(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133468
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】カーテンの光漏れ防止具
(51)【国際特許分類】
A47H 23/01 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
A47H23/01 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-81810(P2016-81810)
(22)【出願日】2016年4月15日
(62)【分割の表示】特願2012-108241(P2012-108241)の分割
【原出願日】2012年5月10日
(65)【公開番号】特開2016-147112(P2016-147112A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100129229
【弁理士】
【氏名又は名称】村澤 彰
(72)【発明者】
【氏名】柴 和樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 寛
【審査官】
佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−146083(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁(16)、窓枠又は天井に取付けられるカーテンレール(12)と、このカーテンレール(12)に沿って移動可能に取付けられ窓(14)を覆うか又は部屋を区画するために用いられるカーテン本体(13)とを備えたカーテンにおいて、
前記カーテン本体(13)の両側縁のうち少なくとも一側縁に係止手段(26)が取外し不能又は取外し可能に取付けられ、
前記カーテン本体(13)によって前記窓(14)を覆った状態又は前記部屋を区画した状態で前記係止手段(26)を係止可能な被係止手段(27)が前記係止手段(26)に対向する壁(16)、窓枠又は柱に取付けられ、
前記係止手段(26)が強磁性体により形成された係止部(26a)を有し、
前記被係止手段(27)が、永久磁石により形成された被係止部(27a)と、この被係止部(27a)を保持する保持部(27b)と、この保持部(27b)を前記壁(16)、窓枠又は柱に取付ける取付部(27c)と、前記保持部(27b)及び前記取付部(27c)を連結するヒンジ部(27d)とを有し、
前記保持部(27b)、取付部(27c)及びヒンジ部(27d)がプラスチックにより一体的に形成され、
前記取付部(27c)が前記壁(16)、窓枠又は柱に強磁性体製の皿ビス(28)により固定され、
前記保持部(27b)が前記ヒンジ部(27d)を中心に前記取付部(27c)に対して回動することにより、前記保持部(27b)が前記取付部(27c)に重なる収納状態と、前記保持部(27b)が前記取付部(27c)に対して略直角になる使用状態とに変更可能に構成された
ことを特徴とするカーテンの光漏れ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンにより窓を覆ったときにカーテンの側縁から室外の光が室内に侵入するのを防止する光漏れ防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉操作される片側垂れ下がりカーテンの合わせ縁に第1止着体が取付けられ、この第1止着体の相手方部材を形成する第2止着体が上記垂れ下がりカーテンと対をなして開閉操作される他側垂れ下がりカーテンの合わせ縁に取付けられたカーテン合わせ具が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このカーテン合わせ具では、第1及び第2止着体が、これらの少なくとも一方側に保持された磁石の吸着作用によって互いに吸着可能な着磁面を有する。また第1及び第2止着体は、これらが装着された上記垂れ下がりカーテンの合わせ縁の垂れ下がり姿勢を維持させる重りとしての機能を有する。
【0003】
このように構成されたカーテン合わせ具では、カーテンを閉めたときに左右のカーテンの合わせ縁同士を離れないように自然に結合するため、カーテンが風に煽られて開いたり或いはばたつくことを防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3090382号公報(請求項1、段落[0032]、
図4及び
