特許第6133510号(P6133510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)の特許一覧

特許6133510ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード
<>
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000002
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000003
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000004
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000005
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000006
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000007
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000008
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000009
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000010
  • 特許6133510-ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133510
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ユーザ機器との無線通信において高次変調の使用を可能にするための方法および無線ノード
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/22 20090101AFI20170515BHJP
   H04W 28/18 20090101ALI20170515BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20170515BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20170515BHJP
   H04L 27/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H04W28/22
   H04W28/18 110
   H04W28/06
   H04W72/04 110
   H04L27/00 Z
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-533275(P2016-533275)
(86)(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公表番号】特表2016-535521(P2016-535521A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】SE2014050803
(87)【国際公開番号】WO2015020587
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年3月29日
(31)【優先権主張番号】61/863,935
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ハンマーウォール, デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ワン, モン
【審査官】 久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−035032(JP,A)
【文献】 特表2009−510804(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/020994(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0235604(US,A1)
【文献】 Huawei, HiSilicon,Standard impacts to support higher order modulation[online],3GPP TSG-RAN WG1#73 R1-131853,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_73/Docs/R1-131853.zip,2013年 5月20日
【文献】 Ericsson,On standard impacts to support 256QAM in downlink[online],3GPP TSG-RAN WG1#75 R1-135655,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_75/Docs/R1-135655.zip,2013年11月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラネットワークの無線ノード(500)によって実行される方法であって、前記無線ノード(500)がユーザ機器UEとの無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、前記第1のテーブル構成が第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方が特定の最大変調次数をサポートし、前記方法が、
− 前記第1のテーブル構成の前記最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数が前記無線ノード(500)と第1のUE(502)との間の無線通信に使用できる可能性があることを検出すること(400)と、
− 前記第1のUE(502)に対し、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用するよう命令すること(402)であって、前記第2のテーブル構成が第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が前記より高次の変調次数をサポートし、かつ前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリが、前記第2のテーブル構成が適用されているときの、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持される、命令することとを含み、
前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数が前記第1のテーブル構成の最小変調次数を含み、前記第1のMCSテーブル内の前記最小変調次数に対する最初のエントリが前記第2のMCSテーブル内に前記フォールバックとして維持され、かつ前記第1のCQIテーブル内の前記最小変調次数の最小符号化率に対するエントリが前記第2のCQIテーブル内に前記フォールバックとして維持され、
送信のために前記フォールバックを選択することが、次の送信に対する前記第1のテーブル構成の使用を示す、方法。
【請求項2】
前記無線ノード(500)が、前記無線ノード(500)と前記第1のUE(502)との間で伝達される信号のパフォーマンス関連パラメータがしきい値を上回ったとき、前記第1のUE(502)に対し、前記無線ノード(500)と前記第1のUE(502)との間の前記無線通信において前記第2のテーブル構成を適用するよう命令する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無線ノード(500)が、前記無線ノード(500)と第2のUEとの間で伝達される信号の前記パフォーマンス関連パラメータが前記しきい値を下回ったとき、前記第2のUEに対し、前記無線ノード(500)と前記第2のUEとの間の無線通信において前記第1のテーブル構成を適用するよう命令する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パフォーマンス関連パラメータが信号対干渉雑音比(SINR)を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記無線ノード(500)が前記第2のUEに対し、前記第2のUEへ命令を送信することにより前記第1のテーブル構成を適用するよう命令し、または前記第2のUEへ命令を送信しないことにより前記第2のテーブル構成を適用するよう命令する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が、それぞれ対応する前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方の修正であり、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方で、前記より高次の変調次数のエントリのセットが追加され、かつ前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数のエントリのセットが削除されている、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のMCSテーブルと前記第2のMCSテーブルとが等しいサイズとなり、かつ/または前記第1のCQIテーブルと前記第2のCQIテーブルとが等しいサイズとなるように、前記より高次の変調次数の追加されるエントリの数と、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