特許第6133495号(P6133495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133495
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】有機電子材料
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20170515BHJP
   C07D 219/02 20060101ALI20170515BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   C09K11/06 690
   C07D219/02
   H05B33/14 B
   H05B33/22 D
【請求項の数】9
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-509286(P2016-509286)
(86)(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公表番号】特表2016-523990(P2016-523990A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】CN2014076285
(87)【国際公開番号】WO2014173324
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年12月24日
(31)【優先権主張番号】201310154057.2
(32)【優先日】2013年4月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515177893
【氏名又は名称】北京阿格蕾雅科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 錦海
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】魯 錦鴻
【審査官】 岡山 太一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−129347(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101405255(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0006072(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0027030(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00−11/89
C07D 219/02
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式(I)に示す構造式を有する有機電子材料。
【化1】
ここで、R、Rは、独立して、水素、重水素原子、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1−C8アルキル基、C1−C8アルコキシ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリール基、C3−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の一つ又は複数のヘテロ原子含有のアリール基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルケニルアルキル基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルキニルアルキル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールビニル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールエチニル基、トリアルキルシリル、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールシリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールホスホロソ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールカルボニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールスルフィニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30のヘテロ原子含有の置換もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基から選択され、Rは、独立して、水素、重水素原子、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1−C8アルキル基、C1−C8アルコキシ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリール基、C3−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の一つ又は複数のヘテロ原子含有のアリール基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルケニルアルキル基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルキニルアルキル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールビニル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールエチニル基、トリアルキルシリル、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールシリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールホスホロソ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールカルボニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールスルフィニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30のヘテロ原子含有の置換もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基から選択され、或いは二つのR基同士はスピロ構造を形成し、前記ヘテロ原子はB、O、S、N、Seから選択され、