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたカーテン合わせ具では、カーテンを閉めたときに、左右のカーテンの合わせ縁ではない側縁が固定されていないため、この非固定側縁が風に煽られてはためき、非固定側縁と壁面との隙間が大きくなって、この隙間から室外の光が室内に侵入する不具合があった。
【0006】
本発明の目的は、カーテン本体により窓を覆ったとき又は部屋を区画したときに、室外の光又は区画された隣室の光がカーテン本体の側縁から室内に侵入するのを確実に防止できる、カーテンの光漏れ防止具を提供することにある。本発明の別の目的は、被係止手段の被係止部、第2面ファスナ又は受け部を房掛けに設けることにより、部品点数の増大を抑制できるとともに、房掛けを壁等に取付けることにより、必然的に被係止手段が壁等に取付けられ、被係止手段自体の壁等への取付作業を不要にすることができる、カーテンの光漏れ防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、
図1〜
図3に示すように、壁16、窓枠又は天井に取付けられるカーテンレール12と、このカーテンレール12に沿って移動可能に取付けられ窓14を覆うか又は部屋を区画するために用いられるカーテン本体13とを備えたカーテンにおいて、カーテン本体13の両側縁のうち少なくとも一側縁に係止手段26が取外し不能又は取外し可能に取付けられ、カーテン本体13によって窓14を覆った状態又は部屋を区画した状態で係止手段26を係止可能な被係止手段27が係止手段26に対向する壁16、窓枠又は柱に取付けられ
、係止手段26が強磁性体により形成された係止部26aを有し、被係止手段27が、永久磁石により形成された被係止部27aと、この被係止部27aを保持する保持部27bと、この保持部27bを壁16、窓枠又は柱に取付ける取付部27cと、保持部27b及び取付部27cを連結するヒンジ部27dとを有し、保持部27b、取付部27c及びヒンジ部27dがプラスチックにより一体的に形成され、取付部27cが壁16、窓枠又は柱に強磁性体製の皿ビス28により固定され、保持部27bがヒンジ部27dを中心に取付部27cに対して回動することにより、保持部27bが取付部27cに重なる収納状態と、保持部27bが取付部27cに対して略直角になる使用状態とに変更可能に構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の観点の光漏れ防止具では、カーテン本体により窓を覆ったとき又は部屋を区画したときに、カーテン本体に取付けられた係止手段を、壁等に取付けられた被係止手段に係止させる。これによりカーテン本体の側縁が壁等に固定されるので、カーテン本体の側縁と壁等との間の隙間が塞がれ、風が吹いてもカーテン本体の側縁がはためくことはない。この結果、室外の光又は区画された隣室の光がカーテン本体の側縁から室内に侵入するのを確実に防止できる。
また、収納状態で、永久磁石により形成された被係止部と強磁性部材により形成された皿ビスとの間に働く磁力(互いに引き合う力)により、収納状態が維持され、意図せずに保持部が取付部から離脱しない。この結果、収納状態では、保持部が室内に突出しないので、物品等が保持部に引っ掛かることはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は本発明第1実施形態のカーテンの光漏れ防止具の被係止手段が収納された状態を示す
図2のA−A線断面図であり、(b)はその光漏れ防止具の係止手段が被係止手段に係止した状態を示す
図3のB−B線断面図である。
【
図2】カーテン本体をタッセルで束ねて窓が開放されかつ光漏れ防止具の被係止手段が収納された状態を示す要部斜視図である。
【
図3】カーテン本体で窓を覆って光漏れ防止具の係止手段が被係止手段に係止した状態を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1〜
図3に示すように、カーテン11は、窓14の上縁に沿うように壁16に取付けられるカーテンレール12と、このカーテンレール12に沿って移動可能に取付けられたカーテン本体13とを備える。窓14は部屋の壁16に四角形状に形成された開口部であり、この窓14には四角枠状の木製の窓枠17とアルミ製の窓枠18とが挿着される。そしてアルミ製の窓枠18には、2枚の窓ガラス19,19が引き違いになるように水平方向に移動可能に取付けられる。壁16は、室内側に設けられ石膏ボード等により形成された内壁部16aと、室外側に設けられサイディング等により形成された外壁部16bと、内壁部16a及び外壁部16b間に設けられた柱部16cや断熱材(図示せず)等により構成される。