数の削除されるエントリの数とが等しい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が、それぞれ対応する前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方の修正であり、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方で、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方のすべてのエントリが前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持され、かつ前記より高次の変調次数のエントリのセットが追加されている、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のテーブル構成および前記第2のテーブル構成が、それぞれ前記第1のMCSテーブルおよび前記第2のMCSテーブルに対応するトランスポートブロックサイズ(TBS)テーブルをさらに含む、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ユーザ機器UEとの無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能である、セルラネットワークの無線ノード(500)であって、前記第1のテーブル構成が第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方が特定の最大変調次数をサポートし、前記無線ノード(500)が、
− 前記第1のテーブル構成の前記最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数が前記無線ノード(500)と第1のUE(502)との間の無線通信に使用できる可能性があることを検出するように設定された、論理部(500a)と、
− 前記第1のUE(502)に対し、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用するよう命令するように設定された命令部(500b)であって、前記第2のテーブル構成が第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が前記より高次の変調次数をサポートし、かつ前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリが、前記第2のテーブル構成が適用されているときの、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持される、命令部(500b)とを備え、
前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数が、前記第1のテーブル構成の最小変調次数を含み、前記第1のMCSテーブル内の前記最小変調次数に対する最初のエントリが、前記第2のMCSテーブル内に前記フォールバックとして維持され、かつ前記第1のCQIテーブル内の前記最小変調次数の最小符号化率に対するエントリが、前記第2のCQIテーブル内に前記フォールバックとして維持され、
送信のために前記フォールバックを選択することが、次の送信に対する前記第1のテーブル構成の使用を示す、無線ノード。
【請求項11】
前記無線ノード(500)と前記第1のUE(502)との間で伝達される信号のパフォーマンス関連パラメータがしきい値を上回ったとき、前記第1のUE(502)に対し、前記無線ノード(500)と前記第1のUE(502)との間の前記無線通信において前記第2のテーブル構成を適用するよう命令するように設定された、請求項10に記載の無線ノード(500)。
【請求項12】
前記無線ノード(500)と第2のUEとの間で伝達される信号の前記パフォーマンス関連パラメータが前記しきい値を下回ったとき、前記第2のUEに対し、前記無線ノード(500)と前記第2のUEとの間の無線通信において前記第1のテーブル構成を適用するよう命令するように設定された、請求項11に記載の無線ノード(500)。
【請求項13】
前記パフォーマンス関連パラメータが信号対干渉雑音比(SINR)を含む、請求項11または12に記載の無線ノード(500)。
【請求項14】
前記第2のUEに対し、前記第2のUEへ命令を送信することにより前記第1のテーブル構成を適用するよう命令し、または前記第2のUEへ命令を送信しないことにより前記第2のテーブル構成を適用するよう命令するように設定された、請求項12に記載の無線ノード(500)。
【請求項15】
前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が、それぞれ対応する前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方の修正であり、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方で、前記より高次の変調次数のエントリのセットが追加され、かつ前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数のエントリのセットが削除されている、請求項10ないし14のいずれか一項に記載の無線ノード(500)。
【請求項16】
前記第1のMCSテーブルと前記第2のMCSテーブルとが等しいサイズとなり、かつ/または前記第1のCQIテーブルと前記第2のCQIテーブルとが等しいサイズとなるように、前記より高次の変調次数の追加されるエントリの数と、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数の削除されるエントリの数とが等しい、請求項15に記載の無線ノード(500)。
【請求項17】
前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が、それぞれ対応する前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方の修正であり、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方で、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方のすべてのエントリが前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持され、かつ前記より高次の変調次数のエントリのセットが追加されている、請求項10ないし14のいずれか一項に記載の無線ノード(500)。
【請求項18】
前記第1のテーブル構成および前記第2のテーブル構成が、それぞれ前記第1のMCSテーブルおよび前記第2のMCSテーブルに対応するトランスポートブロックサイズ(TBS)テーブルをさらに含む、請求項10ないし17のいずれか一項に記載の無線ノード(500)。
【請求項19】
ユーザ機器UE(700)によって実行される方法であって、前記UE(700)がセルラネットワークの無線ノード(702)との無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、前記第1のテーブル構成が第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方が特定の最大変調次数をサポートし、前記方法が、
− 前記無線通信において第2のテーブル構成を適用する命令を前記無線ノード(702)から受信すること(600)であって、前記第2のテーブル構成が第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が、前記第1のテーブル構成の前記最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数をサポートする、受信することと、
− 前記無線ノード(702)との前記無線通信において前記第2のテーブル構成を適用すること(602)とを含み、
前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリが、前記第2のテーブル構成が適用されているときの、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持され、
前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数が、前記第1のテーブル構成の最小変調次数を含み、前記第1のMCSテーブル内の前記最小変調次数に対する最初のエントリが、前記第2のMCSテーブル内に前記フォールバックとして維持され、かつ前記第1のCQIテーブル内の前記最小変調次数の最小符号化率に対するエントリが、前記第2のCQIテーブル内に前記フォールバックとして維持され、
送信のために前記フォールバックを選択することが、次の送信に対する前記第1のテーブル構成の使用を示す、方法。
【請求項20】
セルラネットワークの無線ノード(702)との無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であるユーザ機器UE(700)であって、前記第1のテーブル構成が第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方が特定の最大変調次数をサポートし、前記UE(700)が、
− 前記無線通信において第2のテーブル構成を適用する命令を前記無線ノード(702)から受信するように設定された通信部(700a)であって、前記第2のテーブル構成が第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方が、前記第1のテーブル構成の前記最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数をサポートする、通信部と、