Ar−Arは、独立して、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有のアリール基、一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールアミノ基から選択され、
ここで、Rは、独立して、アルキル基、5員環又は6員環のアリール基、アルコキシ基、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基から選択される。
【請求項2】
、Rは、独立して、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、Rは、独立して、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、或いは二つのRはスピロフルオレン構造を形成し、Ar−Arは、独立して、一つ又は複数の置換基R含有のアリール基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールアミノ基から選択され、ここで、Rは、独立して、アルキル基、5員環又は6員環のアリール基、アルコキシ基、ハロゲンから選択される請求項1に記載の有機電子材料。
【請求項3】
、Rは、独立して、水素、C1−C8アルキル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のナフチル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のジアリールアミノ基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、Rは、独立して、水素、C1−C8アルキル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のナフチル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のジアリールアミノ基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、或いは二つのR基同士はスピロ構造を形成する請求項2に記載の有機電子材料。
【請求項4】
、Rは、独立して、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、C1−C3アルキル基置換もしくは非置換のフェニル基、C1−C3アルコキシ基置換もしくは非置換のフェニル基、ナフチル基、一つ又は複数のメチル基、フェニル基置換もしくは非置換のジアリールアミノ基、一つ又は複数のメチル基、フェニル基置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、いは二つのR基同士はスピロ構造を形成し、は、独立して、水素、C1−C8のアルキル基、C1−C3置換もしくは非置換のフェニル基から選択される請求項3に記載の有機電子材料。
【請求項5】
、Rは、独立して、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、フェニル基、トリル基から選択され、ここで、Rは、独立して、水素、C1−C3アルキル基、C1−C3アルキル基置換もしくは非置換のフェニル基から選択される請求項4に記載の有機電子材料。
【請求項6】
は、水素、メチル基、フェニル基から選択され、Rは、独立して、水素、メチル基、t−ブチル基、フェニル基から選択され、Rは、独立して、水素、メチル基、t−ブチル基、フェニル基から選択され、或いは二つのR基同士はスピロ構造を形成し、Ar−Arは、独立して以下のいずれか一つの基から選択される請求項5に記載の有機電子材料。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【請求項7】
前記化学式(I)に示す化合物は、以下の構造を有する請求項5に記載の有機電子材料。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【請求項8】
前記化学式(I)に示す化合物は、以下の構造を有する請求項7に記載の有機電子材料。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機電子材料の有機エレクトロルミネッセンス素子、有機太陽電池、有機薄膜トランジスタ又は有機光受容器の分野への適用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の有機電子材料に関し、真空蒸着堆積又はスピンコーティングによって薄膜を成膜して有機エレクトロルミネッセンスダイオードに適用することができるものであり、有機エレクトロルミネッセンス素子の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、新規の表示技術として、自己発光型であり、視野角が広く、エネルギー消費が低く、効率が高く、薄型であり、色に富み、応答速度が速く、適用温度範囲が広く、駆動電圧が低く、可撓性の曲げ可能な透明表示パネルを作製可能であり、環境に優しい等の独特な長所を有している。そのため、有機エレクトロルミネッセンス素子は、その技術がフラットパネルディスプレイ及び新世代の照明に適用可能であり、更にLCDのバックライト光源としてもよい。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、二つの金属電極の間にスピンコーティング又は真空蒸着堆積によって一層の有機材料を形成して作製されるものである。典型的な三層有機エレクトロルミネッセンス素子は、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を含む。陽極により生成された正孔が正孔輸送層を介して、陰極により生成された電子が電子輸送層を介して、発光層で結合して励起子を形成してから発光する。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光層の材料を変更することによって赤色光、緑色光及び青色光を出射することができる。更に、発光層において材料を組み合わせることによって、素子が白色光を出射する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のOLED素子は、効率が低く、使用寿命が短い等の原因によってその応用が制限されているため、これらの条件の制限を改善することが求められている。その中で、正孔注入/輸送材料と発光材料の間のエネルギー障壁の低下及び正孔輸送材料の熱安定性の向上は、OLED素子の効率を改善し、使用寿命を向上させることに役立つ。なお、小分子の正孔注入/輸送材料の溶解性は悪く、そのため、蒸着によってしか素子を作製できず、商品化使用に不利である。そのため、溶解性が良好な高正孔移動度の材料を開発してスピンコーティング又はインクジェット印刷を実現することは、広範な適用に有利である。
