ移行させる際にその形態を維持可能な硬度とするために最低限必要な低圧力で加圧成型した後、成型された錠剤を加湿し、更に加湿された錠剤を乾燥する方法(特許文献2)が知られている。
しかし、これらの方法は、特殊な製造設備を必要とし、また、それに伴い製造工程が複雑であるという問題がある。
【0006】
そのため、一般的な医薬用固形製剤の製造設備を用いて、簡便な製造プロセスで製造することができ、口腔内で優れた崩壊性を示すと共に実用上問題のない成型性を有する固形製剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2807346号
【特許文献2】特許第2919771号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一般的な医薬用固形製剤の製造装置を用いて、簡便な工程で製造でき、かつ口腔内で速やかな崩壊性を有するとともに、実用に耐えうる適度な成型性を有する口腔内速崩壊性固形製剤、その製造方法、およびこの口腔内速崩壊性固形製剤の構成材料となる組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリビニルアルコールとタンニン酸とを含む組成物を、必要に応じて、結合剤、および/又は崩壊剤と共に圧縮成型することにより、特殊な製造装置を用いず、従来の口腔内速崩壊性固形製剤と同等又はそれ以上の崩壊性と成型性とを兼ね備えた口腔内速崩壊性固形製剤が製造できることを見出した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の口腔内速崩壊性固形製剤用組成物、口腔内速崩壊性固形製剤、および口腔内速崩壊性固形製剤の製造方法を提供する。
項1.
(a)ポリビニルアルコール
(b)タンニン酸
を含む口腔内速崩壊性固形製剤用組成物。
項2.
固形製剤が錠剤である項1に記載の組成物。
項3.
組成物が造粒物の形態をとる項1又は2に記載の組成物。
項4.
(a)成分のポリビニルアルコールの平均重合度が200〜2500、けん化度が85〜89モル%である項1〜3の何れかに記載の組成物。
項5.
(a)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.001〜60質量%である項1〜4の何れかに記載の組成物。
項6.
(b)成分の含有量が、組成物の全量に対して、0.001〜60質量%である項1〜5の何れかに記載の組成物。
項7.
さらに、賦形剤を含む項1〜6の何れかに記載の組成物。
項8.
賦形剤がマンニトール、および乳糖水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種である項7に記載の組成物。
項9.
項1〜8の何れかに記載の組成物を含む固形製剤。
項10.
固形製剤が錠剤である項9に記載の固形製剤。
項11.
さらに、結合剤、および/又は崩壊剤を含有する項10に記載の固形製剤。
項12.
結合剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、および結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である項11に記載の固形製剤。
項13.
崩壊剤がクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである項11又は12に記載の固形製剤。
項14.
日本薬局方に規定される崩壊試験により測定される崩壊時間が30秒以内である項9〜13の何れかに記載の固形製剤。
項15.
(A)項1〜8の何れかに記載の組成物、若しくは
(B)項1〜8の何れかに記載の組成物、及び添加剤、並びに/又は医薬有効成分の混合物を圧縮成型する口腔内速崩壊性固形製剤の製造方法。
項16.
固形製剤が錠剤である項15に記載の方法。
項17.
圧縮成型時の打錠圧が100〜1500kgf/cmである項15又は16に記載の方法。
項18.