− 前記無線ノード(702)との前記無線通信において前記第2のテーブル構成を適用するように設定された論理部(700b)とを備え、
前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリが、前記第2のテーブル構成が適用されているときの、前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持され、
前記第1のMCSテーブルと前記第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数が、前記第1のテーブル構成の最小変調次数を含み、前記第1のMCSテーブル内の前記最小変調次数に対する最初のエントリが、前記第2のMCSテーブル内に前記フォールバックとして維持され、かつ前記第1のCQIテーブル内の前記最小変調次数の最小符号化率に対するエントリが、前記第2のCQIテーブル内に前記フォールバックとして維持され、
送信のために前記フォールバックを選択することが、次の送信に対する前記第1のテーブル構成の使用を示す、UE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線信号を伝達するときに高次変調の使用を可能にするための、セルラネットワークの無線ノード、ユーザ機器すなわちUE、およびそれらにおける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当分野において、「ユーザ機器(UE)」という用語は、サービング無線ノードから送信されたダウンリンク信号を受信することおよび無線ノードへアップリンク信号を送信することを含む、セルラネットワークとの無線通信の能力を有する任意の無線端末またはデバイスを表すために広く用いられているが、本開示でもそのように用いる。例えば、ユーザ機器(UE)という用語は、「無線デバイス」という用語と置換え可能である。さらに、一般に基地局、e−nodeB、eNBなどとも言われる「無線ノード」という用語は、UEとの間でアップリンクおよびダウンリンク無線信号の伝達を行うことができる、セルラネットワークの任意のノードを表す。ここで説明する無線ノードには、慣用例をいくつか挙げれば、いわゆるマクロノードならびにマイクロ、ピコ、フェムト、Wifi、およびリレーノードなどの低電力ノードが含まれるが、これらに限定されない。本開示全体を通じて「eNB」という用語がしばしば用いられるが、この用語は無線ノードという用語と置換え可能である。
【0003】
Long−Term Evolution(LTE)によるシステムにおけるリンクアダプテーションは、変調方式および/またはチャネル符号化率を無線リンク状態に適応させて調整することによりデータレートを制御する、適応変調符号化に基づいている。この手順では、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)の送信に採用された変調符号化方式(MCS)は、サービング無線ノードによるUEへのダウンリンクMCSシグナリングで示す必要がある。UEは無線ノードに対し、アップリンクシグナリングによって、チャネル品質指標(CQI)シグナリングを通じて対応する無線リンク、すなわちチャネルの状態について通知し、この通知にはCQIレポートを無線ノードへ送信することが含まれる。
【0004】
この概略を図1に示す。この図では、セルラネットワークの無線ノード100がUE1およびUE2で示される2つのUEにサーブしている。この例では、UE1とUE2の両方が無線ノード100へCQIレポートを送信することにより、使用チャネルに対して実施した品質測定について報告している。無線ノード100では、両UEのCQI報告に基づいてそれぞれのUEに適したMCSを選択し、選択したMCSをそれぞれのUEへ通知する。無線リンク状態は急激に変化する可能性があるため、リンクアダプテーションは、このように個別のUEに対して動的に実施される。したがって、各UEに対して適切なMCSの選択を個別に行うことができる。
【0005】
現行のLTEシステムでは、ダウンリンクとアップリンクの両方に利用可能な変調方式のセットとして、変調シンボル当たりそれぞれ2、4、6ビットが搬送される4位相偏移変調すなわちQPSK、16直交振幅変調(QAM)、および64QAMがある。当分野では、通常、変調シンボル当たりで搬送されるビット数を変調次数、Qと呼ぶ。
【0006】
要約すれば、サービング無線ノードがUEからのCQI報告に基づき適切なMCSを選択し、選択したMCSを、UEにとって既知である事前定義されたMCSインデックステーブルに関してUEへ通知する。MCSインデックステーブルは、MCSインデックスを変調次数およびトランスポートブロックサイズ(TBS)インデックスに対してマッピングしたものである。さらに、UEは信号測定値に基づいてCQI値を決定し、このCQIが、CQIインデックスを変調形式および符号化率に対してマッピングした同様に事前定義されたCQIインデックステーブルに関してUEから無線ノードへ通知される。この説明において、「変調形式」という用語は、変調のフォーマット、方法、または方式を簡略的に示すために用いる。
【0007】
LTEにおいて、特に、信号対干渉雑音比(SINR)が高い良好なチャネル状態のシナリオ(例えば、UEがそのサービング無線ノードに近接しているスモールセル環境)では、所与の伝送帯域幅でUEにより高いデータレートを提供する手っ取り早い手段はより高い次数の変調を用いることである。より高い次数の変調は、変調シンボル当たり6ビットを搬送する64QAMが可能なデータレートを最大としている上述の変調方式に比べ、変調シンボル当たりで搬送できる情報ビット数が多い。しかしながら、問題は、今日の制御シグナリングの方式、方法、フォーマット、またはプロトコルが、64QAMのようなシンボル当たり6ビットよりも高次の何らの変調もサポートしていないことである。また高次変調を用いてデータレートを増加させる場合、UEとサービング無線ノードとの間に追加の制御シグナリングが必要となることも問題である。
【発明の概要】
【0008】
本明細書において説明する実施形態の目的は、上述した問題および課題の少なくともいくつかに対処することである。この目的およびその他は、添付の独立請求項に限定された無線ノード、UE、およびそれらにおける方法を用いることによって達成することができる。
【0009】
一態様によれば、方法はセルラネットワークの無線ノードによって実行される。無線ノードは、ユーザ機器(UE)との無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、第1のテーブル構成は第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルのこの少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートする。
【0010】
この方法において、無線ノードは、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数が無線ノードと第1のUEとの間の無線通信に使用できる可能性があることを検出する。すると、無線ノードは、第1のUEに対し、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用するよう命令する。第2のテーブル構成は第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は前記より高次の変調次数をサポートする。さらに、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリは、第2のテーブル構成が適用されているときの、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持される。
【0011】
別の態様によれば、セルラネットワークの無線ノードはユーザ機器(UE)との無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、第1のテーブル構成は第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートする。無線ノードは、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数が無線ノードと第1のUEとの間の無線通信に使用できる可能性があることを検出するように設定された、論理部を備えている。
【0012】
無線ノードは、第1のUEに対し、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用するよう命令するように設定された命令部もまた備え、第2のテーブル構成は第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は前記より高次の変調次数をサポートする。第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリは、第2のテーブル構成が適用されているときの、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持される。
【0013】
別の態様によれば、方法は、セルラネットワークの無線ノードとの無線通信に第1のテーブル構成を適用するように動作可能であるユーザ機器(UE)によって実行される。第1のテーブル構成は第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートする。この方法において、UEは、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用する命令を無線ノードから受信し、第2のテーブル構成は第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は、第1のテーブル構成の前記最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数をサポートする。UEはさらに、無線ノードとの無線通信において第2のテーブル構成を適用する。