【0011】
カーテンレール12は、窓14の上縁に沿って水平方向に延びるレール本体21と、このレール本体21を壁16に取付けるブラケット22と、レール本体21の両端に装着されるエンドキャップ23とを有する(
図2及び
図3)。レール本体21の下面には、このレール本体21の全長にわたって延びるレール溝21aが形成される。またレール本体21は鋼板のプレス加工やアルミ合金の押出し加工又は引抜き加工等により形成される。更にブラケット22,22は所定の間隔をあけて2つ設けられる。これらのブラケット22,22は、略L字状に形成され、図示しないビスにより壁16に取付けられて壁16に密着する基部22aと、基部22aの下端に壁16から離れる方向に突設され下面にレール本体21が密着するレール受け部22bとを有する。
【0012】
一方、カーテン本体13は可撓性を有する生地等により形成される。またカーテン本体13の上縁には所定の間隔をあけて複数のフック(図示せず)が取付けられ、レール本体21には複数のランナ(図示せず)が摺動可能に取付けられる。そして複数のフックを複数のランナにそれぞれ係合し、フックがランナとともにレール本体21に沿って移動することにより、カーテン本体13を展開又は折畳み可能に構成される。更に、カーテン11は、この実施の形態では、1枚のカーテン本体13で窓全体を覆う片開き式のカーテンである。即ち、カーテン本体13の一端のフックをカーテンレール12のエンドキャップ23に係合させることにより、カーテン本体13の一端がカーテンレール12の一端に固定され、カーテン本体13の他端をカーテンレール12の一端から他端に向って移動させることによりカーテン本体13が展開され、カーテン本体13の他端をカーテンレール12の他端から一端に向って移動させることによりカーテン本体13が折畳まれるように構成される。なお、
図2中の符号24はカーテン本体13を折畳んだ状態で束ねるタッセルである。このタッセル24の両端には一対のリング(図示せず)が設けられ、これらのリングは、カーテンレール12の一端側の壁16、即ち窓14の両側縁のうち一側縁側の壁16に取付けられた房掛け(図示せず)に係止される。この房掛けは窓14の一側縁近傍の壁16に取付けられる。具体的には、房掛けは、折畳まれたカーテン本体13の鉛直方向中央部に位置するように壁16に取付けられる。
【0013】
カーテン本体13の両側縁下部には係止手段26がそれぞれ取付けられる。
図1及び
図3には、カーテン本体13の他側縁下部に取付けられた係止手段26のみを示し、カーテン本体13の一側縁下部に取付けられた係止手段を示していないけれども、両者とも同一に構成されるので、カーテン本体13の他側縁下部に取付けられた係止手段26を代表して説明する。この係止手段26は、カーテン本体13の他側縁下部のうち窓ガラス19に対向する面に設けられた係止部26aと、カーテン本体13の他側縁下部のうち窓ガラス19とは反対側の面に設けられた固定部26bとを有する。係止部26a及び固定部26bは鋼等の強磁性体により形成される。また固定部26bがカーテン本体13を挟んで係止部26aに圧入やカシメ等で係合することにより、係止手段26がカーテン本体13に取外し不能に取付けられる。
【0014】
一方、カーテン本体13によって窓14を覆った状態、即ちカーテン本体13を展開した状態で、被係止手段27が係止手段26に対向する壁16(内壁部16a及び柱部16c)に取付けられる。
図1〜
図3には、展開されたカーテン本体13の他側縁下部の係止手段26に対向する壁16に取付けられた被係止手段27のみを示し、展開されたカーテン本体13の一側縁下部の係止手段に対向する壁16に取付けられた被係止手段を示していないけれども、両者とも同一に構成されるので、展開されたカーテン本体13の他側縁下部の係止手段26に対向する壁16に取付けられた被係止手段27を代表して説明する。この被係止手段27は、係止手段26の係止部26aに係止可能な被係止部27aと、この被係止部27aを保持する保持部27bと、保持部27bを壁16に取付ける取付部27cと、保持部27b及び取付部27cを連結するヒンジ部27dとを有する。被係止部27aは永久磁石により円形又は四角形の板状に形成される。また保持部27b、取付部27c及びヒンジ部27dはポリアセタール等のプラスチックにより一体的に形成される。保持部27bには被係止部27aを収容可能な凹部27eが形成され、取付部27cには円錐台状の孔27fが形成される(