【0005】
使用されている正孔注入材料copper phthalocyanine(CuPc)は、分解が遅く、作製に消費するエネルギーが高く、環境保護に不利である。通常の正孔輸送材料はTPDとNPBであり、それぞれが1.0×10−3cm−1−1と5.1×10−4cm−1−1といった優れた正孔移動度を有する。しかしながら、この二種の材料のガラス転移温度は、それぞれ65℃と98℃であり、その安定性がOLEDの適用要求を満たすにはかなり不十分である。従って、効果が高く、安定した有機エレクトロルミネッセンス素子を作製するためには、効果が高く、安定性の優れた有機エレクトロルミネッセンス材料を開発することが必要とされている。
【0006】
本発明は、上記の化合物の欠点を克服して、好適な熱安定性、高い正孔移動度、及び良好な溶解性を有する一連の正孔輸送、注入材料を提供し、それらによって作製される有機エレクトロルミネッセンス素子は、エレクトロルミネッセンス効率が良好であり、色純度に優れ寿命が長いという長所を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の化学式(I)に示す構造式を有する有機電子材料である。
【0008】
【化1】
【0009】
ここで、Rは、独立して、水素、重水素原子、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1−C8アルキル基、C1−C8アルコキシ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリール基、C3−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の一つ又は複数のヘテロ原子含有のアリール基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルケニルアルキル基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルキニルアルキル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールビニル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールエチニル基、トリアルキルシリル、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールシリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールホスホロソ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールカルボニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールスルフィニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30のヘテロ原子含有の置換もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基から選択されは、独立して、水素、重水素原子、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1−C8アルキル基、C1−C8アルコキシ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリール基、C3−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の一つ又は複数のヘテロ原子含有のアリール基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルケニルアルキル基、C2−C8の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアルキニルアルキル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールビニル基、C8−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールエチニル基、トリアルキルシリル、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールシリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールホスホロソ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールカルボニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のアリールスルフィニル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30のヘテロ原子含有の置換もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基から選択され、或いは二つのR基同士はスピロ構造を形成し、前記ヘテロ原子はB、O、S、N、Seから選択される。
Ar−Arは、独立して、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有のアリール基、一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールアミノ基から選択される。
ここで、Rは、独立して、アルキル基、5員環又は6員環のアリール基、アルコキシ基、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基から選択される
【0010】
更に好ましくは、ここで、Rは、独立して、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、は、独立して、水素、ハロゲン、C1−C8アルキル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のジアリールアミノ基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、或いは二つのRはスピロフルオレン構造を形成し、Ar−Arは、独立して、一つ又は複数の置換基R含有のアリール基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換の芳香族縮合環基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のカルバゾリル基、C6−C30の一つ又は複数の置換基R含有もしくは非置換のトリアリールアミノ基から選択され、ここで、Rは、独立して、アルキル基、5員環又は6員環のアリール基、アルコキシ基、ハロゲンから選択される