【0014】
別の態様によれば、ユーザ機器(UE)は、セルラネットワークの無線ノードとの無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、第1のテーブル構成は第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートする。UEは、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用する命令を無線ノードから受信するように設定された通信部を備え、第2のテーブル構成は第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数をサポートする。UEは、無線ノードとの無線通信において第2のテーブル構成を適用するように設定された論理部もまた備えている。
【0015】
上記の方法およびノードのいずれかを用いると、例えば望ましい無線またはチャネル状態であるときに、第1のテーブル構成の最大変調次数までに制限せず、第2のテーブル構成のより高次の変調次数を使用することにより、無線ノードとUEとの間の無線通信において、より高いデータレートを達成することが可能になる。
【0016】
少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたときに前記少なくとも1つのプロセッサに上記の方法のいずれかを実行させる命令を含む、コンピュータプログラムもまた提供される。上記のコンピュータプログラムを含むキャリアもまた提供され、このキャリアは電子信号、光信号、無線信号、またはコンピュータ可読記憶媒体の1つである。
【0017】
上述の方法およびノードは、以下に説明するさらなる特徴および利点を実現するために、オプションの様々な実施形態に従って設定され、実現され得る。
【0018】
次に、本解決策について、以下の添付図面を参照しながら、例示的実施形態によりさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来技術によるリンクアダプテーションの実現方法を示す通信シナリオ図である。
図2】無線ノードからUEへのMCSシグナリングに用いられる、第1のテーブル構成に係るテーブルである。
図3】UEから無線ノードへのCQIシグナリングに用いられる、第1のテーブル構成に係るテーブルである。
図4】可能ないくつかの実施形態による、無線ノードにおける手順を示す流れ図である。
図5】可能な別の実施形態に従って無線ノードがどのように設定され、動作し得るかを例示する、ブロック図である。
図6】可能ないくつかの実施形態による、UEにおける手順を示す流れ図である。
図7】可能な別の実施形態に従ってUEがどのように設定され、動作し得るかを例示する、ブロック図である。
図8】無線ノードからUEへのMCSシグナリングに用いられる、第2のテーブル構成に係る修正されたテーブルの一例である。
図9】UEから無線ノードへのCQIシグナリングに用いられる、第2のテーブル構成に係る修正されたテーブルの一例である。
図10】可能な別の実施形態による、トランスポートブロックサイズ(TBS)インデックスをデータレートにマッピングするのに用いられる、修正されたテーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本解決策によって、LTEシステムにおいてより高次の変調方式を採用するためにMCSおよびCQIの通知に関する上述の制御シグナリングを再設計し得ると認められた。特に、このようなシグナリングに用いられるMCSおよびCQIインデックステーブルは、余分のシグナリングビットを何ら必要とすることなく現行の最大変調次数を上げることができるように修正することが可能である。本開示において、より高次の変調という用語は、例えばシンボル当たり8ビットを搬送できる256QAMまたは512QAMなどのさらに高次の変調など、64QAMよりも高次の変調方式を指してよい。
【0021】
簡単に説明すると、無線ノードとUEとの間の無線通信において、当初は第1のテーブル構成が適用される。第1のテーブル構成は第1のMCSテーブルおよび/または第1のCQIテーブルを含み、これらのテーブルは特定の最大変調次数、例えば6をサポートする。図2に第1のMCSテーブルの例を示し、図3に第1のCQIテーブルの例を示す。第1のMCSテーブルおよび第1のCQIテーブルは、このように事前定義され、UEにとって既知であり、またこれらのテーブルは、例えば、上述のリンクアダプテーションを可能にするために、現在、LTEにおいて無線ノードとUEとの間のシグナリングに用いられている。ただし、第1のテーブル構成において他のMCSテーブルおよびCQIテーブルを使用することも可能である。これらの例において、第1のMCSテーブルおよび第1のCQIテーブルによってサポートされる最大変調次数は、64QAMに対応する、Q=6であることがわかる。
【0022】
例えばUEからのCQIレポートに基づき、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数が上記の通信において使用できる可能性があることを検出すると、無線ノードは、UEに対し、このより高次の変調次数をサポートする第2のテーブル構成を適用するよう命令する。第2のテーブル構成は、より高次の変調次数をサポートする追加エントリを有する第2のMCSテーブルおよび/または第2のCQIテーブルを含んでいる。第2のテーブル構成におけるこのようなテーブルをどのように設定することができるかについては、後ほど例を取り上げてさらに詳しく説明する。本解決策において、第1のテーブル構成のテーブルの少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリは、第2のテーブル構成が適用されているときの、第1のテーブル構成の前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましいか、それどころか必要になった場合のフォールバックとして、具体的には、無線状態が悪化し、無線接続を維持するためには第1のテーブル構成の前記少なくとも1つの変調次数、例えば最小変調次数しか使用することができないような場合のフォールバックとして、維持すなわち保持される。
【0023】
ここで、LTEによるリンクアダプテーションが概ねどのように実現され得るのかを説明する。
【0024】
LTEにおけるダウンリンクデータ送信では、図1に示すように、通常、無線ノードが、UEによってアップリンクで送信されるCQIフィードバックに応じてMCSを選択する。CQIフィードバックは、現在のチャネル状態および可能なデータレートを示し、より具体的には、現在のチャネル状態およびUE受信器を前提としてダウンリンクチャネルによってサポートされ得る変調符号化方式(MCS)を示す。
【0025】
LTE規格は、無線ノードとUEとの間のシグナリングを提供するように設計されている。ダウンリンクでは、PDSCH送信に採用されたMCSに関する情報が、無線ノードからUEへ送信されるダウンリンク制御情報(DCI)内の5ビットのフィールドによって示される。このMCSフィールドは、図2のMCSインデックステーブルに対応している。このテーブルには32の組合せまたはエントリのための余地がある。このうち29個のエントリは採用されたMCSを通知するために用いられ、その各エントリが変調次数およびトランスポートブロックサイズ(TBS)に対応しており、3個のエントリは、例えば適応再送信をサポートするために予備にされている。可能なすべてのTBSは、TBSインデックス(ITBS)および割当て帯域幅を、対応するトランスポートブロックサイズ(ビット単位)にマッピングするTBSテーブルによって表すことができる。
【0026】
アップリンクにおいて、UEは、サービング無線ノードがダウンリンク送信に適用される適切なMCSを選択する際の助けとなるように、CQIを報告する。CQIは、通常、サービング無線ノードによって送信されたダウンリンク参照信号に対してUEが実施した測定から導出される。例えば、報告されたCQIは、例えばトランスポートブロック誤り率の見込みが10%以下となるPDSCH送信のためにサポートされるMCSの最大値を示し得る。CQIは、図3に示す事前定義されたCQIインデックステーブルに関してUEから無線ノードへ通知される。4ビットのCQI値は、CQIインデックステーブル内のCQIインデックス0〜15に対応する16の組合せのうち、特定のMCSに対応している。CQIテーブルは、トランスポートブロックサイズではなく、符号化率に対してパラメータ化されていることに注目すべきである。したがって、選択されて通知されたCQIは、UEにおいて測定されるブロック誤り率が10%以下となる変調符号化率の最大値を示す。無線ノードは、UEからのCQIフィードバックおよび他の情報に基づき、MCSテーブルから適切なMCSインデックスを選択し、これによりMCSシグナリングによってUEに通知することができる。
【0027】
現行のLTEシステムでは、ダウンリンクとアップリンクの両方に対して、QPSK、16QAM、および64QAMの3つの変調方式をサポートしている。このため、MCSインデックステーブル、CQIインデックステーブル、およびDCI内の対応する通知用フィールドは、この3つの変調方式向けに設計されている。しかし、現行のLTE規格ではより高次の変調方式がサポートされていない。より高次の変調、すなわち上記のQPSK、16QAM、および64QAM方式よりも高次の変調をサポートするためには、UEが、新しい変調方式専用のエントリも含む追加のMCS/CQIテーブルをサポートする必要がある。MCS/CQIテーブルを修正すると、DCIフォーマット、さらに場合によってはアップリンク制御情報(UCI)のフォーマットの再設計も必要となることがある。