添加剤が、結合剤、および/又は崩壊剤である項15〜17の何れかに記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の口腔内速崩壊性固形製剤は、口腔内で優れた崩壊性を示すと共に適度な成型性を有する製剤であるため、服用性に優れたものである。
また、本発明において錠剤を製造するときは、打錠圧を上げた場合においても、崩壊性の低下が極めて少ないため、所望の硬度に応じた打錠圧を採用すればよく、製造管理が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)口腔内速崩壊性固形製剤用組成物
本発明の口腔内速崩壊性固形製剤用組成物は、(a)ポリビニルアルコール、および(b)タンニン酸を含む組成物である。
本発明において、「口腔内速崩壊性固形製剤用」とは、口腔内速崩壊性固形製剤の構成材料ないしは製造材料としての用途を有するという意味である。
【0013】
(a)成分
ポリビニルアルコールは、脂肪酸ビニルエステルを重合し、得られたポリ脂肪酸ビニルエステルをけん化することによって、製造することができる。ポリ脂肪酸ビニルエステルの重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合等が挙げられ、脂肪酸ビニルエステルとして、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられるが、工業的には、メタノールを溶媒として用いる酢酸ビニルの溶液重合で得られたポリ酢酸ビニルを水酸化アルカリでけん化する方法が好ましい。
本発明で使用されるポリビニルアルコールの平均重合度に制限はないが、JIS K6726で測定される平均重合度としては、200〜5000が好ましく、より好ましくは200〜2500、さらに好ましくは200〜2000である。
また、けん化度についても特に制限はなく、完全けん化ポリビニルアルコールまたは部分けん化ポリビニルアルコールを使用することができるが、医薬品添加物規格(2003)のポリビニルアルコール(完全けん化物または部分けん化物)のけん化度測定方法で測定されるけん化度として、75〜100モル%が好ましく、より好ましくは78〜96モル%であり、さらに好ましくは85〜89モル%である。
【0014】
(a)成分のポリビニルアルコールの粒子形状は特に制限されないが、造粒する際の他の成分との混合性、および、錠剤化した場合、服用の際にざらつきを感じにくいという点で、粒子径は小さい方が好ましく、具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置(LDSA−2400;東日本コンピュータ社製)を用いて、動的光散乱法で測定した平均粒子径は200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、125μm以下がさらに好ましい。また、平均粒子径の下限値は特にないが、原料の取り扱い性から1μm以上であることが好ましい。
【0015】
ポリビニルアルコールとしては、日本酢ビ・ポバール社製のPE−05JPS、PE−04JPS、PE−18JPS等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、ポリビニルアルコールは、1種を単独で使用しても良く、また平均重合度、けん化度および粒度の異なる2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0016】
組成物中の(a)成分の含有量は、組成物の全量に対して、約0.001質量%以上が好ましく、約0.01質量%以上がより好ましく、約0.1質量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、この組成物を用いて製造した錠剤などの固形製剤が、十分な成型性を有するものとなる。また、約60質量%以下が好ましく、約30質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、この組成物を用いて製造した錠剤などの固形製剤が、十分な崩壊性を有するものとなる。
【0017】
(b)成分
タンニン酸は、各種の植物材料から抽出できる。例えば、柿の実、栗の渋皮、五倍子、没食子、タラ末、マメ科のタマリンドの種子皮、又はミモザ樹皮などから水又はエタノールを用いて抽出できる。好ましくは、第16改正日本薬局方に収載されている五倍子、又は没食子から抽出したタンニン酸を用いることができる。タンニン酸は未精製品であっても、精製品であってもよいが、精製品がより好ましい。
【0018】
組成物中の(b)成分であるタンニン酸の含有量は、組成物の全量に対して、約0.001質量%以上が好ましく、約0.01質量%以上がより好ましく、約0.1質量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、この組成物を用いて製造した錠剤などの固形製剤が、十分な崩壊性を有するものとなる。また、60質量%以下が好ましく、約30質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、この組成物を用いて製造した錠剤などの固形製剤が、十分な成型性を有するものとなる。
【0019】
(a)成分と(b)成分との比率
組成物中の(a)成分含有量と(b)成分含有量との質量比((a)成分:(b)成分)は、約1:0.001〜1000が好ましく、約1:0.01〜100がより好ましく、約1:0.1〜10がさらにより好ましい。この範囲であれば、十分な成型性と崩壊性を有するものとなる。
【0020】
その他の成分
本発明の組成物は、上記(a)成分および(b)成分に加え、添加剤である賦形剤を含むことが望ましく、これにより、本発明の組成物を用いて製造した錠剤などの固形製剤の成型性および崩壊性をさらに向上させることが可能となる。