【0011】
更に好ましくは、ここで、Rは、独立して、水素、C1−C8アルキル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のナフチル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のジアリールアミノ基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、は、独立して、水素、C1−C8アルキル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のフェニル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のナフチル基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のジアリールアミノ基、一つ又は複数のC1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、アリール基置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、或いは二つのR基同士はスピロ構造を形成する。
【0012】
更に好ましくは、ここで、R、Rは、独立して、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、C1−C3アルキル基置換もしくは非置換のフェニル基、C1−C3アルコキシ基置換もしくは非置換のフェニル基、ナフチル基、一つ又は複数のメチル基、フェニル基置換もしくは非置換のジアリールアミノ基、一つ又は複数のメチル基、フェニル基置換もしくは非置換のカルバゾリル基から選択され、いは二つのR基同士はスピロ構造を形成し、は、独立して、水素、C1−C8のアルキル基、C1−C3置換もしくは非置換のフェニル基から選択される。
【0013】
更に好ましくは、ここで、R、Rは、独立して、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、フェニル基、トリル基から選択され、ここで、Rは、独立して、水素、C1−C3アルキル基、C1−C3アルキル基置換もしくは非置換のフェニル基から選択される。
【0014】
最も好ましくは、ここで、Rは、素、メチル基、フェニル基から選択され、R、独立して、水素、メチル基、t−ブチル基、フェニル基から選択され、は、独立して、水素、メチル基、t−ブチル基、フェニル基から選択され、或いは二つのR基同士はスピロ構造を形成し、Ar−Arは、独立して以下のいずれか一つの基から選択される
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
最も好ましくは、ここで、R、R、Rは、独立して、水素、メチル基、フェニル基から選択され、Ar−Arは、独立して、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基から選択される(以下の化合物1〜3、5〜7、9〜11、13、14、19、31〜34、36〜40)
【0024】
本発明は、前記有機電子材料の有機エレクトロルミネッセンス素子、有機太陽電池、有機薄膜トランジスタ又は有機光受容器の分野への応用である。
【0025】
発明の具体的な実施例は以下の化合物1〜40に示されるが、それらに限定されない。
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】
【0033】
【化17】
【0034】
【化18】
【0035】
【化19】
【0036】
【化20】
【0037】
【化21】
【0038】
【化22】
【0039】
【化23】
【0040】
【化24】
【0041】
【化25】
【0042】
【化26】
【0043】
【化27】
【0044】
【化28】
【0045】
【化29】
【0046】
本発明の材料で作製される有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と、陰極と、少なくとも一層に前記化学式(I)の構造式に示す有機材料を含有する一層又は多層の有機層とを含む。前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層を含んでよい。前記有機層は、必要に応じて、すべて存在しなければならないわけではないことを特に説明すべきである。
【0047】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と発光層の間に、単独に一層として存在してもよく、混合成分中の一種としてもよい、少なくとも一層の前記化学式(I)の構造式に示す有機材料を含む。
【0048】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記正孔輸送層又は前記正孔注入層として少なくとも一層の前記化学式(I)の構造式に示す有機材料を含む。単独に一層の形式として存在してもよく、その他の化学成分と混合して使用してもよい。
【0049】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも1つの前記化学式(I)の構造式を有する化合物を含有する一層の発光層を含んでよい。この発光層の発光領域は、380−740nmの範囲内にあり、白色光領域全体を覆う。好ましくは、本発明の範囲は、380−550nmにあり、より好ましくは、範囲が440−490nmにある青色光を出射する。
【0050】
前記化学式(I)の構造式の化合物を発光層とする際、ドープしない単一発光層としてもよく、又はドープした発光層としてもよい。
【0051】
前記ドープした発光層は、ホスト材料とゲスト材料を含み、前記化学式(I)の構造式の化合物は必要に応じてホスト材料であってもよく、又はゲスト材料であってもよい。前記化学式(I)の構造式の二つの化合物を同時に使用してそれぞれホスト材料とゲスト材料とする場合を含む。
【0052】
前記化学式(I)の構造式の化合物をホスト材料とする際、その濃度が発光層全体の重量の20−99.9%であり、好ましくは80−99%であり、更は好ましくは90−99%である。前記化学式(I)の構造式の化合物をゲスト材料とする際、その濃度が該発光層重量の0.01−80%であり、好ましくは1−20%であり、更は好ましくは1−10%である。
【0053】