【0028】
通常、追加のMCS/CQIテーブルは、信号品質が高いためにより高次の変調の使用が可能となる状況、つまり信号対雑音比(SNR)またはSINRが高い場合に用いられる。一方、SNRまたはSINRが比較的低い状況では、QPSK、16QAM、および64QAMをサポートする現行のMCS/CQIテーブルがリンクのロバスト性を確保する上で有用である。ゆえに、以下のようにチャネル状態に基づいて適切なMCS/CQIテーブルを採用する、柔軟性を備えた解決策が考案された。
【0029】
上述のように、現行のLTEシステムは最大64QAMの変調しかサポートしていないが、信号品質が許すならば、例えば256QAMといったより高次の変調を使用してデータレートを増加させることが望ましいだろう。より高次の変調をサポートするには、MCSインデックステーブル、CQIインデックステーブル、およびDCI/UCI内の対応するフィールドに関して、現行の制御シグナリングに対する適応化および/または拡張が必要となる。このような課題は、本明細書において説明する実施形態によって解決することができる。
【0030】
本開示では、LTEシステムに利用可能であり、また図2および図3にそれぞれ示すMCSインデックステーブルおよびCQIインデックステーブルの現行の設計など、基本のMCSおよびCQIテーブルに加えてサポートされ得る、より高次の変調をサポートするMCSインデックステーブルおよび/またはCQIインデックステーブルの代替設計について説明する。
【0031】
現行のLTE規格におけるMCSおよびCQIテーブルは、例えば図2および図3に示すように最大64QAMの変調方式をサポートしている。提案される新しいMCSおよびCQIインデックステーブルは、DCI/UCIフォーマットにおけるビット数またはMCSテーブルおよびCQIテーブルにおけるそれぞれのエントリの数を必ずしも拡張しなくても、64QAMよりも高次の変調をサポートすることができる。本解決策では、例えば高SINRの状況、より一般的に言えば、無線ノードとUEとの間で伝達される信号のSINRなどのパフォーマンス関連パラメータが一定のしきい値を上回ったとき、より高次の変調方式を選択することが可能である。
【0032】
新しいMCS/CQIテーブルには、高SINR領域をカバーするのに十分な分解能を提供するように設計された、より高次の変調用の新しいエントリが追加されている。一方で現行のMCSおよび/またはCQIテーブルにおける既存エントリの大部分を残すことができる。第1のテーブル構成に現行のMCSおよび/またはCQIテーブルが含まれるようにし、第2のテーブル構成により高次の変調をサポートする新しいMCSおよび/またはCQIテーブルが含まれるようにすることができる。このようにすると、UEおよび無線ノードが実装しなければならない新しいMCS/CQIフォーマットの数を最小限に抑えられるという利点がある。言い換えれば、UEおよび無線ノードは、より高次の変調を可能にするために、第2のテーブル構成のMCSテーブルおよび/またはCQIテーブルを1つ余分にサポートするだけで済む。
【0033】
可能な一実施形態では、MCSテーブル内の少なくとも1つのMCSエントリ、例えばMCSインデックス0である最小のMCSエントリおよび/またはCQIテーブル内の少なくとも1つのCQIエントリ、例えばCQIインデックス1である最小変調次数の最小符号化率に対する最小のCQIエントリは、基本のMCSおよび/またはCQIテーブルからそのまま残される、すなわち維持されるため、劣悪なチャネルまたは無線状態下においても無線ノードとUEとの間の適正な通信が確保される。したがって、第2のテーブル構成が適用されているときに、より高次の変調次数よりも次数の低い変調次数、例えば最小変調次数の使用のみが可能であるか、または望ましい場合に、フォールバックが提供される。このようにして、チャネルまたは無線状態が変化している場合に柔軟性およびロバスト性が提供されると共に、例えば信号制御プレーンデータに対して堅牢なフォーマットが提供され、および/またはUEは基本のMCSおよび/またはCQIテーブルを劣悪な/通常のチャネルまたは無線状態に適しているとみなすように再設定される。本明細書において説明する実施形態を用いることにより、LTEシステムにおけるリンク適応を拡張して、例えば高SINRの状況においては周波数利用効率の大幅な改善を可能にしつつ、無線状態が悪化した場合はロバスト性を維持するようなより高次の変調方式をサポートすることができる。
【0034】
本開示では、様々な例示的実施形態を説明するのに3GPP LTEの用語を使用しているが、これは前述のシステムにのみ使用範囲を限定しているとみなされるべきではないことに留意されたい。WCDMA、WiMAX、およびウルトラモバイルブロードバンドすなわちUMBを含む他の無線システムもまた、本明細書において説明する実施形態を利用することによる恩恵を享受し得る。
【0035】
無線ノードなどの用語は非限定的とみなされるべきであり、概して「無線ノード」はデバイス1とみなすことができ、「UE」はデバイス2とみなすことができ、これら2つのデバイスは本明細書において説明するように何らかの無線チャネルを介して相互に通信可能であることにも留意すべきである。
【0036】
以下に、いくつかの例示的な実施形態により本解決策についてさらに詳しく説明する。これらの実施形態は相互排他的ではないことに留意すべきである。ある実施形態のコンポーネントは、適切な場合、別の実施形態において利用することができる。
【0037】
図2および図3にそれぞれ、現行のLTE規格で用いられているMCSインデックステーブルおよびCQIインデックステーブルを示す。次に、代替のMCSおよびCQIインデックステーブルの可能な設計、ならびに無線ノードおよびUEが、第2のテーブル構成の新たに提案されたMCS/CQIテーブルと第1のテーブル構成のMCS/CQIテーブルとの間で切替えを行うことができるメカニズムについて説明する。本解決策は、本明細書において説明するMCS/CQIテーブルの特定の例に限定されないこと、さらにいかなるMCS/CQIテーブルも本明細書において説明する実施形態に従って使用され得ることに留意すべきである。
【0038】
次に、図4の流れ図を参照しながら、本解決策が用いられる際にセルラネットワークの無線ノードによって実行される手順の例を説明する。無線ノードに適用し得る、可能であるが非限定的ないくつかの実施形態についても説明する。この手順において、無線ノードはUEとの無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、第1のテーブル構成は第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートするものとする。上述のように、現在用いられているMCS/CQIテーブルによってサポートされる最大変調次数は、64QAMに対応するQ=6であり、現在用いられているMCS/CQIテーブルは本解決策における第1のテーブル構成として制限なく使用され得る。
【0039】
最初のアクション400において、無線ノードは、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数が無線ノードと第1のUEとの間の無線通信に使用できる可能性があることを検出する。例えば、当該状況は、無線ノードと第2のUEとの間で伝達される信号のSINRなどのパフォーマンス関連パラメータが一定のしきい値を上回ったときに検出され得る。
【0040】
もう1つのアクション402は、無線ノードが第1のUEに対し、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用するよう命令することを示す。第2のテーブル構成は、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルのこの少なくとも一方はより高次の変調次数をサポートする。さらに、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルのこの少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリは、第2のテーブル構成が適用されているときの、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持される。言い換えれば、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は、このようなフォールバックを提供するために、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方にも含まれている少なくとも1つの変調次数、例えば最小変調次数に対する少なくとも1つのエントリを含んでいる。例えばUEからのCQIレポートによって示されるような信号品質が突然劣化し、ロバスト性を確保するためには最小変調次数よりも高次の変調次数は使用に適さないか、または使用不可能である場合に、このようなフォールバックが望ましく、また必要でもあり得る。
【0041】
可能な一実施形態において、無線ノードは、無線ノードと第1のUEとの間で伝達される信号のパフォーマンス関連パラメータがしきい値を上回ったとき、第1のUEに対し、無線ノードと第1のUEとの間の無線通信において第2のテーブル構成を適用するよう命令してもよい。このパフォーマンス関連パラメータは、無線ノードによって送信されたダウンリンク参照信号の測定値が含まれる、第1のUEによって提供されたCQIレポートから導出されてもよい。