図1)。この円錐台状の孔27fには、取付部27cを壁16(内壁部16a及び柱部16c)に固定する皿ビス28の頭部が収容され、この皿ビス28は鋼等の強磁性体により形成される。
【0015】
更にヒンジ部27dは、薄肉に形成することにより可撓性及び柔軟性を有するインテグラルヒンジを構成し、このヒンジ部27dを中心に保持部27bを取付部27cに対して回動可能に構成される。即ち、保持部27bがヒンジ部27dを中心に取付部27cに対して回動することにより、保持部27bが取付部27cに重なる収納状態(
図1(a))と、保持部27bが取付部27cに対して略直角になる使用状態(
図1(b))とに変更可能に構成される。凹部27eは保持部27dの両面のうち上記収納状態で室内に露出する面に形成される。なお、上記収納状態では、永久磁石により形成された被係止部27aと強磁性部材により形成された皿ビス28との間に働く磁力(互いに引き合う力)により、収納状態が維持され、意図せずに保持部27bが取付部27cから離脱しないように構成される。これにより上記収納状態では、保持部27bが室内に突出しないので、物品等が保持部27bに引っ掛かることはない。
【0016】
このように構成されたカーテン11の光漏れ防止具の使用方法を説明する。室外の光が室内に差し込んで眩しいときには、先ずカーテン本体13を束ねているタッセル24(
図2)のリングを房掛けから外し、カーテン本体13の他側縁を把持してカーテン本体13をカーテンレール12に沿って移動させ、カーテン本体13を展開する。次にこの展開されたカーテン本体13の他側縁下部の係止手段26に対向する壁16に取付けられた被係止手段27の保持部27bを把持して、被係止部27a及び皿ビス28間の磁力に抗して手前に引き、保持部27bが取付部27cに対して略直角になる使用状態にした後に、カーテン本体13の他側縁下部の係止部26aを上記使用状態の被係止部27aに係止させる(
図3)。更に図示しないが、展開されたカーテン本体13の一側縁下部の係止手段に対向する壁16に取付けられた被係止手段の保持部を把持して、上記と同様に保持部が取付部に対して略直角になる使用状態にした後に、カーテン本体13の一側縁下部の係止部を上記使用状態の被係止部に係止させる。これによりカーテン本体13の両側縁の下部が壁16にそれぞれ固定されるので、カーテン本体13の両側縁と壁16との間の隙間が塞がれ、ガラス窓19を開けて風が吹き込んでもカーテン本体13の両側縁がはためくことはない。この結果、室外の光がカーテン本体13の両側縁から室内に侵入するのを確実に防止できる。
【0017】
なお、上記第
1の実施の形態では、カーテンレールを壁に取付けたが、カーテンレールを窓枠や天井に取付けてもよい。また、上記第1の実施の形態では、被係止手段を壁(内装材及び柱)に取付けたが、被係止手段を窓枠又は露出した柱に取付けてもよい。また、上記第5の実施の形態では、房掛けを壁(内装材及び柱)に取付けたが、房掛けを窓枠又は露出した柱に取付けてもよい。
【0018】
また、上記第
1の実施の形態では、係止手段が強磁性体により形成された係止部を有し、かつ被係止手段が永久磁石により形成された被係止部を有したが、係止手段が永久磁石により形成された係止部を有し、かつ被係止手段が強磁性体により形成された被係止部を有したり、或いは係止手段及び被係止手段が永久磁石により形成された係止部及び被係止部をそれぞれ有し、かつ係止部及び被係止部を極性の異なる永久磁石によりそれぞれ形成してもよい。また係止手段が第1面ファスナを有し、かつ被係止手段が第1面ファスナに係止可能な第2面ファスナを有するように構成したり、或いは係止手段がピンを有し、かつ被係止手段がピンを挿入可能な受け具を有するように構成してもよい。
【0019】
更に、上記第
1の実施の形態では、カーテン本体により窓を覆ったが、カーテン本体により部屋を区画してもよい。この場合、カーテンレールは天井に取付けられる。このように構成されたカーテンの光漏れ防止具では、カーテン本体により部屋を区画したときに、カーテン本体に取り付けられた係止手段を、天井に取付けられた被係止手段に係止させる。これによりカーテンの側縁の鉛直方向中央部又は下部が壁等に固定されるので、風が吹いても、カーテンの側縁がはためくことはない。この結果、区画された隣室の光がカーテン本体の側縁から室内に侵入するのを確実に防止できる。
【符号の説明】
【0020】
1
1 カーテン
12 カーテンレール
1
3 カーテン本体
14 窓
16 壁
2
4 タッセル
2
6 係止手段
26
a 係止部
2
7 被係止手段
27
a 被係止部