賦形剤としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、イソマルト等の糖アルコール類;乳糖水和物、果糖、ショ糖、ブドウ糖、トレハロース等の糖類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン類;グリシン、アラニンなどのアミノ酸類;軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸類;結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類;タルク;酸化チタン等が挙げられる。賦形剤としては、固形製剤を口腔内で素早く崩壊させるという点で、糖アルコ−ル類、および糖類が好ましく、中でも、マンニトール、および乳糖水和物が好ましい。
賦形剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0021】
また、本発明の組成物は、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等の医薬品に一般的に使用される添加剤を適量含むことができる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
着色剤としては、食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。
矯味剤としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
甘味剤としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
香料としては、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、スペアミント油、ケイヒ油、チョウジ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、ローズ油、ローマカミツレ油、メントール等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0022】
本発明の組成物は、医薬の有効成分を適量含むことができる。医薬有効成分は、この組成物を含む錠剤などの固形製剤の崩壊性、および成型性を損なわない種類、および量であれば良く、特に限定されない。
【0023】
造粒
上記各成分を含む本発明の組成物は、顆粒のような造粒物の形態であってもよく、造粒されていない粉末の形態であってもよい。
造粒物を調製する場合の造粒処理としては、湿式造粒処理、流動層造粒処理、乾式造粒処理等が挙げられ、簡便性に優れる点で、特に湿式造粒処理が好ましい。
湿式造粒処理は、各成分を溶媒と練合し、次いでこれを造粒する処理であり、必要に応じて、一般的な製剤の製造に用いられる方法や装置を使用することができる。
流動層造粒処理は、各成分を溶媒、又は溶媒と結合剤との混合液等を噴霧しながら造粒する処理であり、必要に応じて、一般的な製剤の製造に用いられる方法や装置を使用することができる。
また、これら湿式造粒処理および流動層造粒処理で用いられる溶媒として、一般的な製剤の製造に用いられるエタノール、イソプロパノール等のアルコール類や水を溶媒として使用することができる。
【0024】
乾式造粒処理は、各成分を均一に混合し、次いでこれを造粒する処理であり、必要に応じて、一般的な製剤の製造に用いられる方法や装置を使用することができる。
【0025】
(II)口腔内速崩壊性固形製剤
剤型
固形製剤の剤型は、特に限定されないが、代表的には錠剤が挙げられる。また、固形製剤としては、顆粒剤も挙げられる。
【0026】
打錠
固形製剤が錠剤である場合、打錠には、造粒された本発明の組成物を打錠する場合と、造粒されていない本発明の組成物を直打により打錠する場合が包含される。何れの場合も、本発明の組成物を、必要に応じて、結合剤、崩壊剤等のその他の成分と混合し、圧縮成型すればよい。
圧縮成型には、ロータリー式打錠機、単発打錠機等の一般に錠剤の成型に使用される方法や装置を使用することができる。また、この圧縮成型における圧縮圧は、約100kgf/cm(約1kN)以上が好ましく、約200kgf/cm(約2kN)以上がより好ましく、約400kgf/cm(約4kN)以上がさらにより好ましい。また、1500kgf/cm(約15kN)以下が好ましく、約1200kgf/cm(約12kN)以下がより好ましく、約1000kgf/cm(約10kN)以下がさらにより好ましい。
【0027】
造粒物を用いる場合は、上記圧縮成型に先立ち、造粒物を、流動層乾燥機、棚式乾燥装置等を用いた乾燥;スクリーンミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル等を用いた整粒;振動ふるいを用いた篩過等の錠剤の製造に必要な操作に付してもよい。
【0028】
固形製剤は、実質的に、上記説明した本発明の組成物のみで構成することもできるが、結合剤、崩壊剤等のその他の成分を含むこともできる。
固形製剤中の本発明の組成物の含有量は、本発明の組成物が賦形剤を含まない場合、約0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、約2質量%以上がさらにより好ましい。また、約20質量%以下が好ましく、約15質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらにより好ましい。