【0042】
可能な別の実施形態において、無線ノードは、無線ノードと第2のUEとの間で伝達される信号のパフォーマンス関連パラメータがしきい値を下回ったとき、第2のUEに対し、無線ノードと第2のUEとの間の無線通信において第1のテーブル構成を適用するよう命令してもよい。さらに可能な一実施形態において、この場合に、無線ノードは第2のUEに対し、第2のUEへ命令を送信することにより第1のテーブル構成を適用するよう明示的に命令し、または第2のUEへ第1のテーブル構成を適用すべきであると示す命令を送信しないことにより、第2のテーブル構成を適用するよう黙示的に命令してもよい。無線ノードはさらに、無線ノードと第1のUEとの間で伝達される信号のパフォーマンス関連パラメータがしきい値を下回った場合は、第1のUEに対し、第1のテーブル構成を再び適用するよう命令してもよい。後者の実施形態のいずれにおいても、パフォーマンス関連パラメータは信号対干渉雑音比(SINR)を含み得る。
【0043】
第2のテーブル構成のMCSおよびCQIインデックステーブルは、第1のテーブル構成のMCSおよびCQIインデックステーブル、例えば、図2および図3に示すテーブルを、現在の最大変調次数を上げることができるように修正することによって作成できることは、既に述べたとおりである。これは、余分なシグナリングビットを何ら必要とせずに実現可能である。可能な一実施形態において、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は、それぞれ対応する第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方の修正とすることができ、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方で、前記より高次の変調次数のエントリのセットが追加され、かつ第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数のエントリのセットがそれぞれ対応する第2のテーブルにおいて削除されている。可能な別の実施形態において、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における前記少なくとも1つの変調次数は、第1のテーブル構成の最小変調次数を含んでいてもよい。第1のMCSテーブルおよび第1のCQIテーブルに対する上述の修正をどのように行うことができるかについては、図8および図9の例を参照しながら後ほどさらに詳しく説明する。
【0044】
第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数、例えば最小変調次数に対する少なくとも1つのエントリは、第2のテーブル構成を使用している間に信号品質が劣化した場合のフォールバックとして、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持、すなわち保持されることも、既に述べたとおりである。可能な別の実施形態において、第1のMCSテーブル内の最小変調次数に対する最初のエントリは、第2のMCSテーブル内にフォールバックとして維持されてもよく、また第1のCQIテーブル内の最小変調次数の最小符号化率に対するエントリは、第2のCQIテーブル内にフォールバックとして維持されてもよい。この実施形態については、以下で後ほどさらに詳しく示す。
【0045】
可能な別の実施形態において、第1のMCSテーブルと第2のMCSテーブルとが等しいサイズとなり、かつ/または第1のCQIテーブルと第2のCQIテーブルとが等しいサイズとなるように、より高次の変調次数の追加されるエントリの数と最小変調次数の削除されるエントリの数とが等しくなるようにしてもよい。このようにすることで、第1のテーブル構成に加えて第2のテーブル構成をサポートするために、MCSおよび/またはCQIのシグナリングにおいてそれぞれ余分なビットが必要とされない。
【0046】
可能な別の実施形態において、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は、それぞれ対応する第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方の修正とすることができ、前記第2のMCSテーブルと前記第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方で、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方のすべてのエントリが、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持、すなわち保持され、かつ前記より高次の変調次数のエントリのセットが追加されている。さらに可能な一実施形態において、第1のテーブル構成および第2のテーブル構成はそれぞれ、第1のMCSテーブルおよび第2のMCSテーブルに対応するトランスポートブロックサイズ(TBS)テーブルをさらに含んでいてもよい。TBSテーブルは、TBSインデックスすなわちITBSおよび割当て帯域幅を、対応する、例えばビット数で与えられるトランスポートブロックサイズにマッピングしたものである。
【0047】
図5のブロック図は、無線ノードの上述の機能を実行するために、無線ノードがモジュール、回路、またはユニットなどのいくつかの可能な機能エンティティでどのように構成され得るか、その詳細ながら非限定的な例を示している。この図で、無線ノード500はUEとの無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、第1のテーブル構成は、第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートする。
【0048】
無線ノード500は、上記および下記のように本解決策を用いる任意の例および実施形態に従って動作するように設定されてよい。特に、無線ノード500は、図4の流れ図および適切な場合は上述の実施形態のアクションを実行するように構成または設定された手段を備えていてよい。このいずれをも実行するために、無線ノード500は、通信回路C、メモリM、および以下に説明する様々な機能部を備えた動作可能なプロセッサPで実現され得る。
【0049】
より具体的には、無線ノード500は、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数が無線ノード500と第1のUE502との間の無線通信に使用できる可能性があることを検出するように設定された、論理部500aなどの手段を備えている。この検出動作は、上記のアクション400で説明したように実行されてよい。
【0050】
無線ノード500は、第1のUE502に対し、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用するよう命令するように設定された、命令部500bなどの手段もまた備えており、第2のテーブル構成は第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は前記より高次の変調次数をサポートし、かつ第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における少なくとも1つの変調次数に対する少なくとも1つのエントリは、第2のテーブル構成が適用されているときの、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方における、前記少なくとも1つの変調次数を使用することが望ましい場合のフォールバックとして、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方において維持される。この命令動作は、上記のアクション402で説明したように実行されてよい。
【0051】
次に、図6の流れ図を参照しながら、本解決策が用いられる際にUEによって実行される手順の例を説明する。この手順において、UEはセルラネットワークの無線ノードとの無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、第1のテーブル構成は第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートするものとする。
【0052】
最初のアクション600は、UEが前記無線通信において第2のテーブル構成を適用する命令を無線ノードから受信することを示し、第2のテーブル構成は第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数をサポートする。もう1つのアクション602では、UEは無線ノードとの無線通信において第2のテーブル構成を適用する。このアクションは、第2のテーブル構成に従って、第2のMCSテーブルに関して無線ノードからMCSシグナリングを受信することおよび/または第2のCQIテーブルに関して無線ノードへCQIレポートを送信することを含んでいてもよい。
【0053】
図7のブロック図は、UEの上述の機能を実行するために、UEがモジュール、回路、またはユニットなどのいくつかの可能な機能エンティティでどのように構成され得るか、その詳細ながら非限定的な例を示している。この図で、UE700はセルラネットワークのサービング無線ノード702との無線通信において第1のテーブル構成を適用するように動作可能であり、第1のテーブル構成は第1の変調符号化方式(MCS)テーブルと第1のチャネル品質指標(CQI)テーブルの少なくとも一方を含み、第1のMCSテーブルと第1のCQIテーブルの前記少なくとも一方は特定の最大変調次数をサポートする。
【0054】