本発明に係る前記正孔輸送層と前記正孔注入層において、必要な材料は好適な正孔輸送性能を有し、効果的に正孔を陽極から有機発光層に輸送することができる。前記化学式(I)の構造式に示す材料以外に、更に小分子と高分子有機材料を含んでよく、トリアリールアミン化合物、ビフェニルジアミン化合物、チアゾール化合物、オキサゾール化合物、イミダゾール類化合物、フルオレン類化合物、フタロシアニン類化合物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(hexanitrile hexaazatriphenylene)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7’,8,8’−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン、ポリビニル、ポリベンゼンスルホン酸を含んでよいが、それらに限定されない。
【0054】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス層は、本発明の化合物を含有する以外、更に、ナフタリン類化合物、ピレン類化合物、フルオレン類化合物、フェナントレン類化合物、クリセン類化合物、フルオランテン類化合物、アントラセン類化合物、ペンタセン類化合物、ペリレン類化合物、ジアリールエチレン類化合物、トリフェニルアミンエチレン類化合物、アミン類化合物、ベンズイミダゾール類化合物、フラン類化合物、有機金属キレートを含んでよいが、それらに限定されない。
【0055】
本発明の有機電子素子に使用する有機電子輸送材料は、好適な電子輸送性能を有して効果的に電子を陰極から発光層に輸送可能であることが求められており、オキサゾール、チアゾール類化合物、トリアゾール類化合物、トリアジン類化合物、トリアジン類化合物、キサリン類化合物、フェナジン類化合物、ケイ素含有複素環類化合物、キノリン類化合物、フェナントロリン類化合物、金属キレート、フッ素置換ベンゼン類化合物を選択できるが、それらに限定されない。
【0056】
本発明の有機電子素子は必要に応じて効果的に電子を陰極から有機層に注入可能である一層の電子注入層を加えてもよく、主にアルカリ金属又はアルカリ金属の化合物から選択され、もしくはアルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の化合物から選択され、リチウム、フッ化リチウム、酸化リチウム、窒化リチウム、8−ヒドロキシキノリンリチウム、セシウム、炭酸セシウム、8−ヒドロキシキノリンセシウム、カルシウム、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、マグネシウム、フッ化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムを選択できるが、それらに限定されない。
【0057】
本発明の電子素子有機層の総厚さは、1−1000nmであり、好ましくは1−500nmであり、更に好ましくは50−300nmである。
【0058】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子におけるそれぞれの層は、蒸着又はスピンコーティングの方式、又はインクジェット印刷等の方式によって作製することができる。本発明での蒸着方式による作製において、真空蒸着方式を利用し、真空度が10−5barより小さく、好ましくは10−6barより小さい。
【発明の効果】
【0059】
素子の実験から明らかなように、本発明の化学式(I)に示す有機発光材料は、好適な熱安定性と、高い正孔移動度と、高い発光効率と、高い発光純度とを有している。この有機発光材料で作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、エレクトロルミネッセンス効率が良好であり、色純度に優れ、寿命が長いという長所を有している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明の素子の構造図である。
図2】本発明の実施例3、実施例5、比較例1の素子の電流密度と電圧の図である。
図3】本発明の実施例3、実施例5、比較例1の素子の発光効率と電流密度の図である。
図4】本発明の実施例1の化合物2のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明を更に詳細に説明するために、特に以下の例を挙げるが、それらに限定されない。
【0062】
(実施例1)
化合物2の合成
【0063】
【化30】
【0064】
中間体1−1の合成
1Lの3つ口フラスコに化合物のアントラニル酸メチル、p−ブロモヨードベンゼン、ヨウ化銅及び炭酸カリウム及びo−ジクロルベンゼンを加え、窒素の保護下で、180℃となるまで24時間加熱した後、100℃まで冷却してから濾過し、濾液を減圧して溶剤を除去し、次にカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物1−1を得た。収率は92%であり、HPLC純度は96%であった。
【0065】
中間体1−2の合成
1Lの3つ口フラスコに化合物1−1及びテトラヒドロフランを加え、窒素の保護下で、0℃まで冷却し、次にメチルマグネシウムブロマイド試薬を滴下し、滴下完了して緩やかに室温まで昇温し、一晩反応させた後、1Nの塩酸水溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、乾燥してから濃縮し、その後、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物1−2を得た。収率は83%であり、HPLC純度は93%であった。
【0066】
中間体1−3の合成
1Lの3つ口フラスコに化合物1−2及びリン酸を加え、撹拌し、完全に反応させ、水に加え、濾過し、濾過ケーキをメタノールで2回洗浄し、中間体1−3を得た。収率が80%であり、HPLC含有量が90%であった。
【0067】
中間体1−4の合成
1Lの3つ口フラスコに化合物1−3、ヨードベンゼン、カリウムt−ブトキシド、トリ−t−ブチルホスフィン及びキシレンを加え、窒素の保護下で、120℃まで24時間加熱し、室温まで冷却し、濾過し、濾液を減圧して溶剤を除去し、次にカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物1−4を得た。
【0068】
化合物2の合成
1Lの3つ口フラスコに化合物1−4、ビフェニルジアミン、カリウムt−ブトキシド、トリ−t−ブチルホスフィン、キシレンを加え、窒素の保護下で、120℃まで24時間加熱し、100℃まで冷却し、濾過し、濾液を減圧して溶剤を除去し、次にカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物2を得た。ESI−MSは、m/z902.4であった。
【0069】
(実施例2)
有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
【0070】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス材料でOLEDを作製した。
【0071】