また、固形製剤中の本発明の組成物の含有量は、本発明の組成物が賦形剤を含む場合、約50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、約90質量%以上がさらにより好ましい。また、約99質量%以下が好ましく、約96質量%以下がより好ましく、約93質量%以下がさらにより好ましい。
上記範囲であれば、実用上十分な成型性および崩壊性を得ることができる。
【0029】
なお、造粒物を用いて錠剤を製造する場合、錠剤は圧縮成型により製造されるため、造粒物の形状と錠剤中の造粒物の形状とは、通常、異なる。
【0030】
結合剤
本発明の固形製剤は、結合剤を含むことができる。結合剤は、直打により固形製剤を製造する場合は、固形製剤中の各成分を互いに結合させる作用を有する。また、造粒物の打錠により固形製剤を製造する場合は、造粒物を相互に結合させる作用を有する。
結合剤としては、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒプロメロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、プルラン、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。中でも、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、および結晶セルロースが好ましい。
結合剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0031】
結合剤の含有量は、固形製剤の全量に対して、約0.01質量%以上が好ましく、約0.1質量%以上がより好ましく、約1質量%以上がさらにより好ましく、更に、約30質量%以下が好ましく、約20質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性および崩壊性を得ることができる。
【0032】
崩壊剤
本発明の固形製剤は、崩壊剤を含むことができる。崩壊剤は、水を含んで膨れる成分、又は水を含んで崩れる成分である。
崩壊剤としては、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。中でも、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
崩壊剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0033】
崩壊剤の含有量は、固形製剤の全量に対して、約0.01質量%以上が好ましく、約0.1質量%以上がより好ましく、約1質量%以上がさらにより好ましく、更に、約30質量%以下が好ましく、約20質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性および崩壊性を得ることができる。
【0034】
その他の成分
本発明の固形製剤は、賦形剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等の医薬品に一般的に使用される添加剤を適量含むことができる。また、医薬有効成分を含むこともできる。
添加剤、および医薬の有効成分は、それぞれ、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
【0035】
このようにして得られる本発明の錠剤などの固形製剤は、実用上問題ない適度な成型性を有し、更に口腔内での優れた崩壊性を有している。
【0036】
本発明の固形製剤が錠剤である場合、錠剤は、第16改正日本薬局方解説書に規定の崩壊試験法による崩壊時間(特に、崩壊試験器(富山産業社製)を用いて測定した崩壊時間)が30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましく、10秒以下であることがさらにより好ましい。
本発明の固形製剤が錠剤である場合、錠剤は、硬度(特に、錠剤硬度計(富山産業社製)を用いて測定した硬度)が30N以上であることが好ましく、40N以上であることがより好ましく、50N以上であることがさらにより好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
(1)崩壊性・成型性の評価
(1−1)試験方法
<崩壊試験>
試験は、第16改正日本薬局方解説書に規定の崩壊試験法を参考に、崩壊試験器(富山産業社製)を用いて実施し、試験数は6錠とし、その崩壊時間の平均値で評価した。
<硬度試験>
試験は、錠剤硬度計(富山産業社製)を用いて実施し、試験数は10錠とし、その硬度の平均値で評価した。
【0038】
(1−2)錠剤の製造
実施例1
後掲の表1に示す組成に基づき、(a)成分とD-マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約4kN、約6kN、約8kN、約10kNおよび約12kNの5水準の打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0039】
比較例1
後掲の表1に示す組成に基づき、(a)成分とD-マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約4kN、約6kN、約8kN、約10kNおよび約12kNの5水準の打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0040】
実施例2
後掲の表1に示す組成に基づき、(a)成分と乳糖水和物を撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約4kN、約6kN、約8kN、約10kNおよび約12kNの5水準の打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0041】
比較例2