UE700は、上記および下記のように本解決策を用いる任意の例および実施形態に従って動作するように設定されてよい。特に、UE700は、図6の流れ図のアクションを実行するように構成または設定された手段を備えていてよい。このいずれをも実行するために、UE700は、通信回路C、メモリM、および以下に説明する様々な機能部を備えた動作可能なプロセッサPで実現され得る。
【0055】
より具体的には、UE700は、前記無線通信において第2のテーブル構成を適用する命令を無線ノード702から受信するように設定された、通信部700aなどの手段を備え、第2のテーブル構成は第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの少なくとも一方を含み、第2のMCSテーブルと第2のCQIテーブルの前記少なくとも一方は、第1のテーブル構成の最大変調次数よりも次数の高いより高次の変調次数をサポートする。UE700は、無線ノード702との無線通信において第2のテーブル構成を適用するように設定された論理部700bなどの手段も備えている。これは図中に、UE700が、第2のテーブル構成に従って、第2のMCSテーブルに関して無線ノード702からMCSシグナリングを受信することおよび/または第2のCQIテーブルに関して無線ノード702へCQIレポートを送信することによって示されている。
【0056】
図5および図7はそれぞれ無線ノード500およびUE700における様々な機能部を例示したものであり、当業者であれば、適切なソフトウェアおよびハードウェアを使用して、これらの機能部を実際に実現できることに留意すべきである。したがって、本解決策は、上位概念的に言えば、無線ノード500およびUE700の図示した構造に限定されるものではなく、機能部500a〜bおよび700a〜bは、適切な場合、本開示において説明するいずれの特徴にも従って動作するように設定され得る。
【0057】
上述の機能部500a〜bおよび700a〜bは、無線ノード500およびUE700それぞれにおいて、各ノード内のプロセッサPによって実行されたときに無線ノード500およびUE700に上記のアクションおよび手順を実行させるコード手段を含むそれぞれのコンピュータプログラムのプログラムモジュールによって、実現することができる。各プロセッサPは単一の中央処理装置(CPU)を備えていてもよいし、または2つ以上の処理装置を備えていてもよい。例えば、各プロセッサPは、汎用マイクロプロセッサ、命令セットプロセッサおよび/もしくは関連するチップセット、ならびに/または特定用途向け集積回路(ASIC)などの特定目的マイクロプロセッサを備えていてもよい。各プロセッサPはまた、キャッシング目的の記憶域を備えていてもよい。
【0058】
各コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体を有し、かつプロセッサPに接続されているメモリの形態で、無線ノード500およびUE700のそれぞれにおけるコンピュータプログラム製品によって保持されてもよい。したがって、無線ノード500およびUE700のそれぞれにおけるコンピュータプログラム製品またはメモリMは、コンピュータプログラムが例えばコンピュータプログラムモジュールなどの形態で格納されている、コンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。例えば、各ノードにおけるメモリMは、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、またはElectrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)であってもよく、プログラムモジュールは、代替実施形態において、異なるコンピュータプログラム製品上に無線ノード500およびUE700それぞれの内部のメモリの形態で分散させることもできる。
【0059】
本明細書において説明する解決策は、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに上記の任意の実施形態に従うアクションを実行させる命令を含む、コンピュータプログラムによって、無線ノード500およびUE700それぞれにおいて実現することができる。本解決策は、無線ノード500およびUE700それぞれにおける、上記のコンピュータプログラムが含まれているキャリアにおいても実現することができ、このキャリアは、電子信号、光信号、無線信号、またはコンピュータ可読記憶媒体の1つである。
【0060】
次に、図2および図3に示す第1のMCSおよびCQIテーブルをどのように修正して、図8の修正MCSテーブルおよび図9の修正CQIテーブルに例示した第2のMCSおよびCQIテーブルを作成することができるかについて、さらに詳しく説明する。
【0061】
MCSインデックステーブル
1つの実例において、上述の第1のテーブル構成の第1のMCSテーブルは、図1のUE1などの1つのUEに対するダウンリンク送信に用いられ、図1のUE2などの別のUEに対するダウンリンク送信には、上述の第2のテーブル構成の第2のMCSテーブルが用いられる。
【0062】
別の実例において、第1のMCSテーブルは、図2に示すような、規格に準拠した第1のテーブル構成の現行のMCSテーブルであり、第2のMCSテーブルは、第1のMCSテーブルによってサポートされる最大変調次数よりも次数の高い変調次数をサポートする第2のテーブル構成の新しい修正MCSテーブルである。すなわち、第2のMCSテーブルにはより高次の変調のエントリが含まれている。図8に、図2の第1のMCSテーブルを修正した第2のMCSテーブルの例を示す。
【0063】
別の実例において、無線ノードは、DL送信に現行のMCSテーブルまたは提案された代替MCSテーブルのいずれかを使用することができる。さらなる例において、使用対象となるMCSテーブルに関する情報は、通常は特定の単一のサブフレームに適用されるDCIメッセージの一部とすることもできるし、または、通常は別途通知があるまで適用される、無線リソース制御、RRCメッセージまたは媒体アクセス制御、MACメッセージの一部とすることもできる。
【0064】
別の実例において、第2のテーブル構成の提案されたMCSインデックステーブルには、32+N行が含まれていてもよい。Nは、0以上の(非負)整数である。このテーブルの列は、図2に示すMCSインデックステーブルの列と同じパラメータを表しており、MCSインデックスIMCS、変調次数Q、およびTBSインデックスITBSを含んでいる。1つのMCSに対応する、テーブルの各列または各エントリには、MCSインデックスIMCSによって索引付けがされており、変調次数とTBSインデックスの特定の組合せが含まれている。
【0065】
別の実例において、第2のテーブル構成の提案されたMCSインデックステーブルでM行、すなわちM個のMCSインデックスを使用して、1つのより高次の変調方式および1つのTBSインデックスのペアを含むMCSを示してもよい。ここでMはM>Nの非負整数とする。
【0066】
別の実例において、図2の32+N−M個のMCSエントリが第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルで再利用されてもよい。つまり、図2のM−N個のMCSエントリを新しいMCSテーブルに含めないようにする。
【0067】
規格における現行のTBSテーブルは、3GPP TS 36.213 V11.2.0(2013−04)という文書のTable 7.1.7.2.1−1に示されている。別の例において、このM−N個のMCSに含まれるTBSインデックスに対応するTBS値の行を、第1のテーブル構成のTBSテーブルから削除してもよい。一方で、このTBSテーブルには、より高次の変調のM個のMCSに対応するTBS値の新たなM行が追加される。
【0068】
さらなる実例において、N=0のとき、第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルは図2のMCSテーブルと同じサイズを保つことになり、図2のM個のMCSが図8のより高次の変調に対するM個のMCSに置き換わる。さらなる例において、MCSインデックス0に対応する最小MCSは、図8の第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルに残されて、すなわち保持されてもよい。さらなる例において、後続のM個の最小MCS(MCSインデックス1からMに対応)は、第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルから除外してもよい。図8に、このような新しいMCSテーブルの例を示す。図2と比較すると、図8では、変調次数2(QPSK)に対するインデックス1から6のMCSが削除されているのに対し、最小MCSは残されている。代わりに、図8のMCSテーブルには、変調次数8(256QAM)に対する6個のMCSが追加されている。
【0069】
第2のテーブル構成のTBSテーブルを作成するために、削除されるMCSおよび追加されるMCSに対応するTBS値の行を、第1のテーブル構成のTBSテーブルにおいて然るべく削除し、また追加しなければならない。他のMCSエントリは新しいMCSテーブルで再利用され、このテーブルのインデックスは再編成、すなわち最初から番号の付け直しが行われる。図10は、第2のテーブル構成の提案されたTBSテーブルの例を示しており、テーブル寸法は27*110、図9のテーブルに対応する256QAMのインデックス21〜26が設定されている。ここで「NV」は新しい値を示す。図10に示す例では、QPSKに対するインデックス1〜6の行が削除され、256QAMに対するTBS値の新たな6行がテーブル末尾に追加されている。第2のテーブル構成のこの新しいTBSテーブルは、第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルにおけるTBSインデックスと整合していなければならない。
【0070】