まず、図1に示すように、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)を洗浄剤溶液、脱イオン水、エタノール、アセトン、脱イオン水で、この順に洗浄し、続いて酸素プラズマで30秒間処理した。
【0072】
次に、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)に正孔注入層30として厚さ10nmの化合物2を蒸着した。
【0073】
次に、化合物NPBを蒸着して厚さ60nmの正孔輸送層40を形成した。
【0074】
次に、正孔輸送層40に、発光層50として厚さ50nmの化合物Alqを蒸着した。
【0075】
次に、発光層50に、電子輸送層60として厚さ10nmのAlqを蒸着した。
【0076】
最後に、電子注入層70として1nmのLiqを蒸着し、素子陰極80として100nmのAlを蒸着した。
【0077】
(実施例3)
有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
【0078】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス材料でOLEDを作製した。
【0079】
まず、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)を、洗浄剤溶液、脱イオン水、エタノール、アセトン、脱イオン水で、この順に洗浄し、更に酸素プラズマで30秒間処理した。
【0080】
次に、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)に正孔注入層30として厚さ20nmの化合物2を蒸着した。
【0081】
次に、化合物NPBを蒸着して厚さ60nmの正孔輸送層40を形成した。
【0082】
次に、正孔輸送層40に、発光層50として厚さ50nmの化合物Alqを蒸着した。
【0083】
次に、発光層50に、電子輸送層60として厚さ10nmのAlqを蒸着した。
【0084】
最後に、電子注入層70として1nmのLiqを蒸着し、素子陰極80として100nmのAlを蒸着した。
【0085】
(実施例4)
有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
【0086】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス材料でOLEDを作製した。
【0087】
まず、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)を、洗浄剤溶液、脱イオン水、エタノール、アセトン、脱イオン水で、この順に洗浄し、更に酸素プラズマで30秒間処理した。
【0088】
次に、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)に、正孔注入層30として厚さ30nmの化合物2を蒸着した。
【0089】
次に、化合物NPBを蒸着して厚さ60nmの正孔輸送層40を形成した。
【0090】
次に、正孔輸送層40に、発光層50として厚さ50nmの化合物Alqを蒸着した。
【0091】
次に、発光層50に、電子輸送層60として厚さ10nmのAlqを蒸着した。
【0092】
最後に、電子注入層70として1nmのLiqを蒸着し、素子陰極80として100nmのAlを蒸着した。
【0093】
(実施例5)
有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
【0094】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス材料でOLEDを作製した。
【0095】
まず、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)を、洗浄剤溶液、脱イオン水、エタノール、アセトン、脱イオン水で、この順に洗浄し、更に酸素プラズマで30秒間処理した。
【0096】
次に、透明導電ITOガラス基板10に、正孔注入層30として厚さ40nmの化合物2を蒸着した。
【0097】
次に、化合物NPBを蒸着して厚さ60nmの正孔輸送層40を形成した。
【0098】
次に、正孔輸送層40に、発光層50として厚さ50nmの化合物Alqを蒸着した。
【0099】
次に、発光層50に、電子輸送層60として厚さ10nmのAlqを蒸着した。
【0100】
最後に、電子注入層70として、1nmのLiqを蒸着し、素子陰極80として100nmのAlを蒸着した。
【0101】
(比較例1)
有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
【0102】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス材料でOLEDを作製した。
【0103】
まず、透明導電ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)を洗浄剤溶液、脱イオン水、エタノール、アセトン、脱イオン水で、この順に洗浄し、更に酸素プラズマで30秒間処理した。
【0104】
次に、透明導電ITOガラス基板10に、化合物NPBを蒸着して厚さ60nmの正孔輸送層40を形成した。
【0105】
次に、正孔輸送層40に、発光層50として厚さ50nmの化合物Alqを蒸着した。
【0106】
次に、発光層50に、電子輸送層60として厚さ10nmのAlqを蒸着した。
【0107】
最後に、電子注入層70として、1nmのLiqを蒸着し、その上に、素子陰極80として100nmのAlを蒸着した。
素子におけるNPB、及び、Alqの構造式を示す。
【0108】
【化31】
【0109】
素子の発光データは図2、3に示されている。
【0110】
表1は、本発明の実施例2−5、比較例1の素子のCIE座標である。
【0111】
【表1】
【0112】
比較例1において本発明の化学式(I)に示す有機発光材料を正孔注入材料としなかった。発光効率は、わずか2.7cd/Aであった。しかしながら、添加して正孔注入材料とした後、効果が明らかに向上した。実施例5において本発明の化学式(I)に示す有機発光材料を厚さ40nmの正孔注入材料とし、発光効率が比較例1より37%以上増加して3.7cd/Aになった。
【0113】
素子の実験から明らかなように、本発明の化学式(I)に示す有機発光材料は、好適な熱安定性と、高い正孔移動度と、高い発光効率と、高い発光純度とを有している。この有機発光材料で作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、エレクトロルミネッセンス効率が良好であり、色純度に優れ、寿命が長いという長所を有している。
【符号の説明】
【0114】
10 ガラス基板、20 陽極、30 正孔注入層、40 正孔輸送層、50 発光層、60 電子輸送層、70 電子注入層、80 陰極
図1
図2
図3
図4