後掲の表1に示す組成に基づき、(a)成分と乳糖水和物を撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約4kN、約6kN、約8kN、約10kNおよび約12kNの5水準の打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0042】
実施例3〜5
後掲の表2に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、およびD-マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約8kNの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0043】
比較例3〜5
後掲の表2に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、およびD-マンニトールを撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約8kNの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0044】
実施例6〜8
後掲の表3に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、および乳糖水和物を撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量に(b)成分を溶解した液を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約8kNの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0045】
比較例6〜8
後掲の表3に示す組成に基づき、医薬有効成分、(a)成分、および乳糖水和物を撹拌混合造粒機に投入し、混合した後、造粒溶媒である水/無水エタノール混液(17:3)の適量を徐々に加えて造粒した。次に、この造粒品を棚式乾燥機で乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約8kNの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
【0046】
(1−3)結果
実施例1〜8、比較例1〜8の錠剤の組成、硬度試験および崩壊試験の結果を下記の表1〜3に示す。
【表1】
【0047】
賦形剤として、D-マンニトールを使用した場合を、表1に示すが、その実験結果から明らかなように、5水準の中心値である8kNの打錠圧で比較すると、実施例1の錠剤は、崩壊時間が14秒、硬度が49Nを示した。これに対して、タンニン酸を含まない実施例2の錠剤は、崩壊時間が38秒で、崩壊性が実施例1の錠剤と比較して悪かった。更に、5水準の打錠圧による錠剤の物性値への影響を確認したところ、実施例1および実施例2の両錠剤は、打錠圧が高くなるに従って、明らかな硬度上昇が認められた。しかしながら、崩壊時間は、打錠圧が高くなるに従って、実施例2の製剤では、明らかな遅延が認められたが、実施例1の錠剤では、ほんのわずかな遅延しか認められなかった。
【0048】
また、賦形剤として、乳糖水和物を使用した場合も同様に、表1に示すが、その実験結果から明らかなように、5水準の中心値である8kNの打錠圧で比較すると、実施例3の錠剤は、崩壊時間が19秒、硬度が49Nを示した。これに対して、タンニン酸を含まない実施例4の錠剤は、崩壊時間が48秒で、崩壊性が実施例3の錠剤と比較して悪かった。更に、5水準の打錠圧による錠剤の物性値への影響を確認したところ、実施例3および実施例4の両錠剤は、打錠圧が高くなるに従って、明らかな硬度上昇が認められた。しかしながら、崩壊時間は、打錠圧が高くなるに従って、実施例4の錠剤では、明らかな遅延が認められたが、実施例3の錠剤では、ほんのわずかな遅延しか認められなかった。
【0049】
本発明の錠剤を製造するには、打錠圧を上げた場合においても、崩壊性の低下が極めて少ないため、所望の硬度に応じた打錠圧を採用すればよく、製造管理が容易である。
【0050】
【表2】

【0051】
賦形剤として、D-マンニトールを使用した場合、表2から明らかなように、実施例3〜5の錠剤は、崩壊時間が10〜14秒、硬度が40〜52Nであり、医薬有効成分の種類にかかわらず、優れた崩壊性と適度な成型性を示したが、
これに対して、(b)成分のタンニン酸を含まない比較例3〜5の錠剤は、崩壊時間が34〜46秒であり、実施例3〜5の錠剤に比べて崩壊性が非常に悪かった。
【0052】
【表3】
【0053】
賦形剤として、乳糖水和物を使用した場合、表3から明らかなように、実施例6〜8の錠剤は、崩壊時間が13〜21秒、硬度が45〜57Nであり、医薬有効成分の種類にかかわらず、優れた崩壊性と適度な成型性を示したが、
これに対して、(b)成分のタンニン酸を含まない比較例6〜8の錠剤は、崩壊時間が43〜57秒であり、実施例6〜8の錠剤に比べて崩壊性が非常に悪かった。
【0054】
本発明の口腔内速崩壊性錠剤に、種々の医薬有効成分を含有させても、(a)ポリビニルアルコールおよび(b)タンニン酸を含むことにより、優れた崩壊性と適度な成型性が得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の口腔内速崩壊性固形製剤は、複雑な製造工程や特殊な製造装置を使用しないで製造できるものであり、かつ、含有する医薬有効成分の種類にかかわらず優れた崩壊性と成型性を兼ね備え、さらに不快な味を有する成分の味マスキング効果にも優れる。従って、工業的な大規模生産に適すると同時に、種々の医薬有効成分を配合することのできる口腔内速崩壊性固形製剤として、広く利用可能なものである。