次に図10についてさらに詳しく説明する。図10は、規格36.213 Table 7.1.7.2.1−1におけるトランスポートブロックサイズテーブルを示す。トランスポートブロックサイズ、すなわち1個のトランスポートブロックで搬送されるビット数は、採用されたMCSと、このテーブルにおいてNPRBで示されるリソースブロックペアの番号の両方によって決まる。MCSテーブルのMCSインデックスごとに、1〜110の100通りのPRB番号が存在し得る。このため、TBSテーブルは、MCSテーブルに対して1対1写像ではないものの、相異なるMCSに対応する110列、27行のサイズをもつ。256QAMの新しいMCSインデックスを追加する場合は、256QAMのTBSエントリも計算して指定する必要がある。したがって、新しいMCSテーブルでは、256QAMの新しいエントリに、対応する新しいTBS値のTBSインデックスが含まれていなければならない。
【0071】
別の実例において、最小MCS、すなわち、図2に示す第1のテーブル構成のMCSテーブル内のMCSインデックス0のエントリは、第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルで再利用してもよい。これは、無線リンクが低SINRの状況などと言われる非常に劣悪なチャネル状態下にあっても、無線ノードとUEとの間の通信が適正に機能するように保証するためである。
【0072】
別の実例において、第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルが用いられており、送信のために最小MCSのエントリが選択されたとき、これは、チャネル品質のばらつき、劣悪な無線状態、または他の問題により、より高次の変調をサポートするのが難しいこと、およびより堅牢なMCSが必要とされていることを示している。したがって、次の送信に用いられるMCSテーブルは、第1のテーブル構成の第1のMCSテーブルに自動的にフォールバックして、例えば最小変調次数のエントリのいずれの選択も可能になるようにしてもよい。その第1のMCSテーブルは、制限なく現行標準のMCSテーブルであってよい。
【0073】
別の実例において、DCI内のMCSフィールドは、N>0のとき、すなわち、第2のテーブル構成の新しいMCSテーブルに32個を超えるMCSインデックスがある場合、MCSインデックスを示すために1つまたは複数のビット分拡張してもよい。しかし、MCSテーブルをこのように拡張すると、DCI内に1つまたは複数の余分なビットが必要になる。
【0074】
CQIインデックステーブル
第2のテーブル構成の新しい、すなわち第2のCQIインデックステーブルの設計は、第2のテーブル構成の新しい、すなわち第2のMCSインデックステーブルの設計と類似している。
【0075】
1つの実例において、第1のテーブル構成の第1のCQIテーブルは第1のUEから無線ノードへの無線送信に用いられ得るのに対し、第2のUEから無線ノードへの無線送信には第2のテーブル構成の第2のCQIテーブルが用いられ得、逆もまた真である。
【0076】
別の実例において、この第1のCQIテーブルおよび第2のCQIテーブルはそれぞれ、規格に準拠した現行のCQIテーブル、およびより高次の変調のエントリが含まれている修正CQIテーブルである。図9に、図3の第1のテーブル構成の第1のCQIテーブルを修正した第2のテーブル構成の第2のCQIテーブルの例を示す。
【0077】
別の実例において、UEは、送信に第1のテーブル構成の現行のCQIテーブルまたは第2のテーブル構成の新しいCQIテーブルのいずれかを使用することができる。さらなる例において、使用対象となるCQIテーブルに関する情報は、UCIメッセージの一部とすることもできるし、またはRRCもしくはMACメッセージの一部とすることもできる。
【0078】
別の実例において、第2のテーブル構成の提案されたCQIテーブルには、16+N行が含まれ、Nは、0以上の非負整数である。この新しいCQIテーブルの列は、図3に示すCQIテーブルの列と同じパラメータを表しており、CQIインデックス、変調形式、符号化率、および効率を含んでいる。テーブルの各列または各エントリ、すなわち1つのCQIには、CQIインデックスによって索引付けがされており、変調次数と符号化率の特定の組合せが含まれている。効率の値は変調次数および符号化率に基づいて計算される。
【0079】
別の実例において、第2のテーブル構成の提案されたCQIインデックステーブルでM行、すなわちM個のCQIインデックスを使用して、1つのより高次の変調方式、1つの符号化率、および求められた効率値のペアを含むCQIが示される。ここでMはM>Nの非負整数とする。さらなる実施形態において、より高次の変調に対する符号化率が定義され、CQIテーブルに追加される。
【0080】
別の実例において、図3の16+N−M個のCQIが第2のテーブル構成の代替CQIテーブルで再利用される。さらなる実施形態において、N=0のとき、新しいCQIテーブルは図3のCQIテーブルと同じサイズを保つことになり、より高次の変調のためのM個のCQIが図3のM個のCQIに置き換わる。
【0081】
さらなる例において、CQIインデックス1に対応する最小CQIは、第2のテーブル構成の新しいCQIテーブルに残される。さらなる実施形態において、CQIインデックス2からM+1に対応する後続のM個の最小CQIは、第2のテーブル構成の新しいCQIテーブルから除外される。図9に、このような実施形態の例を示す。図3と比較すると、変調次数2(QPSK)に対するインデックス2から5のCQIが削除されているのに対し、最小CQIは残されている。その代わり図9のテーブルには、変調次数8(256QAM)に対する4個のCQIが追加されている。他のCQIはこのテーブルで再利用され、そのインデックスは再編成されている。
【0082】
上述のように、最小CQI、すなわち、図3のインデックス1のエントリは、第2のテーブル構成の新しいCQIテーブルで再利用してもよい。これは、無線リンクがきわめて劣悪なチャネル状態下にあっても、無線ノードとUEとの間の通信が適正に機能するように保証するためである。
【0083】
別の実例において、第2のテーブル構成の新しいCQIテーブルが用いられており、最小CQIのエントリが選択されたとき、これは、チャネル品質のばらつきまたは他の問題により、より高次の変調をサポートするのが難しいことを示している。したがって、次の送信に用いられるCQIテーブルは、第1のテーブル構成の第1のCQIテーブルに自動的にフォールバックしてもよい。その第1のCQIテーブルは、制限なく現行標準のCQIテーブルであってよい。
【0084】
別の実例において、アップリンク制御シグナリング内のCQIフィールドは、N>0のとき、すなわち、新しいCQIテーブルに16個を超えるCQIがある場合、CQIインデックスを示すために1つまたは複数のビット分拡張してもよい。しかし、CQIテーブルをこのように拡張すると、DCI内に1つまたは複数の余分なビットが必要になり得る。
【0085】
潜在的な利点
本明細書で説明した実施形態には、以下の利点があると考えられる。
【0086】
− LTEシステムにおけるリンクアダプテーションのプロセスがより高次の変調方式を効率的にサポートするように拡張され得ることで、セルラネットワークにおいて特に高SINRまたは高SNRの状況では周波数利用効率を著しく改善することができる。
【0087】
− MCSテーブル内の少なくとも1つのMCSエントリ、例えばMCSインデックス0の最小MCSのエントリ、およびCQIテーブル内の少なくとも1つのCQIエントリ、例えばCQIインデックス1の最小変調次数の最小符号化率に対する最小CQIのエントリが、第2のテーブル構成におけるフォールバックとして第1のテーブル構成からそのまま残され得るため、無線リンクがきわめて劣悪なチャネル状態下にあるときに無線ノードとUEとの間の適正な通信が確保される。
【0088】
− 現行のMCSテーブルのサイズを維持することができ、拡張する場合も最小限にとどめることができる。
【0089】
− MCSエントリ/CQIエントリの大半をそれぞれ対応する第1のMCSテーブル/CQIテーブルと第2のMCSテーブル/CQIテーブルとの間で共有することにより、無線ノードおよびUEにおける実装のための労力を最小限にとどめることができる。
【0090】
− 本解決策はダウンリンク送信とアップリンク送信の両方に適用可能である。
【0091】
本解決策について特定の例示的実施形態に関して説明してきたが、この説明は概ね本発明概念の例示のみを意図したものであり、本解決策の範囲を限定するものとみなされるべきではない。例えば、この説明全体を通じて「無線ノード」、「ユーザ機器(UE)」、「テーブル構成」、および「変調次数」という用語が用いられているが、本明細書において説明した特徴および特質をもつ、対応する他の任意のエンティティ、機能、および/またはパラメータを使用することもできる。本解決策は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0092】
略語
LTE Long−Term Evolution
PDSCH 物理ダウンリンク共有チャネル
MCS 変調符号化方式
eNB E−UTRAN NodeB
UE ユーザ機器
CQI チャネル品質指標
QPSK 4位相偏移変調
16QAM 16直交振幅変調
64QAM 64直交振幅変調
SINR 信号対干渉雑音比
DCI ダウンリンク制御情報
GSM Global System for Mobile Communications
WCDMA 広帯域符号分割多重アクセス
WiMAX Worldwide Interoperability for Microwave Access
UMB ウルトラモバイルブロードバンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10